JP4171433B2 - 溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法 - Google Patents

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本発明は、主として、石油または天然ガス用のラインパイプ、油井管、また、原子力用、地熱用、化学プラント用、機械構造用、一般配管用などに使用される、溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法に関し、特に、鋼板を管状に成形加工してその突合せ部を電縫溶接する際に、溶接欠陥の発生を低減することのできる、溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法に関するものである。
一般に、電縫鋼管は、帯状コイルを連続的に多数のロール群により管状に成形した後、ワークコイルによる誘導加熱、もしくはコンタクトチップによる直接通電加熱を行い、鋼板端部を所定温度に加熱・溶融すると共に、スクイズロールにより加圧しながら溶接して製造される。
従来から、特にCr、Ti、Siなどの酸化物を生成しやすい成分を多く含有する鋼板(クロム鋼、クロムモリブデン鋼、ステンレス鋼、DP鋼、TRIP鋼など)を電縫溶接して電縫鋼管を製造する場合に、その溶接部にペネトレーターと称される酸化物に起因する溶接欠陥が発生しやすいという問題があった。このようなペネトレーターと称される酸化物は、低温靭性、耐食性及び冷間加工性を低下させる原因となっている。
この対策として、アルゴン、ヘリウムなどの様々な不活性ガスシールドにより電縫溶接部の雰囲気の酸素を低減し、これにより接合端面の表面酸化を抑制して、溶接部の酸化物起因の溶接欠陥を低減する方法が提案されている。しかし、電縫溶接部の雰囲気は、空気の巻き込みなどもあり、安定して酸素濃度を低することは困難であり、酸化物に起因する溶接欠陥を十分に低減することはできなかった(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、溶接部のシールドガスとして水素を1〜20容量%含有する不活性ガスまたは窒素ガスを用いることにより接合端面の表面酸化の抑制作用及び還元作用を活性化する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、溶接部の非酸化性シールドガス雰囲気中の酸素濃度を0.1%以下とし、露点を10℃以下、H分圧/HO分圧の比を3以下かつ水素濃度を4%以下に制御することにより、Hの爆発限界濃度以下で水蒸気酸化を抑制して溶接欠陥を低減する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献3及び4に提案される方法では、溶接部のシールド性を高め、溶接雰囲気を低酸素濃度かつ低い露点に制御するために、溶接部全体を包囲しその高い気密性を保つことができる大掛かりなシールド装置が必要となる。したがって、外径サイズの異なる鋼管を製造する際に、そのサイズ毎にシールド装置を予め準備する必要があり、鋼管の生産性を大きく低下させる。
特開昭53−53562号公報 特公昭59−33071号公報 特開昭53−53561号公報 特開平5−228651号公報
本発明は、上記従来技術の実状に鑑みて、生産性を低下させることなく、安定して確実に溶接部の酸化物の生成に起因する溶接欠陥を低減することのできる、低温靭性、耐食性、冷間加工性などの溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、溶接部の酸化物の生成に起因する溶接欠陥を低減すべく鋭意研究を行った。その結果、電縫溶接する際に、突合せ端面に1400℃以上の還元性高温燃焼炎または非酸化性高温プラズマを所定流速で吹き付けることにより酸化物を減少させ、さらに酸化物を排出させることができることを見出して本発明を完成した。
本発明の要旨とすることころは、以下のとおりである。
(1) 電縫鋼管の製造方法において、鋼板を管状に成形加工し、その突合せ端面を電縫溶接する際に、少なくとも、溶接点から、溶接上流側に給電距離の1/5だけ離れた位置までの全範囲にわたる突合せ端面に対して、還元性雰囲気で、かつ1400℃以上の温度を有し、超音速域となるフレーム長が200mm以上で、かつフレーム径が15mm以上である還元性高温燃焼炎を流速が200m/s以上の条件で吹き付けることを特徴とする、溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法。
(2) 電縫鋼管の製造方法において、鋼板を管状に成形加工し、その突合せ端面を電縫溶接する際に、少なくとも、溶接点から、溶接上流側に給電距離の1/5だけ離れた位置までの全範囲にわたる突合せ端面に対して、非酸化性雰囲気で、かつ1400℃以上の温度を有し、フレーム長さが100mm以上で、かつフレーム径8mm以上である非酸化性高温プラズマを流速が30〜230m/sの条件で吹き付けることを特徴とする、溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法。
(3) 前記還元性高温燃焼炎は、CO:1〜5体積%、及び、H:1〜10体積%のうちの1種または2種を含有し、下記(1)式による燃焼反応で生成されることを特徴とする、上記(1)項記載の溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法。
CxHyM+(1/2)zO→xCO+(1/2)yHO+M+ηCO+ξH
・・・(1)
ただし、M:燃料中のC及びH以外のその他成分、
z<4x+y、x>0、y>0、z>0、η>0、ξ>0
(4) 前記非酸化性高温プラズマは、Ar単独ガス、または、ArとN、H及びHeのうちの少なくとも一種以上との混合ガスであることを特徴とする、上記(2)項に記載の溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法。
本発明によれば、生産性を低下させることなく、安定して確実に溶接部の酸化物の生成に起因する溶接欠陥を低減し、低温靭性、耐食性、冷間加工性などの溶接部特性に優れた電縫鋼管の製造が可能となり、本発明による電縫鋼管製造における工業的な貢献は多大である。
以下に本発明の詳細を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明による電縫溶接方法を説明するための模式図を示すものである。
通常の電縫鋼管の製造プロセスでは、鋼板1を連続的に搬送(搬送方向10)しながら多数のロール群(図示せず)により管状に成形し、その突合せ端面4を高周波コイル2より誘導加熱し溶融すると共に、スクイズロール3よりアップセットを加えて、突合せ端面4に溶接シーム5を形成し電縫鋼管とする。なお、ここでは、電縫溶接を高周波コイル2による誘導加熱で行っているが、コンタクトチップによる直接通電加熱で行うことも可能である。
この電縫鋼管の製造プロセスにおける電縫溶接では、突合せ端面4が大気にさらされて突合せ端面4の表面で酸化物が生成され、スクイズアウトされずに残留することにより溶接部にペネトレーターと称する酸化物起因の溶接欠陥が発生することがある。
本発明では、上記溶接欠陥の発生を抑制するための手段として、電縫溶接する際に、少なくとも、溶接点から、溶接方向の上流側に給電距離の1/5だけ離れた位置までの全範囲にわたる突合せ端面4に対して、第1に、還元性雰囲気で、かつ1400℃以上の温度を有し、超音速域となるフレーム長が200mm以上で、かつフレーム径が15mm以上である還元性高温燃焼炎を、流速が200m/s以上の条件で吹き付けること、また、第2に、非酸化性雰囲気で、かつ1400℃以上の温度を有し、フレーム長さが100mm以上で、かつフレーム径8mm以上である非酸化性高温プラズマを、流速が30〜230m/sの条件で吹き付けること、を特徴とする。
この還元性高温燃焼炎または非酸化性高温プラズマ9の吹き付けにより、電縫溶接時の突合せ端面4を非酸化性雰囲気で、かつ1400℃(鋼の融点)以上の温度とし、突合せ端面4の表面における酸化反応を抑制することによって、酸化物を減少させると共に、既に生成していた酸化物を高温状態で突合せ端面から排させる作用を促進させる。
また、図1において、溶接点7から、溶接方向の上流側に給電距離6の1/5だけ離れた位置までの全範囲は、電縫溶接時に突合せ端面の加熱温度が800℃以上となり表面酸化による溶接欠陥の発生が顕著となることを発明者は実験等で確認している。ここで、溶接方向の上流側とは、図1に示される溶接鋼板1の搬送方向10の逆の方向であり、溶接方向と同じ方向を意味する。
したがって、本発明では、上記作用による溶接欠陥の抑制効果を得るために、還元性雰囲気で、かつ1400℃以上の温度を有する還元性高温燃焼炎9または非酸化性雰囲気で、かつ1400℃以上の温度を有する非酸化性高温プラズマ9を吹き付ける範囲を、少なくとも、溶接点から、溶接上流側に給電距離の1/5だけ離れた位置までの全範囲14(図2、参照)にある突合せ端面4に規定する。
本発明において、還元性高温燃焼炎9または非酸化性高温プラズマ9の温度は、突合せ端面4の表面における酸化反応を抑制しつつ、既に生成していた酸化物を高温状態で突合せ端面から排出させる作用を促進し、酸化物に起因する溶接欠陥を充分抑制するためには、1400℃以上にする必要がある。この温度の上限は、特に限定する必要はなく、高温になるほど既に生成していた酸化物を高温状態で突合せ端面から排出させる作用は促進するため、溶接欠陥を低減するために好ましいが、還元性高温燃焼炎ではガス燃焼理論上約3000℃が上限温度となり、非酸化性高温プラズマでは理論上約10000℃が上限温度となる。
本発明において、還元性高温燃焼炎9及び非酸化性高温プラズマ9をそれぞれ所定流速で吹き付けた際に形成される高温雰囲気は、突合せ端面4の表面における酸化反応を抑制させるために充分な非酸化性を有しているが、この作用効果を安定して得るために、好ましくは還元性高温燃焼炎または非酸化性高温プラズマのガス組成を以下のように規定するのが望ましい。
還元性高温燃焼炎は、液体燃料(灯油など)あるいは気体燃料(アセチレン、プロパンなど)(CxHyM,M:C及びH以下の第3成分)と酸素(O:酸素ガスあるいは空気中の酸素)の下記(1)式に示される燃焼反応によって形成される。
CxHyM+(1/2)zO→xCO+(1/2)yHO+M+ηCO+ξH
・・・(1)
ただし、M:燃料中のC及びH以外のその他成分、
z<4x+y、x>0、y>0、z>0、η>0、ξ>0
上記(1)式において、z=4x+yを満たす場合は、下記(2)式に示される完全燃焼反応となりその燃焼炎はCOまたはHを含まず中性となる。この条件の場合は、還元性高温燃焼炎を突合せ端面に吹き付ける際には空気の巻き込みの影響が大きいため突合せ端面の高温雰囲気を安定して非酸化性に維持するために好ましくない。
CxHyM+(1/2)zO→xCO+(1/2)yHO+M ・・・(2)
したがって、本発明では、還元性高温燃焼炎は、上記(1)の反応式において、z<4x+yの条件を満たすと共に、CO:1〜5体積%、及び、H:1〜10体積%のうちの1種または2種を含有するのが好ましい。還元性高温燃焼炎のCOの含有量及びHの含有量の下限:1体積%は、これより低い場合には突合せ端面における酸化反応を充分に抑制できなくなるため、1体積%とした。一方、上記CO含有量の上限:5体積%及びHの含有量の上限:10体積%は、これらより高い場合には上記(1)式の燃焼反応で生成するHガスの増加により燃焼ガス組成の理論上の爆発限界を超えるため安全性の観点から好ましくないため、それぞれ5体積%,10体積%とした。
非酸化性高温プラズマは、Ar単独ガス、または、Arを主ガスとし、さらにプラズマの熱伝導、エンタルピー、熱伝達係数を上げるためにN、H及びHeのうちの少なくとも一種以上を添加した混合ガスを用いるのが好ましい。Arの主ガス中のHは、突合せ端面における酸化反応を抑制する作用を有し、この作用を十分に得るためにはHの含有量を5体積%以上とするのが好ましい。その含有量の上限は特に限定する必要はないが、通常、40%を超えるとプラズマが不安定になるためその上限は40%とするのが好ましい。
Arの主ガス中のN及びHeは、プラズマの熱伝導、熱伝達係数を向上させ鋼板端面の加熱能力を高めるためにそれぞれを20体積%以上または10体積%以上添加するのが好ましい。それらの含有量の上限は特に限定する必要はないが、通常、何れも50%を超えるとプラズマが不安定になるためその上限は何れも50%とするのが好ましい。
また、本発明では、還元性高温燃焼炎を突合せ端面に吹き付ける際の流速を、突合せ端面における酸化反応を抑制させる作用に加えて、この流体のせん断力を利用して既に生成していた突合せ端面から酸化物の排出を促進させる効果をより高めるために、200m/s以上とする。流速の上限は特に規定する必要はないが、600m/sを超えると、電縫溶接時の溶融金属からスパッタの発生が顕著になるため、その上限を600m/sとするのがより好ましい。
一方、プラズマを突合せ端面に吹き付ける際は、酸化物排出のための流体せん断力を得るために流速を増大すると、突合せ端面周囲の空気の巻き込みが大きくなり非酸化性雰囲気を確保し、酸化反応を抑制することが困難となる。さらには、溶融金属のスパッタ発生が顕著となり、飛散した溶融金属の酸化物による溶接部欠陥の増加の原因となる。このような理由から、プラズマを突合せ端面に吹き付ける際の流速の上限を230m/sとする。一方、その流速の下限は、突合せ端面の高温雰囲気を非酸化性雰囲気に維持するとともに、電縫溶接に使用するスクイズロールまたは給電装置の冷却水を排除し、冷却水による酸化を抑制するために、30m/sとする。
上記還元性高温燃焼炎は、例えば、工業的に広く用いられている溶射用のHVOF(High Velocity Oxygen Fuel)装置を用いて生成することができる。
このHVOF装置で生成される燃焼炎は、通常のガスバーナーなどで生成される燃焼炎よりもガス流速が速く、超音速域となるフレーム長が200mm以上で、かつフレーム径が15mm以上である特徴をもつため、電縫溶接時のシーム倣い性が良く、鋼板板厚及び突合せ角度等の変動時にも比較的容易に追従できる熱源である。
上記還元性高温プラズマは、例えば、工業的に広く用いられている溶射用の直流プラズマ、高周波プラズマ、または、ハイブリッドプラズマ装置を用いて生成することができる。これらのプラズマは、通常のガスバーナーなどで生成される燃焼炎よりもガス温度が高く、高温域のフレーム長さが100mm以上で、かつフレーム径8mm以上である特徴をもつため、電縫溶接時のシーム倣い性が良く、鋼板板厚及び突合せ角度等の変動時にも比較的容易に追従できる熱源である。
このような還元性高温燃焼炎または非酸化性高温プラズマの発生装置8を図1に示すように鋼板1の突合せ端面4の直上に設け、還元性高温燃焼炎9または非酸化性高温プラズマ9が少なくとも溶接点7から溶接上流側に給電距離の1/5だけ離れた位置までの全範囲14(図2、参照)にわたる突合せ端面4に吹き付けることにより、生成した酸化物の還元促進もしくは燃焼炎流体またはプラズマ流体により排出し、溶接欠陥の原因となる酸化物を低減することが可能となる。その結果、溶接部の低温靭性、耐食性、冷間加工性の劣化も殆ど見られない良好な特性を有する電縫鋼管の製造が可能となる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
電縫鋼管の製造プロセスにおいて、板厚5.3mm、板幅275mmの9Cr−2.5Ni−1.0Mo系高Cr鋼板を用いてスクイズロールの冷却水による水噴霧条件下で電縫溶接する際に、突合せ端面に対して組成及び還元性の異なる燃焼炎を吹き付け範囲を変えて吹き付けながら電縫溶接を行い、溶接部の溶接欠陥の発生率(以下、溶接欠陥率ともいう。)を調査した。その試験条件及び結果を表1に示す。
なお、電縫溶接の条件は、溶接速度:33m/min、溶接入熱量:570kW(溶接現象としては2種下限)、給電距離(スクイズロール側のコイル端部と溶接点との距離):160mm、アプセット量:3mm(周長)、平均アペックス角度:7°、溶接点にかかる水の噴霧量:約400l/minである。
また、燃焼炎の発生装置には、日本ユテク社製JP5000溶射ガンを用い、燃焼炎の原料は灯油と酸素である。燃焼炎のトーチの配置、燃焼炎の吹き付け範囲の様子を図2に示す。図2において、トーチの角度(燃焼炎の吹き付け角度)11をφ°、トーチ先端の高さ(トーチ先端から突合せ端面までの距離)12をHmm、燃焼炎(フレーム)13の径をFmmとすると、燃焼炎の吹き付け範囲14の溶接方向距離は、F/sin(φ°)と求められる。また、燃焼炎の吹き付け範囲14の溶接方向の最上流側位置15及び最下流側位置16は、それぞれトーチ先端から溶接下流側にH/tan(φ°)だけ離れた位置及びトーチ先端から溶接下流側にH/tan(φ°)+F/sin(φ°)だけ離れた位置と求められる。
本実施例では、トーチ先端の高さ12をH=10mm、燃焼炎(フレーム)13の径をF=15mmと一定とし、トーチの角度(燃焼炎吹き付け角度)11を調整することにより表1に示されるように吹き付け範囲14の溶接方向の最上流側位置15及び最下流側位置16を変化させた。
なお、表1に示される、吹き付け範囲の溶接方向の最上流側位置15及び最下流側位置16は、溶接点7を基準(0)として、溶接方向の上流側を+とし、下流側を−と定義する。なお、この試験では、溶接点7の位置は、スクイズロール3の回転軸17の位置から溶接方向の上流側に35mm離れた位置であった。
溶接欠陥率は、溶接後の電縫鋼管の溶接部からシャルピー試験片を切り出して、その溶接突合せ部に先端径:0.25R、深さ:0.5mmのノッチを形成し、160℃の油中でシャルピー試験を実施した後、延性破断した部分の破面観察を行い、溶接面積に対するペネトレーター(酸化物に起因する溶接欠陥)の面積率の測定値と定義する。溶接部の品質評価は、この溶接欠陥率が0.05を超える場合を“不良”、0.05以下の場合を“良好”と判断した。
Figure 0004171433
表1の本発明例であるNo.1〜8に示すように還元性雰囲気でかつ温度:1400℃以上の燃焼炎を溶接点から溶接方向の上流側に少なくとも給電距離の1/5(この実施例では、給電距離が160mmのため、その1/5である32mm)だけ離れた位置までの全範囲に流速が200m/s以上の条件で吹き付けることにより、溶接欠陥率が0.05以下となり、溶接欠陥のない良好な溶接部が得られることが判る。一方、No.9〜17は比較例であり、No.9〜13は燃焼炎吹き付け範囲の最上流側位置又は最下流側位置、No.14及び15は雰囲気の還元性、No.16及び17は燃焼炎の温度及び流速がそれぞれ本発明の規定範囲外の条件であるため、溶接欠陥率が高く、良好な溶接部が得られなかった。
電縫鋼管の製造プロセスにおいて、実施例1と同じサイズ、同じ成分の高Cr鋼板を用いてスクイズロールの冷却水による水噴霧条件下で電縫溶接する際に、突合せ端面に対してガス組成の異なるプラズマを吹き付け範囲を変えて吹き付けながら電縫溶接を行い、溶接部の溶接欠陥の発生率(溶接欠陥率)を調査した。その試験条件及び結果を表2に示す。
なお、電縫溶接条件及び水噴霧条件は、実施例1と同じ条件で行なった。また、プラズマの発生装置は、PRAXAIR社製2086A溶射ガンを用い、プラズマのAr流量を35l/min一定とし、H、He、Nの1種又は2種以上の何れかの流量を調整させてそれぞれのガスの混合比率を変化させた。プラズマトーチの配置、プラズマの吹き付け範囲の様子を図2に示す。本実施例では、図2において、プラズマ13の径をF=8mmと一定とし、トーチの角度(プラズマ吹き付け角度)11とトーチ先端の高さ12を調整することにより表2に示されるように吹き付け範囲14の溶接方向の最上流側位置15及び最下流側位置16を変化させた。
なお、表2に示される、吹き付け範囲の溶接方向の最上流側位置15及び最下流側位置16の定義、溶接点7の位置、溶接欠陥率及び溶接部の品質評価も実施例1と同様に定義する。
Figure 0004171433
表2の本発明例であるNo.1〜6に示すように非酸化性雰囲気でかつ温度:1400℃以上のプラズマを、溶接点から、溶接方向の上流側に少なくとも給電距離の1/5(この実施例では、給電距離が160mmのため、その1/5である32mm)だけ離れた位置までの全範囲に、流速が30〜230m/sの条件で吹き付けることにより、溶接欠陥率が0.05以下となり、溶接欠陥のない良好な溶接部が得られることが判る。一方、No.7〜11は比較例であり、No.7及び8はプラズマ吹き付け範囲の最上流側位置及び/又は最下流側位置、No.9はプラズマ温度、No.10及び11はプラズマの流速がそれぞれ本発明の規定範囲外の条件であるため、溶接欠陥率が高く、良好な溶接部が得られなかった。
本発明による非酸化性高温燃焼炎または非酸化性高温プラズマを用いた電縫鋼管の製造方法を説明するための模式図である。 燃焼炎またはプラズマのトーチの配置、燃焼炎またはプラズマの吹き付け範囲の様子を示す図である。
符号の説明
1 鋼板
2 高周波コイル
3 スクイズロール
4 突合せ端面
5 溶接シーム
6 給電距離
7 溶接点
8 非酸化性高温燃焼炎または非酸化性高温プラズマの発生装置
9 非酸化性高温燃焼炎または非酸化性高温プラズマ
10 搬送方向(溶接方向の逆方向)
11 トーチの角度
12 トーチ先端の高さ
13 燃焼炎(フレーム)またはプラズマ
14 吹き付け範囲
15 吹き付け範囲の最上流側位置
16 吹き付け範囲の最下流側位置
17 スクイズロールの回転軸位置

Claims (4)

  1. 電縫鋼管の製造方法において、鋼板を管状に成形加工し、その突合せ端面を電縫溶接する際に、少なくとも、溶接点から、溶接上流側に給電距離の1/5だけ離れた位置までの全範囲にわたる突合せ端面に対して、還元性雰囲気で、かつ1400℃以上の温度を有し、超音速域となるフレーム長が200mm以上で、かつフレーム径が15mm以上である還元性高温燃焼炎を流速が200m/s以上の条件で吹き付けることを特徴とする、溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法。
  2. 電縫鋼管の製造方法において、鋼板を管状に成形加工し、その突合せ端面を電縫溶接する際に、少なくとも、溶接点から、溶接上流側に給電距離の1/5だけ離れた位置までの全範囲にわたる突合せ端面に対して、非酸化性雰囲気で、かつ1400℃以上の温度を有し、フレーム長さが100mm以上で、かつフレーム径8mm以上である非酸化性高温プラズマを流速が30〜230m/sの条件で吹き付けることを特徴とする、溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法。
  3. 前記還元性高温燃焼炎は、CO:1〜5体積%、及び、H:1〜10体積%のうちの1種または2種を含有し、下記(1)式による燃焼反応で生成されることを特徴とする、請求項1記載の溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法。
    CxHyM+(1/2)zO→xCO+(1/2)yHO+M+ηCO+ξH
    ・・・(1)
    ただし、M:燃料中のC及びH以外のその他成分、
    z<4x+y、x>0、y>0、z>0、η>0、ξ>0
  4. 前記非酸化性高温プラズマは、Ar単独ガス、または、ArとN、H及びHeのうちの少なくとも一種以上との混合ガスであることを特徴とする、請求項2記載の溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法。
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