JP2007000835A - 排気ガス浄化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】240℃程度の低温域でもコールドHCを効率良く浄化できる排気ガス浄化システムを提供すること。
【解決手段】排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気ガス流路の上流側にゼオライトを含有するHC吸着材を配置し、その下流側に排気ガス浄化触媒を配置して成る。
排気ガス浄化触媒が、セリアにナノサイズの貴金属粒子を担持させて成り、上記貴金属粒子の一部がセリア中に埋没している。セリアと上記貴金属粒子の粒径比が20:1〜3:1である。
【選択図】なし

Description

本発明は、排気ガス浄化システムに係り、更に詳細には、内燃機関から排出されるガス、特にエンジン始動時などの低温時における炭化水素(コールドHC)を効率良く浄化する排気ガス浄化システムに関する。
自動車の排ガス規制は世界的に拡大していることから、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属微粒子を多孔体酸化物であるアルミナ(Al)などの担体に担持させた三元触媒が、排ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を浄化する目的で使用されている。
しかし、触媒の活性点である貴金属は、数百℃レベルの高温で凝集を起こすため、繰り返しの使用により活性点の表面積が低下する。
かかる凝集を抑制する方法としては、貴金属微粒子間距離の制御、及び貴金属微粒子の粒径を制御することが挙げられる。このうち、貴金属微粒子間距離の制御に関しては、貴金属微粒子を担体外表面に担持すると凝集が進行し易いなどの点から、担体の外表面だけではなく、担体の内部表面すなわち細孔の表面にも貴金属微粒子を担持させることが重要となる。
また、貴金属微粒子の粒径の制御に関しては、初期の貴金属微粒子が小さすぎると、微粒子の融点の低下が生じることから、ある程度の大きさの粒径が必要であることが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
Ph.buffat et.al. Phys.Rev.A,Vol.13,No.6.(1976)
更に、担持している金属微粒子の粒径が不均一であると、一部に存在する粒径の大きな金属粒子を核として凝集が更に進行しやすくなることが知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
M.Che,J.F.Dutel et.al. J.Phys.Chem,80,pp2371.(1976)
このため、貴金属微粒子の凝集を抑制するためには、貴金属微粒子はある程度の大きさで、且つ担体表面に均一に分散担持されていることが有効である。
そこで、キレート化剤により金属コロイドを形成して担体表面に金属を分散担持させた触媒が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、4級アンモニウム塩を保護コロイドとして使用し、担体細孔内部にコロイド塩を含浸担持させた触媒が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2000−279824号公報(第2頁) 特開2002−1119号公報(第2頁)
一方、エンジン始動時などに排出されるコールドHCを効率良く浄化すべく、ゼオライドなどのHC吸着材を含むHC吸着材層の上に、貴金属を含む三元浄化層をコートして成る排気ガス浄化触媒によって、低温時の三元浄化層が未活性のときにHCをHC吸着材層に吸着させ、その後に温度が上昇して三元浄化層が活性化した際、吸着させたHCを脱離して三元浄化層で浄化する方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)
特許第3506316号公報
しかしながら、上記特許文献に開示された技術では、担体であるアルミナの細孔径よりも分子サイズが大きな高分子を貴金属微粒子の保護剤として使用しているため、貴金属微粒子を細孔内部に担持させることができなかった。
また、4級アンモニウム塩を保護コロイドとして使用した場合には、長期保管などにより、コロイドの一部が凝集して沈殿するなど、コロイド塩の安定性に問題があった。
更に、単純に貴金属コロイド粒を担体細孔内部に担持しても、貴金属粒自身の移動が抑制できなかった。即ち、貴金属の凝集劣化が生じてしまうという問題があった。
一方、上述したHC吸着材層上に三元浄化層をコートした排気ガス浄化触媒にあっては、繰り返しの使用により、ゼオライトに起因するシリカ(SiO)分が三元層の貴金属を劣化させてしまうという問題があった。
これに対し、HC吸着材層と三元浄化層を分離すべく、排気ガス流路の上流側にHCHC吸着材、その下流側に三元触媒を配置すると、下流側の三元触媒の温度上昇が遅くなってその活性化が遅延し、コールドHCを浄化できないことがあるという問題があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、240℃程度の低温域でもコールドHCを効率良く浄化できる排気ガス浄化システムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ナノサイズの貴金属粒子の一部をセリア中に埋没させた排気ガス浄化触媒をHC吸着材の下流に配置することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気ガス流路の上流側にゼオライトを含有するHC吸着材を配置し、その下流側に排気ガス浄化触媒を配置して成る排気ガス浄化システムにおいて、
上記排気ガス浄化触媒が、セリアにナノサイズの貴金属粒子を担持させて成り、上記貴金属粒子の一部がセリア中に埋没していることを特徴とする。
この場合、上記セリアと上記貴金属粒子の粒径比が20:1〜3:1であることが望ましい。
また、本発明の排気ガス浄化システムの好適形態は、上記貴金属粒子において、次式(1)
露出率(%)=0.895×(A×B×C×D)/(E×F)×100…(1)
(式中のAはCO吸着量[cc/g]、Bは担持貴金属断面積[nm]、Cは担持貴金属密度[g/cc]、DはTEM粒子半径[nm]、Eは化学量論比、Fは担持濃度[%/g]、を示す)
で表される露出率が、50〜85%であることを特徴とする。
更に、本発明の排気ガス浄化システムの他の好適形態は、上記セリアの粒径が20〜30nm、上記貴金属粒子の粒径が、3〜10nmであることを特徴とする。
更にまた、本発明の排気ガス浄化システムの更に他の好適形態は、900℃の排気ガスに3時間接触させたときの、上記貴金属粒子の初期及び耐久後の粒径比が、3〜7:10〜18であることを特徴とする。
本発明によれば、ナノサイズの貴金属粒子の一部をセリア中に埋没させた排気ガス浄化触媒をHC吸着材の下流に配置することとしたため、240℃程度の低温域でもコールドHCを効率良く浄化できる排気ガス浄化システムを提供することができる。
以下、本発明の排気ガス浄化システムについて詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
上述の如く、本発明の排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気ガス流路の流れに沿って、ゼオライトを含有するHC吸着材と排気ガス浄化触媒をこの順で配置して成る。
そして、この排気ガス浄化触媒として、所定のナノサイズ貴金属触媒を用いたものである。
ここで、HC吸着材としては、HCを吸脱着しゼオライトを含有していれば十分であるが、ゼオライトのみならず、繰り返しの使用によりシリカ(SiO)を生ずる材料を含有しているHC吸着材が対象となる。
通常、かかるHC吸着材は、ハニカム担体にゼオライト含有層をコートすることによって作成され、排気ガス流路に設置される。
一方、本発明で用いる排気ガス浄化触媒(ナノサイズ貴金属触媒)は、セリアにナノサイズの貴金属粒子を担持させて成る。
また、貴金属粒子の一部はセリア中に埋没している。
更に、このセリアと貴金属粒子の粒径比は20:1〜3:1であることが好ましい。
なお、上記ナノサイズとは、粒径が一般に1〜100nmの大きさであることを意味する。
このように、セリアの表面に貴金属粒子が安定な状態で固定されているため、700〜1000℃程度の高温下においても貴金属粒子の凝集が防止される。言い換えれば、貴金属粒子がセリア上にアンカー効果を奏するように担持されているので、幅広い温度域での使用後でも、両者の密接性が維持される。
また、貴金属粒子の凝集が抑えられるので、耐熱性に優れた触媒となり得る。
更に、貴金属粒子とセリアの密接状態を維持され、長期間に亘りセリアから迅速な酸素供給がなされるので、PMを低温域から燃焼処理し得る。
なお、セリアと貴金属粒子の粒径比が上記範囲外であると、貴金属粒子の担持量が不十分となったり、双方の分散状態が悪化する。
ここで、セリアの表面(担持面)は、セリアの外表面のみならず、セリアが有しているくぼみ状、スリット状などの細孔の内表面をも含む。
そして、貴金属粒子は、セリアの外表面だけではなく、内表面にも担持できるため、触媒全体の表面積が有効利用できる。即ち、触媒の単位重量あたりの触媒活性が向上し、反応させる排気ガス吸着量が増大する。
なお、一般的に、セリアの外表面に担持されている貴金属粒子は、その粒子間距離が短く凝集が進行しやすい状況となるが、セリア内部の細孔内に担持されているときは、粒子間距離は長くなり凝集が抑制される。
また、この排気ガス浄化触媒においては、図1(b)に示すように、貴金属粒子は、セリア中にその一部が埋没された状態でセリア表面に担持されている。
このため、貴金属粒子の周囲を囲んでいるセリアが、貴金属粒子を固定化するアンカーとして作用する。
これにより、貴金属粒子間距離が維持され、貴金属粒子の凝集が効果的に抑制される。
一般的に、貴金属粒子の粒子径が10nm以下の微粒子である場合には、貴金属粒子は凝集しやすい。しかし、本発明では、貴金属粒子の一部がセリア表面に埋没しているため、アンカー効果が顕著に発揮され、加熱後であっても触媒製造時の状態が維持される。即ち、貴金属粒子の粒径の変化率が低いため、触媒活性が長期間維持され、耐熱性に優れた排気ガス浄化触媒となる。
更に、上記貴金属粒子においては、次式(1)
露出率(%)=0.895×(A×B×C×D)/(E×F)×100…(1)
(式中のAはCO吸着量[cc/g]、Bは担持貴金属断面積[nm]、Cは担持貴金属密度[g/cc]、DはTEM粒子半径[nm]、Eは化学量論比、Fは担持濃度[%/g]、を示す)
で表される露出率が、50〜85%であることが好適である。
このときは、セリアに分散して担持されている貴金属粒子の凝集が抑制され得る。
また、セリアの貴金属粒子に対するアンカー効果が顕著に発揮され、加熱後であっても触媒製造時の状態をより長期間に亘り維持できる。
本排気ガス浄化触媒では、貴金属粒子の露出率が50〜85%であれば、上述のように、貴金属粒子の一部がセリア中に埋没された状態で担持されていることとなる。
通常、触媒として有効に機能するのは、表面に存在する原子であるため、露出率が低すぎる場合には、貴金属粒子の安定性は高いものの、貴金属粒子が充分に反応物質に接触することが困難となり、結果として充分な触媒活性を得ることができない。
このため、触媒としての性能を維持するために露出率は少なくとも50%以上であることが好ましい。
一方、露出率が高すぎる場合には、触媒の初期活性は高いものの、セリア表面に担持された貴金属粒子が加熱により凝集することがあるため耐久性に乏しい。
このため、露出率は85%を超えないことが好ましい。
また、上記セリアの粒径は、10〜50nmであることをが好ましく、20〜30nmであることが更に好適である。
このときは、適度な量の貴金属粒子がセリアに埋没され易くなるので、充分な触媒活性が得られる。
更に、上記貴金属粒子の粒径は、3〜10nmであることが好適である。
このときは、適度な量の貴金属粒子がセリアに埋没され易くなるので、充分な触媒活性が得られる。
更にまた、上記貴金属粒子の担持量は、触媒1L当たり0.72g以下であることが好適である。
従来は、かかる担持量では、使用に伴い貴金属粒子が凝集して充分な触媒活性が得られなったが、本発明では、上述のように、セリア中にナノサイズの貴金属粒子を、その一部が埋没された状態とするので、貴金属の使用量を低減した場合でも、アンカー効果により充分な触媒活性を維持できる。
また、上記貴金属粒子は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)又はロジウム(Rh)、及びこれらを任意に組合わせて使用することが好適である。
これらの貴金属は、触媒活性が高く、排気ガスの浄化に有効である。
更に、本排気ガス浄化触媒では、セリア、貴金属粒子のいずれか一方又は双方は、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)又は亜鉛(Zn)、及びこれらを任意に組合せた遷移金属と接触していることが好適である。
このときは、これらの遷移金属が貴金属粒子の触媒活性を補助するため、触媒活性がより向上し得る。
なお、セリア、貴金属粒子のいずれか一方がこれらの遷移金属に接触していないときは、該遷移金属の近傍に存在していることがよい。
更に、これらの遷移金属は、一部又は全部が担体と複合化合物を形成していることが望ましい。
このときは、遷移金属を含む複合化合物に貴金属粒子が接触していれば、触媒性能が向上し得ると考えられる。これは、排気ガスが貴金属表面上に吸着された後、複合化合物表面に移動して複合化合物表面上で排気ガスを浄化するスピルオーバと呼ばれる現象によるものと考えられる。
即ち、貴金属粒子と該複合化合物とが接触していることにより、貴金属が触媒としてだけではなく、排気ガスを吸着する吸着サイトとしての役割をも担うようになるため、複合化合物の中の遷移金属が活性化されて触媒反応を行う触媒サイトとして機能するようになることが考えられる。
このように、貴金属粒子の触媒活性を遷移金属を含む複合化合物が補う効果が得られるため、触媒活性が向上し得る。
また、遷移金属の一部又は全部が担体と複合化合物を形成していることにより、この複合酸化物が、貴金属粒子の移動を抑制するアンカーの役割として作用し得るため、貴金属の凝集が抑制されて、触媒活性点の劣化が抑えられる。
また、上記担体の構成材料としては、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、シリカ(SiO)又はチタニア(TiO)、及びこれら酸化物を任意に組合わせたものであることが好適である。
このときは、セリアとの密着性が良好となり得る。また、触媒金属である貴金属粒子や遷移金属を活性化させる効果、担体の耐熱性を向上させる効果を発揮し得る。
更に、担体構成材料である上記酸化物は、セリア、貴金属粒子のいずれか一方又は双方を包接させることができる。
このときは、貴金属粒子の凝集がより抑制され、触媒製造時の分散状態をより長期間維持できる。
例えば、図2に示すように、繊維状の酸化物をセリア、貴金属粒子、遷移金属の周囲に配設して、これらを抱持させることができる。
このように、本排気ガス浄化触媒は、セリア中に貴金属粒子の一部が埋没された状態で担持されることによって、加熱後であっても貴金属粒子の凝集を抑えることができる。これにより、触媒製造時の分散状態が維持され、耐熱性に優れた触媒を得ることが可能となる。
具体的には、900℃の排気ガスに3時間接触させた後に、上記貴金属粒子の初期及び耐久後の粒径比を、3〜7:10〜18の範囲内に抑えることができる。
次に、上記排気ガス浄化触媒の製造方法について詳細に説明する。
この製造方法は、上述した排気ガス浄化触媒を得るものであるが、大別するとコロイド法と逆ミセル法の2種がある。
(コロイド法)
本製造方法は、貴金属粒子の周囲が有機分子に保護された状態で、溶媒中に分散した貴金属コロイドを、セリア前駆体に包接させ、触媒前駆体を形成する工程(包接工程)と、この触媒前駆体を酸化雰囲気で焼成する工程(焼成工程)と、を行うことを特徴とする。
このように、貴金属粒子のコロイドを作製し、この貴金属コロイドの周囲にセリアの前駆体であるセリウム水酸化物を形成させた後に、この触媒前駆体を酸化雰囲気で焼成することで、セリア内部に金属粒子を分散担持させることが可能となる。
また、貴金属コロイドの周囲にセリア前駆体を形成するため、貴金属粒子の一部がセリアに埋没された状態となる。
この結果、貴金属粒子の固定化が可能となり、耐熱性が高い触媒が得られる。
ここで、上記有機分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミド、ポリアクリル酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸などの安定度の高い化合物、又はこれらの混合物を用いることができる。
また、上記溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、又はこれらの混合物を用いることができる。
これらの有機分子や分散溶媒を用いて触媒前駆体を形成した場合には、貴金属粒子の周囲に有機分子の保護層が配位されるので、貴金属粒子が溶媒中に均一に分散され得る。また、コロイド溶液の安定性、即ち、沈降分離抑制が可能となる。
このため、貴金属粒子が均一にセリア前駆体に取り込まれた状態で触媒前駆体が形成される。
更に、この触媒前駆体を酸化雰囲気で焼成することにより、セリア前駆体であるセリア水酸化物から水が蒸発し、焼成後に細孔が多く形成されるため、高比表面積のセリアが形成される。
そして、この触媒前駆体は、貴金属粒子が均一にセリア前駆体に取り込まれているため、焼成して作製された触媒は、貴金属粒子が内表面も含む全てのセリア表面に均一に担持された状態となる。
このように、貴金属コロイドの大きさがセリアの細孔より大きい場合であっても、細孔内部にまで貴金属粒子を含浸担持させることが可能となる。
また、このような担持方法を用いることにより、貴金属粒子の周囲にセリアの障壁が形成されるため、この障壁によるアンカー効果が得られ、貴金属粒子の凝集が抑制される。
更に、障壁をつくることで、貴金属粒子の一部がセリアに埋没する。
更にまた、この障壁の一部が遷移金属の複合化合物となるときは、貴金属による遷移金属の触媒活性化が生じ、結果として、触媒活性点の表面積がより向上し、耐久後も優れた触媒性能を示すようになる。
上述の効果を得るためには、貴金属コロイド溶液は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)又はロジウム(Rh)、及びこれらを任意に組合わせた貴金属と、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)又は亜鉛(Zn)、及びこれらを任意に組合わせた遷移金属との複合金属化合物をコロイド粒子として含むことが好適である。
この場合には、貴金属コロイドの核となる粒子を、貴金属及び遷移金属の複合体とすることで、遷移金属を含む複合化合物を貴金属の周囲に選択的に配置した触媒材料の調製が可能となる。
また、セリア前駆体は、硝酸塩や酢酸塩などの水溶性無機塩の形で、初めに貴金属と遷移金属の複合金属化合物のコロイド粒子を含有する水溶液に投入し、アンモニア水やテトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液などの塩基性沈殿剤を投入して水酸化物を形成しても良い。
更に、コロイド水溶液にアルコキシドを投入し、複合金属化合物のコロイド粒子の周囲に水酸化物を形成しても良い。
更にまた、貴金属コロイドを構成する有機分子のポリマー鎖は、例えば、イミノ(NH)基などを有し、コロイド溶液の液性が塩基性であれば、セリア前駆体を含有する水溶液に沈殿剤と貴金属コロイドの混合水溶液を投入することにより、貴金属コロイドをセリアに安定して担持させることが可能となる。
ここで、上記コロイド法の一例を、図3に示す概略的な工程フロー図にて説明する。また、図4に、排気ガス浄化触媒の製造過程の概略図を示す。
図3に示すように、まず、STEP1(以下「S1」のように示す)では、溶媒中に貴金属塩と有機分子を投入して攪拌し、混合溶液を調整する。
ここで、貴金属塩としては、ジニトロジアミン塩、トリアンミン塩、テトラアンミン塩、ヘキサアンミン塩などの貴金属錯体、硝酸塩、塩化物、硫酸塩などの無機塩が使用可能である。遷移金属塩は、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩などが使用可能である。
また、有機分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミド、ポリアクリル酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸などが使用可能である。
なお、これらは、二種以上の混合溶液として用いても良い。
ここでは、図4(a)に示すように、溶媒中には貴金属イオン10と、有機分子11が存在する。
次に、S2では、この混合溶液に還元剤を加えて貴金属イオン10を還元し、図4(b)に示すように、還元された貴金属粒子10aの周囲に有機分子11が配位した貴金属コロイド12の分散液とする。
ここで、還元剤としては、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、水素ガスなどが使用可能である。
また、S3では、包接工程として、この分散液にセリア前駆体であるセリア水和物を投入し、充分に攪拌した後、この溶液に沈殿剤水溶液をpH7.0になるまで滴下した後、得られた溶液を一晩熟成する。
図4(c)に示すように、貴金属コロイド12は、セリア前駆体である水酸化物13に取り込まれて、触媒前駆体14の沈殿物が得られる。また、貴金属コロイド12のうち一部12aは、セリア水酸化物13に一部が取り込まれた状態となる。その他の貴金属コロイド12bはセリア水酸化物13に完全に包接された状態である。
ここで、セリア前駆体は含水物であっても良い。また、沈殿剤水溶液としては、アンモニア水やTMAH水溶液などが使用可能である。
更に、S4では、得られた沈殿物をメンブランフィルタでろ過後、大量の水を用いて沈殿物を洗浄する。
そして、S5では、沈殿物を120℃にて一昼夜乾燥する。
S6では、焼成工程として、乾燥後の沈殿物を400℃で1時間、空気気流中で焼成し、図4(d)に示すような触媒15を得ることができる。
得られた触媒15は、貴金属コロイド12がセリア前駆体であるセリア水酸化物13に取り込まれた触媒前駆体14を焼成して得られるため、セリア水酸化物13から水が蒸発することにより脱水収縮する。
この際に、セリア17には細孔が多く形成されており、セリア水酸化物13に取り込まれた貴金属コロイド12は、セリア17の外表面及び細孔内部である内表面に埋没する貴金属粒子16となる。
このように、セリア17上で貴金属粒子16が均一に分散されて強固に固定され、また、セリア17が貴金属粒子16のアンカーとして作用することから、貴金属粒子16の凝集が抑えられ、触媒性能が向上する高比表面積で触媒活性の高い触媒15ができる。
また、上記包接工程(図3のS3、図4の(c))では、溶媒中に貴金属コロイドが分散しているコロイド溶液へ部分酸化剤を投入してもよい。
上記部分酸化剤とは、例えば、過酸化水素などの酸化性物質を含む水溶液などを示す。この部分酸化剤は、一旦還元剤により還元メタル化した貴金属粒子、又は貴金属と遷移金属の複合化合物の表面を部分的に酸化する。この酸化により、貴金属粒子又は複合化合物は、セリア前駆体であるセリア水和物との親和性が高くなり、セリアに担持する貴金属粒子又は複合化合物の固定化が促進される。そして、貴金属粒子や複合化合物の露出率を制御できる。
この効果は、貴金属単独の場合に特に有効である。貴金属は遷移金属と比べて比較的安定であるため、部分酸化を行わない場合にはセリアと充分な貴金属との親和力を制御できない。このため、貴金属の露出率の制御が難しい。しかし、コロイド溶液に部分酸化剤を投入し、貴金属の表面を所定の割合で部分酸化した場合には、貴金属の表面の部分的に酸化された箇所のセリア前駆体との親和性がより高くなり、焼成後の貴金属粒子の露出率が決まる。
このように、コロイド溶液に投入する部分酸化剤の量によって、触媒における貴金属粒子や複合化合物の露出率を制御することが可能となる。
更に、上記コロイド法の他の例を、図5に示す概略的な工程フロー図にて説明する。また、図6に、排気ガス浄化触媒の製造過程の概略図を示す。
図5に示す工程フロー図では、S2の後に部分酸化剤水溶液を投入した点以外は、図3の工程フロー図と同等の操作を行う。
まず、S1では、溶媒中に貴金属塩と有機分子を投入して攪拌し、混合溶液を調整する ここで、貴金属塩としては、ジニトロジアミン塩、トリアンミン塩、テトラアンミン塩、ヘキサアンミン塩などの貴金属錯体、硝酸塩、塩化物、硫酸塩などの無機塩が使用可能である。遷移金属塩は、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩などが使用可能である。
また、有機分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミド、ポリアクリル酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸などが使用可能である。
なお、これらは二種以上の混合溶液として用いても良い。また、ここでは、分散媒中には金属のイオンと、有機分子が存在する。
次に、S2では、この混合溶液に還元剤を加えて貴金属イオンを還元し、還元された貴金属粒子の周囲に有機分子が配位した貴金属コロイドの分散液とする。
ここで、還元剤としては、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、水素ガスなどが使用可能である。
また、S3では、この分散液に部分酸化剤水溶液を投入し、貴金属粒子を部分酸化する。このとき、部分酸化剤としては、過酸化水素などの金属粒子に酸素原子を与え得る性質を有する酸化剤であれば、いずれの化合物でも使用可能である。
セリア前駆体であるセリア水和物を投入し、充分に攪拌した後は、この溶液に沈殿剤水溶液をpH7.0になるまで滴下し、得られた溶液を一晩熟成する。
その後、貴金属コロイドがセリア前駆体である水酸化物に取り込まれた触媒前駆体の沈殿物が得られる。このとき、貴金属コロイドの一部は、セリア水酸化物に取り込まれた状態であり、他は水酸化物に完全に包接された状態である。
ここで、セリア前駆体は含水物であっても良い。また、沈殿剤水溶液としては、アンモニア水やTMAH水溶液などが使用可能である。
更に、S4では、得られた沈殿物をメンブランフィルタでろ過後、大量の水を用いて沈殿物を洗浄する。
S5では、沈殿物を120℃にて一昼夜乾燥する。
S6では、乾燥後の沈殿物を400℃で1時間、空気気流中で焼成し、触媒を得ることができる。
得られた触媒は、貴金属コロイドがセリア前駆体であるセリア水酸化物に取り込まれた触媒前駆体を焼成して得られるため、セリア水酸化物から水が蒸発することにより脱水収縮する。
この際に、セリアには細孔が多く形成されており、セリア水酸化物に取り込まれた貴金属コロイドは、セリアの外表面及び細孔内部である内表面に埋没する貴金属粒子となる。
このように、セリア上で貴金属粒子が均一に分散されて強固に固定され、また、セリアが貴金属粒子のアンカーとして作用することから、貴金属粒子の凝集が抑えられ、触媒性能が向上する高比表面積で触媒活性の高い触媒ができる。
また、図6に示すように、部分酸化剤により貴金属粒子の露出率を制御することができる。
図6(a)は、部分酸化剤の量を少なくして製造した触媒20の部分断面図である。この触媒20では、貴金属粒子21の一部がセリア22中に埋没された状態でセリア22表面に担持されている。
ここでは、部分酸化剤の量が少ないため、貴金属粒子21の露出率は高く、周囲を囲んでいるセリア22の量も少ない。
図6(b)は、部分酸化剤の量を触媒20より多くして製造した触媒30の部分断面図である。この触媒30では、貴金属粒子31がセリア32中に50%程度埋没された状態でセリア32表面に担持されている。
図6(c)は、更に部分酸化剤の量を触媒30より多くして製造した触媒40の部分断面図である。この触媒40では、貴金属粒子41の大半がセリア42中に埋没された状態でセリア42表面に担持されている。
ここでは、部分酸化剤の量が多いため、貴金属粒子41の露出率は低く、金属粒子73の周囲を囲んでいるセリア42の量が多い。
図6(a)〜(c)に示すように、部分酸化剤の量によって、貴金属粒子のセリアとの親和力制御できるため、セリアに担持された貴金属粒子の露出率を制御することができる。
(逆ミセル法)
本製造方法は、貴金属粒子又は貴金属粒子と遷移金属との複合メタル粒を、液滴の粒径が20nm以下である逆ミセル内に析出させた後に、該逆ミセル内に部分酸化剤を添加する工程と、逆ミセル内で、貴金属粒子又は貴金属粒子と遷移金属との複合メタル粒を、セリア前駆体に包接させる工程と、を行うことを特徴とする。
このような製造方法で触媒を調整した場合には、逆ミセル内で貴金属粒子又は貴金属粒子と遷移金属との複合メタル粒を部分的に酸化させることにより、貴金属粒子又は貴金属粒子と遷移金属との複合メタル粒とセリア前駆体との親和性を高めることが可能となる。
また、上記コロイド法と同様に、部分酸化剤を用いることにより、貴金属粒子又は貴金属粒子と遷移金属との複合メタル粒の露出率を制御することが可能となる。
ここで、逆ミセル法の一例を、図7に示す概略的な工程フロー図にて説明する。また、図8に、排気ガス浄化触媒の製造過程の概略図を示す。
図7に示すように、まず、STEP1(以下「S1」のように示す)では、有機溶媒中に界面活性剤を溶解させた混合溶液を調製する。
ここでは、有機溶媒としては、シクロヘキサン、シクロヘプタン、オクタノール、イソオクタン、n−ヘキサン、n−デカン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが使用可能である。
また、界面活性剤としては、ポリエチレングリコール(5)モノ−4−ノニルフェニルエーテル、ペンタエチレングリコールドデシルエーテルなどが使用可能である。
なお、これらは二種以上を混合して用いても良い。
次いで、S2では、この混合溶液に、貴金属の塩及び遷移金属の塩の混合水溶液を投入して2時間攪拌する。
このときは、図8(a)に示すように、微細な逆ミセル50が形成される。逆ミセル50は、直径十数nm程度の球状液滴の周囲に界面活性剤51が内側に親水基外側に疎水基が向くように配列し、逆ミセル50内部の水相には貴金属の塩及び遷移金属の塩を含む水溶液52が含有される。
ここで、貴金属の塩及び遷移金属の塩としては、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、アミン化合物、カルボニル化合物、金属アルコキシドなどを使用することが可能である。
なお、これらは二種以上の混合溶液として用いてもよい。
また、S3では、逆ミセル50を含む有機溶媒の混合溶液に、貴金属及び遷移金属の還元剤を投入して2時間攪拌する。
このときは、図8(b)に示すように、貴金属の塩及び遷移金属の塩を逆ミセル50内部で同時に還元してメタル化させる。
ここで、還元剤としては、例えば、アンモニア、テトラメチルアンモニウム、アルカリ金属水酸塩(水酸化ナトリウムなど)、ヒドラジン、ホウ素化水素ナトリウムなどが使用可能である。
その後、S4では、逆ミセルを含む有機溶媒の混合溶液中に部分酸化剤水溶液を投入し、逆ミセル中で貴金属及び遷移金属の複合メタル粒の一部を酸化する(図8(c))。
ここで、部分酸化剤水溶液としては、上述のように、過酸化水素などの金属粒子に酸素原子を与え得る性質を有する酸化剤であれば、いずれの化合物でも使用可能である。
また、S5では、セリウム水溶液を混合して2時間攪拌し、一部酸化した貴金属53と遷移金属54の複合メタル粒を含有している逆ミセル50内にセリウム塩及び水を含有させる。
ここで、セリウム塩としては、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、アミン化合物などが使用可能である。
更に、S6では、逆ミセルを含む有機溶媒の混合溶液中に沈殿剤水溶液を混合し、逆ミセル50内部のセリウム塩を析出させる。
このときは、図8(d)に示すように、逆ミセル50内部のセリウム塩がメタル化してセリウム55として析出させ、貴金属53及び遷移金属54の複合メタル粒をセリウム55で包接する。
ここで、沈殿剤としては、ヒドラジン、ホウ素化水素ナトリウム、アンモニアなどを使用することができる。
なお、これらは二種以上の混合溶液として用いてもよい。
そして、S7では、この逆ミセルを含む有機溶媒の混合溶液中にアルコールを添加して2時間攪拌し、逆ミセルを崩壊させる。
このときは、図8(e)に示すように、逆ミセルの崩壊により、貴金属53及び遷移金属54の複合メタル粒をセリウム55で包接した沈殿物が得られる。
ここで、アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノールなどを使用することが可能である。
次に、S8では、得られた沈殿物をメンブランフィルタでろ過後、アルコール及び水を用いて洗浄し、沈殿物に含まれる不純物(例えば界面活性剤など)を除去する。
また、S9では、沈殿物を120℃にて一昼夜乾燥する。
S10では、乾燥後に、400℃で1時間、空気気流中で沈殿物を焼成し、図8(f)に示すような触媒56を得ることができる。
この触媒56では、貴金属と遷移金属の一部58がセリア57表面に埋没された状態で担持される。
上述した逆ミセル法では、貴金属は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)又はロジウム(Rh)、及びこれらを任意に組合わせたものを使用するのが好適である。
また、遷移金属は、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)又は亜鉛(Zn)、及びこれらを任意に組合わせたものを使用するのが好適である。
更に、セリア前駆体は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)又はランタン(La)、及びこれらを任意に組合わせたものを有する化合物を使用するのが好適である。
このように、逆ミセル法を用いた排気ガス浄化触媒の製造方法においても、貴金属粒子の周囲にセリア前駆体が形成されるため、貴金属粒子の一部がセリアに埋没された状態となる。
このため、貴金属粒子の固定化が可能となり、耐熱性が高い触媒が得られる。
なお、この排気ガス浄化触媒の製造方法においては、原料の種類や使用条件などによって得られる触媒の触媒活性が異なるため、使用する元素、還元剤や析出剤の種類、反応温度、反応時間、攪拌強度及び攪拌方法などを適宜変更して、所望の排気ガス浄化触媒を得ることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[ナノサイズ貴金属触媒]
(1)Pd/CeO/アルミナ粉末の調製
まず、水:エタノール=1:1の混合分散溶液中に、ポリビニルピロリドン55mmol、硝酸Pd2.8mmolを投入し攪拌した。
次に、この溶液にヒドラジンを加えてPdを還元し、平均粒子径3nmのPdコロイド水溶液を得た。
硝酸Ce水溶液に、アンモニア水溶液を滴下し、充分に攪拌した後、水酸化Ce懸濁液を得た。
この懸濁液を濾過して得られた水酸化Ceケーキに、上述の如く得られたPdコロイド水溶液を混合し、更に2−メチル−2,4−ペンタンジオールに溶解したイソプロポキシドAlと水を混合し、乾燥焼成してPd/CeO/アルミナ粉末を得た。
得られたPd/CeO/アルミナのPd担持濃度は0.35%であった。また、Pd平均粒径は3nmであった。
(2)Pt/CeO/アルミナ粉末の調製
Pdの場合と同様の操作を行い、平均粒子径3nmのPtコロイド水溶液を得、Pt/CeO/アルミナ粉末を得た。
(3)Rh/アルミナ粉末の調製
上記同様の操作を行い、平均粒子径が5nmのRhコロイド水溶液を得た。このコロイド水溶液に、2−メチル−2,4−ペンタンジオールに溶解したイソプロポキシドAlと水を混合し、乾燥焼成してRh/アルミナ粉末を得た。
(4)触媒調製
上述の如くして得られた各粉末と水と硝酸を磁性ボールミルに投入し、混合粉砕してスラリーを得た。このスラリーを体積40ccのセラミックス製ハニカム担体に塗布し、ナノサイズ貴金属触媒を得た。なお、コート量は400g/Lとした。
[HC吸着材]
β型ゼオライトとシリカゾルを混合粉砕し、得られたスラリーを上記とは別の体積40ccのセラミックス製ハニカム担体に塗布し、HC吸着体を得た。なお、コート量は400g/Lとした。
[排気ガス浄化システム]
上述の如くして得られたHC吸着体を排気ガス流路の上流側に、ナノサイズ貴金属触媒をその下流側に配置し、本例の排気ガス浄化システムを作成した。
なお、貴金属など各成分の量は、ハニカム担体(合計80cc)当たり、Ptが0.35g、Pdが0.94g、Rhが0.12g、CeOが1.6g、アルミナが13.0g、ゼオライトが16.0gである。
(実施例2)
Pd/CeO/アルミナ粉末の調製時に硝酸Ce水溶液に硝酸Mnを加え、Pt/CeO/アルミナ粉末の調製時に硝酸Ce水溶液に硝酸Mnを加えた以外は、実施例1と同様の操作を繰返し、ナノサイズ貴金属触媒及びHC吸着体を得、排気ガス浄化システムを作成した。
なお、Pd/Mn/CeO/アルミナ粉末のPd担持濃度は0.35%で、Pd平均粒径は3nmであった。また、Pt/Mn/CeO/アルミナ粉末のPt担持濃度は0.35%で、Pt平均粒径は3nmであった。
貴金属など各成分の量(ハニカム担体(合計80cc)当たり)は、MnO2が0.8gである以外、実施例1と同じである。
(比較例1)
(1)Pd/CeO/アルミナ粉末の調製
硝酸Ce水溶液をアルミナ粉末に含浸担持し、乾燥焼成してCe/アルミナ粉末を得た。硝酸Pd水溶液をこれに含浸し、乾燥焼成してPd/CeO/アルミナ粉末を得た。
(2)Pt/CeO/アルミナ粉末の調製
ジニトロジアンミンPt水溶液を用いる以外は上記同様の操作を行い、Pt/CeO/アルミナ粉末を得た。
(3)Rh/アルミナ粉末の調製
硝酸Rh水溶液をアルミナに含浸し、乾燥焼成してRh/アルミナ粉末を得た。
(触媒調製)
β型ゼオライトとシリカゾルを混合粉砕し、得られたスラリーを体積80ccのセラミックス製ハニカム担体に塗布し、HC吸着材層を形成した。
上述の如くして得られた各粉末と水と硝酸を磁性ボールミルに投入し、混合粉砕してスラリーを得た。このスラリーを上述のHC吸着材層付きハニカム担体に塗布し、本例の排気ガス浄化触媒を得た。この排気ガス浄化触媒を排気ガス流路に設置し、本例の排気ガス浄化システムとした。
(比較例2)
排気ガス流路の上流側には実施例1と同様のHC吸着体を配置し、その下流側には、比較例1で得られた各粉末を用いて作成した排気ガス浄化触媒を配置し、本例の排気ガス浄化システムを作成した。
<性能評価>
(1)耐久試験
上記各例で得た粉末と活性炭を重量比で10/1となるように混合し、空気中900℃で3時間焼成した。
このとき、示差熱−熱重量測定(TG−DTA)にて活性炭の燃焼開始温度を測定した。
(2)Pt粒子及びCeOの粒径測定
TEM(透過型電子顕微鏡)にてPt粒子とCeOの粒径を観察した。
(3)Pt粒子とCeOの密着性
TEMにて観察したPt粒子にEDX分析を行い、Pt近傍にCeが存在するかどうかから求めた。
(4)露出率の測定
露出率を求めるため、単位CO吸着量を測定した。単位CO吸着量の測定には、日本ベル株式会社製 金属分散度測定装置BEL−METAL−3を用い、以下の手順に従った測定した。試料は、He100vol%ガス気流中にて、10℃/minで400℃まで昇温し、次に、400℃、O100vol%ガス気流中にて、15分間酸化処理を行った。
そして、He100vol%ガスにて5分間パージし、400℃、H40vol%/Heバランスガス気流中にて15分間還元処理を行った。
次に、He100vol%ガス気流中にて50℃まで降温した。そして、CO10vol%/Heバランスガスをパルス的に流入させて求めた。
以上の性能評価(1)〜(4)の結果を表1に示す。
Figure 2007000835
(5)HC浄化性能
上記各例の排気ガス浄化システムを、700℃で30時間台上耐久し、下記条件下で、モデルガス評価装置を用いHC吸着させ、その後の脱離浄化性能を測定し、得られた結果を表2に示す。
[評価条件]
(1)HC吸着
炭素量が4000volppmに相当するC、HOが10vol%、残部がNのモデルガスを120℃、20L/minで600sec流し、HCを吸着させた。
(2)脱離HC浄化
が0.5vol%、残部Nのガスを流通しながら120℃から450℃まで昇温し、吸着したHCを脱離・浄化した。
(3)脱離HC浄化率の算出式
[(A−D)/A]×100(%)
但し、AはHC吸着したHC量、Dは脱離HC浄化における触媒出口HC量である。
Figure 2007000835
表2から、実施例1の浄化システムは、比較例1の浄化システムに比し、初期貴金属粒径が好適化され耐久性が向上し、低温活性にも優れることが分かる。
また、HCトラップと排気ガス触媒とをタンデム配置したので、ゼオライトと貴金属成分との複合体形成が回避されており、耐久性が向上している。
実施例1の浄化システムと比較例2の浄化システムは双方ともタンデム配置をとっているが、比較例2のシステムは実施例1のシステムに比し耐久後の低温活性に劣る。
また、実施例1のシステムと実施例2のシステムとの対比から、Mnを添加すると良好な効果が得られることが分かる。なお、Fe、Ni、Coも酸素を低温で吸放出する機能を有し、Mnと同様の効果が期待できる。
以上、本発明を好適実施例により詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形が可能である。
例えば、Pt/CeO粉末は、Al粉末に担持せずに、耐熱性材料から成るハニカム状のモノリス担体、メタル担体などに担持することができる。また、チェッカードハニカム担体を使用することもできる。
かかるハニカム状担体としては、一般にセラミックス等のコーディエライト質のものが多く用いられるが、フェライト系ステンレス等の金属材料から成るハニカム状担体を用いることも可能である。
また、Pt/CeO/Al粉末自体をハニカム状に成形することもできる。
(a)従来の触媒、(b)本発明で用いる触媒を示す概略図である。 排気ガス浄化触媒の一例を示す概略図である。 排気ガス浄化触媒の製造方法の一例を示す工程フロー図である。 (a)混合溶液、(b)貴金属コロイド、(c)触媒前駆体、(d)触媒を示す概略図である。 排気ガス浄化触媒の製造方法の他の例を示す工程フロー図である。 部分酸化剤の添加量を(a)〜(c)の順に増加させたときの担持状態を示す概略断面図である。 排気ガス浄化触媒の製造方法の更に他の例を示す工程フロー図である。 (a)逆ミセル、(b)逆ミセル内の貴金属と遷移金属が析出した状態、(c)逆ミセル内に担体前駆体の塩及び水が含有された状態、(d)逆ミセル内で担体前駆体が析出した状態、(e)逆ミセルを崩壊して得られた沈殿物、(f)触媒を示す概略図である。
符号の説明
1 PM粒子(100nm程度)
2 貴金属
3 セリア
4 遷移金属
5 酸化物
10 貴金属イオン
11 有機分子
12 貴金属コロイド
13 セリア水酸化物
14 触媒前駆体
15 触媒
16 貴金属粒子
17 セリア
20,30,40 触媒
21,31,41 貴金属粒子
22,32,42 セリア
50 逆ミセル
51 界面活性剤
52 貴金属の塩及び遷移金属の塩を含む水溶液
53 貴金属
54 遷移金属
55 セリウム
56 触媒
57 セリア
58 遷移金属の複合粒

Claims (9)

  1. 内燃機関の排気ガス流路の上流側にゼオライトを含有するHC吸着材を配置し、その下流側に排気ガス浄化触媒を配置して成る排気ガス浄化システムにおいて、
    上記排気ガス浄化触媒が、セリアにナノサイズの貴金属粒子を担持させて成り、上記貴金属粒子の一部がセリア中に埋没し、且つアルミナ、ジルコニア、シリカ及びチタニアから成る群より選ばれた少なくとも1種の酸化物に包接されていることを特徴とする排気ガス浄化システム。
  2. 上記セリアと上記貴金属粒子の粒径比が20:1〜3:1であることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
  3. 上記貴金属粒子において、次式(1)
    露出率(%)=0.895×(A×B×C×D)/(E×F)×100…(1)
    (式中のAはCO吸着量[cc/g]、Bは担持貴金属断面積[nm]、Cは担持貴金属密度[g/cc]、DはTEM粒子半径[nm]、Eは化学量論比、Fは担持濃度[%/g]、を示す)
    で表される露出率が、50〜85%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化システム。
  4. 上記セリアの粒径が、10〜50nmであるであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
  5. 上記貴金属粒子の粒径が、3〜10nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
  6. 上記貴金属粒子の担持量が、触媒1L当たり0.72g以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
  7. 上記貴金属粒子が、白金、パラジウム及びロジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
  8. セリア及び/又は貴金属粒子が、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から成る群より選ばれた少なくとも1種の遷移金属と接触していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
  9. 900℃の排気ガスに3時間接触させたときの、上記貴金属粒子の初期及び耐久後の粒径比が、3〜7:10〜18であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載排気ガス浄化システム。
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