JP2007000041A - 鮮度保持方法、鮮度保持装置、鮮度保持剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】生鮮食品、生花等の鮮度を良好に保つことのできる鮮度保持方法および鮮度保持装置の提供。
【解決手段】空気中で針状電極33と平板電極32との間に直流電源31で高電圧(5、10、12kV)を付与して静電放電をさせ、窒素酸化物を発生させ、貯蔵庫に導入して、貯蔵庫内の生鮮物の鮮度保持を行う。また、前記電場中に超純水を配置し水中にNO3?N、NO2--N、NH4+-N等の窒素化合物を水に溶存せしめ、生鮮物の鮮度保持剤とする。生鮮物に鮮度保持剤を付着、散布、噴霧して生鮮剤の鮮度を保持する。
【選択図】図3
【解決手段】空気中で針状電極33と平板電極32との間に直流電源31で高電圧(5、10、12kV)を付与して静電放電をさせ、窒素酸化物を発生させ、貯蔵庫に導入して、貯蔵庫内の生鮮物の鮮度保持を行う。また、前記電場中に超純水を配置し水中にNO3?N、NO2--N、NH4+-N等の窒素化合物を水に溶存せしめ、生鮮物の鮮度保持剤とする。生鮮物に鮮度保持剤を付着、散布、噴霧して生鮮剤の鮮度を保持する。
【選択図】図3
Description
本発明は、鮮度保持方法、鮮度保持装置、鮮度保持剤に係り、特に野菜、果物、生花などの鮮度を保持することができる鮮度保持方法、鮮度保持装置、鮮度保持剤に関する。
青果等の鮮度を保って保存するため、さまざまな技術が提案されている。特許文献1には、野菜や果実並びに生魚や肉等の生鮮食品を収納する収納庫の内部に、生鮮食品の鮮度保持とこの生鮮食品に付着している雑菌を殺菌するためのオゾン発生器を設け、このオゾン発生器は筒状電極とこの筒状電極の一方の開口部付近の外側に配置された針状電極とによって形成され、前記筒状電極と針状電極との間に高電圧を印加することで、この筒状電極内が帯電してクーロン力とコロナ放電による放電エネルギーとによって発生するイオン及びオゾンを含む風を前記筒状電極の他方の開口部から吹き出すように形成したものが記載されている。
また、鮮度保持に関して放電を行う技術として、電場放電で農産物の乾燥を促進する浅川効果が知られている。また静電場処理は放電による方法ではなく、正電場をなす空間中に農産物を保存することにより鮮度保持がなされることも報告されている(非特許文献1、非特許文献2)。
また電場に関しては近年多くの研究がなされ、吸水促進効果(非特許文献3)、凍結食肉の解凍時間の短縮効果(非特許文献4)が報告されている。
特開2000−175667号公報
Y.Asakawa、 Promotion and retardation 9f heat t r a n s fe r by electric fields、 nature、 2JLL. May 20、 PP220-221 (1976)
浅川勇吉、食品類を保存する省エネ技術、科学朝日、July 、 78- 81 (1984)
池田善郎、加藤宏郎、川端至徳、農産物中の水分及び水の電場・磁場内における蒸発速度,農業機械学会関西支部報、72,147-148、(1992)
植村寿一、宇田川武昭、田原欽也、宮原晃義、凍結食肉の電極間放電解凍に関する研究、日本食品科学工学会第51階大会講演要旨集,p82,岩手(2004)
上述のように生鮮食品等の鮮度保持に関してさまざまな工夫がなされているが、さらに鮮度保持を図る技術が求められている。
本発明は、生鮮食品、生花などの生鮮物の鮮度を良好に保つことができる鮮度保持方法及び鮮度保持装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、生鮮物の保管雰囲気中に空気または窒素ガスの静電放電処理により生成した窒素化合物を存在させることを特徴とする鮮度保持方法である。
請求項2の発明は、請求項1の鮮度保持方法において、窒素化合物は窒素酸化物であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2の鮮度保持方法において、生鮮物を収納庫に配置し、収納庫内で空気の静電放電処理を行うことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの鮮度保持方法において、生鮮物を収納庫に配置し、収納庫に流入する空気または窒素ガスに静電放電処理を行うことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1の鮮度保持方法において、生鮮物を保管袋に配置し、保管袋に放電処理した空気を充填することを特徴とする。
請求項6の発明は、生鮮物に空気または窒素ガスを静電放電処理して生成した窒素化合物を溶解した水を付着させることを特徴とする鮮度保持方法である。
請求項7の発明は、請求項6の鮮度保持方法において、窒素化合物は、窒素酸化物であることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6または7の鮮度保持方法において、生鮮物に窒素化合物を溶解した水を噴射、吹付け、滴下し、あるいは生鮮物を窒素酸化物を溶解した水に浸漬することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項6または7の鮮度保持方法において、生鮮物を窒素化合物を溶解した水で洗浄することを特徴とする。
請求項10の発明は、生鮮物の収納庫あるいは保管袋内に窒素化合物を溶解した水を配置する鮮度保持方法である。
請求項11の発明は、請求項1ないし8のいずれかの鮮度保持方法において、生鮮物は、野菜、果物を含む食品、生花であることを特徴とする。
請求項12の発明は、空気または窒素ガスを静電放電処理し、窒素化合物を生成することを特徴とする鮮度保持装置である。
請求項13の発明は、請求項10の鮮度保持装置において、針状電極と平板電極とを備えることを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項12または13の鮮度保持装置において、生鮮物の収納庫内に配置されることを特徴とする。
請求項15の発明は、請求項12または13の鮮度保持装置において、生鮮物の収納庫へ流入する空気流路に配置されることを特徴とする。
請求項16の発明は、空気または窒素ガスを静電放電処理して窒素化合物を発生する静電放電装置と、水に前記窒素酸化物を溶解する溶解手段とを備えたことを特徴とする鮮度保持装置である。
請求項17の発明は、請求項16の鮮度保持装置において、窒素化合物は窒素酸化物であることを特徴とする。
請求項18の発明は、請求項16または17の鮮度保持装置において、窒素化合物を溶解した水を生鮮物に付着させる付着手段を備えたことを特徴とする。
請求項19の発明は、鮮度保持剤において、水に窒素化合物を溶解した構成した。
請求項20の発明は、請求項19の鮮度保持剤において、窒素化合物は窒素酸化物であることを特徴とする。
請求項21の発明は、請求項19または20の鮮度保持剤において、窒素化合物は空気または窒素ガスを静電放電処理して製造したことを特徴とする。
本発明に係る鮮度保持方法及び鮮度保持装置によれば、空気中に含有された窒素酸化物は葉の気孔から吸収され、葉細胞内で還元され、アンモニアとなり、さらに有機化されて、アミノ酸やタンパク質などに変換される。また、水に溶けた二酸化窒素は、硝酸イオンや亜硝酸イオンなどになり、植物の葉細胞内に吸収されて、根から吸収された肥料中の硝酸イオンと同じように代謝(還元同化)され、還元/アミノ有機化されてアミノ酸などの構成成分になる。このようにして、生鮮物は窒素酸化物を窒素肥料として利用してその鮮度を保つことできる。
以下本発明を実施するための最良の形態を説明する。第1の例は、図1に示すように、保管庫10に鮮度保持装置11を配置し、鮮度保持装置11には平板電極装置12と、ファン13を配置したものである。平板電極装置12は平板電極または網目状電極と多針状電極との間に高圧直流電圧を印加するものである。本例に平板電極装置12は空気中の窒素を酸化して微量の窒素酸化物を発生する。発生した窒素酸化物は、図1の矢印に示すように保管庫10中を循環して、生鮮物に接触して生鮮物の鮮度を保つことができる。なお、保管庫としては冷蔵庫、冷蔵保管庫の他通常の保管庫に使用することができる。また、保管庫内の空気を循環させる他、生鮮物に吹付けるファンを設けることも有効である。また、平板電極装置12に純窒素、純酸素の少なくとも一方を導入し、窒素酸化物を生成することができる。
第2の例は、保管庫20に空気を吸気する配管内に鮮度保持装置21として、静電放電装置22、ファン23を配置し、窒素酸化物を含有した空気を保管庫20内に導入するものである。本例では静電放電装置22により外気から酸化窒素が混在した空気が作成され保管庫に供給される。また、保管庫20には排気ファン24を設けることができる。本例によれば、発生した窒素酸化物は、図2の矢印に示すように保管庫10中を循環して、生鮮物に接触して生鮮物の鮮度を保つことができる。なお、保管庫としては冷蔵庫、冷蔵保管庫の他通常の保管庫に使用することができる。また、保管庫内の空気を循環させる他、生鮮物に吹付けるファンを設けることも有効である。また、静電放電装置22に純窒素、純酸素の少なくとも一方を導入し、窒素酸化物を生成することができる。
第3の例は、空気中の窒素あるいは供給された窒素ガスを平板電極装置で処理し、生成された酸化窒素を水に溶解した鮮度保持剤を生鮮物に噴射、吹付け、散布するものである。鮮度保持剤は、原理的には以下のようにして生成できる。すなわち図3に示すように、直流電源31の負極側に接地した平板電極32を配置し、直流電源31の正極側に針状電極33を配置する。そして平板電極32上に精製水40Aを収納した広口のガラス容器40を配置し、平板電極32の先端位置を水面から適宜(例えば10mm)離間するよう配置し、両電極間に高圧電圧(数kV〜十数kV:例えば5kV〜15kV)を数分〜数十分印加する。これにより、容器内の精製水には、NO2 −、NO3 −、NH4 +−Nが溶融し、これを鮮度保持剤として生鮮物に噴射、吹付け、散布し、またはこの鮮度保持剤で生鮮物を洗浄するものである。
なお、上記例では、鮮度保持剤は単純な装置で製造することとしているが、連続して供給される水を放電処理して鮮度保持剤を製造することができるほか、他所で製造した鮮度保持剤を生鮮物に付着させることができる。
第4の例は、静電放電処理装置中に水を霧状に散布し、この霧状の水に窒素化合物を溶解させる鮮度保持剤とするものである。すなわち図4(A)に示すように、加湿器41により霧状の水滴45を噴霧落下させ、この水滴の落下経路中に複数の多針状電極42と網状平面基盤43で構成した静電放電装置中を配置し、水滴46に静電放電処理を行いつつ通過させるものである。網状平面電極43、多針状電極42は図4(B)に示すように金属線を網状に編んで形成したものであり、水滴を通過させることができる。本例では、通過した水滴47には上述したNO2−、NO3−、NH4+−Nが溶解され鮮度保持剤となり、対象物44(野菜など)に散布される。なお、生成した霧状の鮮度保持剤を他所に移送して対象物に散布することもできる。
上記各例は、地上に設置された冷蔵庫、保管庫に適用できるほか、船舶車両等に設置される冷蔵庫保管庫に適用できる。また、保管庫のほか野菜、果物、生花の出荷場、選果場で使用することができる。
以下本発明に係る鮮度保持剤の生成について説明する。水は溶存する物質により多種に分類される。日本薬局方によると精製水、滅菌精製水及び注射用水などがあり、注射用水には加熱した蒸留水を用いている、この注射用水の電気抵抗値は約1MΩ/cmであるのに対し、超純粋の比抵抗値は18MΩ/cm以上であり、水分子の純度は遥かに高いといわれている。
本例では、針状電極と平板電極との間に超純水を置き、電場を付与した際の超純水の蒸発量、pH及び窒素化合物の溶存量を測定した。その結果、超純水の蒸発量は電場電圧に比例して多くなった。また、超純水のpHは約1.5低下した。さらに、電場を付与した超純水には、NO3-、−Nなどの溶存が認められたので以下に説明する。
<実験材料及び方法>
1 実験材料
本例での試料は、TORAYPURRE new LV−10T(東レメディカル(株))で製造した超純水(本報では電気抵抗値18MΩ/cm)であり、測定は約23°Cの室温で行った
1 実験材料
本例での試料は、TORAYPURRE new LV−10T(東レメディカル(株))で製造した超純水(本報では電気抵抗値18MΩ/cm)であり、測定は約23°Cの室温で行った
2 電場装置と実験方法
1)電場装置
電場付与装置は、上述した図3のものであり、直流電源31としてKASUGA DENKI製の電圧出力装置を用い、正極として針状電極33、負極として接地された銅製の平板電極32(T:10mm、L:200mm、W:200mm)を使用した。試料容器ガラス製シャーレ(D:17mm、φ:95mm、以下シャーレ)に超純水を入れ、針状電極と水面との距離を10mm、電場の出力電圧は.5kV.10kV及び12kVに調節して実験を行った。
1)電場装置
電場付与装置は、上述した図3のものであり、直流電源31としてKASUGA DENKI製の電圧出力装置を用い、正極として針状電極33、負極として接地された銅製の平板電極32(T:10mm、L:200mm、W:200mm)を使用した。試料容器ガラス製シャーレ(D:17mm、φ:95mm、以下シャーレ)に超純水を入れ、針状電極と水面との距離を10mm、電場の出力電圧は.5kV.10kV及び12kVに調節して実験を行った。
2)蒸発量の測定
超純水20gをシャーレに入れ前述の電極間に設置した後、各電圧を付与し10分毎に重量を測定し、水の蒸発量を求めた。
超純水20gをシャーレに入れ前述の電極間に設置した後、各電圧を付与し10分毎に重量を測定し、水の蒸発量を求めた。
3)pHの測定
pH測定器具はHORIBA製 B−212 twin pH メーターを用いた。シャーレに超純水20gを入れ電場を付与し10分毎に60分まで測定した。
4)窒素ガス噴射による水分蒸発量及びpHの測定
窒素ガスは、一般工業用に使用されている47Lボンベより減圧レギュレーターで、1及び2L/min量を、内径φ1mmのノズルからシャーレ内の超純水20gに噴射し、10分毎に水の蒸発量とpHを別々に測定した。なお、ノズルと水面との距離は10mmとした。
pH測定器具はHORIBA製 B−212 twin pH メーターを用いた。シャーレに超純水20gを入れ電場を付与し10分毎に60分まで測定した。
4)窒素ガス噴射による水分蒸発量及びpHの測定
窒素ガスは、一般工業用に使用されている47Lボンベより減圧レギュレーターで、1及び2L/min量を、内径φ1mmのノズルからシャーレ内の超純水20gに噴射し、10分毎に水の蒸発量とpHを別々に測定した。なお、ノズルと水面との距離は10mmとした。
5)窒素酸化物の測定
窒素酸化物の測定は、シャーレに超純水50gを入れ60分間電場を付与したものを試料とした。対照区は、電場を付与せず60分間室温に放置した超純水を測定に供試した。測定機器はブラン・ルーベ社製、オートアナライザーAACSIII型を使用し、NO3−、−N、NO2--N及びNH4+-Nの測定を行った。
窒素酸化物の測定は、シャーレに超純水50gを入れ60分間電場を付与したものを試料とした。対照区は、電場を付与せず60分間室温に放置した超純水を測定に供試した。測定機器はブラン・ルーベ社製、オートアナライザーAACSIII型を使用し、NO3−、−N、NO2--N及びNH4+-Nの測定を行った。
<実験結果>
1.水の蒸発促進効果
1)電場付与による水の蒸発促進効果
超純水を用いて5〜12kVの電場を付与し、水の蒸発量を測定した結果を図5に示す。図に示すように水の蒸発量は時間経渦に伴ってほぼ直線的に増加し、電圧が高いほど単位時間当たりの蒸発量が多くなり、5、10及び12kVの60分後では水の蒸発量はそれぞれ1.3g、3.4g及び4.3gであった。また、電場付与60分後の水の蒸発量近似曲線を図6に示した。電圧(x)に対する60分間の蒸発量は増加し、電圧5〜12kVの値から、
y=0.437x−0.866(R=0.99)の直線関係が得られた。
1.水の蒸発促進効果
1)電場付与による水の蒸発促進効果
超純水を用いて5〜12kVの電場を付与し、水の蒸発量を測定した結果を図5に示す。図に示すように水の蒸発量は時間経渦に伴ってほぼ直線的に増加し、電圧が高いほど単位時間当たりの蒸発量が多くなり、5、10及び12kVの60分後では水の蒸発量はそれぞれ1.3g、3.4g及び4.3gであった。また、電場付与60分後の水の蒸発量近似曲線を図6に示した。電圧(x)に対する60分間の蒸発量は増加し、電圧5〜12kVの値から、
y=0.437x−0.866(R=0.99)の直線関係が得られた。
2)窒素ガス噴射による水の蒸発促進効果
水に電場を付与することで、水の蒸発が促進されたことは、電場のコロナ放電に基づ<イオン風による強制対流が主な要因であると考えられている。そこで窒素ガスによる強制対流においても水の蒸発促進効果があると推測して、窒素ガス噴射による強制対流の実験を行った。その結果を図7に示した。窒素ガスを噴射しなかった対照区でも0.006g/minの蒸発が認められた。さらに窒素ガスを1L及び2L/min噴射した水の蒸発量は、それぞれ0.032gと0.039g/minとなった。この値は電場を10kV付与した場合の水の蒸発意に換算すると、窒素ガスを約3L/min噴射した場合とほぼ同じ蒸発量になると考えられる。
水に電場を付与することで、水の蒸発が促進されたことは、電場のコロナ放電に基づ<イオン風による強制対流が主な要因であると考えられている。そこで窒素ガスによる強制対流においても水の蒸発促進効果があると推測して、窒素ガス噴射による強制対流の実験を行った。その結果を図7に示した。窒素ガスを噴射しなかった対照区でも0.006g/minの蒸発が認められた。さらに窒素ガスを1L及び2L/min噴射した水の蒸発量は、それぞれ0.032gと0.039g/minとなった。この値は電場を10kV付与した場合の水の蒸発意に換算すると、窒素ガスを約3L/min噴射した場合とほぼ同じ蒸発量になると考えられる。
2.pHの変化
電場を付与した水と窒素ガスを噴射した水のpHを測定し、その結果を図8に示した。5kVの電場付与と窒素ガスの噴射ではpHの変化はほとんどみられなかったが、電圧10kVで30分の電場付与では1.36、60分の電場付与で1.6のpH低下がみられ、電圧12kVでは30分の電場付与で1.38、60分の電場付与で1.53の低下が認められた。
電場を付与した水と窒素ガスを噴射した水のpHを測定し、その結果を図8に示した。5kVの電場付与と窒素ガスの噴射ではpHの変化はほとんどみられなかったが、電圧10kVで30分の電場付与では1.36、60分の電場付与で1.6のpH低下がみられ、電圧12kVでは30分の電場付与で1.38、60分の電場付与で1.53の低下が認められた。
水の蒸発量とpHとの関係を図9に示した。電場電圧5kVでは水の蒸発に伴いpHの低下はわずかであるのに対し、10kV、12kVでは水の蒸発と共にpHの低下が認められた。
電場付与による水のpH低下の原因について、コロナ放電により窒素酸化物が生成され、水に溶解したためと推測し、次の測定を行った。
3.窒素酸化物の定量
電場付与後の水に溶解した窒素化合物量の測定結果を図10に示した。NO3--Nの溶存量は電圧10kVで29.3μM、電圧12kVでは38.5μMとなり、12kVでは対照区の約70倍の溶存が認められた。NH4+−Nは対照区と5kVで大きな差はみられず.10kV及び12kVではそれぞれ16.9と18.8μMの溶存が認められ、対照区及び5kVの約57倍量となった。NO2--Nは0.2〜0.9μMであり、電場付与による溶解は微量であることが認められた。また、水中の窒素化合物の合計量を図11に示した、5〜12kVの電圧に正比例して窒素化合物は増加しy=7.8996x−34.705の関係式が得られた。これらは雷放電によるNOXの生成と同様、空気中放電により窒素酸化物が生成され、それが水に溶解したものと考えられる。
電場付与後の水に溶解した窒素化合物量の測定結果を図10に示した。NO3--Nの溶存量は電圧10kVで29.3μM、電圧12kVでは38.5μMとなり、12kVでは対照区の約70倍の溶存が認められた。NH4+−Nは対照区と5kVで大きな差はみられず.10kV及び12kVではそれぞれ16.9と18.8μMの溶存が認められ、対照区及び5kVの約57倍量となった。NO2--Nは0.2〜0.9μMであり、電場付与による溶解は微量であることが認められた。また、水中の窒素化合物の合計量を図11に示した、5〜12kVの電圧に正比例して窒素化合物は増加しy=7.8996x−34.705の関係式が得られた。これらは雷放電によるNOXの生成と同様、空気中放電により窒素酸化物が生成され、それが水に溶解したものと考えられる。
<考察>
以上の結果本例では、超純水を用いて電場付与と窒素ガス噴射による水の蒸発促進効果が認められた。これらの蒸発効果は、コロナ放電に伴うイオン風や窒素ガス噴射により、水面心近くで強制討流が発生したことによると考えられる。加藤によると、電場を付与した水では水面付近で針状電極から発生した空中放電によって電極付近の空気が電圧によって電離し、電子と正イオンが発生して導電性を帯びると考えられている。この電子と正イオンのうち電子は電子親和力の大きい酸素などに付着して負イオンを形成し正と負のイオンはそれぞれ電界によって反対極へと移動しイオンの流れを生じ強制対流が生じたと推測される。
以上の結果本例では、超純水を用いて電場付与と窒素ガス噴射による水の蒸発促進効果が認められた。これらの蒸発効果は、コロナ放電に伴うイオン風や窒素ガス噴射により、水面心近くで強制討流が発生したことによると考えられる。加藤によると、電場を付与した水では水面付近で針状電極から発生した空中放電によって電極付近の空気が電圧によって電離し、電子と正イオンが発生して導電性を帯びると考えられている。この電子と正イオンのうち電子は電子親和力の大きい酸素などに付着して負イオンを形成し正と負のイオンはそれぞれ電界によって反対極へと移動しイオンの流れを生じ強制対流が生じたと推測される。
また、電場付与による水のpH低下は、大気中の窒素が放電によって窒素酸化物を形成し、これが水に溶解した結果、水のpHが低下したと推測される.この現象については航空機を使い雷雪中の窒素酸化物を測定し、雷放電による窒素酸化物やオゾンの生成量を測定している報告からも推定できる
10:保管庫
11:鮮度保持装置
12:静電放電手段
13:ファン
20:保管庫
21:鮮度保持装置
22:静電放電装置
23:ファン
24:排気ファン
31:直流電源
32:平板電極
33:針状電極
40:ガラス容器
42:多針状電極
43:網状平面電極
44:対象物(野菜など)
45:加湿器より噴射された霧
46:放電処理が行われる霧
47:熔解した霧
11:鮮度保持装置
12:静電放電手段
13:ファン
20:保管庫
21:鮮度保持装置
22:静電放電装置
23:ファン
24:排気ファン
31:直流電源
32:平板電極
33:針状電極
40:ガラス容器
42:多針状電極
43:網状平面電極
44:対象物(野菜など)
45:加湿器より噴射された霧
46:放電処理が行われる霧
47:熔解した霧
Claims (21)
- 生鮮物の保管雰囲気中に空気または窒素ガスの静電放電処理により生成した窒素化合物を存在させることを特徴とする鮮度保持方法。
- 窒素化合物は窒素酸化物であることを特徴とする請求項1の鮮度保持方法。
- 生鮮物を収納庫に配置し、収納庫内で空気の静電放電処理を行うことを特徴とする請求項1または2の鮮度保持方法。
- 生鮮物を収納庫に配置し、収納庫に流入する空気または窒素ガスに静電放電処理を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの鮮度保持方法。
- 生鮮物を保管袋に配置し、保管袋に放電処理した空気を充填することを特徴とする請求項1の鮮度保持方法。
- 生鮮物に空気または窒素ガスを静電放電処理して生成した窒素化合物を溶解した水を付着させることを特徴とする鮮度保持方法。
- 窒素化合物は、窒素酸化物であることを特徴とする請求項6の鮮度保持方法
- 生鮮物に窒素化合物を溶解した水を噴射、吹付け、滴下し、あるいは生鮮物を窒素酸化物を溶解した水に浸漬することを特徴とする請求項6または7の鮮度保持方法。
- 生鮮物を窒素化合物を溶解した水で洗浄することを特徴とする請求項6または7の鮮度保持方法。
- 生鮮物の収納庫あるいは保管袋内に窒素化合物を溶解した水を配置することを特徴とする鮮度保持方法。
- 生鮮物は、野菜、果物を含む食品、生花であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの鮮度保持方法。
- 空気または窒素ガスを静電放電処理し、窒素化合物を生成することを特徴とする鮮度保持装置。
- 針状電極と平板電極とを備えることを特徴とする請求項10の鮮度保持装置。
- 生鮮物の収納庫内に配置されることを特徴とする請求項12または13の鮮度保持装置。
- 生鮮物の収納庫へ流入する空気流路に配置されることを特徴とする請求項12または13の鮮度保持装置。
- 空気または窒素ガスを静電放電処理して窒素化合物を発生する静電放電装置と、水に前記窒素酸化物を溶解する溶解手段とを備えたことを特徴とする鮮度保持装置。
- 窒素化合物は窒素酸化物であることを特徴とする請求項16の鮮度保持装置。
- 窒素化合物を溶解した水を生鮮物に付着させる付着手段を備えたことを特徴とする請求項16または17の鮮度保持装置。
- 水に窒素化合物を溶解した構成したことを特徴とする鮮度保持剤。
- 窒素化合物は窒素酸化物であることを特徴とする請求項19の鮮度保持剤。
- 窒素化合物は空気または窒素ガスを静電放電処理して製造したことを特徴とする請求項19または20の鮮度保持剤。
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