JP2006527528A - 音声チャネルを介してデータを伝送するための方法及び装置 - Google Patents

音声チャネルを介してデータを伝送するための方法及び装置 Download PDF

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Abstract

音声チャネル上でのデータ伝送を容易化するべく無線通信ユニット(200)の受信機及び送信機において動作可能な音声チャネルデータプロセッサ(207)及び対応する方法(600)は、所定のボコーダパラメータを有する送信音声フレームとしてデータトラフィックを符号化し、その送信音声フレームを音声トラフィックを有する送信音声フレームのストリーム中に挿入するためのエンコーダ(301)と、受信音声フレームのストリームを解析して各々の音声フレームのボコーダパラメータを取得し、各々の受信フレームのボコーダパラメータを所定のボコーダパラメータと比較して、比較結果が所望の結果のとき受信音声フレームをデータトラフィックとして処理するように転送し、そうでないときは受信音声フレームを音声トラフィックとして処理するように転送するためのデコーダ(303)とを備える。

Description

本発明は、概して通信システムに関し、特には音声チャネルを介してデータを伝送するための方法及び装置に関する。
通信システムは周知のように、時間経過とともにそれらのシステムの大部分とその構成装置がアナログからデジタルシステムへと進化してきた。デジタル通信システムにおいてデジタル形式の情報やトラフィックは、その情報やトラフィックの伝達や転送に利用される無線周波キャリアを変調するのに用いられる。音声、即ちアナログ情報は、その伝達に先立って、ボコーダ(VOCODER)を用いてデジタル形式に変換される及びデジタル形式から変換される。この手法を用いることにより、同じかそれよりも狭帯域幅で、なおかつ低コストで、より多くのユーザに、より良いサービスの提供が可能となる。
多くの現在展開されている又は既存の通信システムはその大部分が音声トラフィックに利用されており、現在展開され、かつ展開中の通信システムの多くは、音声トラフィック専用の対応する無線インタフェースや、別個のデータチャネルや、データトラフィック用に対応する無線インタフェースを使用して音声チャネルを利用している。幾つかの既存のユニット等の無線通信ユニットは一度に複数の音声チャネルのみをサポートするか、一つの音声チャネル又はデータチャネルのみをサポートする。
近年、音声チャネルや回線の維持と同時にデータ伝送時におけるデータ量を小さくすることが市場で求められている。
従って、明らかに好ましくは既存ユニットにも適用可能な、音声チャネルを介してデータを伝送する方法及び装置に対する要望がある。
概して、本発明は通信ユニットに寄与する通信システムに関し、詳しくは通信システム内で作動する通信ユニットを使用するユーザにとって有益な通信システムに関する。特には、音声チャネルが整備された無線通信ユニット間で音声チャネルを介してデータを伝送する方法及び装置に具体化して、様々な本発明の概念及び原理を説明する。通信システム及びそれに関する装置は、統合デジタル拡張ネットワーク(Integrated Digital Enhanced Networks)や、移動体通信用地球規模(GSM:Global System for Mobile communications)システムなどに現在展開され、かつ展開中である。これらの通信システムの発展は、音声トラフィックの伝送のための音声チャネルに依存しており、通信システムは、無線を介して伝達する音声トラフィックをコード変換するためにボコーダを使用する。
以下に述べる様々な発明の原理とそれらの組み合わせは、データを有する音声フレームを受信ユニットで識別可能にする形で、外観では音声トラフィックでの音声フレームのように見えるデータを音声フレームとして符号化するように、有利に使用することができる。これにより、既存のユニットや基幹設備に影響を及ぼすことなしに、音声チャネル内にデータを埋め込むことが可能となる。このことは、例えば、基幹設備の最新化の必要性や公知の手法と関連する既存の設備や装置の旧式化といった様々な問題を解決し、本発明の原理又はそれと同等な手法を用いることにより、既存のシステム上でデータ通信を容易に実現することができる。
以下の記述ではさらに、本発明に従って様々な実施形態を構築し利用するにあたっての最良の態様を効果的に説明する。本記述は、本発明の原理及び利点に関する理解及び正しい認識を高めるためになされるものであり、幾つかの手法に限定するものではない。本発明は、添付した特許請求の範囲によって専ら定義されるものであり、特許請求の範囲には、本出願が継続中の間になされた修正や、それに述べられていることと同程度の事項を全て含む。
第1の、第2の、上部の、下部の、などの関係語の使用は、単に、一の部材(動作)と他の部材(動作)とを区別したり、そのような部材間や動作間における関係性や順序を示したりするために必要に応じて使用するものであると理解される。
本発明の機能や本発明の原理の多くは、ソフトウェアプログラムやASICなどに代表される集積回路(ICs)によって実現される。本明細書中で記述される概念や原理によれば、当業者が上記のソフトウェアプログラムやICs等を作成することが最小限の試験で容易に可能となる。従って、簡潔化のため、及び本発明の原理や概念が不明瞭となる虞を最小限とするために、上記のソフトウェアやICsに関する説明は、好ましい実施形態における原理や概念に関する必須要素に限って行うものとする。
図1は通信システムの簡潔かつ代表的な図である。同図を参照して好ましい実施形態における通信環境について説明する。図1は、セルラ電話や加入者装置,メッセージング装置又は他の装置等の音声チャネルをサポートする無線通信システムでの動作用に設けられた通信ユニット、好ましくは無線通信ユニット101を示している。この通信ユニットは無線信号103を通じて基地局等を含む基幹設備105に接続される。基幹設備105はさらに、ネットワーク107に接続される。基幹設備、公衆交換電話網又はインターネットよりなるネットワーク107、及び、それらの間のインタフェースや相互作用については公知である。ネットワークは、IP(Internet Protocol)電話等の電話とも接続される。通信システム111は音声チャネルをサポートしており、無線信号113を通じて、基幹設備115、さらにはネットワーク107に接続される。通信ユニット101,111はさらに、無線信号117を通じて直接通信可能である。
通信ユニットと基幹設備は、可聴情報がボコーダにより生成される音声フレームを使用して一方から他方へ伝送されるといった点で、音声チャネルを通じた通信結合に適している。具体的には、公知のように音声はボコーダを通じて音声フレームよりなるストリームに変換され、この音声フレームのストリームは別のボコーダによって音声に変換される。これらの音声フレームはチャネル符号化形式のものであって、無線プロトコルを通じて伝送される。無線プロトコルは本開示に特に関連するものではない。この無線インタフェースプロトコルは、統合デジタル拡張ネットワークやGSMシステムやその他の無線インタフェース技術などで見られる時分割多重アクセス(Time Division Multiple Access)プロトコルのものである。
ネットワークを通じた無線通信ユニット101及び無線通信ユニット111間の通信ではコード変換(基幹設備105及び基幹設備115間を接続するための音声変換)を必要としない。これは、下記でも述べるように好ましい実施形態においては基幹設備の如何なる変更もなしに実施可能である。2つの通信ユニットの一方とIP電話109との間における通信では、コード変換、若しくは、あるコード形態(音声フレーム)からIPフレームやパケットといった別のコード形態への変換が必要となる。
図2は、通信ユニット200の簡潔かつ代表的なブロック図である。同図を参照して、セルラ電話などの、音声チャネルデータプロセッサを含む無線通信ユニットについて説明する。この通信ユニット200は、図1に示す通信ユニット101,111に適用される。この通信ユニットは、受信機203及び送信機205に接続される公知のアンテナ201を含む。受信機は一般的に知られているように無線環境で作動し、無線信号103,117や無線信号113,117を受信する機能を持つ。これらの無線信号には音声チャネル上のデータが含まれている。受信機はこの他にも一般的に知られている、例えば、周波数逓降機能や、同期化機能や、音声フレームや特に音声フレームのストリームを生成するための符号化機能等の無線インタフェース技術仕様に基づく様々な機能を有している。音声フレームや音声フレームのストリームは、受信機の一部や送信機の一部としてもみることができる以下に説明する音声チャネルデータプロセッサ207に入力される。送信機205は一般的に知られているように、音声チャネル上にデータを送信するために利用される。詳細には送信機205は、音声フレームのある部分を符号化データにする音声チャネルデータプロセッサからの音声フレームを処理して、前進型誤信号訂正やアクセス及びシステム固有の処理を加え、結果的に生成された信号を無線信号の形態に変換して該無線信号をアップリンク経路上のアンテナ201を通じて基幹設備に伝送する。
音声チャネルデータプロセッサは受信機203に接続されることに加えて送信機205及び一般的なボコーダ209にも相互に接続される。ボコーダ209は好ましくは公知の線形予測コーディングのボコーダであり、音声フレームを音声に変換するとともに、増幅器やフィルタ(図示略)を介して受話器やイヤフォン211を駆動する。ボコーダはさらにマイク213から入力した増幅かつフィルタリングされた音声を音声フレームに変換する。この音声フレームは、音声チャネルデータプロセッサ207に入力され、該音声チャネルデータプロセッサ207を通じて送信機205に伝達される。従って、ボコーダは送信機の一部としてもみることができる。
受信機203、送信機205、音声チャネルデータプロセッサ207及びボコーダ209は通信ユニットを統括的に制御するコントローラ215に相互に接続される。これらの機能は、以下に詳細に述べる本発明の原理及び概念に関する機能を除いては一般的によく知られている機能である。コントローラ215は、例えばディスプレイやキーパッド等を含む一般的なユーザインタフェース217に接続され、それを駆動し、それに応答する。コントローラはさらに、ノートパソコンや携帯情報端末(Personal Digital Assistant)等の外部のデータアクセサリにも接続されている。コントローラ215は、下記に述べるように、実施仕様や設計選択に応じて音声チャネルデータプロセッサ207に備えられる機能を支援し、その実行を容易化し、その実行の一部を代行する。コントローラ215は、一又は複数の公知のマイクロプロセッサよりなるプロセッサ221と、デジタル信号処理回路(DSP)とを含む。マイクロプロセッサには、例えばモトローラ社のHC11系を利用することができ、DSPには、例えば同社の56000シリーズを利用することができる。このプロセッサは、例えば、ベースバンド受信/送信と呼ばれる処理や、符号化や複合化のエラー処理といった様々な処理を実行する。プロセッサ221は、オブジェクトコード形態のオペレーティングソフトウェア,データ及び変数225が格納されたメモリ223に相互に接続されるか含み得る。プロセッサは、このオペレーティングソフトウェア225を実行することによって、受信機203、送信機209、音声チャネルデータプロセッサ207、ボコーダ209等を含む無線通信ユニットを制御する。メモリ223にはさらに、各種のアプリケーション227や、電話帳、アドレス帳、予定表等を記憶したデータベース229や、その他のソフトウェアプログラム231等が格納されている。このソフトウェアプログラム231はここでは特に関連性はないが、汎用のコントローラを通信ユニットとして有用なものとするために必要に応じて設けることは当業者にとっては自明の事項である。
図3は、図2の通信ユニットに用いられる音声チャネルデータプロセッサの詳細なブロック図である。同図を参照して、音声チャネルデータプロセッサ、具体的には、そのうち受信機203や送信機205の構成に関連する部分について説明する。図3に示すブロック図は、音声チャネルデータプロセッサ207の機能を示しているものとして好適である。この機能は専用回路によって、又はプロセッサ221のリソースの一部を用いて、又は設計仕様に応じた機能を組み合わせる等して具体化される。十分な予備能力が確保されているのであれば、プロセッサ221や、復号化処理、エラー訂正、エラー保護といった信号の送受信に関する処理を行うDSP(図示略)を用いるのが好ましい。
音声チャネルデータプロセッサ207は、通信ユニットあるいは無線通信ユニット内で作動する。この音声チャネルデータプロセッサ207を用いることにより、音声チャネルを通じたデータ伝送が容易となる。音声チャネルデータプロセッサは、デコーダ301とエンコーダ302とを備える。デコーダ301には、受信機203により受信された音声フレームが音声フレームのストリームとして入力される。この音声フレームのストリームは、解析部307に入力され、その受信した音声フレームのストリームに含まれる各々のフレームが解析部307により解析されることによって、各々の音声フレームのボコーダパラメータが得られる。これら各々の受信した音声フレームのボコーダパラメータは比較器309に入力され、所定のボコーダパラメータと比較される。この比較結果はスイッチ313の制御に用いられる。スイッチ313は、比較結果が所望の結果であるとき、受信した音声フレームをデータトラフィック317として処理するために、該音声フレームをデータユニット319に転送するよう制御される。一方、比較結果が所望の結果でないとき、受信した音声フレームを音声トラフィック315として処理するために、該音声フレームをボコーダ209に転送するよう制御される。
エンコーダ303には、スイッチ337の一方の端子323に、一連の音声フレーム又は音声フレームのストリーム、あるいは送信音声フレームがボコーダ209から供給される。エンコーダ303にはさらに、コントローラ215、又は他のデータ供給源(図示略)からデータが供給される。エンコーダ303は、このデータトラフィックをデータエンコーダ325により一つ又は複数の音声フレームとして符号化処理することが可能である。その後、この送信音声フレームの各々には、付加ユニット327によって一つ又は複数の所定のボコーダパラメータが付加されるか又は含まれる。従って、スイッチ337の端子331には、符号化されたデータトラフィックを有する一つ又は複数の音声フレームと、(一つ又は複数の)所定のパラメータとが供給される。このように、スイッチ337は、データを有する音声フレームを、音声トラフィックを有する送信音声フレームのストリーム中に挿入するように動作する。
スイッチ337は、以下に述べる一つ又は複数の方法により制御される。第1の方法は、コントローラ215を直接的又は非直接的に介した335のユーザの入力に応答してスイッチを制御する方法である。例えば、通信装置のユーザが通話相手に名前や電話番号を送信するときには、その送信をキー入力又はキー入力のパターンで指示する。コントローラ215は、そのデータをエンコーダに送り、適切な時期にスイッチ337を制御して当該データを有する音声フレームを端子331に供給する。こうして、エンコーダは、ユーザの入力に応答して、ボコーダからの音声トラフィックを有する送信音声フレームのストリーム中に、データ(名前や電話番号)を含む(一つ又は複数の)送信音声フレームを挿入する。ここで注目すべきところは、ユーザはデータが送られていることを知っているので、しばらくの間、エンコーダは動作を休止させることが可能となることや、コントローラが基本的にボコーダを休止させたり音声フレームを無音フレームにすることが可能となるといった点である。
又、別の制御方法としては、エンコーダは、無音状態にあるときの音声トラフィックを有する音声フレームに代えて、送信音声フレームのストリーム中に一つ又は複数の送信音声フレームを挿入することができるといった方法である。ここで注目すべき点は、多くのボコーダ、特にバッテリーの寿命に関係する携帯用の装置の多くは、ユーザ音声の一部で無音を検知するときには、その無音期間において音声フレームの生成を完全に行わないといった点である。従って、検出部329により送信音声フレームの欠如を検出するときには、同検出部329からの制御入力333によりスイッチ337を制御して、その欠如部分にデータを有する一つ又は複数の音声フレームを挿入することにより、データを有する音声フレームと、所定のボコーダパラメータとの組み入れ処理を簡素化することができる。
データを有する音声フレームを挿入することに関するもう一つの手法としては、音声トラフィックで音声フレームを提供するボコーダからの音声フレームの位置を適宜略取する方法である。この場合、エンコーダ303は、所定のボコーダパラメータを含む複数の送信音声フレームの各々としてデータトラフィックを符号化し、その所定のボコーダパラメータを含む複数の送信音声フレームの一部を音声トラフィックを有する送信音声フレームのストリームの均一に離間された位置に挿入する。この機能は、ボコーダから供給される音声フレームをカウントする検出部329によって、好ましくは一定期間毎に音声フレームを無視する又は削除する態様でスイッチを制御し、その位置にデータを有する音声フレームと特定又は所定のボコーダパラメータとを挿入する。この場合において留意すべき点は、この挿入が、音声フレームストリームの送信の結果により可聴周波数妨害が生じないような十分低い頻度で行われるといった点である。試算では、1/20フレーム、あるいはその程度のフレームを略取することにより、受信ユニットで音声品質の許容レベルを維持したままで、データを音声フレームで搬送することができる。
前述した比較器309で用いられ、かつ付加機能327で付加される所定のボコーダパラメータ又はボコーダパラメータは、有効音声フレームで発生確率が1/1000以下、より好ましくは、1/1000000以下の低発生確率のボコーダパラメータであることが望ましい。一つ又は複数のパラメータの個々の選択はボコーダ技術に依存する。LPCボコーダの場合は、一つ又は複数の音声パラメータ又はエネルギーパラメータを使用して、有効音声フレームが満足な結果を得ることができる適正値となるように、それらのパラメータを設定する。ここで、音声パラメータとは、音声波形における音声の範囲又はレベル、例えば母音などの音声の音色やピッチ周波数の大きさである。エネルギーパラメータとは、音声波形のエネルギーの大きさである。
ここで、例えば、所定のパラメータが、高い音声レベルを指定するよう設定された音声パラメータと、低い平均信号電力あるいはエネルギーを指定するよう設定されたエネルギーパラメータとの組み合わせによって設定されていれば、音声は通常はエネルギーを持つので、この組み合わせは実際の音声では低確率で発生するものと期待できる。シミュレーションでは、高い音声レベルを持つ音声パラメータと、低いエネルギーを持つエネルギーパラメータとの組み合わせで音声フレームが表される確率は、1/1000000以下となる。又、データを有する音声フレームの識別能力を持たない既存の通信ユニットにより、ボコーダパラメータを有する音声フレームがボコーダに転送される場合には、ボコーダからの出力はほとんどなく、したがって、低いエネルギーパラメータであるが所以にユーザの可聴音に影響を及ぼす虞もない。又、通話がネットワークを通じて行われる場合はコード変換しないので通信ユニット間の通信をサポートするようにインフラを変更する必要もない。
図4を参照して、図3の音声チャネルデータプロセッサで使用されるデータストリーム構造について説明する。図4は、音声ストリーム401を時間403の関数として示したものであり、音声トラフィックを有する音声フレーム405(塗りつぶしなしの実線枠)と、無音又は音声フレーム無しが検出された領域に挿入された符号化されたデータを有する音声フレーム407(右肩上がりの斜線を付した一点鎖線枠)と、音声フレームの略取位置、具体的にはn次のスロット毎、即ち、n番目、2n番目、3n番目…のスロットに各々挿入されたデータを有する音声フレーム409,411,413(右肩上がりの斜線ハッチングを付した実線枠)と、ユーザの要求に応答して挿入されたデータを有する音声フレーム415(右肩下がりの斜線を付した一点鎖線枠)とを含む。
統合デジタル拡張ネットワークでは音声フレームレートは毎秒33 1/3フレームである。図5で論じるように、各々のフレームは117ビットのデータに適しており、従って、1/20フレームがデータに用いられれば、本システムでは、毎秒200ビットを下回るデータレートで音声チャネルをサポートすることができる。
図5を参照して、図3の音声チャネルデータプロセッサで使用される音声フレームのデータ構造について説明する。図5は、一つの音声フレーム500を表すものであり、この音声フレーム500は、通常の状況下では、音声トラフィックを有する音声フレーム503として使用されたり、データ又はデータトラフィックを有する音声フレーム505として利用されたり、その他必要に応じて利用される。線形予測コーディング(LPC)ボコーダの一実施形態においては、これらの音声フレームは各々30msの周期で提供される。各々のフレームは129ビットの長さを持つ。
ボコーダにより提供され処理される音声フレーム503は、ボコーダパラメータ507を含む。具体的には音声フレーム503は、音声フレームに関連づけられたエネルギー、電力、又は平均電力を表す5ビットのRoと、言語フレームに関連づけられた音声レベルを表す2ビットのVnと、ボコーダにて使用される音声トラックの多項式モデルにおける最初の係数である5ビットのLPC1と、その音声トラックモデルの残りの係数部分であるLPC2−9と、そのボコーダモデルで計算される遅れ係数であるLAG1−5とを含む。尚、音声トラフィックを有する音声フレームにはさらに、ボコーダモデルにおける励磁ベクトルを表すCODE1(1−5)及びCODE2(1−5)が含まれる。117ビットの残りの部分509は、LPC2−9、LAG1−5及び特定の実施化に幾分依存する特性を持つ励磁ベクトルに用いられるが、ここでは特に関連性はない。
好ましい実施形態において、データを有する音声フレーム505は、一見すると他の音声フレームと同様に見えるが、適切に通信ユニットや受信機に備えられる。即ち、ボコーダパラメータや所定のボコーダパラメータの一部は実際の音声フレームで低発生確率を持つ所定の値に設定されるので、通信ユニットは、実際上、必然性を持って伝送データ又はアプリケーションデータである音声フレームを認識可能とするように構成される。具体的には、一実施形態では、Ro511は“0”又はきわめて低いエネルギーレベル(低電力レベル)に設定され、Vn512は“3”又はきわめて高い音声レベルに設定される。こうした状況は、シミュレーションでは、1/1000000以下で発生することが示されている。尚、LPC513も同様に“0”に設定される。これらのボコーダパラメータが設定されることによって、既存のユニットは、データを有する音声フレームを音声を有する音声フレームとして扱い、既存のユニットのユーザに不快又は知覚される可聴の症状又は不自然な結果を発生させることなく音声フレームをボコーダで処理する。
これら3種類のボコーダパラメータが規定として設定された状態で、音声フレーム505は、なおかつ117ビットのデータペイロード515を有している。前進型誤信号訂正は既にほとんどのシステムで採用されているため、例えばチャネル符号化処理の一部として、ボコーダからの音声フレームを保護する目的でペイロードのほとんど又は全てを実データに充てることができる。従って、平均して1/20の音声フレームがデータトラフィックに割り当てられたシステムでは、毎秒200ビットを下回る平均データレートをサポートすることができる。仮に、無音がデータトラフィックに使用され、かつユーザが平均33%の期間で無音であれば、平均データレートはおよそ毎秒1300ビットとなる。
従って、通信ユニット200は、音声チャネル上のデータを受信する通信用受信機と通信用送信機とを含む。通信用受信機は、音声フレームを含む信号を受信する受信機203と、この受信機203に接続される音声チャネルデータプロセッサ207とを含む。音声チャネルデータプロセッサ207は、ボコーダパラメータを取得するために音声フレームを解析するための解析部と、ボコーダパラメータを所定のパラメータと比較し、その比較結果を提供する比較器と、比較結果が所望の結果であるとき、データトラフィックとして音声フレームを処理するデータユニットとを含む。
好ましい形態において、通信用受信機は、前述の比較結果が所望の結果でないとき、音声トラフィックとして音声フレームを処理するためのボコーダをさらに含む。好ましくは、通信用受信機は、データユニットがデータトラフィックとして音声フレームを処理するとき、ボコーダが音声トラフィックとして処理した前回の音声フレームの結果又は音声を繰り返すか又は再生する。
比較器はさらに、解析処理によって得られたボコーダパラメータを、有効音声フレームで低発生確率の所定パラメータと比較する機能を持つ。一実施形態においては、所定のパラメータは、LPCボコーダから供給される有効音声フレームに関する音声パラメータ又はエネルギーパラメータである。音声パラメータは高い音声レベルに設定され、エネルギーパラメータは低い平均信号電力に設定される。
又、比較結果が所望の結果である限りは、音声フレームは複数の均一に離間されたフレームのうちの一つとなり得て、それら各々のフレームは追加のデータトラフィックとして処理される。このデータトラフィックを有する音声フレームには、電話番号、名前、住所、予定時間や予定データ、住所までの道順、或いはショートテキストメッセージなどのデータトラフィックが含まれる。
通信用送信機は、音声チャネル上にデータを送信するための機能を有しており、音声信号を処理して音声トラフィックを有する複数の音声フレームを生成するためのボコーダと、それぞれ所定のボコーダパラメータを含む一つ又は複数の音声フレームとしてデータトラフィックを符号化し、その音声フレームを音声トラフィックを有する複数の音声フレーム中に挿入するための音声チャネルデータプロセッサと、送信機アンプと、音声チャネルデータプロセッサに接続され、音声フレームと音声トラフィックを有する複数の他の音声フレームとを含む信号を送信するための信号プロセッサとを有する。
所定のボコーダパラメータは、前述したように有効音声フレームで低発生確率のものが選択される。音声チャネルデータプロセッサは、所定のボコーダパラメータを含む複数の音声フレームの各々としてデータトラフィックを符号化可能であり、その所定のボコーダパラメータを含む複数の音声フレームの一部を音声トラフィックを有する複数の音声フレームの均一に離間された位置に平均的に挿入する。この挿入の割合は、データトラフィックを含む複数の音声フレームの1番目と2番目の部分の間における平均時間の逆数が低い値となるような割合である。例えば、1/20の割合で音声フレームがデータを含むものであると仮定すると、一実施形態ではフレームレートが毎秒33 1/3フレームであるので、挿入の割合は毎秒1 2/3フレームとなる。
音声チャネルデータプロセッサは、先にも述べたように無音状態にあるときの音声トラフィックを有する音声フレームに代えて、データを有する音声フレームを音声トラフィックを有する複数の音声フレーム中に挿入する。これは、音声フレームの欠如位置であるか、又はそのデータを有する音声フレームは、ユーザの入力に応答して音声トラフィックを有する複数の音声フレーム中に挿入され得る。このデータの形態としては、先にも述べたように電話番号やそのリスト、名前、住所、予定時間や予定データ、住所までの道順、或いはショートテキストメッセージといった多くの形態を取り得る。有利には、音声フレームペイロードは、保護度合いが高いので、大部分のペイロードはエラー訂正等の付加ではなく、むしろデータに利用され得る。
図6を参照して、音声チャネル上にデータを発生させ、そのデータを識別するための好ましい実施方法についてのフローチャートを説明する。この説明には、上述した本発明の概念と原理に関する事項を含む。図6に示す方法は、上述した構成又はそれに相当する他の構成により実現される。この方法は、通信ユニット、具体的には、一方の通信ユニットの送信機と他方の通信ユニットの受信機とにより実行されるものであり、データ伝送を容易化するとともに、音声チャネル上に流すデータを発生及び識別するための方法600である。
この方法では、処理603において、音声フレーム又は音声フレームの一部としてデータ又はデータトラフィックを符号化し、次いで処理605において、特定又は所定のボコーダパラメータを有する音声フレームとするために、所定のボコーダパラメータを付加する。次いで処理607において、データを有する音声フレームをボコーダからの音声フレームストリーム中に挿入する位置を決定する。この位置は、ユーザの入力に応答して、又は、フレームカウントに基づいて、又は、無音フレームの検出に基づいて決定され得る。次いで処理609において、音声フレームストリーム中にデータを有する音声フレームが挿入される。次いで処理611において、データを含む音声フレームを有する音声フレームストリームが一方の通信ユニットから送信され、他方の通信ユニットにて受信される。処理613において、もし、通信ユニットが既存のユニットであれば、即ち、通信ユニットがデータを有する音声フレームを識別する機能を具備しないものであれば、音声フレームは、処理615においてボコーダにより標準的な技術に従って、音声トラフィックを有する音声フレームとして処理される。
処理613において、もし、通信ユニットが既存のユニットでなければ、処理617において、各々のフレーム用のボコーダパラメータを取得するために音声フレームが解析される。次いで、処理619において、このボコーダパラメータが所定のパラメータ、例えば、有効音声フレームで低発生確率の高い音声レベルを持つ音声パラメータや低いエネルギーレベルのエネルギーパラメータ等と比較される。ここで、処理619において、比較結果が所望の結果でない場合には、音声フレームは、処理621において、ボコーダに転送されて音声トラフィックとして処理され、イヤフォンを駆動するための音声信号とされる。一方、処理619において、比較結果が所望の結果の場合には、音声フレームは、処理623において、データユニットに転送されてデータトラフィックとして処理される。音声フレームがデータユニットに転送される場合には、ボコーダは、処理625に示されるように、前回のボコーダ出力を繰り返すように指示され得る。
以上記述した処理、装置、システムならびに本発明の原理及び概念によれば、音声チャネル上にデータを伝送するにあたっての、代替案に起因して生じる不快な可聴症状や装置の旧式化といった様々な問題を解決することができる。低確率のボコーダパラメータ又はその特性を利用して音声フレームをデータを伝送する音声フレームとして認識し、さらにはこのデータを有する音声フレームを音声フレームストリーム中に挿入するといった本発明の原理を用いれば、音声チャネルを介したデータの伝送や伝達を、可聴周波に著しい影響を及ぼすことなしに、かつ、可用性のある有用なデータを付加した状態で容易に行うことが可能となる。本記述における本発明の原理及び概念を用いることにより、データ伝送を好適に行うように構成されていない既存のユニットでも、通常の会話が行われている間において誰もが煩わしさなしにデータ伝送することが可能となる。従って、既存のユニットの所有者にしろ通信事業者にしろ、装置を改良版とすることなしに、データサービスを望むユーザにそれを提供することができ、ユーザやプロバイダー等に利益をもたらすことができる。
本記述は、本発明に従って様々な実施形態を構築し利用する方法を説明することを意図したものであり、真に本発明の適正な範囲及び趣旨を限定するものではない。前述の説明は、開示される同一形態に本発明を限定するものではない。前述した教示に照らして修正や変更が可能である。本実施形態は、本発明の原理の最良例及び実用例を提供するように選択され記述されており、当業者であれば本発明を様々な実施形態で利用したり、特定の用途の目論見に合うように様々な修正を加えたりすることが可能である。こうした修正や変更は、添付した特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内で本特許出願の継続中において可能である。又、本発明は適正かつ合法的かつ正当な権利範囲内に従って解釈される全てのものが相当する。
添付の図は、様々な観点で同一又は機能的に類似した要素を参照し、下記の詳細な説明中で共に用いられる参照数字と同様、明細書中で引用されるものであり、様々な実施形態を図解し、本発明に従った様々な原理及び利点を説明するためのものである。
本発明に従った好ましい実施形態における環境を説明するための通信システムの簡潔かつ代表的な形式の図である。 本発明の音声チャネルデータプロセッサを含む無線通信ユニットの簡潔かつ代表的な形式のブロック図である。 図2の無線通信ユニットで用いられる音声チャネルデータプロセッサの詳細ブロック図である。 図3の音声チャネルデータプロセッサで用いられるデータストリーム構造を示す図である。 図3の音声チャネルデータプロセッサで用いられる音声フレームのデータ構造を示す図である。 音声チャネルでデータを発生させ、それを識別するための好ましい実施方法を示すフローチャートである。

Claims (14)

  1. 通信用受信機において音声チャネル上のデータを識別するための方法であって、
    音声フレームよりなる信号を受信することと、
    前記音声フレームを解析しボコーダパラメータを取得することと、
    前記ボコーダパラメータを所定パラメータと比較し比較結果を提供することと、を備え、
    前記比較結果が所望の結果であるとき前記音声フレームをデータトラフィックとして処理し、前記比較結果が所望の結果でないとき前記音声フレームを音声トラフィックとして処理する、方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、
    前記比較することは、前記ボコーダパラメータを有効音声フレームで低発生確率の所定パラメータと比較することを含む、方法。
  3. 請求項2に記載の方法において、
    前記所定パラメータは、前記有効音声フレームについての音声パラメータ及びエネルギーパラメータのいずれか一つである、方法。
  4. 請求項3に記載の方法において、
    前記音声パラメータは高い音声レベルを表すものであり、前記エネルギーパラメータは低い平均信号電力を表すものである、方法。
  5. 請求項1に記載の方法において、
    前記比較結果が所望の結果のとき、前記音声フレームは均一に離間された複数のフレームのうちの一つであり、該複数のフレームの各々は追加のデータトラフィックとして処理される、方法。
  6. 請求項1に記載の方法において、
    前記音声フレームがデータトラフィックとして処理されるときには、前記音声トラフィックとして処理された前回の音声フレームの結果が繰り返される、方法。
  7. 音声チャネル上のデータを受信するための通信用受信機であって、
    音声フレームよりなる信号を受信する受信機と、
    前記受信機に接続される音声チャネルデータプロセッサと、
    を備え、
    前記音声チャネルデータプロセッサは、
    前記音声フレームを解析しボコーダパラメータを取得する解析部と、
    前記ボコーダパラメータを所定パラメータと比較し比較結果を提供する比較器と、
    前記比較結果が所望の結果のとき前記音声フレームをデータトラフィックとして処理するデータユニットと、を備える通信用受信機。
  8. 請求項7に記載の通信用受信機はさらに、
    前記比較結果が所望の結果でないときに、前記音声フレームを音声トラフィックとして処理するボコーダを備える、通信用受信機。
  9. 請求項8に記載の通信用受信機において、
    前記データユニットが前記音声フレームをデータトラフィックとして処理するときは、前記ボコーダが前記音声トラフィックとして処理した前回の音声フレームの結果が、前記ボコーダによって繰り返される、通信用受信機。
  10. 請求項7に記載の通信用受信機において、
    前記比較器は、前記ボコーダパラメータを有効音声フレームで低発生確率の所定パラメータと比較する、通信用受信機。
  11. 請求項10に記載の通信用受信機において、
    前記所定パラメータは、前記有効音声フレームについての音声パラメータ及びエネルギーパラメータのいずれか一つである、通信用受信機。
  12. 請求項11に記載の通信用受信機において、
    前記音声パラメータは高い音声レベルを表すものであり、前記エネルギーパラメータは低い平均信号電力を表すものである、通信用受信機。
  13. 請求項7に記載の通信用受信機において、
    前記比較結果が所望の結果のとき、前記音声フレームは均一に離間された複数のフレームのうちの一つであり、該複数のフレームの各々は追加のデータトラフィックとして処理される、通信用受信機。
  14. 請求項7に記載の通信用受信機において、
    前記データユニットは、前記音声フレームを、電話番号、名前、住所、予定時間、予定データ、住所までの道順、及び、ショートテキストメッセージのうちの一つを含むデータトラフィックとして処理する、通信用受信機。
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