JP2006526706A - 腐食防止組成物およびそれを含有する物品 - Google Patents

腐食防止組成物およびそれを含有する物品 Download PDF

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Abstract

既知のVCI成分とともに酸性ガスの捕捉剤を含有する腐食防止ポリマー組成物は、従来技術の組成物よりも効果的なVCIを与える。マクロ顆粒形態の組成物は、保護すべき鉄製品の収納容器中のカプセルの中に保持してもよい。組成物が高度に希釈された状態であるときは、100ppmを超える量の2,4,6−三置換フェノールならびに均一に分散された少量の微小固体状捕捉剤、アルカリ金属の亜硝酸塩および固体粒子の分散を助ける固体アジュバントを含有するフィルムが射出成形、ブロー成形または押出成形によって形成される。該フィルムは透明であり、平滑な表面を有する。成分中のすべての固体は、53μmよりも小さい一次粒子径を有し、これにより均一分散が可能になり、得られる物品の透明性および平滑表面が実現される。該物品としては、鉄製品を輸送に先立って包装するためのフィルムや、密閉容器中に鉄製品とともに設置されるVCI成分を詰めたカプセルである。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、現在では放棄されている2002年1月22日に出願された出願番号10/054,031の継続である2003年6月3日に出願された出願番号10/453,304の一部継続出願である。
本出願は、任意の形状および断面の高分子物品中の2種以上の気相制御(VPI)成分の組み合わせ、さらに好ましくは、2種以上の気化性腐食防止(VCI)成分の組み合わせに関する。
一般に、前記物品は、保管および輸送用に包装された金属物を保護するために用いられるような合成樹脂製(以下「プラスチック」と呼ぶこともある)箱型容器、フィルムまたはカプセルである。鉄金属物は、一般に、ポリオレフィン(PO)、典型的にはポリエチレン(PE)製のバッグもしくはPOフィルムの容器、または腐食防止カプセルが挿入された比較的大きな密閉容器に梱包される。前記フィルムの不可欠な成分として前記フィルム中に分散されるのは、効果的な組み合わせの2種以上のVCIと呼ばれる腐食防止化合物である。あるいは、前記VCIは、ポリマーの塊またはペレット中に分散される。前記ペレットは、ガス透過性の壁を有する前記カプセルに詰められるのに十分小さい。「カプセル」という用語は、VCIの蒸気がカプセルを囲む分子状酸素含有環境内へと拡散して行ける壁を少なくとも1つ有する密閉容器を意味する。得られる保護の効果は、保護される金属表面にVCI化合物自体が直接接触することなく腐食防止を実現するVCIがもたらす蒸気圧の組み合わせおよび一般に前記金属表面から空間を置いて離れているプラスチックに常に起因する。蒸気は、VCIが分散されているプラスチックを通って拡散し、密閉空間内に保持されている鉄金属の腐食を防止する。
箱型容器および合成樹脂製フィルム、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)およびポリプロピレン(PP)製の生分解性ポリエステルフィルムは、金属物を包装するのに最もよく用いられている。前記生分解性フィルムは、農業機械を保護するのにもよく用いられる。しかしながら、鉄金属は、合成フィルムに対する透過性が比較的高いガスである水蒸気、酸素といった大気ガス、二酸化硫黄、窒素の酸化物のごとき酸性ガス等による腐食が生じやすい。そのような鉄金属物の大部分は、どういうわけか、塗料、ペーストまたはゲルのごとき目に見える保護被膜でコーティングすることができないのであるが、長い時間が経った後、少なくとも1年後に、あたかも製造されたばかりのように見える状態で出荷あるいは納品されなければならない。さらに、包装フィルムは、フィルムで包装された汚れも錆もない表面を検査することができるように、透明である必要がある。酸化剤は、大気中に少量しか存在しないが、そのような長期間においては大きなダメージを与えることがわかっているので、汚れのない鉄金属製品をVCI含有ポリマーフィルム(VCIフィルム)で包装する費用が正当化される。一般にそのような酸化剤は前記フィルムにダメージを与えるため、前記フィルムは、一般に100ppm未満といった比較的低い濃度ではあるが、決まって2,4,6−三置換フェノールのごとき酸化防止剤で保護効果を付与されており、これによって、前記フィルムに入り込む酸素原子によって生成されるフリーラジカルが取り除かれる。プラスチックフィルムに捕らえられる水分子は、そのようなフリーラジカルを生成しない。錆からの保護については、多くの防錆アルカリ金属塩が、鉄表面に直接コーティングした場合に効果的であることが知られている。
問題
ここでの問題とは、コーティングせずとも効果的である塩、すなわち、VCIとして満足できる機能を発揮する塩を見つけ出すことである。あるいは、そのような機能を発揮することで知られる塩を改善することである。改善された塩は、少なくとも1年間の腐食防止効果を与えるのに十分な量で本質的に透明である包装フィルムに導入された場合に、前記材料の透明性を目に見えて下げたり、あるいは、前記フィルムを脆化させたりすることがない。「透明である」という意味は、VCIフィルムが、VCIを含有していないフィルムと実質的に同じ可視光線透過性を有することである。そのような透明性があれば、12ポイントのフォントで表記されたこの文章を、その上に一枚のフィルムを乗せた状態で読むことができる。「フィルム」という用語は、壁内にVCIおよび他の成分を実質的に均一に分散させることができるのに十分な肉厚を有するポリマーを意味する。満足できる機能を発揮するフィルムとは、規定された環境内において所定期間保護効果を発揮するのに十分なVCIおよび他の成分が含有されていることを意味する。さらに、前記フィルムは、滑らかな表面と、実質的に均一な厚さとを有するべきである。すなわち、その表面の感触は滑らかである。そのような滑らかなフィルムは、一般に、その厚さが約0.025mm(1milまたは0.001”)〜0.125mm(5milまたは0.005”)の範囲内にある場合、そのフィルムの厚さについて±0.0125mm(0.5milまたは0.0025”)未満のばらつきを有する。そのようなばらつきがフィルムの表面またはその近くの固体の粒子または粒子の塊によるものであれば、フィルムの感触は滑らかではない。
N−ニトロソアミンおよび/またはベンゾールのごとき多岐にわたる有機腐食防止性化合物が包装材料、さらに詳しくは、紙または他のセルロース系材料または炭素数が2〜8であるオレフィンのポリマーから作られたシート素材に組み込まれている。そのような化合物は、包装材料のラップまたはシートの表面上のVCIの粒子が包装される物体の表面と接触する以外は、保護される金属の表面と直接接触しないVCIとして機能する。VCIは、「非接触型防止剤」である。従って、VCIの効果は、以下に説明する試験によって示されるように、例えば、たとえVCIを含有する包装材料によって得られる密閉空間内に保護されるべき物体が吊り下げられいても、保護されるべき表面と接触することなく腐食保護効果を与えるその能力に常に基づく。
VCIとは異なり、防錆無機アルカリ塩は、例えば、30〜50重量%のアルカリ塩と、30〜50重量%の金属イオン封鎖剤またはキレート剤と、10〜30重量%の防腐剤との組み合わせが開示されている米国特許第3,110,684号に記載されているように、腐食を防止する目的でこれまで用いられてきた。前記アルカリ塩の例としては、ケイ酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、クロム酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、亜硝酸カリウム、硝酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが挙げられる。金属イオン封鎖剤またはキレート剤の例としては、ピロリン酸四ナトリウムのごときリン酸のナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸のカリウム塩、クエン酸カリウム、リン酸のアンモニウム塩、クエン酸アンモニウム、クエン酸、グルコン酸、エチレンジアミン4酢酸などが挙げられる。金属イオン封鎖剤の例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸アンモニウム、安息香酸リチウムが挙げられる。
米国特許第3,304,267号には、固体へと圧縮成形された75〜85重量%の防錆アルカリ塩と、5〜15重量%のメタケイ酸ナトリウムと、5〜15重量%の非イオン性有機分散剤との組み合わせが教示されている。この固体は、水が存在する場合のみ腐食防止剤として作用する。ハンガリー特許HU48857には、ケイ酸ナトリウムおよび/またはリン酸ナトリウムを活性成分として含有するパーライト、ベントナイトの水性ペーストの使用が教示されている。前記ペーストは、コンクリートを補強するために用いられる鋼鉄の穴に圧入されるのに十分な可撓性を備える。しかしながら、そのような無機材料は、亜硝酸ナトリウムは例外として、それらの蒸気圧が腐食防止性の有機化合物が発揮する蒸気圧よりもずっと低いという理由により、VCIとしての使用を示唆されたことがない。他の無機化合物の使用に関するさらなる問題としては、無機化合物を透明なフィルム中に分散させたときに実質的に目に見えなくさせるようにするために十分に小さい粒径にまで無機化合物を細かく粉砕することが難しいこと、無機化合物は凝集しやすい傾向があるためフィルム中に均一に分散させ難いこと、および、無機化合物の粒子はフィルムの表面に寄る傾向があるため、表面の感触が滑らかなフィルムを押出成形し難いことが挙げられる。
上記を念頭に置いて、約20年前にBoerwinkleらに対して発行された米国特許第4,290,912号には、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウムおよび亜硝酸カルシウムの如き無機亜硝酸塩と、2,4,6−三置換フェノールとの組み合わせが低級POポリマー中でVCIとしての役割を果たすことが開示されている。亜硝酸カリウムおよび亜硝酸カルシウムは極度に湿りやすいため、いずれもVCIとしての使用に適していない。上記‘912に記載の特定の組み合わせは、ほぼ等重量部(それぞれ1.485phr)の亜硝酸ナトリウムおよび炭素数が9〜24の2,4,6−三置換フェノール、特に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールと、耐食性を備えていないことが知られているヒュームドシリカおよびオレイルアルコールの如き少量の1種以上の不活性成分とを含んでなる。現時点では、亜硝酸ナトリウムが、2,4,6−三置換フェノールと組み合わせて効果的であることが分かっている唯一の使用可能なVCIである。‘912に記載のフィルムの効果は、亜硝酸ナトリウムの一次粒子径とは無関係である。というのも、前記特許‘912では、(i)脆化の問題、(ii)表面が滑らかな押出成形フィルムの透明性および/または均一な厚さを維持するという問題、あるいは(iii)二酸化硫黄からの保護の問題、もしくは、予想される好ましからざる保存条件下において所定期間保護を行いうるフィルムの厚さの調整可能性の問題を扱っていないからである。
‘912に記載のVCIとして作用する活性成分の組み合わせと組み合わせたケイ酸ナトリウムおよび/または酸化亜鉛の新たに発見された効果は予想外のものであった。というのも、前記安定した本質的に無水であるケイ酸塩または両性である酸化亜鉛は、少なくともLDPEと同じぐらい高いWVTRを有する非加水分解性ポリマーと組み合わされたときに、約10〜100ppmの量で存在する二酸化硫黄のごとき酸性ガスの捕捉剤として作用することがあることは予想されておらず、亜硝酸ナトリウムおよび2,4,6−三置換フェノールと組み合わされてVCIとして作用し、さらに、前記ケイ酸塩および酸化亜鉛はいずれも、それ自身としては、VCIとしてはっきりと認められる防食作用を備えてはおらず、さらにまた、前記‘912に記載の成分に加えて、酸化亜鉛もしくはケイ酸ナトリウムまたはその両方を捕捉剤として含有する新規なフィルムの約24時間後のWVTR(水蒸気透過率)は、(下記表Iに示されるように)VCI成分を含有していないプレーンなPEフィルムや‘912に記載のフィルムのWVTRと基本的に同じであったからである。
捕捉剤を含有するポリマーはWVTRがより低いことから、一層良好な防食効果を得るためには、VCIの組み合わせの必須成分として1種以上の捕捉剤を使わずに、WVTRを減少させないことが理論的であると思われた。「実質的に非加水分解性である」とは、保護されるべき物体が密閉環境下においてVCI成分に曝されながら保管される状況下においてポリマーの加水分解率が5%以下であることを意味する。
酸化亜鉛またはアルカリ金属、好ましくはナトリウムのケイ酸塩である捕捉剤は、基質ポリマーの実質的に非加水分解性である合成樹脂製フィルムと組み合わされると、亜硝酸ナトリウムおよび2,4,6−三置換フェノールと相互作用し、鉄金属表面の腐食に対して効果的なVCI保護効果を与えることが見い出された。さらに、本質的に無水である亜硝酸ナトリウムが、比較的高いWVTR、すなわち、LDPEのWVTRと少なくとも同じぐらい高いWVTRを有する基質合成樹脂製フィルムに導入されると、湿ったケイ酸塩が二酸化硫黄および/または酸化亜鉛ならびに亜硝酸ナトリウムと反応することができるようになるのに十分な水分子が前記樹脂中に捕らえられる。微粉化された捕捉剤を、基質フィルムの0.01〜2重量%、好ましくは0.01〜1%の極少量で前記フィルム中に均一に分散させ、かつ、‘912に記載のVCI成分、すなわち、亜硝酸ナトリウムおよび2,4,6−三置換フェノールを、それぞれ0.01〜2%、好ましくは0.05〜1%の量で添加し、かつ、不活性アジュバントを0.01〜1%の量で添加した新規な組み合わせの効果は、‘912に記載のVCIの組み合わせの効果と比較して、予想以上に向上した。
「不活性アジュバント」とは、活性VCI成分と化学的に反応することなく、前記成分の効果、ポリマー中における分散性または安定性を補助または修正する目的で、前記成分およびポリマーの処方の好ましくは0.5重量%未満の量で添加される剤を意味する。固形微粒子はポリマー中に直接分散させてもよいが、溶融ポリマーによって十分に湿らされなければ、均一に分散しない。このため、まず粒子を第1のポリマー中に分散させて粒子を十分に湿らせることによって、粒子を前記第1のポリマー中に均一に分散させ、濃縮物を形成させることが好ましい。前記濃縮物は好ましくは粉砕され、その後、前記濃縮物のマクロ顆粒は第2のポリマーと混ぜ合わされることによって熱形成性混合物を形成し、前記混合物は押出成形、射出成形またはブロー成形される。一般的なアジュバントは、乳化剤、香料、着色染料、界面活性剤、加工助剤、殺菌剤、乳白剤等のうちの1種以上から選択することができる。保管される材料を意図的に見えなくすることが必要されるのであれば、フィルムに乳白剤を添加してもよい。捕捉剤の一部を少量の他の金属すなわちアルカリ土類金属の酸化物で置き換えても、同じ濃度において捕捉剤によってもたらされる保護は向上しない。
マクロ顆粒の形態、例えば、平均直径が約0.5〜5mmであるペレットの形態で濃縮物中に分散される同じ活性成分は、中空カプセルのごとき容器に詰められてもよい。前記容器は、製品を保護する密閉容器内に収納される。その(製品を保護する密閉容器の)内部へのアクセス経路は中空カプセルのごとき容器の壁を通じてのみである。
捕捉剤と組み合わせた本質的に無水であるVCI成分の組み合わせは、酸性ガスおよび湿気に対して効果的であるだけでなく、予想外のVCI活性も示すが、そのような活性を示すはっきりとした理由は不明である。いずれの捕捉剤も、それ自体、VCI活性を有することは知られていない。しかしながら、それぞれが、捕捉剤なしの同じ組み合わせの活性‘912成分よりも効果的であることが示されている。これは、試験品の表面を目で見て比較する密閉ジャーにおいて行われる定性的比較(「ジャー試験」)において確認される。すなわち、これは、異なる条件において過酷な環境に制御されたチャンバー(「チャンバー試験」)においてより厳密に確認される。いずれも、少なくとも30日間、すなわち、コントロール試料が機能しなくなるまで試験した。前記ジャー試験が、捕捉剤のある場合とない場合のVCIの効果について試験された金属試料の間に目に見える差を示さなかった場合、チャンバー試験だけが頼りとなる。以下に示されるように、ジャー試験とチャンバー試験の両方が、捕捉剤と前記‘912成分との組み合わせに曝された試料の明らかに優れた腐食防止効果を示したことにより、捕捉剤の予想外の効果が立証された。
さらに、新規なフィルムのWVTRは最初の24時間の間に低下するが、これは、捕捉剤がフィルムまたは容器に入る二酸化硫黄および水蒸気を除去するためである。この効果は、前記‘912に記載の組み合わせの成分を含有するフィルムには、捕捉剤が存在しないため、生じ得ない。68時間後、前記新規なフィルムのWVTRは同じ厚さのプレーンなポリマーのWVTRに近づくが、前記新規なフィルムは、前記‘912に記載の組み合わせの成分を含有するフィルムが提供する鉄金属の腐食防止効果よりも予想以上に優れた防止効果を提供する。亜硝酸ナトリウムおよび三置換フェノールと組み合わされた場合に、捕捉剤はVCI活性を増強するので、本願明細書においては、捕捉剤はVCI成分ともいう。0.0875mm(3.5mil)の厚さを有しかつ下記濃度の成分を含有する新規なフィルムの保護は少なくとも1年間は持続するが、フィルムの厚さおよびフィルム中のVCIの濃度に応じてそれよりも長く持続する。最終的に、最初の24時間が経過した後、フィルムが平衡に達すると、そのWVTRはVCIを含有しないフィルムの値へ達する。
各々がポリマー中に粉末として存在する亜硝酸ナトリウムおよび捕捉剤の一次粒子径および量は、非常に重要である。というのも、意図的にそう望まない限り、最終のポリマーは、実質的に光透過性、すなわち、本質的に透明であるべきであるからである。透明性は、フィルムを実質的に脆化させることなく、各活性成分の粉末が最終の物品すなわちフィルムについて前述された量で実質的に均一に分散されることをさらに必要とする。これは、フィルムまたは他の支持体が熱成形された後に、2,4,6−三置換フェノールを除く各粉末成分が固体の状態のままでいる場合のみの制限である。ケイ酸塩および亜硝酸塩の各々の一次粒子径は、53μm(マイクロメーター;No.270標準試験ふるい−ワイヤーメッシュ)よりも小さく、好ましくは約1〜45μm(No.325)である。さらに、前記粉末は、粒径が前記粉末の粒径と同じ範囲内にあるかもしくはそれよりも小さい分散剤として作用する無機アジュバント粉末と、任意に界面活性剤と一緒に均一に分散されることが好ましい。
微粉末の捕捉剤は実質的に均一に分散されるのだが、極少量でしか存在しないため、PE−VCIフィルムのWVTRの初期低下は短い。それにもかかわらず、この極少量の捕捉剤は、捕捉剤を含有しない‘912に記載のPEフィルム、すなわちフィルム中の捕捉剤以外の成分を同じ濃度で含有する同じ厚さのPEフィルムよりも予想以上に優れた腐食防止効果を与える。前記防止効果は、厚さが同じであるVCIを含有しないフィルムの物理的性質に実質的に影響を及ぼすことなく得られる。
鉄金属物は、前記VCI成分が分散された壁を有する容器内に前記鉄金属物を設置した後、前記容器を密閉するという単純な工程によって、選択された期間、一般に4年以上の期間、腐食から保護することができる。保護が得られる期間は、適切な範囲でより高い濃度、または、濃度が低い場合にはより大きな厚さを有する壁によってより長くすることができる。厚さは、選択された濃度の活性成分がフィルム中に実質的に均一に分散されたときに滑らかな表面を有するのに十分な厚さが必要である。そして、活性成分の濃度は、活性成分はフィルムの表面から排出されるため、活性成分がフィルム内を通過してその表面に辿り着くことができるぐらい十分な濃度であることが好ましい。
ポリマー中に分散された捕捉剤をはじめとする前記VCI成分に鉄金属表面を曝すと、前記VCI成分は、90%のRHおよび37.4℃(100°F)において1〜100ppmの酸性ガスを含有する分子状酸素含有環境内において前記鉄金属表面を、少なくとも1年間、腐食から効果的に保護する腐食抑制組成物を提供する。非生分解性ポリマーの最終品中に前記成分を最適な状態で分散させるためには、まず濃縮物を形成することが好ましい。前記濃縮物は、アルカリ金属ケイ酸塩および酸化亜鉛からなる群から選択される10〜約40部の捕捉剤と、10〜40部の亜硝酸ナトリウムと、置換されていてもよいメチレンカーボンおよび置換されていてもよいアミンから選択される4位置換基を有する2,4,6−三置換フェノールを10〜40部と、アジュバント、典型的にはヒュームドシリカまたは炭酸カルシウムの5部未満、好ましくは0.01〜5部とが内部に分散された非加水分解性合成樹脂ポリマーを主成分として含んでなるが、ただし前記ポリマーはLDPEの水蒸気透過率(WVTR)と少なくとも同じぐらい高い水蒸気透過率を有しかつ前記濃縮物の100部当たり少なくとも40部の量で存在する。微粒子である成分はポリマー粉末中に直接分散させてもよく、十分に分散させれば、前記粒子が実質的に均一に分散された最終品が得られるが、粒子の濃度が高ければ高いほど、粒子を均一に分散させることが難しくなる。
濃縮物から形成されることに加えて、同じポリマーであっても異なるポリマーであっても、生分解性ポリマーも、一般に、濃縮物を調製することなく固体粒子を最終品内にかなりまんべんなく分散させることができる。
捕捉剤を含むVCI成分の組み合わせは、本質的に非加水分解性であるポリマーから得られる熱形成性合成樹脂製フィルムまたはカプセルに入れて使用することができる。前記非加水分解性ポリマーは、生分解性でもなく堆肥することも不可能であり、あるいは、本質的に非加水分解性であるポリエステルである。「生分解性である」とは、自然に存在する微生物によって分解が生じることを意味する。「堆肥にできる」とは、生分解性と堆肥加工性の両方についてISO基準およびASTM基準を満足するかまたは上回ることを意味する。フィルムの厚さは、一般に0.20mm(0.008”または8mils)に限定される。その理由は、VCIフィルムに多量のVCI成分を含ませることは通常は必要がない(適切な保護が得られる好ましい濃度において用いられる場合)ため、および、上記よりも厚い断面では好ましい濃度範囲における分散の均一性を制御することが難しくなるためである。
4年にわたって保護を行う「フィルム」の厚さは、一般に0.20mm(8mils)以下であり、そのようなフィルムは、比較的硬い壁を有する容器へと熱成形することができる。4年以上の保護が必要とされる場合、あるいは、極度に高い水蒸気防護効果が要求され且つWVTRが最優先規準である場合、または、構造的硬直性が最大の関心事である場合、または、強度および引き裂きによる破損が考慮すべき重要な事柄である場合、「フィルム」の厚さは1.25mm(50mils)でもよい。従って、本願明細書において用いられる「フィルム」という用語は、断面の厚さが約0.025mm(1milまたは0.001”)〜1.25mm(50milまたは0.05”)の範囲内にある壁を有する物品を意味する。必然的にVCIの組み合わせの有意量はフィルムの表面またはその近くに存在することになるが、VCIの大部分がフィルムの内部に留められていることが重要である。このような分布により、例えば1ヶ月といった比較的短い期間において表面またはその近くに存在するVCIが使い果たされても、VCIの効果は少なくとも1年間、厚さを調節すれば最高10年間といったずっと長い期間持続することが確実となる。
「分散の均一性」とは、フィルム中に分散された粒子の均一性が、公知の顕微鏡技術によって、または、ブローフィルム試験によって定量化できることを意味する。ブローフィルム試験では、固体粉末粒子を含有するポリマーをブローフィルム装置によって厚さが約0.025mm(1mil)であるフィルムへと成形し、このフィルムを適切な波長と強度の光源の上に配置して、「欠陥」として現れる粒子の数を測定する。各粒子の大きさは適切な倍率で視認することができる。
「ナトリウムのケイ酸塩」とは、結晶状態および/またはガラス状態にある本質的に無水であるオルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、二ケイ酸ナトリウム、三ケイ酸ナトリウムなどを指す。最も好ましいのは、PQ Corporationから市販されているような、酸化ナトリウムに対するシリカの重量比が2である粉末状二ケイ酸ナトリウムである。他のアルカリ金属のケイ酸塩も使用可能であるが、それらは極度に湿りやすく、所望の粒径を有する粉末へと粉砕することが難しく、そして捕捉剤としての効果が不十分であるため、前記粉末状二ケイ酸ナトリウムほど好ましくはない。酸化亜鉛は、二酸化硫黄に対して実質的に不活性ではあると考えられており、また、明らかに二酸化硫黄とは化学的に反応することなく捕捉剤として機能するので、酸化亜鉛の作用は予想外である。
数多くの熱可塑性ポリマーおよび生分解性ポリマーの光透過性フィルムを、内部にVCIが分散される支持体として用いることができる。そのようなポリマーとしては、LDPE、Mylar(登録商標)のごとき非生分解性ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、Nylon6のごときポリアミド(これらは37.4℃(100°F)および90%RH(相対湿度)において厚さ0.025mm(mil)および面積645cm(100in)について測定したWVTRが低い順に記載した)、およびLDPEのWVTRと少なくとも同じぐらい、一般にはそれよりも高いWVTRを有する生分解性ポリマーが挙げられる。一般に入手可能なポリマーの37.4℃(100°F)および90%RHにおいて厚さ0.025mm(mil)および面積645cm(100in)について測定したWVTRは、LDPEの約1.5gm/24hrからNylon6の8gm/24hrの範囲にわたる。生分解性ポリエステルについてはこれよりも高いWVTRが得られる。「低密度」PEの密度は0.943g/ccよりも低い。
好ましい生分解性ポリマーフィルムとしては、星型ε−カプロラクトン、および市販のフィルム、例えば、線状ε−カプロラクトン(PCL)(Union CarbideからPCL TONE 787として市販されている)、8、16および24%の吉草酸塩を含有するポリ(ヒドロキシブチラート−co−バレラート)(PHBV)(Imperial Chemical Industries、Billingham、UKからZenecaとして市販されている)、コーティングされていないおよびニトロセルロースでコーティングされたセロファンフィルム(DuPont、Wilmington、DEから市販されている)、エピクロロヒドリンとの反応によって生成される架橋キトサン(Protan Laboratories、Redmond、WA)、デンプン/エチレンビニルアルコール(St/EVOH)ブレンドフィルムおよび純粋なEVOHフィルム(38モル%エチレン)(それぞれNovamont、Novara、ItalyおよびEVALCo、Lisle、ILから市販されている)、および分子量が約80,000ダルトンであるポリカプロラクトン(PCL)(Union Carbide、Bound Brook、NJから市販されている)が挙げられる。
前記フィルムほど好ましくはない非生分解性フィルムとしては、ポリカーボネート、ポリウレタンおよびポリブテン−1が挙げられる。フィルムの選択は、鋼鉄または鋳鉄製の物体を収容して搬送するための容器の強度および柔軟性において要求される条件、環境内の酸性ガスおよび乱暴な取り扱いからの保護の長さおよび程度、パッケージが保管される環境の湿度、ならびに経済上の考慮点に依存する。活性成分の蒸気に対して透過性がある最も好ましいフィルムとしては、LDPE、PP、2種以上の低級C〜Cオレフィンの共重合体、低級C〜Cオレフィンとエチレン/ビニルアルコールとの共重合体、および線状および星型ε−カプロラクトンが挙げられる。そのようなフィルムは、高度な柔軟性が必要とされるときも選択される。各VCI活性成分を0.01〜1phr(ポリマーの100重量部当たりの部数)の量で含有する0.25mm(10mils)よりも薄くて比較的硬質である光透過性の側壁を有する容器は、ポリスチレンまたはポリエステルから形成されることが好ましい。ガラス繊維のごとき添加剤を用いてフィルムを補強してもよい。可塑剤またはプロセスオイルのごとき加工助剤を任意に含有させることもできる。着色剤、消臭剤または芳香剤、不活性充填剤、および任意の他の慣用の添加剤も添加してもよいが、意図的にフィルムの透明性またはその物理的性質に手を加える必要がない場合には、前記添加剤はこれらの性質に悪影響を与えることのない量で添加しなければならない。透明性が減殺されてもよければ、支持体の好ましい物理的性質に悪影響を与えない限り、添加剤を一層高い濃度で添加してもよいことは明らかである。
好ましい実施態様では、亜硝酸ナトリウムおよび捕捉剤を、亜硝酸ナトリウムよりも硬い無機分散剤、好ましくはヒュームドシリカまたは炭酸カルシウムと一緒に、前記固形成分が53μmよりも小さい所望の大きさになるまで粉砕する。亜硝酸ナトリウムの一次粒子径は約1〜44μmであり、その硬度は約2Mohsである。炭酸カルシウムは、約0.6g/cmのルース嵩密度、約2.7g/cmの密度および約3Mohsの硬度を有することが好ましい。ヒュームドシリカは、Cabot Corp社製のCab−O−Sil(登録商標)として市販されているように、1μmよりも小さい一次粒子径を有することが好ましい。その後、前記粉末は、フィルムの押出成形中に液化する約1.18mm〜710μm(16〜25メッシュ標準試験ふるい)の大きさで通常は市販されている2,4,6−三置換フェノール微粉末を混ぜ合わされる。
代表的なフェノールとしては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、トリス((3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’ヒドロキシベンジル)−2’アセトキシエチル))イソシアヌレート、およびペンタエリスリチル−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)が挙げられる。
前記および他のフェノールの一部は、下記数字、すなわち、245,CAS No. 36443−68−2;259,CAS No. 35074−77−2;565,CAS No. 991−84−4;1010,CAS No. 6683−19−8;1035,CAS No. 4184−35−9;1076,CAS No. 2082−79−3;1098,CAS No. 23128−74−7;1135,CAS No. 125463−61−0;1141,CAS No. 134701−20−5/2082−79−3;1330,CAS No. 1709−70−2;および3114,CAS No. 27676−62−6で識別されるIrganox(登録商標)酸化防止剤として市販されている。
次に、混合された粉末は、ブレンダー内でポリマー微粉末、一般にLDPE粒子中に分散された後、押出成形機のホッパーへと供給され、細いロッドへと押出成形され、そして当該技術分野において周知である条件下において約3mm(0.125”)〜9mm(0.375”)の大きさのペレットへと成形される。
VCI含有フィルムを作製するには、フィルム内でVCI成分の所望の濃度を実現するのに必要な所定量のペレットをブレンダー内でさらなるLDPE粉末と均一に分散させ、得られた混合物を慣用のフィルム押出成形機のホッパーへと供給して、上記において特定された濃度の活性VCI成分を含有する所望の厚さの最終フィルムへと押出成形する。前記フィルムの押出成形は、当該技術分野において周知である慣用の技術である。
VCI含有カプセルは保護されるべき金属物を包むのではなく、前述のVCIを高い濃度で含有するポリマーのマクロ顆粒またはペレットのみを包むため、前記カプセルの壁のうちの少なくとも1つが水蒸気透過性であれば、前記カプセルの壁は透明である必要はないが、透明である方が好ましい。VCI成分の蒸気、具体的には主に亜硝酸ナトリウムおよびBHT、は徐々にペレットを透過し、カプセルを囲む空間へと移動する。
ある実施態様において、カプセルは、長さが短く、厚さが8milよりも薄い低級POの押出成形円筒管を含んでなる。前記円筒管は、約5mm(0.2”)〜約12.5mm(0.5”)の内径を有していてもよく、その内部には所定量のVCI成分含有ペレットが配置される。次に、前記管の開口端を、本質的に非加水分解性であるポリマーの連通発泡体で塞ぐ。カプセル内に濃縮物のマクロ顆粒が存在する状態において、その連通構造は、VCI成分の蒸気が発泡体の孔を通ってカプセルを囲む空間へと移動することを促進させる。前記発泡体は、低級オレフィン、例えばPEもしくはPP、またはポリウレタンまたはポリエステルで形成されていることが好ましく、Burnett Foam Co.社製の「charcoal ester form」として市販されているものが最も好ましい。
他の実施態様において、カプセルは、連通発泡体の中空平行六面体を含んでなる。その内部には、VCI成分の蒸気が発泡体を通過してカプセルを囲む空間へと移動できように、所定量のVCI成分含有ペレットが配置される。そのようなカプセルを作製するのに便利な方法とは、6つの空間すべてが銅線の支柱によって規定された比較的硬い直方体を用意することである。適当な大きさの長方形の発泡体片を各空間内でプレスまたは固定することによって平行六面発泡体を形成する。最後の発泡体片は、前記中空平行六面体内に所望の量のペレットを入れた後で最後に残った面に固定される。
さらに他の実施態様において、カプセルは、厚さが0.20mm(8mil)よりも薄いPOフィルムで形成された長方形中空平行六面体を含んでなる。その内部には、VCI成分の蒸気が前記フィルムを通過してカプセルを囲む空間へと移動できるように、所定量のVCI成分含有ペレットが配置される。そのようなカプセルを作製するのに便利な方法とは、ポリマーの矩形管を押出成形した後、その一部を小さく切り出す。前記部分の長さは、前記部分の内部に配置されるペレットを収容するための空間を提供するのに十分である。一端に嵌め込むのに十分な大きさの発泡体を切り出し、前記部分の一端へと押し込み、好ましくはそこに接着固定する。ペレット、すなわちVCI成分は、前記中空部分の内部に設置される。そして、前記部分の残っている開口端に別の発泡体片を押し込み、前記部分の内部にVCIを解放可能なように密閉する。
ASTM E 96に規定されている試験方法によれば、WVTRの比較は、PEフィルムと本発明のPE−VCIフィルムとを用いて行なわれる。各フィルムは、以下のようにして、約0.1mm(4mils)の厚さへ押出成形される。すなわち、まずLDPE DuPont 20−6064のごときLDPEまたは線状低密度LLDPE Dowlex 2535またはMicrothene(登録商標)FE 532 エチレン/ビニルアセテート共重合体中で濃縮物を調製し、前記濃縮物の一部をLDPE、Dowlex 2045またはDowattane 4203のごとき希釈ポリマーで希釈し、そして得られた混合物を溶融形成する。希釈された熱形成ポリマー中の共重合体の濃度が7%よりも低いため、内部にVCI成分が分散された最終フィルムは、「PE−VCIフィルム」と呼ばれる。「プレーンなPEフィルム」は、100ppm未満のBHTを含有すると考えられるEquistar 940−094のごとき市販のLDPEフィルムである。
ある実施例では、まず、1ロット45.45kg(100lb)のペレットを下記量のVCI成分を用いて調製した。
亜硝酸ナトリウム 23.474%
ヒュームドシリカ 00.726%
捕捉剤 02.0%
BHT 04.5%
着色剤 00.22%
成分の合計 30.92%
残りの31.4kg(69.08lb)は、Microthene FE 532である
2,6−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)。
前記成分および共重合体を混ぜ合わせ、任意の長さのロッドへと押出成形した後、ペレット化することによって濃縮物を形成した。この共重合体の選択は、LDPEに容易に混和できる比較的融点の低いポリマーを探すことに基づく。所望により、得られたペレットをカプセルに装填した。
前記成分をフィルムに混入させる場合、ペレットの一部またはすべてを希釈LDPE(または濃縮物が相溶できる他のポリマー)と混ぜ合わせた後、押出成形する。0〜50℃の周期温度条件および95%RHにおいて少なくとも1年間鉄金属物を保護するように調整されたフィルムを押出成形するには、13.63kg(30lb)の前記濃縮物のペレットを440.9kg(970lb)のLDPEと混ぜ合わせて、1バッチ1,000lbのPE−VCIフィルムのバッチを押出成形した。厚さが0.1mm(4mils)である最終VCIフィルムは、下記量の成分を有する。
亜硝酸ナトリウム 0.712%
ヒュームドシリカ 0.02%
捕捉剤 0.06%
BHT 0.135%
酸性ガスで汚染された環境内で高湿度条件下において10年間に及ぶ保護が所望される場合、前記厚さが0.1mmであるフィルムは、3.5%の亜硝酸ナトリウム、0.1%のヒュームドシリカ、0.3%の二ケイ酸ナトリウムおよび0.675%のBHTを含有していてもよい。しかしながら、おそらくフィルムの透明性が減殺されることになる。薄い(0.1mm)フィルム中で高い濃度を有することよりも好ましい案としては、濃度は低いがより厚さのある(1mm)フィルムを用いることである。10年フィルムの厚さが1mmであり、かつ、成分の濃度が厚さが0.1mmのフィルムと同じである場合、活性成分の放出率はより均一となるため、保護が得られることになる。
プレーンPEフィルムのWVTRとPE−VCIフィルムのWVTRとの比較
0.06%の酸化亜鉛と、0.06%の二ケイ酸ナトリウムと、前記量の他の成分とを含有する各フィルムの試料を比較する。前記試料をカップに合うように切断した。前記カップは、各々、直径が7.62cm(3”)である外側にネジ山のついた開口を有する。約0.0875mm(3.5mil)〜0.105mm(4.2mil)の範囲の様々な厚さのフィルムから5つの試料を切り出し、前記5つの試料についての測定値を平均した。前記カップに、それぞれ同重量の塩化カルシウムを充填し、各試料を内側にネジ山のついたキャップでカップに固定して前記材料を各カップ内に密閉した。その後、相対湿度が90〜95%および温度が37.2℃(100°F)であるオーブン内に前記カップを設置する。前記カップを前記オーブンから一定の間隔で取り出し、その重量を測ることによって、それぞれの平均重量増加(前後の重量の差分)および平均WVTRは以下のようであった。
表I − WVTRの比較
フィルム 68時間後 118時間後
プレーンPE 0.3552gm/100in/24hr 0.3638gm/100in/24hr
PE−VCI 0.3456gm/100in/24hr 0.3465gm/100in/24hr

酸化亜鉛および二ケイ酸ナトリウムを用いた場合にも、実質的に同じ結果が得られた。上記から明らかなように、捕捉剤が酸化亜鉛であるか二ケイ酸ナトリウムであるかに関わらず、68時間後の前記2つのフィルムのWVTRに実質的に有意な差は無かった。プレーンPEと‘912特許のPE−VCIフィルムとの比較においても、同様の結果が得られた。はっきりとした差がないため、1年という長い期間にわたってケイ酸ナトリウムが前記‘912成分よりも優れた腐食防止効果を提供すると予想する理由がなく、また、酸化亜鉛または二ケイ酸ナトリウムのいずれかが捕捉剤機能を提供すると予想する理由もない。
フィルム中のVCIの効果の比較
「ボタン」と呼ばれる金属片から空間を置いて離れたPEフィルム片中のVCIの効果の定性的比較を、「VCI蒸気の腐食抑制能力」という表題のついたU.S.Federal Test Method Standard 101C、Method 4031によって行った。プレーンPE’フィルムは保護効果をほとんど発揮しないため、腐食のひどい一般的な保護されていない軟鋼ボタン(「コントロール」)には数値「1」を与えた。試験は以下のようにして行った。
金属ボタンの作製
Federal Test Method STD No.101Cに準拠したQQ−S−698軟鋼ボタンを、旋盤の上で、まず240グリット炭化ケイ素ペーパーで研磨し、次に400グリットの酸化アルミニウムペーパーで研磨した。金属片の表面と側面の両方を研磨することによって、より一貫性のある試験結果が得られた。各ボタンの直径は15.9mm(0.625”)、厚さは9.5mm(0.375”)であった。
試験ボタンを、まず高温のミネラルスピリット(ルール66)に浸漬することによって、溶媒浴にて洗浄した。このとき、サンドペーパーからの残留物を、殺菌綿棒ですべて取り除いた。次に、前記鋼ボタンを、沸騰したメタノール95%の浴に入れた。ボタンを1つずつ取り出し、温風で乾かした。
試験装置の作製
2.54cm(1”)×15.24cm(6”)×厚さ0.0875mm(3.5mil)のフィルム片を、ガラス製クォートジャーの6cm(2.375”)の口にねじ込まれて固定される蓋の内面に、3−M(登録商標)Scotch Tapeで貼り付けた。前記フィルム片は、各ジャーの蓋を通して挿入される円筒管の一端に、これから空間を置いて離れ互いに向かい合って配置された。前記管は、ボタンが挿入される一端にラバーホルダーを有する。前記フィルム片は同様の手順で作製した。すなわち、まずMicrothene FE 532を用いて濃縮物を調製した後、前記濃縮物をLDPEで希釈した。各VCI配合物について、平均測定値が記録されるようにするために、通常は複数個(5個)のジャーを用意した。一組目の5個のジャーは、活性成分である亜硝酸ナトリウム、BHTおよび二ケイ酸ナトリウムをVCI組み合わせとして前述の割合で含有し、かつ、約0.05phrPEの濃度で存在するヒュームドシリカも含有する厚さが0.0875mm(3.5mil)であるPEフィルム片を用いた。二組目の5個のジャーは、前述と同じ割合で存在する亜硝酸ナトリウムおよびBHT(捕捉剤は含有せず)を含有し、かつ、同じ濃度(500ppm)で存在するヒュームドシリカも含有する厚さが0.0875mmであるPEフィルム片を用いた。三組目の5個のジャーは、何も成分を添加しなかった厚さが0.875mmであるプレーンPEフィルム片を用いた。
試験
スチールボタンを、シリコーンまたはグリースシーラーを全く用いずに、試験装置の各ラバーホルダーに挿入した。グリセリン−水溶液、sp.gr.1.18、を、水面がボタンの下面から約10cm(4”)に達するまで、ジャーに注ぎ込んだ。10mlのグリセリン水を含有する各ジャーに各ジャーの蓋をしっかりと固定することによって、室温において相対湿度が90%の環境を作った。ジャーを20時間放置した後、約50℃のかなり温かい水浴中に、水線がジャーの高さの約1/3〜1/2に位置する状態で、約15〜20秒間入れておいた。これにより、腐食速度が速まる。前記試験装置を水浴から取り出した後、水を保有する管を直ちに氷水で満たした。試験装置を3時間放置することによって試験を終了させ、VCIを含有していないフィルム片で保護された「コントロール」と腐食の程度を目視で比較することによって、試験結果を観察した。その他のフィルム片にはVCIを使用している。腐食の程度は1〜10の数字で記録した。腐食度が低いほど、この数字は大きい。
前記観察によれば、(ケイ酸ナトリウムを含むVCIの組み合わせを含有するフィルムで保護された)一組目のジャーのボタンは、ほとんど目に見えない茶色の斑点に示されるように、ほんのわずかに腐食しているのみであり、その腐食度は1〜10の10段階評価で9〜10であった。(‘912に記載の成分の組み合わせを含有するフィルムで保護された)二組目のジャーのボタンは、前記一組目のボタンよりも腐食が酷く、その腐食度は1〜10の10段階評価で7〜8であった。一方、三組目のジャーのコントロールボタンは腐食が激しく、その腐食度は1〜10の10段階評価で1〜2であった。この証拠によって、露出されたボタンと空間を置いて離れた関係にある本発明のフィルムは、一層効果的な腐食防止効果を与えることが定性的に確認された。結果を以下にまとめる。
試験したフィルム 腐食の観察結果
‘912成分を含有するPE 7〜8
ケイ酸ナトリウムおよび‘912成分を含有するPE 9〜10
プレーンPE 1〜2

ケイ酸ナトリウムの添加によって得られる保護のレベルは、‘912成分のみによって得られる保護のレベルよりもかなり高いことは明らかである。ケイ酸ナトリウムを同じ濃度の酸化亜鉛で置き換えた場合も同様の結果が得られた。
‘912VCIフィルムとケイ酸ナトリウムを含有する新規なフィルムとの比較
“Part 2: Test Db and guidance: Damp heat,cyclic (12+12−hour cycle)”を規定するInternational Standard IEC 68−2−30 for basic environmental testing proceduresに従って実施されるさらに厳密なチャンバー試験で、前記結果を確認した。
すべてのフィルムサンプルの厚さは0.1mm(4mils)であった。捕捉剤を含む新規なVCI成分は、厚さが0.1mm(4mils)である最終のVCIフィルム中に、前述の量で存在し、かつ、合計で1%の濃度で存在していた。(捕捉剤を含まない)‘912VCI成分は、厚さが0.1mm(4mils)である最終のVCIフィルム中に、下記量、すなわち、亜硝酸ナトリウムが0.742%、ヒュームドシリカが0.02%、BHTが0.165%の量で存在し、かつ、合計で1%の濃度で存在していた。捕捉剤によって占められる量(0.06%)は、亜硝酸ナトリウムとBHTとの間で等分された。
各々が研磨および乾燥した長方形の1010軟鋼プレートである一般には5つのサンプルを、それぞれ、ナイロン支柱でできた箱型の骨組みの内部に吊るし、その骨組みの周りに試験対象のフィルムをしっかりと巻き付けた。5つの包まれた箱型の骨組みの各々の各プレートを、温度および環境を任意の特定の時間−温度サイクルに応じて調節することができるチャンバー内に吊るした。
試験は、相対湿度が高いレベルに維持される1種以上の温度サイクルで構成される。このサイクルを、温度降下時間以外は同じである2タイプ用意した。タイプ2の方が、相対湿度および温度降下速度の変位幅が広い。試験は、前記サイクルの上限温度およびサイクル数によって求めた。
前記チャンバー内の温度は、25±3℃と(規定どおりに)指定された変位幅および変化率で指定された適切な上限温度との間で周期的に変化させることができる。前記チャンバー内の状態は実質的に一定であり、特定の温度および湿度条件を維持するのに必要な速度で空気を連続して攪拌した。試験対象であるサンプルを、チャンバー調整プロセスからの放射熱に曝した。前記チャンバー内の湿度を維持するのに用いた水の抵抗は500Ωm以上であった。凝縮水は前記チャンバーから連続して抜き出し、再利用はしなかった。凝縮水がサンプルに接触しないように十分注意した。
試験の苛酷度は、以下のように上限温度とサイクル数との組み合わせ、すなわち、55℃の上限温度、25℃の下限温度および1日当たり1サイクルという組み合わせによって定めた。サイクルは以下のように説明される。チャンバーの温度を98%の相対湿度において25℃に6時間維持した。次に、95%の相対湿度において、1時間当たり約10℃の割合で温度を約3時間かけて連続して55℃まで上昇させた。この温度を9時間維持した。この9時間の間、相対湿度は、最初と最後の15分間において90%〜100%の範囲内にあったほかは、93%であった。
次に、1時間当たり約15℃の割合で2時間以内に温度を25℃まで下げた。この低温度を、98%以上の相対湿度において、試験時間が24時間に達するまで(すなわち4時間)維持した。
結果は以下の通りである。
‘912成分を含有するフィルムで保護されたサンプルには、平均で25サイクル後、目に見える腐食が生じた。
本発明のVCI成分の組み合わせを含有するフィルムで保護されたサンプルには、30サイクル後でも、目に見える腐食は生じなかった。捕捉剤が二ケイ酸ナトリウムであっても酸化亜鉛であっても結果は実質的に同じであった。試験が‘912VCI成分に対して予想以上にかなり大幅な向上を示したため、30サイクル後に試験を中断した。
前述の結果は、“TL−8135−0002, Edition 9, Technical Specification for Packaging Material − Corrosion Inhibiting Paper − VCI Paper”という表題のついたFederal Office for Military Technology and Procurement of the Republic of Germanyのための仕様に従って実施される一般的な同様の試験において確認された。この試験において、前述の割合および1%の濃度で存在する‘912成分を含有するフィルムによって保護されたサンプルに生じた腐食は、腐食保護ステージ3であったのに対し、前述の割合および1%の濃度で存在する本発明のVCI成分の組み合わせを含有するフィルムによって保護されたサンプルの腐食は、腐食保護ステージ2にすぎなかった。
前述の方法と同様の方法で、25部の二ケイ酸ナトリウムを75部のMicrothene FE 532共重合体と混ぜ合わせ、押出成形し、ペレット化した。次に、得られたペレットの一部をそれよりもずっと多い量のPEで希釈した後、PEフィルム中の二ケイ酸ナトリウムの濃度が1重量%になるように厚さ1mmのフィルムへと押出成形した。
フィルム中の酸化亜鉛の濃度が1重量%になるように、前記手順を酸化亜鉛を用いて繰り返した。
次に、各フィルムの統計的に有意な数(3つ)のフィルム片を、Federal Test Method Std, No.101D, Method 4031に従って、密閉したジャー内におけるVCI活性について試験した。
結果
1〜10の10段階評価で、「1」は、100ppm未満のBHTを含有するプレーンPEフィルムで保護されたサンプルに見られるような最も激しい腐食である。前記フィルムの各々は1〜2の激しい腐食を示した。このことは、二ケイ酸ナトリウムも酸化亜鉛もそれだけでは腐食防止効果を与えないことを示している。

ケイ酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウムを用いて前記手順を繰り返した。すなわち、2.0%二ケイ酸ナトリウム、4.0%リン酸ナトリウムおよび94%Microthene FE 532を用いて濃縮物を調製し、その一部をPEで希釈した後、フィルム中のケイ酸ナトリウムとリン酸ナトリウムとの合計濃度が1%である厚さが0.1mmのフィルムへと押出成形した。
次に、各フィルムの統計的に有意な数(3つ)のフィルム片を、Federal Test Method Std, No.101D, Method 4031に従って、密閉したジャー内におけるVCI活性について試験した。
結果
1〜10の10段階評価で、「1」は、100ppm未満のBHTを含有するプレーンPEフィルムで保護されたサンプルに見られる最も激しい腐食である。前記フィルムの各々は1〜3の激しい腐食を示した。このことは、二ケイ酸ナトリウムとリン酸ナトリウムの組み合わせは腐食防止効果を実質的に全く与えないことを示している。
二酸化硫黄からの保護
以下の結果は、二酸化硫黄に起因する腐食に対する、本発明の組み合わせにおけるVCIの保護の効果を判断するための試験において得られたものである。試験は、蓋で密封することができる1ガロンのガラスジャーに1010スチールのパネルを入れて行った。各パネルを、試験対象のフィルムと接触させることなく包み、そして包まれたサンプルをジャーの内部に吊るした。プレーンPEを除いたすべての試験フィルムは、厚さが0.1mm(4mils)の最終のVCIフィルム中に所定の量のVCI成分を含有していた。一部の試験フィルム中には、前記成分が合計で1%の濃度で存在していた。他の最終の試験フィルムの場合、捕捉剤は0.06%の二ケイ酸ナトリウムであり、さらに他の最終の試験フィルムの場合、捕捉剤は0.06%の酸化亜鉛であった。
下記試験手順は1サイクルを説明したものである。各サイクル終了後にチャンバー内の溶液を取り替えることによって連続してサイクルを繰り返した。1サイクルは24時間であり、各サイクルは、50℃の温度におけるチャンバー内での16時間と、23℃の温度におけるチャンバー外の大気中雰囲気における8時間とで構成された。フィルムがその透明性を保っていたため、各サイクル後に金属片の包装を解かずに目視で検査した。各金属片を紙やすりで磨き、研磨した後、メタノールに浸し、乾燥させた。
複数の金属片を試験対象である特定のフィルムで個々に包装および密封した後、ジャーの口を密封するために用いられる蓋の内面から吊るした。
30mlの試験液(1%NaSO+1%NHCl、脱イオン水中)を50mlのプラスチックビーカーに注ぎ込み、前記ビーカーを各ガラス製の広口ガロンジャー内に設置することによって約95%RHの雰囲気を維持した。これとは別に、0.04gのNa・5HOを20mlのプラスチックビーカーに入れ、前記ビーカーをジャー内に設置した。次に、1mlの0.1NHSOをビーカー内の次亜硫酸ナトリウムに添加し、直ちにジャーの口を蓋で密封することによって、包装された金属片がジャーの内部に垂直に吊るされ、かつ、各金属片を包んでいるフィルムを、生成される二酸化硫黄に曝した。二酸化硫黄の濃度は、ジャー内部の雰囲気中で約0.2%であった。
次に、密封したジャーを50℃のオーブン内に16時間設置した後、ジャーを取り出し、室温(23℃)で8時間放置した。このサイクルを繰返し、孔食や着色といった表面変性の印がはっきりと分かるようになるまで金属片を目視で検査した。「10」が初期の未使用の表面と区別できない表面を表し、「1」がVCIで保護されていない比較用PEフィルムで包まれた金属片に生じた平均的な重度の腐食を表すという1〜10の10段階評価で、20サイクル後に以下の結果が得られた。

プレーンPEフィルム 新規なVCIを含有するPEフィルム
1 9

前記試験によって、LDPEフィルム中の捕捉剤を含む新規なVCIは、二酸化硫黄に起因する腐食に対する保護を約5倍向上させることが証明された。このような腐食は、二酸化硫黄に起因すると考えられ、二酸化硫黄はフィルム中の湿ったVCI成分の反応生成物によって捕捉された。捕捉剤が二ケイ酸ナトリウムでも酸化亜鉛でも、他の成分が同じままであれば、実質的に同じ結果が得られる。所望であれば、各捕捉剤を選択した割合で用いることによって、同様の結果をもたらすと予想される組み合わせを作ってもよい。
前述の方法と同様の方法で、25部の二ケイ酸ナトリウムを75部のMicrothene FE 532共重合体と混ぜ合わせ、押出成形し、ペレット化した。次に、得られたペレットの一部をLDPEで希釈した後、フィルム中の二ケイ酸ナトリウムの濃度が約1%になるように厚さ0.1mmのフィルムへと押出成形した。
フィルム中の酸化亜鉛の濃度が約1%になるように、前記手順を酸化亜鉛を用いて繰り返した。
次に、統計的に有意な数(3つ)の各フィルム片を、捕捉剤を含む新規なVCI成分について説明した方法と同様の方法で試験した。
結果
1〜10の10段階評価で、「1」は、(購入したときの状態のままでPE中に存在する)100ppm未満のBHTを含有するプレーンPEフィルムで保護されたサンプルに見られる最も激しい腐食である。前記フィルムの各々は、実質的に全く腐食を示さず(すなわち、わずかな斑点しか示さず)、この状態は約9と評価された。これは、前記ケイ酸塩および前記酸化亜鉛は、いずれも、二酸化硫黄のごとき酸性ガスに対する優れた捕捉剤として作用することを示している。
本発明を説明する目的で特定の代表的な実施態様および詳細を示してきたが、本発明の精神または範囲から逸脱しない範囲内で様々な変更および修正を本発明に行ってもよいことは当業者らにとって明らかである。

Claims (15)

  1. 鉄金属表面が密閉環境下において腐食防止組成物と一般に空間を置いて離れた関係にある場合に、90%の相対湿度および37.4℃(100°F)において1〜100ppmの酸性ガスを含有する分子酸素含有環境内において腐食から前記表面を保護するのに有効な前記腐食防止組成物を、希釈ポリマーで希釈することによって生成することに適した濃縮物であって、
    前記濃縮物は、実質的に非加水分解性である合成樹脂ポリマーを主成分として含んでなり、
    前記合成樹脂ポリマーは、10〜約40部の捕捉剤と、10〜40部の亜硝酸ナトリウムと、10〜40部の2,4,6−三置換フェノールと、5部未満のアジュバントとが内部に分散されており、
    前記捕捉剤は、アルカリ金属ケイ酸塩および酸化亜鉛からなる群から選択され、
    前記2,4,6−三置換フェノールは、置換されていてもよいメチレンカーボンおよび置換されていてもよいアミンからなる群から選択される4位置換基を有する、
    ただし、前記ポリマーは、低密度ポリエチレンの水蒸気透過率(WVTR)と少なくとも同じぐらい高い水蒸気透過率を有し、かつ、前記組成物の100部当たり少なくとも40部の量で存在する、
    ことを特徴とする前記濃縮物。
  2. 前記ポリマーは、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、低級C〜Cオレフィンの共重合体、低級C〜Cオレフィンとエチレン/ビニルアルコールとの共重合体、非生分解性ポリエステル、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリアミドならびに37.4℃(100°F)および90%RH(相対湿度)において0.025mm(mil)の厚さおよび645cm(100in)の面積について測定したWVTRが約1.5gm/24hよりも高い生分解性ポリエステルからなる群から選択される希釈ポリマーに相溶できるものである、請求項1に記載の濃縮物。
  3. 前記希釈ポリマーは、星型ε−カプロラクトン、ε−カプロラクトン(PCL)、8、16および24%の吉草酸塩を含有するポリ(ヒドロキシブチラート−co−バレラート)(PHBV)、コーティングされていないおよびニトロセルロースでコーティングされたセロファンフィルム、架橋キトサン、澱粉/エチレンビニルアルコール(St/EVOH)ブレンドフィルム、純EVOHフィルム(38モル%エチレン)および分子量が約80,000ダルトンであるポリカプロラクトン(PCL)からなる群から選択される生分解性ポリエステルである、請求項2に記載の濃縮物。
  4. 前記2,4,6−三置換フェノールは、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、トリス((3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’ヒドロキシベンジル)−2’アセトキシエチル))イソシアヌレート、およびペンタエリスリチル−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)からなる群から選択される、請求項2に記載の濃縮物。
  5. 前記アルカリ金属ケイ酸塩はナトリウムのケイ酸塩であり、そして前記アジュバントはヒュームドシリカおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される、請求項1に記載の濃縮物。
  6. 前記アジュバント、前記捕捉剤および前記亜硝酸ナトリウムは、約1〜53μmの一次粒子径を有し、かつ、前記ポリマー中に実質的に均一に分散されている、請求項2に記載の濃縮物。
  7. 実質的に光透過性である合成樹脂フィルムを主成分として含んでなる基質ポリマーから作られる任意の大きさおよび形状の物品であって、
    前記合成樹脂フィルムは、各々が前記フィルムの0.01〜2重量%の量で存在する酸化亜鉛およびアルカリ金属ケイ酸塩からなる群から選択される捕捉剤と、0.01〜2%の亜硝酸ナトリウムと、0.01〜2phrの2,4,6−三置換フェノールと、0.01〜1%の不活性アジュバントとを含む気化性腐食防止剤の組み合わせ、が内部に実質的に均一に分散されており、
    前記2,4,6−三置換フェノールは、置換されていてもよいメチレンカーボンおよび置換されていてもよいアミンから選択される4位置換基を有し、そして
    前記不活性アジュバントは、前記亜硝酸ナトリウムの硬度よりも高い硬度を有し、
    前記ケイ酸塩、前記亜硝酸ナトリウムおよび前記アジュバントは、それぞれ1〜53μmの一次粒子径を有し、そして
    前記樹脂は、90%の相対湿度および37.4℃(100°F)において分子酸素と1〜100ppmの酸性ガスとを含んでなる環境に24時間を超えて曝された後で、前記気化性腐食防止材料を含有しない同種類の樹脂の水蒸気透過率(WVTR)と実質的に同じである水蒸気透過率を有する、
    ことを特徴とする前記物品。
  8. 前記フィルムは炭素数が2〜8である低級オレフィンのフィルムであり、前記フィルムは滑らかな上面および下面と、0.0125mm(0.5milすなわち0.0005”)〜0.125mm(0.005”すなわち5mil)の厚さとを有し、そして前記不活性アジュバントはヒュームドシリカおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される無機分散剤である、請求項7に記載の物品。
  9. 第1の実質的に非加水分解性である合成樹脂ポリマーで形成された壁を有する中空カプセルであって、
    前記第1のポリマーは、腐食防止組成物のマクロ顆粒を含有し、
    前記組成物は、第2の実質的に非加水分解性である合成樹脂ポリマーを主成分として含んでなり、
    前記第2のポリマーは、10〜約40部の捕捉剤と、10〜40部の亜硝酸ナトリウムと、10〜40部の2,4,6−三置換フェノールと、5部未満のアジュバントとが内部に分散されており、
    前記捕捉剤は、アルカリ金属ケイ酸塩および酸化亜鉛からなる群から選択され、そして
    前記2,4,6−三置換フェノールは、置換されていてもよいメチレンカーボンおよび置換されていてもよいアミンからなる群から選択される4位置換基を有することを特徴とする前記中空カプセルにおいて、
    前記第1および第2の実質的に非加水分解性である合成樹脂ポリマーは同じでも異なっていてもよく、
    ただし、前記ポリマーの各々は、低密度ポリエチレンの水蒸気透過率(WVTR)と少なくとも同じぐらい高い水蒸気透過率を有し、かつ、前記組成物の100部当たり少なくとも40部の量で存在する、
    ことを特徴とする前記中空カプセル。
  10. 前記壁は、炭素数が2〜6である低級オレフィンのフィルムおよび実質的に非加水分解性であるポリマーの発泡体からなる群から選択されるポリマーで形成されている、請求項9に記載のカプセル。
  11. 前記第1および第2のポリマーの各々のWVTRは、37.4℃(100°F)および90%RH(相対湿度)において0.025mm(mil)の厚さおよび645cm(100in)の面積について測定されたときに、約1.5gm/24hよりも高いものである、請求項10に記載のカプセル。
  12. 2種以上の気化性腐食防止成分の組み合わせが内部に分散された合成樹脂ポリマーを熱成形する方法であって、
    10〜約40部の捕捉剤と、10〜40部の亜硝酸ナトリウムと、10〜40部の2,4,6−三置換フェノールと、5部未満のアジュバントとが内部に分散されており、
    前記捕捉剤は、アルカリ金属ケイ酸塩および酸化亜鉛からなる群から選択され、
    前記2,4,6−三置換フェノールは、置換されていてもよいメチレンカーボンおよび置換されていてもよいアミンからなる群から選択される4位置換基を有する、
    ただし、前記第1のポリマーは、前記マクロ顆粒の100部当たり少なくとも40部の量で存在する、
    ことを特徴とする第1のポリマーのマクロ顆粒を形成する工程と;
    前記マクロ顆粒と十分な量の第2のポリマーとを混ぜ合わせ、
    0.01〜2重量%の捕捉剤と、0.01〜2%の亜硝酸ナトリウムと、0.01〜2phrの2,4,6−三置換フェノールと、0.01〜1%の不活性アジュバントとを有し、
    前記捕捉剤は、アルカリ金属ケイ酸塩および酸化亜鉛からなる群から選択され、
    前記2,4,6−三置換フェノールは、置換されていてもよいメチレンカーボンおよび置換されていてもよいアミンから選択される4位置換基を有し、そして
    前記不活性アジュバントは、前記亜硝酸ナトリウムの硬度よりも高い硬度を有し、
    前記第1および第2のポリマーは、それぞれ、LDPEの水蒸気透過率(WVTR)と少なくとも同じぐらい高い水蒸気透過率を有し、そして前記ケイ酸塩、前記亜硝酸ナトリウムおよび前記アジュバントは、それぞれ、1〜53μmの一次粒子径を有する、
    ことを特徴とする、熱形成性混合物を生成する工程と;
    前記熱形成性混合物を熱形成手段へと供給する工程と;
    そして内部に前記亜硝酸ナトリウム、捕捉剤およびアジュバントの粒子が実質的に均一に分散された物品を熱形成する工程と、
    を含んでなることを特徴とする前記方法。
  13. 前記熱形成手段が押出成形機であり、そして前記物品が、滑らかな表面と、約0.0125mm(0.5milまたは0.0025”)〜0.125mm(5milsまたは0.005”)の厚さと、低密度ポリエチレンのWVTRと少なくとも同じぐらい高いWVTRとを有する実質的に透明な薄いフィルムシートである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記熱成形手段が成形機であり、そして前記物品が、厚さが約0.025mm(1milまたは0.001”)〜1.25mm(50milまたは0.05”)である断面を有する壁を有する、請求項12に記載の方法。
  15. 鉄製品を熱形成性合成樹脂から形成された容器内に設置する工程を含んでなり、
    前記熱形成性合成樹脂は、各々が前記フィルムの0.01〜2重量%の量で存在する、酸化亜鉛およびアルカリ金属ケイ酸塩からなる群から選択される捕捉剤を含む2種以上の気化性腐食防止材料の組み合わせと、0.01〜2%の亜硝酸ナトリウムと、0.01〜2phrの2,4,6−三置換フェノールと、0.01〜1%の不活性アジュバントとが内部に実質的に均一に分散されており、
    前記2,4,6−三置換フェノールは、置換されていてもよいメチレンカーボンおよび置換されていてもよいアミンから選択される4位置換基を有し、そして
    前記不活性アジュバントは、前記亜硝酸ナトリウムの硬度よりも高い硬度を有することを特徴とする前記方法において、
    前記ケイ酸塩、前記亜硝酸ナトリウムおよびアジュバントは、それぞれ、1〜53μmの一次粒子径を有し、そして
    前記樹脂は、90%の相対湿度および37.4℃(100°F)において分子状酸素と1〜100ppmの酸性ガスとを含んでなる環境に24時間を超えて曝された後で、前記気化性腐食防止材料を含有しない同じ種類の樹脂の水蒸気透過率(WVTR)と実質的に同じである水蒸気透過率を有する、
    ことを特徴とする、腐食環境下において鉄製品を腐食から保護する方法。
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