JP2006525319A - 亜鉛含有徐放性組成物,その製剤およびその製造方法 - Google Patents

亜鉛含有徐放性組成物,その製剤およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

簡単で、しかも高収率の製造方法により、G−CSFをはじめとする生理活性蛋白質あるいはペプチドを、沈澱化により安定化させるとともに、徐放効果により生体内で数日間に亘り薬効を保持する亜鉛含有徐放性組成物を提供するものであり、具体的には、生理活性蛋白質あるいはペプチド、水溶性亜鉛塩、水溶性炭酸塩および/または水溶性リン酸塩水溶液を混合し、沈澱を形成させることからなる亜鉛含有徐放性組成物である。当該前記亜鉛含有徐放性組成物は、必要に応じて製剤学的に受容可能な添加物を加えることにより、亜鉛含有徐放性製剤として投与しうる。

Description

本発明は、生理活性を有する蛋白質あるいはペプチドと、水溶性亜鉛塩と、水溶性炭酸塩および/または水溶性リン酸塩の水溶液を混合し、沈澱を形成させることからなる亜鉛含有徐放性組成物、その製剤およびその製造法に関する。
現在、好中球の減少を伴う疾患や病態に対して、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)製剤が用いられている。その投与方法は静脈注射、皮下注射、点滴などであるが、投与が1日1回あるいは2回による連日投与となっている。
これは、G−CSFの血中安定性が悪く半減期が短いうえに、薬効を維持するためにはある濃度以上のG−CSFが血中に存在する必要があるからである。そのために患者は連日投与という負担を強いられ、G−CSFの大量使用にもつながっている。したがって、G−CSFの血中濃度を維持するための製剤化が必要とされている。
そこで、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)が金属イオン、たとえばカルシウムイオンや亜鉛イオンで沈澱を形成することに注目し、その水不溶性沈澱による徐放製剤の開発を試みた先行技術がある。例えば、蛋白質と多価金属イオンのみの沈澱は溶解し易く、そのままでは期待する徐放効果は得られない。したがって、G−CSFと金属イオンからなる沈澱の溶解を抑える方法として、G−CSFと金属イオンからなる沈澱組成物中にさらに別の沈澱性の物質を加える方法が提案されている(特開2003−81865号公報)。この場合に添加される別の沈澱性の物質としては、金属イオンと結合するそれ自体で薬効がほとんど無い蛋白質、例えばヒト血清アルブミンなどであり、さらにコンドロイチン硫酸のような酸性ムコ多糖体を添加することにより、上記混合蛋白質をさらに効率よく沈澱でき、得られた沈澱物についてG−CSFの徐放性もさらに向上するとされている。
しかしながら、かかる方法では、G−CSFは、数100μg/ml程度の濃度の場合には、これら蛋白質との共沈によりその95%以上が沈澱するものの、濃度が1mg/ml以上であると、沈澱効率が90%以下に落ちてしまう問題点がある。また、共沈物として使用するヒト血清アルブミンやコンドロイチン硫酸は生体由来物質であることから、安全性に問題点がある。さらに、この方法において、必須として添加する生体由来物質は高価なものであることから、その使用は製造コストに少なからず影響を与え、また使用を控えられているという問題点がある。またさらに、組成物の種類による製造工程数などを考えると、いまだ改良の余地があるという問題点があった。
また、国際公開公報WO03/000282公報には、成長ホルモンの固形化を目的として、成長ホルモンと、炭酸水素ナトリウムおよび酢酸亜鉛を組合せることが記載されている(実施例1、2)が、生成した固形成長ホルモンの徐放効果については言及されていない。また、本発明者らが見出した徐放性性能を得るための組成とは異なるものである。
そこで、本発明は前記の方法よりも簡単で、しかもG−CSF等の生理活性蛋白質あるいはペプチドを高収率で沈澱化させ、安定化させるとともに、得られた沈澱物が徐放効果により、生体内で数日間に亘り生理活性蛋白質あるいはペプチドの薬効を保持し得る、水不溶性の製剤を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明者らは前記したヒト血清アルブミンやコンドロイチン硫酸のような生体由来物質を使用することなく、亜鉛イオンと相互作用を持つ生理活性蛋白質を、亜鉛イオン共存下で効率よく沈澱形成させ得る物質を見出すべく、亜鉛の水不溶性塩との共沈を利用する方法を検討した。
その結果、亜鉛イオンと相互作用を持つ生理活性蛋白質は、塩化亜鉛や酢酸亜鉛のような水溶性亜鉛塩と、水溶性の炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの炭酸塩および/またはリン酸ナトリウムのようなリン酸塩とを混合することにより形成される沈澱中に、効率よく含有されることを見出した。
すなわち本発明者らは、水溶性の亜鉛塩と、水溶性の炭酸塩および/またはリン酸塩水溶液との混合による沈澱形成時に、G−CSFのような亜鉛結合性生理活性蛋白質を共存させると、効率よくこのような生理活性蛋白質を含有する沈澱が形成されることを見出した。その上、得られた沈澱組成物は、含有している生理活性蛋白質を徐放的に放出することが確認された。
さらに、水溶性の炭酸塩とリン酸塩の両者を用い、その混合比を変化させることにより、G−CSFのような生理活性蛋白質の徐放速度を調節できることも見出した。
ところで、同様な水不溶性無機塩を用いた粒子徐放製剤として、特開2002−348234号に記載の炭酸カルシウム製剤がある。この場合、100μg/ml程度のG−CSFを沈澱に含有させるには、1M以上の濃度で炭酸カルシウム粒子を形成させることが必要とされている。また、得られた沈澱からのG−CSFの放出は微量であり、本発明の沈澱組成物との沈澱の性質は非常に異なるものである。
例えば、本発明においては20mM程度の酢酸亜鉛あるいは塩化亜鉛(亜鉛濃度:約1.3mg/ml)および20mM程度の炭酸水素ナトリウムおよび/またはリン酸塩を用いて同時に混合することにより、約1mg/ml濃度のG−CSFのほとんどを沈澱物中に含有することができる。
すなわち、水溶性の亜鉛塩、ならびに水溶性の炭酸塩および/またはリン酸塩を用いることにより、G−CSFとほぼ同等の重量の亜鉛量で、例えばG−CSFをほぼ100%沈澱させることができることを見出し、本発明に至った。
得られた沈澱は、注射針を通るのに十分な細かさであり、注射剤として使用可能である。
さらに本発明は、生理活性蛋白質の沈澱形成の収率を高めるだけでなく、生体内での徐放効果も非常に高まることがマウスを使った実験において確認され、本発明を完成した。
したがって、本発明の基本的態様は、生理活性蛋白質あるいはペプチド、水溶性亜鉛塩、水溶性炭酸塩および/または水溶性リン酸塩の水溶液とを混合することにより得られた、生理活性蛋白質あるいはペプチドを含有する沈澱物からなることを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物である。
より具体的な本発明は、前記の水溶性亜鉛塩が、酢酸亜鉛あるいは塩化亜鉛であることを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物である。
また、本発明は、具体的には、前記の水溶性炭酸塩が、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムであり、水溶性リン酸塩が、リン酸ナトリウムまたはリン酸水素ナトリウムであることを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物である。
この場合において、水溶性炭酸塩は沈澱物の形成および初期の徐放性を良好にし、また水溶性リン酸塩は、沈澱物から生理活性蛋白質あるいはペプチドの徐放的放出持続性を良好にするものである。
さらに具体的には、前記の生理活性蛋白質が、G−CSF、抗体、成長ホルモン、IFN、EPO、GM−CSF、BDNF、NT3、インターロイキンまたはFGFであることを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物である。
より好ましい具体的な本発明は、前記の亜鉛含有徐放性組成物が、凍結乾燥されたものであり、また、皮下注射および筋肉内注射に適した形態であることを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物である。
また本発明は、別の態様として、これらの亜鉛含有徐放性組成物を含有する亜鉛含有徐放性製剤を提供するものであり、具体的には、上記した亜鉛含有徐放性組成物に、必要に応じて製剤学的に受容可能な添加物を加えたことからなることを特徴とする亜鉛含有徐放性製剤である。
具体的には、前記の製剤学的に受容可能な添加物が、分散剤、界面活性剤、防腐剤または安定化剤であることを特徴とする亜鉛含有徐放性製剤であり、より具体的には、前記の製剤学的に受容可能な添加物が、糖類であることを特徴とする亜鉛含有徐放性製剤である。
また本発明は好ましくは、凍結乾燥されたものであることを特徴とする亜鉛含有徐放性製剤であり、皮下注射および筋肉内注射に適した形態であることを特徴とする亜鉛含有徐放性製剤である。
そのなかでも本発明は、特に、前記生理活性蛋白質がG−CSFである亜鉛含有徐放性製剤からなる白血球増加剤である。
さらに本発明は、また別の態様として、生理活性蛋白質あるいはペプチド、水溶性亜鉛塩、水溶性炭酸塩および/または水溶性リン酸塩の水溶液とを混合し、生理活性蛋白質あるいはペプチドを含有する沈澱物を形成することを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物の製造方法でもある。
本発明は、上記したように、その基本的態様は、G−CSFをはじめとする生理活性蛋白質あるいはペプチドと、水溶性亜鉛塩、水溶性炭酸塩および/または水溶性リン酸塩の水溶液とを混合することにより得られた、生理活性蛋白質あるいはペプチドを含有する沈澱物からなることを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物である。
この沈澱を形成させる場合においては、特にpHが4.5〜9.0の間で沈澱を形成させることを特徴とする。すなわち、中性に近いpHであるためG−CSFのように、極端なpH値で活性を失うような蛋白質においても、その活性を損なわずに製造することが可能である。さらに、沈澱にG−CSFを高い割合で含有させることを特徴とする。この場合の最適な条件では99%以上の含有率が得られるのである。
本発明が提供する沈澱物である水不溶性徐放性組成物は、基本的には10〜2000μg/mlのG−CSFを、20mM以上の最終濃度の炭酸水素ナトリウム溶液と最初に混合し、次いで最終濃度20mM以上の酢酸亜鉛溶液あるいは塩化亜鉛溶液を加え、沈澱を形成させて沈澱徐放組成物を作ることが望ましい。この場合、水溶性亜鉛塩の添加量は、生理活性蛋白質あるいはペプチドと、水溶性亜鉛塩における亜鉛のモル比が、1:100以上であることが好ましい。
同様に、抗体、インターフェロン、成長ホルモンについても、本発明の沈澱の作製方法により、G−CSFとほぼ同等の性質を有するものと思われる沈澱組成物を作製することができた。
また、G−CSFの沈澱物中への含有率は少々落ちるものの、炭酸塩の替わりに中性付近のリン酸塩を用いても本発明が目的とする徐放組成物を作ることができる。さらに、水溶性炭酸塩とリン酸塩の両者を用い、その混合比を変化させることにより、G−CSFの徐放速度を調節できることも見出した。
また、コンドロイチン硫酸のような酸性ムコ多糖や乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)を加えることにより、徐放効果を調節することも可能である。
さらに、本発明の沈澱組成物にあっては、沈澱形成後の懸濁液中に、マンニトールやトレハロースなどの糖類を加え凍結乾燥したものを、注射用蒸留水で再懸濁し、用いることができる。
凍結乾燥前後の沈澱物をEDTAで溶解し、HPLCにより分析したところ、その溶出パターンは作製に使用したG−CSFのそれと違いはなく、G−CSFが沈澱作成中、あるいは凍結乾燥中に凝集や分解をおこしていないことが確認され、極めて安定性に優れたものであることが確認された。なお、本沈澱を含有する製剤は、その貯蔵安定性試験において、37℃で1ヶ月以上G−CSFが変性していないことが確認されている。
本発明が提供する別の態様である沈澱組成物を含有する製剤、例えばG−CSF含有製剤は、上記した沈澱の形成により得られた沈澱物と、製剤学的に受容可能な添加物である分散剤、界面活性剤、防腐剤、安定剤、または糖類を加えたものからなり、かかる製剤は、皮下注射あるいは筋肉注射等の手段による投与が可能な製剤である。
かくして提供される本発明の製剤である、例えばG−CSF製剤は、マウスにおいては一回の投与で1週間以上その薬効を維持するだけでなく、その投与量はその薬効を維持するために連日投与で使用されるG−CSF量に比べ、少なくすることができる。
したがって、本発明が提供する亜鉛含有徐放性組成物は、具体的には、生理活性蛋白質あるいはペプチドと、水溶性亜鉛塩、水溶性炭酸塩および/または水溶性リン酸塩の水溶液とを混合し、生理活性蛋白質あるいはペプチドを含有する沈澱物を形成することにより製造される。
かかる方法により製造される亜鉛含有徐放製剤にあっては、含有させる生理活性蛋白質あるいはペプチドとして、G−CSFのみならず、亜鉛イオンと沈澱を形成することができる生理活性蛋白質あるいはペプチドをあげることできる。そのような生理活性蛋白質あるいはペプチドとしては、例えば、ヒルジン、インターロイキン−2(IL−2)、インターフェロン(IFN)、エタナセプト、抗体、TNF抗体、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、成長ホルモン、BDNF、NT3、FGF、γ−カルボキシグルタミン酸を持つ蛋白質、His−タグをつけた組み換え体蛋白質製剤などを挙げることができる。そのなかでも、特に微量で薬効を示す生体由来因子は望ましいものである。
例えば、抗体やインターフェロンや成長ホルモンを、本発明の方法により沈澱化したものは、G−CSFと同様の高率で沈澱物中に含有されたことから、同様の徐放効果を期待できる。
本発明が提供する徐放性製剤は、その特性を生かした非経口投与用製剤として製剤化することができる。
非経口用製剤としては、注射剤(皮下注射、筋肉内注射、静脈注射等)、点滴靜注等の液剤、噴霧剤等の経鼻剤、粘膜経由投与剤等を挙げることができる。これらの製剤は、いずれも日本薬局方の「製剤総則」に記載の方法に順じ、調製することができ、製剤化に用いられる担体、流動化剤、等張化剤、安定化剤等としては、製剤学的に汎用されている各種のものを適宜選択して、使用することができる。
本発明が提供する徐放性剤における有効成分である沈澱組成物の含有量は、一概に限定できない。一般には、投与されるべき患者の年齢、性別、体重、その症状等により異なるが、沈澱組成物中に含有される生理活性蛋白質またはペプチドの薬理活性を発揮し、その効果が発現できる用量を含有させればよい。
以下に、本発明を実施例により、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1G−CSFの酢酸亜鉛あるいは塩化亜鉛(20mM)と、炭酸水素ナトリウム溶液(20mM)混合による沈澱徐放性組成物の作成と、G−CSFの沈澱率、および金属塩をカルシウムとした場合の比較
約30mMのリン酸緩衝液に溶解したG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)8μlおよびミリQ水134μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)あるいは塩化亜鉛(0.5M)8μlを加え、室温に10分間静置した。同様に、約30mMのリン酸緩衝液に溶解したG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)8μlおよびミリQ水134μlを最初に混合し、次いで攪拌しながら塩化カルシウム(0.5M)8μlを加え、室温に10分間静置した。これら懸濁液を約10,000×gで遠心分離し、上清を採取し、さらに沈澱物は0.1M EDTA溶液(pH7.4)で溶解し、上清と沈澱物中に含有されるG−CSFの含有量を、ELISA法により求めた。
その結果を第1表に示す。
第1表:G−CSFの酢酸亜鉛あるいは塩化亜鉛溶液と炭酸水素ナトリウム溶液混合による沈澱形成におけるG−CSFの沈澱率および塩化カルシウム溶液と炭酸水素ナトリウム溶液混合におけるG−CSFの沈澱率
Figure 2006525319
第1表に示したように、1mg/mlのG−CSF濃度において、塩化カルシウムを用いた沈澱形成では10%以下しかG−CSFは沈澱に含まれていない。しかしながら、20mMの酢酸亜鉛あるいは塩化亜鉛を用いた沈澱形成では99%以上の高効率でG−CSFが沈澱物中に含有されていることが判明した。
なお、前記した先行技術としての特開2002−348234号では、G−CSFを高い効率で沈澱物中に含有させるためには、塩化カルシウム(5M)650μlとG−CSF(0.5mg/ml)250μlに、さらに炭酸ナトリウム(1M)2.5mlを加えることにより作製している。
実施例21mg/mlのG−CSFを99%以上沈澱させるのに必要な亜鉛の濃度の検討
(1)最終濃度が20mM亜鉛の製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解したG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.1M)40μlおよびミリQ水70μlを最初に混合し、次いで、この溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.1M)40μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
(2)最終濃度が10mM亜鉛の製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解したG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.1M)20μlおよびミリQ水110μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.1M)20μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
(3)最終濃度が5mM亜鉛の製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解したG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.1M)10μlおよびミリQ水130μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.1M)10μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
(4)最終濃度が2mM亜鉛の製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解したG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.1M)4μlおよびミリQ水142μlを最初に混合し、次いで攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.1M)4μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
これらの(1)〜(4)の懸濁溶液を、約10,000×gで遠心分離し、上清を採取し、さらに沈澱物を0.1M EDTA溶液(pH7.4)で溶解し、上清と沈澱物中に含有されるG−CSFの量をELISA法にて求めた。
その結果を第2表に示した。
第2表:1mg/ml G−CSF濃度で酢酸亜鉛と炭酸水素ナトリウムを用いた沈澱形成における亜鉛濃度とG−CSFの沈澱率
Figure 2006525319
第2表に示すように、最終濃度が20mMの酢酸亜鉛溶液を用いた場合(重量比、G−CSF:Zn=1:1.3)には、99%以上のG−CSFが沈澱物中に含有されているが、最終濃度が10mM以下の場合には、G−CSFの沈澱率が急激に低下することが判明した。
実施例3リン酸を含まない溶液で1mg/mlのG−CSFを99%以上沈澱させるのに必要な亜鉛の濃度の検討
(1)最終濃度が20mM亜鉛の製剤は、注射用水に溶解したG−CSF溶液(2.5mg/ml)80μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)8μlおよびミリQ水104μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)8μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
(2)最終濃度が15mM亜鉛の製剤は、注射用水に溶解したG−CSF溶液(2.5mg/ml)80μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)6μlおよびミリQ水108μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)6μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
(3)最終濃度が10mM亜鉛の製剤は、注射用水に溶解したG−CSF溶液(2.5mg/ml)80μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)4μlおよびミリQ水112μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)4μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
(4)最終濃度が5mM亜鉛の製剤は、注射用水に溶解したG−CSF溶液(2.5mg/ml)80μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)2μlおよびミリQ水116μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)2μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
これら(1)〜(4)の懸濁溶液を、約10,000×gで遠心分離し、上清を採取し、さらに沈澱物は0.1M EDTA溶液(pH7.4)で溶解し、上清と沈澱物中に含まれるG−CSF量をELISA法にて求めた。
その結果を第3表に示した。
第3表:1mg/mlのG−CSF濃度で、酢酸亜鉛と炭酸水素ナトリウムを用いた沈澱形成における亜鉛濃度とG−CSFの沈澱率
Figure 2006525319
第3表に示した結果からも判明するように、沈澱作成時にリン酸塩が含まれない場合には、最終濃度が5mMの酢酸亜鉛溶液(重量比、G−CSF:Zn=1:0.33)でもG−CSFを約99%沈澱させることが判った。
実施例41mg/mlのG−CSFを20mM酢酸亜鉛と20mM炭酸水素ナトリウムで沈澱させるときにリン酸塩がG−CSFの沈澱形成に与える影響
脱塩したG−CSF溶液(2.5mg/ml)80μl(終濃度1mg/ml)および炭酸水素ナトリウム(0.5M)8μl(終濃度20mM)混合液に、pH7.2のリン酸緩衝液(0.2M)/ミリQ水を、各々(1)40μl/64μl(リン酸終濃度40mM)、(2)20μl/84μl(リン酸終濃度20mM)、(3)10μl/94μl(リン酸終濃度10mM)、(4)5μl/99μl(リン酸終濃度5mM)、(5)0μl/104μl(リン酸終濃度0mM)と最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)8μlを加え、室温に10分間静置して、それぞれのリン酸最終濃度を有する懸濁液を調製した。これらの懸濁溶液を約10,000×gで遠心分離し、上清を採取し、さらに沈澱物は0.1M EDTA溶液(pH7.4)で溶解させ、上清と沈澱中に含有されるG−CSF量をELISA法にて求めた。
その結果を、第4表に示した。第4表に示した結果からも判明するように、20mM酢酸亜鉛/20mM炭酸水素ナトリウムでの組合せで、1mg/ml G−CSFの沈澱を作成する場合には、リン酸塩は10mM以下であればG−CSFの沈澱形成を阻害しないことが判明した。
第4表:1mg/mlのG−CSF濃度で20mM酢酸亜鉛と20mM炭酸水素ナトリウムを用いた沈澱形成において、リン酸塩が含まれるときのG−CSF沈澱率
Figure 2006525319
実施例5リン酸緩衝液に溶解させたG−CSFを用いて製造したG−CSF徐放製剤の血中動態
(1)G−CSFの2mg/ml含有徐放製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)1000μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)160μlおよびミリQ水680μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M) 160μlを加え作製した。
(2)G−CSFの0.2mg/ml含有徐放製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)100μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)160μlおよびミリQ水1580μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)160μlを加え作製した。
(3)G−CSFの0.02mg/ml含有徐放性剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)10μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)160μlおよびミリQ水1670μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)160μlを加え作製した。
(4)G−CSFの0.2mg/ml含有溶液製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)100μlおよびミリQ水1900μlを混合し、作製した。
これら(1)〜(4)の溶液に0.1gのマンニトールを加え、8週令ddYマウス(各群2匹)の皮下に、それぞれ5ml/kgずつ投与した。投与後4時間後、1、2、3、4日後に採血(65μl)を行い、ELISA法でG−CSF濃度を測定した。
第5表に示した結果から判明するように、G−CSF含有徐放製剤は、皮下投与により、徐放的に数日間G−CSFが血中に存在していることが確認された。これに対し溶液製剤は、G−CSFは血中に1日間しか検出できなかった。
第5表:G−CSF製剤投与マウスのG−CSF血中動態
Figure 2006525319
ND: 検出されなかった。
実施例6リン酸緩衝液に溶解させたG−CSFを用いて製造した場合と、脱塩によりリン酸を除いたG−CSFを用いて製造したG−CSF徐放製剤の血中動態の比較
リン酸を含む徐放製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)250μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)40μlおよびミリQ水170μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)40μlを加え作製した。リン酸を含まない徐放製剤は、注射用水に、脱塩したG−CSF溶液(2.5mg/ml)400μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)40μlおよびミリQ水20μlを最初に混合し、次いでこの溶液を攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)40μlを加え作成した。これらに0.025gのマンニトールを加え、8週令ddYマウス(各群2匹)に、上記製剤を皮下に5ml/kgずつ投与した。投与後4時間後、1、2、3、4日後に採血(65μl)を行い、ELISA法でG−CSF濃度を測定した。
第6表に示した結果から判明するように、リン酸を含むG−CSF製剤の方が、血中G−CSF濃度が10倍程度維持されることが示された。
第6表:G−CSF製剤投与マウスのG−CSF血中動態
Figure 2006525319
実施例7G−CSF徐放製剤におけるG−CSFと亜鉛量比が徐放性に与える影響
(1)G−CSF:Znのモル比が1:400の製剤は、脱塩したG−CSF溶液(2.4mg/ml)834μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)80μlおよびミリQ水6μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)80μlを加え作製した。
(2)G−CSF:Znのモル比が1:200の製剤は、脱塩したG−CSF溶液(2.4mg/ml)834μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)40μlおよびミリQ水86μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)40μlを加え作製した。
(3)G−CSF:Znのモル比が1:100の製剤は、脱塩したG−CSF溶液(2.4mg/ml)834μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)20μlおよびミリQ水126μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)20μlを加え作製した。
(4)G−CSF:Znのモル比が1:400の製剤(炭酸塩不含)は、脱塩したG−CSF溶液(2.4mg/ml)834μlおよびミリQ水86μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)80μlを加え作製した。
これらの製剤に0.05gのマンニトールを加え、8週令ddYマウス(各群2匹)に、上記製剤を皮下に5ml/kgずつ投与した。投与後4時間後、1、2、3、4日後に採血(65μl)を行い、ELISA法でG−CSF濃度を測定した。
その結果を第7表に示した。表中に示した結果からも判明するように、G−CSFに対する亜鉛の比が小さくなるに従い、製剤の徐放性能が落ちていくことが判った。また、G−CSFに対する亜鉛の比が同じであっても、炭酸塩を含まない製剤における徐放性は非常に低下した。
第7表:G−CSFと亜鉛の比を変えたG−CSF製剤投与マウスのG−CSF血中動態
Figure 2006525319
ND: 検出されなかった。
実施例8亜鉛含有G−CSF徐放製剤の炭酸塩とリン酸塩による徐放性の調節
(1)炭酸塩を使用した製剤は、脱塩したG−CSF溶液(2.3mg/ml)640μlおよび炭酸水素ナトリウム(0.5M)64μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)64μlを加え作製した。
(2)炭酸塩とリン酸塩の両方を使用した製剤は、脱塩したG−CSF溶液(2.3mg/ml)640μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)64μlおよびpH7.2のリン酸緩衝液(0.2M)40μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)64μlを加え作製した。
(3)リン酸塩を使用した製剤は、脱塩したG−CSF溶液(2.3mg/ml)640μlおよびpH7.2のリン酸緩衝液(0.2M)20μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)64μlを加え作製した。
これらの製剤に0.04gのマンニトールを加え、8週令ddYマウス(各群2匹)に、上記製剤を皮下に5ml/kgずつ投与した。投与後4時間後、1、2、3、4日後に採血(65μl)を行い、ELISA法でG−CSF濃度を測定した。
その結果を第8表に示した。表中に示した結果からも判明するように、亜鉛含有G−CSF製剤の作製において、炭酸塩あるいはリン酸塩を加えることより徐放性能に違いがあり、両者を同時に使用することにより徐放効果が優れることが判明した。また、これらの混合比により徐放速度が調節可能であることが示された。
第8表:亜鉛含有G−CSF徐放製剤の炭酸塩とリン酸塩によるG−CSF製剤投与マウスのG−CSF血中動態
Figure 2006525319
実施例9G−CSF徐放製剤の凍結乾燥による影響および血中動態
約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)0.5ml、炭酸水素ナトリウム(0.1M)4.0mlおよびミリQ水4.7mlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)0.8mlを加え沈澱形成後、0.5gのマンニトールあるいはトレハロースを加え1mlずつ分注し、凍結乾燥した。凍結乾燥前の試料450μlに0.5M EDTA50μlを加え沈澱を溶かし、このうちの100μlを逆相HPLCで分析した。凍結乾燥後の試料は1mlの注射用水で再懸濁し、450μl抜き取り0.5M EDTA50μlを加え沈澱を溶かし、このうちの100μlを逆相HPLCで同様に分析した。G−CSFの溶出ピークの面積でG−CSFの回収量を比較した。
その結果を第9表に示した。表中の結果からも判明するように、凍結乾燥後もほぼ100%G−CSFは回収され、凝集や分解は見られなかった。
第9表:G−CSF徐放製剤の凍結乾燥後のG−CSF回収率
Figure 2006525319
凍結乾燥が可能であることが確認できたので、実施例5の実験を凍結乾燥製剤で行なった。凍結乾燥製剤の再懸濁は0.5%カルメロースを用い行い、得られた溶液5ml/kgを8週令のddYマウスの皮下に単回投与した。第10表に示すように凍結乾燥製剤においても徐放効果が確認された。
第10表:G−CSF徐放製剤凍結乾燥品投与マウスのG−CSF血中動態
Figure 2006525319
ND:検出されなかった。
実施例10G−CSF徐放製剤におけるマンニトール添加の徐放性に対する効果
マンニトールを含む徐放製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/ml)476μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)80μlおよびミリQ水364μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)80μlを加えた後、さらに0.05gのマンニトールを加え作成した。
マンニトールを含まない徐放製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/ml)476μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)80μlおよび生理食塩水364μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)80μlを加え作成した。
8週齢のddYマウス(各群2匹)に、上記製剤を皮下に5ml/kgずつ投与した。投与後4時間、1、2、3および4日後に65μl採血を行ない、ELISA法でG−CSF濃度を測定した。
その結果を、第11表に示した。表中に示すように、マンニトールの添加による徐放効果を高める効果は、全く認められなかった。
第11表:G−CSF製剤投与マウスのG−CSF血中動態
Figure 2006525319
実施例11G−CSF徐放製剤の白血球増加効果
約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)100μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)160μlおよびミリQ水1580μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)160μlを加え作製した0.2mg/ml含有G−CSF徐放製剤、および約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)10μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)160μlおよびミリQ水1670μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)160μlを加え作製した0.02mg/ml含有G−CSF徐放製剤のそれぞれに、0.1gのマンニトールを加え凍結乾燥した。得られた凍結乾燥製剤に0.5%カルメロースを加え再懸濁し、7週令のddYマウス(各群3匹)に、それぞれの製剤を5ml/kgずつ単回皮下投与し、12日間にわたり採血(35μl)し、自動血球測定装置で白血球数を測定した。
その結果を第12表に示した。表中に示すように、投与量により白血球増加数に違いはあるが、両投与量において1週間以上の薬効の持続が確認された。
第12表:G−CSF徐放製剤投与マウスの白血球数の変化
Figure 2006525319
実施例12G−CSF徐放製剤とG−CSF溶液製剤の白血球増加効果の比較
(1)約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/ml)28.6μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)48μlおよびミリQ水1075.4μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)48μlを加え沈澱形成後、0.06gのマンニトールを加え、0.1mg/mlのG−CSF含有徐放製剤を調製した。
(2)約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/ml)48μlおよびミリQ水1952μlを混合し、次いで0.1gのマンニトールを加え、0.1mg/mlのG−CSF含有溶液製剤を調製した。
上記で調製したそれぞれの製剤を凍結乾燥した。得られた凍結乾燥製剤に0.5%カルメロースを加え再懸濁し、7週令のddYマウス(各群3匹)にそれぞれの製剤を10ml/kgずつ単回投与した。
なお、連日投与のためのG−CSF含有溶液製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/ml)38.4μlおよびミリQ水7961.6μlを混合後、0.4gのマンニトールを加え0.02mg/ml溶液製剤とし、1.5mlずつ分注し凍結保存したものを用い、7週齢のddYマウス(3匹)に、10ml/kgを初めの5日間にわたり連日投与した。
各試験において、12日間にわたり採血(35μl)し、自動血球測定装置で白血球数を測定した。
その結果を第13表に示した。表中に示すように、徐放製剤と同量単回投与した溶液製剤の薬効は、2日程度しかない。徐放製剤は、単回投与で溶液製剤を5回に分けて連投した薬効と同等以上の薬効を示し、また、溶液製剤の投与終了後では薬効がすぐになくなるのに比較して、徐放製剤は薬効の持続を示した。
第13表:G−CSF徐放製剤(単回)と溶液製剤(単回および連日5回)投与マウスの白血球数増加効果の比較
Figure 2006525319
実施例13酢酸亜鉛または塩化亜鉛を用いて作製したG−CSF徐放製剤の白血球増加効果の比較
約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)80μlおよびミリQ水1790μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)80μlあるいは塩化亜鉛(0.5M)80μlを加え作製した0.1mg/mlのG−CSF含有徐放製剤に、0.1gのマンニトールを加え凍結乾燥した。得られた凍結乾燥製剤に0.5%カルメロースを加え再懸濁し、7週齢のddYマウス(各群3匹)にそれぞれの製剤を10ml/kgずつ単回投与し、12日間にわたり採血(35μl)し、自動血球測定装置で白血球数を測定した。
その結果を第14表に示した。表中に示すように、徐放製剤作製において、亜鉛塩として酢酸亜鉛または塩化亜鉛のいずれを用いて作製した徐放製剤の薬効は、同等であることが判明した。
第14表:G−CSF徐放製剤投与マウスの白血球数の変化
Figure 2006525319
実施例14コンドロイチン硫酸含有G−CSF徐放製剤の白血球増加維持効果
約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/ml)28.6μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)48μlおよびミリQ水1075.4μlを最初に混合し、この溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)48μlを加え作製した0.1mg/mlのG−CSF含有徐放製剤、ならびに、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/mL)28.6μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)48μlおよびミリQ水1015.4μlを最初に混合し、この溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)48μlを加え、さらにコンドロイチン硫酸(20mg/mL)60μlを加え作製した0.1mg/mlのG−CSF製剤を調製した。
これらの製剤に0.06gのマンニトールを加え凍結乾燥した。得られた凍結乾燥製剤に0.5%カルメロースを加え再懸濁し、7週令のddYマウス(各群3匹)にそれぞれの製剤を10ml/kgずつ単回投与し、12日間にわたり採血(35μl)し、自動血球測定装置で白血球数を測定した。
その結果を第15表に示した。表中に示すようにコンドロイチン硫酸を加えた製剤は白血球数の最高値は低くなるが、白血球数増加の持続がより観察された。
第15表:G−CSF徐放製剤投与マウスの白血球数の変化
Figure 2006525319
実施例15リン酸塩を用いたG−CSF徐放製剤の白血球増加効果
約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)100μl、pH7.2のリン酸ナトリウム緩衝液(0.2M)400μlおよびミリQ水3340μlを最初に混合し、次いで攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)160μlを加え、0.1mg/mlのG−CSF含有徐放製剤を調製した。この製剤に、0.1gのマンニトールを加え凍結乾燥した。得られた凍結乾燥製剤に注射用水を加え再懸濁し、7週令のddYマウス(1群3匹)に10ml/kgずつ単回投与し、12日間にわたり採血(35μl)し、自動血球測定装置で白血球数を測定した。
その結果を第16表に示した。表中に示すように、炭酸塩の代わりにリン酸塩を用いた亜鉛含有徐放製剤においても1週間以上の薬効の持続が確認された。
第16表:G−CSF徐放製剤投与マウスの白血球数の変化
Figure 2006525319
実施例16G−CSFを最後に加え作製した沈澱へのG−CSF含有率とその沈澱製剤の薬効
炭酸水素ナトリウム溶液(0.5M)16μlおよびミリQ水158μlを最初に混合し、この溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)16μlを加え、さらに攪拌しながら約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)10μlを加え、室温に10分間静置した。懸濁液を約10,000×gで遠心分離し、上清を採取し、また得られた沈澱を0.1M EDTA溶液(pH7.4)に溶解し、上清と沈澱に含まれるG−CSF量を、ELISA法にて求めた。その結果、沈澱には、ほぼ100%のG−CSFが含まれていることが判明した。
薬効を確認するために、炭酸水素ナトリウム水溶液(0.5M)176μlおよびミリQ水1738μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)176μlを加え、さらに攪拌しながら約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)溶液110μlを加え、0.2mg/mlのG−CSF含有徐放製剤を調製した。得られた製剤に0.11gのマンニトールを加え凍結乾燥した。凍結乾燥製剤に注射用水を加え再懸濁し、7週令のddYマウス(1群3匹)に懸濁液を5ml/kgずつ単回投与し、12日間にわたり採血(35μl)し、自動血球測定装置で白血球数を測定した。
その結果を第17表に示した。表中に示すように、最初に酢酸亜鉛と炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、さらにG−CSFを加えて得た沈澱製剤においても、充分な薬効の持続が確認された。
第17表:G−CSF徐放製剤投与マウスの白血球数の変化
Figure 2006525319
実施例17抗TNF抗体(モノクローナル)とインターフェロンαおよび成長ホルモンについて、酢酸亜鉛溶液(20mM)と炭酸水素ナトリウム溶液(20mM)混合による沈澱形成における沈澱率
抗TNF抗体溶液(10mg/mL)10μl、炭酸水素ナトリウム溶液(0.5M)8μlおよびミリQ水174μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)8μlを加え、室温に10分間静置して、懸濁液を得た。
同様に、インターフェロンα(1.3mg/mL)77μl、炭酸水素ナトリウム水溶液(0.5M)8μlおよびミリQ水107μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)8μlを加え、室温に10分間静置して、懸濁液を得た。
さらに、成長ホルモン(0.5mg/mL)200μl、炭酸水素ナトリウム溶液(0.5M)16μlおよびミリQ水168μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)16μlを加え、室温に10分間静置して懸濁液を得た。
これら懸濁液を約10,000×gで遠心分離し、上清を採取し、沈澱は0.1M EDTA溶液(pH7.4)に溶解し、上清と沈澱に含まれる抗TNF抗体とインターフェロンα量をELISA法にて、また、成長ホルモン量は逆相HPLCで定量した。
その結果を第18表に示した。表中に示すように亜鉛との結合が知られている抗TNF抗体、インターフェロンαおよび成長ホルモン等の蛋白質は、抗TNF抗体あるいはインターフェロンαの0.5mg/mL、成長ホルモンの0.25mg/mLの濃度で、炭酸水素ナトリウム溶液と酢酸亜鉛溶液との混合による沈澱形成で、沈澱中への含有率は、G−CSF同様に非常に高いことが確認された。
第18表:抗TNF抗体、インターフェロンαおよび成長ホルモンの沈殿率
Figure 2006525319
実施例18亜鉛含有ヒト成長ホルモン(hGH)徐放製剤の炭酸塩とリン酸塩による徐放性の調節
(1)炭酸塩を使用した製剤は、脱塩したhGH溶液(0.5mg/ml)720μl、炭酸水素ナトリウム溶液(0.5M)24μlおよびミリQ水432μlを最初に混合し、この溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)24μlを加え、作成した。
(2)炭酸塩とリン酸塩の両方を使用した製剤は、脱塩したhGH溶液(0.5mg/ml)720μl、炭酸水素ナトリウム溶液(0.5M)24μl、pH7.2のリン酸緩衝液(0.2M)30μlおよびミリQ水402μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)24μlを加え、作成した。
(3)溶液製剤は、脱塩したhGH溶液(0.5mg/ml)720μl、炭酸水素ナトリウム溶液(0.5M)24μlおよびミリQ水432μlを混合し、作成した。
これらの製剤に、0.03gのマンニトールを加え、凍結乾燥した。投与前に、(1)と(2)の製剤は20mM酢酸亜鉛/20mM炭酸水素ナトリウム混合液600μlで、また(3)の製剤はミリQ水600μlで溶解した。7週齢ddYマウス(各群2匹)に、上記の製剤を5ml/kgずつ皮下投与した。投与4時間後、1、2、3、4日後に採血(65μl)を行い、自動EIA装置によりhGH濃度を測定した。
その結果を第19表に示した。表中の結果から判明するように、亜鉛/炭酸塩の両者を含有するhGH製剤では、薬物の溶出に徐放性が認められた。これにさらにリン酸塩を加えることにより、徐放性の性能が向上し、数時間後の溶出が抑えられ、さらに数日間、より高いhGHの血中濃度が観察された。
第19表:亜鉛含有hGH徐放製剤投与マウスにおけるhGHの血中動態
Figure 2006525319
ND:検出されない
実施例19凍結乾燥G−CSF徐放製剤の安定性
約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF(4.0mg/ml)0.5ml、炭酸水素ナトリウム(0.5M)0.8ml、ミリQ水7.9mlを最初に混合し、攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)0.8mlを加え沈澱形成後、0.5gのトレハロースを加え、1mlずつバイアルに分注し、凍結乾燥させた。凍結乾燥後、37℃の恒温器に入れた。凍結乾燥前の試料450μlに0.5M EDTA50μlを加え沈澱を溶解させ、その100μlを逆相HPLCでG−CSF含有量を測定した。一方、凍結乾燥直後、恒温器保存1週間後、4週間後の各試料1mlを注射用水で再懸濁し、その450μlを抜き取り、0.5M EDTA50μlを加え沈澱を溶解させ、その100μlを逆相HPLCで同様にG−CSF含有量を測定した。
G−CSFの溶出ピークの面積により、G−CSFの回収量を比較した。
第20表に示すように、凍結乾燥G−CSF製剤を37℃にて4週間保存した場合であっても、ほぼ100%のG−CSFが回収され、凝集や分解は認められなかった。
第20表:凍結乾燥G−CSF徐放製剤の37℃での4週間の安定性
Figure 2006525319
実施例20製剤例(懸濁注射剤)
実施例10に準じて作製した0.2mg/ml含有G−CSF徐放製剤に、マンニトールを加えて凍結乾燥した。得られた凍結乾燥製剤を、バイアルに充填し懸濁注射製剤を、別にバイアル充填した0.5%カルメロースあるいは注射用水を加え再懸濁することにより、懸濁注射製剤が調整される。
以上記載したように、本発明によりG−CSF等の生理活性蛋白質あるいはペプチドを高収率で沈澱化させ、安定化させるとともに、得られた沈澱物が徐放効果により、生体内で数日間に亘り生理活性蛋白質あるいはペプチドの薬効を保持し得る水不溶性の製剤が提供され、その医療上の価値は多大なものである。

Claims (15)

  1. 生理活性蛋白質あるいはペプチド、水溶性亜鉛塩、水溶性炭酸塩および/または水溶性リン酸塩水溶液を混合し、沈澱を形成させることからなることを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物。
  2. 前記水溶性亜鉛塩が、酢酸亜鉛あるいは塩化亜鉛であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の亜鉛含有徐放性組成物。
  3. 生理活性蛋白質あるいはペプチドと、水溶性亜鉛塩における亜鉛のモル比が、1:100以上であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の亜鉛含有徐放性組成物。
  4. 前記水溶性炭酸塩が、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の亜鉛含有徐放性組成物。
  5. 前記水溶性リン酸塩が、リン酸ナトリウムまたはリン酸水素ナトリウムであることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の亜鉛含有徐放性組成物。
  6. 前記生理活性蛋白質が、G−CSF、抗体、成長ホルモン、IFN、EPO、GM−CSF、BDNF、NT3、TNF抗体、インターロイキンまたはFGFであることを特徴とする請求の範囲第1〜5項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性組成物。
  7. 前記亜鉛含有徐放性組成物が、凍結乾燥されたものであることを特徴とする請求の範囲第1〜6項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性組成物。
  8. 前記亜鉛含有徐放性組成物が、皮下注射及び筋肉内注射に適した形態であることを特徴とする請求の範囲第1〜7項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性組成物。
  9. 前記亜鉛含有徐放性組成物に、必要に応じて製剤学的に受容可能な添加物を加えたことからなることを特徴とする請求の範囲第1〜7項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性製剤。
  10. 前記の製剤学的に受容可能な添加物が、分散剤、界面活性剤、防腐剤又は安定化剤であることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の亜鉛含有徐放性製剤。
  11. 前記の製剤学的に受容可能な添加物が、糖類であることを特徴とする請求の範囲第9項または第10項に記載の亜鉛含有徐放性製剤。
  12. 前記の亜鉛含有徐放性製剤が、凍結乾燥されたものであることを特徴とする請求の範囲第9〜11項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性製剤。
  13. 前記の亜鉛含有徐放性製剤が、皮下注射及び筋肉内注射に適した形態であることを特徴とする請求の範囲第9〜12項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性製剤。
  14. 前記生理活性蛋白質がG−CSFであり、請求の範囲第9〜12項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性製剤からなる白血球増加剤。
  15. 生理活性蛋白質あるいはペプチド、水溶性亜鉛塩、水溶性炭酸塩および/または水溶性リン酸塩水溶液を混合し沈澱を形成させることを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物の製造方法。
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