JP2006525319A - 亜鉛含有徐放性組成物,その製剤およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
これは、G−CSFの血中安定性が悪く半減期が短いうえに、薬効を維持するためにはある濃度以上のG−CSFが血中に存在する必要があるからである。そのために患者は連日投与という負担を強いられ、G−CSFの大量使用にもつながっている。したがって、G−CSFの血中濃度を維持するための製剤化が必要とされている。
そこで、本発明は前記の方法よりも簡単で、しかもG−CSF等の生理活性蛋白質あるいはペプチドを高収率で沈澱化させ、安定化させるとともに、得られた沈澱物が徐放効果により、生体内で数日間に亘り生理活性蛋白質あるいはペプチドの薬効を保持し得る、水不溶性の製剤を提供することを目的とする。
例えば、本発明においては20mM程度の酢酸亜鉛あるいは塩化亜鉛(亜鉛濃度:約1.3mg/ml)および20mM程度の炭酸水素ナトリウムおよび/またはリン酸塩を用いて同時に混合することにより、約1mg/ml濃度のG−CSFのほとんどを沈澱物中に含有することができる。
得られた沈澱は、注射針を通るのに十分な細かさであり、注射剤として使用可能である。
さらに本発明は、生理活性蛋白質の沈澱形成の収率を高めるだけでなく、生体内での徐放効果も非常に高まることがマウスを使った実験において確認され、本発明を完成した。
また、本発明は、具体的には、前記の水溶性炭酸塩が、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムであり、水溶性リン酸塩が、リン酸ナトリウムまたはリン酸水素ナトリウムであることを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物である。
この場合において、水溶性炭酸塩は沈澱物の形成および初期の徐放性を良好にし、また水溶性リン酸塩は、沈澱物から生理活性蛋白質あるいはペプチドの徐放的放出持続性を良好にするものである。
より好ましい具体的な本発明は、前記の亜鉛含有徐放性組成物が、凍結乾燥されたものであり、また、皮下注射および筋肉内注射に適した形態であることを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物である。
具体的には、前記の製剤学的に受容可能な添加物が、分散剤、界面活性剤、防腐剤または安定化剤であることを特徴とする亜鉛含有徐放性製剤であり、より具体的には、前記の製剤学的に受容可能な添加物が、糖類であることを特徴とする亜鉛含有徐放性製剤である。
また本発明は好ましくは、凍結乾燥されたものであることを特徴とする亜鉛含有徐放性製剤であり、皮下注射および筋肉内注射に適した形態であることを特徴とする亜鉛含有徐放性製剤である。
さらに本発明は、また別の態様として、生理活性蛋白質あるいはペプチド、水溶性亜鉛塩、水溶性炭酸塩および/または水溶性リン酸塩の水溶液とを混合し、生理活性蛋白質あるいはペプチドを含有する沈澱物を形成することを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物の製造方法でもある。
同様に、抗体、インターフェロン、成長ホルモンについても、本発明の沈澱の作製方法により、G−CSFとほぼ同等の性質を有するものと思われる沈澱組成物を作製することができた。
また、コンドロイチン硫酸のような酸性ムコ多糖や乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)を加えることにより、徐放効果を調節することも可能である。
さらに、本発明の沈澱組成物にあっては、沈澱形成後の懸濁液中に、マンニトールやトレハロースなどの糖類を加え凍結乾燥したものを、注射用蒸留水で再懸濁し、用いることができる。
本発明が提供する別の態様である沈澱組成物を含有する製剤、例えばG−CSF含有製剤は、上記した沈澱の形成により得られた沈澱物と、製剤学的に受容可能な添加物である分散剤、界面活性剤、防腐剤、安定剤、または糖類を加えたものからなり、かかる製剤は、皮下注射あるいは筋肉注射等の手段による投与が可能な製剤である。
例えば、抗体やインターフェロンや成長ホルモンを、本発明の方法により沈澱化したものは、G−CSFと同様の高率で沈澱物中に含有されたことから、同様の徐放効果を期待できる。
非経口用製剤としては、注射剤(皮下注射、筋肉内注射、静脈注射等)、点滴靜注等の液剤、噴霧剤等の経鼻剤、粘膜経由投与剤等を挙げることができる。これらの製剤は、いずれも日本薬局方の「製剤総則」に記載の方法に順じ、調製することができ、製剤化に用いられる担体、流動化剤、等張化剤、安定化剤等としては、製剤学的に汎用されている各種のものを適宜選択して、使用することができる。
約30mMのリン酸緩衝液に溶解したG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)8μlおよびミリQ水134μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)あるいは塩化亜鉛(0.5M)8μlを加え、室温に10分間静置した。同様に、約30mMのリン酸緩衝液に溶解したG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)8μlおよびミリQ水134μlを最初に混合し、次いで攪拌しながら塩化カルシウム(0.5M)8μlを加え、室温に10分間静置した。これら懸濁液を約10,000×gで遠心分離し、上清を採取し、さらに沈澱物は0.1M EDTA溶液(pH7.4)で溶解し、上清と沈澱物中に含有されるG−CSFの含有量を、ELISA法により求めた。
その結果を第1表に示す。
なお、前記した先行技術としての特開2002−348234号では、G−CSFを高い効率で沈澱物中に含有させるためには、塩化カルシウム(5M)650μlとG−CSF(0.5mg/ml)250μlに、さらに炭酸ナトリウム(1M)2.5mlを加えることにより作製している。
(1)最終濃度が20mM亜鉛の製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解したG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.1M)40μlおよびミリQ水70μlを最初に混合し、次いで、この溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.1M)40μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
(2)最終濃度が10mM亜鉛の製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解したG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.1M)20μlおよびミリQ水110μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.1M)20μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
(3)最終濃度が5mM亜鉛の製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解したG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.1M)10μlおよびミリQ水130μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.1M)10μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
(4)最終濃度が2mM亜鉛の製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解したG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.1M)4μlおよびミリQ水142μlを最初に混合し、次いで攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.1M)4μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
これらの(1)〜(4)の懸濁溶液を、約10,000×gで遠心分離し、上清を採取し、さらに沈澱物を0.1M EDTA溶液(pH7.4)で溶解し、上清と沈澱物中に含有されるG−CSFの量をELISA法にて求めた。
(1)最終濃度が20mM亜鉛の製剤は、注射用水に溶解したG−CSF溶液(2.5mg/ml)80μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)8μlおよびミリQ水104μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)8μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
(2)最終濃度が15mM亜鉛の製剤は、注射用水に溶解したG−CSF溶液(2.5mg/ml)80μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)6μlおよびミリQ水108μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)6μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
(3)最終濃度が10mM亜鉛の製剤は、注射用水に溶解したG−CSF溶液(2.5mg/ml)80μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)4μlおよびミリQ水112μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)4μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
(4)最終濃度が5mM亜鉛の製剤は、注射用水に溶解したG−CSF溶液(2.5mg/ml)80μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)2μlおよびミリQ水116μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)2μlを加え、室温に10分間静置することにより調製した。
これら(1)〜(4)の懸濁溶液を、約10,000×gで遠心分離し、上清を採取し、さらに沈澱物は0.1M EDTA溶液(pH7.4)で溶解し、上清と沈澱物中に含まれるG−CSF量をELISA法にて求めた。
脱塩したG−CSF溶液(2.5mg/ml)80μl(終濃度1mg/ml)および炭酸水素ナトリウム(0.5M)8μl(終濃度20mM)混合液に、pH7.2のリン酸緩衝液(0.2M)/ミリQ水を、各々(1)40μl/64μl(リン酸終濃度40mM)、(2)20μl/84μl(リン酸終濃度20mM)、(3)10μl/94μl(リン酸終濃度10mM)、(4)5μl/99μl(リン酸終濃度5mM)、(5)0μl/104μl(リン酸終濃度0mM)と最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)8μlを加え、室温に10分間静置して、それぞれのリン酸最終濃度を有する懸濁液を調製した。これらの懸濁溶液を約10,000×gで遠心分離し、上清を採取し、さらに沈澱物は0.1M EDTA溶液(pH7.4)で溶解させ、上清と沈澱中に含有されるG−CSF量をELISA法にて求めた。
(1)G−CSFの2mg/ml含有徐放製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)1000μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)160μlおよびミリQ水680μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M) 160μlを加え作製した。
(2)G−CSFの0.2mg/ml含有徐放製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)100μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)160μlおよびミリQ水1580μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)160μlを加え作製した。
(3)G−CSFの0.02mg/ml含有徐放性剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)10μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)160μlおよびミリQ水1670μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)160μlを加え作製した。
(4)G−CSFの0.2mg/ml含有溶液製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)100μlおよびミリQ水1900μlを混合し、作製した。
これら(1)〜(4)の溶液に0.1gのマンニトールを加え、8週令ddYマウス(各群2匹)の皮下に、それぞれ5ml/kgずつ投与した。投与後4時間後、1、2、3、4日後に採血(65μl)を行い、ELISA法でG−CSF濃度を測定した。
リン酸を含む徐放製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)250μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)40μlおよびミリQ水170μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)40μlを加え作製した。リン酸を含まない徐放製剤は、注射用水に、脱塩したG−CSF溶液(2.5mg/ml)400μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)40μlおよびミリQ水20μlを最初に混合し、次いでこの溶液を攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)40μlを加え作成した。これらに0.025gのマンニトールを加え、8週令ddYマウス(各群2匹)に、上記製剤を皮下に5ml/kgずつ投与した。投与後4時間後、1、2、3、4日後に採血(65μl)を行い、ELISA法でG−CSF濃度を測定した。
(1)G−CSF:Znのモル比が1:400の製剤は、脱塩したG−CSF溶液(2.4mg/ml)834μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)80μlおよびミリQ水6μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)80μlを加え作製した。
(2)G−CSF:Znのモル比が1:200の製剤は、脱塩したG−CSF溶液(2.4mg/ml)834μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)40μlおよびミリQ水86μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)40μlを加え作製した。
(3)G−CSF:Znのモル比が1:100の製剤は、脱塩したG−CSF溶液(2.4mg/ml)834μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)20μlおよびミリQ水126μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)20μlを加え作製した。
(4)G−CSF:Znのモル比が1:400の製剤(炭酸塩不含)は、脱塩したG−CSF溶液(2.4mg/ml)834μlおよびミリQ水86μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)80μlを加え作製した。
これらの製剤に0.05gのマンニトールを加え、8週令ddYマウス(各群2匹)に、上記製剤を皮下に5ml/kgずつ投与した。投与後4時間後、1、2、3、4日後に採血(65μl)を行い、ELISA法でG−CSF濃度を測定した。
(1)炭酸塩を使用した製剤は、脱塩したG−CSF溶液(2.3mg/ml)640μlおよび炭酸水素ナトリウム(0.5M)64μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)64μlを加え作製した。
(2)炭酸塩とリン酸塩の両方を使用した製剤は、脱塩したG−CSF溶液(2.3mg/ml)640μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)64μlおよびpH7.2のリン酸緩衝液(0.2M)40μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)64μlを加え作製した。
(3)リン酸塩を使用した製剤は、脱塩したG−CSF溶液(2.3mg/ml)640μlおよびpH7.2のリン酸緩衝液(0.2M)20μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)64μlを加え作製した。
これらの製剤に0.04gのマンニトールを加え、8週令ddYマウス(各群2匹)に、上記製剤を皮下に5ml/kgずつ投与した。投与後4時間後、1、2、3、4日後に採血(65μl)を行い、ELISA法でG−CSF濃度を測定した。
約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)0.5ml、炭酸水素ナトリウム(0.1M)4.0mlおよびミリQ水4.7mlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)0.8mlを加え沈澱形成後、0.5gのマンニトールあるいはトレハロースを加え1mlずつ分注し、凍結乾燥した。凍結乾燥前の試料450μlに0.5M EDTA50μlを加え沈澱を溶かし、このうちの100μlを逆相HPLCで分析した。凍結乾燥後の試料は1mlの注射用水で再懸濁し、450μl抜き取り0.5M EDTA50μlを加え沈澱を溶かし、このうちの100μlを逆相HPLCで同様に分析した。G−CSFの溶出ピークの面積でG−CSFの回収量を比較した。
マンニトールを含む徐放製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/ml)476μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)80μlおよびミリQ水364μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)80μlを加えた後、さらに0.05gのマンニトールを加え作成した。
マンニトールを含まない徐放製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/ml)476μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)80μlおよび生理食塩水364μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)80μlを加え作成した。
8週齢のddYマウス(各群2匹)に、上記製剤を皮下に5ml/kgずつ投与した。投与後4時間、1、2、3および4日後に65μl採血を行ない、ELISA法でG−CSF濃度を測定した。
約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)100μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)160μlおよびミリQ水1580μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)160μlを加え作製した0.2mg/ml含有G−CSF徐放製剤、および約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)10μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)160μlおよびミリQ水1670μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)160μlを加え作製した0.02mg/ml含有G−CSF徐放製剤のそれぞれに、0.1gのマンニトールを加え凍結乾燥した。得られた凍結乾燥製剤に0.5%カルメロースを加え再懸濁し、7週令のddYマウス(各群3匹)に、それぞれの製剤を5ml/kgずつ単回皮下投与し、12日間にわたり採血(35μl)し、自動血球測定装置で白血球数を測定した。
(1)約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/ml)28.6μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)48μlおよびミリQ水1075.4μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)48μlを加え沈澱形成後、0.06gのマンニトールを加え、0.1mg/mlのG−CSF含有徐放製剤を調製した。
(2)約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/ml)48μlおよびミリQ水1952μlを混合し、次いで0.1gのマンニトールを加え、0.1mg/mlのG−CSF含有溶液製剤を調製した。
上記で調製したそれぞれの製剤を凍結乾燥した。得られた凍結乾燥製剤に0.5%カルメロースを加え再懸濁し、7週令のddYマウス(各群3匹)にそれぞれの製剤を10ml/kgずつ単回投与した。
なお、連日投与のためのG−CSF含有溶液製剤は、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/ml)38.4μlおよびミリQ水7961.6μlを混合後、0.4gのマンニトールを加え0.02mg/ml溶液製剤とし、1.5mlずつ分注し凍結保存したものを用い、7週齢のddYマウス(3匹)に、10ml/kgを初めの5日間にわたり連日投与した。
各試験において、12日間にわたり採血(35μl)し、自動血球測定装置で白血球数を測定した。
約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)50μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)80μlおよびミリQ水1790μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)80μlあるいは塩化亜鉛(0.5M)80μlを加え作製した0.1mg/mlのG−CSF含有徐放製剤に、0.1gのマンニトールを加え凍結乾燥した。得られた凍結乾燥製剤に0.5%カルメロースを加え再懸濁し、7週齢のddYマウス(各群3匹)にそれぞれの製剤を10ml/kgずつ単回投与し、12日間にわたり採血(35μl)し、自動血球測定装置で白血球数を測定した。
約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/ml)28.6μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)48μlおよびミリQ水1075.4μlを最初に混合し、この溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)48μlを加え作製した0.1mg/mlのG−CSF含有徐放製剤、ならびに、約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.2mg/mL)28.6μl、炭酸水素ナトリウム(0.5M)48μlおよびミリQ水1015.4μlを最初に混合し、この溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)48μlを加え、さらにコンドロイチン硫酸(20mg/mL)60μlを加え作製した0.1mg/mlのG−CSF製剤を調製した。
これらの製剤に0.06gのマンニトールを加え凍結乾燥した。得られた凍結乾燥製剤に0.5%カルメロースを加え再懸濁し、7週令のddYマウス(各群3匹)にそれぞれの製剤を10ml/kgずつ単回投与し、12日間にわたり採血(35μl)し、自動血球測定装置で白血球数を測定した。
約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)100μl、pH7.2のリン酸ナトリウム緩衝液(0.2M)400μlおよびミリQ水3340μlを最初に混合し、次いで攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)160μlを加え、0.1mg/mlのG−CSF含有徐放製剤を調製した。この製剤に、0.1gのマンニトールを加え凍結乾燥した。得られた凍結乾燥製剤に注射用水を加え再懸濁し、7週令のddYマウス(1群3匹)に10ml/kgずつ単回投与し、12日間にわたり採血(35μl)し、自動血球測定装置で白血球数を測定した。
炭酸水素ナトリウム溶液(0.5M)16μlおよびミリQ水158μlを最初に混合し、この溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)16μlを加え、さらに攪拌しながら約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)10μlを加え、室温に10分間静置した。懸濁液を約10,000×gで遠心分離し、上清を採取し、また得られた沈澱を0.1M EDTA溶液(pH7.4)に溶解し、上清と沈澱に含まれるG−CSF量を、ELISA法にて求めた。その結果、沈澱には、ほぼ100%のG−CSFが含まれていることが判明した。
薬効を確認するために、炭酸水素ナトリウム水溶液(0.5M)176μlおよびミリQ水1738μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)176μlを加え、さらに攪拌しながら約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF溶液(4.0mg/ml)溶液110μlを加え、0.2mg/mlのG−CSF含有徐放製剤を調製した。得られた製剤に0.11gのマンニトールを加え凍結乾燥した。凍結乾燥製剤に注射用水を加え再懸濁し、7週令のddYマウス(1群3匹)に懸濁液を5ml/kgずつ単回投与し、12日間にわたり採血(35μl)し、自動血球測定装置で白血球数を測定した。
抗TNF抗体溶液(10mg/mL)10μl、炭酸水素ナトリウム溶液(0.5M)8μlおよびミリQ水174μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)8μlを加え、室温に10分間静置して、懸濁液を得た。
同様に、インターフェロンα(1.3mg/mL)77μl、炭酸水素ナトリウム水溶液(0.5M)8μlおよびミリQ水107μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)8μlを加え、室温に10分間静置して、懸濁液を得た。
さらに、成長ホルモン(0.5mg/mL)200μl、炭酸水素ナトリウム溶液(0.5M)16μlおよびミリQ水168μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)16μlを加え、室温に10分間静置して懸濁液を得た。
これら懸濁液を約10,000×gで遠心分離し、上清を採取し、沈澱は0.1M EDTA溶液(pH7.4)に溶解し、上清と沈澱に含まれる抗TNF抗体とインターフェロンα量をELISA法にて、また、成長ホルモン量は逆相HPLCで定量した。
(1)炭酸塩を使用した製剤は、脱塩したhGH溶液(0.5mg/ml)720μl、炭酸水素ナトリウム溶液(0.5M)24μlおよびミリQ水432μlを最初に混合し、この溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)24μlを加え、作成した。
(2)炭酸塩とリン酸塩の両方を使用した製剤は、脱塩したhGH溶液(0.5mg/ml)720μl、炭酸水素ナトリウム溶液(0.5M)24μl、pH7.2のリン酸緩衝液(0.2M)30μlおよびミリQ水402μlを最初に混合し、次いでこの溶液に攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)24μlを加え、作成した。
(3)溶液製剤は、脱塩したhGH溶液(0.5mg/ml)720μl、炭酸水素ナトリウム溶液(0.5M)24μlおよびミリQ水432μlを混合し、作成した。
これらの製剤に、0.03gのマンニトールを加え、凍結乾燥した。投与前に、(1)と(2)の製剤は20mM酢酸亜鉛/20mM炭酸水素ナトリウム混合液600μlで、また(3)の製剤はミリQ水600μlで溶解した。7週齢ddYマウス(各群2匹)に、上記の製剤を5ml/kgずつ皮下投与した。投与4時間後、1、2、3、4日後に採血(65μl)を行い、自動EIA装置によりhGH濃度を測定した。
約30mMのリン酸緩衝液に溶解させたG−CSF(4.0mg/ml)0.5ml、炭酸水素ナトリウム(0.5M)0.8ml、ミリQ水7.9mlを最初に混合し、攪拌しながら酢酸亜鉛溶液(0.5M)0.8mlを加え沈澱形成後、0.5gのトレハロースを加え、1mlずつバイアルに分注し、凍結乾燥させた。凍結乾燥後、37℃の恒温器に入れた。凍結乾燥前の試料450μlに0.5M EDTA50μlを加え沈澱を溶解させ、その100μlを逆相HPLCでG−CSF含有量を測定した。一方、凍結乾燥直後、恒温器保存1週間後、4週間後の各試料1mlを注射用水で再懸濁し、その450μlを抜き取り、0.5M EDTA50μlを加え沈澱を溶解させ、その100μlを逆相HPLCで同様にG−CSF含有量を測定した。
G−CSFの溶出ピークの面積により、G−CSFの回収量を比較した。
実施例10に準じて作製した0.2mg/ml含有G−CSF徐放製剤に、マンニトールを加えて凍結乾燥した。得られた凍結乾燥製剤を、バイアルに充填し懸濁注射製剤を、別にバイアル充填した0.5%カルメロースあるいは注射用水を加え再懸濁することにより、懸濁注射製剤が調整される。
Claims (15)
- 生理活性蛋白質あるいはペプチド、水溶性亜鉛塩、水溶性炭酸塩および/または水溶性リン酸塩水溶液を混合し、沈澱を形成させることからなることを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物。
- 前記水溶性亜鉛塩が、酢酸亜鉛あるいは塩化亜鉛であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の亜鉛含有徐放性組成物。
- 生理活性蛋白質あるいはペプチドと、水溶性亜鉛塩における亜鉛のモル比が、1:100以上であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の亜鉛含有徐放性組成物。
- 前記水溶性炭酸塩が、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の亜鉛含有徐放性組成物。
- 前記水溶性リン酸塩が、リン酸ナトリウムまたはリン酸水素ナトリウムであることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の亜鉛含有徐放性組成物。
- 前記生理活性蛋白質が、G−CSF、抗体、成長ホルモン、IFN、EPO、GM−CSF、BDNF、NT3、TNF抗体、インターロイキンまたはFGFであることを特徴とする請求の範囲第1〜5項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性組成物。
- 前記亜鉛含有徐放性組成物が、凍結乾燥されたものであることを特徴とする請求の範囲第1〜6項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性組成物。
- 前記亜鉛含有徐放性組成物が、皮下注射及び筋肉内注射に適した形態であることを特徴とする請求の範囲第1〜7項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性組成物。
- 前記亜鉛含有徐放性組成物に、必要に応じて製剤学的に受容可能な添加物を加えたことからなることを特徴とする請求の範囲第1〜7項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性製剤。
- 前記の製剤学的に受容可能な添加物が、分散剤、界面活性剤、防腐剤又は安定化剤であることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の亜鉛含有徐放性製剤。
- 前記の製剤学的に受容可能な添加物が、糖類であることを特徴とする請求の範囲第9項または第10項に記載の亜鉛含有徐放性製剤。
- 前記の亜鉛含有徐放性製剤が、凍結乾燥されたものであることを特徴とする請求の範囲第9〜11項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性製剤。
- 前記の亜鉛含有徐放性製剤が、皮下注射及び筋肉内注射に適した形態であることを特徴とする請求の範囲第9〜12項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性製剤。
- 前記生理活性蛋白質がG−CSFであり、請求の範囲第9〜12項のいずれかに記載の亜鉛含有徐放性製剤からなる白血球増加剤。
- 生理活性蛋白質あるいはペプチド、水溶性亜鉛塩、水溶性炭酸塩および/または水溶性リン酸塩水溶液を混合し沈澱を形成させることを特徴とする亜鉛含有徐放性組成物の製造方法。
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