JP2006522496A - 熱イオン冷却システムを有する電力回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱イオン冷却システムを有する電力回路を提供する。
【解決手段】システムは、電圧レギュレータ及び電圧レギュレータを冷却するための熱整流デバイスを含む。熱整流デバイスは、熱コレクタ、及び電圧レギュレータと熱コレクタとの間に形成されている熱バリヤーを含む。補助電圧発生器は、電圧レギュレータの電子が熱バリヤーを通って熱コレクタ上へトンネルできるようにする。電圧レギュレータは、共用されている基体、及び安定化電圧を発生する電力トランジスタを含むことができる。若干の実施の形態においては、コントローラは、電力トランジスタ、補助電圧発生器、及びファンを制御することによって、温度を所定の範囲内に維持する。若干の実施の形態においては、負荷は熱イオン冷却システムと共に集積化し、負荷自体を熱整流デバイスによって冷却できるようにすることができる。
【解決手段】システムは、電圧レギュレータ及び電圧レギュレータを冷却するための熱整流デバイスを含む。熱整流デバイスは、熱コレクタ、及び電圧レギュレータと熱コレクタとの間に形成されている熱バリヤーを含む。補助電圧発生器は、電圧レギュレータの電子が熱バリヤーを通って熱コレクタ上へトンネルできるようにする。電圧レギュレータは、共用されている基体、及び安定化電圧を発生する電力トランジスタを含むことができる。若干の実施の形態においては、コントローラは、電力トランジスタ、補助電圧発生器、及びファンを制御することによって、温度を所定の範囲内に維持する。若干の実施の形態においては、負荷は熱イオン冷却システムと共に集積化し、負荷自体を熱整流デバイスによって冷却できるようにすることができる。
Description
本発明は電力回路の冷却システムに関し、より特定的には電圧レギュレータ及び/または負荷の熱イオン冷却に関する。
電子回路においては、電流の流れによって抵抗性回路要素が熱を発生することは不可避である。近代的な電子回路においては、フィーチャのサイズが縮小され続けている。それに相応して電流密度及び固有抵抗が増加し、発生する熱を急速に増加させている。動作を維持するためには、増加した熱の量を回路から除去する必要がある。
冷却システムは、圧縮機によって冷却材流体を弁及びパイプラインを通して循環させることに基づくことができる。今日の殆どの冷却技術は、この設計に基づいている。しかしながら、流体、弁、電動機、及び他の可動部分を電子回路内に使用するには、かなり両立し難い技術を統合する必要がある。従って、他の冷却システムが求められている。
電子冷却システムは、受動システム及び能動システムに大別することができる。受動システムは、典型的に熱源(電子回路)をヒートシンクに結合する。ある場合には、熱源をコールドプレートと呼び、ヒートシンクをホットプレートと呼ぶ。これらのシステムにおいては、熱は、基本的な熱力学の法則に従って温度または熱勾配によって駆動され、より熱い源からより冷たいシンクへ導かれる。若干のシステムにおいては、ヒートシンクは環境と直接接触し、熱伝導及び熱対流によって過大な熱を交換する。他のシステムにおいては、ヒートシンクはファンによって、または類似の方法によって冷却される。例えば、今日の多くのコンピュータにおいては、マイクロプロセッサはファンによって冷却されている。
しかしながら、これらのシステムにおいては、典型的に熱伝達速度が遅い。更に、受動システムは、熱をより冷たい場所からより熱い場所へ伝達させることはできない。従って源は常にシンクよりもより熱いままである。
能動システムは、源からシンクまでの熱の伝達を高める能動的なヒートポンプ、またはその同等品を使用する。従って、熱の流れは、熱勾配だけによって熱を伝達する受動システムよりも高速である。更に、これらの能動システムは、熱をより冷たい源からより暖かいシンクまで伝達させるように動作することができる。
若干の能動システムにおいては、ヒートポンプが源の“熱い”電子を、ヒートシンクとして働く回路の遠隔領域まで駆動する。熱い電子を遠くへ駆動することによって熱は熱源から去るように伝達されるが、屡々、原子が、及びホスト材料の若干の電子でさえも、熱を源領域へ戻すように導く。この逆流は、これらのシステムの効率に大きい限界を課す。
要約すれば、そして一般的に言えば、本発明の実施の形態は、熱イオン冷却システムを有する電力回路を含む。若干の実施の形態は、電圧レギュレータ、及びこの電圧レギュレータを冷却するように動作可能な熱整流デバイスを含む。熱整流デバイスの若干の実施の形態は、熱コレクタ、及び電圧レギュレータと熱コレクタとの間に形成されている熱バリヤーを含み、電圧レギュレータからの電子は、補助電圧によって熱バリヤーを横切って熱コレクタ上へトンネルできるようにされる。
若干の実施の形態においては、熱整流デバイスは、熱コレクタ、及び電圧レギュレータと熱コレクタとの間に形成されている熱バリヤーを含む。熱バリヤーは、熱が熱コレクタから電圧レギュレータへ逆流するのを防ぐ。補助電圧発生器は補助電圧を電圧レギュレータと熱コレクタとの間に印加し、電圧レギュレータの熱い電子を、熱バリヤーを通して熱コレクタ上へトンネルできるようにする。若干の実施の形態は、更に、熱コレクタに結合されているヒートシンク、及びヒートシンクを冷却するファンを含んでいる。若干の実施の形態は、電圧レギュレータ及び熱整流デバイスを制御するコントローラを含む。
若干の実施の形態においては、電圧レギュレータは、電圧コントローラ及び1個またはそれ以上の電力トランジスタを含む。電力回路は、電圧コントローラ及び電力トランジスタが共用している共用基体上に位置決めすることができる。若干の実施の形態における電圧コントローラは、電力トランジスタ、補助電圧発生器、及びヒートシンクを冷却するために位置決めされているファンの少なくとも1つを制御することによって、電力トランジスタ、熱コレクタ、ヒートシンク、及び共用基体の少なくとも1つの温度を所定の範囲内に維持する。
若干の実施の形態においては、負荷は、負荷自体が熱整流デバイスによって冷却され得るように冷却システムと統合されている。若干の実施の形態においては、電圧レギュレータは、5,000W/cm2より高い電力密度で動作することができる。
本発明を、及びさらなる特色及び長所を、より完全に理解して頂くために、以下に添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明の実施の形態、及びそれらの長所は、添付した図1−6を参照することによって最良に理解されよう。添付図面においては、類似の、及び対応する部品に対しては類似の番号を付してある。
図1は、電圧レギュレータを熱イオン的に冷却するための本発明の実施の形態によるシステム2のブロック図である。システム2において、電圧レギュレータ4は熱整流デバイスに結合されている。これらの各要素は、幾つかの構成要素を含むことができる。
図2は本発明の実施の形態による熱整流デバイス8と電圧レギュレータ4との組合わせの例を示している。電圧レギュレータ4が動作している時、それは熱を発生する。即ち、電圧レギュレータ4は熱源になる。図示のように、熱整流照は、熱バリヤー16及び熱コレクタ20を含む。熱バリヤー16は真空ギャップであることも、または熱伝導度の低い材料で形成することもできる。熱コレクタ20は、リソグラフィック技術によって形成することができる。若干の実施の形態においては、熱コレクタ20は、銅のような熱伝導度の良好な金属で形成することができる。他の実施の形態においては、良好な熱伝導度を有する広範なクラスの金属または他の層を付着させることができる。熱バリヤー16は、電圧レギュレータ4を熱コレクタ20から距離dだけ分離させる。若干の実施の形態においては、この距離dは、約1nm乃至30nmの範囲内にあることができる。dの値は、主として、含まれる材料の仕事関数に依存して選択される。この距離は極めて小さいので、製造中に精密な制御が必要になる。
1つの技術によれば、真空ギャップは、特別なリフトオフ技術によって形成させることができる。この“熱イオン”技術では、先ず二重層構造を形成させる。異なる熱膨張係数を有する2つの層は、弱い付着だけによって結合されている。従って、適当な熱処理を遂行すると2つの層は互いに剥離する。これにより、互いに向き合っている層の内面が露出され、それらの間の真空ギャップによって分離される。剥離する前の2つの層は互いに重なり合っているから露出された表面は互いの不規則性を追跡し、従って、それらの距離dは層全体を通してほぼ一定になる。この技術の詳細に関しては、J. Edelsonの米国特許第6,089,311号、及びA. Tavkhelidzeの米国特許第6,417,060 B2に開示されているので参照されたい。
二重層構造の一方の層は、熱源として働く電圧レギュレータ4に結合されている。他方の層は、熱コレクタ20に結合されている。熱イオン冷却システムは、熱い電子を電圧レギュレータ4のような熱源から抽出し、それらを熱バリヤー16を横切って熱コレクタ20上へトンネルさせるように動作する。
補助電圧発生器28は、電圧レギュレータ4と熱コレクタ20との間に結合されている。補助電圧発生器28は、電圧レギュレータ4と熱コレクタ20との間に補助電圧Vauxを印加することができる。補助電圧Vauxが存在しない場合には、真空ギャップは十分に大きい電位バリヤーであり、電子はそれを通って何れの方向へもトンネルすることができず、真空ギャップは極めて効率的な熱絶縁体、即ちバリヤーになる。補助電圧発生器28によって電圧レギュレータ4と熱コレクタ20との間に十分に大きい補助電圧Vauxが印加されると、電圧レギュレータ4から熱コレクタ20までの矢印によって示されているように、その電位差によって電圧レギュレータ4の熱い電子は熱バリヤー16を通って熱コレクタ20上へトンネルできるようになる。この電子の流れが回路を完成させ、補助リンク32を通って流れる電流は図示のように補助電圧発生器28へ戻る。
熱イオン冷却システムの上述した動作中には、補助電圧の極性のために電子はトンネルして戻ることを許されないので、熱は熱シンクから熱バリヤー16を通って源へ戻ることはない。更に、熱コレクタ20の原子は、熱バリヤー16を通って何れの方向へもトンネルすることはできない。これらの特色によって、熱バリヤー16は極めて効率的な熱絶縁体になる。また、熱伝達中の熱の逆流は本質的に阻止されるので、デバイス8は実際的に熱整流デバイスになる。
熱バリヤー16を通ってトンネルした熱い電子は、それらのエネルギを熱コレクタ20のより冷たい電子及び原子へ解放する。この熱は、ヒートシンク24へ導かれ、伝達される。若干の実施の形態においては、ヒートシンク24は熱伝導度が良好な金属で形成されている。また、ヒートシンク24は、大きい表面が得られるリブ付きの構造に形成することができ、周囲環境との熱交換が効率的に行われ得るようになっている。若干の実施の形態においては、例えばファンによってヒートシンクの付加的な冷却を遂行することができる。ヒートシンクは、冷却用液体を循環させる冷却システムを含む何れかの公知の冷却システムに結合することができる。
熱整流デバイス8の効率を熱力学的検討から計算し、他の冷却技術と比較することができる。これらの技術を次のようなセットアップにおいて比較して見よう。1Wのエネルギを室温(Tsource=300K)の電圧レギュレータ4から熱コレクタ20(Tsource=573K)へ伝達する。このセクションにおいては、電圧レギュレータ4を熱源4と呼ぶことにする。
熱力学の法則によれば、このプロセスの理想的な、即ちカルノー効率は52%である。簡単な計算によって、この理想的な場合には、1Wを熱源4から熱コレクタ20まで伝達するには0.92Wが必要であることが分かる。
最新の圧縮機及び流体循環器システムを使用する技術は、52%のカルノー効率の45%に達することができる。換言すれば、これらの最新技術を用いて1Wを源からシンクまで伝達するには、2.05Wが必要である。これは、合計電力供給効率が33%であると言い換えることができる。この合計電力供給効率は、η=(除去されたエネルギ)/(除去されたエネルギ+必要な仕事)として定義されるものである。しかしながら、前述したように、これらのシステムは流体、圧縮機、弁、及び可動部分を使用しており、これらを電子回路製造技術と共に統合することを困難にしている。
若干の全電子式冷却システムは、ペルチエ効果に基づいている。しかしながら、ペルチエに基づく冷却システムは、現在ではカルノーサイクルの効率の5%で動作する。従ってペルチエ効果を使用するシステムは、熱源4から熱コレクタ20まで1Wを伝達するのに18.4Wを必要とする。これは、電力供給効率がη=5%であると言い換えることができる。この低い効率値は、現在のシステムにおいては、多くとも100W/cm2の電力密度を発生するチップだけを適切に冷却できることを意味している。
熱イオン冷却技術を使用した場合、本発明の一実施の形態によれば、カルノー効率の70%を達成することができる。換言すれば、1Wの電力を伝達するのに、僅か1.32Wを必要とするだけである。これは、電力供給効率がη=43%であると言い換えることができる。従って、熱イオン冷却技術の効率は、現在使用されている冷却技術よりもかなり優れている。更に、熱イオン冷却システムは、統合容易なリソグラフィック技術によって製造することができる。これら全ての理由から、本発明の実施の形態による熱イオン冷却システムが約1,000W/cm2乃至約5,000W/cm2の範囲内の電力密度を発生するチップを十分に冷却することができる。
更に、この熱イオン冷却システムは能動冷却システムであるから、熱源4は熱コレクタ20よりも冷たいことができる。若干の実施の形態においては、電圧レギュレータ4のような熱源は周囲温度より約10°C高いことができ、一方熱コレクタ20及びヒートシンク24は30°Cの周囲温度において約80℃乃至約300°Cの範囲内であることができる。
図3は、本発明の実施の形態により熱イオン的に冷却された電圧レギュレータの例を示している。電圧レギュレータ4及び熱整流デバイス8は、共用基体36上に形成されている。共用基体36は、例えば半導体材料、シリコンダイ、ウェーハ、または他のモノリシック構造であることができる。共用基体36は更に、他のマイクロエレクトロニック及びメカニックシステム、またはMEMSを含む。当分野においては、マイクロ・機械的電動機、センサ、アクチュエータ、及び電子回路を含む多種のMEMSが知られている。
電圧レギュレータ4は、電圧コントローラ14及び電力トランジスタ40を含む。若干の実施の形態においては、電圧コントローラ14及び電力トランジスタ40は、共用基体36の同一の側に形成されている。図示の実施の形態においては、電圧コントローラ14と電力トランジスタ40とは、共用基体36の反対側に形成されている。
電圧コントローラ14は集積回路であることができる。電圧コントローラ14及び電力トランジスタ40が共用基体36の反対側にある実施の形態においては、電圧コントローラ14と電力トランジスタ40との間の電気接続はバイア17を含むことができる。バイア17は、共用基体36を横切って形成されたスルーホールである。バイア17は、共用基体36の両側上に形成されたリードに結合することができる。電圧コントローラ14及び電力トランジスタ40は、バイア17、またはリードの何れかに直接結合することができる。
他の実施の形態においては、電圧コントローラ14は、共用基体36の電力トランジスタと同一の側に形成されている。これらの実施の形態は、電気接続のためのバイアを含まないことができるが、共用基体36上に形成されたリードは含むことができる。
電力トランジスタ40は、ボール結合アレイ44、またははんだボールアレイを通してバイア17またはリードに結合することができる。電力トランジスタ40は、別々に形成される。即ち、電力トランジスタ40は大きい電流及び電圧を取扱うので、電力トランジスタ40は“離散”されている。従って、電力トランジスタ40は効率的な冷却を必要とする。更に、電力トランジスタ40は、低電力集積回路とは異なる技術によって形成される。電圧コントローラ14のトランジスタは、より小さい電流または電圧で動作するので、共用基体36内に形成することができる。
若干の実施の形態においては、電力トランジスタ40は、高電圧、大電流を取扱うのに適する離散した二重拡散MOS(DMOS)トランジスタである。若干の実施の形態においては、電力トランジスタ40が取扱う電流は、約0.1A乃至約100Aの範囲内にある。若干の実施の形態においては、電力トランジスタ40は、MOS、JFET、NPN、PNP、PMOS、またはNMOSトランジスタとして形成、または実現することができる。電力トランジスタ40は、フリップチップアーキテクチャを有することができる。若干の実施の形態においては、電圧コントローラ14及び電力トランジスタ40は集積化することができる。
若干の実施の形態においては、熱整流デバイス8は、電力トランジスタ40に近接して形成されている。熱整流デバイス8は、補助電圧源28、熱バリヤー16、熱コレクタ20、及びヒートシンク24を含む。熱バリヤー16は、共用基体36と熱コレクタ20との間に形成されている。熱コレクタ20は、熱を効率的にヒートシンク24まで導くために形成されている。
熱伝導体板37を、共用基体36内に形成することができる。熱伝導体板37の一部分は電力トランジスタ40の下に位置しているが、電力トランジスタ40によってカバーされていない領域にまで伸びている。電力トランジスタ40が発生する熱は、電力トランジスタ40の下の領域内の熱伝導体板37の電子を加熱する。これらの熱い電子は、補助電圧発生器28の補助電圧によって、電力トランジスタ40の下から電力トランジスタ40によってカバーされていない領域へ駆動される。
熱伝導体板37のカバーされていない領域内の熱い電子は、補助電圧発生器28の補助電圧によって熱バリヤー16をトンネルして通り抜け、熱コレクタ20まで駆動される。熱コレクタ20において、これらの熱い電子はそれらの熱エネルギを他の電子及び原子へ解放する。熱は、熱コレクタ20からヒートシンク24へ伝達される。熱は、ヒートシンク24から周囲環境へ伝達される。補助電圧発生器28と熱コレクタ20との間の結合を図4に示す。
若干の実施の形態においては、熱整流デバイス8は電力トランジスタ40と直接接触させて形成することができる。
補助電圧発生器28は、補助電圧コントローラ39及び補助電力トランジスタ42を含む。図示の実施の形態においては、図3に示すように、補助電圧コントローラ39は、共用基体36の補助電力トランジスタ42とは反対の側上に形成されている。これらの実施の形態においては、補助電圧コントローラ39と補助電力トランジスタ42とを電気的に結合するために、バイア41を形成することができる。若干の実施の形態においては、補助リード32(図示してない)を共用基体36の一方の側、または両側上に形成し、バイア41と補助電力トランジスタ42及び補助電圧コントローラ39との間を電気的に接続することができる。
若干の実施の形態においては、補助電力トランジスタ42及び電力トランジスタ40は、熱イオン的に冷却されている電圧レギュレータ2の動作中にそれらの温度を互いに接近させるように選択される。
他の実施の形態においては、補助電圧コントローラ39は、共用基体36の補助電力トランジスタ42と同一の側に形成することができる。これらの実施の形態においては、補助電圧コントローラ39と補助電力トランジスタ42とを電気的に結合するために、補助リード32(図示してない)を形成することができる。
図3に示す実施の形態においては、補助電圧コントローラ39が、冷却システムの回路の所定の部分の温度を所定の範囲内に維持できるようになっている。この所定の部分は、例えば、電力トランジスタ40であることができる。補助電圧コントローラ39は、例えば、補助電圧発生器28が発生する補助電圧Vauxを制御することによって、所定の部分の温度を所定の温度範囲内に維持することができる。若干の実施の形態においては、ヒートシンク24は、ファンによって付加的に冷却される。これらの実施の形態においては、補助電圧コントローラ39はファンをも制御することができる。
若干の実施の形態においては、補助電圧コントローラ39は、回路の複数の部分に結合されている複数の熱センサを含むことができ、またはそれらと共に動作させることができる。これらのセンサは、感知した温度に応答して信号を補助電圧コントローラ39へ供給する。センサの信号に応答して、補助電圧コントローラ39は制御動作を開始することができる。
例えば、もし電力トランジスタ40の温度が所定の温度より高く上昇したことをセンサが感知すれば、センサは補助電圧コントローラ39へ信号を送る。それに応答して補助電圧コントローラ39は、より多くの熱い電子を熱伝導体板37から熱バリヤー16を通して熱コレクタ20へ駆動するために補助電圧Vauxを増加させるか、またはヒートシンク24を冷却するファンの速度を増加させるか、または電力トランジスタ40の駆動電圧を低下させるか、または上述した制御動作の何等かの組合わせを開始することができる。他の実施の形態においては、補助電圧コントローラ39は、電圧レギュレータ4から負荷へ送給される電圧に従って、上述した制御動作の1つまたはそれ以上を遂行する。若干の実施の形態においては、補助電圧コントローラ39の複数の制御機能を、分離したコントローラによって遂行させることができる。
図4は、共用基体36面を上方から見た時の熱整流デバイス8を示している。補助電力トランジスタ42は、リンク31を通して受動回路45に結合されている。若干の実施の形態においては、受動回路45はローパスフィルタを含んでいる。ローパスフィルタの例を図5に示す。受動回路45は、補助リンク32を通して、図示されているヒートシンク24の下に位置している熱コレクタ20に結合することができる。補助電力発生器28は、補助電圧Vauxを熱コレクタ20と熱伝導体板37との間に印加して熱い電子のための回路を完成させる。
図5は、受動回路45の例としてのローパスフィルタを示している。受動回路45は、リンク31を通して補助電力トランジスタ42に結合されている。補助電力トランジスタ42は、バイア41を通して補助電圧コントローラ39に結合されている。ローパスフィルタは、例えば、当分野においては公知のローパスフィルタのための多くのレイアウトの何れか1つの抵抗46、キャパシタ47、及びインダクタ48を含むことができる。
図6は、負荷に結合されている本発明の実施の形態による電圧レギュレータ4の回路図である。電圧レギュレータ4及び電力トランジスタ40は、入力レール53に結合されている。入力レール53上の入力電圧Vinは、約5V乃至約200Vの範囲内、例えば12Vであることができる。入力レール53上の入力電流Iinは、約1A乃至約30Aの範囲内、例えば10Aであることができる。入力電圧Vinは、電圧コントローラ14及び電力トランジスタ40の両方を駆動することができる。若干の実施の形態においては、入力レール53と接地62との間に2個の電力トランジスタ40が直列に結合されている。他の実施の形態においては、1個の電力トランジスタだけを、または2個より多くの電力トランジスタを使用することができる。安定化された電圧Vregが、電力トランジスタ40の間の出力端子63から出力される。電圧コントローラ14は、安定化電圧Vregを所定の範囲内に維持するために、電力トランジスタ40を制御する。若干の実施の形態においては、安定化電圧Vregは、約0.5V乃至約5Vであり、例えば1.1Vである。安定化電流Iregは、10A乃至200Aであり、例えば100Aである。安定化電圧Vregは、フィルタ65に印加することができる。フィルタ65は、例えばローパスフィルタであることができる。フィルタ65の出力は、負荷70に結合されている。
負荷70は、限定するものではないが、電力増幅器、CPU、衛星受信機、及び低雑音増幅器を含むさまざまな電子回路の何れかであることができる。前述したように、小型化が進むにつれて、これらの回路の全てに益々効率的な冷却が必要である。
若干の実施の形態においては、必要に応じて増幅器を回路内に、例えば電圧コントローラ14と電力トランジスタ40との間に含ませることができる。
若干の実施の形態においては、負荷70は、共用基体36上に形成することができる。負荷70は、電力トランジスタ40と同一の側に、または電力トランジスタ40とは反対の側に形成することができる。これらの実施の形態においては、熱整流デバイス8も負荷70を冷却することができる。例えば、熱伝導体板37を負荷70まで延長し、負荷70と熱伝導体板37との間に熱結合を確立することができる。この実施の形態の動作中、熱い負荷70は熱伝導体板37内に熱い電子を作り、これらの電子は補助電圧Vauxによって熱バリヤー16を通して熱コレクタ20へ駆動される。
補助電圧コントローラ39は、冷却システムの回路の所定の部分を所定温度範囲内に維持することができるようになっている。この所定の部分は、電力トランジスタ40、または負荷70であることができる。補助電圧コントローラ39は、例えば、補助電圧発生器28が発生する補助電圧Vauxを制御することによって、上記所定の部分の温度を所定の温度範囲内に維持することができる。若干の実施の形態においては、ヒートシンク24はファンによって付加的に冷却される。これらの実施の形態においては、補助電圧コントローラ39はファンを制御することもできる。
若干の実施の形態においては、補助電圧コントローラ39は、回路の複数の部分に結合されている複数の熱センサを含むことができ、またはそれらと共に動作させることができる。これらのセンサは、感知した温度に応答して信号を補助電圧コントローラ39へ供給する。センサの信号に応答して、補助電圧コントローラ39は制御動作を開始することができる。
例えば、もし電力トランジスタ40または負荷70の温度が所定の温度より高く上昇したことをセンサが感知すれば、センサは補助電圧コントローラ39へ信号を送る。それに応答して補助電圧コントローラ39は、より多くの熱い電子を熱伝導体板37から熱バリヤー16を通して熱コレクタ20へ駆動するために補助電圧Vauxを増加させることができる。代替として、補助電圧コントローラ39は、ヒートシンク24を冷却するファンの速度を増加させることができる。最後に、補助電圧コントローラ39は、電力トランジスタ40の駆動電圧Vinを、従って負荷70に印加される安定化電圧Vauxを低下させることができる。補助電圧コントローラ39は、上述した制御動作の何等かの組合わせをも開始することができる。他の実施の形態においては、補助電圧コントローラ39は、負荷70へ送給される安定化電圧Vregに従って、上述した制御動作の1つまたはそれ以上を遂行する。
以上に、本発明及びその長所を詳細に説明したが、特許請求の範囲に記載されている本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、種々の変化、置換、及び代替を考案できることが理解されよう。即ち、本明細書に含まれる説明は、基本的記述として役立つことを意図してなされたものである。特定の説明が、可能な全ての実施の形態を明確に記述しているのではなく、多くの代替が暗示されていることを理解されたい。またこの特定の説明は本発明の包括的な本質を完全に説明してはおらず、どのように各フィーチャまたは要素が広範な機能を、または種々の代替または等価要素を実際に表し得るかを明確に示してはいない。再度、この説明には暗示が含まれている。本発明をデバイス向き用語で記述してある場合、デバイスの各要素は1つの機能を暗示的に遂行する。説明または用語は、特許請求の範囲を限定することを意図してはいない。
Claims (33)
- 熱イオン冷却システムを有する電力回路であって、
電圧レギュレータと、
前記電圧レギュレータを冷却するように動作可能な熱整流デバイスと、
を含み、
前記熱整流デバイスは、
熱コレクタと、
前記電圧レギュレータと前記熱コレクタとの間に位置決めされている熱バリヤーとを含み、
前記電圧レギュレータと前記熱コレクタとの間に印加する電圧によって、電子を前記電圧レギュレータから前記熱バリヤーを横切って前記熱コレクタ上へトンネルさせること可能にする、
ことを特徴とする電力回路。 - 前記熱バリヤーは、少なくとも1つの真空ギャップ及び低熱伝導度を有する層を含むことを特徴とする請求項1に記載の電力回路。
- 前記熱バリヤーは、前記熱コレクタから前記電圧レギュレータへの熱の逆流を阻止するように動作可能であることを特徴とする請求項1に記載の電力回路。
- 前記電圧レギュレータと前記熱コレクタとの間に電圧を印加して、電子を前記電圧レギュレータから前記熱バリヤーを横切って前記熱コレクタへトンネルさせるように動作可能な電圧発生器を含むことを特徴とする請求項1に記載の電力回路。
- 前記熱コレクタに結合されているヒートシンクを含むことを特徴とする請求項1に記載の電力回路。
- 前記ヒートシンクはリブ付き金属構造を含み、
前記熱コレクタは金属層を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の電力回路。 - 前記ヒートシンクを冷却するように動作可能なファンを含むことを特徴とする請求項5に記載の電力回路。
- 前記熱イオン冷却システムの電力供給効率は、カルノー効率に接近していることを特徴とする請求項1に記載の電力回路。
- 前記電圧レギュレータは、
電圧コントローラと、
少なくとも1個の電力トランジスタと、
を含み、
前記電圧コントローラは、前記少なくとも1個の電力トランジスタの電圧を制御するように動作可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力回路。 - 前記少なくとも1個の電力トランジスタは、
少なくとも1個のMOS、DMOS、PMOS、NMOS、JFET、NPN、及びPNPトランジスタからなる、
ことを特徴とする請求項9に記載の電力回路。 - 前記少なくとも1個の電力トランジスタ及び前記熱整流デバイスに熱的に結合されている熱伝導体板を含むことを特徴とする請求項9に記載の電力回路。
- 前記電圧コントローラ及び前記少なくとも1個の電力トランジスタによって共用される共用基体を含むことを特徴とする請求項9に記載の電力回路。
- 前記電圧コントローラ及び前記少なくとも1個の電力トランジスタは、前記共用基体の反対側に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の電力回路。
- 前記電圧コントローラは、バイアを介して前記少なくとも1個の電力トランジスタに結合されていることを特徴とする請求項13に記載の電力回路。
- 前記電圧コントローラ及び前記少なくとも1個の電力トランジスタは、前記共用基体の同一側に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の電力回路。
- 前記熱整流デバイスは、前記共用基体上に形成されていることを特徴とする請求項12に記載の電力回路。
- 前記熱整流デバイスは、
前記熱バリヤーにまたがって電圧を印加するように動作可能な補助電圧発生器を含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の電力回路。 - 前記補助電圧発生器は、
補助電圧コントローラと、
少なくとも1個の電力トランジスタと、
を含むことを特徴とする請求項17に記載の電力回路。 - 前記補助電圧コントローラ及び前記少なくとも1個の補助電力トランジスタは、前記共用基体の反対側上に形成されており、バイアを通して結合されていることを特徴とする請求項18に記載の電力回路。
- 前記電圧レギュレータと、前記補助電圧発生器とに熱的に結合されている熱伝導体板を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の電力回路。
- 前記補助電圧発生器は、受動回路を通して前記熱コレクタに結合されていることを特徴とする請求項17に記載の電力回路。
- 前記受動回路は、ローパスフィルタであることを特徴とする請求項21に記載の電力回路。
- 前記補助電圧発生器は、前記熱コレクタ、前記ヒートシンク、前記少なくとも1個の電力トランジスタ、前記補助電圧発生器、及び前記共用基体の少なくとも1つの温度を、所定の範囲内に維持するように動作可能であることを特徴とする請求項17に記載の電力回路。
- 前記コントローラは、前記熱コレクタ、前記ヒートシンク、前記少なくとも1個の電力トランジスタ、前記補助電圧発生器、及び前記共用基体の少なくとも1つの温度を、前記電力トランジスタ、前記電圧発生器、及び前記ヒートシンクを冷却するように位置決めされているファンの少なくとも1つを制御することによって所定の範囲内に維持することを特徴とする請求項23に記載の電力回路。
- 前記少なくとも1個の電力トランジスタは、入力レールと接地との間に直列に結合され且つ前記電圧コントローラによって制御される2個の離散した電力トランジスタからなることを特徴とする請求項9に記載の電力回路。
- 前記電圧レギュレータは、前記2個の離散した電力トランジスタの間に位置決めされ且つ安定化電圧を供給するように動作可能な出力端子を含むことを特徴とする請求項25に記載の電力回路。
- 前記電力回路と共に集積されている負荷を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の電力回路。
- 前記負荷は、電力増幅器、CPU、衛星受信機、及び低雑音増幅器の1つであることを特徴とする請求項27に記載の電力回路。
- 前記熱イオン冷却システムは、前記負荷を冷却するように動作可能であることを特徴とする請求項27に記載の電力回路。
- 前記熱イオン冷却システムは、前記負荷に印加される電圧を制御することによって温度を所定の範囲内に維持することを特徴とする請求項29に記載の電力回路。
- 熱イオン冷却システムを有する電力回路であって、
電圧レギュレータ手段と、
前記電圧レギュレータ手段を冷却するように動作可能な熱整流手段と、
を含み、
前記熱整流手段は、
熱コレクタ手段と、
前記電圧レギュレータ手段と前記熱コレクタ手段との間に位置決めされている熱バリヤー手段とを含み、
前記電圧レギュレータと前記熱コレクタとの間に印加する電圧によって、電子を前記電圧レギュレータ手段から前記熱バリヤー手段を横切って前記熱コレクタ手段上へトンネルさせることを可能にする、
ことを特徴とする電力回路。 - 電力回路を熱イオン冷却する方法であって、
電圧レギュレータを準備するステップと、
前記電圧レギュレータを冷却するように動作可能な熱整流デバイスを準備するステップと、
を含み、
前記熱整流デバイスは、
熱コレクタと、
前記電圧レギュレータと前記熱コレクタとの間に位置決めされている熱バリヤーとを含み、
前記電圧レギュレータと前記熱コレクタとの間に印加する電圧によって、電子を前記電圧レギュレータから前記熱バリヤー手段を横切って前記熱コレクタ上へトンネルさせることを可能にする、
ことを特徴とする方法。 - 前記電圧レギュレータと前記熱コレクタとの間に電圧を印加して、電子を前記電圧レギュレータから前記熱バリヤー手段を横切って前記熱コレクタ上へトンネルさせることを可能にするステップを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
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