JP2006520776A - 統合失調症の治療における5−ht2c受容体拮抗薬 - Google Patents

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Abstract

本発明は、精神障害、特に統合失調症の局面、認知障害および自殺傾向の治療用の薬剤の製造における特定の5-HT2C受容体拮抗薬の使用、ならびにそのような使用における化合物の適合性を検討する方法に関する。

Description

本発明は、精神障害、特に統合失調症の治療用の特定の化合物の使用、ならびにそのような使用における化合物の適合性を検討する方法に関する。
破壊的精神障害である統合失調症は、認知(幻覚)、観念化、現実テスト(妄想)、思考過程(不正確な連想)、感情(平板化、不適切な影響)、行動(緊張病、分裂)、注意、集中、動機付け(消滅(avolitation)、意図および計画の障害)および判断などの重度の心理学的症状によって特徴づけられる慢性疾患である(例えば、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders IV、American Psychiatric Associationを参照)。一般的に、疾患症状は陽性症状と陰性症状に分けられ、幻覚および妄想は陽性の特徴であり、感情の平板化、会話内容の貧困および実行機能の障害などの特徴は陰性症状を表す。陽性および陰性症状尺度(PANSS、Kay 1991)ならびに陰性症状の評価の尺度(SANS、Andreasen 1982)のような臨床評価尺度は、陽性症状と陰性症状とを区別し、評価する基準となる。陰性症状の記述にしばしば含められるのは、患者が罹患する統合失調症性および分裂型認知欠損である。これらは、注意、発語流ちょう性、計画、作業記憶ならびに視覚および言語学習ならびに記憶などの実行機能の障害などである。これらの型の認知機能障害は、Visual Search(Portnoffら、1981年、Kurachiら、1994年)、Verbal Fluency、Wisconsin Card Sorting、Trail Making - Part B(Goldbergら、1988年を参照)、Symbol Digit、Hopkins Verbal Learning、Digit Span、Stroop-Color-WordおよびAttentional Capacity(Mahurinら、1998年)などの様々な試験により測定することができる。重要なことに、認知測定によってGlobal Assessment ScaleおよびQuality of Life Scale(Meltzerら、1996年を参照)により評価される作業機能および総合転帰が予測されることが見いだされた。いくつかの試験によって、疾患のいくつかの陰性および認知症状を反映する神経心理学的機能が男性精神分裂患者において女性患者と比べて障害される可能性があることが示された(Goldsteinら、1998年、1994年、GoldsteinおよびLink、1988年を参照)。さらに、分裂型および分裂感情性障害ならびに統合失調症と重複する症候学的側面を有する他の急性および慢性精神病および双極性障害などの他の多くの精神病が存在する。
自殺は、統合失調症患者における早期死亡の主因であり、患者の40%が自殺思考を有し、2〜40%が不成功の自殺企図を行い、9〜13%が自殺によりその生涯を終えている(Siris、2001年、Meltzer、1998年)。自殺および自殺傾向の病態生理は依然として不明であるが、5-HT受容体が自殺と関連づけられた(Duら、2001年、Pandleyら、1997年)。最近の報告(Niswenderら、2001年)は、自殺犠牲者における5-HT2C受容体メッセンジャーRNAの修正型のレベルの変化を記載している。
統合失調症の病因は依然として十分には理解されておらず、疾患の原因は多因子性であると考えられている。統合失調症は一部分は遺伝病であるということを裏付ける証拠が得られた(Baron、2001、Bassettら、2001年、Tsuangら、2001年)。統合失調症との2つの最も再現性のある関連は、1)ドーパミンD3受容体遺伝子変異型の同型接合性、および2)セロトニン5-HT2A受容体における非機能的多形性である。環境上の影響も疾患の発現に役割を果たしている可能性が非常に高い(Tsuangら、2001年)。これまでに、多くの科学的知見が統合失調症患者の前頭葉前部皮質の機能亢進およびその脳構造における異なる神経充填を示しているが、単一遺伝子または因子が統合失調症に明確に関連することは認められていない。結果的に、前シナプス遺伝子転写のレベルの低下が認められた(総説についてはLewisおよびLieberman、2000年を参照)。
抗精神病薬の薬理作用ならびに病態生理データに基づいて、統合失調症の病因を説明するいくつかの仮説が提案された。第一世代の抗精神病薬の作用機序から、統合失調症のドーパミン仮説が提案された(疾患がドーパミン作動性システムの機能亢進によって引き起こされると提案、Carlsson、1988年、SeemanおよびSnyder、1975年)。この理論は単にこの疾患の陽性症状を説明するものにすぎなかったので、統合失調症の陽性および陰性症状の両方を説明する他の仮説が提案された。特に、グルタミン酸仮説は、街上薬物およびNMDA受容体拮抗薬フェンシクリジン(PCP、エンジェルダスト)の活性を考慮して、この疾患の陽性および陰性症状の両方を明らかにするように思われる(Olneyら、1999年)。今日、グルタミン酸伝達物質系が統合失調症の陰性症状の発現とおそらく治療に主要な役割を果たしていると考えられている(Olneyら、1999年、Bunneyら、2000年)。GABA作動性、セロトニン作動性および/またはコリン作動性神経伝達物質系の介在も提案された(Meltzer 2000年、Carlssonら2000年、Dean 2000年、Lewisら1999年を参照)。さらに、かなり多くの証拠が疾患の神経発達上の原因の可能性を示している(Weinberger 2000年を参照)。全体的に見て、統合失調症およびいくつかの関連精神障害の原因は依然として不明であり、この疾患の複雑な病因がいくつかの神経伝達物質系に関係している可能性がある。
統合失調症および関連精神障害は、現在様々な抗精神病薬により治療されている。しかし、そのような薬剤の副作用プロフィールは重篤である可能性があり、副作用としては、しばしば不可逆性である異常運動、座位不能、筋緊張異常およびパーキンソン症候群によって特徴づけられる、しばしば記載される錐体外路症候群(EPS)などがある(例えば、Caseyら、1994年)。Denikerおよび共同研究者ら(Deniker、1983年)によれば、抗精神病活性はEPSと一致し、2つは引き離すことはできない。この概念は、一般的に受け入れられており、ドーパミンD2受容体遮断と抗精神病活性との明確な相関が認められ(SeemanおよびLee、1975年、Creeseら、1976年)、同じドーパミン受容体の占有の程度がEPSの重症度と相関することが示された(Fardeら、1992年)。
多くの神経弛緩薬は、統合失調症の陽性症状を有意に低減するが、この疾患の陰性症状には効果を示さない。さらに、すべての統合失調症患者の約25%が典型的抗精神病薬に対して治療抵抗性を示し、すべての患者の約20%が非常に重度の副作用プロフィールを示し、したがって、これらの薬剤で治療することができない。
クロザピンなどの非典型的抗精神病薬は、EPSをほとんどまたは全く引き起こさない(Matzら、1974年、Kaneら、1993年)。D2受容体のクロザピンの占有率は典型的D2受容体遮断抗精神病薬のそれより低いことも認められた(Fardeら、1989年、Pilowskiら、1992年)。クロザピンは、統合失調症における陰性および認知欠損を有意に改善した最初の真の非典型的抗精神病薬であった。臨床試験で、クロザピンは定型的ならびに他のいわゆる「非定型的」抗精神病薬より優れており、EPSを引き起こさないだけでなく、血清プロラクチン濃度の増加ももたらさず、この疾患の陰性症状を改善すると思われる。
現今、多くの新規の抗精神病薬が「非定型的」と呼ばれているが、この定義の基準は明確ではない(最初の定義についてはMeltzerら、1989年を参照)。クロザピンの活性プロフィールに基づいて、新規の非典型的抗精神病薬の臨床的基準には、1)陽性症状対してだけでなく、陰性(認知を含む)症状に対して優れた有効性、2)従来の抗精神病薬に対して不応性の患者の治療の有効性および3)EPSまたは遅発性異常運動の原因を全く含まない(または極わずかに含む)限られた有害効果プロフィールおよび血清プロラクチン濃度に対する最小限の影響(WaddingtonおよびQuinn、2000年を参照)を含めるべきである。
一般的に、典型的神経弛緩薬は非常に強力なドーパミンD2受容体遮断約である。「非定型的」薬の代表であるクロザピンは、多数の神経伝達物質受容体と相互作用することから、1つまたは少数の受容体との相互作用がその非定型的活性の鍵であると考えられている。クロザピンは、ドーパミンD2受容体に対してはるかに低い親和力を有し、ある種のドーパミン受容体に加えて、αアドレナリン受容体、ヒスタミン、セロトニン(5-HT) 、ムスカリン性アセチルコリン受容体と相互作用する(表1)。(5-HT受容体の名称は過去数十年にわたって変化したので、最近の総説についてはHoyerら(1994年)を参照することが推奨される。)
表1にいくつかのヒト組換え神経伝達物質受容体における一連の典型的および「非定型的」抗精神病薬の薬理学的特性(親和定数として表す)を示す。
統合失調症の理解を向上させるために、有効な薬物治療の作用の媒介に関与する遺伝子が研究された(薬理ゲノム学)。精神病および再び特に統合失調症について、いくつかの受容体および「薬物標的」遺伝子が、薬物治療反応に関して検討された。PickarおよびRubinow(2001年)は、統合失調症患者におけるクロザピン反応に関する最近の薬理ゲノム学的試験からの最新のデータを検討している。クロザピンが相互作用する受容体(表1を参照)をエンコードする遺伝子の多くが、クロザピン治療反応におけるそれらの役割について検討された。特にドーパミンおよびセロトニン(5-HT)受容体遺伝子が検討された。これまでに一貫した関連は認められていない。2つの試験でドーパミンD3受容体の異なる対立遺伝子間の関連性が報告されたが、両試験の結果は対立している。興味深いことに、いくつかの試験(10試験の6試験)で、影響は小さいが、5-HT2A受容体遺伝子の対立遺伝子変異型とクロザピン反応との間の正の相関が示された。
Figure 2006520776
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クロザピンにより標的にされるすべての神経伝達物質受容体のうち、5-HT2A受容体遺伝子およびおそらくD3受容体遺伝子が統合失調症の発現に対する感受性に(限られた)役割を果たし、クロザピン治療に対する反応にもおそらく関与していることを示唆するデータが存在する。5-HT2C受容体(遺伝子)などの他のセロトニン受容体標的は、これらの総説では強調されておらず、疾患のリスクまたはクロザピン治療に対する反応に重要な役割を果たしていないと考えられている(O'DonovanおよびOwen、1999、Baron、2001、Bassettら、2001、PickarおよびRubinow、2001を参照)。統合失調症および/または関連精神病のより重要なリスクファクターである遺伝子または因子を特定するために、実質的な研究努力が現在行われている。
クロザピンおよび他のいくつかの有効な(非定型的)抗精神病薬が強力な5-HT2C受容体拮抗薬であることは認識されているが、抗精神病薬物療法における5-HT2C受容体拮抗作用の役割は一般的に支持されていない。例えば、Cantonと共同研究者ら(1991)は、クロザピンの5-HT2C受容体親和力と有効性(および一般的に非典型的抗精神病活性)との相関を示唆するデータを提示した。しかし、Rothと共同研究者ら(1992)は、5-HT2C受容体に対する高い親和力は「非定型的」抗精神病薬の彼らの選択と相関しないことを示すデータを提示し、したがって、5-HT2C受容体拮抗作用が非典型的抗精神病薬の重要な要素であるという仮説を棄却した。抗精神病治療における5-HT2C受容体拮抗薬の推定上の役割を論じたさらなる総説で、5-HT2C受容体拮抗作用は1)抗精神病活性に寄与せず(Leysenら、1993)、2)体重増加をもたらし(Leysenら、2000)、3) 5-HT2A受容体拮抗作用に機能的に対抗する(Meltzer、1999)ことが主として結論された。
いくつかの新世代の抗精神病薬は限定的な錐体外路副作用を示す(しばしば低用量でのみ)が、すべてがプロラクチン放出の増加がないわけではない(最初の定義で示されているように)。さらに、ほんの少数の新規抗精神病薬が疾患の陰性症状または認知欠損を改善することが報告された。
US6335371は、デラムシクランおよびその誘導体の投与により哺乳類における認知の増大を誘発する方法を記載しており、これらの化合物は、5HT2Aおよび/または5HT2C受容体拮抗薬である。
Altarら(1986)、Leysenと共同研究者ら(1988、1993)およびMeltzer(1994、1996、1999)を含むいくつかのグループが多くの有効な抗精神病薬がD2受容体に対して高い親和力に調節することに加えて、高い5-HT2A受容体親和力を有することを認めた。Meltzerらは、特に「非定型的」の抗精神病薬が5-HT2A/D2受容体親和力の高い比を有することを報告した(Meltzerら、1989、ラットデータを報告)。しかし、5-HT2A/D2比の間の相関は、理想的でなく、例えば、ロクサピンとゾテピンは外れ値を示し、迅速スクリーニングツールとしてだけ用いるべきであることが提案された。表2に主としてヒト組換え受容体において測定され、Meltzerら(1989)によって報告された同様な関係を観察することができた典型的および「非定型的」抗精神病薬の5-HT2A/D2受容体親和力比を示す。
Figure 2006520776
Portnoffら、1981 Kurachiら、1994 Goldbergら、1988 Mahurinら、1998 Meltzerら、1996 Goldsteinら、1998 Goldsteinら、1994 GoldsteinおよびLink、1988 Siris、2001 Meltzer、1998 Duら、2001 Pandleyら、1997 Niswenderら、2001 Baron、2001 Bassettら、2001 Tsuangら、2001 LewisおよびLieberman、2000 Carlsson、1988 SeemanおよびSnyder、1975 Olneyら、1999 Bunneyら、2000 Meltzer、2000 Carlssonら、2000 Dean、2000 Lewisら、1999 Weinberger、2000 Caseyら、1994 Deniker、1983 SeemanおよびLee、1975 Creeseら、1976 Fardeら、1992 Matzら、1974 Kaneら、1993 Fardeら、1989 Piloeskiら、1992 Meltzerら、1989 WaddingtonおよびQuinn、2000 Hoyerら、1994 PickarおよびRubinow、2001 Rothら、1992 Rothら、1994 Malmbergら、1993 Rothら、1995 Wanderら、1987 Schotteら、1996 Glattら、1995 Meltzerら、1989b Kanbaら、1994 Kongsamutら、1996 Leysenら、1993a van Tolら、1991 Bymasterら、1996 Seegerら、1995 Boldenら、1992 RichelsonおよびNelson、1984 Szewczakら、1995 Corbettら、1993 Leysen、2000 O'DonovanおよびOwen、1999 Baron、2001 Bassettら、2001 PickarおよびRubinow、2001 Cantonと共同研究者ら、1991 Rothと共同研究者ら、1992 Leysenら、1993 Leysenら、2000 Meltzer、1999 Altarら、1986 Leysenと共同研究者ら、1988 Leysenと共同研究者ら、1993 Meltzer、1994 Meltzer、1996 Meltzer、1999 Meltzerら、1989 US6335371 Altarら、1986 WO97/16429 WO97/44334 US05010078 EP161218 EP401707 EP526434 DE02834114 EP210893 US03580916 US05043341 EP620222 EP208235 EP437790 DE02614406 US04338317 EP271013 EP110435 EP398326 WO92/05170 WO95/01976 WO96/23783 WO98/04289 WO97/48700 WO00/48602 WO00/26186 WO99/58490 WO99/52517 WO99/51237 WO99/46245 WO99/43319 WO99/33841 WO99/25356 WO99/09017 WO99/03833 WO99/00119 WO98/56367 WO98/52943 WO98/50358 WO98/50346 WO98/50343 WO98/41527 WO98/38165 WO98/30561 WO98/30546 WO98/24785 WO98/21958 WO98/04261 WO97/48699 WO97/41858 WO97/39001 WO97/37989 WO97/20845 WO97/12880 WO97/08167 WO97/06155 WO97/00872 WO96/39382 WO96/30366 WO96/24351 WO96/23769 WO96/18629 WO96/14320 WO96/11930 WO96/11929 WO96/02537 WO95/29177 WO95/25731 WO95/24194 WO95/21844 WO95/18117 WO95/12591 WO94/22871 WO94/18958 WO94/18182 WO94/18170 WO94/14801 WO94/04533 WO94/02462 WO93/18028 WO93/18026 WO93/16081 WO93/16051 WO93/14758 WO93/12790 WO92/15302 WO92/10192 WO91/18602 WO01/68585 WO01/68067 WO01/52855 WO01/38329 WO01/26621 WO01/25229 WO01/19371 WO00/76984 WO00/68181 WO00/63185 WO00/62782 WO00/61129 WO00/61128 WO00/37068 WO00/06165 US06143325 US05854248 US05739336 US05693645 US05674875 US05498618 US05371093 US05266571 US05116852 US05106855 US05030656 US05013735 US04985352 US04914107 US04906639 US04902691 US04891376 US04847261 US13220375 JP12204040 JP11171865 JP11080155 JP10316634 JP10077271 JP09040646 JP08053416 JP08040999 JP07228573 JP07179337 JO00158067 GB02303303 GB02301774 EP01118610 EP1070716 EP01052245 EP01000944 EP00905136 EP00797995 EP00797994 EP00769297 EP00749971 EP00749967 EP00718299 EP00700905 EP00686393 EP00682015 EP0661266 EP00657426 EP006554440 EP00613898 EP00596449 EP00559569 EP00545120 EP00522226 EP00511074 EP00511073 EP00493687 EP00484988 EP00465398 EP00452074 EP00389352 EP00388081 EP00384228 EP00379308 EP00378468 EP00375297 EP00374042 EP00373998 EP00363963 EP00354030 EP00337136 EP00332528 EP00320983 EP00218433 EP00145494 EP473550 US4931447 US4435405 US4714704 US4342762 US6093747 EP161218 US4931447 Meltzer 2000 Javitt 2001 Azorinら2001 Sauriolら2001 ConleyおよびMahmoud 2001 Chakosら2001 Cuestaら2001 Wetterling 2001 TaylorおよびMcAskill 2000 Purdonら2000 Leuchtら1999 Pezawasら2000 Lewisら2000 MeltzerおよびMcGurk 1999 ArvanitisおよびMiller 1997 Tranら1997 Haggerら1993 Greenら1997 Meltzer 2000b Velliganら2002 Purdonら2001 Wirshingら1999 米国特許第3710795号
特に非典型的抗精神病薬によってもたらされる望ましい効果と受容体拮抗作用との関係の評価における統合失調症の治療に関して実施された広範な試験にもかかわらず、認知欠損ならびに特に当該状態の陰性側面に対応するだけでなく、自殺をもたらす状態の側面に対応する候補薬物の必要が依然としてある。
本発明は、5-HT2C受容体に拮抗する化合物は統合失調症患者のある種の群の治療ならびに関連疾患に罹患している患者の治療に特に適するという発見に基づいている。本発明は、統合失調症および関連精神障害の治療用に化合物が適しているかどうかを判断する手段も提供する。より具体的には、5-HT2C受容体に対する候補化合物の相対親和力評価し、その親和力によって、統合失調症および関連精神障害の治療に対するそのような化合物の適合性を判断する。
その第1の態様において、本発明は、統合失調症における認知機能障害および/またはその陰性症状の治療における、難治性統合失調症の治療における、または自殺傾向もしくは軽度認知障害の治療用の薬剤の製造における5-HT2C受容体拮抗薬の使用を提供する。但し、
(a)統合失調症の認知機能障害、陰性症状および難治性統合失調症の適応については、5-HT2C受容体拮抗薬は、リタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものであり、
(b)統合失調症または軽度認知障害における認知機能障害の適応については、5-HT2C受容体拮抗薬は、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(ジメチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(メチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびその製薬上許容できる酸付加塩以外のものであり、
(c)統合失調症性自殺傾向の治療については、5-HT2C受容体拮抗薬は、クロザピン以外のものである。
その第2の態様において、本発明は、統合失調症の陰性症状および/またはそれにおける認知機能障害、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療用の薬剤の製造における式I
式I:
X X
- + -
A B
[式中、Xは5-HT2C受容体における相互作用のための化合物の親和力であり、AおよびBは5-HT2C受容体以外の2つの主要な部位における相互作用のための化合物の平均親和力値である]
によって決定される1.80以上の相対5-HT2C親和力を有する化合物の使用を提供する。但し、
(a)統合失調症の陰性症状および/または認知機能障害または難治性統合失調症の適応については、化合物は、リタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものであり、
(b)統合失調症または軽度認知障害における認知機能障害の適応については、5-HT2C受容体拮抗薬は、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(ジメチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(メチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびその製薬上許容できる酸付加塩以外のものであり、
(c)統合失調症性自殺傾向の治療については、選択される化合物は、クロザピン以外のものである。
第3の態様において、本発明は、
a)5-HT2C受容体における化合物の親和力を評価する段階と、
b)前記化合物の相互作用の少なくとも他の2つの主要な部位における化合物の親和力を評価する段階と、
c)評価した親和力を次の式
式:
X X
- + - = Y
A B
[式中、Xは5-HT2C受容体における相互作用のための化合物の親和力であり、AおよびBは5-HT2C受容体以外の2つの主要な部位における相互作用のための化合物の平均親和力値である]に適用し、
統合失調症における認知機能障害および/またはその陰性症状、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療に適する化合物としてYが1.80以上である化合物を選択する段階とを含む
統合失調症における認知機能障害および/またはその陰性症状、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療用の候補化合物の適合性を検討する方法を提供する。但し、
(a)統合失調症の陰性症状および/またはそれにおける認知機能障害または難治性統合失調症の治療については、選択される化合物は、リタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものであり、
(b)統合失調症または軽度認知障害における認知機能障害の適応については、5-HT2C受容体拮抗薬は、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(ジメチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(メチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびその製薬上許容できる酸付加塩以外のものであり、
(c)統合失調症性自殺傾向の治療については、選択される化合物は、クロザピン以外のものである。
本発明のこの態様の好ましい実施形態において、
a)5-HT2C受容体における化合物の親和力を評価する段階と、
b)前記化合物の相互作用の少なくとも他の2つの主要な部位における化合物の親和力を評価する段階と、
c)評価した親和力を次の式
式:
X X
- + - = Y
A B
[式中、Xは5-HT2C受容体における相互作用のための化合物の親和力であり、AおよびBは5-HT2C受容体以外の2つの主要な部位における相互作用のための化合物の平均親和力値である]に適用し、
(d)統合失調症における認知機能障害および/もしくはその陰性症状または難治性統合失調症の治療に適する化合物としてYが1.80以上である化合物を選択する段階とを含む
統合失調症における認知機能障害および/もしくはその陰性症状または難治性統合失調症の治療用の候補化合物の適合性を検討する方法を提供する。但し、(i)選択される化合物は、リタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものであり、(ii)選択される化合物が認知機能障害の治療用である場合、化合物は、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(ジメチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(メチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびその製薬上許容できる酸付加塩以外のものである。
本発明のこの態様のさらなる好ましい実施形態において、
a)5-HT2C受容体における化合物の親和力を評価する段階と、
b)前記化合物の相互作用の少なくとも他の2つの主要な部位における化合物の親和力を評価する段階と、
c)評価した親和力を次の式
式:
X X
- + - = Y
A B
[式中、Xは5-HT2C受容体における相互作用のための化合物の親和力であり、AおよびBは5-HT2C受容体以外の2つの主要な部位における相互作用のための化合物の平均親和力値である]に適用し、
(e)自殺傾向または軽度認知障害の治療に適する化合物としてYが1.80以上である化合物を選択する段階とを含む
自殺傾向または軽度認知障害の治療用の候補化合物の適合性を検討する方法を提供する。但し、(i)統合失調症性自殺傾向の治療については、選択される化合物は、クロザピン以外のものであり、(ii)軽度認知障害の治療については、化合物は、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(ジメチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(メチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびその製薬上許容できる酸付加塩以外のものである。
他の態様において、本発明は、統合失調症の陰性症状、認知機能障害、難治性統合失調症、自殺傾向および軽度認知障害からなる群から選択される状態に関連する症状に罹患した患者の5-HT2C拮抗薬による治療の方法を提供する。但し、
(a)状態が統合失調症の陰性症状、認知機能障害および難治性統合失調症からなる群から選択されるとき、5-HT2C受容体拮抗薬は、リタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものであり、
(b)状態が統合失調症における認知機能障害であるか、または軽度認知障害であるとき、5-HT2C受容体拮抗薬は、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(ジメチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(メチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびその製薬上許容できる酸付加塩以外のものであり、
(c)状態が統合失調症性自殺傾向であるとき、5-HT2C受容体拮抗薬は、クロザピン以外のものである。
さらなる態様において、本発明は、次の式I
式I:
X X
- + -
A B
[式中、Xは5-HT2C受容体における相互作用のための化合物の親和力であり、AおよびBは5-HT2C受容体以外の2つの主要な部位における相互作用のための化合物の平均親和力値である]
によって決定される1.80以上の相対5-HT2C親和力を有する製薬上有効な量の化合物による、統合失調症の陰性症状、認知機能障害、難治性統合失調症、自殺傾向および軽度認知障害からなる群から選択される状態に関連する症状に罹患した患者の治療の方法を提供する。但し、
(a)状態が認知機能障害、統合失調症の陰性症状または難治性統合失調症からなる群から選択されるとき、化合物は、リタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものであり、
(b)統合失調症における認知機能障害および軽度認知障害の適応については、5-HT2C受容体拮抗薬は、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(ジメチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(メチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびその製薬上許容できる酸付加塩以外のものであり、
(c)状態が統合失調症性自殺傾向であるとき、化合物は、クロザピン以外のものである。
本発明において、AとBは、異なっており、独立に、表1に示す受容体のような、受容体、チャンネル、酵素または他のタンパク質を含む、化合物に結合する部位であってよい。
本発明のこれらの態様の好ましい実施形態において、AとBは異なり、5-HT1A、5-HT2A、5-HT3、5-HT6、5-HT7、D1、D2-S、D2-L、D3、D4、D5、M1、M2、M3、M4、M5、mACh、α1、α2、H1またはシグマ受容体からなる群から独立に選択される。
より好ましくは、AとBは異なり、5-HT3、5-HT4、5-HT6、5-HT7、D1、D2、D3、M1、M2、M3、M4、M5、α1、α2またはH1受容体からなる群から独立に選択される。
本発明のこれらの態様の最も好ましい実施形態において、Aは、一般的に5-HT2A受容体に対する化合物の親和性の尺度である。
本発明のこれらの態様のさらなる最も好ましい実施形態において、Bは、一般的にD2受容体に対する化合物の親和性の尺度である。
本発明のこれらの態様のより好ましい実施形態において、Aは5-HT2A受容体に対する化合物の親和性の尺度であり、BはD2受容体に対する化合物の親和性の尺度である。
表1に示すような受容体、チャンネル、酵素または他のタンパク質のいずれかに対する化合物の親和力は、当技術分野において一般的な技術を用いて測定することができる。一般的に親和力はlogKi(pKi)またはlogKd(pKd)として測定される。
本発明において、1.80以上の式IのYの値を有する化合物は、本発明の特定の患者群の治療用に特に適していると考えられる。Yの値が高いほど、本明細書に詳述した特定の患者群の治療にその化合物を用いることがより適切になるということが一般的に当てはまる。本発明の好ましい実施形態において、Yが1.90以上であることが最も好ましいが、Yは2.00以上である。
5-HT2C受容体拮抗薬および特に1.80以上の相対5-HT2C親和力を有するそのような化合物は、統合失調症における認知機能障害および/またはその陰性症状、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療に有用である。
リタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドンなどの化合物は、統合失調症の治療用として既に知られており、したがって、統合失調症における認知機能障害および/もしくはその陰性症状または難治性統合失調症の治療用の薬剤の製造における使用に関する本発明の目的のために除外される。クロザピンは、統合失調症患者における自殺傾向の治療用としても知られており、したがって、本発明の目的のためにそれから除外される。上記のように、米国特許第6335371号は、精神障害における認知機能障害の治療におけるデラムシクラン、N-デスメチルデラムシクランおよびその製薬上許容できる酸付加塩の使用を開示しており、したがって、本出願はこれらの化合物のこの使用を除外する。
認知機能障害は、注意、発語流ちょう性、計画、作業記憶ならびに視覚および言語学習ならびに記憶などの実行機能の障害によって類型化される。統合失調症を有する一部の患者では、認知機能が低下し、注意、抽象的思考および問題解決の障害を伴う。認知障害の重症度は、これらの患者における全般的な作業不能の主要な決定因子である。
本発明により、5-HT2C受容体拮抗薬がこれらの症状の治療に有用であることが発見され、したがって、本発明は、統合失調症患者における認知機能障害の治療用の薬剤の製造における5-HT2C受容体拮抗薬の使用を提供する。但し、5-HT2C受容体拮抗薬は、リタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、デラムシクラン、N-デスメチルデラムシクラン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものである。
統合失調症の陰性(欠損)症状は、情動鈍麻、会話内容の貧困、無快感症および非社会性などである。情動鈍麻(感情の平板化)については、患者の顔は無表情で、視線を合わせることがまれで、感情表出の欠如を伴う。会話内容の貧困は、会話の減少および質問に対する短い応答に反映され、内容が空虚であるという印象を生じさせる思考の縮小を指す。無快感症(快感を経験する能力の低下)は、活動への関心の欠如に反映され、実質的な時間が無意味な活動に費やされる。非社会性は、関係への関心の欠如を指す。陰性症状は、動機付けの一般的な喪失ならびに目的および目標の意味の低下にしばしば関連する。統合失調症の「欠損サブタイプ」を有する患者は、他の因子によって説明されない顕著な陰性症状を有する。そのような患者は、統合失調症の「非欠損サブタイプ」を有する患者より、一般的に作業不能の程度が高く、不良な予後を有し、治療に対して抵抗性が高い。
本発明により、5-HT2C受容体拮抗薬が統合失調症の陰性症状の治療に有用であることが発見され、したがって、本発明は、統合失調症の陰性症状の治療用の薬剤の製造における5-HT2C受容体拮抗薬の使用を提供する。但し、5-HT2C受容体拮抗薬は、リタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものである。
統合失調症の陰性症状は、統合失調症患者において認知機能障害とともに、またはそれと分離して認められる。本発明から除外されるのは、統合失調症の陰性症状にも罹患している患者における認知機能障害の治療用の薬剤の製造における(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(ジメチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(メチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびその製薬上許容できる酸付加塩の使用である。
難治性統合失調症は、従来の抗精神病薬に応答しない統合失調症患者を含めるために設けられている用語である。この群は、一般的にすべての統合失調症患者の約30%を占める。本発明により、5-HT2C受容体拮抗薬が難治性病の治療に有用であることが発見され、したがって、本発明は、難治性統合失調症の治療用の薬剤の製造における5-HT2C受容体拮抗薬の使用を提供する。但し、5-HT2C受容体拮抗薬は、リタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものである。
自殺傾向は、統合失調症に関連することもあり、関連しないこともある。自殺傾向は、人格障害を有する人、境界型または反社会的人格障害を有し、欲求不満に耐えることが不十分で、ストレスに暴力と攻撃により衝動的に反応する特に情動的に未成熟な人にしばしば随伴する。
Merck Manual of Diagnosis and Therapy, 17th Edition (www.merck.com/pubs/mmanual)によれば、自殺行動は、自殺の真似、自殺未遂および自殺完遂を含む。成功することがあり得ないと思われる自殺計画および行動は、しばしば「自殺の真似」と呼ばれ、主としてコミュニケーションのためであり、一般的に助けの訴えである。特に、自殺を企てる人の20%が1年以内に再び試み、10%が最終的に成功することから、困窮を軽減し、企図の繰返しを防止することを治療目標とすることが重要である。「自殺未遂」は、おそらく自己破壊企図がわずか、漠然または不明瞭であるか、またはとる行動が致死の可能性が低いので、致命的でない自殺行為である。自殺を試みるほとんどの人がその死亡の欲求について相反する感情を抱き、その企図は助けの訴えである可能性があり、生きることの強い欲求のため失敗する可能性がある。「自殺完遂」は死亡に至る。
統合失調症を有する一部の患者は、自殺を試み、成功することもあれば、しないこともある。慢性統合失調症においては、自殺は、これらの患者が罹り易い抑うつ症のエピソードに起因する可能性がある。自殺の方法は、通常奇異であり、しばしば暴力的である。自殺未遂は、まれであり、精神障害の最初の著しい徴候であるが、統合失調症の初期におそらく患者がその思考および随意過程の分裂に気付くときに起る。
本発明により、自殺傾向の治療用の薬剤の製造における5-HT2C受容体拮抗薬の使用を提供する。但し、自殺傾向が統合失調症患者にあるとき、5-HT2C受容体拮抗薬はクロザピン以外のものである。自殺傾向は統合失調症または非統合失調症患者に存在することがあり、したがって、好ましい態様において、本発明は、自殺傾向が統合失調症患者にあるときの5-HT2C受容体拮抗薬の上記の使用を提供する。但し、5-HT2C受容体拮抗薬はクロザピン以外のものである。他の選択肢としての好ましい態様において、本発明は、自殺傾向が統合失調症患者にないときの5-HT2C受容体拮抗薬の上記の使用を提供する。
軽度認知障害は、その臨床状態は記憶障害として存在するが、他の点では十分に機能し、認知症の臨床的基準を満たさない患者に適用される用語である。軽度認知障害は、正常な老化と初期アルツハイマー病との間の認知障害の移行状態である。診断基準は、一般的に記憶愁訴(好ましくは確証された)、客観的記憶障害、正常な一般的認知機能、日常生活の完全な活動を含むが、認知症ではない。軽度認知障害は、初期認知症、認知症の疑い、年齢関連認知低下および単独性記憶障害とも呼ばれることがあり、本発明は、これらのすべておよび他の一般的に用いられている軽度認知障害の同義語を含む。軽度認知障害に関する多くの試験が実施され、これらの試験の総説で、軽度認知障害を有する人はアルツハイマー病を発症するリスクが高く、ほとんどの症例において、数年以内に認知症および/またはアルツハイマー病に転換することが示された。
本発明により、軽度認知障害の治療用の薬剤の製造における5-HT2C受容体拮抗薬の使用を提供する。但し、5-HT2C受容体拮抗薬は、デラムシクラン、N-デスメチルデラミクランまたはその製薬上許容できる酸付加塩以外のものである。
上記の適応における使用に適する化合物は、一般的に5-HT2C受容体拮抗薬であろう。受容体親和力は、当技術分野の個々の化合物について知られており、あるいは、本明細書に記載した方法を用いて、または当技術分野で知られている別の方法により求めることができる。
5-HT2C受容体拮抗薬活性を示す化合物は、本発明に用いることができる。適切な化合物は、次の特許広報に記載されているものを含む。
WO97/16429、WO97/44334、US05010078、EP161,218、EP401,707、EP526,434、DE02834114、EP210,893、US03580916、US05043341、EP620,222、EP208,235、EP437,790、DE02614406、US04338317、EP271,013、EP110,435、EP398,326、WO92/05170、WO95/01976、WO96/23783、WO98/04289、WO97/48700、WO00/48602、WO00/26186、WO99/58490、WO99/52517、WO99/51237、WO99/46245、WO99/43319、WO99/33841、WO99/33840、WO99/25356、WO99/09017、WO99/03833、WO99/00119、WO98/56367、WO98/52943、WO98/50358、WO98/50346、WO98/50343、WO98/41527、WO98/38165、WO98/30561、WO98/30546、WO98/24785、WO98/21958、WO98/04261、WO97/48699、WO97/41858、WO97/39001、WO97/37989、WO97/20845、WO97/12880、WO97/08167、WO97/06155、WO97/00872、WO96/39382、WO96/30366、WO96/24351、WO96/23769、WO96/18629、WO96/14320、WO96/11930、WO96/11929、WO96/02537、WO95/29177、WO95/25731、WO95/24194、WO95/21844、WO95/18117、WO95/12591、W09 94/22871、WO94/18958、WO94/18182、WO94/18170、WO94/14801、WO94/04533、WO94/02462、WO93/18028、WO93/18026、WO93/16081、WO93/16051、WO93/14758、WO93/12790、WO92/15302、WO92/10192、WO91/18602、WO01/68585、WO01/68067、WO01/52855、WO01/38329、WO01/26621、WO01/25229、WO01/19371、WO00/76984、WO00/68181、WO00/63185、WO00/62782、WO00/61129、WO00/61128、WO00/37068、WO00/06165、US06143325、US05854248、US05739336、US05693645、US05674875、US05498618、US05371093、US05266571、US05116852、US05106855、US05030656、US05013735、US04985352、US04914107、US04914100、US04906639、US04902691、US04891376、US04847261、JP13220375、JP12204040、JP11171865、JP11080155、JP10316634、JP10077271、JP09040646、JP08053416、JP08040999、JP07228573、JP07179337、JO00158067、GB02303303、GB02301774、EP01118610、EP1070716、EP01052245、EP01000944、EP00905136、EP00797995、EP00797994、EP00769297、EP00749971、EP00749967、EP00718299、EP00700905、EP00686393、EP00682015、EP0661266、EP00657426、EP006554440、EP00613898、EP00596449、EP00559569、EP00545120、EP00522226、EP00511074、EP00511073、EP00493687、EP00484988、EP00465398、EP00452074、EP00389352、EP00388081、EP00384228、EP00379308、EP00378468、EP00375297、EP00374042、EP00373998、EP00363963、EP00354030、EP00337136、EP00332528、EP00320983、EP00218433およびEP00145494。
したがって本発明は、統合失調症における認知機能障害またはその陰性症状、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療用の薬剤の製造における上の特許広報のいずれかに記載されている化合物の使用を含む。
上の願書に記載されている化合物に加えて、次の化合物が本発明における使用に適している。すなわち、AHR-16303B(AH Robins Co. Inc)、AP-792およびAT-1015(Ajinomoto Co. Inc.)、BMS-181102(Bristol Myers Squibb)、CV-5197(Takeda Chemical Industries Ltd)、ドタリジン(Ferrer Internacional SA)、E-2101(Eisai Co Ltd)、エルトプラジン(Solvay SA)、エモパミル(Knoll AG)、HT-90B(Chugai Pharmaceutical Co Ltd)、ICI-169369およびICI-170809(Zeneca Group Plc)、LU-26042およびLU-29066(H Lundbeck A/S)、NPC-18166(Scios Inc)、Org-38457(NV Organon)、ペランセリン(Cinvestav)、ペルブフィリン(Siegfried Group)、SB-206553およびSB-242084(SmithKline Beecham)、SR-46615A(Sanofi Recherche SA)、SUN-9221(Suntory Ltd)、トロポキシン(Russian Academy Medical Science)またはYM-992(Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd)。
したがって本発明は、統合失調症における認知機能障害またはその陰性症状、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療用の薬剤の製造におけるAHR-16303B(AH Robins Co. Inc)、AP-792およびAT-1015(Ajinomoto Co. Inc.)、BMS-181102(Bristol Myers Squibb)、CV-5197(Takeda Chemical Industries Ltd)、ドタリジン(Ferrer Internacional SA)、E-2101(Eisai Co Ltd)、エルトプラジン(Solvay SA)、エモパミル(Knoll AG)、HT-90B(Chugai Pharmaceutical Co Ltd)、ICI-169369およびICI-170809(Zeneca Group Plc)、LU-26042およびLU-29066(H Lundbeck A/S)、NPC-18166(Scios Inc)、Org-38457(NV Organon)、ペランセリン(Cinvestav)、ペルブフィリン(Siegfried Group)、SB-206553およびSB-242084(SmithKline Beecham)、SR-46615A(Sanofi Recherche SA)、SUN-9221(Suntory Ltd)、トロポキシン(Russian Academy Medical Science)またはYM-992(Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd)のいずれかの使用も提供する。
本発明の使用に特に好ましい5-HT2C受容体拮抗薬としては、Ro-60-0759、RS-102221、SDZ-SER-082、Amersergide、ICI-169369、Sergolexole、Deramciclane、N-デスメチルデラムシクラン、CGS-18102AおよびLU-26042などがある。これらの化合物は、それらの調製の方法とともにWO98/30546、US5739336、EP473550、US4931447、US4435405、US4714704、US4342762、US6093747、EP161218およびWO93/14758にそれぞれ記載されている。
相対5-HT2C親和力が既知の5-HT2C/5-HT2A/D2親和力から上の式Iにより計算された候補化合物の例は、既知の抗精神病薬を太字活字で示す下の表3に示すものを含む。
Figure 2006520776
この表から明らかなように、相対5-HT2C親和力は、列挙した化合物の各々について1.80以上であり、したがって、これらの化合物(リタンセリン、クロザピン、セルチンドール、クロザピンおよびジプラシドンを含む)の各々は本発明の使用に適している。さらに、リタンセリン、セルチンドール、オランザピンおよびジプラシドンは自殺傾向または軽度認知障害の治療用に適しており、クロザピンは非統合失調症患者における軽度認知障害および自殺傾向の治療用に適している。
したがって、さらなる態様において、本発明は、統合失調症における認知機能障害および/またはその陰性症状、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療用の薬剤の製造に用いるためのRo-60-0759、RS-102221、SDZ-SER-082、アメセルギド、ICI-169369、セルゴレキソール、CGS-18102AおよびLU-26042の1つを提供する。
本発明のこの態様の別の実施形態において、統合失調症(認知機能障害を伴わない)の陰性症状、難治性統合失調症または自殺傾向の治療用の薬剤の製造におけるデラミクラン、N-デスメチルデラムシクランまたはその製薬上許容できる酸付加塩の使用を提供する。
本発明のこの態様において最も好ましいものは、統合失調症における認知機能障害および/またはその陰性症状、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療用の薬剤の製造に用いるためのアメセルギド、セルゴレキソール、CGS-18102AまたはLU-26042の1つ、あるいは統合失調症(認知機能障害を伴わない)の陰性症状、難治性統合失調症または自殺傾向の治療用の薬剤の製造におけるデラミクラン、N-デスメチルデラムシクランまたはその製薬上許容できる酸付加塩である。
1. デラムシクラン
デラムシクランは、(1R,2S,4R)-(-)-2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)-エトキシ]-2-フェニル-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンであり、US4342762に記載されている。
Figure 2006520776
デラムシクランは、上に示す構造式を有する。ヒトにおいては、デラムシクランは、より顕著な5-HT2C受容体拮抗作用を有する活性代謝物であるN-デスメチルデラムシクランへの生体内変換を受ける(US 6093747)。
2. アメセルギド
アメセルギドは、N-シクロヘキシル-1-イソプロピル-6-メチルエルゴリン-8-カルボキサミドであり、以下の構造式を有する。
Figure 2006520776
この化合物は、US4931447に記載されており、D-フェンフルラミンによって誘発されるプロラクチン濃度の5-HT2C受容体媒介性上昇を阻害することが知られている。アメセルギドの代謝はアカゲザルにおいて評価され、親化合物または代謝物(4-ヒドロキシおよびデスイソプロピル種)の最大値は通常35日目に発生し、最小値は365日目に発生したことから、アメセルギドの消失または変換は試験が進行するにつれて増大したことが示唆された。
3. セルゴレキソール
セルゴレキソール(化学名:[トランス(8β)]6-メチル-1-[1-メチルエチル]エルゴリン-8-カルボン酸、4-メトキシシクロヘキシルエステル(マレイン酸塩))およびその製剤は、US4714704に記載されている。この化合物は、以下に示す構造式を有し、片頭痛の治療に有用であることが知られている。
Figure 2006520776
4. CGS-18102A
この化合物(10-メトキシ-4-プロピル-1,2,3,4a,5,10b-ヘキサヒドロ-4H-[1]-ベンゾピラノ[3,4-b]ピリジン塩酸塩)は、EP161218に記載されており、以下の構造式を有する。
Figure 2006520776
この化合物は、抗不安または抗うつ薬としての使用が提案された強力な5HT2A/2C受容体拮抗薬である。
5. LU-26042
この化合物1-{2-[4(2,5-ジメチル-3-(4-フルオロフェニル)-1H-インドール-1-イル)-1-ピペリジニル]エチル}-2-イミダゾリジノンは、WO93/12970およびWO93/14758に記載されている既知5-HT2A/2C受容体拮抗薬である。この化合物は、以下の構造式を有する。
Figure 2006520776
上のものに加えて、本発明は、統合失調症治療における同時、独立または逐次使用のための配合剤としての5-HT2C受容体拮抗薬および一般的な抗精神病薬を含む製剤も提供する。この使用に適する製剤において、5-HT2C受容体拮抗薬は本明細書に記載されている通りである。一般的な抗精神病薬は、一般的に、統合失調症の一般療法に適し、好ましくは5-HT2C受容体拮抗薬によって治療できない統合失調症のサブクラス、例えば、陽性症状に適する化合物であろう。そのような化合物の例としては、ハロペリドール、クロルプロマジン、フルフェナジン、フルスピリレン、ロキサピン、ピモジド、スルピリド、チオリダジンおよびチオチキセンなどがある。したがって、2つの化合物の併用によって、すべてまたは実質的にすべての統合失調症症状の治療がもたらされると思われる。
「非定型的」抗精神病薬の解析
「非定型的」抗精神病薬が最近市場に導入されたことにより、これらの薬剤の臨床的有効性および副作用に関する大量の情報が入手可能になった。これらの最近導入された薬剤のいくつかが臨床試験において並行して比較されたが、最近公表された報告書には、薬剤の臨床的効果と薬理学的特性との関係に関するはるかに重要な洞察が示されている。したがって、薬剤クロザピン、オランザピン、リスペリドン、セロクエル(クエチアピン)、セルチンドールおよびジプラシドンを最近の文献の報告(Meltzer 2000、Javitt 2001、Azorinら2001、Sauriolら2001、ConleyおよびMahmoud 2001、Chakosら2001、Cuestaら2001、Wetterling 2001、TaylorおよびMcAskill 2000、Purdonら2000、Leuchtら1999、Pezawasら2000、Lewisら2000、MeltzerおよびMcGurk 1999、ArvanitisおよびMiller 1997ならびにTranら1997)に基づいて比較し、評価した。
種々の臨床的読み取りを次のように分類した。1)錐体外路副作用(遅発性運動異常の原因を含む)、2)陰性症状(平板化、社会的離脱および無快感症)の改善、3)認知機能障害の改善、4)血清プロラクチン濃度の上昇、5)体重増加の増加。疾患の陽性症状の抑制に加えて、これらの効果は、候補化合物の望ましい特徴である。
表4および4Aに現在市販されており、臨床的に十分に評価されている「非定型的」抗精神病薬の臨床的特性(A)および特定の受容体親和力比(B)の概要を示す*
Figure 2006520776
Figure 2006520776
抗精神病薬の臨床特性は、それらの薬理学的特性と相関させることができる。
1. 錐体外路副作用(EPS)
EPSの誘発はMeltzerら(1989)によって定義されたように「非典型性」の重要な部分であったが、本解析はEPSの誘発のレベルと5-HT2A/D2受容体親和力比との間に相関があることを実証した最初のものである(図1、パネルA)。多くの5-HT2A受容体拮抗薬も5-HT2C受容体と相互作用するので、EPSと相対5-HT2C受容体親和力(上の式Iにおける5-HT2C/5-HT2Aおよび5-HT2C/D2親和力比の和として表す)との間に関連性があるかどうかを検討した。図1(パネルC)は、頑健な相関関係が存在しないことを示している。受容体親和力比とEPSの誘発のレベルとの間のさらなる相関の有無を評価し、図1(パネルE、G、I、K、M、O、Q)に示した。EPSに罹り易さと5-HT2A/D2比との間の相関は完全ではない(ジプラシドンは外れ値を示すように思われる)が、そのうちに、一対一での比較試験が行われ、薬剤がより広く処方されたとき、相関は改善するであろう。
要約すると、5-HT2A受容体の遮断はD2受容体誘発性EPSの抑制(または予防)における重要な因子であることが示唆される。
2. 陰性症状の改善
これまでのところ、陰性症状の治療におけるクロザピンと同等の有効性を有すると思われる(新規)抗精神病薬は存在しない。同様に、クロザピンは神経弛緩薬不応性患者を治療するための最も有効な薬剤である。本解析は、新規抗精神病薬が有するすべての薬理学的特性のうち、相対5-HT2C受容体親和力(上の式Iにおける5-HT2C/5-HT2Aおよび5-HT2C/D2親和力比の和として表す)が陰性症状の改善と最も明確に相関していたことを示す(図1、パネルBを参照)。同様に、5-HT2C/5-HT2Aおよび5-HT2C/D2親和力比は、個々に陰性症状を治療する有効性との明らかな相関を示した(図1、パネルFおよびH)。
したがって、絶対5-HT2C受容体親和力(表1を参照)はこの臨床的効果と相関することは示唆されない(Rothら1992によって以前に検討されたように)が、相対5-HT2C受容体親和力(5-HT2AおよびD2受容体親和力と比較したとき)は陰性症状の治療における治療有効性と明確な相関関係を示すことが示唆される。抗精神病薬の他の薬理学的特性の比較では、同程度の相関は明らかにならなかった(図1、パネルD、J、L、N、PおよびR)。例えば、5-HT2A/D2親和力比と陰性症状の改善との間に相関は存在しなかった(図1、パネルD)。
要約すると、5-HT2C受容体の遮断は統合失調症における認知機能障害および/またはその陰性症状、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療において重要であることが示唆される。
Figure 2006520776
Figure 2006520776
Figure 2006520776
3 認知欠損の改善
統合失調症患者の認知欠損に対する新規抗精神病薬の効果に関する限られた情報が存在する。しかし、従来の神経弛緩薬は統合失調症患者の認知機能障害を改善しないことは明らかである。クロザピンは一連の神経心理学的試験により検討したとき、いくつかの認知機能に対する有意な効果を有することが報告された(Haggerら1993、Greenら1997)。同様に、予備的試験で、オランザピンによる認知機能の改善とリスペリドンおよびクエチアピンによるその改善がより低いことが示された(Meltzer 2000b-chapter int、MeltzerおよびMcGurk 1999、Cuestaら2001、Purdonら2000、Velliganら2002、Purdonら2001、Meltzer 2000)。表5にこれらの文献情報源に報告された種々のレベルの薬剤の効果を示す。
Figure 2006520776
試験は不十分なものであったが、クロザピンとオランザピンがリスペリドンやクエチアピンより統合失調症における認知欠損の改善に有効であると思われる。4つの新規抗精神病薬に関する臨床データが入手可能であったにすぎなかっので、受容体親和力と臨床的効果との相関は弱い(図2を参照)。しかし、他の相関と比較したとき、相対5-HT2C受容体親和力との関連性が最も適切である(パネルA)。5-HT2Aまたは5-HT6との関係は排除できない(パネルBおよびD)が、薬剤の5-HT2A親和力と比較したとき5-HT2C受容体親和力が寄与因子であると思われる(パネルC)。
4 血清プロラクチン濃度の上昇
以前に報告されたように、抗精神病薬の薬理学的特性と血清プロラクチンの上昇のレベルとの間に明確な相関はないように思われる。図2(パネルA)に示すように、D2受容体に対する相対親和力についてかなり不明瞭な傾向が認められる。しかし、我々は反応に関与する薬理学的特性について推測することを望まない。
5 体重増加
1ヶ月当たり0.8〜3.5kgの体重増加が多くの新規抗精神病薬について報告された。これに対して、ハロペリドールはそのような効果は有さない。クロザピン、オランザピンおよびセロクエルは体重増加を引き起こすことが報告された(TaylorおよびMcAskill 2000、Wetterling 2001)。図2(パネルB)に示すように、H1/D2受容体親和力と体重増加の増加し易さとの間に相関関係が存在する。これは、新しい知見ではなく、以前に報告された(Wirshingら1999)。
結論すると、ここでの結果は、抗精神病薬の「非典型性」を評価することよりも、抗精神病薬の種々の薬理学的特性がこれらの薬剤の非典型性の種々の特徴の原因であることを示している。抗精神病薬がすべてでないが、特定の非定型的特性を有する重要なグレイ領域が存在する可能性がある。
重要なことに、5-HT2A/D2受容体親知力比とEPSの原因との間の、また、より重要なことに、相対5-HT2C受容体親和力と陰性症状、認知欠損、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の改善との間の新しい相関が明らかになった。この知見は、これらの症状がある患者の治療に有効な薬剤の開発において非常に有用である。
5-HT2C受容体拮抗作用と自殺
上述のように、Niswenderと共同研究者ら(2001)は5-HT2CメッセンジャーRNA修正のレベルの増加を報告した。しかし、5-HT2C受容体のどのような役割が演じられているのか、5-HT2C受容体の作動薬または拮抗薬が自殺行動に対して有用な効果を有するかどうかは依然として不明である。Niswenderら(2001)によって発表されたデータのさらなる解析により、男性患者と女性患者の間に、それらの薬物療法、5-HT2C受容体mRNA修正のレベルおよびおそらく自殺率の差がある可能性があることが示されている(表6を参照)。
Figure 2006520776
重度抑うつ症を有する女性が5-HT2C受容体mRNAの修正A形のレベルの増加を有する強い傾向が認められた(p=0.04、Studentのt検定、p=0.09、ANOVA)。また、ドナーが受けた薬物療法(死亡前の最終の)の種類を考慮してデータを再解析した。薬物療法の種類は、1)5-HT2C受容体に拮抗することが知られている薬剤(クロザピン、ロクサピンまたはオランザピンなど)および2)他の薬剤(例えば、ハロペリドール)または薬物療法全くなしと分類した。次に、修正A 5-HT2C受容体mRNAのレベルと5-HT2C受容体遮断薬療法との間の相関の傾向が明らかになった(表7を参照)。さらに、サンプルセットは小さかったが、5-HT2C受容体遮断薬による治療とより低い自殺率との間の関係が認められた。
Figure 2006520776
5-HT2C受容体を遮断する薬剤による治療を受けなかった7例の統合失調症患者のうち、4例が自殺し、一方、5-HT2C受容体遮断抗精神病薬による治療を以前に受けた6例の患者のうち、2例のみが自殺した。この知見を確認するためにはより大規模な試験が必要である。それにもかかわらず、抗精神病薬の5-HT2C遮断効果が統合失調症および多分他の精神病患者の自殺完了率を低減させる可能性があると思われる。
結論すると、この試験は、統合失調症の陰性症状もしくは認知欠損または難治性統合失調症の治療における5-HT2C受容体拮抗薬の明確な役割を明らかにした最初の試験である。
さらに、5-HT2C受容体拮抗薬は、自殺傾向または軽度認知障害に治療に有用であると思われる。
5-HT2C受容体拮抗薬は単独投与することが可能であるが、少なくとも1つの活性化合物ならびに1つまたは複数の製薬上許容できる担体、佐剤、添加剤、希釈剤、賦形剤、緩衝剤、安定剤、保存剤、滑沢剤または当業者によく知られている他の物質および場合によって他の治療もしくは予防薬を含む薬剤組成物(例えば、製剤)として当化合物を提供することが好ましい。
「製薬上許容できる」という用語は、本明細書で用いているように、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、妥当なベネフィット/リスク比に見合った、対象(例えば、ヒト)の組織との接触のもとでの使用に適する化合物、材料、組成物および/または剤形に関するものである。各担体、添加剤等は、製剤の他の成分に適合するという意味でも「許容でき」なければならない。
適切な担体、添加剤等は、標準的な薬理学教科書、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1990に見いだすことができる。
製剤は、単位剤形で提供することが都合がよく、薬学の技術分野でよく知られている方法により調製することができる。そのような方法は、活性化合物を1つまたは複数の補助的成分を構成する担体と結合させる段階を含む。一般的に、製剤は、活性化合物を液体担体もしくは微細な固体担体または両方と均一かつ緊密に結合させ、次いで、必要ならば、その生成物を成形して調製する。
製剤は、液剤、水剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、錠剤、トローチ剤、果粒剤、粉剤、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、軟膏剤、ゲル剤、パスタ剤、クリーム剤、噴霧剤、ミスト剤、泡剤、ローション、油剤、坐剤、ボーラス剤または徐放性製剤であってよい。
経口投与(例えば、摂取による)に適する製剤は、各々が予め定めた量の活性化合物を含むカプセル剤、カシェ剤または錠剤などの個別単位として、粉剤もしくは果粒剤として、水性または非水性液体中液剤もしくは懸濁剤として、または水中油型液体乳剤もしくは油中水型液体乳剤、ボーラス剤として、舐剤として、またはパスタ剤として提供することができる。
錠剤は、通常の手段、例えば、場合によって1つまたは複数の補助成分とともに、圧縮または成形により調製することができる。圧縮錠剤は、粉剤または果粒剤などの自由流動形の活性化合物を、場合によって1つまたは複数の結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、アラビアゴム、ソルビトール、トラガカント、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、賦形剤もしくは希釈剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ)、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤もしくは分散剤もしくは湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)および保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)と混合して適切な機械で圧縮して調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を適切な機械で成形して調製することができる。錠剤は、場合によって被覆または刻み目を付けることができ、また、例えば、所望の放出プロファイルを得るために様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて錠剤中の活性化合物の緩徐な、または制御された放出を可能にするように調剤することができる。錠剤は、場合によって、胃以外の腸の部位での放出を可能にするように、腸溶コーティングを施すことができる。
非経口投与は、一般的に皮下、筋肉内または静脈内への注射によって特徴づけられる。注射剤は、液剤もしくは懸濁剤、注射前の液剤もしくは液体中懸濁剤に適する固体の形態として、または乳剤として通常の形態で調製することができる。適切な添加剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等である。さらに、所望ならば、投与する薬剤組成物は、例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、酢酸トリエタノールアミンナトリウムなどの湿潤もしくは乳化剤、pH緩衝剤等の微量の無毒性補助物質も含んでいてよい。
より最近考案された非経口投与法では、一定のレベルの投与量が維持されるような徐放または持続放出システムの植込みを用いる。例えば、米国特許第3710795号を参照のこと。
そのような非経口投与用組成物に含まれる活性化合物の割合は、その特定の性質ならびに化合物の活性および対象のニーズに高度に依存する。しかし、溶液中0.1%〜10%の有効成分の割合を用いることができ、組成物が後に上の割合に希釈される固体である場合には、より高い。好ましくは、組成物は、溶液中0.2〜2%の活性物質を含む。
活性化合物がポリ(DL-ラクチドコグリコリド)(PLG)に組み込まれているミクロスフェアベースのデリバリーシステムを含むようなデポ製剤を別の方法で用いることができる。そのような場合、放出プロファイルは、処方パラメーターの操作および製造工程の制御により調節することができる。
局所投与に適する製剤は、活性化合物および場合によって1つまたは複数の添加剤または希釈剤を含浸した包帯または粘着プラスターのようなパッチまたは包帯を含んでいてよい。
活性化合物および活性化合物を含む組成物の適切な投与量は患者ごとに異なる可能性があることは認識されるであろう。最適投与量の決定するには、本発明の治療法のリスクまたは有害な副作用に対して治療上のベネフィットのレベルを均衡させることが一般的に必要である。選択される用量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、投与の時点、化合物の排泄速度、治療期間、併用する他の薬剤、化合物および/または物質、ならびに患者の年齢、性別、体重、状態、一般健康状態および既往の医療歴を含むが、これらに限定されない種々の因子に依存する。一般的に用量は実質的に有害な副作用を引き起こすことなく所望の効果を達成する作用部位の局所濃度を実現させるためのものであるが、化合物の量および投与経路は、最終的に医師の裁量である。
in vivo投与は、治療中1回、連続的にまたは間欠的に(例えば、適切な間隔で分割量で)行うことができる。投与の最も有効な手段および用量を決定する方法は、当業者によく知られており、治療に用いる製剤、治療する標的細胞および治療する対象によって異なる。治療担当医師によって選択された用量レベルおよびパターンを用いて単回または反復投与を行うことができる。
一般的に、5-HT2C受容体拮抗薬の適切な投与は、該化合物の最初の調製および使用時に記載されたものと同様である。これは、単回ボーラス投与またはより好ましくは反復投与もしくは徐放製剤の形であってよい。年齢、体重、性別および他の疾患の有無のような因子が適切な1日投与量と関係がある可能性がある。
5-HT2C受容体拮抗薬がデラムシクランまたはN-デスメチルデラムシクランである場合、10mg〜60mg、好ましくは約30mgの経口1日投与量が適切であろう。
5-HT2C受容体拮抗薬がアメセルギドである場合、50mg〜150mg、好ましくは約100mgの経口1日投与量が適切であろう。
5-HT2C受容体拮抗薬がセルゴレキソールである場合、10mg〜150mg、好ましくは約50mgの経口1日投与量が適切であろう。
本発明はさらに統合失調症もしくは自殺傾向治療、または認知障害の治療における同時、独立または逐次使用のための配合剤としての5-HT2C受容体拮抗薬ならびに典型的抗精神病薬を含む製剤、例えば、キットを提供する。
本発明のこの態様において、5-HT2C受容体拮抗薬は実質的に上で定義した通りであるか、または実質的に上で定義した方法を用いて特定することができる。典型的抗精神病薬は、知られており、入手可能である。抗精神病薬の選択は、例えば、治療する状態の性質および重症度のような様々な因子ならびに製剤の一部を構成する特定の5-HT2C受容体拮抗薬に依存する。
本発明の方法を実施する精密な方式は、常用の技術および知識を用いる当業者によって異なる可能性がある。
もちろん、当業者は、本発明の方法で得られる結果を比較する適切な対照実験を設計するであろう。
本明細書で言及するすべての文書は、それにより参照として組み込まれる。
この例示では、細胞系において(実施例1)または一時的に(実施例2)安定に発現した組換え受容体における化合物の親和力値(KiもしくはKdとして表した親和力値またはIC50としての拮抗薬活性、KbもしくはA2-またはこれらの値の-log)の決定を詳述する。さらに、ラット、マウス、ヒトおよびブタ脳の組織ホモジネートにおけるそのような値の様々な方法を用いた決定に関する参考文献を示す。
(実施例1)
Bergら1999による方法
細胞培養: 250fmol/mg(「低」発現、CHO-1C19)および5〜10pmol/mg(「高」発現、CHO-1C7)でヒト5-HT2C受容体を安定に発現するチャイニーズハムスター卵巣K1(CHO-K1)細胞系を本試験に用いた。細胞は、5%ウシ胎児血清および300mg/mlハイグロマイシンを補足した最少必須培地中で維持した。すべての実験のために、細胞を12または24ウエル組織培養容器に43×104細胞/cm2の密度で播種した。24時間の平板培養期間の後に、細胞をハンクスの平衡塩類溶液(HBSS)で洗浄し、5mg/mlインスリン、5mg/mlトランスフェリン、30nMセレン、20nMプロゲステロンおよび100mMプトレッシンを含むダルベッコの修正イーグル培地/F-12[1:1] (血清不含有培地)に入れ、実験の前にさらに24時間増殖させた。CHO-1C19細胞におけるヒト5-HT2C受容体に結合した両エフェクタ経路(PLCおよびPLA2)上の5-HTの受容体保存の非存在(Bergら、1998)が以前に示された。
IP蓄積およびAA放出の測定
IP蓄積およびAA放出は、以前に記載されたように測定した(Bergら、1994a、1996、1998)。特に断らない限り、PLC媒介IP蓄積の測定は、PLA2-AA放出測定と同じ多ウエルについて(同時に)行った(Bergら、1998)。簡単に述べると、血清不含有培地中の細胞を1mCi/ml [3H]-ミオイノシトール(25Ci/mmol)で24時間、0.1mCi/ml [3H]AA(220Ci/mmol)で37℃で4時間標識した。標識期間の後に、細胞をカルシウムおよびマグネシウム、20mM HEPESならびに0.1%脂肪酸不含有ウシ血清アルブミン(BSA)を含むHBSS(実験培地)で3回洗浄した。洗浄の間に、細胞を37℃水浴中で5分間インキュベートした(洗浄およびプレインキュベーション時間の合計15分間)。洗浄処置の後に、細胞を媒体(H2Oまたは0.01%DMSO)または示した薬物濃度を含む0.5mlの実験培地中でインキュベートした。基礎エフェクタ活性の測定のために、細胞を37℃で25分間インキュベートした。エフェクタ活性の作動薬媒介刺激の測定のために、細胞を37℃で10分間インキュベートした。インキュベーションの後に、細胞培地の一部(100ml)を[3H]含量の測定のためにシンチレーションバイアルに直接加えた(Bergら、1996、1998)。残りの培地を速やかに吸引し、1mlの10mMギ酸(4℃)を加えて、蓄積した[3H]-IPs(IPI、IP2およびIP3、IPと総称する、Bergら、1994a)を抽出した。一部の実験については、Lowryら(1951)の方法に従って測定したタンパク質含量に対してデータを標準化した。
受容体結合試験
5-HT2C受容体飽和結合実験は、以前に記載されたように実施した(Bergら、1994a)。簡単に述べると、細胞をHBSSで2回洗浄し、こすり落とし、500gで5分間遠心分離した。細胞ペレットを液体窒素で瞬間凍結し、使用するまで2135℃で保存した。すべての膜調製処置を4℃で行った。細胞ペレットを解凍し、20容のホモジナイゼーション緩衝液(50mM HEPES、2.5mM MgCl2、2.0mM EGTA 22℃でpH7.4)に再懸濁し、polytron(no.7に設定)で15秒間にわたり(15秒間隔で)2回ホモジネートし、遠心分離した(39000g、4℃、10分間)。得られた膜ペレットをホモジナイゼーション緩衝液で3回洗浄し、結合検定用の検定緩衝液(0.1%アスコルビン酸を含むホモジナイゼーション緩衝液)に再懸濁した。膜懸濁液の一部(250ml)(タンパク質50mg)を13種の濃度(0.01〜40nM)の[3H]-メスレルギンとともにインキュベートした(60分間、37℃、総容積5 500ml)。非特異的結合は、1mMミアセリンの存在下で測定した。サンプルをBrandel細胞収集器(Brandel Laboratories、Gaitherberg、MD)付きのポリエチレンイミン被覆Whatman GF/Cフィルター(Whatman Inc.、Clifton、NJ)でろ過した。フィルターを1.5mlの氷冷緩衝液で2回洗浄し、Beckman LS7500液体シンチレーション計数器(Beckman Instruments、Berkeley、CA)で計数した。タンパク質は、BSAを標準として用いてLowryら(1951)の方法により測定した。
データ解析
濃度反応データを非線型回帰により次のモデル
Figure 2006520776
[式中、Eは所与の作動薬濃度(A)における測定された反応であり、Emax = 最小反応、EC50 = 最大反応の半分をもたらす作動薬の濃度、n = 勾配指数]に適合させた。見かけの拮抗薬解離定数(KB)の計算は、次の式
[B]
KB = ------------------------- (2)
dr-1
[式中、Bは用いた拮抗薬の濃度であり、drは、拮抗薬の非存在下および存在下で同等な反応をもたらした濃度(EC50)の比(用量比)である]を用いて行った。飽和結合試験のデータを非線型回帰分析により解析した。0,0を原点とした直線を表す式(y=mx)に非特異的データを適用してmを求めた後、総結合データを次の式3に適用して、Bmax、Kdおよび勾配係数(n)の推定値を求めた。
Figure 2006520776
[式中、mは非特異的結合に関する線型回帰直線の勾配である]
(実施例2)
Herrick-Davisら2000による方法
細胞培養およびトランスフェクション
COS-7細胞を5%CO2を含む加湿インキュベータ内の10%ウシ胎児血清を含むダルベッコの修正イーグル培地中で37℃で増殖させた。トランスフェクションの24時間前に、受容体発現をモニターするために並行して実施したIP検定および[3H]メスレルギン結合試験のために細胞を24ウエルクラスタープレートに105細胞/ウエルで播種した。2mlのリポフェクタミンを400mlの血清不含有DMEM中0.5mgのプラスミドDNAと合わせ、37℃/5%CO2で5時間各ウエルに加えることにより、細胞にラットまたはヒト5-HT2C受容体をトランスフェクトした。放射性リガンド結合試験のために、COS-7細胞を100mmの皿に80%の集密度で播種し、4mlの血清不含有DMEM中5mgのプラスミドDNA、20mlのリポフェクタミンを37℃/5%CO2で5時間トランスフェクトした。トランスフェクションの後に、放射性リガンド結合試験のための膜調製の前の48時間細胞を完全培地に戻した。
IP産生検定
IP産生は、Herrick-Davisら、1999の方法に従って測定した。簡単に述べると、トランスフェクションの24時間後に、COS-7細胞をPBSで洗浄し、0.5mCi/ウエルのイノシトール不含有/血清不含有DMEM中myo-[3H]イノシトールで37℃/5%CO2で一夜標識した。標識した後、細胞をPBSで洗浄し、10mM LiClおよび10mMパルジリンを含むイノシトール不含有/血清不含有DMEM(検定培地)中で10分間プレインキュベートした。10分間のプレインキュベーション中に抗精神病薬を加えた。5-HTまたは検定培地単独を各ウエルに加え、インキュベーションをさらに35分間続けて、基礎活性を測定した。検定培地を除去し、細胞を200mlの停止溶液(1M KOH/18mMホウ酸ナトリウム/3.8mM EDTA)中で溶解し、200mlの7.5%HClを加えて中和した。各ウエルの内容物を3容のクロロホルム:メタノール(1:2、v/v)で抽出し、10000gで5分間遠心分離し、上層を1ml AG1-X8樹脂(100〜200メッシュ)カラムに加えた。カラムを10mlの5mM myo-イノシトールおよび10mlの5mMホウ酸ナトリウム/60mMギ酸ナトリウムで洗浄した。3mlの0.1Mギ酸/1Mギ酸アンモニウムで総[3H]IPsを溶出させた。放射能は、Ecoscintカクテル中で液体シンチレーション計数法により測定した。
放射性リガンド結合
100mm皿の集密的トランスフェクトCOS-7細胞を20mlの50mM Tris-HCl/5mM MgSO4/0.5mM EDTA、pH 7.4(検定緩衝液)中にこすり落とし、10000gで30分間遠心分離して、膜を調製した。膜を20mlの検定緩衝液に再懸濁し、ホモジナイズし、再び遠心分離した。15mlの検定緩衝液に再懸濁した後、0.5mlの膜部分試料を1mlの最終容積中1nM [3H]メスレルギンおよび種々の濃度の競合薬を含む各検定試験管に加えた。ミアンセリン(10mM)を用いて非特異的結合を確定した。サンプルを37℃で30分間インキュベートし、Brandel細胞収集器上のガラス繊維フィルター(0.3%ポリエチレンアミンに前浸漬済み)でろ過し、Ecoscintカクテル中で液体シンチレーション計数器(Beckman、Berkeley、CA)により40%の効率で計数した。
データ解析 データ解析は、Prismソフトウエア(GraphPad、San Diego、CA)を用いて行った。Cheng/Prusoff式を用いてIC50値からKi値を計算した。
さらなる実施例は以下の参考文献の方法の項に詳述されている通りである。
「The binding of serotonergic ligand to the porcine choroids plexus: characterization of a new type of serotonin recognition site」、Pazos A、Hoyer D and JM Palacios、Eur J Pharmacol、1985、106:539〜546頁
「Molecular pharmacology of 5-HT1 and 5-HT2 recognition site in rat and pig brain membranes: radioligand binding studies with [3H]5-HT、[3H]8-OH-DRAT、(-)[125I]iodocyanopindolol、[3H]mesulergine and [3H]ketanserin」、Hoyer D、Engel G and HO Kalkman、Eur J Pharmacol.、1985、118(1-2):13〜23頁
「Quantitative autoradiographic mapping of serotonin receptors in the rat brain、 I. Serotonin-1 receptors」、Pazos A and JM Palacios、Brain Res.、1985、346(2):205〜30頁
「Serotonin 5-HT1C receptors are expressed at high density on choroid plexus tumors from transgenic mice」、Yagaloff KA、Lozano G、Van Dyke T、Levine A and PR Hartig、Brain Res.、1986、385(2):389〜94頁
「[125I]LSD labels 5-HT1C recognition sites in pig choroids plexus membranes、 Comparison with [3H]mesulergine and [3H]5-HT binding」、Hoyer D、Srivatsa S、Pazos A、Engel G and JM Palacios、Neurosci Lett.、1986、69(3):269〜74頁
「Serotonin receptors in the human brain. I. Characterization and autoradiographic localization of 5-HT1A recognition sites、Apparent absence of 5-HT1B recognition sites」、Hoyer D、Pazos A、Probst A and JM Palocios、Brain Res.、1986、376(1):85〜96頁
「Serotonin receptors in the human brain、II. Characterization and autoradiographic localization of 5-HT1C and 5-HT2 recognition sites」、Hoyer D、Pazos A、Probst A and JM Palacios、Brain Res. 、1986、376(1):97〜107頁
「Serotonin receptors in the human brain-III、Autoradiographic mapping of serotonin-1 receptors」、Pazos A、Probst A and JM Palacios、Neuroscience、1987、21(1):97〜122頁
[参考文献]
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Claims (20)

  1. 統合失調症の陰性症状および/またはそれにおける認知機能障害、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療用の薬剤の製造における5-HT2C受容体拮抗薬の使用であって、但し、
    (a)統合失調症の陰性症状および/またはそれにおける認知機能障害または難治性統合失調症の治療については、前記5-HT2C受容体拮抗薬がリタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものであり、
    (b)統合失調症における認知機能障害または軽度認知障害の適応については、前記5-HT2C受容体拮抗薬が(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(ジメチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(メチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびその製薬上許容できる酸付加塩以外のものであり、
    (c)統合失調症性自殺傾向の治療については、前記5-HT2C受容体拮抗薬がクロザピン以外のものである使用。
  2. 統合失調症の陰性症状の治療用の薬剤の製造における5-HT2C受容体拮抗薬の使用であって、但し、前記拮抗薬がリタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものである使用。
  3. 統合失調症における認知機能障害の治療用の薬剤の製造における5-HT2C受容体拮抗薬の使用であって、但し、前記拮抗薬がリタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピン、デラムシクラン、N-デスメチルデラミクランまたはジプラシドン以外のものである使用。
  4. 難治性統合失調症の治療用の薬剤の製造における5-HT2C受容体拮抗薬の使用であって、但し、前記拮抗薬がリタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものである使用。
  5. 自殺傾向の治療用の薬剤の製造における5-HT2C受容体拮抗薬の使用であって、但し、自殺傾向が統合失調症患者にある場合、前記5-HT2C受容体拮抗薬がクロザピン以外のものである使用。
  6. 前記自殺傾向が統合失調症患者にある請求項5に記載の使用。
  7. 軽度認知機能障害の治療用の薬剤の製造における5-HT2C受容体拮抗薬の使用であって、但し、前記拮抗薬がデラムシクランまたはN-デスメチルデラムシクラン以外のものである使用。
  8. 前記5-HT2C受容体拮抗薬がWO97/16429、WO97/44334、US05010078、EP161,218、EP401,707、EP526,434、DE02834114、EP210,893、US03580916、US05043341、EP620,222、EP208,235、EP437,790、DE02614406、US04338317、EP271,013、EP110,435、EP398,326、WO92/05170、WO95/01976、WO96/23783、WO98/04289、WO97/48700、WO00/48602、WO00/26186、WO99/58490、WO99/52517、WO99/51237、WO99/46245、WO99/43319、WO99/33841、WO99/33840、WO99/25356、WO99/09017、WO99/03833、WO99/00119、WO98/56367、WO98/52943、WO98/50358、WO98/50346、WO98/50343、WO98/41527、WO98/38165、WO98/30561、WO98/30546、WO98/24785、WO98/21958、WO98/04261、WO97/48699、WO97/41858、WO97/39001、WO97/37989、WO97/20845、WO97/12880、WO97/08167、WO97/06155、WO97/00872、WO96/39382、WO96/30366、WO96/24351、WO96/23769、WO96/18629、WO96/14320、WO96/11930、WO96/11929、WO96/02537、WO95/29177、WO95/25731、WO95/24194、WO95/21844、WO95/18117、WO95/12591、W09 94/22871、WO94/18958、WO94/18182、WO94/18170、WO94/14801、WO94/04533、WO94/02462、WO93/18028、WO93/18026、WO93/16081、WO93/16051、WO93/14758、WO93/12790、WO92/15302、WO92/10192、WO91/18602、WO01/68585、WO01/68067、WO01/52855、WO01/38329、WO01/26621、WO01/25229、WO01/19371、WO00/76984、WO00/68181、WO00/63185、WO00/62782、WO00/61129、WO00/61128、WO00/37068、WO00/06165、US06143325、US05854248、US05739336、US05693645、US05674875、US05498618、US05371093、US05266571、US05116852、US05106855、US05030656、US05013735、US04985352、US04914107、US04914100、US04906639、US04902691、US04891376、US04847261、JP13220375、JP12204040、JP11171865、JP11080155、JP10316634、JP10077271、JP09040646、JP08053416、JP08040999、JP07228573、JP07179337、JO00158067、GB02303303、GB02301774、EP01118610、EP1070716、EP01052245、EP01000944、EP00905136、EP00797995、EP00797994、EP00769297、EP00749971、EP00749967、EP00718299、EP00700905、EP00686393、EP00682015、EP0661266、EP00657426、EP006554440、EP00613898、EP00596449、EP00559569、EP00545120、EP00522226、EP00511074、EP00511073、EP00493687、EP00484988、EP00465398、EP00452074、EP00389352、EP00388081、EP00384228、EP00379308、EP00378468、EP00375297、EP00374042、EP00373998、EP00363963、EP00354030、EP00337136、EP00332528、EP00320983、EP00218433およびEP00145494
    の1つに記載されているようなものである請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
  9. 前記5-HT2C受容体拮抗薬がAHR-16303B(AH Robins Co. Inc)、AP-792およびAT-1015(Ajinomoto Co. Inc.)、BMS-181102(Bristol Myers Squibb)、CV-5197(Takeda Chemical Industries Ltd)、ドタリジン(Ferrer Internacional SA)、E-2101(Eisai Co Ltd)、エルトプラジン(Solvay SA)、エモパミル(Knoll AG)、HT-90B(Chugai Pharmaceutical Co Ltd)、ICI-169369およびICI-170809(Zeneca Group plc)、LU-26042およびLU-29066(H Lundbeck A/S)、NPC-18166(Scios Inc)、Org-38457(NV Organon)、ペランセリン(Cinvestav)、ペルブフィリン(Siegfried Group)、SB-206553およびSB-242084(SmithKline Beecham)、SR-46615A(Sanofi Recherche SA)、SUN-9221(Suntory Ltd)、トロポキシン(Russian Academy Medical Science)またはYM-992(Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd)である請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
  10. 前記5-HT2C受容体拮抗薬がRo-60-0759、RS-102221、SDZ-SER-082、ICI-169369、デラムシクラン、N-デスメチル-デラムシクラン、アメセルギド、セルゴレキソール、CGS-18102AまたはLU-26042である請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
  11. 前記5-HT2C受容体拮抗薬がデラムシクラン、N-デスメチル-デラムシクラン、アメセルギド、セルゴレキソール、CGS-18102AまたはLU-26042である請求項10に記載の使用。
  12. 前記5-HT2C受容体拮抗薬がリタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドンである請求項5から7のいずれか一項に記載の使用。
  13. 統合失調症の陰性症状および/またはそれにおける認知機能障害、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療用の薬剤の製造における式I
    式I:
    X X
    - + -
    A B
    [式中、Xは5-HT2C受容体における相互作用のための化合物の親和力であり、AおよびBは5-HT2C受容体以外の2つの主要な部位における相互作用のための化合物の平均親和力値である]
    によって決定される1.80以上の相対5-HT2C親和力を有する化合物の使用であって、但し、
    (a)統合失調症の陰性症状および/またはそれにおける認知機能障害または難治性統合失調症の治療については、前記化合物がリタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものであり、
    (b)統合失調症における認知機能障害または軽度認知障害の適応については、前記5-HT2C受容体拮抗薬が(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(ジメチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(メチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびその製薬上許容できる酸付加塩以外のものであり、
    (c)統合失調症性自殺傾向の治療については、前記化合物がクロザピン以外のものである使用。
  14. 統合失調症の陰性症状および/またはそれにおける認知機能障害、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療で使用するための候補化合物の適合性を決定する方法であって、
    a)5-HT2C受容体における化合物の親和力を評価する段階と、
    b)前記化合物の相互作用の少なくとも2つの他の主要な部位における化合物の親和力を評価する段階と、
    c)前記評価した親和力を次の式
    X X
    − + − = Y
    A B
    [式中、Xは前記5-HT2C受容体における相互作用のための化合物の親和力であり、AおよびBは前記5-HT2C受容体以外の2つの主要な部位における相互作用のための化合物の平均親和力値である]に適用し、
    統合失調症における認知機能障害および/またはその陰性症状、難治性統合失調症、自殺傾向または軽度認知障害の治療に適する化合物としてYが1.80以上である化合物を選択する段階とを含み
    但し、
    (a)統合失調症における認知機能障害および/もしくはその陰性症状または難治性統合失調症の治療については、前記化合物がリタンセリン、クロザピン、フルペルラピン、ロクサピン、ORG-5222、ピパンペロン、セルチンドール、オランザピン、ゾテピンまたはジプラシドン以外のものであり、
    (b)統合失調症における認知機能障害または軽度認知障害の適応については、前記5-HT2C受容体拮抗薬が(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(ジメチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(1R,2S,4R)-(-)-2-フェニル-2-(メチルアミノエトキシ)-1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよびその製薬上許容できる酸付加塩以外のものであり、
    (c)統合失調症性自殺傾向の治療については、前記化合物がクロザピン以外のものである方法。
  15. AとBは異なり、5-HT1A、5-HT2A、5-HT3、5-HT6、5-HT7、D1、D2-S、D2-L、D3、D4、D5、M1、M2、M3、M4、M5、mACh、α1、α2、H1またはシグマ受容体からなる群から独立に選択される請求項13に記載の使用または請求項14に記載の方法。
  16. Aが前記5-HT2A受容体における親和力の値である請求項15に記載の使用または方法。
  17. Bが前記D2受容体における親和力の値である請求項15に記載の使用または方法。
  18. 統合失調症もしくは自殺傾向治療、または軽度認知障害の治療における同時、独立または逐次使用のための配合剤としての5-HT2C受容体拮抗薬および典型的抗精神病薬を含む製品。
  19. 前記5-HT2C受容体拮抗薬が請求項14から17のいずれか一項に記載の方法に従って特定される請求項18に記載の製品。
  20. 前記5-HT2C受容体拮抗薬が請求項8から13のいずれか一項に記載の通りである請求項18に記載の製品。

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