JP2006518191A - 細菌ワクチンベクターの免疫原性を強化するための組成物、方法、及びキット - Google Patents

細菌ワクチンベクターの免疫原性を強化するための組成物、方法、及びキット Download PDF

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Abstract

本発明は、細菌ワクチンベクター及び抗原の免疫原性を強化するための方法を提供する。この方法は、(a)動物に細菌ワクチンベクターを投与するステップと、(b)前記動物内で前記細菌ワクチンベクターを継代培養するステップと、(c)前記動物から前記細菌ワクチンベクターを収穫するステップと、(d)器官内の細菌数が最大になるまで前記ステップ(a)〜(c)を繰り返すステップとを含んでいる。

Description

本発明は、細菌ワクチンベクターの免疫原性を強化するための組成物、方法、及びキットに関し、特に、リステリア菌ワクチンベクターの免疫原性を強化するための組成物、方法、及びキットに関する。
ワクチンは、現在知られている最も有益でかつコスト効率の良い公衆衛生対策である。しかし、新生組織形成及び感染症の理解が深まるにつれて、従来のワクチン戦略が十分に効果的ではないことが明らかになった。従来のワクチンは、動物を免疫するために、不活化又は弱毒化した生物体又は抗原サブユニットを用いていた。ワクチン接種された動物の免疫反応は主に体液性であるため、破壊のために細胞媒介性免疫が必要とされる細胞内生物体や腫瘍をワクチン接種によって治療することは効果的ではない。したがって、特に不活化又はサブユニットワクチンには、このようなアプローチは限界がある。
ワクチン接種の運動は、エドワード・ジェンナー(Edward Jenner)によって開始された。ジェンナーは、自然発生痘の惨禍に対して、牛痘を用いて酪農婦を免疫した人物である。程なくして19世紀にルイス・パスツール(Louis Pasteur)が弱毒生細菌によって免疫を得る方法を確立した。その結果、結核菌、チフス菌、コレラ菌、百日咳菌に効果的なワクチンができた。残念ながら、弱毒化又は不活化した細菌は短期間しか免疫化しないことが多いため、免疫は体液性反応に限定される。更に、従来の弱毒化又は不活化した細菌性ワクチンは、腫瘍細胞及び細胞内病原体に感染した細胞の溶解に必要な細胞傷害性Tリンパ球(cytotoxic T-lymphocyte:CTL)免疫反応を誘導しない。
ウイルス性ワクチンは、ワクチン接種をうけた人にCTL反応を誘導するために用いられることが多い。ウイルス性ワクチンは、通常、細胞培養における連続継代によって弱毒化した病原性ウイルスであるか、或いは熱的又は化学的不活性化によって不活化したウイルスである。不活化ウイルスは、細胞を感染させることができないので、サブユニットワクチンのように主として体液性免疫反応を誘導する。弱毒化ウイルスは、細胞を感染させることができ、個体にCTL反応を誘導することができる。しかし、弱毒化ウイルスワクチンには欠点がないわけではない。第1に、ウイルスを弱毒化することは、試行錯誤のプロセスであることが多い。例えば、黄熱病ワクチン菌株は、自然突然変異が弱毒化表現型を生じさせるまで細胞培養において200回以上継代して初めて得られたものである。第2に、弱毒化ウイルスの使用に際して、特に子供、老人、免疫無防備状態の人に、安全面で重大な問題がある。
従来の細菌性及びウイルス性ワクチンの問題の解決策は、DNAワクチン及び細菌ワクチンベクター、例えばサルモネラ種やリステリア種にある。DNAワクチンは、通常、抗原をコードする核酸を含むプラスミドであり、抗原はMHC媒介性免疫反応を促進するような形質移入した細胞において翻訳されかつ細胞外環境で発現して体液性反応を可能にするので、強い体液性及び細胞媒介性免疫反応を誘導する。更に、DNAワクチンは、抗原、サイトカイン、酵素を含む、途方もなく膨大なレパートリーのタンパク質を発現することができる。
リステリアモノサイトゲネス(リステリア菌)ワクチンベクターは、様々な異種抗原を発現しかつCTL反応を誘導するのが等しく巧みであり、このことはポートノイ(Portnoy)とパターソン(Paterson)が示している(米国特許第5,830,702号)。リステリア菌は、β溶血性グラム陽性通性細胞内微生物である。更に、リステリア菌は原型細胞内細菌性病原体であり、動物に接種されると優勢に細胞免疫反応を誘導する(Kaufmann, 1993, Ann. Rev. Immunol. 11:129-163)。細胞を感染させる時には、リステリアは溶血性酵素LLO(listeriolysin O)の作用によってファゴソーム膜を破壊してリソソームを脱出する。次にリステリアは感染細胞の細胞質において複製するので、体液性免疫はリステリアの病原の制御にほとんど役立たない。しかし、リステリア菌ペプチドはMHCクラスI及びII経路の両方から現れるので、細胞免疫はリステリア菌感染に刺激される。これらの特性は、ワクチンベクターとしてのリステリア菌に最も関係ある。適切な異種抗原を発現する組換えリステリアは、感染因子又は腫瘍細胞由来の異種抗原をコードする遺伝子の伝達のためのベクターとして用いられるとき、リンパ球脈絡髄膜炎ウイルス(Shen et al., 1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:3987-3991; Goossens et al., 1995, Int. Immunol. 7:797-802)及びインフルエンザウイルス(Ikonomidis et al., 1997, Vaccine 15:433-440)に曝露されないようにマウスをうまく保護することが分かっている。更に、組換えリステリアを発現する異種抗原は、致命的な腫瘍細胞に曝露されないようにマウスを保護するために用いられてきた(Pan et al., 1995, Nat. Med. 1:471 -477; Paterson and Ikonomidis, 1996, Curr. Opin. hnmunol. 8:664-669)。
リステリアワクチンと、細菌ワクチンベクター一般の出現によって、新たな問題が生じることとなった。リステリア(又はそれどころか任意の弱毒化した細菌)がワクチンベクターとして有効か否かは、パッセンジャー抗原に強い長寿命免疫反応を引き起こす能力にかかっている。生体工学技術はリステリアの毒性を低下させる傾向にあり、それは恐らく宿主にin vivoで生存するのに必要な毒性因子の発現が抑制されているか或いは低下しているためであろう。毒性細菌は、原則的に強い免疫反応を引き起こさない。よって、生体工学技術はワクチンベクターとしてのリステリアの使用を可能にするが、その有効性を著しく低下させもする。
新たな遺伝子を細菌ゲノムに導入するプロセスは、インビトロでの細菌成長に対して最適化されたリッチな培地における細菌の広範な増殖を必要とする。そのような培地では、細菌は、感染中に宿主の不適環境を生き抜く必要がなさそうな毒性因子を発現する必要がない。実際のところ、培養した細菌は、インビトロインビトロ成長培地に必要ない毒性因子の活動を停止することがある。例えば、不可欠な毒性因子LLO(ファゴリソソームからのリステリアの脱出に必要)の発現は、鉄リッチな培地において停止させられる(Berche et al, 1988, Infection 16:145-148)。インビトロ培養細菌がin vivo条件にさらされると、細菌は、宿主の生得的な免疫防御を回避するのに十分高速に毒性因子を再活性化することができない。このように、リステリアに基づく細菌ワクチンベクターは、意図した効果を生じない場合がある。実験目的のために細菌の毒性を回復及び増強させる方法は、動物を介して生物体を継代することである(Vahidy et al, 1996, Ann Acad Med. Singapore 25:139-553)。この方法のための分子基盤は知られていないが、継代された細菌はより効果的かつ高速に毒性因子を制御できると考えられている。
ワクチンベクターとしてのリステリアの使用が実証済みであることを考慮すると、強い免疫反応を誘導できるリステリア属細菌ワクチンベクターを構築する方法が待ち望まれてきた。本発明は、この必要性に合致したものである。
本発明は、細菌ワクチンベクターの免疫原性を強化するための方法を提供する。この方法は、(a)動物に細菌ワクチンベクターを投与するステップと、(b)前記動物内で前記細菌ワクチンベクターを継代培養するステップと、(c)前記動物から前記細菌ワクチンベクターを収穫するステップと、(d)器官内の細菌数が最大になるまで前記ステップ(a)〜(c)を繰り返すステップとを含んでいる。
ある態様では、前記器官は脾臓又は肝臓である。
他の態様では、前記細菌ワクチンベクターは抗原を発現する。
他の態様では、前記抗原は異種抗原である。
他の態様では、前記抗原は腫瘍抗原である。
ある態様では、前記細菌ワクチンベクターはリステリア菌ワクチンベクターである。
他の態様では、前記動物は哺乳類である。
他の態様では、前記哺乳類はマウスである。
ある態様では、前記細菌ワクチンベクターは、前記動物に経口投与又は非経口投与される。
また、本発明は、免疫原性が強められた細菌ワクチンベクターを提供する。この細菌ワクチンベクターは、(a)動物に細菌ワクチンベクターを投与し、(b)前記動物内で前記細菌ワクチンベクターを継代培養し、(c)前記動物から前記細菌ワクチンベクターを収穫し、(d)器官内の細菌数が最大になるまで前記(a)〜(c)を繰り返すことにより、免疫原性が強化される。
ある態様では、前記器官は脾臓又は肝臓である。
他の態様では、前記細菌ワクチンベクターは抗原を発現する。
他の態様では、前記抗原は異種抗原である。
他の態様では、前記抗原は腫瘍抗原である。
ある態様では、前記細菌ワクチンベクターはリステリア菌ワクチンベクターである。
他の態様では、前記動物は哺乳類である。
他の態様では、前記哺乳類はマウスである。
ある態様では、前記細菌ワクチンベクターは、前記動物に経口投与又は非経口投与される。
他の態様では、前記細菌ワクチンベクターは薬剤的に許容される担体を含む。
また、本発明は、細菌ワクチンベクターから発現した抗原の免疫原性を強化するための方法を提供する。この方法は、(a)動物に細菌ワクチンベクターを投与するステップと、(b)前記動物内で前記細菌ワクチンベクターを継代培養するステップと、(c)前記動物から前記細菌ワクチンベクターを収穫するステップと、(d)器官内の細菌数が最大になるまで前記ステップ(a)〜(c)を繰り返すステップとを含んでいる。
ある態様では、前記器官は脾臓又は肝臓である。
他の態様では、前記細菌ワクチンベクターは抗原を発現する。
他の態様では、前記抗原は異種抗原である。
他の態様では、前記抗原は腫瘍抗原である。
ある態様では、前記細菌ワクチンベクターはリステリア菌ワクチンベクターである。
他の態様では、前記動物は哺乳類である。
他の態様では、前記哺乳類はマウスである。
ある態様では、前記細菌ワクチンベクターは、前記動物に経口投与又は非経口投与される。
また、本発明は、疫原性が強化された細菌ワクチンベクターを有するキットを提供する。このキットは、アプリケータと、それを使用するための説明仕様書とを備えている。
他の態様では、前記細菌ワクチンベクターは凍結乾燥されている。
他の態様では、前記キットは薬剤的に許容される担体をさらに有する。
例えばリステリア菌ワクチンベクターなどの細菌ワクチンベクターは、異種抗原を発現させたり、ワクチン接種された者の細胞傷害性Tリンパ球(cytotoxic T-lymphocyte:CTL)反応を誘導したりすることができる。そのため、前記細菌ワクチンベクターは、腫瘍や感染病の予防に有望である。ここに開示されたデータは、細菌ワクチンベクターの免疫原性を強化するための方法、及び細菌ワクチンベクターによって発現し、その結果ワクチンとしての効力が高められた抗原を初めて明らかにする。
《定義》
ここで用いられる「抗原」という用語は、有機体と接触させると検出可能な免疫反応を示す物質を意味する。「抗原」としては、脂質、ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸、又はそれらの組み合わせ或いは変異体がある。
ここで用いられる「分裂タンパク質」という用語は、2つ以上のタンパク質がペプチド結合又は他の化学結合によってつながったタンパク質を含むタンパク質を意味する。「タンパク質」は、ペプチド結合又は他の化学結合、又は2つ以上のタンパク質の間の1つ以上のアミノ酸(ここではスペーサーと呼んでいる)によって、互いに直接結合することができる。
ここで用いられる「収穫」又は「収穫された」という用語は、生物体(例えば、細菌)を動物に投与した後に、その動物から生物体(細菌)を回収する処理を意味する。「収穫」という用語は、特に、血液や他の体液(リンパ液、尿、唾液)を採取すること、及び/又は、細胞、組織及び/又は器官を取り出すことを含む。なお、体液、組織及び/又は器官は、動物に投与された生物体を含んでいる。
ここで用いられる「異種抗原」という用語は、抗原を有する又は発現する生物体に対して内因性ではない抗原を意味する。一例として、ウイルスを有する又は発現する細菌ワクチンベクターや、異種抗原を有する腫瘍抗原がある。
ここで用いられる「免疫原性」という用語は、抗原又は生物体が動物に投与されたときに動物内で免疫反応を誘導するという、抗原又は生物体の生来の能力を意味する。したがって、「免疫原性の増強」は、抗原又は生物体が動物に投与されたときに、抗原又は生物体の能力(動物内で免疫反応を誘導するという能力)を増大させることを意味する。抗原又は生物体の増大した能力は、特に、抗原又は生物体に結合する抗体がより多くなること、抗原又は生物体に対する抗体の多様性がより多くなること、抗原又は生物体に特異的なT細胞がより多くなること、抗原又は生物体に対して反応する細胞傷害性又はヘルパーT細胞がより多くなること、抗原に対応するサイトカインの発現がより多くなること、などによって判定することができる。
本発明との関係において、一般的に存在する核酸塩基に、次の略語が使用される。「A」はアデノシンを意味し、「C」はシチジンを意味し、「G」はグアノシンを意味し、「T」はチミジンを意味し、また、「U」はウリジンを意味する。
アミノ酸は次の表に示すように、その正式名称によって、又は対応する3文字の略号によって、あるいは対応する1文字の略号よって表わされる。
Figure 2006518191
ここで用いられる「リステリア変異体」という用語は、遺伝子が修正された、組替えられた、取り除かれたリステリア属細菌を意味する。又は、野生型のリステリア属細菌に存在するタンパク質をエンコードしないように、遺伝子が不活性化されたリステリア属細菌を意味する。
ここで用いられる「リステリア属細菌ワクチンベクター」という用語は、動物に投与されたときに、異種タンパク質抗原、内因性タンパク質抗原、又は融合タンパク質抗原を発現するリステリア属細菌を意味する。
ここで用いられる「極大細菌数(maximum bacterial load)」という用語は、動物内で細菌が1代以上の継代培養された後に動物から収穫された細菌の最大数を意味する。極大細菌数は、前回の継代培養から収穫された細菌の数と、次回の継代培養から収穫された細菌の数とを比較して判定される。したがって、前回の継代培養から収穫された細菌の数が今回の継代培養から収穫されたバクテリアよりも少なく、次回の継代培養から収穫されたバクテリアの数が今回の継代培養から収穫されたバクテリアの数よりも少ない場合は、今回の継代培養が極大細菌数となる。
ここで用いられる「最大菌力(maximum bacterial virulence)」という用語は、細菌が、インビボ又はインビトロで、動物を介して継代培養されていない細菌よりも検出可能な程度に高い割合で成長又は複製する状態を意味する。
「ポリヌクレオチド」という用語は、核酸の単一鎖、又は平行及び逆平行鎖を意味する。したがって、ポリヌクレオチドは、単一鎖か二本鎖の核酸である。
「核酸」という用語は、一般に、大きいポリヌクレオチドを意味する。
ここで用いられる「オリゴヌクレオチド」という用語は、一般に、短いポリヌクレオチドを意味し、一般に約50のヌクレオチドと同じくらいの大きさである。当然のことながら、ヌクレオチド配列がDNA配列(すなわちA,T,G,C)によって表わされる場合は、これは、「T」を「U」に置換するRNA配列(すなわちA,U,G,C)も含む。
ここではポリヌクレオチド配列を表記するのに従来の表記法を用いる。単一鎖ポリヌクレオチド配列の左端は5‘末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左方向は5‘方向と呼ばれる。
初期RNAへヌクレオチドが付加される5‘から3’への方向は転写方向と呼ばれる。mRNAと同じ配列を有するDNA鎖は「コード鎖」と呼ばれ、DNA鎖上の5‘から基準点までに位置するDNA鎖上の配列は「上流配列」と呼ばれ、DNA鎖上の3’から基準点までに位置するDNA鎖上の配列は「下流配列」と呼ばれる。
ここで用いられる「継代培養」という用語は、細菌のような生物体を動物に投与し、動物内で生物体が成長及び/又は複製することを可能にし、そして動物から生物体を回収して、その結果、動物を介して生物体を継代する処理を意味する。
「プライマー」という用語は、特に指定されたポリヌクレオチドの鋳型と混成(hybridizing)することができ、相補的ポリヌクレオチドの合成の開始点を与えることができるポリヌクレオチドを意味する。そのような合成は、ポリヌクレオチド・プライマーが、合成が誘発される状態(すなわち、ヌクレオチド、相補的ポリヌクレオチドの鋳型、及びDNAポリメラーゼのような重合のための因子が存在する状態)に置かれたときに生じる。プライマーは一般に単一鎖であるが、二本鎖の場合もある。プライマーは一般にデオキシリボ核酸であるが、様々な合成及び天然発生的プライマーは、多くの用途に有用である。プライマーは、合成開始部位として作用するために混成するように設計された鋳型に相補的であるが、鋳型の正確な配列を反映する必要はない。そのような場合、プライマーの鋳型に対する特異的な混成は、混成条件の厳密性に依存する。プライマーは、例えば、色原体部分、放射性部分又は蛍光性部分で標識することができ、検知可能な部分として使用される。
「組み替え型ポリヌクレオチド」という用語は、天然には互いに結合しない配列を有するポリヌクレオチドを意味する。増幅された、又は組み立てられた組み換え型ポリヌクレオチドは、適切なベクターに含まれる。また、ベクターは、適切な宿主細胞を形質転換するために使用することができる。
また、組み換え型ポリヌクレオチドは、非コード機能(例えば、プロモーター、複製起点、リボソーム結合部位など)を提供する。
「組み換え型ポリペプチド」は、組み換え型ポリヌクレオチドの発現によって生成されるものである。
「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸残基、関連する自然発生的な構造変異種、及びそれの人工の非自然発生的な類似物から成るポリマーを意味する。合成ポリペプチドは、例えば自動ポリペプチド合成装置を使用して合成することができる。
「タンパク質」という用語は、一般に、大きなポリペプチドを意味する。
「ペプチド」という用語は、一般に、短いポリペプチドを意味する。
ここではポリペプチド配列を描写するのに従来の表記法を用いる。ポリペプチド配列の左末端はアミノ末端であり、ポリペプチド配列の右末端はカルボキシル末端である。
ここで用いられる「腫瘍抗原」という用語は、腫瘍上に発現する抗原、又は哺乳動物の腫瘍を識別又は診断するために使用される抗原を意味する。
ここで用いられる「形質転換する」、「形質転換すること」、「形質転換」という用語は、生物体の内部に単離核酸を取り込む処理を意味する。
本明細書中で開示しているように、リステリア菌は優秀なワクチンベクターである。しかし、有効なワクチンベクターを発現させるために必要な遺伝子操作やインビトロでの培養は、リステリア菌の免疫原性を弱め、リステリア菌をベースした細菌ワクチンベクターの効果がなくなる。本発明は、免疫原性を強化するための方法を開示する。なお、免疫原性を強化すると、遺伝子組み換え型細菌ワクチンベクター(例えばリステリア菌ワクチンベクター)の効力が高められる。
ここに開示されたデータは、インビボ系での組み換え型細菌ワクチンベクター(例えばリステリア菌ワクチンベクター)の継代培養は、多くの場合、特に、抗原及び/又は融合タンパク質の免疫原性を強化する、及び抗原に対するCD8T細胞反応の誘導を増加させることを初めて明らかにする。すなわち、ここに開示するように、細菌の菌力(virulence)が最大となるまで動物内で繰り返して継代培養された細菌ワクチンベクターを動物へ投与すると、とりわけ、腫瘍と細胞内病原体(例えばウイルスや細菌)の両方に由来する抗原に対するCD8細胞を介した免疫反応の誘導を増加させる。さらに、ここに開示されたデータは、細菌ワクチンベクター(例えばリステリア菌ワクチンベクター)の継代培養は、細菌ワクチンベクターの菌力を強化することを明らかにする(これは、とりわけ、細菌数の増加により判断される)。そのため、ここに開示されたデータは、動物内での細菌ワクチンベクターの継代培養は、動物内で継代培養をしない場合と比べて、細菌ワクチンベクターと、細菌ワクチンベクターを有する抗原との両方の免疫原性を強化することを明らかにする。当業者ならば、抗原及び/又は融合タンパク質の免疫原性が強化されることや、抗原及び/又は融合タンパク質に対するCD8T細胞反応が増加することは、一般に、ワクチン療法にとって有益かつ有用であり、特に、予防、治療、腫瘍の軽減、及び細胞内病原体の続発症に対して有益かつ有用であることは、容易に理解できるであろう。
本発明は、哺乳類に、抗原(好ましくは異種抗原)を含んでいる細菌ワクチンベクター(例えばリステリア菌ワクチンベクター)を投与することを含む。プラスミド由来の抗原、異種抗原、及び/又は融合タンパク質を含んでいるリステリア菌ワクチンベクターを作成する方法や、リステリア菌の染色体から発現した抗原又は異種抗原を含んでいるリステリア菌ワクチンベクターを作成する方法は、当該技術分野では周知であり、ポートノイ(Portnoy)及びパターソン(Paterson)による米国特許第5,830,702号や、ポートノイによる米国特許第6,051,237号に記載されている(これらは、この参照により本発明に含まれるものとする)。
本発明に係る抗原又は異種抗原は、好適には、腫瘍又は伝染性の生物体に由来した抗原である。前記生物体としては、例えば、菌類病原体、細菌、寄生生物、蠕虫、ウイルスなどがある(ただし、これらに限定されるものではない)。本発明に係る抗原又は異種抗原としては、次のものがある(ただし、これらに限定されるものではない)。破傷風トキソイド、インフルエンザウイルスの血球凝集素分子、インフルエンザウイルスの核タンパク分子、ジフテリア・トキソイド、HIVgp120分子、又はこれらの一部、HIVのgagタンパク質、IgAプロテアーゼ、インスリン・ペプチドB、スポンゴスポラ・サブタレニア抗原(Spongospora subterranea antigen)、ビブリオ抗原、サルモネラ菌抗原、肺炎双球菌抗原、呼吸器合胞体ウイルス抗原、ヘモフィルス・インフルエンザの外膜タンパク質、肺炎連鎖球菌抗原、ヘリコバクター・ピロリ菌のウレアーゼ、髄膜炎菌ピリン、淋菌ピリン、メラノーマ関連抗原(TRP−2、MAGE−1、MAGE−3、gp−100、チロシナーゼ、MART−1、HSO−70、ベータHCG)、ヒト乳頭腫ウィルス抗原(HPV−16,18,31,33,35又は45型ヒト乳頭腫ウィルスからのE1,E2,E6及びE7を含む)、CEA腫瘍抗原、変異した又は変異していないラス・タンパク質、変異した又は変異していないp53タンパク質、Mucl、pSA、及び次の病気由来の当該技術分野において周知の抗原である。コレラ、ジフテリア、ヘモフィルス、A型肝炎、B型肝炎、インフルエンザ、麻疹、髄膜炎、耳下腺炎、百日咳、天然痘、肺炎球菌性肺炎、小児麻痺、狂犬病、風疹、破傷風、結核、腸チフス、水痘帯状疱疹、百日咳、黄熱病、アジソン病からの免疫原及び/又は抗原、アレルゲン、アナフィラキシー、ブルトン症候群、固体及び血液感染性腫瘍を含む癌、湿疹、橋本甲状腺炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、後天性免疫不全症候群、腎臓,心臓,膵臓,肺,骨,肝臓移植のような、移植による拒絶反応、グレーヴス病、多内分泌機能の自己免疫疾患、肝炎、顕微鏡的多発動脈炎、結節性多発動脈炎、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、悪性貧血、腹腔内の病気、抗体媒介性の腎炎、糸球体腎炎、リューマチ性疾患、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、血清反応陰性脊椎関節炎、鼻炎、シェーグレン症候群、胆管炎を硬化させる全身性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、疱疹状皮膚炎、乾癬、白斑、多発性硬化症、脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、強膜、上強膜、ブドウ膜炎、慢性粘膜皮膚カンジダ症、じんましん、乳児一過性低γグロブリン血症、骨髄腫、X連鎖高IgM症候群、ウィスコット・アルドリッチ症候群、毛細血管拡張性運動失調症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性好中球減少症、ヴァルデンストレーム・マクログロブリン血症、アミロイドーシス、慢性リンパ球性白血病、非ホジキンリンパ腫、マラリア熱のスポロゾイト周囲タンパク、微生物の抗原、ウイルスの抗原、自己抗原、及びレスタリオシス(lesteriosis)。
本発明に係る腫瘍抗原としては、例えば、MAGE抗原(メラノーマ関連抗原E)、チロシナーゼ、変異ラス癌遺伝子、変異p53、(例えば、GenBank Accession No.X54156及びAA494311)、及びp97メラノーマ抗原(例えば、GenBank Accession No.M12154)がある(ただし、これらに限定されるものではない)。前記MAGE抗原としては、MAGE1(例えば、GenBank Accession No.M77481)、MAGE2(例えば、GenBank Accession No.U03735)、MAGE3、MAGE4などがある。本発明に含まれる他の腫瘍特異抗原としては、進行癌に関連するラス・ペプチド及びp53ペプチド、子宮頸癌に関連するHPV16/18及びE6/E7抗原、bcr/abl白血病抗原、MZ2−Eマラノーマ抗原、MVC−1乳癌及び膵臓癌抗原、乳癌に関連するMUC1−KLH抗原(例えば、GenBank Accession No.J03651)、結腸直腸癌に関連するCEA(癌胎児性抗原)(例えば、GenBank Accession No.X98311)、マラノーマに関連するgp100抗原(例えば、GenBank Accession No.S73003)又はMART1抗原、及び前立腺癌に関連するPSA抗原(例えば、GenBank Accession No.X14810)がある。p53遺伝子配列は周知であり(例えば、ハリスらによるMol Cell Biol.(1986)、6:4650-4656参照)、GenBank Accession No.M14694に寄託されている。本発明に係る腫瘍抗原としては、さらにNY−ESO−1抗原(GenBank Accession No.U87459)、及びHer-2/neu(GenBank Accession No.M16789.1、M16790.1、M16791.1、M16792.1)がある。したがって、本発明は、癌(子宮頸癌、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、肺癌など。ただし、これらに限定されるものではない)やメラノーマの免疫療法として使用することができる。
本発明はさらに次の感染病からの抗原を含む。前記感染病としては、麻疹、耳下腺炎、風疹、小児麻痺、A型肝炎、B型肝炎(例えば、GenBank Accession No.E02707)、及びC型肝炎(例えばGenBank Accession No.E06890)がある。さらに、他の肝炎ウイルス、インフルエンザ、アデノウイルス(例えば4型及び7型)、狂犬病(例えば、GenBank Accession No.M34678)、黄熱病、日本脳炎(例えば、GenBank Accession No.E07883)、デング熱(例えば、GenBank Accession No.M24444)、ハンタウイルス、及びAIDS(例えば、GenBank Accession No.U18552)がある。細菌性抗原及び寄生虫抗原は、次の病気の原因である既知の病原因子に由来する。ジフテリア、百日咳(例えば、GenBank Accession No.M35274)、破傷風(例えば、GenBank Accession No.M64353)、結核、細菌性及び真菌性肺炎(例えば、インフルエンザ菌、ニュ−モシスティス・カリニなど)、コレラ、腸チフス、疫病、細菌性赤痢、サルモネラ症(例えば、GenBank Accession No.L03833)、レジオネラ症、ライム病(例えば、GenBank Accession No.U59487)、マラリア(例えば、GenBank Accession No.X53832)、鈎虫症、回旋系状虫症(例えば、GenBank Accession No.M27807)、住血吸虫症(例えば、GenBank Accession No.L08198)、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、ジアルジア症(例えば、GenBank Accession No.M33641)、アメーバ症、フィラリア症(例えば、GenBank Accession No.J03266)、ボレリア症、及び旋毛虫病(ただし、これらに限定されるものではない)。
継代培養のプロセスは、以下のようにして行われる。細菌ワクチンベクターは、当該技術分野で周知の細菌種を培養及び増殖させるために器具及び試薬を使用して、液体培地で培養される。なお、細菌が同一集団であることを確実にするために、細菌は単一クローンから培養されることは、当業者なら容易に理解できるであろう。単一クローンは、適切な光学濃度に達するまで、適切な液体培地で培養される。細菌集団の光学濃度を測定する方法は、当該技術分野では周知であり、分光法や濁度法などがある。培地は、異種抗原の保持を容易にするために、必要ならば選択培地を使用する。
周知のように、異種抗原及び/又は融合タンパク質の発現を保証するためには、各継代培養又は増殖周期の後に、発現をモニタする必要がある。細菌集団からのタンパク質発現を測定する方法は周知であり、本発明では、免疫ブロット法、ウエスタンブロット法、ELISA、及び他の周知のタンパク質発現分析方法を用いる。そして、抗原及び/又は融合タンパク質を発現する能力を有する細菌のクローンは、次回の細菌複製のために選ばれる。ここに開示された方法を身に付けている当業者ならば、異種抗原及び/又は融合タンパク質を安定して予想通りに発現する細菌ワクチンベクターを選択することができる。
異種抗原及び/又は融合タンパク質を安定して予想通りに発現する細菌ワクチンベクターを選択した後、その細菌ワクチンベクターは哺乳類に投与される。本発明では、哺乳類としては、マウス、ウサギ、テンジクネズミ(guinea pig)、ハムスター、アレチネズミ(gerbil)、ラットなどを使用する。そのような哺乳類は、卸売業者、販売業者、及び研究所(例えばジャクソン研究所(Bar Harbor, ME))から入手することができる。限定するものではないが、例えば、本発明でマウスを使用する場合は、マウスは6〜8週齢のものを使用する(ただし、他の週齢のマウスを使用することもできる)。当業者ならば、哺乳類の週齢の範囲及び外見は、本発明の方法を修正可能であることを容易に理解できるであろう。前記動物は、標準的な動物施設環境、又は周知の無菌状態で飼育する。
継代培養のために哺乳類へ投与される細菌ワクチンベクターのタイター(titer)は、様々な方法(濁度分析、光学濃度の測定値、及び細胞集団を希釈し、プレートし、カウントする方法など)により測定される。例えば、異種抗原及び/又は融合タンパク質を発現する単一のコロニーを選択した後、細菌の生存度と数を規定の量で測定するために、前記単一コロニーは液体培地で培養され、適切な固体培地上に様々な希釈濃度でプレートされる。これらの手法は、周知である。
タイターの測定後、細菌ワクチンベクターは適切な動物に投与される。当該技術分野で周知のように、細菌を哺乳類に投与する適切な方法としては、非経口投与又は経口投与がある。非経口投与としては、筋内、皮下、皮内、及び静脈内投与がある。細菌ワクチンベクターは、静脈内投与により動物に投与されることが好ましい。
接種材料のタイターは、動物のサイズ・健康状態・感受性、細菌ワクチンベクターの菌力、及び他の周知の要素によって異なる。
一例としては、約1×10〜1×10、好ましくは約2×10〜9×10、より好ましくは約3×10〜8×10、さらに好ましくは約4×10〜6×10、最も好ましくは約5×10の細菌が、静脈内投与によって適切な動物に接種される。他の方法として、同数の細菌ワクチンベクターを経口投与することもできる。同数の細菌はその後の各継代に投与される。一例として、第1代の継代培養の動物に約5×10の細菌が投与された場合は、その後の各継代には約5×10の細菌が投与される。
しばらくすると、さらに継代が進んだ動物から細菌ワクチンベクターを収穫する。細菌ワクチンベクターは、培養後約1〜9日後に、好ましくは培養後約2〜7日後に、より好ましくは培養後約3〜5日後に、さらに好ましくは培養後約3〜4日後に、最も好ましくは培養後約3日後に収穫される。また、本明細書中に開示されたデータによって明らかにされるように、収穫する時期は、細菌ワクチンベクター及びそれから発現した抗原の菌力によって決まる。
細菌ワクチンベクターは、接種された適切な動物の脾臓、肝臓、又は他の感染した器官又は組織から収穫される。適切な器官又は組織は、細菌ワクチンベクターに感染することができ、その後、前記細菌ワクチンベクターを収穫できる器官又は組織である(ただし、それらに限定されるものではない)。そのような器官又は組織としては、脳、肝臓、脾臓、心臓、脊髄、髄液、末梢神経、皮膚、膵臓、リンパ節、目、腎臓、マクロファージ上皮細胞、線維芽細胞などが挙げられる。例えば、脾臓からの収穫は、当該技術分野では周知であり、詳細については、ハーロウ(Harlow)らによる「Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York(1988)」に記載されている。簡単に説明すると、脾臓は収穫され、均一化され、連続的な希釈物は適切なブイヨン(nutrient broth)内で一晩培養され、コロニーをカウントするためにプレートされる。ここで説明した継代培養プロセスは、要求通りに、細胞の菌力が最大となり、その結果免疫原性が最大となるまで、繰り返される。
当業者ならば、動物内での継代数は、定数に限定されずに、動物から収穫された細菌数によって決定されることを理解できるであろう。したがって、動物に細菌ワクチンベクターを接種し、前記細菌ワクチンベクターを収穫し、そして、収穫した細菌ワクチンベクターの数を当該技術分野で周知の方法によって測定する。このプロセスは繰り返され、継代数0の培養(第1代の継代培養)から収穫した細菌の数と、継代数1の培養(第2代の継代培養)から収穫した細菌の数とを比較する。本明細書中に開示されたデータによって明らかにされるように、継代数1の培養から収穫した細菌の数は、継代数0の培養から収穫した細菌よりも多い。このプロセスは再び繰り返され、継代数2の培養から収穫した細菌の数と、継代数1の培養から収穫した細菌の数とを比較する。本明細書中に開示されたデータによって明らかにされるように、継代数2の培養から収穫した細菌の数は、継代数1の培養から収穫した細菌よりも多い。このプロセスは再び繰り返され、継代数3の培養から収穫した細菌の数と、継代数2の培養から収穫した細菌の数とを比較する。継代数3の培養から収穫した細菌の数が、継代数2の培養から収穫した細菌よりも多い場合は、このプロセスは再び繰り返される。この継代培養のプロセスは、細菌数が最大となるまで繰り返される。継代数3の培養から収穫した細菌の数が、継代数2の培養から収穫した細菌よりも少ない場合は、継代数2の培養は細菌の菌力が最大となる。したがって、本明細書中に開示されたデータによって明らかにされるように、細菌の菌力が最大である継代培養から収穫された細菌は、未継代培養の細菌と比べて、免疫原性が最大に強化されている。さらに、本明細書中に開示されたデータによって明らかにされるように、前記細菌ワクチンベクターから発現した抗原(例えば、内因性抗原、異種抗原、及び腫瘍抗原)は、未継代の細菌から発現した抗原と比べて、免疫原性が強化されている。したがって、継代培養後に収穫された細菌の数が、前回の継代培養から収穫された細菌の数よりも多く、かつ、次回の継代培養から収穫された細菌の数よりも多い場合に、細菌の菌力の最大値が測定される。そのため、細菌数が最大である細菌ワクチンベクターは、動物(ヒトを含む)に投与され、細菌ワクチンベクターによって発現した抗原に対する免疫性を発現させる。そして、本明細書中に開示されたデータによって明らかにされるように、前記細菌ワクチンベクターを動物へ投与すると、特に、抗原に対する免疫原性、及びCD8反応を強化する。すなわち、本明細書中に開示されたデータによって明らかにされるように、動物内での連続継代後の細菌数が最大である継代培養から得られた細菌ワクチンベクターを投与すると、菌力が強められるため、免疫原性が強化される。さらに、本明細書中に開示されたデータによって明らかにされるように、動物内での連続継代後の細菌数が最大である継代培養から得られた細菌ワクチンベクターを投与すると、細菌ワクチンベクター内の抗原の免疫原性が強化される。したがって、継代培養は、特に、細菌ワクチンベクターの免疫原性を強化する方法を提供する。
本発明は、さらに、前述した方法によって作成された細菌ワクチンベクター(例えばリステリア菌ワクチンベクター)を有する組成物を含む。この細菌ワクチンベクターは動物に投与され、動物内で継代培養され、動物から収穫される。その結果、本明細書中に開示されたデータによって明らかにされるよう、免疫原性が強化される。
細菌ワクチンベクターは、抗原、好ましくは異種抗原、より好ましくは腫瘍抗原を有する。前記腫瘍抗原としては、例えば、前立腺癌に由来する抗原、黒色腫に由来する抗原、及び子宮頸癌に由来する抗原などがある(ただし、これらに限定されるものではない)。
本発明はまた、本発明の方法を実行するためにリステリア属細菌ワクチンベクターを含む適切な細菌ワクチンベクターの医薬品組成物の使用を含み、そのような組成物は適切な細菌ワクチンベクター及び薬学的に許容される担体を含む。
ここで用いられる「薬学的に許容される担体」という用語は、適切な細菌ワクチンベクターに結合されかつその結合後にその適切な細菌ワクチンベクターを哺乳動物に投与するために用いることができる化学組成物を意味する。
本発明の方法において有用な医薬品組成物は、経口固体製剤、点眼剤、坐薬、エアロゾル、局所製剤又は他の類似の製剤形態で全身的に投与可能である。そのような医薬品組成物は、適切な細菌ワクチンベクターに加えて、細菌ワクチンベクター投与を増強及び促進することが知られている薬学的に許容される担体及び他の成分を含み得る。その他の可能な製剤形態、例えばナノ粒子、リポソーム、再シールした赤血球、免疫学に基づく系を本発明に基づく適切な細菌ワクチンベクターの投与に用いることもできる。
本発明は、本明細書中に開示されている疾病の治療に役立つ組成物を活性成分として含む医薬品組成物の作成とその使用を含む。そのような医薬品組成物は、被験対象への投与に適した形の活性成分単体からなることもあるし、活性成分と1つ又はそれ以上の薬学的に許容される担体、1つ又はそれ以上の付加的成分、又はこれらの組合せを含むこともある。
本明細書中に記載されている医薬品組成物の製剤は、既知の方法又は後述の薬理学の分野で開発された方法で作成することができる。一般的にそのような作成方法は、活性成分を担体又は1つ又はそれ以上の他の補助的成分と結合させ、その後、必要又は所望であれば、生成物を所望の単回又は複数回用量単位に形成又は包装する過程を含む。
本明細書は主に医師の処方によるヒトへの投与に適した医薬品組成物に向けた医薬品組成物に関して述べているが、そのような組成物が概ね全ての種類の動物への投与に適したものであることは、当業者であれば分かるであろう。種々の動物の投与に適した組成物を与えるためにヒトへの投与に適した医薬品組成物を改変することは十分浸透していることであり、通常の知識を有する獣医薬理学者は、通常の実験がもしあればそれのみで、そのような改変をデザイン及び実施することができる。本発明の医薬品組成物の投与を意図している被験対象には、限定されるものではないが、ヒト及び他の霊長類と、家畜、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌなどの市販の哺乳動物を含む哺乳動物と、ニワトリ、カモ、ガチョウ、シチメンチョウなどの市販の鳥とが含まれる。
本発明の方法において有用な医薬品組成物は、経口投与、直腸投与、経膣投与、非経口投与、局所的投与、経肺投与、鼻腔内投与、口腔内投与、点眼投与、クモ膜下腔内投与、又は別の経路の投与に適した製剤として、調製、包装、又は販売することができる。投与を意図している他の製剤としては、ナノ粒子、リポソーム製剤、活性成分を含む再シールした赤血球、免疫学に基づく製剤がある。
本発明の医薬品組成物は、バルクで、単回最小投薬単位として、又は複数の単回最小投薬単位として、調製、包装、又は販売することができる。ここで用いられる「最小投薬単位」は、所定量の活性成分を含む医薬品組成物の個別的な量である。活性成分の量は、被験対象に投与されるであろう活性成分の用量又はそのような用量の都合の良い画分、例えばそのような用量の半分又は3分の1などに概ね等しい。
本発明の医薬品組成物中の活性成分、薬学的に許容される担体、任意の付加的成分の相対量は、同一性、サイズ、処置される被験対象の状態、更には組成物が投与される経路によって変えられる。一例として、組成物は、0.1%〜100%(w/w)の活性成分を含み得る。
本発明の医薬品組成物の徐放製剤は、従来の技術を用いて作ることができる。
経口投与に適した本発明の医薬品組成物の製剤は、限定されるものではないが、それぞれ所定量の活性成分を含む錠剤、硬軟カプセル又は軟カプセル、カシェ剤、トローチ又はロゼンジを含む別々の固体用量単位の形で調製、包装、又は販売することができる。経口投与に適した他の製剤には、限定されるものではないが、粉末状又は顆粒状の製剤、水性又は油性の懸濁液、水性又は油性の溶液、又は乳濁液が含まれる。
ここで用いられる「油性」液体は、炭素含有液体分子を含み、水よりも低い極性を示すものである。
活性成分を含む錠剤は、例えば活性成分を、任意で1つ又はそれ以上の付加的成分と共に、圧縮又は成形することによって作ることができる。圧縮錠剤は、適切な装置で、粉末状又は顆粒状製剤などの易流動性形態の活性成分を、任意で結合剤、潤滑剤、補形薬、界面活性剤、分散剤の1若しくは複数と混合して、圧縮することによって調製することができる。湿製錠剤は、適切な装置で、活性成分と、薬学的に許容される担体と、少なくとも混合物を湿潤するのに十分な液体との混合物を成形することによって調製することができる。錠剤の製造に用いられるような薬学的に許容される補形薬には、限定されるものではないが、不活性希釈剤、造粒剤及び崩壊剤、結着剤、平滑剤が含まれる。既知の分散剤には、限定されるものではないが、バレイショデンプン、デンプングリコール酸ナトリウムが含まれる。既知の界面活性剤には、限定されるものではないが、ラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。既知の希釈剤には、限定されるものではないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムが含まれる。既知の造粒剤及び崩壊剤には、限定されるものではないが、コーンスターチ、アルギン酸が含まれる。既知の結着剤には、限定されるものではないが、ゼラチン、アカシア、予めゼラチン化したトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。既知の平滑剤には、限定されるものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ケイ素、タルクが含まれる。
錠剤は、被験対象の消化管における分解を遅らせ、それによって活性成分の徐放及び吸収を達成するべく既知の方法を用いてコーティングしてもよいし、或いは、コーティングしなくてもよい。一例として、モノステアリン酸グリセリン又は二ステアリン酸グリセリンなどの物質を用いて錠剤をコーティングすることもできる。更に一例として、米国特許第4,256,108号、第4,160,452号、第4,265,874号に記載されている方法を用いて、錠剤をコーティングして浸透圧性徐放性錠剤を形成することができる。薬学的に科学的精密さと簡潔さを備え、口当たりがいい製剤を提供するために、錠剤は、甘味剤、着香剤、着色剤、防腐剤、又はこれらの組合せを更に含むことがある。
活性成分を含む硬カプセルは、ゼラチンなどの生理的に分解可能な組成物を用いて作ることができる。そのような硬カプセルは活性成分を含み、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンなどの不活性固体希釈剤を例えば含む付加的成分を更に含むことがある。
活性成分を含む軟ゼラチンカプセルは、ゼラチンなどの生理的に分解可能な組成物を用いて作ることができる。そのような軟カプセルは、ラッカセイ油、液体パラフィン、又はオリーブ油などの水又は油媒体と混合することができるような活性成分を含む。
経口投与に適した本発明の医薬品組成物の液体製剤は、液体状か、使用前に水又は別の適切な賦形剤で再構成することを目的とした乾燥生成物の形で、調製、包装、又は販売することができる。
液体懸濁液の調製は、水性又は油性の賦形剤に活性成分を懸濁する従来の方法を用いて行うことができる。水性賦形剤には、例えば、水、等張生理食塩水が含まれる。油性には、例えば、扁桃油、油性エステル、エチルアルコールや、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、ヤシ油などの植物油、分取した植物油、液体パラフィンなどの鉱油が含まれる。液体懸濁液は、限定されるものではないが、懸濁剤、分散剤又は湿潤剤、乳化剤、緩和剤、防腐剤、緩衝剤、塩、着香剤、着色剤、甘味剤を含む1つ又はそれ以上の付加的成分を更に含むことがある。油性懸濁液は、増粘剤を更に含むことがある。既知の懸濁剤には、限定されるものではないが、ソルビトールシロップ、硬化食用脂、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アカシアゴムや、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース派生物が含まれる。既知の分散剤又は湿潤剤には、限定されるものではないが、レシチンなどの自然発生のリン脂質、アルキレンオキシドの脂肪酸との縮合物、アルキレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、アルキレンオキシドの脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合物、又はアルキレンオキシドの脂肪酸及び無水ヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合物(それぞれ、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ヘプタデカエチレンオキシセタノール(heptadecaethyleneoxycetanol)、ポリオキシエチレン・ソルビトール・モノオレエート、ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノオレエート)が含まれる。既知の乳化剤には、限定されるものではないが、レシチン、アカシアが含まれる。既知の防腐剤には、限定されるものではないが、メチルハイドロオキシ安息香酸、エチルハイドロオキシ安息香酸、又はn−プロピル−パラ−ハイドロオキシ安息香酸、アスコルビン酸、ソルビン酸が含まれる。既知の甘味剤には、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、サクロース、サッカリンが含まれる。油性懸濁液のための既知の増粘剤には、例えば、蜜蝋、硬パラフィン、セチルアルコールが含まれる。
水性又は油性溶媒中の活性成分の液体溶液は、液体懸濁液と実質的に同じ方法で調製することができるが、両者の主な違いは、溶媒に懸濁しているよりはむしろ活性成分が溶存していることである。本発明の医薬品組成物の液体溶液は、液体懸濁液に関連して記載したいずれの成分をも含み得る。懸濁剤は活性成分が溶媒中に溶解するのを必ずしも助けるわけではないことが理解されよう。水性溶媒には、例えば、水、等張生理食塩水が含まれる。油性溶媒には、例えば、扁桃油、油性エステル、エチルアルコールや、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、ヤシ油などの植物油、分取した植物油、液体パラフィンなどの鉱油が含まれる。
本発明の製剤の粉末状及び顆粒状製剤は、既知の方法を用いて調製することができる。そのような製剤は、被験対象に直接投与することも、例えば錠剤を形成したりカプセルを充填したり水性又は油性の賦形剤を添加した水性又は油性の懸濁液又は溶液を調製するために用いることもできる。これらの製剤はそれぞれ、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤、防腐剤の1若しくは複数を更に含むことがある。溶加剤及び甘味剤、着香剤、又は着色剤などの付加的な補形薬もまた、これらの製剤に含まれることがある。
本発明の医薬品組成物は、水中油型乳濁液又は油中水型乳濁液の形で調製、包装、又は販売することもできる。油相は、オリーブ油やラッカセイ油などの植物油、液体パラフィンなどの鉱油、又はこれらの組合せであることがある。そのような組成物は、1つ又はそれ以上の乳化剤、例えば、アカシアゴムやトラガカントゴムなどの自然発生のゴム、大豆リン脂質やレシチンリン脂質などの自然発生のリン脂質、ソルビタン・モノオレエートなどの脂肪酸と無水ヘキシトールの配合に由来するエステル又は部分エステル、そのような部分エステルのポリオキシエチレン・ソルビタン・モノオレエートなどのエチレンオキシドとの縮合物を更に含むことがある。これらの乳濁液には、例えば甘味剤又は着香剤を含む付加的成分が含まれることがある。
本発明の医薬品組成物は、直腸投与に適した製剤として、調製、包装、又は販売することができる。そのような組成物は、例えば、坐薬、停留浣腸製剤、直腸又は結腸洗浄のための溶液の形で存在し得る。
坐薬製剤は、通常の室温(即ち約20℃)で固体であり被験対象の直腸温(即ち健康なヒトで約37℃)で液体であるような非刺激性の薬学的に許容される補形薬に活性成分を配合することにより作ることができる。適切な薬学的に許容される補形薬には、限定されるものではないが、ココアバター、ポリエチレングリコール、及び種々のグリセリドが含まれる。坐薬製剤には、限定されるものではないが、酸化防止剤及び防腐剤を含む種々の付加的成分が更に含まれることがある。
直腸又は結腸洗浄のための停留浣腸製剤又は溶液は、薬学的に許容される液体担体に活性成分を結合することによって作ることができる。当該分野では公知であるように、浣腸製剤は、被験対象の直腸の解剖学的構造に適合した送達装置を用いて投与するか或いは装置内に包装することができる。浣腸製剤には、限定されるものではないが、酸化防止剤及び防腐剤を含む種々の付加的成分が更に含まれることがある。
本発明の医薬品組成物は、経膣投与に適した製剤として、調製、包装、又は販売することができる。そのような組成物は、例えば、坐薬、タンポンなどの含浸又はコーティングされた経膣挿入可能な物質、圧注製剤、又は膣洗浄のためのゲル又はクリーム又は溶液の形で存在し得る。
物質を化学組成物に含浸させる又は化学組成物でコーティングする方法は当該分野で既に知られており、限定されるものではないが、化学組成物を表面に沈着又は結合させる方法、物質合成中に物質の構造に化学組成物を組み込む(即ち生理的に分解可能な物質を用いる)方法、その後に乾燥を行っても行わなくてもよいが水性又は油性の溶液又は懸濁液を吸収性物質に吸収させる方法が含まれる。
膣洗浄のための圧注製剤又は溶液は、薬学的に許容される液体担体に活性成分を結合することによって作ることができる。当該分野では公知であるように、圧注製剤は被験対象の膣の解剖学的構造に適合した送達装置を用いて投与するか或いは装置内に包装することができる。圧注製剤には、限定されるものではないが、酸化防止剤、抗生物質、抗カビ剤、防腐剤を含む種々の付加的成分が更に含まれることがある。
ここで用いられる医薬品組成物の「非経口的投与」には、被験対象の組織に物理的に穴を開けることを特徴とする任意の経路での投与と、組織の切り目(breach)を介した医薬品組成物の投与とが含まれる。よって、非経口的投与には、限定されるものではないが、組成物の注射、外科切開による組成物の適用、組織穿通非外科的創傷による組成物の適用などによる医薬品組成物の投与が含まれる。特に、ここで意図している非経口的投与は、限定されるものではないが、皮下投与、皮膚投与、腹腔内投与、経皮投与、筋肉内投与、胸骨内投与、腎臓透析点滴技術を含む。
非経口的投に適した医薬品組成物の製剤は、無菌水又は無菌等張生理食塩水などの薬学的に許容される担体に結合した活性成分を含む。そのような製剤は、大量瞬時投与又は連続投与に適した製剤として、調製、包装、又は販売することができる。注射可能な製剤は、防腐剤を含む複数回投与容器やアンプルなどに単位用量の形で、調製、包装、又は販売することができる。非経口的投与用製剤には、限定されるものではないが、懸濁液、溶液、油性又は水性の賦形剤に溶かした乳濁液、ペースト、埋没可能な徐放性又は生体分解性製剤が含まれる。そのような製剤には、限定されるものではないが、懸濁剤、安定剤又は分散剤を含む1つ又はそれ以上の付加的成分が更に含まれることがある。非経口的投与用製剤の一実施態様では、活性成分は、再構成組成物を非経口的に投与する前に適切な賦形剤(例えば無菌の、発熱物質を含まない水)で再構成するために乾燥した形態(即ち粉末又は顆粒状)で与えられる。
医薬品組成物は、無菌の注射可能な水性又は油性の懸濁液又は溶液の形で調製、包装、又は販売することができる。この懸濁液又は溶液は、既知の技術に基づいて処方することができ、活性成分に加えて、本明細書中に記載されている分散剤、湿潤剤、又は懸濁剤などの付加的成分を含むことがある。そのような無菌の注射可能な製剤は、例えば水又は1,3−ブタンジオールなどの無毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒を用いて調製することができる。他の許容される希釈剤及び溶媒には、限定されるものではないが、リンゲル液、等張食塩水溶液、合成モノグリセリド又は全グリセリドなどの固定油が含まれる。有用な他の非経口的に投与可能な製剤には、微結晶状で、リポソーム製剤で、又は生体分解性ポリマー系の成分として、活性成分を含む製剤が含まれる。徐放又は移植のための組成物は、乳濁液、イオン交換樹脂、難溶解性ポリマー、又は難溶解性塩など、薬学的に許容される高分子物質又は疎水性物質を含み得る。
本発明の医薬品組成物は、口腔経由の経肺投与に適した製剤として、調製、包装、又は販売することができる。そのような製剤は、活性成分を含みかつ約0.5nmから約7nm、好ましくは約1nmから約6nmの直径を有するような乾燥粒子を含むことがある。そのような組成物は、粉末を分散するために噴霧剤の流れが向けられるような乾燥粉末貯蔵器を含む装置を用いて、或いは低沸点噴霧剤密封容器内に溶存又は浮遊する活性成分を含む装置を含む自己噴霧(self-propelling)溶媒/粉末ディスペンサー容器を用いて、投与のために小分けされて乾燥粉末の形をとる。そのような粉末は、少なくとも98%の重量を占める粒子が0.5nm以上の直径を有し、少なくとも95%の数量を占める粒子が7nm以下の直径を有するような、粒子を含むのが好ましい。少なくとも95%の重量を占める粒子が1nm以上の直径を有し、少なくとも90%の数量を占める粒子が6nm以下の直径を有すると尚好ましい。乾燥粉末組成物は、好ましくは、砂糖などの固体微細粉末希釈剤を含み、最小投薬単位の形で小分けして与えられる。
低沸点噴霧剤は通常、大気圧で65OF以下の沸点を有する液体噴霧剤を含む。一般的に噴霧剤は組成物の50〜99.9%(w/w)を構成し、活性成分は組成物の0.1〜20%(w/w)を構成することができる。噴霧剤は、液体非イオン性界面活性剤、固体陰イオン界面活性剤、固体希釈剤などの付加的成分(活性成分を含む粒子と同じ桁の粒子サイズを有するのが好ましい)を更に含むことがある。
経肺送達のために処方された本発明の医薬品組成物は、溶液又は懸濁液の液滴の形で活性成分を与えることもできる。そのような製剤は、活性成分を含むオプションで無菌の水性又は希アルコールの溶液又は懸濁液として、調製、包装、又は販売することができ、噴霧又は霧化装置を用いて小分けして投与することができる。そのような製剤は、限定されるものではないが、サッカリンナトリウムなどの着香剤、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤、又は水酸化安息香酸メチルなどの防腐剤を含む1つ又はそれ以上の付加的成分を更に含むことがある。この投与経路で与えられる液滴は、約0.1nmから約200nmの平均径を有するのが好ましい。
経肺送達に役立つものとして本明細書中に記載されている製剤は、本発明の医薬品組成物の鼻腔内送達にも役立つ。
鼻腔内投与に適した別の製剤は、活性成分を含み、約0.2〜500μmの平均粒子を有する粗い粉末である。そのような製剤は、鼻から吸う方法即ち鼻孔付近に保持した粉末の容器から鼻管を介して高速吸入することで投与される。
経鼻投与に適した製剤は、例えば、最低約0.1%(w/w)から最高100%(w/w)までの活性成分を含むことがあり、更に1つ又はそれ以上の本明細書中に記載されている付加的成分を含むこともある。
本発明の医薬品組成物は、口腔内投与に適した製剤として、調製、包装、又は販売することができる。そのような製剤は、従来の方法を用いて例えば錠剤又はロゼンジの形をとることができ、例えば活性成分が0.1〜20%(w/w)で、残りを、経口的に溶解可能又は分解可能な組成物及び任意で1つ又はそれ以上の本明細書中に記載されている付加的成分とすることができる。或いは、口腔内投与に適した製剤は、活性成分を含む粉末状又はエアロゾル化又は霧化した溶液又は懸濁液を含むことがある。そのような粉末状製剤、エアロゾル化した製剤、又はエアロゾル化した製剤は、分散時には約0.1から約200nmまでの平均粒子又は液滴サイズを有するのが好ましく、更に1つ又はそれ以上の本明細書中に記載されている付加的成分を含むこともある。
本発明の医薬品組成物は、点眼投与に適した製剤として、調製、包装、又は販売することができる。そのような製剤は、例えば、水性又は油性の液体担体に溶かした活性成分濃度0.1〜1.0%(w/w)の溶液又は懸濁液を例えば含む点眼液の形で存在することができる。そのような点眼液は、緩衝剤、塩、又は本明細書中に記載されている他の付加的成分の1若しくは複数を更に含むことがある。有用な他の点眼投与可能な製剤は、活性成分を微結晶の形で又はリポソーム製剤中に含むような製剤を含む。
ここで用いられる「付加的成分」は、限定されるものではないが、補形薬、界面活性剤、分散剤、不活性希釈剤、造粒剤及び崩壊剤、結着剤、平滑剤、甘味剤、着香剤、着色剤、防腐剤、ゼラチンなどの生理的に分解可能な組成物、水性の賦形剤及び溶媒、油性の賦形剤及び溶媒、懸濁剤、分散剤又は湿潤剤、乳化剤、緩和剤、緩衝剤、塩、増粘剤、溶加剤、乳化剤、酸化防止剤、抗生物質、抗カビ剤、安定剤、薬学的に許容される高分子物質又は疎水性物質のうちの1若しくは複数を含む。本発明の医薬品組成物に含まれ得るような他の「付加的成分」は、当該分野で既に知られており、例えば Genaro, ea., 1985, Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA に記載されている。この文献は、引用を以って本明細書の一部となす。
動物、好ましくはヒトに投与することができる本発明の化合物の典型的な量は、動物の体重1kg当たり約1μgから約100gまでの範囲にある。正確な投与用量は、限定されるものではないが、動物の種類、処置される疾病状態の種類、動物の年齢、投与の経路を含む任意の数の因子によって変えられる。化合物の用量は、動物の体重1kg当たり約1mg乃至約10gであるのが好ましい。用量が、動物の体重1kg当たり約10mg乃至約1gであるのが尚好ましい。
動物に化合物を投与する頻度は、毎日数回であってもよいし、それほど頻繁でなく、例えば1日に1回、1週間に1回、2週間に1回、又は1ヵ月に1回でもよいし、更に少なく例えば数ヵ月に1回又は1年に1回かそれ以下でもよい。投薬の頻度は、熟練した職人が容易に理解できるものであり、任意の数の因子、例えば限定されるものではないが、処置する疾病の種類及び重症度、動物の種類及び年齢などによって変えられる。
本発明はまた、本発明の細菌ワクチンベクター、例えば免疫原性を高めたリステリア属細菌ワクチンベクターなどと、哺乳動物の細胞又は組織或いは哺乳動物全体に組成物を外膜に投与することが記載されている使用説明書とを含むキットを含む。別の実施態様では、このキットは、哺乳動物に化合物を投与する前に本発明の組成物を溶解又は懸濁するのに適した(好ましくは無菌の)溶媒を含む。
キットは、細菌ワクチンベクター、例えば免疫原性を高めたリステリア属細菌ワクチンベクターを含む。細菌ワクチンベクターの免疫原性は、本明細書の別の箇所に記載されている本発明の方法を用いて高められる。キットは、使用説明書とアプリケータとを更に含む。
細菌ワクチンベクターは、例えば、再構成のための溶液又は流体と共に凍結乾燥されている粉末又は固体として、細菌ワクチンベクターの凍結培養として、薬学的に許容される担体中の細菌の懸濁液として、細菌ワクチンベクターを含む固体寒天として、など種々の形でキットに組み込むことができる。キットは、アプリケータと、使用説明書と、薬学的に許容される担体とを更に含む。
ここで用いられる「使用説明書」は、本明細書で引用している種々の疾病又は疾患の緩和をもたらすキットにおいて本発明の有用性を伝達するために用いることができる出版物、記録、図表、又は他の表現媒体を含む。オプションで、又は代わりに、使用説明書は、哺乳動物の細胞又は組織の疾病又は疾患を緩和する1つ又はそれ以上の方法について記載していることもある。本発明のキットの使用説明書は、例えば、本発明を含む容器に添付してもよいし、或いは細菌ワクチンベクターを入れた容器と共に輸送してもよい。或いは、受取人が使用説明書と化合物を共に用いることができるように使用説明書と容器とを別々に輸送することもできる。これらの説明書は、本明細書の実施例を簡単に具体化する。
アプリケータは、細菌ワクチンベクターを投与するための装置又は組成物である。アプリケータは、限定されるものではないが、非経口的投与、経口投与、筋肉内投与、静脈内投与、及び他の投与方法を含む経路によって、リステリア属細菌ワクチンベクターなどの細菌ワクチンベクターの投与に必要な注射器、ピペット、又は他の物質を含む。細菌ワクチンベクターは、本明細書の他の箇所に示している適量が与えられる。更に、投与経路及び投与頻度は上述の通りである。
ここで、以下の実施例を参照しながら本発明について説明する。これらの実施例は、説明のためにここに記載しているだけであり、本発明がこれらの実施例に限定されるものとは解釈してはならない。むしろ、本明細書中で述べている教示の結果として明らかになるような発明の変形例の一部又は全部を含むものと解釈されたい。
(実施例1:マウス内でのリステリア菌ワクチンベクターの継代培養は、異種抗原と内因性抗原との両方に対して強化された免疫反応を引き出す)
リステリア菌ワクチンベクターは、防御免疫反応、特に、腫瘍抗原と細胞内病原体(例えば、ウイルス、細胞内細菌、及び寄生虫など)に対する免疫反応の誘導に有用であることが証明されている。リステリア菌ワクチンベクターを作成するためには、当業者はリステリア菌をインビボ環境で操作し、培養する必要がある。そのような環境は、クローン作成や他の分子生物学的手法を容易にするが、そのような環境では、リステリア菌ワクチンベクターは、ワクチン内で免疫反応を誘導する能力がない過度に弱力化した表現型をもたらす菌力因子を発現しない。弱力化した表現型が望ましいので、細胞内環境内でリステリア菌ワクチンベクターが全く生存できない場合は、異種抗原及び/又は融合タンパク質に対する細胞性免疫を引き起こす可能性がない。本明細書中に開示されたデータは、リステリア菌ワクチンベクターの免疫原性、特に、腫瘍及び細胞内病原体を予防及び治療する細胞性免疫反応を向上させる効率的で効果的な方法を明らかにする。
《細菌の菌株》
L.(リステリア)モノサイトゲネス株10403S、血清型1(ATCC, Manassas, VA)は、これらの研究に使用される野生型有機体であり、後述する作成物の親株である。BALB/cマウスの腹腔内には、約5×10CFUのLD50の菌株10403Sが注射される。L.モノサイトゲネスの組み換え型株であるLm−Gagは、前述したように、修飾シャトル・ベクターpKSV7を使用して染色体内に安定して組み込まれるHIV−1菌株HXB(表現型を形成する合胞体を有するサブタイプBの実験室株)gag遺伝子のコピーを有する(Mate et al, 2001, Vaccine 19:1435-1445)。ウエスタンブロット法により測定されるように、gagタンパク質は、L.モノサイトゲネスによって発現し、分泌する。Lm−E7は、L.モノサイトゲネスの組み換え型株であり、リステリア菌の染色体内に、ヒト乳頭腫ウイルス(human papilloma virus:HPV)E7遺伝子のコピーを有する。Lm−E7は、ある修飾により、Lm−Gagと同様に作成される。Lm−LLO−E7は、エピソーム発現系で、hly−E7融合遺伝子として作成される。組み換え型染色質糸を発現する両方のE7の作成は、例えば、ガン(Gunn)らによる「J. Immunol. 167: 6471-6479(2001)」に詳しく記載されている。全ての染色質糸は、脳−心臓浸出物(brain-heart infusion:BHI)ブロス、又は寒天プレート(Difco Labs, Detroit, MI)で培養される。
《細胞培養》
十分に続行する継代培養のための細菌プールの作成について説明する。パッセンジャー抗原及び/又は融合タンパク質を発現する単一クローン由来の細胞が選択され、BHI培養液内で一晩培養された。この培養物のアリコートは、添加物を加えずに、摂氏−70度で冷凍される。この株からは、培養物は0.1〜0.2O.D.(600nm)まで増殖され、アリコートは、再び、添加物を加えずに、摂氏−70度で冷凍される。複製された細菌プールを作成するために、前述の手法を使用するが、各継代後、多くの細菌クローンが選択され、標的抗原の発現がチェックされる。異種抗原を発現することが確認されたクローンは、次の継代培養に使用される。
《マウス内での細菌の継代培養》
メスのBALB/c(H−2d)マウスは、ジャクソン研究所(Bar Harbor, ME)から購入する。全てのマウスは、無菌のマイクロアイソレータ環境で飼育される。本研究では、約6〜8週齢のマウスを使用する。摂氏−70度で冷凍保存された株培養のアリコート内の生菌のタイターは、BHI寒天プレート上にプレートして測定する(使用の前に解凍する)。全ての細菌(5×10)はBALB/cマウスに経静脈注射される。三日後、脾臓は回収され、均一化され、均一化された脾臓の連続希釈液は、BHI培養液内で一晩培養され、BHI寒天プレート上にプレートされる。さらなる継代培養のために、アリコートは、再度、0.1−0.2O.D.(600nm)まで増殖され、摂氏−70度で冷凍され、細菌のタイターが連続希釈法によって再び決定される。最初の継代培養(継代数0)の後、この手順は合計4回繰り返される。
《IFNガンマ用の細胞内サイトカイン染色液》
リンパ球は、HIV−GAG(AMQMLKETI)(SEQ ID NO:1)、リステリア菌LLO(GYKDGNEYI)(SEQ ID NO:2)、又はHPVウイルス遺伝子E7(RAHYNIVTF)(SEQ ID NO:3)に対する細胞傷害性T細胞(cytotoxic T-cell:CTL)エピトープの存在下又は非存在下で、50U/mlのヒト組み換えIL−2、及び1μl/mlのブレフェルジンA(Brefeldin A; Golgistop(TM), PharMingen, San Diego, CA)が追加された完全培地RPMI−10内で5時間培養される。ペプチドは、1マイクロモルの濃度で使用される。細胞の表面を着色した後洗浄し、製造者(PharMingen, San Diego, CA)の注意事項に従って、Cytofix/Cytopermキットを使用して細胞内サイトカイン染色する。細胞内のIFNガンマ染色液としては、FITC共役ラット抗マウスIFNガンマモノクローナル抗体(クローンXMG1.2)、及びそのイソタイプ・コンロールAb(ラットIgGl)が使用される(両方とも、PharMingen, San Diego, CA)。106の細胞は全て、1%のウシ血清アルブミンと、0.02%アジ化ナトリウムを含んでいるPBS(FACS緩衝液)内で、摂氏4度で30分間染色され、その後、FACS緩衝液内で3回洗浄される。そして、FACS Scan(TM)フローサイトメーター、又はFACS Calibur(TM)器具によって、標本データが得られる(両方とも、Becton Dickinson, San Jose, CA)。CD8(PERCP共役、ラット抗マウス、クローン53−6.7;Pharmingen, San Diego, CA)、CD62L(APC共役、ラット抗マウス、クローンMEL−14)、及び細胞内IFNガンマのための、3色のフローサイトメトリーが、FACS Calibur(TM)フローサイトメーターを使用して行われる。そして、データは、CELLQuestソフトウエア(Becton Dickinson, Mountain View, CA)によって分析される。細胞は、CD8について分析及び細胞内IFNガンマ染色される前に、CD8high及びCD62lowにゲートオンされる。
《結果》
この実施例で実施した実験の結果について説明する。
〈マウス内での組み換えL.モノサイトゲネスの継代培養は、その菌力を増大させる〉
組み換えリステリア菌ワクチンベクターの継代培養の影響を判断するために、3つの異なる作成物が使用された。それらの内、2つの作成物は、パッセンジャー抗原の遺伝子挿入を有している。第1の作成物は、HIV−Gag遺伝子(Lm−Gag)を有し、第2の作成物は、HPV E7遺伝子(Lm−E7)を有する。第3の作成物(Lm−LLO−E7)は、切断型LLOと、prfAをエンコードしている遺伝子とを融合させたパッセンジャー抗原(HPV E7)の融合遺伝子を持つプラスミドを有する。生きているホスト内では選択プレッシャーはプラスミドの保存が好ましいので(その細菌は無毒なので)、このプラスミドは、prfAネガティブ変異体を補完するために使用される。3つの作成物は全て、インビトロで多世代にわたって大規模に増殖する。本明細書中に開示されたデータによって明らかにされるように、細菌の菌力は、脾臓内の生存している細菌の数により測定される。細菌数は、最初の2代までは増加する。Lm−GagとLm−LLO−E7とにより、第2代までは、各継代で菌力が増大する(図1)。プラスミドを含んでいる作成物、Lm−LLO−E7は、菌力が最も劇的に増大する。Lm−LLO−E7作成物の場合は、細菌の最初の免疫量は10細菌まで増大する。そして、細菌を回収するために、膵臓は2日目に回収される。一方、Lm−Gagの最初投与量の10細菌は、3日目に回収される。最初の継代後、3日目に回収するのに、標準的投与で十分である。第1代から作成され、継代手順が繰り返された、パッセンジャー抗原を発現する細菌のクローニングであるLm−E7は、無傷のLm−E7の菌力は、継代培養していない細胞よりも約1.5ログ(対数)増大することを示す(図2)。そのため、本明細書中に開示されたデータデータは、最初の継代でも、ホスト環境の厳しさにもかかわらず、細菌の菌力は増殖を促進するのに十分なほど増大することを示す。
〈継代培養は、L.モノサイトゲネスのCD8T細胞を誘導する能力を増大させる〉
これまでのデータは、哺乳類でのリステリア菌ワクチンベクターの継代培養は、インビボで菌力及び増殖する能力を増大させることを明らかにしたが、ここでは、さらに、継代培養が抗原特異的CD8T細胞を誘導する能力について明らかにする。この目的のために、HIV−Gagペプチド(AMQMLKETI)(SEQ ID NO:1)とLLO91−99(GYKDGNEYI)(SEQ ID NO:2)を使用した、MHCクラスIに対して特異的な免疫優勢ペプチドで染色した細胞内サイトカインを使用した。10の用量のCFU継代培養細菌(em−Gag)を、マウスに注射した。その結果、HIV−Gagに対して特異的なCD8T細胞の誘導は好適であった。また、同量の非継代Lm−Gagは、HIV−Gagに対して特異的なCD8T細胞の誘導は、検出されなかった(検出レベルでは)。非継代細菌を大量に投与すると、相対的な菌力が増大するのか否かを調べるために、100倍高用量の非継代細菌を投与した。しかし、検出可能な誘導は見られなかった。一方、同用量の継代細菌を投与した場合は、HIV−gagに対して特異的なT細胞の数を50%増加させた。
未継代細菌によるCD8T細胞の誘導の欠如が、パッセンジャー抗原の性質と関係があるかどうかを分析するために、リステリオリシン(listeriolysin)に対して特異的なCD8T細胞の誘導について調べた。LLOは、同様のパターンの免疫反応を引き起こす。少量の継代細菌は、良好な反応を誘導する。一方、低用量の未継代細菌は、検出可能な誘導を引き起こさない(高用量の場合は緩やかな反応を引き起こす)。したがって、動物に接種された未継代細菌が、抗原特異的CD8T細胞の誘導に失敗したことは、パッセンジャー抗原にのみ限定されるものではなく、リステリア菌の内因性抗原であるLLOにまでも及ぶ。
ここに開示した全ての特許及び文献の内容は、この参照により本発明に含まれるものとする。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、他の実施形態や様々な均等な変形が可能であるということは容易に理解できるであろう。添付した特許請求の範囲には、そのような実施形態と均等な変形は全て含まれている。
組み換え型リステリア菌ワクチンベクター(Lm−Gag)の継代培養の効果(細菌数、菌力)を表すグラフである。4匹のマウスの脾臓ホモジネート内にある生菌のコロニー形成単位(colony forming unit:CFU)の平均値(1mlあたりの)を示す。 組み換え型リステリア菌ワクチンベクター(Lm−LLO−E7)の継代培養の効果(細菌数、菌力)を表すグラフである。4匹のマウスの脾臓ホモジネート内にある生菌のコロニー形成単位(colony forming unit:CFU)の平均値(1mlあたりの)を示す。 脾臓内での組み換え型リステリア菌ワクチンベクター(Lm−E7)の継代培養の効果(細菌数、菌力)を表すグラフである。4匹のマウスの脾臓ホモジネート内にある生菌のコロニー形成単位(colony forming unit:CFU)の平均値(1mlあたりの)を示す。 継代培養及び未継代のLm−Gagを投与した後の、HIV gag及びLLOに対して抗原特異的なCD8T細胞の誘導を表すグラフである。3A・3B・3E・3Fと、3C・3D・3G・3Hは、それぞれ、継代されたリステリア菌ワクチンベクター10CFU又は10CFUが接種されたマウス由来の抗原特異的T細胞を示す。3B・3D・3F・3Hは、未継代のリステリア菌ワクチンベクターが接種されたマウス由来の抗原特異的T細胞を示す。3A〜3Dは、MHCクラスIのHIV−Gagペプチドに対する免疫反応を示す。3E〜3Hは、LLOペプチドに対する免疫反応を示す。3Iは、ヒト乳頭腫ウイルス(human papilloma virus:HPV)由来の対照ペプチドで刺激された、継代されたLm−Gag10CFUが接種されたマウス由来の脾細胞を示す。

Claims (30)

  1. 細菌ワクチンベクターの免疫原性を強化するための方法であって、
    (a)動物に細菌ワクチンベクターを投与するステップと、
    (b)前記動物内で前記細菌ワクチンベクターを継代培養するステップと、
    (c)前記動物から前記細菌ワクチンベクターを収穫するステップと、
    (d)器官内の細菌数が最大になるまで前記ステップ(a)〜(c)を繰り返すステップとを含むことを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記器官は脾臓又は肝臓であることを特徴とする方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、
    前記細菌ワクチンベクターは抗原を発現することを特徴とする方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、
    前記抗原は異種抗原であることを特徴とする方法。
  5. 請求項3に記載の方法であって、
    前記抗原は腫瘍抗原であることを特徴とする方法。
  6. 請求項1に記載の方法であって、
    前記細菌ワクチンベクターはリステリア菌ワクチンベクターであることを特徴とする方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、
    前記動物は哺乳類であることを特徴とする方法。
  8. 請求項7に記載の方法であって、
    前記哺乳類はマウスであることを特徴とする方法。
  9. 請求項1に記載の方法であって、
    前記細菌ワクチンベクターは、前記動物に経口投与又は非経口投与されることを特徴とする方法。
  10. 免疫原性が強められた細菌ワクチンベクターであって、
    前記免疫原性は、
    (a)動物に細菌ワクチンベクターを投与し、
    (b)前記動物内で前記細菌ワクチンベクターを継代培養し、
    (c)前記動物から前記細菌ワクチンベクターを収穫し、
    (d)器官内の細菌数が最大になるまで前記(a)〜(c)を繰り返すことにより強化されることを特徴とする細菌ワクチンベクター。
  11. 請求項10に記載の細菌ワクチンベクターであって、
    前記器官は脾臓又は肝臓であることを特徴とする細菌ワクチンベクター。
  12. 請求項10に記載の細菌ワクチンベクターであって、
    抗原を発現することを特徴とする細菌ワクチンベクター。
  13. 請求項12に記載の細菌ワクチンベクターであって、
    前記抗原は異種抗原であることを特徴とする細菌ワクチンベクター。
  14. 請求項12に記載の細菌ワクチンベクターであって、
    前記抗原は腫瘍抗原であることを特徴とする細菌ワクチンベクター。
  15. 請求項10に記載の細菌ワクチンベクターであって、
    リステリア菌ワクチンベクターであることを特徴とする細菌ワクチンベクター。
  16. 請求項10に記載の細菌ワクチンベクターであって、
    前記動物は哺乳類であることを特徴とする細菌ワクチンベクター。
  17. 請求項16に記載の細菌ワクチンベクターであって、
    前記哺乳類はマウスであることを特徴とする細菌ワクチンベクター。
  18. 請求項10に記載の細菌ワクチンベクターであって、
    前記動物に経口投与又は非経口投与されることを特徴とする方法。
  19. 請求項10に記載の細菌ワクチンベクターであって、
    薬剤的に許容される担体を有することを特徴とする細菌ワクチンベクター。
  20. 細菌ワクチンベクターから発現した抗原の免疫原性を強化するための方法であって、
    (a)動物に細菌ワクチンベクターを投与するステップと、
    (b)前記動物内で前記細菌ワクチンベクターを継代培養するステップと、
    (c)前記動物から前記細菌ワクチンベクターを収穫するステップと、
    (d)器官内の細菌数が最大になるまで前記ステップ(a)〜(c)を繰り返すステップとを含むことを特徴とする方法。
  21. 請求項20に記載の方法であって、
    前記器官は脾臓又は肝臓であることを特徴とする方法。
  22. 請求項20に記載の方法であって、
    前記抗原は異種抗原であることを特徴とする方法。
  23. 請求項20に記載の方法であって、
    前記抗原は腫瘍抗原であることを特徴とする方法。
  24. 請求項20に記載の方法であって、
    前記細菌ワクチンベクターはリステリア菌ワクチンベクターであることを特徴とする方法。
  25. 請求項20に記載の方法であって、
    前記動物は哺乳類であることを特徴とする方法。
  26. 請求項25に記載の方法であって、
    前記哺乳類はマウスであることを特徴とする方法。
  27. 請求項20に記載の方法であって、
    前記細菌ワクチンベクターは、前記動物に経口投与又は非経口投与されることを特徴とする方法。
  28. 免疫原性が強化された細菌ワクチンベクターを有するキットであって、
    アプリケータと、それを使用するための説明仕様書とを備えたキット。
  29. 請求項28に記載のキットであって、
    前記細菌ワクチンベクターは凍結乾燥されていることを特徴とするキット。
  30. 請求項28に記載のキットであって、
    薬剤的に許容される担体をさらに有することを特徴とするキット。
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