プログラマブル・アナログ・フローティング・ゲート回路は、1980年代初期から、長時間の適切な絶対的な電圧精度、例えば、長時間の100〜200mVの絶対的な電圧精度のみを必要とする場合に適用されてきた。かかる素子は、従来から、フローティング・ゲートの電荷の、長時間かつ非揮発性記憶をするために用いられている。フローティング・ゲートは、基板から電気的に絶縁されているが、基板あるいは他の導電層に容量結合された導電材料の島(island)である。一般的に、フローティング・ゲートは、いかなる電荷のリークも引き起こさずに、フローティング・ゲート上の電荷レベルを読み出すために用いられる、MOSトランジスタのゲートを形成する。
フローティング・ゲート上に電荷を導き、フローティング・ゲートから電荷を除去するものとして、当分野では、多様な手段が知られている。一旦、フローティング・ゲートが特定の電荷レベルでプログラムされると、原則的には永久にそのレベルに留まる。フローティング・ゲートは、フローティング・ゲートの放電に対するバリヤとして作用する絶縁体に囲まれているためである。電荷は、一般的には、ホット電子注入(hot electron injection)又は電子トンネリングを使用して、フローティング・ゲートに結合する。電荷は、一般的には、放射線(紫外線,X線)の曝露、アバランシェ注入又はファウラー−ノルトハイム電子トンネリングによって、フローティング・ゲートから除去される。低温導体(cold conductor)から放出される電子の使用は、最初に、R.H. Fowler及びDr. L. Nordheimによる、”Electron Emission in Intense Electric Fields”, Royal Soc. Proc., A, Vol. 119(1928)と題する論文に記載された。酸化物層中の電子トンネリングにおけるこの現象の使用は、M. Lanzlinger及びE. H. Snowによる”Fowler-Nordheim Tunneling into Thermally Grown SiO2”, Journal of Applied Physics, Vol. 40, No. 1 (January, 1969)と題する論文に記載されている。そして、両方の文献は引用により本願明細書に含まれるものとする。かかるアナログ・フローティング・ゲート回路は、例えば、電圧基準回路、Vcc感知回路及びパワーオン・リセット回路を含むデジタル不揮発性記憶素子及びアナログ不揮発性回路において使用されている。
図1Aは、基板及び2つの電子トンネリング領域上に形成された2つのポリシリコン層を使用して実現されたアナログ不揮発性フローティング・ゲート回路の一実施例を示する回路図である。図1Aは、基板71の上に形成された典型的な従来技術であるプログラマブル電圧基準回路70の断面図を示す。基準回路70は、第1のポリシリコン層から形成されたプログラム電極、第2のポリシリコン層から形成された消去電極、及びコーナーコンタクト(corner contact)76で相互に接続された第1のポリシリコン層及び第2のポリシリコン層からなる電気的に絶縁されたフローティング・ゲートとを備える。一般的に、第1及び第2のポリシリコン層は、誘電体によって完全に囲まれているフローティング・ゲートfgを備え、厚い酸化物誘電体によって互いに分離されている。また、フローティング・ゲートfgは、73で示されるNMOSトランジスタT0のゲートであり、P型である基板70の高濃度ドープしたn+領域であるドレインD及びソースSを備える。74で示される第1のポリシリコン・プログラム電極とフローティング・ゲートfg間の誘電体の部分は、プログラム・トンネル領域(又は「トンネル素子」)TPであり、75で示される第1のポリシリコン・フローティング・ゲートfgと第2のポリシリコン消去電極の間の誘電体の部分は消去トンネル領域TEである。両方のトンネル領域は、所定の容量を有する。これらのトンネル領域74,75は、一般的には、厚い酸化物誘電体に形成されるため、「厚い酸化物トンネリング素子」又は「改良された放出トンネリング素子」と記載される。かかる「厚い酸化物トンネリング素子」は、フローティング・ゲートが、多年にわたり、+/−4ボルトの範囲で正確なアナログ電圧を保持することを可能にする。数ボルトがトンネル素子全体に印加される場合であっても、トンネル領域74,75の厚い誘電体の大部分の電界は非常に低いままであるという事実によって、この比較的高いアナログ電圧の保持が可能になる。ファウラー−ノルトハイム・トンネリングを起こす程度に電界が高くなるときまで、この低い電界及び厚い酸化物によって、充電損失に対する高バリヤが提供される。最後に、基準回路70はフローティング・ゲートfgと、キャップ電極に接続した基板に形成された、異なるn+領域との間の容量である、ステアリング・キャパシタCCを含む。
図1Bは、3つのポリシリコン層を使用して実現されたフローティング・ゲート回路70の第2の実施例を示す回路図である。3つのポリシリコンフローティング・ゲート回路70'は、例えば、消去電極が第3のポリシリコン層から形成されていることを除いて、2つのポリシリコン層の実施例と同様である。更に、フローティング・ゲートfgは完全に第2のポリシリコン層から形成される。従って、本実施例においては、図1Aに示される2つのポリシリコン層セルで必要とされたコーナーコンタクトを、フローティング・ゲートfgの第1のポリシリコン層部分と第2のポリシリコン層部分の間に形成する必要がない。
図2において、20で示されるのは、図1Aの電圧基準回路70及び図1Bの回路70'の等価回路図である。説明を簡単にするため、図2の各々の回路要素は図1A及び図1Bの対応する要素と同じ参照記号を付した。
基準回路70を特定の電圧レベルに設定することは、2つの異なる動作により達成される。図1Aを再度参照すると、フローティング・ゲートfgは、最初にオフ状態にプログラムされ、あるいはリセットされている。フローティング・ゲートfgは、正味(net)の負の電圧にプログラムすることによってリセットされ、それによりトランジスタT0をオフ状態にする。このプログラミングは、プログラム電極をLow状態に維持し、キャップ電極を介して比較的大きなステアリング・キャパシタCCのn+底面を15V〜20Vへ上昇させることによりなされる。ステアリング・キャパシタCCはフローティング・ゲートfgをHighに結合し、それにより、74で示される厚い酸化物を介する第1のポリシリコン層のプログラム電極からフローティング・ゲートfgまで電子のトンネリングを起こす。この結果、フローティング・ゲートfgの正味の負の電荷となる。ステアリング・キャパシタの底面がグランド(Ground)に戻った場合、フローティング・ゲートfgを負に、即ちグランド以下に結合し、NMOSトランジスタT0をオフ状態にする。
基準回路70を特定の電圧レベルに設定するために、ステアリング・キャパシタCCのn+底面、及びキャップ電極は、グランドに維持され、一方、消去電極は高電圧、即ち12V〜20Vまで上昇させられる。トンネル素子TEの電圧が一定の電圧、一般的には約11Vに達したとき、75で示される厚い酸化物を介するフローティング・ゲートfgから第2のポリシリコン層の消去電極までの電子のトンネリングが始まる。フローティング・ゲートfgからの電子のトンネリングは、フローティング・ゲートfgの電圧を増大させる。その後、フローティング・ゲートfgの電圧は、第2のポリシリコン層の消去電極に結合した電圧上昇に「追従」するが、それは消去電極の電圧以下で、約11Vでオフセットされた電圧レベルである。フローティング・ゲートfgの電圧が所望の設定レベルに達したときに、第2のポリシリコン層の消去電極の電圧上昇は停止され、その後グランドまで下降させられる。これにより、フローティング・ゲートfg上の電圧はほぼ所望の電圧レベルに設定される。
上記のように、基準回路70は、約200mVの精度で十分な電圧基準アプリケーションの必要条件を満たす。 回路70の精度は、2つの理由で制限される。第一に、フローティング・ゲートfg上の電位は、第2のポリシリコン層の消去電極が高電圧から0Vまで下降させられたとき、フローティング・ゲートfgを下降するように結合する消去トンネル素子TEの容量のせいで、設定後、約100mV〜200mV下降する。この変化の量は、第2のポリシリコン層の消去電極の電圧の変化の大きさと同様に、(大部分はステアリング・キャパシタCCによる)フローティング・ゲートfgの容量の残量に対する消去トンネル素子TEの容量の比率に依存する。この電圧「オフセット」は明確で予測可能であるが、消去トンネル素子TEの容量がゼロになることはありえないため、従来技術の電圧基準回路では常に発生する。 第2に、フローティング・ゲートfgの電位は、設定後、トンネル素子の電子放出(デトラッピング)及び全てのフローティング・ゲートfgキャパシタの誘電緩和を含むさまざまな要因のせいで、時間の経過によって更に100mV〜200mV変化するため、回路70の精度は更に制限される。
フローティング・ゲートを使用するアナログ電圧基準記憶素子が、米国特許第5,166,562号に記載されており、フローティング・ゲートに電子を注入するためのホット電子注入及びフローティング・ゲートから電子を除去するための電子トンネリングの使用が教示されている。消去ステップでフローティング・ゲートを初期電圧に設定した後、フローティング・ゲートは、ホット電子注入された電子の電流を制御することによってプログラムされる。また、米国特許第4,953,928号を参照されたい。このフローティング・ゲート上の電荷をプログラムする方法は、従来のフローティング・ゲートを含むアナログ電圧基準回路より正確であるにもかかわらず、精度のレベルは未だ50mV〜200mVの程度である。
従来のフローティング・ゲート記憶素子は、時として、ファウラー−ノルトハイム・トンネル素子のデュアル導電(即ち、フローティング・ゲート上の電荷の結合を提供するために、フローティング・ゲート素子におけるプログラム及び消去トンネル要素が同時に行われる)を使用した。しかし、この方法は、メモリ記憶装置を提供するために、フローティング・ゲートを「1」状態あるいは「0」状態のいずれかにプログラムするためのデジタル回路において使用されるだけであった。かかるアプリケーションにおいて、フローティング・ゲート上の正確な電荷は重要ではないため、この種の回路においては正確に制御されない。従来技術によれば、フローティング・ゲートのかかるデュアル導電デジタル・プログラミングは、フローティング・ゲート上の電荷のレベルを制御するために単一のトンネル要素を介して電子導電を発生させることよりも、効率的ではなく望ましくない方法であると判断される。フローティング・ゲートのデュアル導電デジタル・プログラミングの周知の欠点は、必要なトンネル電流がより大きくなるため、デュアル導電の提供に必要な全体電圧がより大きくなり、トンネル酸化物のトラップ・アップがより速くなるという事実を含む。
フローティング・ゲートに電子を加え、また、電子を取り除くために電子のデュアル導電を使用する、従来技術のアナログ不揮発性フローティング・ゲート回路の例が、米国特許第5,059,920号に開示されており、フローティング・ゲートはCMOS増幅器に適合可能なオフセット電圧入力を提供する。しかし、この素子では1つのファウラ−ノルトハイム・トンネル素子だけが使用されている。電子はホット電子注入を使用して、フローティング・ゲート上に注入される。その一方で、ファウラー−ノルトハイム電子トンネリングが、フローティング・ゲートから電子を除去して、正確にフローティング・ゲート上の電荷を制御するために用いられる。電荷移送がフローティング・ゲート上の電圧の制御機能であるため、フローティング・ゲート上に電子を注入するこの手段が使用される。従来技術のデュアル導電フローティング・ゲート回路の他の例が、米国特許第5,986,927号に開示されている。かかる従来技術の素子に関する重要な課題は、これらが集積回路における同相(common-mode)電圧及び電流オフセット、同相温度効果、及び機械的及び熱応力効果を補償しないという点である。
高い絶対電圧精度を必要とするアプリケーションは、一般に、バンドギャップ電圧基準を使用する。バンドギャップ電圧基準は、一般的には、時間及び温度に対して約25mVの絶対精度を提供するが、試験においてレーザトリミング又はE2デジタル・トリミングによってより高い精度を提供するように構成することができる。バンドギャップ電圧基準は、上記の従来技術の電圧基準回路より高い精度及び高い安定性を提供する一方で、バンドギャップ電圧基準は約1.2Vの固定電圧を提供するのみである。従って、固定利得を有する増幅器等の付加回路が、他の基準電圧レベルを提供するために必要である。更に、従来技術のバンドギャップ電圧基準は、一般的には比較的大きな、即ち10μA以上の電流を引き込む。
必要なのは、付加増幅を必要とすることなく急速かつ正確にいかなるアナログ電圧にも設定することができ、従来技術の電圧基準と比較して、時間と温度の変化に対して改良された安定性及び精度を提供し、続いて読出しモードの間に入力アナログ電圧と正確に同一の値である電圧基準を生成するために使用されるアナログ・プログラマブル電圧基準回路である。また、従来技術の電圧基準よりかなり少ない電流を引き込む電圧基準回路において、改良された安定性及び精度が得られることが望ましい。かかる電圧基準回路において、安定し高精度の基準電圧が出力で生成されるように、読出しモードの間回路を定常状態条件に安定化させることができるアナログ・フィードバックが必要である。本発明はかかるフィードバック回路を提供する。
図3及び図4Aのフローティング・ゲート回路及びこれらの回路においてどのようにフローティング・ゲートがプログラムされるかについての理解が、本発明の理解においては有益である。従って、最初に図3及び図4Aの回路について説明する。図3は、高電圧設定モード又は設定サイクル中、フローティング・ゲートをアナログ電圧に正確に設定するための本発明の差動シングル・フローティング・ゲート回路30の回路図である。図4Aは、本発明の他の実施例による差動デュアル・フローティング・ゲート回路40の回路図である。回路40は、高電圧設定モード中、フローティング・ゲートをアナログ電圧に正確に設定するためにも用いられる。一旦アナログ電圧レベルが設定されると、回路30及び回路40の両方は、読出しモードの間、内蔵の電圧基準又は正確な電圧基準回路を備えた正確な電圧比較回路として構成することができる。回路30及び回路40は、工業規格CMOS処理技術を用いて製造される集積回路として実施されることが好ましい。設定モードの間に使用されるシーケンスは両方の回路で類似しているため、回路30及び回路30を使用したフローティング・ゲートをプログラムする方法を、最初に記載する。
回路30は、設定モードの終了時に、ノード1に結合した入力端子300で受ける入力設定電圧Vset0の関数であり、好ましくはそれに等しい電圧に設定されるノード2のフローティング・ゲートfg0からなる。この設定モードは、フローティング・ゲートfg0を所望の電圧に設定するように、工場で設定してもよい。あるいは、ユーザが、後の段階又は現場における設定モード操作中にユーザによって入力された電圧Vset0に応じて、フローティング・ゲートfg0の電圧を更新することを望む場合には、回路30の後の段階のユーザは、回路30を設定モードに入らせることができる。回路30は、更に、ノード3において、フローティング・ゲートfg0とプログラム電極Ep0の間に形成されたプログラム・トンネル素子Tp0、ノード4において、フローティング・ゲートfg0と消去電極Ee0の間に形成された消去トンネル素子Te0、及び、フローティング・ゲートfg0とノード5の間に結合されるステアリング・キャパシタC1を含む回路310からなる。
プログラム電極Ep0は設定モードの間、負の電圧を受け、消去電極Ee0は設定モードの間、正の電圧を受けることが好ましい。更に、Tp0及びTe0は、レイアウトに良好に調和したファウラー−ノルトハイム・トンネル素子である。ステアリング・キャパシタC1の底面は、設定モードの間、所定の電圧に結合され、好ましくはグランドg1に結合される。ステアリング・キャパシタC1は、フローティング・ゲートfg0に安定した接地基準を提供するために用いられる。
設定モードでfg0を特定の電荷レベル(ノード2での特定の電圧に対応する)に設定することは、「ノード4の電圧−ノード3」の電圧が2つのトンネル電圧又は約22Vとなるように、Ep0を負にしEe0を正にすることによって達成される。もしくは、約5nAの電流がノード4からノード3まで流れるようにEp0を負にしEe0を正にすることである。いずれの場合も、両方のトンネル素子は導通している、即ち、トンネル素子は「デュアル導電」の状態である。デュアル導電で動作することにより、回路30を非常に精密かつ正確なレベルに設定するのに必要な時間、フローティング・ゲートfg0上の電圧を直流電圧レベルで安定させることができる。2つのファウラー−ノルトハイム・トンネリング素子をデュアル導電状態で動作させることは、オンチップ回路又は試験装置オフチップのいずれかを使用して、フローティング・ゲートfg0の電圧を非常に正確に設定できるようにするために重要な点である。
デュアル導電において、チップ・レイアウトの結果として良好に調和しているトンネル素子Te0及びTp0は、ノード4と3の間の電圧を半分に分けるために、フローティング・ゲートfg0に対して及びフローティング・ゲートfg0から電子をトンネルさせることによって、フローティング・ゲートfg0の電荷レベルを修正する。このようにして、フローティング・ゲート電圧、即ち、ノード2の電圧は、Vfg0 = Vnode3 +(Vnode3−Vnode3)/2となり、ノード3の電圧及びノード4の電圧の間の半分となる。これらの条件下で、デュアル導電電流は、一般的には、典型的には、1ミリ秒未満で5pF未満の容量を有するノード2を充電するか、あるいは放電することができる。この時、フローティング・ゲート電圧は、ノード3及び4の電圧に直接「追従(tracks)」し、2〜3ミリ秒で、それら2つの電圧の半分の直流電圧に安定する。従って、Vfg0は、電極Ee0及びEp0の電圧に依存し、正の電圧又は負の電圧、あるいは0ボルトに設定することができる。例えば、消去及びプログラム・トンネル素子Te0及びTp0のためのトンネル電圧が約11Vであり、電極Ee0の電圧が約+16Vに設定され、電極Ep0の電圧が約−6Vに設定されている場合、Vfg0は2つの電圧の中間である約5Vとなる。電極Ee0の電圧が約+11Vに設定され、電極Ep0の電圧が約−11Vに設定されている場合、Vfg0は約0Vとなる。電極Ee0の電圧が約+6Vに設定され、電極Ep0の電圧が約−16Vに設定されている場合、Vfg0は約−5Vとなる。
好適な実施例では、設定モードの間、ノード3で特定の電圧が生じない点に注意されたい。フローティング・ゲートfg0上の電荷レベルを制御するために用いる電圧は、ノード4の電圧である。好ましくは充電ポンプとして実施される電源Ip0は、トンネル素子Te0及びTp0におけるデュアル導電トンネリングを起こすために必要な電圧差を発生させるのに十分な負の電圧を生成するための電圧の整合性(compliance)を提供する。
回路30は、フローティング・ゲートfg0の電圧Vfg0をノード1の電圧と比較し、Vset0とノード1の電圧の間の差の関数である、出力電圧Voutをノード6で生成する回路320を更に含む。回路320は、好ましくは、差動増幅器(又は差動段)322を含み、好ましくは、フローティング・ゲートfg0に結合された反転入力、ノード1に結合された非反転入力、及びノード7の出力を有するように構成される。回路320は、好ましくは、ノード7に結合された入力、及びノード6で出力端子326を備えた、利得段324を更に含む。差動段は、その入力で受ける電圧を比較して、その差を一般的には50〜100の係数で増幅する。その後、利得段は更に、50〜100の他の係数によってその差を増幅する。更に、設定モードの終了時に、回路320がVfg0=Vset0となる定常状態条件に安定することが理想的である。
再び、図3を参照して、差動段322は、好ましくはエンハンスメントモード・トランジスタT1、T2、T3及びT4を含む。トランジスタT1及びT2は、好ましくはレイアウトによって良好に調和したNMOSトランジスタであり、トランジスタT3及びT4は、好ましくはレイアウトによって良好に調和したPMOSトランジスタである。NMOSトランジスタT1及びT2のソースは、ノード8で互いに結合される。NMOSトランジスタT1のドレインはノード9に結合され、そのゲートはフローティング・ゲートfg0である。NMOSトランジスタT2のドレインはノード7に結合され、そのゲートはノード1に結合される。PMOSトランジスタT3は、ノード9に結合された共通ドレイン、共通ゲートであり、そのソースはノード10に結合される。PMOSトランジスタT4のゲートは、ノード9に結合される。そのドレインはノード7に結合され、そのソースはノード10に結合される。一般的には3〜5ボルトの電圧電源Vccはノード10に結合され、電流電源It0は、設定モードの間トランジスタT1、T2、T3及びT4が閾値前領域(Prethreshold)あるいはリニア領域で動作するように、ノード8及びグランドg1の間で結合される。電流電源It0は、いかなる数の従来の回路を使用して実施してもよい。
差動段322により提供される1つの利点は、温度及び応力の影響が、トランジスタT1〜T4において同じ結果となることである。これは、これらのトランジスタの温度係数Tcがほぼ同じためである。すなわち、本発明のフローティング・ゲート回路が実施される、集積回路チップの温度のいかなる変化も、トランジスタT1〜T4に同じ影響を及ぼし、その結果、差動段322は本質的に温度から独立した平衡状態にある。同様に、機械的及び熱応力効果も同相であり、それらの影響もまた非常に減少する。
利得段324は、好ましくはVccによってバイアスされるPMOSプルアップ・トランジスタT5を含み、電流電源プルダウン負荷Ig0を含む。トランジスタT5のソースは、ノード10に結合される。そのゲートはノード7で差動段PMOSプルアップ・トランジスタT4に結合され、そのドレインはノード6に結合される。電流電源プルダウン負荷Ig0は、ノード6とグランドg1の間に結合される。利得段324は、また、好ましくはノード6とノード7の間に結合される補償キャパシタC2を含む。電流電源プルダウン・ロードIg0は、好ましくはNMOS電流ミラー又は空乏(ディプリーション)素子を使用している能動的負荷である。利得段324は、比較的高い出力抵抗を有する能動的な電流電源を使用して、約100の電圧利得を提供することができる。利得段324の出力振幅は、グランドからVccの間のほぼ全範囲である。この回路の安定性及び反応は、補償キャパシタC2を使用して、さまざまな工程で容易に調整することができる。この構成において、トランジスタT5は良好な電流電源の容量を提供するが、電流吸収(sinking)は電流電源プルダウンIg0の電流に限られている。従って、ノード6へと流れる電流の全てを吸収することにより、ノード6で、利得段324が適切にVoutを制御できるように、Ig0の電流は、Voutの負荷に必要とされるプルアップ電流より大きくなければならない。
回路320は、設定モードの間、以下の方法で更に動作する。Vcc及び電流電源It0によってバイアスされるとき、T1は、トランジスタT2によって感知された入力設定電圧Vset0(300)に対するVfg0を感知し、増幅された差は、ノード6にVoutとしてあらわれる。Vfg0が初期状態でVset0未満の場合、T2はT1よりも多くオン状態にされ、T2を流れる(直列に接続されているため、更にT4に流れる)電流は初期状態ではT1(及び対応するT3)を流れる電流より大きい。プルアップ・トランジスタT3のゲートはT3のドレインに、更に、プルアップ・トランジスタT4のゲートに結合され、それによりT4の電流はT3の電流のミラーとなる。T3より多くの電流がT4の中を流れるときには、ノード7の電圧V7はノード9の電圧V9より低下する。ノード7の低下した電圧によって、T5の電流が増加し、Voutを高く引き上げる。差動段322の電圧利得は一般的には約80であり、出力段324の電圧利得は約100であり、Vset0からVoutの全体的な利得は約8000となる。Voutから反転入力fg0への負のフィードバック経路又はループは、差動回路320にとって、fg0の電圧がVset0に等しくなる点で安定するために必要である。設定モードの間、このフィードバック経路は、次節で説明するように、トンネル素子TF0、Te0及びトランジスタT6及びT7によって提供される。Voutが高くなるとき、負のフィードバック経路はVfg0を高く引き上げる。Vfg0が上昇するにつれて、T1の電流はT2の電流に一致するまで増加する。この点で、差動回路320はトランジスタT1、T2、T3及びT4の電流が一致し、Vfg0 = Vset0となる定常状態条件に安定する。
当業者は、回路320が、T1及びT2にPMOSトランジスタを、T3及びT4にNMOSトランジスタを使用して実施できることを理解するであろう。この実施のためには、利得段324は、電流電源プルアップ・ロードIg0に結合されたNMOSプルダウン・トランジスタT5からなる。
回路30は、また、ノード6とノード2の間に結合されるフィードバック・ループを含む。設定モードの間、このフィードバック・ループは、ノード6の出力電圧に応じて、ノード4の電圧を修正することにより、トンネル電極Ee0とEp0間の電圧差を修正する。フィードバック・ループは、好ましくはノード6とノード11の間で形成されるトンネル素子TF0であるレベルシフト回路、及び、トランジスタT7、好ましくはノード12で結合された共通ゲート、共通ドレイン、ノード11に結合されたソースからなるNMOSトランジスタからなることが好ましい。更にフィードバック・ループに含まれているのは、トランジスタT6、好ましくはNMOSトランジスタであり、そのゲートはノード12に結合され、ソースはノード4に結合され、それにより、消去トンネル素子Te0に結合され、ドレインはノード13に結合される。
上記に示したように、利得段の最大出力はほぼVccである。しかし、Vefbが、一般的に、通常の3〜5ボルトのVcc供給レベルよりはるかに上の約14〜19ボルトまで達する必要があるため、直接ノード12でVefbを駆動できるほど高いとはいえない。レベルシフト回路TF0及びT7は、所望の14〜19ボルトの範囲まで、ノード6の比較的低い出力電圧Voutをシフトする。TF0及びTe0はレイアウトにより良好に調和し、トランジスタT6及びT7はレイアウトによって良好に調和していることが好ましい。これらの条件下で、同じトンネル電流がTF0及びTe0を流れるときには、レベルシフトは、ノード4からノード2への電圧降下により測定される消去トンネル電圧に追従する。それにより、回路320が安定したとき、トランジスタT1のゲート(fg0)は、トランジスタT2のゲート電圧(Vset0)と同じ電圧にされる。これにより、更に、回路の設定精度が改良される。
レベルシフトに消去トンネル電圧を追従させる1つの効果は、設定サイクルの実行が多くなるほど誘電体中で電荷捕捉が起こるため、トンネリングを起こすために必要な電圧が変化し、出力電圧Voutが入力設定電圧Vset0に追従し、同じ電圧範囲において動作し続けることである。他の効果は、出力電圧Voutが入力設定電圧Vset0に完全に等しくない場合でも、回路320の有限利得によって導かれる誤差が非常に小さいということである。例えば、回路30が安定したとき、回路320が10,000の利得を有し、VoutがVset0とVfg0の和より1ボルト低い場合、Vfg0は1V/10,000又は0.1mVの誤差だけを有する。
回路30は、また、好ましくは電源I2及びIp0、及びキャパシタCp0を含む。電流電源I2は、設定モードの開始時にVefbを決定し、TF0を通るトンネル電流を提供するために、ノード12とノード13の高圧電源HV+の間に結合される。電流電源I2は、いかなる数の従来の方法を使用して実施してもよい。しかし、電流電源I2は、好ましくはHV+によってバイアスされる定電流素子、例えば、閾値前領域において動作するP−チャネル素子からなる電流ミラーである。このように、電流電源I2は、トンネル素子TF0を通るトンネル電流を決定するためにノード12で必要とされる正の電圧に、自動的に達する。電流電源I2は、好ましくはIp0とほぼ同じ電流を生成する。これは、トンネル素子TF0を通る電流がトンネル素子Te0及びTp0を通る電流とほぼ同じことを意味する。
電流電源Ip0は、ノード3とグランドg1の間に結合される。電流電源Ip0は、好ましくは、プログラム・トンネル素子Tp0から制御トンネル電流を汲み出すために負の電流電源として使用されるp−チャネル充電ポンプである。上記したように、Ip0は電流電源であるため、トンネル電流を所望のレベルに決定するためにノード3で必要とされる負の電圧に、自動的に達するように機能する。電流電源Ip0は、この負の電圧を提供するために充分な電圧の整合性を有する。更に、一旦トンネル素子を通る電流が決定されたときには、トンネル素子全体の電圧はファウラー−ノルトハイム特性によって明確になる。従って、電流電源Ip0は、トンネル素子Tp0を通る電流を制御することにより、ノード3の電圧Vpを生じる。電流電源Ip0を使用することは、デュアル導電を可能にしフィードバック回路が動作することができる程度に十分高く、トンネル素子に損害を与える過剰電流を避けることができる程度に十分低い電流レベルで、素子Te0及びTp0が動作することを保証する好適な方法である。後で詳細に述べるように、設定モードの終了時に電流電源Ip0がシャットダウンしたとき、キャパシタCp0はトンネル素子を通る電流の放電を制御する。
当業者は、Vefbより約24〜30ボルト低い定電圧電源を使用して、Vpを生成できることを理解するであろう。しかし、ファウラー−ノルトハイム・トンネル素子の電流は印加された電圧によって指数的に変化するので、このトポロジーは注意して用いなければならない。特に、電圧差が高すぎる場合、非常に高い電流がトンネル素子の中を流れ、電圧差が低すぎる場合、極めて低い電流が流れることがある。高すぎる電流は、誘電体における急速な電荷捕捉により、トンネル素子に損害を与え、あるいは「傷ませ」る。また、トンネル電流が低すぎる場合、フィードバック回路がfg0にあるいはfg0から電荷をトンネルさせることができず、fg0の電圧を制御することができない。更に、Vpがfg0の電圧を制御するように、Vefbを電流電源に接続し、Vpをフィードバック回路に接続することができる。しかし、これはフィードバック回路が制御された負の電圧を生成することを必要とし、標準のCMOSプロセスで集積化することは、より困難である。
図5は、設定モードの間、例えば、図3の回路30によって実行することができる、フローティング・ゲートを設定する方法50を示すフローチャートである。図6〜8は、これらの図と関連して後述する方法50の特定の実施のための、Vout,Vp,Vefb,Vfg0及びVset0の電圧波形を示す。図6〜8に示された4つの波形はそれぞれ同じであり、これらの波形のいくつかの電圧軸のみが特定の詳細を示すために修正される。図6〜8において示される回路の実施において、Vset0=4.00V、Vcc=+5V、HV+は約22Vであり、Ip0は約6nAであり、I2は約6nAであり、It0は約5nAであり、Ig0は約20nAである。
ステップ51で、図6〜8で時間t0として示す設定モードの開始時に、回路30が起動され、その後のある時点で、入力設定電圧Vset0を受ける。図6〜8は、更に、Vset0が4.00Vの定電圧に保たれていることを示す。更に、Vccは+5Vに設定され、HV+は約+22Vの正の高電圧に上昇させられ、I2をオン状態にする。そして、電流電源Ip0は、この電流電源が対応する電流の生成を開始できるように、オン状態にされる。その後、方法50の残りのステップ52〜56の好適な実施によれば、図6〜8にて図示したように、回路30は、Vfg0を約30ミリ秒でVset0から約0.5mVの範囲内に設定することができる。
ステップ52で、回路30は、フローティング・ゲートfg0の電荷レベルを修正するため、消去電極Ee0とプログラム電極Ep0間の電圧差の制御下で、トンネル素子Te0及びTp0をそれぞれデュアル導電モードで動作させる。デュアル導電は、トンネル電流がTe0及びTp0を流れるときに発生する。上記したように、消去電極とプログラム電極間の電圧差が少なくとも2つのトンネル電圧又は約22Vであるときに、トンネル電流はTe0及びTp0を流れる。
回路30は、以下の方法でデュアル導電を起こすことが好ましい。電流電源I2は、比較的急速にノード12のVefbを約+18Vまで引き上げる。Vefb(ノード12)はトランジスタT6をオン状態にし、それにより、Vefbより下の1VtにVe0(ノード4)を引き下げる。充電ポンプIp0は、徐々に、
キャパシタCp0を充電し、Vp(ノード3)を約2ミリ秒で約−11Vの負の電圧に下降させる。一旦、Ve0とVp間の差が少なくとも2つのトンネル電圧である位置までVpが下降すると、Ipの制御下で、トンネル電流はトンネル素子Te0及びTp0の両方を流れ、Vfg0はVefbによって直接制御される。I2は、VefbがVout+1TV+1Vtに達するまで、Vefbを引き上げ続ける。ここで、1TVはトンネル素子TF0全体のトンネル電圧であり、1VtはトランジスタT7の閾値電圧である。少なくとも一つのトンネル電圧がTF0全体に存在するときに、トンネル電流がTF0を流れ、VefbがVoutによって直接制御されるように、TF0及びT7がレベルシフト素子として作用する。ステップ53で、回路30はVfg0をVset0と比較して、Vfg0とVset0間の差の関数である出力電圧Voutを生成する。その後、ステップ55で、回路30は、Vefbを修正することによって、VefbとVp間の電圧差をVoutの関数に従って修正し、ステップ54で、回路30が定常状態に安定するまで、回路30はステップ52〜55を繰り返す。ここで、Vfg0はVset0にほぼ等しい。この点で、ステップ56で、回路30は電源が停止される。方法50の結果、fg0は時間が経過しても本質的に同じ電荷レベルに設定される。
図6〜8の電圧波形は、回路30がステップ52〜55において、どのように機能するかを示すものである。デュアル導電は、図6〜8で時間t1として示される約0.5ミリ秒後に生じる。時間t1の前は、Vout=0Vであり、VefbがI2によって引き上げられ、Vfg0はVefbによって制御されない。しかし、一旦、時間t1で、トンネル電流がTe0、Tp0及びTF0を流れると、差動段は、Vfg0がVset0に等しくないことを感知し、Voutは、Vfg0とVset0間の差の関数となり、VefbはVoutに追従し、Vfg0はVefbに追従する。図6〜8に時間t1〜t2として示される、次の2.5ミリ秒の間に、Vefbが負のフィードバック・ループに応じて上下に動くため、Vfg0はVset0の上下に振幅する。
この時間t1の振幅周期の最初では、Vfg0がVset0より下であることが、図6から理解できる。従って、トランジスタT1はオフ状態にあり、トランジスタT2はオン状態にあり、それによりノード7を引き下げる。これにより、トランジスタT5をオン状態にし、図6に示されるように、Voutを0ボルトから急速に引き上げる。トンネル電流がTF0を流れるため、Vefbが1TV及び1VtをVoutより上に引き上げるように、TF0及びT7がレベル・シフタとして作用する。その後、Vefbはトンネル素子Te0を介してVfg0を引き上げる。Vpが所定の負の電圧まで下降し続けるため、約1ミリ秒後、Vfg0はVset0より大きくなるよう引き上げられる。その時、差動段322はVfg0がVset0より大きいことを感知し、利得段324はその差を増幅し、Voutを急速に引き下げる。それにより、Vefbが引き下げられ、Vfg0も再び引き下げられる。Vfg0がVset0にほぼ等しいときに、回路320は、時間t2で始まる図7及び8に最もよく示されているように、充電ポンプIpから回路320に結合する若干のノイズを除いて、振幅するのを停止する。
時間t1から始まって、利得段324の電流電源Ig0は、電流電源I2によって生成される電流よりも非常に大きい電流を生成する。従って、利得段324はT7及びTF0からVoutに流れるI2からの全ての電流を吸収することにより、Voutを制御することができる。更に、利得段324の補償キャパシタC2は、フィードバック・ループが安定し、約1ミリ秒未満で安定することを保証するのに十分な程度に大きくされる。T7全体のVtによって生じるVefbのレベルシフトは、T6の電圧降下にほぼ一致する。TF0全体のトンネル電圧によって生じるVefbのレベルシフトは、トンネル素子Te0全体の電圧降下にほぼ一致する。その結果、差動段及び利得段が安定するとき、Vfg0及びVoutはほぼ同じである。これは、時間t2に始まり、VoutがVfg0から約30mVの範囲内で安定する、図8に見ることができる。この30mVの差は、Ip0電流電源からfg0に結合するノイズにより生じる。具体的には、プログラム・トンネル素子Tp0から電荷を汲み上げる、負の充電ポンプIpは、Vpにノイズを生じる。このノイズは、プログラム・トンネル素子容量Cp0を介してフローティング・ゲートfg0に結合する。Vpのノイズは、電圧軸がボルトで示され、Vfg0の電圧軸とVset0の波形の関係はミリボルトで示されているため、図8のVp波形では見ることができない。
再び、図5を参照して、一旦、回路30が、Vfg0がほぼVset0になるように、ステップ54で安定すると、回路30はステップ56で電源が停止される。回路30の電源停止により、図7及び8のt3で始まるように、Vefb及びVpをグランドまで下降させる。ステップ56は、時間t3で、充電ポンプIp0及びHV+、それにより電流電源I2を、単に並行して遮断することによって実行することができる、しかし、一旦Vefb及びVpが0Vへ再び下降すると、Vfg0に非常に影響を与える可能性がある。上記で説明したように、Vpを生成する負の充電ポンプがオン状態にある場合には、Ip0からのノイズのためVfg0をVset0に等しく設定する際の精度が制限される。これは、Vefb及びVpをグランドに下降させ始めるときに、Vfg0がVset0に等しくない可能性があることを意味する。下降が始まったとき、Vfg0がVset0に等しくない場合、Vp及びVefbが0Vに達した後もVfg0はVset0に等しくならない。更に、下降の間、トンネル素子Te0及びTp0を流れ続ける電流は一般的には同じではない。これは、更に、フローティング・ゲートfg0の最終的な電荷レベルに影響を及ぼす。
この制限を克服して、Vefb及びVpをグランドに下降させる間、フローティング・ゲートfg0の同一の電荷レベルを維持するために、消去及びプログラム・トンネル素子の電流はこの間同一でなければならない。両方のトンネル素子において同一の電流を維持するために、各トンネル素子全体の電圧を同一にしなければならず、それはVpが0Vに上昇するのと同じ率でVefbが0Vに下降することを意味する。また、トンネル素子の特性は良好に調和しなければならない。
従って、ステップ56で、回路30は以下の好適な方法で電源が停止されなければならない。t2の初めに示されるように、一旦、回路320及びフィードバック回路が一定の時間安定し、Vfg0を設定するための更なる精度が充電ポンプのノイズによって主に制限されることが明らかであるとき、Ip0はポンプ・ノイズを除去するためにt3で遮断される。しかし、フィードバック回路が未だ動作中でVefbを制御し続けるように、HV+及びそれにより電流電源I2はそのままにされる。負の充電ポンプが遮断された時点で、Cp0が放電するため、トンネル電流はTe0及びTp0を流れ続け、それにより0VへVpを引き上げる。このトンネル電流及び容量Cp0は、Vpの傾斜速度を決定する。Vpが上昇するため、フローティング・ゲートfg0の電圧は、上方に容量結合される。 回路320は、Vfg0が上方へ移動していることを感知し、フィードバック回路を介してVefbを0Vに下降させる。Vefbが下降しVpが上昇するにつれて、トンネル素子Te0及びTp0のトンネル電流は、それらのファウラー−ノルトハイム・トンネル素子特性の急速な傾斜のために、急速に減少する。フィードバック応答時間は消去トンネル素子の電流に直接的に依存するため、Vefbが下降するに従ってフィードバック回路の応答も遅くなる。トンネル電流が減少するにつれて、傾斜速度及びフィードバック応答時間が遅くなり、Vfg0はVset0に徐々に近づく。例えば、図8は、Vfg0が30ミリ秒の設定モード時間の間に、Vset0から約0.5mVの範囲内に収束したこと、及びVfg0は30mV以上の下降時間を与えることによってより正確に設定することができることを示している。Vfgが所望の精度レベルで決定された時間量で、Vset0に収束できた後、例えばt4で、fg0の充電に影響を及ぼすことなく、HV+電源及びそれによりI2電源を遮断することができる。更に、Vccを遮断してもよい。換言すれば、一旦、Vfg0がVset0の所定の閾値の範囲内で感知された場合、定常状態条件が達成され、回路30への電力はVfg0の値に影響を及ぼさずに遮断することができる。
回路320及びフィードバック回路がVefbを下降させ続けるように、Vfgが常にVset0より僅かに上にあることを保証できる程度に、フィードバック回路の反応が遅いことが重要である。Vfg0がVset0より下になり、フィードバックがVefbの傾斜方向を切替える場合、フィードバックシステムは非常にゆっくり振幅し始め、Vfg0はVset0の方へ収束する代わりに、Vset0から離れる。Vefb及びVpが0Vの方へ2、3ボルト傾斜し、Vfg0がVset0に非常に近づいた後、図6の時間t4で示されるように、HV+を遮断することによって、Vefb及びVpを急速に0Vに傾斜させることができる。これは、Te0及びTp0の電流が非常に低いため、フローティング・ゲートfg0の電荷にもはや影響を及ぼさないからである。Vpが0Vまで上昇するにつれて、フローティング・ゲートfg0に対する差動段322、利得段324、TF0レベルシフト及びTe0素子を介したフィードバック経路がVefbを下降させ、Vfg0により近づくよう移動することができるように、Cp0は慎重に設定されなければならない。Cp0が小さすぎる場合、Vpは非常に急速に上昇し、フィードバック経路における遅延は、Vefbの緩慢な傾斜を引き起こし、Vfg0はVset0の方へ収束する代わりに、Vset0より上に上昇する。Cp0が大きすぎる場合、フィードバック経路の反応があまりに急速であり、Vefbが下降しすぎ、Vfg0が目標に達せず、それにより回路がゆっくり振幅することになる。回路320が振幅する場合、Vfg0はVset0の方へ収束する代わりに、離れていく傾向がある。従って、フィードバック応答時間がCp0の放電速度よりわずかに遅いように、Cp0は設計される。Cp0は約2.4pfに設定されることが好ましい。
時間t4で、設定モードの終了時に、フローティング・ゲートfg0は、例えば、時間の経過による電子の解放(デトラッピング)又は誘電緩和による充電損失の可能性があるため、他の外部電源から回路30に電力を供給することなく、設定モードの間フローティング・ゲートfg0にプログラムされた電荷レベルを無制限に蓄積し続ける。更に、上記で示された実施例ではVfg0がVset0に等しく設定されているが、当業者は、本発明の他の実施例で、Vfg0がVset0の他の所定値である電圧に設定されるように、回路30を構成してもよいことを理解するであろう。
図3の作動フローティング・ゲート回路30、及び、図5のフローチャートで示されるフローティング・ゲートfg0を設定する方法50の上記の理解に関連して、今度は、図4Aの差動デュアル・フローティング・ゲート回路40について説明する。回路40は、好ましくは、ノード15の基準フローティング・ゲートfgr、及びノード14の第2のフローティング・ゲートfglからなる。設定モードの終了時、フローティング・ゲートfgr及びfg1はそれぞれ、設定モードの間のfgrとfgl間の電荷レベルの差がfgrに容量結合された入力設定電圧の関数となるような電荷レベルにプログラムされる。その後、読出しモードの間、入力設定電圧の関数であり、好ましくは入力設定電圧に等しい出力基準電圧が生成されるように、回路40は電圧基準回路として構成してもよい。この設定モードは、fgrとfglをそれぞれ所望の電圧に設定するように、工場で設定し、それにより、回路40が後で読出しモードに入ったときにはいつでも、回路40に所望の出力基準電圧を生成させるようにしてもよい。あるいは、ユーザが望む場合はいつでも、回路40の後の段階のユーザは、回路40を設定モードに入らせることができ、それにより、次の読出しモードの間、Vset0電圧の関数に従ってfgrとfgl間の電荷レベルの差を更新し、回路40により生成される出力基準電圧を更新することができる。
回路40のフローティング・ゲートfgr及びfglのプログラムに用いられるシーケンスは、図3の回路30のフローティング・ゲートfgrの電荷レベルを設定するために用いられるシーケンスと類似している。上記のシングル・フローティング・ゲート回路30とデュアル・フローティング・ゲート回路40の大きな差の一つは、図3のトランジスタT2のゲートが、直接外部電圧に接続することができない図4Aのフローティング・ゲートfglと置換されるということである。fglの電圧を設定するために、電圧Vxがノード27で回路40のトランジスタT15のゲートに結合され、その結果、VfglがVx−1Vt−1TVに設定される。ここで、1VtはトランジスタT15の閾値電圧であって、1TVは消去トンネル素子Te1のトンネル電圧である。
実施例で、Vxは第2のフローティング・ゲート電圧基準回路、例えば、回路30によって生成される。図4Bは、この実施例を示している結合された模式図及びブロック図である。図4Bの回路30及び40は、それぞれ、図3及び図4Aにおいて示される回路と同一である。図4Bに示した実施例において、高電圧設定サイクルは、同時に、シングル・フローティング・ゲート差動回路30及びデュアル・フローティング・ゲート差動基準回路40において実行される。設定モードの間、回路30はノード12で電圧を生成し、フローティング・ゲートfg0が上記に記載されたように設定される。ここで、回路30のためのVset0は内部的又は外部的に出力された所定の電圧、例えば+4Vである。従って、フローティング・ゲートfglの電圧はフローティング・ゲートfg0の所定の関数である電圧に設定され、好ましくは、両方の差動回路、即ち、回路30及び40のトンネル素子が良好に調和していると仮定して、Vfg0にほぼ等しく設定される。後で詳しく述べるように、フローティング・ゲートfglに設定される電圧は、フローティング・ゲートfgrに設定される電圧を設定するのに使用され、VfgrはVfglの所定の関数であり、好ましくはVfglにほぼ等しくなる。
回路40は、更に、ノード16で、フローティング・ゲートfgrとプログラム電極Eprの間に形成されたプログラム・トンネル素子TPr、ノード17で、フローティング・ゲートfgrと消去電極Eerの間に形成された消去トンネル素子TEr、及び、フローティング・ゲートfgrとノード18の間に結合されるステアリング・キャパシタCfgrを含む回路410からなる。回路40は、また、ノード16で、フローティング・ゲートfg1とプログラム電極Ep1の間に形成されたプログラム・トンネル素子Tp1、及び、ノード28で、フローティング・ゲートfg1と消去電極Ee1の間に形成された消去トンネル素子Te1は回路420を含む。好ましくは、プログラム電極Epr及びEp1は設定モードの間、負の電圧を受け、消去電極Eer及びEe1は設定モードの間、正の電圧を受ける。更に、トンネル素子Tpr,Tpl,Ter及びTe1は、好ましくは、チップ・レイアウトの結果として、良好に調和しているファウラー−ノルトハイム・トンネル素子であり、これらのトンネル素子は理想的には回路30のトンネル素子TP0及びTe0によって良好に調和している。
また、フローティング・ゲートfg1とノード32の間で結合されるステアリング・キャパシタCfg1も、回路40に含まれる。設定モードの間、ステアリング・キャパシタCfg1の底面は、好ましくはグランドg1である所定の電圧に結合する。 ステアリング・キャパシタCfg1は、安定した接地基準をフローティング・ゲートfg1に提供するために使用される。回路40は、また、ノード26で高圧電源HV+に結合したドレイン、ノード28に結合したソース、及びノード27に結合したゲートを有するトランジスタT15を含む。
設定モードの間フローティング・ゲートfgrの電圧を設定することは、ノード17の電圧マイナスノード16の電圧が、2つのトンネル電圧又は、約22Vであるように、電極Eprを負にし、電極Eerを正にすることによって達成される。22Vのデュアル導電電流は、一般的にはおよそ1〜2ナノアンプである。あるいは、ノード16からノード17まで約5nAの電流の流れを生成するために、電極Eprと電極Eer全体で充分な電圧差を生じさせることである。いずれの場合も、両方のトンネル素子は導通している、即ち、トンネル素子は「デュアル導電」の状態である。デュアル導電で動作することにより、回路40が設定モードプロセスを、フローティング・ゲートfgrの電圧が非常に精密かつ正確なレベルに安定するという制御された形で終了させるのに必要な時間で、フローティング・ゲートfgr上の電圧を直流電圧レベルで安定させることができる。少なくとも1つのトンネリング素子を介したフィードバックを伴ってデュアル導電状態で動作させることは、フローティング・ゲートfgrの電圧を非常に正確に設定できるようにするために重要な点である。
デュアル導電において、チップ・レイアウトの結果として良好に調和しているトンネル素子Ter及びTprは、ノード17と16の間の電圧を半分に分けるために、フローティング・ゲートfgrに及びフローティング・ゲートfgrから電子をトンネルさせることによって、フローティング・ゲートfgrの電荷レベルを修正する。このようにして、フローティング・ゲート電圧、即ち、ノード15の電圧は、Vfgr = Vnode16 +(Vnode17−Vnode16)/2となり、ノード17の電圧及びノード16の電圧の間の半分となる。これらの条件下で、デュアル導電電流は、一般的には、ノード15を充電するか、あるいは放電することができ、典型的には、1ミリ秒未満で1.0pf未満の容量を有する。この時、フローティング・ゲート電圧は、ノード16及び17の電圧に直接「追従」し、2〜3ミリ秒で、それら2つの電圧の半分の直流電圧に安定する。従って、Vfgrは、電極Eer及びEprの電圧に依存して、正の電圧又は負の電圧、あるいは0ボルトに設定することができる。例えば、消去及びプログラム・トンネル素子Ter及びTprのためのトンネル電圧が約11Vであり、電極Eerの電圧が約+16Vに設定され、電極Eprの電圧が約−6Vに設定されている場合、Vfgrは2つの電圧の中間である約5Vとなる。電極Eerの電圧が約+11Vに設定され、電極Eprの電圧が約−11Vに設定されている場合、Vfgrは約0Vとなる。電極Eerの電圧が約+6Vに設定され、電極Eprの電圧が約−16Vに設定されている場合、Vfgrは約−5Vとなる。
上記で述べたように、設定モードの間、回路40はフローティング・ゲートfgr及びfglの両方をプログラムする。対応して、トンネル素子Tp1及びTelは、ノード28と16の間の電圧を半分に分けるために、フローティング・ゲートfg1に及びフローティング・ゲートfg1から電子をトンネルさせることによって、フローティング・ゲートfg1の電荷レベルを修正するために、デュアル導電において同様に動作する。更に、理想的には、回路30が設定モードの間、回路40のノード27で電圧Vxを生成するために使用される場合、回路30及び40の両方のトンネル電流が良好に調和し、トランジスタT13,T14,T15が良好に調和することにより、回路30及び40が安定した時には、Vfgr=Vfg1=Vfg0となる。この状態が好ましいが、フローティング・ゲートfg1とfg0は同じ差動回路でないため、フローティング・ゲートfg1が必ずしもフローティング・ゲートfg0に等しく設定されない場合であっても、回路40はVfgr =Vfglと設定する。
回路40は、フローティング・ゲートfgrの電圧Vfgrをフローティング・ゲートfg1の電圧Vfg1と比較し、フローティング・ゲートfgrとfg1の電圧の間の差の関数である、出力電圧Voutをノード19で生成する回路430を更に含む。回路430は、好ましくは、差動増幅器(又は差動段)432を含み、好ましくは、フローティング・ゲートfg1に結合された非反転入力、フローティング・ゲートfgrに結合された反転入力を有するように構成される。回路430は、好ましくは、ノード20に結合された入力、及びノード19で出力端子436を備えた、利得段434を更に含む。差動段432は、その入力で受ける電圧を比較して、その差を一般的には50〜100の係数で増幅する。その後、利得段434は更に、50〜100の他の係数によってその差を増幅する。更に、設定モードの終了時、回路430がVfgr=Vfg1=Voutとなる定常状態条件に安定することが理想的である。
再び、図4Bを参照して、差動段432は、好ましくはエンハンスメントモード・トランジスタT8、T9、T10及びT11を含む。トランジスタT8及びT9は、好ましくはレイアウトによって良好に調和したNMOSトランジスタであり、トランジスタT10及びT11は、好ましくはレイアウトによって良好に調和したPMOSトランジスタである。NMOSトランジスタT8及びT9のソースは、ノード21で互いに結合される。NMOSトランジスタT8のドレインはノード22に結合され、そのゲートはフローティング・ゲートfgrである。NMOSトランジスタT9のドレインはノード20に結合され、そのゲートはフローティング・ゲートfg1である。PMOSトランジスタT10は、ノード22に結合された共通ドレイン、共通ゲートであり、そのソースはノード23に結合される。PMOSトランジスタT11のゲートは、ノード22に結合される。そのドレインはノード20に結合され、そのソースはノード23に結合される。一般的には3〜5ボルトの電圧電源Vccはノード20に結合され、電流電源Itrは、設定モードの間トランジスタT8、T9、T10及びT11が閾値前領域あるいはリニア領域で動作するように、ノード21及びグランドg1の間で結合される。電流電源Itrは、いかなる数の従来の回路を使用して実施してもよい。
利得段434は、好ましくはVccによってバイアスされるPMOSプルアップ・トランジスタT12を含み、電流電源プルダウン負荷Igrを含む。トランジスタT12のソースは、ノード23に結合される。そのゲートはノード20で差動段PMOSプルアップ・トランジスタT11に結合され、そのドレインはノード19に結合される。電流電源プルダウン負荷Igrは、ノード19とグランドg1の間に結合される。利得段434は、また、好ましくはノード19とノード20の間に結合される補償キャパシタC3を含む。電流電源プルダウン・ロードIg4は、好ましくはNMOS電流ミラー又は空乏(ディプリーション)素子を使用している能動的負荷である。利得段434は、比較的高い出力抵抗を有する能動的な電流電源を使用して、約100の電圧利得を提供することができる。利得段434の出力振幅は、グランドからVccの間のほぼ全範囲である。この回路の安定性及び反応は、補償キャパシタC3を使用して、さまざまな工程で容易に調整することができる。この構成において、トランジスタT12は良好な電流電源の容量を提供するが、電流吸収は電流電源プルダウンIg4の電流に限られている。従って、Voutへと流れる電流の全てを吸収することにより、利得段434が適切にVoutを制御できるように、Igrの電流は、Voutの負荷に必要とされるプルアップ電流より大きくなければならない。
回路430は、設定モードの間、以下の方法で更に動作する。Vcc及び電流電源Itrによってバイアスされるとき、T8は、トランジスタT9によって感知されたVfg1に対するVfgrを感知し、増幅された差は、ノード19にVoutとしてあらわれる。Vfgrが初期状態でVfg1未満の場合、T9はT8よりも多くオン状態にされ、T9を流れる(直列に接続されているため、更にT11に流れる)電流は初期状態ではT8(及び対応するT10)を流れる電流より大きい。プルアップ・トランジスタT10のゲートはT10のドレインに、更に、プルアップ・トランジスタT11のゲートに結合され、それによりT11の電流はT10の電流のミラーとなる。T10より多くの電流がT11の中を流れるときには、ノード20の電圧V20はノード22の電圧V22より低下する。ノード20の低下電圧によって、トランジスタT12を流れる電流が増加し、Voutを高く引き上げる。差動段432の電圧利得は一般的には約80であり、利得段434の電圧利得は約100であり、Vfg1からVoutの全体的な利得は約8000となる。Voutから反転入力fgrへの負のフィードバック経路は、回路430にとって、fgrの電圧がfg1の電圧に等しくなる点で安定するために必要である。設定モードの間、このフィードバック経路は、次節で説明するように、トンネル素子TF1、Ter及びトランジスタT13及びT14によって提供される。Voutが高くなるとき、負のフィードバック経路はVfgrを高く引き上げる。Vfgrが上昇するにつれて、T8の電流はT9の電流に一致するまで増加する。この点で、差動回路430はトランジスタT8、T9、T10及びT11の電流が一致し、Vfgr = Vfg1となる定常状態条件に安定する。
当業者は、回路430が、T8及びT9にPMOSトランジスタを、T10及びT11にNMOSトランジスタを使用して実施できることを理解するであろう。この実施のためには、利得段434は、電流電源プルアップ・ロードIgrに結合されたNMOSプルダウン・トランジスタT12からなる。
回路40は、また、ノード19とノード15の間に結合されるフィードバック・ループを含む。設定モードの間、このフィードバック・ループは、ノード19の出力電圧の関数に従って、ノード17の電圧を修正することにより、トンネル電極EerとEpr間の電圧差を修正する。フィードバック・ループは、好ましくはノード19とノード24の間で形成されるトンネル素子TF1であるレベルシフト回路、及び、トランジスタT14、好ましくはノード25で結合された共通ゲート、共通ドレイン、ノード24に結合されたソースからなるNMOSトランジスタからなることが好ましい。更にフィードバック・ループに含まれているのは、トランジスタT13、好ましくはNMOSトランジスタであり、そのゲートはノード25に結合され、ソースはノード17に結合され、それにより、消去トンネル素子Te4に結合され、ドレインはノード26に結合される。
上記に示したように、利得段434の最大出力はほぼVccである。しかし、Vefbが、一般的に、通常の3〜5ボルトのVcc供給レベルよりはるかに上の約14〜19ボルトまで達する必要があるため、直接ノード25の電圧(Vefb)を駆動できるほど高いとはいえない。レベルシフト回路TF1及びT14は、所望の14〜19ボルトの範囲まで、ノード19の比較的低い出力電圧(Vout)をシフトする。TF1及びTerはレイアウトにより良好に調和し、トランジスタT13及びT14はレイアウトによって良好に調和していることが好ましい。これらの条件下で、同じトンネル電流がTF1及びTerを流れるときには、レベルシフトは、ノード17からノード15への電圧降下により測定される消去トンネル電圧に追従する。それにより、回路430が安定したとき、トランジスタT8のゲート(fgr)は、トランジスタT9のゲート電圧(fg1)と同じ電圧にされる。これにより、更に、回路の設定精度が改良される。
レベルシフトに消去トンネル電圧を追従させる1つの効果は、設定サイクルの実行が多くなるほど誘電体中で電荷捕捉が起こるため、トンネリングを起こすために必要な電圧が変化し、回路430の出力VoutがVfg1に追従し、同じ電圧範囲において動作し続けることである。他の効果は、出力電圧VoutがVfgrに完全に等しくない場合でも、回路430の有限利得によって導かれる誤差が非常に小さいということである。例えば、回路40が安定したとき、回路430が10,000の利得を有し、VoutがVfg1からVfgrを引いた差より1ボルト低い場合、Vfg0は1V/10,000又は0.1mVの誤差だけを有する。
回路40は、また、好ましくは電源I2r及びIpr、及びキャパシタCprを含む。電流電源I2rは、設定モードの開始時にVefbを決定し、TF1を通るトンネル電流を提供するために、ノード25とノード26の高圧電源HV+の間に結合される。電流電源I2rは、いかなる数の従来の方法を使用して実施してもよい。しかし、電流電源I2rは、好ましくはHV+によってバイアスされる定電流素子、例えば、閾値前領域において動作するP−チャネル素子からなる電流ミラーである。このように、電流電源I2rは、トンネル素子TF1を通るトンネル電流を決定するためにノード25で必要とされる正の電圧に、自動的に達する。電流電源I2rは、好ましくはIprとほぼ同じ電流を生成する。これは、トンネル素子TF1を通る電流がトンネル素子Ter、Tpr、Te1、及びTp1を通る電流とほぼ同じことを意味する。
電流電源Iprは、ノード16とグランドg1の間に結合される。電流電源Ip4は、好ましくは、プログラム・トンネル素子Tpr及びTp1から制御トンネル電流を汲み出すために負の電流電源として使用されるP−チャネル充電ポンプである。上記したように、Iprは電流電源であるため、電流電源は十分な電圧の整合性を有するものとして、トンネル電流を所望のレベルに決定するためにノード16で必要とされる負の電圧に、自動的に達するように機能する。更に、一旦トンネル素子を通る電流が決定されたときには、トンネル素子全体の電圧はファウラー−ノルトハイム特性によって明確になる。従って、電流電源Iprは、トンネル素子Tpr及びTp1を通る電流を制御することにより、ノード16の電圧Vp1を生じる。電流電源Iprを使用することは、デュアル導電を可能にしフィードバック回路が動作することができる程度に十分高く、トンネル素子に損害を与える過剰電流を避けることができる程度に十分低い電流レベルで、素子Ter、Te1、Tpr、及びTp1が動作することを保証する好適な方法である。後で詳細に述べるように、設定モードの終了時に電流電源Iprがシャットダウンしたとき、キャパシタCprはトンネル素子を通る電流の放電を制御する。更に、回路30が設定モードの間、Vfgr =Vfg1=Vfg0を設定する理想的な条件を達成するため、回路40のノード27で電圧Vxを生成するために使用される場合、電流電源I2rと(図3の)電流電源が良好に調和し、電流電源Ip4が(図3の)電流電源Ip0のほぼ2倍であって、キャパシタCprと(図3の)Cp0が良好に調和することが好ましい。更に、HV+は回路30と回路40で同じである。
当業者は、ノード17及び28の電圧より約24〜30ボルト低い定電圧電源を使用して、Vp1を生成できることを理解するであろう。しかし、ファウラー−ノルトハイム・トンネル素子の電流は印加された電圧によって指数的に変化するので、このトポロジーは注意して用いなければならない。特に、電圧差が高すぎる場合、非常に高い電流がトンネル素子の中を流れ、電圧差が低すぎる場合、極めて低い電流が流れることがある。高すぎる電流は、誘電体における急速な電荷捕捉により、トンネル素子に損害を与え、あるいは「傷ませ」る。また、トンネル電流が低すぎる場合、フィードバック回路がfgrにあるいはfgrから電荷をトンネルさせることができず、fgrの電圧を制御することができない。更に、Vp1がfgrの電圧を制御するように、消去電極Eerを電流電源に接続し、プログラム電極Eprをフィードバック回路に接続することができる。しかし、これはフィードバック回路が制御された負の電圧を生成することを必要とし、標準のCMOSプロセスで集積化することは、より困難である。
最後に、回路40はまた、回路440を含むことが好ましい。回路440は、好ましくはノード18と19の間に結合されたMOSトランジスタであるスイッチS4、及びノード18と入力電圧端末450の間に結合されたMOトランジスタスイッチS5からなることが好ましい。設定モードにおいて、スイッチS4はオフ状態にされ、スイッチS5はオン状態にされ、それにより、入力設定電圧Vsetはステアリング・キャパシタCfgrの底面に結合できる。
設定モードの間、端末450に入力電圧Vsetを結合させることで、回路40は、Vsetの所定の関数であって、フローティング・ゲートfgrとfg1との間の電荷レベルの差をプログラムできるようになる。その後、次の読出しモードの間、回路40はVsetの所定の関数であって、好ましくはVsetに等しい基準電圧を生成する。具体的には、Cfg1は設定モードの間、好ましくはグランドに結合するため、設定モードの間、キャパシタCfg1全体にプログラムされる電圧はフローティング・ゲートfg1にプログラムされた電圧と同じである。しかし、キャパシタCfgr全体にプログラムされる電圧は、(理想的にはVfg1に等しい)VfgrからVsetを引いた差である。その後、設定モードの終了時に電源及びVsetが除去された場合、ノード18は0ボルトになり、Vfg1は同じままだが、VfgrがCfgr全体の電圧に等しくなり、それは(Vfg1−Vset)に等しくなる。従って、設定モードの終了時、キャパシタCfglとCfgrに残る電荷の差に等しい電荷レベルの差が、フローティング・ゲートfgrとfg1の間に存在する。このfgrとfg1間の電荷レベルの差は、Vsetの所定の関数である。それにより回路40の読出しモードの間に基準電圧がノード19で生成させられ、それはVsetの所定の関数であって、好ましくはVsetに等しい。Vsetに等しい電圧基準出力を生成するために、S5はオフ状態にされ、S4はオン状態にされ、Vsetをノード18に接続し、Cfgrを介してfg1に結合される。ノード18がVsetに等しいとき、VoutがVfgr=Vfg1となる電圧で安定する。
図9は、設定モードの間、例えば、図4Bの回路30及び回路40によって実行することができる、フローティング・ゲートを設定する方法90を示すフローチャートである。図10〜12は、これらの図と関連して後述する方法90の特定の実施のための、Vout,Vp1,Vefb(回路40),Vfgr及びVfg1の電圧波形を示す。図10〜12に示された4つの波形はそれぞれ同じであり、これらの波形のいくつかの電圧軸のみが特定の詳細を示すために修正される。好ましくは、設定モードの終了時に、Vfg1=Vfgr=4Vとなるように、Vfg1は4ボルトに設定される。しかし、設定モードの間、Vfgrを設定するために、Vfg1をいかなる電圧に設定してもよい。以下の実施例では、設定モードの間、Vfg1は4Vに設定されている。図10〜12において示される回路の実施においては、Vin=4.00V、Vcc=+5V、HV+は約22Vであり、Ip0,I2及びI2rは約6nAであり、Iprは約12nAであり、It0及びItrは約5nAであり、Ig0及びIgrは約20nAである。
ステップ91で、図6〜8及び図10〜12で時間t0として示す設定モードの開始時に、回路30及び回路40が起動され、その後のある時点で、回路30は入力設定電圧、例えばVset0を受け取り、回路30からの信号Vxが回路40のトランジスタT15のゲートのノード27で受け取られる。更に、Vccは+5Vに設定され、HV+は約+22Vの正の高電圧に上昇させられ、I2及びI2rをオン状態にする。最後に、充電ポンプIp0及びIprは、この電流電源が対応する電流の生成を開始できるように、オン状態にされる。その後、方法90の残りのステップ92〜96の好適な実施によれば、図10〜12にて図示したように、回路40は、Vfgrを約30ミリ秒でVfg1から約0.5mVの範囲内に設定することができる。
ステップ92で、回路40は、フローティング・ゲートfgr及びfg1の電荷レベルを修正するため、対応する消去電極とプログラム電極間の電圧差の制御下で、トンネル素子Ter、Tpr、Te1及びTp1をそれぞれデュアル導電モードで動作させる。デュアル導電は、トンネル電流がこれら4つのトンネル素子を流れるときに発生する。上記したように、電圧差(Vefb−Vp1)が少なくとも2つのトンネル電圧又は約22Vであるときに、トンネル電流はTer及びTprの両方を流れ、電圧差(Vx−Vp1)が
少なくとも2つのトンネル電圧であるときに、トンネル電流はTe1及びTp1を流れる。
回路40は、以下の方法でデュアル導電を起こすことが好ましい。電流電源I2及びI2rはオン状態にされ、Vx(ノード12)及びVefb(ノード25)をそれぞれ引き上げはじめる。例えば、Vefbは約0.5ミリ秒で約+18Vに上昇させる。負の電流電源Ip0及びIprはオン状態にされ、Vp(ノード3)及びVp1(ノード16)を負にする。それぞれ、この場合、充電ポンプIp0は、徐々に、Vpを約2ミリ秒で約−11Vに下降させ、充電ポンプIprは、徐々に、Vp1を約2ミリ秒で約−11Vに下降させる。電流電源Ip0は、トンネル電流が回路30のトンネル素子Tp0及びTe0を流れるように制御し、電流電源Iprは、トンネル電流が回路40のトンネル素子Ter、Tpr、Te1及びTp1を流れるように制御する。
回路30は、上記のように回路320からのフィードバックにより制御されるVx信号を生成する。Vx(ノード27)はトランジスタT15をオン状態にし、それはVe1(ノード28)をVefbより1Vt下まで引き上げる。Vp1が、Vp1とVe1の差が2つのトンネル電圧である点まで下降したとき、トンネル電流がトンネル素子Te1及びTp1を流れる。一旦トンネル電流がTe1及びTp1を流れると、フローティング・ゲートfg1(ノード14)の電圧はVxによって直接制御され、設定モードの残りの間、回路30のフローティング・ゲートfg0の電圧に最初に追従する。
回路40は、回路30と同様の方法で、回路430からのフィードバックにより制御されるVefb信号を生成する。Vefb(ノード25)はトランジスタT13をオン状態にし、それはVer(ノード17)をVefbより1Vt下まで引き上げる。Vp1(ノード16)が、Vp1とVerの差が2つのトンネル電圧である点まで下降したとき、トンネル電流がトンネル素子Ter及びTprを流れ、fgr(ノード15)の電圧はVefbによって直接制御される。I2rは、VefbがVout+1TV+1Vtに達するまで、Vefbを引き上げ続ける。ここで、1TVはトンネル素子TF1全体のトンネル電圧であり、1VtはトランジスタT14の閾値電圧である。少なくとも一つのトンネル電圧がTF1全体に存在するときに、トンネル電流がTF1を流れ、VefbがVout(ノード19)によって直接制御されるように、TF1及びトランジスタT14がレベルシフト素子として作用する。ステップ93で、回路40はVfgrをVfg1と比較して、VfgrとVfg1間の差の関数である出力電圧Voutを生成する。その後、ステップ95で、回路40は、Voutの関数に従って、VefbとVp1間の電圧差を修正し、ステップ94で、VfgrがVfg1にほぼ等しくなる定常状態に回路40が安定するまで、回路40はステップ92〜95を繰り返す。この点で、ステップ96で、回路40は停止される。方法90の結果、フローティング・ゲートfgr及びfg1は時間が経過しても本質的に同じ電荷レベルに設定される。
図10〜12の電圧波形は、回路40がステップ92〜95において、どのように機能するかを示すものである。トンネル素子Te1及びTp1のデュアル導電は、図10で最も良く示されるように、約0.5ミリ秒後に生じる。この時点より前では、Vfg1は0Vである。しかし、一旦トンネル電流がトンネル素子Te1及びTp1を流れると、Vfg1は回路30からのVxに制御され、Vxとともに振幅し、Vfg1はVfg0に追従する。一方、トンネル素子Ter及びTprのデュアル導電は、図10〜12に示されるように、約1.5ミリ秒後よりわずかに後に起こる。時間t1以前は、Vout=V0であり、VefbがI2rによって引き上げられ、約18Vまで上昇し、VfgrはVefbによって制御されない。しかし、一旦、時間t1で、トンネル電流がトンネル素子Ter、Tpr及びTF1を流れると、回路430はVfgrがVfg1に等しくないことを感知し、VoutはVfgrとVfg1間の差の関数となり、VefbはVoutに追従し、及び、VfgrはVefbに追従する。図11及び12に時間t1〜t2として示される、次の2.0ミリ秒の間に、Vefbが負のフィードバック・ループの関数に従って上下に動くため、Vfgrは振幅する。その後、負のフィードバック・ループは差動段432及び利得段434をそれぞれ定常状態条件に安定させ、回路430は、時間t2で始まる図11及び12に最もよく示されているように、充電ポンプIprから回路430に結合する若干のノイズを除いて、振幅するのを停止する。
時間t1から始まって、利得段434の電流電源Igrは、電流電源I2rによって生成される電流よりも非常に大きい電流を生成する。従って、利得段434はT14及びTF1からVoutに流れる電流電源I2rからの全ての電流を吸収することにより、Voutを制御することができる。更に、利得段434の補償キャパシタC3は、フィードバック・ループが安定し、約1ミリ秒未満で安定することを保証するのに十分な程度に大きくされる。トランジスタT14全体のVtによって生じるVefbのレベルシフトは、T13の電圧降下にほぼ一致する。TF1全体のトンネル電圧によって生じるVefbのレベルシフトは、トンネル素子Ter全体の電圧降下にほぼ一致する。その結果、差動段及び利得段が安定するとき、Vfgr、Vfg1及びVoutはほぼ同じである。これは、時間t2に始まり、電流電源Iprからフローティング・ゲートfgr及びfg1に結合した約30mVのノイズを反映して、Voutが約3.7mVの範囲内で安定する、図12に見ることができる。
再び、図9を参照して、一旦、回路40が、VfgrがVfg1にほぼ等しくなるように、ステップ94で安定すると、回路40はステップ96で停止される。回路40の停止により、図10及び12のt3で始まるように、消去電極及びプログラム電極の電圧をグランドまで下降させる。ステップ96は、時間t3で、回路30及び40の全ての電流電源及び電圧電源を、単に並行して遮断することによって実行することができる、しかし、一旦Vefb及びVp1が0Vへ再び下降すると、Vfgrに非常に影響を与える可能性がある。上記で説明したように、Vp1を生成する負の充電ポンプがオン状態にある場合には、充電ポンプIprからのノイズのためVfgrをVfg1に等しく設定する際の精度が制限される。これは、Vefb及びVp1をグランドに下降させ始めるときに、VfgrがVfg1に等しくない可能性があることを意味する。この下降が始まったとき、VfgrがVfg1に等しくない場合、Vp1及びVefbが0Vに達した後もVfgrはVfg1に等しくならない。更に、下降の間、トンネル素子Te1及びTp1、及びTer及びTprを流れ続ける電流は一般的には同じではない。これは、更に、フローティング・ゲートfgr及びfg1の最終的な電荷レベルに影響を及ぼす。
この制限を克服して、Vefb及びVp1をグランドに下降させる間、フローティング・ゲートfgr及びfg1の同一の電荷レベルを維持するために、消去及びプログラム・トンネル素子の電流はこの間同一でなければならない。これらのトンネル素子において同一の電流を維持するために、各トンネル素子全体の電圧を同一にしなければならず、それはVp1が0Vに上昇するのと同じ率でVefb及びVxが0Vに下降することを意味する。また、トンネル素子の特性は良好に調和しなければならない。
従って、ステップ96で、回路40は以下の好適な方法で停止されなければならない。t2の初めに示されるように、一旦、回路320及び430、及びフィードバック回路が一定の時間安定し、Vfg0、Vfgr、及びVfg1を設定するための更なる精度が充電ポンプのノイズによって主に制限されることが明らかであるとき、Ip0及びIprはポンプ・ノイズを除去するためにt3で遮断される。しかし、回路30のフィードバック回路が未だ動作中でVxを制御し続け、回路40のフィードバック回路が未だ動作中でVefbを制御し続けるように、HV+及びそれにより電流電源I2及びI2rはそのままにされる。負の充電ポンプが遮断された時点で、キャパシタCp0が放電するためトンネル電流がTe0及びTp0を流れ続け、それによりVpを0Vへ引き上げる。Cpoによるこのトンネル電流及び容量は、Vpの傾斜速度を決定する。同様に、キャパシタCprが放電するため、トンネル電流がTer、Te1、Tpr及びTp1を流れ続け、それによりVp1を0Vへ引き上げる。Cprによるこのトンネル電流及び容量は、Vp1の傾斜速度を決定する。
上記で説明したように、回路30のフィードバックはVfg0が設定されるようにVxを駆動する。Vp及びVp1が相当に接近するように互いに追従するものとして、最初に、Vfg1はVfg0に追従する。回路30で起こることと同様に、回路40において、Vp1が上昇するため、フローティング・ゲートfgrの電圧は、上方に容量結合される。 回路430は、Vfg1が上方へ移動していることを感知し、フィードバック回路を介してVefbを0Vに下降させる。0Vに向けてVefbが下降しVpが上昇するにつれて、トンネル素子Ter及びTprのトンネル電流は、それらのファウラー−ノルトハイム・トンネル素子特性の急速な傾斜のために、急速に減少する。フィードバック応答時間は消去トンネル素子の電流に直接的に依存するため、Vefbが下降するに従ってフィードバック回路の応答も遅くなる。トンネル電流が減少するにつれて、傾斜速度及びフィードバック応答時間が遅くなり、VfgrはVfg1に徐々に近づく。
例えば、図12は、Vfgrが30ミリ秒の設定モード時間の間に、Vfg1から約0.5mVの範囲内に収束したこと、及びVfgrは30mV以上の下降時間を与えることによってVfg1に対してより正確に設定することができることを示している。Vfgrが所望の精度レベルで決定された時間量で、Vfg1に収束できた後、例えばt4で、フローティング・ゲートfgr及びfg1の電荷に影響を及ぼすことなく、HV+電源及びそれによりI2r電源を遮断することができる。更に、Vccを遮断してもよい。
回路430及びフィードバック回路がVefbを下降させ続けるように、Vfgrが常にVfg1より僅かに上にあることを保証できる程度に、フィードバック回路の反応が遅いことが重要である。VfgrがVfg1より下になり、フィードバックがVefbの傾斜方向を切替える場合、フィードバックシステムは非常にゆっくり振幅し始め、VfgrはVfg1の方へ収束する代わりに、Vfg1から離れる。Vefb及びVp1がグランドの方へ2、3ボルト傾斜し、VfgrがVfg1に非常に近づいた後、図10の時間t4で示されるように、HV+を遮断することによって、Vefb及びVp1を急速に0Vに傾斜させることができる。これは、Ter及びTprの電流が非常に低いため、フローティング・ゲートfgr上の充電にもはや影響を及ぼさないからである。Vp1がグランドまで上昇するにつれて、フローティング・ゲートfgrに対する差動段432、利得段434、TF1レベルシフト及びTer素子を介したフィードバック経路がVefbを下降させ、VfgrがVfg1により一層近づくように移動することができるように、Cprは慎重に設定されなければならない。Cprが小さすぎる場合、Vp1は、非常に急速に上昇し、フィードバック経路における遅延は、Vefbの緩慢な傾斜を引き起こし、及び、VfgrはVfg1の方へ収束する代わりに、Vfg1より上に上昇する。Cprが大きすぎる場合、フィードバック経路の反応があまりに急速であり、Vefbが下降しすぎ、Vfgrが目標に達せず、それにより回路がゆっくり振幅することになる。回路430が振幅できる場合、VfgrはVfg1の方へ収束する代わりに、離れていく傾向がある。従って、フィードバック応答時間がCprの放電速度よりわずかに遅いように、Cprは設計される。Cprは約2.4pfに設定されることが好ましい。
時間t4で、設定モードの終了時に、フローティング・ゲートfgr及びfg1は、例えば、時間の経過による電子の解放(デトラッピング)又は誘電緩和による充電損失の可能性があるため、他の外部電源から回路40に電力を供給することなく、設定モードの間フローティング・ゲートfgr及びfg1にプログラムされた電荷レベルを無制限に蓄積し続ける。更に、上記で示された実施例ではVfgrがVfg1に等しく設定されているが、当業者は、本発明の他の実施例で、VfgrがVfg1の他の関数に設定されるように、回路40を構成してもよいことを理解するであろう。
上記のように、設定モードの間、一旦フローティング・ゲートfg0が設定されれば、回路30は、読出しモードの間、電圧基準回路として、あるいは内蔵電圧基準を備えた比較回路として構成することができる。同様に、設定モードの間、一旦フローティング・ゲートfg1及びfgrが設定されれば、回路40は、読出しモードの間、電圧基準回路として、あるいは内蔵電圧基準を備えた比較回路として構成することができる。回路40が電圧基準として構成される場合、回路30が電圧基準として構成されるときに回路30によって提供される基準電圧よりも正確な基準電圧をノード19で提供する。これは、回路40において高電圧が下降するとき、対応するフローティング・ゲートfgr及びfg1にトンネル素子を介して結合されるいかなるオフセットも同相であって、2つのフローティング・ゲート間の電圧差を変えないため、ノード19での基準電圧を変化させないという理由によるものである。
図13は、読出しモードの間の回路40の一つの実施の形態による回路1300の回路図である。好ましくは、フローティング・ゲートfgr及びfglの設定に使用されたのと同じ回路40が読出しモードで使用される。最初に、回路のいかなるオフセット電圧及び温度変化もゼロにされる。読出しモードにおいて、高電圧電流及び電圧電源HV+,Ipr,及びI2rがオフ状態にされ、トンネル電流はトンネル素子Ter及びTprを流れず、これらの要素及びキャパシタCprは有効に回路40から除去される。同様に、Vxはもはやノード27に入力されない。従って、トランジスタT15がオフ状態にされ、トンネル素子Tel及びTplもまた有効に回路40から除去される。さらに、回路40のフィードバック・ループを駆動する電流電源I2rはもはや能動状態になく、フィードバック・ループもまた有効に回路40から除去される。この実施の形態は、スイッチS4がオン状態にされスイッチS5がオフ状態にされ、回路1300のための負のフィードバック・ループ回路を形成するために、ステアリング・キャパシタCfgrの底面がノード19で出力端子1326に結合された結果の回路を示す。この負のフィードバック・ループが設けられたことにより、Vref(ノード19)は回路1300が定常状態条件に安定するのに必要な電圧、好ましくはVfgr=Vfglに達する。理想的には、これはVref=Vsetのときに生じる。しかしながら、当業者は、読出しモードの間のVrefがVsetの他の所定の関数となるように、設定モード及び読出しモードの間の回路40を構成できることを理解するだろう。
従って、回路1300は、ノード15のフローティング・ゲートfgrとノード14の第2のフローティング・ゲートfglからなる。また回路1300には、フローティング・ゲートfgrとノード19の出力端子1326の間に結合されたステアリング・キャパシタCfgrと、フローティング・ゲートfglとノード32のグランドglの間に結合されたステアリング・キャパシタCfglが更に含まれる。回路1300は更に、フローティング・ゲートfgrの電圧Vfgrをフローティング・ゲートfg1の電圧Vfg1と比較し、フローティング・ゲートfgrとfg1の電荷レベルの差の関数である、出力電圧Vrefをノード19で生成する回路1320を更に含む。回路1320は、好ましくは、フローティング・ゲートfg1に結合された非反転入力、フローティング・ゲートfgrに結合された反転入力を有する、好ましくは、差動増幅器(又は差動段)1322を含む。回路1320は、好ましくは、ノード20に結合された入力、及びノード19で出力端子1326を備えた、利得段1324を更に含む。差動段1322は、その入力で受ける電圧を比較して、その差を一般的には50〜100の係数で増幅する。その後、利得段1324は更に、100の他の係数によってその差を増幅する。更に、設定モードの終了時、回路1320がVfgr=Vfg1となる定常状態条件に安定することが理想的である。
再び、図13を参照して、差動段1322は、好ましくはエンハンスメントモード・トランジスタT8、T9、T10及びT11を含む。トランジスタT8及びT9は、好ましくはレイアウトによって良好に調和したNMOSトランジスタであり、トランジスタT10及びT11は、好ましくはレイアウトによって良好に調和したPMOSトランジスタである。NMOSトランジスタT8及びT9のソースは、ノード21で互いに結合される。NMOSトランジスタT8のドレインはノード22に結合され、そのゲートはフローティング・ゲートfgrである。NMOSトランジスタT9のドレインはノード20に結合され、そのゲートはフローティング・ゲートfg1である。PMOSトランジスタT10は、ノード22に結合された共通ドレイン、共通ゲートであり、そのソースはノード23に結合される。PMOSトランジスタT11のゲートは、ノード22に結合される。そのドレインはノード20に結合され、そのソースはノード23に結合される。一般的には3〜5ボルトの電圧電源Vccはノード20に結合され、電流電源Itrは、設定モードの間トランジスタT8、T9、T10及びT11が閾値前領域あるいはリニア領域で動作するように、ノード21及びグランドg1の間で結合される。電流電源Itrは、いかなる数の従来の回路を使用して実施してもよい。
利得段1324は、好ましくはVccによってバイアスされるPMOSプルアップ・トランジスタT12を含み、電流電源プルダウン負荷Igrを含む。トランジスタT12のソースは、ノード23に結合される。そのゲートはノード20で差動段PMOSプルアップ・トランジスタT11に結合され、そのドレインはノード19に結合される。電流電源プルダウン負荷Igrは、ノード19とグランドg1の間に結合される。利得段1324は、また、好ましくはノード19とノード20の間に結合される補償キャパシタC3を含む。電流電源プルダウン・ロードIgrは、好ましくはNMOS電流ミラー又は空乏(ディプリーション)素子を使用している能動的負荷である。利得段1324は、比較的高い出力抵抗を有する能動的な電流電源を使用して、約100の電圧利得を提供することができる。利得段の出力振幅は、グランドからVccの間のほぼ全範囲である。
負のフィードバック・ループが設けられたことにより、Vref(ノード19)は回路1300が定常状態条件に安定するのに必要な電圧、好ましくはVfgr=Vfglに達する。これは、ノード19の電圧Vrefが設定モードの値Vsetと等しいときに生じる。例えば、設定モードの間にVsetが2Vに保持されていると仮定すると、回路40はVfgr=Vfgl=4Vとなるように、定常状態条件に安定する。設定モード終了時に、電源がオフ状態にされ、Vsetは除去され、Cfglはfglで4Vの電圧を生成する電荷を保持している。しかしながら、Cfgrはfgrで2Vだけの電圧を生成する電荷を保持している(4V−Vset)。読出しモードの間、回路1300がVfgr=Vfglの定常状態条件に安定するように、Vrefは2V、すなわち設定モードの間のVsetに達しなければならない。従って、Vrefは、Vsetの関数である、CfgrとCfglの電荷レベルの差の反射である。このようにして、回路1300は、追加の増幅器を必要とせずノード19においていかなる電圧基準をも生成することができる。更に、回路はVcc及びItrによりバイアスされるため、最大出力引き出しはナノアンプの範囲である。これは従来技術のバンドギャップ基準に対する大きな改良である。
回路40は、電圧基準に関して図13を参照して以下に説明されるように構成され、回路40は、回路30が電圧基準として構成される場合の回路30によって提供される基準電圧よりも、ノード19においてより正確な基準電圧を提供する。これは、高電圧が回路40において下降する場合に、トンネル素子を介して対応するフローティング・ゲートfgrとfglに結合されるいかなるオフセットも同相であり、2つのフローティング・ゲートの間の電圧差を変化させず、従って、ノード19の基準電圧を変化させない。
図13は、読出しモードの間の回路40の一つの実施の形態による回路1300の回路図である。好ましくは、フローティング・ゲートfgr及びfglの設定に使用されたのと同じ回路40が読出しモードで使用される。最初に、回路のいかなるオフセット電圧及び温度変化もゼロにされる。読出しモードにおいて、高電圧電流及び電圧電源HV+,Ipr,及びI2rがオフ状態にされ、トンネル電流はトンネル素子Ter及びTprを流れず、これらの要素及びキャパシタCprは有効に回路40から除去される。同様に、Vxはもはやノード27に入力されない。従って、トランジスタT15がオフ状態にされ、トンネル素子Tel及びTplもまた有効に回路40から除去される。さらに、回路40のフィードバック・ループを駆動する電流電源I2rはもはや能動状態になく、フィードバック・ループもまた有効に回路40から除去される。この実施の形態は、スイッチS4がオン状態にされスイッチS5がオフ状態にされ、回路1300のための負のフィードバック・ループ回路を形成するために、ステアリング・キャパシタCfgrの底面がノード19で出力端子1326に結合された結果の回路を示し、これが本発明の要点である。負のフィードバック・ループが設けられたことにより、Vref(ノード19)は回路1300が定常状態条件に安定するのに必要な電圧、好ましくはVfgr=Vfglに達する。理想的には、Vref=Vsetのときに生じる。しかしながら、当業者は、読出しモードの間のVrefがVsetの他の所定の関数となるように、設定モード及び読出しモードの間の回路40を構成できることを理解するだろう。
従って、回路1300は、ノード15のフローティング・ゲートfgrとノード14の第2のフローティング・ゲートfglからなる。また回路1300には、フローティング・ゲートfgrとノード19の出力端子1326の間に結合されたステアリング・キャパシタCfgrと、フローティング・ゲートfglとノード32のグランドglの間に結合されたステアリング・キャパシタCfglが更に含まれる。回路1300は更に、フローティング・ゲートfgrの電圧Vfgrをフローティング・ゲートfg1の電圧Vfg1と比較し、フローティング・ゲートfgrとfg1の電荷レベルの差の関数である、出力電圧Vrefをノード19で生成する回路1320を更に含む。回路1320は、好ましくは、フローティング・ゲートfg1に結合された非反転入力、フローティング・ゲートfgrに結合された反転入力を有する、好ましくは、差動増幅器(又は差動段)1322を含む。回路1320は、好ましくは、ノード20に結合された入力、及びノード19で出力端子1326を備えた、利得段1324を更に含む。差動段1322は、その入力で受ける電圧を比較して、その差を一般的には50〜100の係数で増幅する。その後、利得段1324は更に、100の他の係数によってその差を増幅する。更に、設定モードの終了時、回路1320がVfgr=Vfg1となる定常状態条件に安定することが理想的である。
再び、図13を参照して、差動段1322は、好ましくはエンハンスメントモード・トランジスタT8、T9、T10及びT11を含む。トランジスタT8及びT9は、好ましくはレイアウトによって良好に調和したNMOSトランジスタであり、トランジスタT10及びT11は、好ましくはレイアウトによって良好に調和したPMOSトランジスタである。NMOSトランジスタT8及びT9のソースは、ノード21で互いに結合される。NMOSトランジスタT8のドレインはノード22に結合され、そのゲートはフローティング・ゲートfgrである。NMOSトランジスタT9のドレインはノード20に結合され、そのゲートはフローティング・ゲートfg1である。PMOSトランジスタT10は、ノード22に結合された共通ドレイン、共通ゲートであり、そのソースはノード23に結合される。PMOSトランジスタT11のゲートは、ノード22に結合される。そのドレインはノード20に結合され、そのソースはノード23に結合される。一般的には3〜5ボルトの電圧電源Vccはノード20に結合され、電流電源Itrは、設定モードの間トランジスタT8、T9、T10及びT11が閾値前領域あるいはリニア領域で動作するように、ノード21及びグランドg1の間で結合される。電流電源Itrは、いかなる数の従来の回路を使用して実施してもよい。
利得段1324は、好ましくはVccによってバイアスされるPMOSプルアップ・トランジスタT12を含み、電流電源プルダウン負荷Igrを含む。トランジスタT12のソースは、ノード23に結合される。そのゲートはノード20で差動段PMOSプルアップ・トランジスタT11に結合され、そのドレインはノード19に結合される。電流電源プルダウン負荷Igrは、ノード19とグランドg1の間に結合される。利得段1324は、また、好ましくはノード19とノード20の間に結合される補償キャパシタC3を含む。電流電源プルダウン・ロードIgrは、好ましくはNMOS電流ミラー又は空乏(ディプリーション)素子を使用している能動的負荷である。利得段1324は、比較的高い出力抵抗を有する能動的な電流電源を使用して、約100の電圧利得を提供することができる。利得段の出力振幅は、グランドからVccの間のほぼ全範囲である。
負のフィードバック・ループが設けられたことにより、Vref(ノード19)は回路1300が定常状態条件に安定するのに必要な電圧、好ましくはVfgr=Vfglに達する。これは、ノード19の電圧Vrefが設定モードの値Vsetと等しいときに生じる。例えば、設定モードの間にVsetが2Vに保持されていると仮定すると、回路40はVfgr=Vfgl=4Vとなるように、定常状態条件に安定する。設定モード終了時に、電源がオフ状態にされ、Vsetは除去され、Cfglはfglで4Vの電圧を生成する電荷を保持している。しかしながら、Cfgrはfgrで2Vだけの電圧を生成する電荷を保持している(4V−Vset)。読出しモードの間、回路1300がVfgr=Vfglの定常状態条件に安定するように、Vrefは2V、すなわち設定モードの間のVsetに達しなければならない。従って、Vrefは、Vsetの関数である、CfgrとCfglの電荷レベルの差の反射である。このようにして、回路1300は、追加の増幅器を必要とせずノード19においていかなる電圧基準をも生成することができる。更に、回路はVcc及びItrによりバイアスされるため、最大出力引き出しはナノアンプの範囲である。これは従来技術のバンドギャップ基準に対する大きな改良である。
図13において、本発明は、出力基準電圧を生成するため読出しモードにおいて負のフィードバック・ループを備えたデュアル・フローティング・ゲート回路からなる。しかしながら、当業者は、本発明がシングル・フローティング・ゲート回路における改良でもよいこと、例えば、本発明が読出しモードにおいて出力基準電圧を生成するための回路1400として、図14に示される改良された回路30においてでもよいことを理解するであろう。回路1400は、設定モードの間入力電圧Vsetの関数である電荷を蓄積した、ノード2のフローティング・ゲートfg0、及びfg0に結合されたステアリング・キャパシタC1からなる。図14は更に、fg0に結合され、差動段1412及び利得段1414からなる回路1410を含む。回路1400の回路1410は、上記で説明された図3の回路320と同一である。回路1400は、回路1400の負のフィードバック・ループを形成するためにステアリング・キャパシタC1の底面とノード6に結合された出力端子1416を更に含む。トランジスタT2のゲートであるノード1は好ましくはグランドである所定の電圧に結合され、電流電源It0及びIg0はそれぞれノード8と6の間と負の電圧−V、好ましくは−5〜−10Vに結合され、それにより、利得段1414に対して正から負への出力振幅を与える。負のフィードバック・ループが設けられたことにより、Vrefは回路1410が定常状態条件に安定するのに必要な電圧に達し、すなわち、Vfg0がV1(ノード1の電圧)にほぼ等しい、あるいは0Vとなる。これは好ましくはVref=−Vsetであるときに生じる。しかし、当業者は、読出しモードのVrefがVsetの他の関数であるように、回路30及び1400が構成されてもよいことを理解するであろう。
上記の本文に記載したフローティング・ゲート・アナログ電圧フィードバック方法及び回路は、本発明の最良の形態を示すものとして選択された。上記に記載されている本発明の全ての実施例は、本発明の原則を示すものであって、本発明を記載された具体的な実施例に限定することを目的するものではない。従って、本発明の好適な実施例が示され記載されると共に、請求の範囲に記載された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、さまざまな変更がその中でなされうることはいうまでもない。