JP2006515655A - 往復動機関において燃料を前処理または気化するための装置及び方法 - Google Patents

往復動機関において燃料を前処理または気化するための装置及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、より完全な燃焼を達成するために内燃機内で燃料を前処理及び/または気化するための装置及び方法を提供する。一実施例では、燃焼室(14)と、燃焼室に流体的に接続された壁(21)によって画定される燃料前処理キャビティ(22)と、燃料前処理キャビティを通って燃料噴霧(20)を噴出するための燃料噴射器装置(18)と、燃料噴射器から噴出された燃料噴霧の液滴の体積加熱を達成するべく燃料前処理キャビティ及び燃料噴霧へ電磁波(28)を導入するように電磁的に構成された電磁波源(24)とを有する。

Description

本発明は、シリンダまたはプレシリンダ(pre-cylinder)室またはキャビティ内で電磁エネルギーを導入することによる、ディーゼル機関やガソリン機関等の往復動機関のエミッションクオリティー及び燃料燃費の向上に関連する。本発明はまた、往復動機関のシリンダにおける火花発生の効率及び有効性の向上にも関する。
往復動機関において、エミッションクオリティー及び燃料燃費の向上は常に関心の的である。改善が見込まれる分野には、液体燃料の気化、特にガソリンやディーゼル燃料等の燃料に関するものが挙げられる。このような燃料を有効に用いるために、いかに小さい液体燃料液滴であっても燃料を液体から蒸気に転換するべきである。
往復機関の動力を発生させるためには、使用燃料はゆっくり燃焼させるのではなくむしろ爆発させなければならない(排気サイクルが開始する前に液体燃料をゆっくり燃焼させて完全燃焼させるには機関の燃焼サイクルは短すぎるからである)。このことはディーゼル機関で特に問題となるが、その理由は、同一燃焼サイクルで燃料が液体噴霧の形で燃焼室へ噴射され、気化され、自己点火されなければならないためである。通常の運転条件下でさえも、ディーゼル燃料は完全に気化する前に自己点火する傾向がある。更に、コールドスタート時には、気化はさらに不完全なものとなり、エミッションの悪さに関連する問題を悪化させる。例えば、燃料の不完全な使用に起因してすすが堆積し得る。そして、燃料燃焼プロセスで燃料が完全に消費されないときには、有害な排気が増加する。
燃料が点火前にほとんど完全に気化されれば、これらの問題の多くを解決でき、エミッションの改善が図れる。しかしながら、燃料ライン中での液体燃料の過熱はベーパロックを生じさせ得るので、点火前に有用な程度まで加熱する従来の燃料加熱は好ましくない。更に、ベーパロックを防止するための周辺加熱は、気化の改善に有意に寄与しない。
往復動機関の効率を高めるために燃料前処理装置を開発することが有利であるだろうということは以前から認識されていた。
本発明は、燃料の点火力を向上させるための燃料前処理装置と、ワイヤレス燃料点火装置と、より完全な燃焼のために燃料を前処理/点火する方法とを提供するが、これらは全てより完全な燃焼を達成するために機能性電磁エネルギーを利用する。これらの技術が用いられ得る燃料には、ガソリン、ディーゼル燃料、油、アルコール、バイオディーゼル油、その他の代替燃料等が含まれるが、最も好ましいのはガソリン及びディーゼル燃料である。
具体的には、燃料効率を向上させるための往復動機関は、燃焼室と、燃焼室に流体的に接続された壁によって画定される燃料前処理キャビティと、燃料前処理キャビティから燃料噴霧を噴出するための燃料噴射器装置と、燃料前処理キャビティ及び燃料噴霧へ電磁波を導入するように構成された電磁波源とを有し得る。電磁波源は、燃料噴射器から噴出された燃料噴霧の液滴の体積加熱を達成するようにも構成され得る。
また、往復動機関の燃焼室に燃料を送るための燃料前処理装置も開示されている。この装置は、反射性表面を有する壁によって画定された燃料前処理キャビティと、電磁エネルギー源と、エネルギー集中領域と、燃料噴射器とを含み得る。電磁エネルギー源は、燃料前処理キャビティ内に存在し得るか或いは燃料前処理キャビティ内で動作可能であり得るが、そこでは電磁エネルギー源が壁に向けて電磁エネルギーを放射するように構成される。エネルギー集中領域は、燃料前処理キャビティ内に配置され得るが、そこでは電磁エネルギーが壁からエネルギー集中領域へ反射され得るので、エネルギー集中領域ではエネルギー集中領域外の領域よりも大きな集中エネルギー(concentrated energy)が与えられる。燃料噴射器は、エネルギー集中領域を通過する軌道(trajectory)を描いて燃料噴霧をディスペンシングするように構成されたディスペンシング端部を有し得る。燃料前処理キャビティは、キャビティの断面が実質的に、円筒形、放物線、だ円、数学的だ円またはその他の幾何学形状などに形成されるように、壁によって画定され得る。或いは、そのような構造は、電磁エネルギーを反射するためにキャビティ内に存在し得る。
別の実施例では、往復動機関の燃焼室に燃料を送るための別の燃料前処理装置は、壁によって画定される燃料前処理キャビティと、燃料噴射器と、電磁エネルギー源と、エネルギー集中領域とを有し得る。燃料噴射器は、燃料噴霧の軌道を燃料前処理キャビティへ噴出するように構成され得る。電磁エネルギー源は、電磁エネルギーを燃料前処理キャビティへ、更に軌道へまたは軌道を通過するように導入するように構成され得るが、電磁エネルギー源は燃料噴射器から噴出される燃料噴霧液滴の体積加熱を達成するようにも構成される。エネルギー集中領域は、電磁エネルギー源からの電磁エネルギーを受け取るように燃料前処理キャビティ内に配置される。エネルギー集中領域は、電磁エネルギー源からエネルギー集中領域外の領域に比べて受け取るエネルギー集中度が大きくなるようにも構成され得る。燃料前処理キャビティは、キャビティの断面が実質的に、円筒形、放物線、だ円、または数学的だ円の形状を有するように壁によって画定され得る。但し、その他の幾何学形状も本発明の範囲に含まれる。
燃料前処理装置を含む上記実施例はいずれも、燃焼プロセスの効率を向上させるために構成された空気孔またはエアベントを有し得る。空気孔は、所望の燃料前処理キャビティ及び/または電磁エネルギー源の構造に応じて、種々の表面の電磁的反射性特性との干渉が最小になるように設置され得る。
往復動機関で使用するためのワイヤレス点火プラグも開示されているが、これは、ワイヤレス点火プラグをシリンダの燃焼室に取り外し可能に結合するように構成されたハウジングと、ハウジングに結合されかつ火花を発生させるように構成されたギャップを有するアンテナ受信装置と、ギャップで火花が発生するように電磁波によってアンテナ受信装置に電磁的に結合されたエネルギー源とを含み得る。
往復動機関で使用するための燃料を前処理する方法も開示されている。燃料前処理方法は、往復動機関内で壁によって画定される燃料前処理キャビティに燃料を噴射する過程と、電磁波を燃料前処理キャビティに放射し、電磁波をキャビティ壁から燃料噴霧へ反射させて燃料噴霧に対して分子振動共鳴吸収を起こさせる過程とを含み得る。電磁波は、燃料噴霧の燃料液滴内で分子振動共鳴を生じさせるように構成され得る。
本発明の追加的機能及び利点は、本発明の機能を説明する図面と共に以下の詳細な記載から明らかになるであろう。
本発明について開示及び説明を行う前に、本発明は本明細書中に開示された特定の構造、工程段階及び材料に限定されるものではなく、そのような工程段階及び材料はある程度変更し得ることを理解されたい。また、本明細書中で用いられる用語は特定の実施例を説明する目的のみに用いられ、特段の限定を意図するものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びそれと同等のものによってのみ限定されることになる。
部品の数などについては、「複数」であることを明示していない場合でも、文脈上明らかに単数を示している場合を除き単数及び複数の両方を含み得る。
「体積加熱(volumetric heating)」または「体積気化(volumetric vaporization)」は、電磁エネルギーを用いて、燃料液滴の体積全体にわたる前処理及び/または気化を、好適にはほとんど同時に、行うことを含む。これは、伝導及び対流による通常の表面加熱とは大きく異なる。体積加熱は、好適には分子共鳴吸収を達成することによって生じ得るが、必ずしもそうする必要はない。完全に気化させる必要はないが、より完全な気化を行うことにより往復動機関をクリーンに運転することができる。
「電磁波」または「電磁エネルギー」は、本発明で機能し得る電磁エネルギーの任意の波長を含む。好適には、そのような波長の範囲はマイクロ波から赤外線に及ぶ。特に、燃料前処理キャビティまたは燃焼室で定在波が形成されるような実施例では、燃料前処理キャビティの一般的なサイズに匹敵する波長が好ましい。例えば、一般的な燃料前処理キャビティのサイズはおよそ数センチメートル(「cm」)、即ち約2〜10cmであり得るので、好適な波長は0.1mm〜10cmとし得る。電磁エネルギーが燃料前処理キャビティまたは燃焼室壁から反射されて離れた位置で集束または集中されるような実施例では、燃料前処理キャビティの一般的な断面サイズよりずっと小さい(約5分の1以下の)波長が用いられ得る。例えば、約0.1μm〜約1mmの波長が用いられ得る。
ここで、図面に示された例証の実施例を参照する。それを説明するために特別な用語が本明細書中で用いられることになるが、それによって本発明の範囲が制限されるものではないということは理解されるであろう。本明細書中で説明される発明特性を変更したり更なる改変を加えたりすることや、本発明の原理を開示された以外の用途に用いることは、当業者がこの開示に基づき行い得るようなものであれば、本発明の範囲を逸脱するものではないと考えられる。
図1を参照すると、燃料効率を向上させるために往復動機関内で用いられる燃料前処理装置10が示されている。燃料前処理装置10は、通常、燃焼室14を画定する燃焼室壁12と、ピストンヘッド16と、燃料前処理キャビティ22を画定する燃料前処理キャビティ壁21とを有する。この実施例の燃料前処理キャビティは、燃焼室14に流体的に結合される。一実施例では、燃料前処理キャビティ22のキャビティ壁21は、少なくとも部分的に、光学ミラーとして作用するような材料からなる。従って、燃料前処理キャビティに導入された電磁波28を反射させる表面が設けられ得る。
当業者に公知であるように、ピストンヘッドの周期運動に連動して適時に燃料噴霧20を導入するように構成され得るような燃料噴射器18も示されている。燃料噴霧は燃料噴霧液滴を含み、各燃料噴霧液滴は燃料分子吸収共鳴周波数を有する。シリンダがガソリン機関用のものであれば、気化した燃料噴霧を点火するために火花が必要である。しかし、ディーゼル機関用のものであれば、気化した燃料噴霧を点火するために火花は必要ない。ほとんどのディーゼル機関の場合、当業者に公知であるように、1つのシリンダに1乃至8個(もしくは更にそれ以上)の燃料噴射器ノズルが放射状に配置され得る。本発明においては、各噴射器ノズルはそれぞれの燃料前処理キャビティに配置され得る。燃料の種類が何であれ、燃料前処理キャビティ22は、燃料噴霧20が燃焼室14に入る前に燃料前処理キャビティ22を通過するように配置され得る。
また、適切な電磁波28を燃料前処理キャビティ22に導入するように構成された電磁エネルギー源24も示されている。電磁エネルギー源24は、燃料前処理キャビティ22において燃料液滴を体積加熱するのに適した電磁波長を放射するように構成される。導波管などの電磁波チャネリング装置26や、レーザ、光ファイバ、周期分極ニオブ酸リチウム装置(PPLN)などの非線形光学装置やその他の装置は、電磁波を燃料前処理キャビティ22に結合するために単独でまたは組み合わせて用いられ得る。
別の実施例では、燃料前処理キャビティ22と、電磁波または電磁エネルギー28と、燃料の分子吸収共鳴周波数とは、放射された電磁波28が電磁定在波(electromagnetic standing wave)を形成し得る条件を与えるように構成され得る。更に、電磁波は、燃料噴霧20が定在電磁波を通過する間に燃料液滴内で分子回転吸収及び/または分子振動吸収が発生するように好適に選択される。従って、燃料前処理キャビティ22及び電磁波28は、定在波が形成され得るようなサイズで、同時に一方では電磁波が燃料の体積加熱を促進するために十分な分子回転吸収及び/または分子振動吸収を達成する波長範囲内にあるように選択され得る。
図1に基づけば、燃焼室壁12は、ヒートシンクとして働き得るものであり、熱伝導金属から構成し得る。冷却のために、オプションで液体冷却材(図示せず)を外面に沿って循環させることもできる。燃料前処理キャビティをシリンダ壁本体の一部とすることで、燃料前処理キャビティ構造の過剰加熱が避けられ得る。
図2−A及び2−Bは、断面(図2−A)とシリンダ内から見た底面(図2−B)の2つの視点から見た別の実施例の図である。燃料噴射器18及び燃料前処理キャビティ22は図1に対応するが、この実施例では2つの要素が追加されている。1つは、複数の空気孔またはエアベント30である。より具体的には、幾つか(図2−Aの断面図では2つ)の放射状に構成されたエアベント30が、空気と燃料噴霧の混合を高めるために用いられる。しかし、その他の実施例を用いて同様の結果を得ることもできる。例えば、メッシュ壁を有する吊り下げ式の燃料前処理キャビティや、複数のエアベントを有する往復動機関の壁内に埋め込まれた燃料前処理キャビティが用いられ得る。エアベントが追加されるのであれば、その数及びサイズは、燃料前処理キャビティ内での定在波の形成に適したように構成されるか、反射性壁表面からの電磁反射率に適したように構成され得る。エアベントのサイズは、定在波が形成されるような実施例における波長より小さくし得るが、エネルギーが反射されて集中されるような実施例即ち燃料前処理キャビティの寸法と比較して非常に短い波長によって形成される定在波がないような実施例における波長より大きくなることがあり得る。
更に、図2−Aは、キャビティの周りにねじ山32が形成され、取り外し可能である燃料前処理キャビティの実施例を示す。従って、燃料前処理キャビティは、燃料前処理キャビティが損傷してしまった場合や何らかの別の理由によって必要になった場合、ねじ回し動作(点火プラグの取り外しに類似)によって取り外しが可能である。
図3−A〜3−Cを見ると、本発明の方法が模式的に示されている。図3−Aでは、方法の第1段階が示されている。第1段階では、発生器24と燃料噴射器18は共にアクティブモードにある。従って、電磁波28は、燃料噴霧20が噴射されるとき、キャビティ内で、放射及び反射されるか、定在波の形状をなすかの何れかである。図3−Bには第2段階が示され、噴射器18は非アクティブモードにある。しかし、燃料噴霧20は尚も燃料前処理キャビティ22にある。燃料噴霧は、尚も燃料前処理キャビティにあるので、電磁波28が燃料噴霧20の体積気化を生じさせ得るような位置に尚もある。従って、電磁波28は、燃料噴射器18が非活動化された後に、放射、反射及び/または共鳴され続け得る。図3−Cでは、燃料噴霧20はもはや燃料前処理キャビティ22に存在しない。電磁波28を燃料前処理キャビティに導入し続ける必要がないので、次の燃料噴霧サイクル開始まで状況に応じて電磁波のスイッチが切られてもよい。
上述した装置及び方法では、用いられる電磁波長が非常に短いような例えば赤外線である条件下において、波長のサイズに対して比較的大きな燃料前処理キャビティにおいて定在波を生じさせることは困難であり得る。このことは、壁に著しく接触することなく燃料噴霧が通過し得る程度に燃料前処理キャビティのサイズが十分に大きいときに特に当てはまる。図1〜3の構造は、より短い波長にもより長い波長にも用いられ得るが、より短い電磁波エネルギーを集中するためにより有効であり得るようなその他の実施例がある。
図4−A及び4−Bには、燃料噴霧20の軌道に関連して、だ円断面を有する燃料前処理キャビティ22を含む燃料前処理装置10が示される。より最適化された装置では、だ円断面は、2つの焦点X及びX’を有する数学的だ円であり得る。そのような燃料前処理キャビティ22の構造は、断面の2つの焦点を通過する2つの焦点軸を含み得る。燃料前処理キャビティ22は、反射性内面を有する燃料前処理キャビティ壁21によって画定され得る。例えば、燃料前処理キャビティ壁21は、オプションで光学ミラーを有し得る。
電磁エネルギー源50は、2つの焦点軸のうち電磁エネルギー源軸48として示される第1の軸に沿って動作可能であり、エネルギー集中領域52は2つの焦点軸の第2の軸に沿って配置されることが示される。電磁エネルギー源50は、燃料前処理キャビティ22内で動作可能であり、電磁エネルギーを壁に向かって放射するように構成される。エネルギー集中領域52は、燃料前処理キャビティ22内に配置され、壁から反射される電磁エネルギーを受け取るように構成され、それによってエネルギー集中領域52内においてエネルギー集中領域外の領域のものよりも大きな集中エネルギーを与える。
燃料前処理キャビティはまた、エネルギー集中領域を通過する軌道を描いて燃料噴霧20をディスペンシングするために構成されたディスペンシング端部19を有する燃料噴射器18を含み得る。一実施例では、電磁エネルギー源50は、幾つかのノード53(ポイントX、Y、Z)から電磁エネルギー源軸48に沿ってエネルギーを放射するように構成され得る。ここではそのようなノード53は3つしか図示されていないが、ノードの数は任意の数であってよい。反射性内壁21は、エネルギー強度が最小であるような位置に配置されるエアベント30を含み得る。好適には、エアベント30は、所望のエアフローを可能にするように約100μm以上であり得る。
燃料前処理キャビティの断面形状は、(例えば各ノード53から電磁エネルギー源軸48に沿って)放射された電磁エネルギー40が内壁21から反射するように、数学的だ円とし得る。電磁エネルギー44は、反射時に、エネルギー集中領域52の中または近傍を通過する。この原理を利用して、ミリメートル波またはそれより短い電磁波ですらも燃料前処理キャビティ内の予測可能な位置で集束または集中され得るような燃料前処理キャビティが設計され得る。エネルギー集中領域52に沿って、燃料がエネルギー集中領域52を通過する際に体積気化され得るように、燃料噴霧20は燃料噴射器18から噴射され得る。
好適な放射源は、スロットアンテナ、パッチアンテナ、誘電体棒、発光棒、発光装置、(ハーフ)ミラー、非線形光学結晶及び/またはこれらの組み合わせを含み得る。一実施例では、放射源は、電磁集中が最大になり得るように、その軸に垂直な電磁波を放射するように構成され得る。体積気化が向上され得るように、分子振動吸収周波数及び/または分子回転吸収周波数に対応する波長が用いられ得る。また、本発明のある実施例は、より長寸の燃料前処理キャビティを使用することによる気化プロセスの効率向上の恩恵を受ける。
図4−A及び4−Bの実施例は、数学的だ円断面を有する燃料前処理キャビティを示すが、これは唯一の機能的形状ではない。燃料噴霧が有効に体積気化されるように電磁エネルギー源軸48及びエネルギー集中領域52が構成され得るならば、任意の断面形状が用いられ得る。例えば、十分な集中エネルギーが燃料噴霧の軌道に沿って集束され得るならば、多角形断面を有する燃料前処理キャビティが用いられ得る。
図5−A及び5−Bは、反射性の燃料前処理キャビティ壁21に画定された円筒形燃料前処理キャビティ22を含む燃料前処理装置10を示す。この実施例では、複数の電磁エネルギー放射源50が円筒形燃料前処理キャビティ22の内壁21に沿って配置される。電磁エネルギー源50は、燃料前処理キャビティ内で動作可能であり、ここで電磁エネルギー源は反対側の壁に向かって電磁エネルギーを放射するように構成されている。図5−Bに示されるように、電磁エネルギー放射源50の反対の位置で電磁エネルギーを反射するように内壁21を構成することもできる。エネルギー集中領域52は燃料前処理キャビティ22の中心軸に沿って配置され、電磁エネルギーは壁から中心のエネルギー集中領域52へ反射され、それによってエネルギー集中領域52でより大きなエネルギーを与える。更に、燃料前処理キャビティ22内には、エネルギー集中領域を通過する軌道を描いて燃料噴霧20をディスペンシングするように構成されたディスペンシング端部19を有するような燃料噴射器18が配置され得る。従って、一実施例では、(例えば各電磁エネルギー放射源50に沿って任意のポイントから)放射される電磁エネルギー40は、燃料噴霧20の中に入るかこれを通過し、内壁21から反射されて燃料噴霧20に戻る。燃料液滴を体積気化するために用いられる電磁エネルギーとの干渉を避けるために、電磁エネルギー放射源50と反射性領域の間の内壁21にエアベント(図示せず)が配置され得る。
図6−A及び6−Bには、放物線状の反射性壁表面21を有する放物線形状の燃料前処理キャビティ22を含むような燃料前処理装置10が示されている。電磁エネルギー源50は、燃料前処理キャビティ22内で動作可能であり、壁21に向かって電磁エネルギーを放射するように構成される。エネルギー集中領域52も燃料前処理キャビティ22内に配置され、電磁エネルギーは壁21からエネルギー集中領域52へ反射され、それによってエネルギー集中領域外の領域よりも大きい集中エネルギーをエネルギー集中領域に与える。更に、ディスペンシング端部19を有する燃料噴射器18は、エネルギー集中領域を通過する軌道を描いて燃料噴霧20をディスペンシングするように構成される。
この実施例では、電磁エネルギー放射源50は、例えば、複数の単方向性源とするか、または表面エミッタとし得る。従って、放射される電磁エネルギーまたは電磁波40は、燃料前処理キャビティ22の内壁21からまたは燃料前処理キャビティ22の内部で反射されるように構成される。反射された電磁エネルギー44は、次に、エネルギー集中領域52(横断ポイントX’及びY’として定義される)または特定のポイントまたはノード(例えばX’及び/またはY’)を通過する。換言すれば、上述した実施例のように、電磁エネルギー放射源50は、不連続なノード53で或いはエネルギー集中領域52に沿って連続的にエネルギーが集中されるようにエネルギーを放射し得る。更に、上記実施例と同様にエアベント(図示せず)を設けてもよい。燃料噴霧20をディスペンシング端部19から噴出させ、燃料がエネルギー集中領域52を通過するようにし、それによって燃料噴霧または燃料液滴を体積気化させてもよい。
図7−A及び7−Bには、オプションの燃料前処理キャビティ壁21によって画定されるオプションの燃料前処理キャビティ22を有するような燃料前処理装置10が示される。この実施例では、電磁エネルギー40は必ずしも壁から反射されてエネルギー集中を与えるわけではないので、燃料前処理キャビティは必要ない。例えば、電磁エネルギーは、燃焼室(図示せず)内で方向付けられ得る。ディスペンシング端部19を有する燃料噴射器18も存在し、所定の軌道を有する燃料噴霧20を燃料前処理キャビティに噴霧する。電磁エネルギー源50は、電磁エネルギーを軌道を通って燃料前処理キャビティ22に導入するために構成され得る。電磁エネルギー源50は、燃料噴射器18から噴出される燃料噴霧液滴の体積加熱を達成するようにも構成され得る。エネルギー集中領域52は、オプションの燃料前処理キャビティ22内に配置され得る。この実施例では、エネルギー集中領域52は、エネルギー集中領域外の領域よりも大きなエネルギー集中を電磁エネルギー源50から受け取るために構成される。
この実施例では、複数の電磁エネルギー放射源50は、燃料噴射器18の周りに放射状に配置され得る。従って、放射された電磁エネルギーまたは電磁波40は、エネルギー集中領域52を通過するように構成される。換言すれば、上述した実施例のように、電磁エネルギー放射源50は、エネルギーをエネルギー集中領域52で連続的に集中されるように或いは燃料噴霧サイクルに従って断続的に集中されるように放射し得る。更に、上述したようにエアベント(図示せず)が存在してもよい。燃料噴霧20は、従って、燃料が体積気化され得るようにエネルギー集中領域52を通過して噴射される。
図8−A及び8−Bには、周期分極ニオブ酸リチウム装置構造31が示される。これらの図は、電磁波を燃料前処理室に導入するために用いられ得る可能性のある装置構造を説明するために与えられている。周期分極ニオブ酸リチウム装置の実施には、電磁エネルギーコンジット33と、オプティカルカプラ35と、非線形波長変換器37と、保護オプティカルカプラ39とを含み得る。先ず、入力電磁エネルギー41は、電磁エネルギーエネルギーコンジット33に導入及び伝導され、その後オプティカルカプラ35内を通過する。次に、電磁エネルギーは、PPLN37内を通過する。次に電磁エネルギーは保護オプティカルカプラ39を経て燃料前処理キャビティに放射されるが、エネルギーは、保護オプティカルカプラ39を通過した後で、放射電磁エネルギー40の形をなす。周期分極ニオブ酸リチウム装置は、上述した実施例の任意の電磁エネルギー源または電磁波源として使用され得る。
図9には、直接燃料噴射式往復動機関13と共に用いるための燃料前処理装置の実施例が示されている。そのような燃料前処理装置は通常、吸気バルブ11と、燃焼室14を画定する燃焼室壁12と、ピストンヘッド16と、従来の機関における吸気ポート(または吸気マニホルド)でもあるような、燃料前処理キャビティ22を画定する燃料前処理キャビティ壁21とを含む。燃料前処理キャビティ壁21は、オプションで電磁エネルギーを反射するようにも構成され得る。当業者に公知であるような、ピストンヘッドの周期運動に関連して適切な時点で存在するような燃料噴霧20と共に燃料噴射器18も示されている。燃料前処理キャビティ22が設けられ、燃料噴霧20が燃料前処理キャビティ22を通過して燃焼室14に入るように配置される。また、電磁波28を放射するように構成された電磁エネルギー源24も示されている。周期分極ニオブ酸リチウム装置31は、例えば、電磁波を燃料前処理キャビティ22に結合するために用いられ得る。ここでは周期分極ニオブ酸リチウム装置が例示されているが、本発明の実施例に基づき用いるのに適した電磁エネルギー源または電磁波源が用いられ得る。
図10−A及び10−Bには、ワイヤレス点火プラグ58の実施例を示す。ここでは、機関シリンダに点火プラグを出し入れするために用いられ得るナット60が設けられている。ねじ山62は、従来の点火プラグと同様に機能する。電気的に非伝導性であり、非常に高い温度に耐え得るような物質、例えばセラミックやその他の適切な材料から製造され得るような絶縁体64を設けることもできる。この実施例では、金属材料を含む接地リング66は、アンテナ68のアレイを形成するような幾つかのアンテナと小さなギャップ70を隔てて交差するように配置される。アンテナ68は、各アンテナの末端が接地リング66の近傍に配置されてギャップ70を形成するように部分的に開放された環を形成する。
ワイヤアンテナは、通常の点火プラグと同様に電磁波エネルギーを集めて火花を発生させるために用いられ得るが、点火プラグを電源に配線するように要求されることはない。燃料蒸気に事実上透過性を有するような電磁波周波数(本発明に基づき前処理されるか否か)を選択することにより、気化されたガソリンを点火するために供し得る火花が生成され得る。そのようなデザインは、火花が位置及び強度に関して安定しているであろうから、その他の電磁波点火装置よりも有利であろう。更に、点火プラグの配線の必要がなくなり、配線に関して複雑さが少ない小さなワイヤレス点火プラグが形成され得る。これにより1つの燃焼室により多くの点火プラグが含まれ得るようになり、より迅速かつより完全な燃焼を行う能力が増加することになる。
図11−A及び11−Bに、ワイヤレス点火プラグの別の実施例を2つ示す。図11−Aでは、接地リング66は、一部が絶縁体64の外部にあるように配置される。この実施例には絶縁体64が示されているが、必須ではない。換言すれば、ねじ部分62と接地リング66とは、相互に直接接続され得る。図11−Bでは、各アンテナの末端が近接して配置されかつ適切な火花ギャップ70を形成するように1対のアンテナ68が構成されるので、接地リングはない。2つのアンテナ68が発生させる火花は燃焼室の中心により近いところにあり得るので、このようなデザインは有利であり得る。点火点はプラグがシリンダに入る点よりもむしろ燃料質量の中心に近接し得るので、燃料のより完全かつ迅速な燃焼を助け得る。このようなデザインはまた、シリンダに対する火花の位置と、アンテナの長さ及び電磁波の波長により決定される火花の大きさとを考慮して、最大の効率が得られるようにアンテナ68の長さが選択され得る点でも有利であり得る。図に示されているように、2つのワイヤアンテナ68のうち一方は絶縁体64に、他方は導電性ねじ部分62に接続されるようにすることができる。ワイヤレス点火プラグをこのように構成することにより、2つのアンテナの一方と他方に異なるモードで電圧を印加することが可能になる。換言すれば、2つのアンテナの一方はギャップまたはその付近で最大の電圧を有し得るが、他方は最大の電圧を有しないことになる。従って、ギャップ70における2つのアンテナ68の電圧差によって、火花の発生がより容易になるであろう。
ワイヤレス点火プラグの原理は、単純な共鳴ワイヤアンテナに基づき得る。本発明に用いた場合、アンテナは、次式に基づく波長を有する電磁波を受信する。
L=mλ/2
m=1,2,3,4,5,など
(図10a、10b、11b)

L=λ(1/4+n/2)
n=0,1,2,3,4,5,など
(図11a)

ここで、Lはワイヤアンテナ(当業者に公知であるような直線または曲がったもの)の電気的長さ、λは波長、m及びnは特定の範囲の整数である。このような組み合わせによって、アンテナのギャップ端で常に最大であるような定在波が形成される。一実施例では、アンテナのギャップ端は、インピーダンスが最も大きいところである。というのもアンテナのギャップ端は絶縁されており、電流は相応じてアンテナのギャップ端で最大となるためである。
ワイヤレス点火プラグは、火花を発生させるのに十分な電圧差を生み出すような種々の受信アンテナ構造を用いることにより、受信アンテナのこれらの特性を利用する。例えば、アンテナ受信装置は、接地リングなどの接地装置の近傍に末端が位置するように部分的に開放された環を形成し得る。或いは、アンテナ受信装置は、ギャップで極めて近接して配置された1対の金属アンテナであって、一方が絶縁され、他方が点火プラグの接地された導電性部分に直接接続されたようなものであり得る。用いられる構造に拘らず、エネルギー源は、マイクロ波やその他の電磁エネルギー波を燃焼室に放射することによってギャップで火花を発生させ、気化したガソリンの点火を達成し得るように構成されなければならない。
用いられる受信装置が絶縁されたアンテナであれば、アンテナは、低い電圧で電気導体と組み合わせて構成され得る。アンテナの一端は、接地された導体に非常に近いところにはあるが接触はしない。アンテナと接地の間にできる小さなギャップは、火花ギャップとして働く。アンテナ端部の電圧が接地電圧に比べて十分に高い電圧に達したとき、火花ギャップで火花が発生する。この火花は、往復動機関のシリンダにおいて燃料の点火源として働く。
図12は、往復動機関において燃料前処理室に電磁波を導入するための別の装置を示す。符号72で示されているのは、アプリケータチャンバ即ち燃料前処理キャビティ74内で共鳴波73を生成するように構成された進行波共鳴器装置である。電磁波発生器76によって生成される循環波の周波数が共鳴リング78の基礎共鳴周波数の整数倍であるとき、アプリケータチャンバ74内で共鳴が起こる。移相器82は、共鳴が起こるまで進行波の位相を調整する。方向性結合器80は、電磁波発生器76から移相器82またはダミー荷重84へエネルギーを経路指定する。共鳴リング78が補助のエネルギーを必要とするとき、方向性結合器80は追加のエネルギーがリング78に入ることを可能にする。リングが補助エネルギーを必要としないときは、方向性結合器80は発生器76からのエネルギーをダミー荷重84へ流し得る。
図13は、図12に示したアプリケータチャンバ74のより詳細な図面である。符号10で示されているのは、往復動機関において用いるための燃料前処理装置である。燃料前処理装置10は通常、燃焼室14を画定する燃焼室壁12と、ピストンヘッド16とからなる。当業者に公知であるような、ピストンヘッドの周期運動に関連して適切な時点で存在するような燃料噴霧20と共に燃料噴射器18も示されている。この実施例では、燃料噴霧20は、アプリケータチャンバ即ち燃料前処理キャビティ74を通過してから燃焼室14に入り得る。アプリケータチャンバ74内の共鳴波73は、共鳴波73の周波数が燃料噴霧20の体積加熱を促進するべく十分な分子回転吸収及び/または分子振動吸収を達成するに足るような範囲内にあるように生成される。
この実施例は、アプリケータチャンバの物理的なサイズや形状を考慮することなく、燃料の分子共鳴に基づいて電磁波の波長が選択され得るので、有利である。チャンバの共鳴は移相器を調整することによって達成されるので、チャンバのサイズや形状に拘らず電磁波の任意の周波数で共鳴を起こすことができる。このように波長が自由に選択できるので、アプリケータチャンバのデザイン及び装置の効率の最大化において自由度が大きくなる。
本明細書中に示される実施例及び同等の実施例のより一般的な考察に目を向ければ、用途の必要性に応じて種々の改変が可能である。例えば、電磁エネルギーの波長または周波数は、特定の用途において重要事項となり得る。例を挙げると、通常の電子レンジは通常2.45GHzの周波数で作動し得る。この周波数は、多くの食品に見られるような軽度にイオン化された結合水を加熱するための機能を与える。食用油や、水分を含まないその他の炭化水素は、この周波数範囲にあるマイクロ波を透過させることが知られている。ガソリンまたはディーゼル燃料、或いは水を含まないほとんどの全ての炭化水素を気化させるために、燃料を軽度にイオン化された水分と混合するか、或いは異なる周波数範囲を選択する必要がある。機関の燃焼室に追加の水分を導入することは、種々の理由から好ましくない。
往復動機関で通常用いられる機関燃料に対しては、燃料により効率的に吸収され得る電磁波周波数を選択することがより実用的である。本発明に基づき上述した任意の実施例において任意の機能性周波数が考えられるが、好適には約3ギガヘルツ(GHz)から3ペタヘルツ(PHz)の周波数が用いられる。そのような周波数範囲は、0.1μm以上10cm以下の対応する波長を有するが、これは一般的に直径が20mmまたはそれ以下であるような燃料噴霧液滴に比べて十分大きい。そのような波長は、燃料液滴の表面のみを気化する伝導及び対流伝熱による気化の現行手段とは対照的に、体積加熱による噴射液滴の急速な気化を可能にし得る。一実施例では、通常の炭化水素ベースの燃料の急速な噴射液滴気化を向上させるための好適な波長は、1μm以上12μm以下の赤外線領域内にある。更に好適な波長範囲は、燃料の選択及び/またはキャビティ構造に応じて、3μm以上4μm以下または9μm以上10μm以下であり得る。
良好な体積加熱のための波長に適合するように燃料が選択され得るような実施例を説明するために、遠赤外線領域における8μm以上12μm以下(好適には9μm以上10μm以下)の波長を有するエネルギーを使用することが考えられる。より良好な体積加熱のために、アルコールなどの体積加熱エンハンサーを燃料に含める(または燃料自体として用いる)ことができる。例として、メタノール及び/またはエタノール、及びこの範囲で吸収するような当業者に公知であるような任意の多数のその他のアルコールまたはその他の炭化水素が挙げられる。2-メトキシ-2-メチルプロパンは、公知の燃料添加剤の別の例であり、ガソリンのためのオクタンブースタとして現在販売されており、約10μmのエネルギー波長でエネルギーを吸収することになる。一実施例では、ガソリンやディーゼル燃料などの1次燃料は、ある関数比率でエネルギー吸収エンハンサーと混合され得る。例えば、メタノール、エタノール、及び/または約9μm以上10μm以下の波長を有するエネルギーを吸収することが知られているその他のエンハンサーを単独で用いるか、1次燃料にエンハンサーを加えてもよい。ガソリンやディーゼル燃料などの1次燃料とエンハンサーとの関数比率は、重量百分率または体積百分率でエンハンサー成分が100%からエンハンサー成分が0.0001%(1ppm)の間であり得る。9μmから10μmの波長範囲が例示されているが、その理由は、そのような波長は広く市販されているCOレーザによって容易に形成され得るからである。燃料が改質されていてもいなくても、使用燃料の体積加熱のために波長が有効である限り、本明細書中で説明した任意の波長が用いられ得る。
別の好適実施例を示すために、電磁波源が複数の電磁波周波数を燃料前処理キャビティに導入するように構成することもできる。メタン、エタン、プロパン、ブタン、オクタン、ヘキサデカン、エタノール等の赤外線吸収−波長スペクトルは、約3μm以上4μm以下の波長で高いエネルギー吸収を示すことが観察されている。この波長での炭素−水素結合は、分子振動エネルギー吸収によって体積加熱を生じさせると考えられる。
電磁エネルギー波が赤外線領域にあるとき、ガラスやシリカなどの光学材料は不透明になる。それゆえ、レンズとして作用し得るように、フッ化カルシウム(CaF)を利用して光学要素を構成することは有用であり得る。光学技術の更なる進歩に合わせて、例えば3.5μmの波を直接発生させる能力がある光源の使用を含めて、そのようなオプティクスの変更が本発明に組み込まれ得ることを考慮されたい。
燃料の体積気化を達成するために、電磁周波数/波長が燃料の分子共鳴波長に合致されることが好ましい。そのような共鳴周波数は、振動分子共鳴吸収及び/または回転分子共鳴吸収が発生するように合致され得る。説明されているように共鳴周波数を用いることが理想的であるが、任意の程度まで体積前処理または体積気化を与えるために有効であるような任意の程度の振動共鳴または回転共鳴の何れもが本発明の範囲内にある。
ここで開示した図面またはその他の実施例またはそれと同等の構造または方法に関して言えば、これらの技術に用いられ得る燃料には、ガソリン、ディーゼル燃料、油、アルコール、バイオディーゼル油、その他の代替燃料、改質燃料、燃料混合物などがある。しかし、特にガソリン機関及びディーゼル燃料機関の分野において、大いなる必要があると認識されてきた。更に、全ての図において曲面壁が示されているが、全ての実施例においてそうである必要はない。例えば、当業者は、本明細書の開示から、平面及び/または多角形の壁の使用を含む非曲面壁が用いられ得る実施例もあり得ることがわかるであろう。更に、好適実施例は典型的には分子共鳴を得ることによって体積加熱を促進するが、これは必ずしも唯一の加熱メカニズムではない。
このことに留意すれば、本発明は、上記実施例で述べたように、直接燃料噴射装置または間接燃料噴射装置のいずれかにより往復動機関のシリンダへ燃料を送るための燃料前処理装置に帰結され得る。本発明は、内燃機で使用するための燃料を前処理する方法も開示する。これらの発明は、電磁エネルギーを使用して往復動機関において燃料を前処理し、点火エネルギーを増加させ、ガソリン機関に関連して火花を生成するという点において単一性を有している。電磁波エネルギーを用いて燃料を前処理即ち体積加熱してから点火することにより、より完全な気化を行い得る。例えば、従来の燃料燃焼プロセスでは、液体燃料は伝導及び対流伝熱によって表面から中心へと加熱される。これでは液体燃料液滴の内部より先に燃料液滴の外部が気化される。気化された部分は急速に燃焼されることになり、液体中心はゆっくり燃焼するだけである。液体燃料液滴の中心がこのようにゆっくり燃焼するのは、不完全燃焼の原因になる。従って、燃料液滴の一部は、所望のように排出されるのではなくすすとして燃焼室から排出され、すすの堆積及びより望ましくないエミッションにつながる。逆に、正しい条件下では、電磁波は燃料体積全体を(内外共に)加熱するために用いられ得る。これは、表面または表層のみを加熱し、伝導及び対流伝熱に依存して燃料体積(fuel volume)の内部を加熱するのとは対照的である。換言すれば、点火前に電磁波エネルギーを用いて燃料液滴を加熱することにより、液滴の外面は液滴の中心と同時に加熱され得る。結果的に、燃料液滴の液体中心がゆっくり燃焼することはなくなる。むしろ、燃料液滴全体が体積気化され、気化された液滴全体は実質的に完全燃焼し得る。燃料の体積全体を加熱するために実行され得る条件の1つは、用いられる電磁波の波長に匹敵するかそれより小さい燃料液滴を供給することである。例を挙げると、通常の燃料噴霧は直径約20μmの燃料液滴を含むが、これは赤外線の波長に匹敵する。従って、別の実施例では、上述したように、約3〜300THz(波長100μm〜1μm、赤外線)の電磁エネルギーが体積加熱を生成し得る。
上述した実施例及びそれと同等のものは、電磁エネルギーの1回の通過(single pass)でエネルギーを燃料へ十分に伝達し得る。従って、燃料前処理装置は、燃焼室から離隔した分離燃料前処理キャビティを含まないという選択肢があってもよい。もし、例えばマイクロ波エネルギーが用いられるならば、電磁波源は導波管によって燃料前処理キャビティに結合され得る。特に、導波管は、シリンダ内で圧力を維持するべく作動し、マイクロ波エネルギーに対してほとんど不可視(invisible)であるようなプラグを有するターミナルインターフェイスを有し得る。そのようなプラグに対する適切な材料は、マイクロ波エネルギーに対して不可視であり、内燃機のシリンダで発生する熱及び圧力に耐え得るようなセラミック材料である。特に、非常に高い圧力が存在するディーゼル機関に関しては、そのようなプラグが望ましい。セラミックプラグの厚さが半波長または半波長と1波長の整数倍との和(例えばλ/2+nλ、n=0,1,2,3,・・・、ここでλは1波長)に等しければ、電磁波は単にプラグを通過することになり、反射は起こらない。一実施例では、シリンダから離れるにつれて壁が先細になるようにプラグが構成され得る。従って、導波管が末端でホーンアンテナのように構成されれば、シリンダ内で発生する正圧はホーンアンテナの壁に対してプラグを押し込むことになり、それによってプラグの導波管内へのすべりを防止する。
ガソリン機関では、点火の瞬間のチャンバの内部状態は、通常、圧力が3〜5気圧(atm)、温度が200〜300℃である。ディーゼル機関では、10atm、300〜500℃程度であり得る。マグネトロンや半導体装置等の通常のマイクロ波発生器及び通常の導波管は、そのような状態に耐え得るように設計されていない。従って、上述したようなプラグの使用は、このような不適合を幾分か軽減し得る。
燃料前処理装置は、更に、燃焼が間欠的ではなく連続的であるような非往復機関で用いられ得る。本発明により実現され得る燃料前処理装置に組み込むように設計し得る非往復機関の例としては、ジェットエンジン、ガスタービンエンジン、炉などがある。ここに例示したものは連続燃焼により定常状態で運転されるので、本発明の燃料前処理装置は、よりクリーンな燃焼を可能にするために点火することなしに燃料を気化させるべく組み込まれ得る。
上述したように、本発明は、ガソリン機関及びディーゼル機関の両方に、そしてその他の機関にも適用され得る。ガソリン機関が用いられるのであれば、追加の点火源が必要である。点火源は、従来の点火プラグまたは本明細書中に記載されたワイヤレス点火プラグとし得る。
いずれの実施例(自己点火または火花点火)においても、燃料前処理キャビティは、(図3−A〜3−Cに示されるような)燃焼室に突き出すような幾何学的スリーブ(円筒形、四角形、長方形、多角形など)の形をなし得る。或いは、燃料前処理キャビティは、(図1、2−a、2−bに示されるように)シリンダの壁に埋め込まれ得る。そのようなデザインによって特定の利益がもたらされ得るので、より望ましい構造である。例えば、作動中の燃焼室の温度は非常に高いので、機関シリンダの壁はヒートシンクとして作用するように設計され得る。更に、シリンダの外面の周りに冷却材を循環させ、シリンダ壁を冷却し、それによって燃料前処理キャビティの壁を冷却してもよい。用いられるデザインにかかわらず、燃料前処理キャビティは、定在波の有効な形成を促進するような形状に構成され得る。更に、燃料前処理キャビティの壁は、燃料の前処理に用いられる電磁波を反射するようなものであるべきである。
上述した実施例では、燃料前処理キャビティはバルブによって燃焼室から離隔され得るが、燃焼室から離隔された燃料前処理キャビティは、燃料液滴体積加熱または気化を向上するべく作用し得る。向上された気化はまた、燃焼室に伝達される前に実質的に完了し得る。バルブは、断続的な開口部として運転に供され、燃料前処理キャビティを燃焼室に断続的に流体的に結合する。
上述した全ての実施例で考慮されているが、エアベントを用いて燃料前処理キャビティを燃焼室に流体的に接続し、空気と燃料噴霧の混合を促進することができる。更に、エアベントなしでも燃料前処理キャビティは燃焼室に流体的に結合されることができ、状況に応じて、図2−Aに示されるようにねじを備えるなどして取り外し可能に製造され得る。取り外し可能であれば、燃料前処理キャビティが損傷を受けたときなどに、燃焼室または吸気マニホルド全体を交換することなしに燃料前処理キャビティの一部を交換することができるので有益であろう。燃料前処理キャビティは与えられた全ての実施例で厳格に要求されるものではないので、燃料前処理キャビティ以外の構造もまた取り外し可能とし得る。例えば、電磁波源は取り外し可能とし得る。
これまでに説明された任意の構造または同等の構造を利用し得るような、往復動機関で使用するための燃料を前処理する方法もまた開示される。燃料を前処理する方法は、往復動機関内で壁によって画定される燃料前処理キャビティに燃料を噴射する過程と、燃料前処理キャビティに電磁波を放射しかつ電磁波をキャビティ壁から燃料噴霧へ反射させて、燃料噴霧に対して分子振動共鳴吸収を起こさせる過程とを含む。燃料を前処理する方法は、燃料噴霧液滴の体積加熱を達成するような電磁定在波を形成するべく、電磁波長と、燃料前処理キャビティ寸法と、燃料共鳴周波数とを相互に関連付ける過程を更に含み得る。或いは、燃料を前処理する方法は、光学ミラーによって燃料前処理キャビティを少なくとも部分的に画定し、それによって、燃料前処理キャビティに導入されて反射される電磁波が燃料噴霧を通過して反射されるように表面を与える過程を含み得る。電磁波を導入する過程は、波長が0.1μm以上10cm以下である電磁波の使用を含み得る。一実施例では、導入された電磁波は、赤外線領域にあり得る。別の実施例では、電磁波は波長が3μm以上4μm以下であり得る。更に別の実施例では、電磁波は波長が9μm以上10μm以下であり得る。後二者の実施例では、電磁波はそれぞれ周期分極ニオブ酸リチウム装置またはCOレーザ装置によって導入され得る。燃料を前処理する方法は、直接燃料噴射装置または間接燃料噴射装置(吸気ポート噴射装置としても知られている)によって往復動機関内で実行され得る。
上記の参照された装置は、本発明の原理の用途を説明するためのものであることを理解されたい。本発明については、図面を参照しながら本発明の実施例に関連して説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の改変及び代替装置を考案することができる。特許請求の範囲に規定された本発明の原理及び概念から逸脱することなく種々の改変をなし得ることは、当業者に明らかであろう。
実質的に気化された燃料を往復動機関の燃焼室に送るための燃料前処理/気化装置の概略図である。 本発明の原理に基づく取り外し可能な燃料前処理/気化装置の断面概略図である。 本発明の原理に基づく取り外し可能な燃料前処理/気化装置を底部から見た概略図である。 本発明の運転モードの実施例を示す概略図である。 本発明の運転モードの実施例を示す概略図である。 本発明の運転モードの実施例を示す概略図である。 往復動機関の実質的にだ円断面を有するキャビティにおいて燃料を実質的に気化するための別の燃料前処理装置の概略内部斜視図である。 往復動機関の実質的にだ円断面を有するキャビティにおいて燃料を実質的に気化するための別の燃料前処理装置の概略側面図である。 往復動機関の実質的に円筒形の燃料前処理キャビティにおいて燃料を実質的に気化するための更に別の代替燃料前処理装置の概略内部斜視図である。 往復動機関の実質的に円筒形の燃料前処理キャビティにおいて燃料を実質的に気化するための更に別の代替燃料前処理装置の概略側面図である。 往復動機関の燃料キャビティの実質的に放物線状の壁により燃料を実質的に気化するための更に別の代替燃料前処理装置の概略内部斜視図である。 往復動機関の燃料キャビティの実質的に放物線状の壁により燃料を実質的に気化するための更に別の代替燃料前処理装置の概略底面図である。 往復動機関の燃料前処理キャビティにおいて燃料を実質的に気化するための更に別の燃料前処理装置の概略内部斜視図である。 往復動機関の燃料前処理キャビティにおいて燃料を実質的に気化するための更に別の燃料前処理装置の概略底面図である。 電磁エネルギーを往復動機関の燃料前処理チャンバに導入するために用いられ得るような周期分極ニオブ酸リチウム(PPLN)光学パラメトリック発振器の概略斜視図である。 電磁エネルギーを往復動機関の燃料前処理チャンバに導入するために用いられ得るような周期分極ニオブ酸リチウム(PPLN)光学パラメトリック発振器の概略側面図である。 間接燃料噴射装置を有する往復動機関における燃料を実質的に気化するための更に別の燃料前処理装置の概略図である。 火花を必要とする往復動機関のシリンダ内で用いられ得るワイヤレス点火プラグの実施例を示す図である。 火花を必要とする往復動機関のシリンダ内で用いられ得るワイヤレス点火プラグの実施例を示す図である。 火花を必要とする往復動機関のシリンダ内で用いられ得るワイヤレス点火プラグの実施例を示す図である。 火花を必要とする往復動機関のシリンダ内で用いられ得るワイヤレス点火プラグの実施例を示す図である。 進行波共鳴器を利用した別の燃料前処理装置を概略的に示す図である。 進行波共鳴器を利用した別の燃料前処理装置を概略的に示す図である。

Claims (64)

  1. 燃料効率を向上させるための往復動機関であって、
    (a)燃焼室と、
    (b)前記燃焼室に流体的に接続された壁によって画定される燃料前処理キャビティと、
    (c)前記燃料前処理キャビティから燃料噴霧を噴出するための燃料噴射器装置と、
    (d)前記燃料前処理キャビティへ電磁波を導入し、前記燃料噴霧においては前記燃料噴射器から噴出される燃料噴霧液滴の体積加熱を達成するように構成された電磁波源とを有することを特徴とする往復動機関。
  2. 前記燃料噴霧液滴の体積加熱を達成するような電磁定在波が形成可能であるように、電磁波長と、燃料前処理キャビティ寸法と、燃料分子吸収共鳴周波数とを相互に関連付けて前記燃料前処理キャビティ及び前記電磁波源が構成されることを特徴とする請求項1に記載の往復動機関。
  3. 前記燃料前処理キャビティが、前記燃料噴霧を通過して前記電磁波を反射するような光学ミラーによって少なくとも部分的に画定されることを特徴とする請求項1に記載の往復動機関。
  4. 前記燃料前処理キャビティが、前記燃焼室の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項1に記載の往復動機関。
  5. 前記電磁波を前記燃料前処理キャビティに導入するように構成された共鳴リングを有するような進行波共鳴器を更に有することを特徴とする請求項1に記載の燃料効率を向上させるための往復動機関。
  6. 前記電磁波の波長が、0.1μm以上10cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の往復動機関。
  7. 前記電磁波が、赤外線領域内にあることを特徴とする請求項1に記載の往復動機関。
  8. 前記電磁波の波長が、3μm以上4μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の往復動機関。
  9. 前記電磁波の波長が、9μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の往復動機関。
  10. 前記電磁波源が、前記電磁波を周期分極ニオブ酸リチウム装置経由で前記燃料前処理キャビティに導入するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の往復動機関。
  11. 前記電磁波源が、複数の電磁波周波数を前記燃料前処理キャビティに導入するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の往復動機関。
  12. 前記燃料前処理キャビティが、複数のエアベントを更に有することを特徴とする請求項1に記載の往復動機関。
  13. 前記燃料前処理キャビティが、前記燃焼室から取り外し可能であることを特徴とする請求項4に記載の往復動機関。
  14. 往復動機関のチャンバに燃料を送るための燃料前処理装置であって、
    (a)反射性内面を有する壁によって画定される燃料前処理キャビティと、
    (b)前記燃料前処理キャビティ内で作動可能でありかつ前記反射性内面から反射されるように電磁エネルギーを放射するべく構成された電磁エネルギー源と、
    (c)前記燃料前処理キャビティ内に配置され、反射された電磁エネルギーを集中エネルギーとして受け取るためのエネルギー集中領域であって、前記エネルギー集中領域外の領域よりもエネルギー集中度が大きいような前記エネルギー集中領域と、
    (d)前記エネルギー集中領域を通過する軌道を描いて前記燃料噴霧をディスペンシングするように構成されかつ方向付けられたディスペンシング端部を有するような燃料噴射器とを有することを特徴とする燃料前処理装置。
  15. 前記燃料前処理キャビティが、前記燃料噴霧の前記軌道に関連してだ円断面を有することを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  16. 前記だ円断面が、2つの焦点を有する数学的だ円であり、前記燃料前処理キャビティが、前記断面の前記2つの焦点を通過する2つの焦点軸を有することを特徴とする請求項15に記載の燃料前処理装置。
  17. 前記電磁エネルギー源が、前記2つの焦点軸の第1の軸に沿って配置され、前記エネルギー集中領域が、前記2つの焦点軸の第2の軸に沿って配置されることを特徴とする請求項16に記載の燃料前処理装置。
  18. 前記電磁エネルギーが、前記エネルギー集中領域に沿って複数の位置で前記燃料噴霧を通過することを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  19. 前記反射性内面が、放物線をなすことを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  20. 前記エネルギー集中領域が、前記放物線の焦点領域に実質的に配置されることを特徴とする請求項19に記載の燃料前処理装置。
  21. 前記電磁エネルギー源が、前記燃料前処理キャビティ内の前記壁の少なくとも1つに沿って配置されることを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  22. 前記燃料前処理キャビティ内の前記壁の少なくとも1つに沿って配置される複数の電磁エネルギー源を更に有することを特徴とする請求項21に記載の燃料前処理装置。
  23. 前記燃料前処理キャビティが、実質的に円筒形であることを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  24. 前記エネルギー集中領域が、前記円筒の中心軸に沿って配置されることを特徴とする請求項23に記載の燃料前処理装置。
  25. 前記電磁エネルギー源が、電磁波を周期分極ニオブ酸リチウム装置経由で前記燃料前処理キャビティに導入することを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  26. 前記壁の少なくとも1つが、光学ミラーを含むことを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  27. 前記燃料前処理キャビティに流体的に接続された燃焼室を更に有することを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  28. 前記燃料前処理キャビティが、前記燃焼室から取り外し可能であることを特徴とする請求項27に記載の燃料前処理装置。
  29. 前記燃料前処理キャビティが、複数のエアベントを更に有することを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  30. 前記電磁エネルギーが、波長が0.1μm以上10cm以下である電磁波を含むことを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  31. 前記電磁エネルギーが、赤外線領域内にある電磁波を含むことを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  32. 前記電磁エネルギーが、波長が3μm以上4μm以下である電磁波を含むことを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  33. 前記電磁エネルギーが、波長が9μm以上10μm以下である電磁波を含むことを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  34. 前記燃料噴射器が、直接燃料噴射装置として作動することを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  35. 前記燃料噴射器が、間接燃料噴射装置として作動することを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  36. 前記電磁エネルギー源が、複数の電磁波周波数を前記燃料前処理キャビティに導入することを特徴とする請求項14に記載の燃料前処理装置。
  37. 往復動機関のチャンバに燃料を送るための燃料前処理装置であって、
    (a)壁によって画定される燃料前処理キャビティと、
    (b)軌道を有する燃料噴霧を前記燃料前処理キャビティに噴出するための燃料噴射器と、
    (c)前記軌道を通って電磁エネルギーを燃料前処理キャビティへ導入するように構成され、前記燃料噴射器から噴出される燃料噴霧液滴の体積加熱を達成するべく更に構成された電磁エネルギー源と、
    (d)前記燃料前処理キャビティ内に配置され、前記電磁エネルギー源から前記電磁エネルギーを受け取るためのエネルギー集中領域であって、前記エネルギー集中領域外の領域よりも前記電磁エネルギー源から受け取るエネルギー集中度が大きいように構成された前記エネルギー集中領域とを有することを特徴とする燃料前処理装置。
  38. 前記電磁エネルギー源が、前記電磁波を周期分極ニオブ酸リチウム装置経由で前記燃料前処理キャビティに導入することを特徴とする請求項37に記載の燃料前処理装置。
  39. 前記燃料前処理キャビティに流体的に接続された燃焼室を更に有することを特徴とする請求項37に記載の燃料前処理装置。
  40. 前記燃料前処理キャビティが、燃焼室であることを特徴とする請求項37に記載の燃料前処理装置。
  41. 前記燃料前処理キャビティを画定する表面が、前記電磁エネルギーを反射するように構成されることを特徴とする請求項37に記載の燃料前処理装置。
  42. 前記燃料前処理キャビティが、前記燃焼室から取り外し可能であることを特徴とする請求項37に記載の燃料前処理装置。
  43. 前記電磁エネルギーが、波長が0.1μm以上10cm以下である電磁波を含むことを特徴とする請求項37に記載の燃料前処理装置。
  44. 前記電磁エネルギーが、赤外線領域内にある電磁波を含むことを特徴とする請求項37に記載の燃料前処理装置。
  45. 前記電磁エネルギーが、波長が3μm以上4μm以下である電磁波を含むことを特徴とする請求項37に記載の燃料前処理装置。
  46. 前記電磁エネルギーが、波長が9μm以上10μm以下である電磁波を含むことを特徴とする請求項37に記載の燃料前処理装置。
  47. 前記燃料噴射器が、直接燃料噴射装置として作動することを特徴とする請求項37に記載の燃料前処理装置。
  48. 前記燃料噴射器が、間接燃料噴射装置として作動することを特徴とする請求項37に記載の燃料前処理装置。
  49. 往復動機関で使用するための燃料を前処理する方法であって、
    (a)前記往復動機関内で壁によって画定される燃料前処理キャビティに燃料を噴射する過程と、
    (b)前記燃料前処理キャビティに電磁波を放射しかつ前記電磁波を前記キャビティ壁から燃料噴霧へ反射させて、前記燃料噴霧に関連して分子振動共鳴吸収を起こさせる過程とを含むことを特徴とする燃料前処理方法。
  50. 前記燃料噴霧液滴の体積加熱を達成するような電磁定在波を形成するべく、電磁波長と、燃料前処理キャビティ寸法と、燃料共鳴周波数とを相互に関連付ける過程を更に含むことを特徴とする請求項49に記載の燃料前処理方法。
  51. 前記燃料前処理キャビティに前記燃料を噴射する過程が、
    光学ミラーによって前記燃料前処理キャビティを少なくとも部分的に画定し、それによって、前記燃料前処理キャビティに導入されて反射される電磁波が前記燃料噴霧を通過して反射されるように表面を与える過程を更に含むことを特徴とする請求項49に記載の燃料前処理方法。
  52. 前記電磁波を放射する過程が、波長が0.1μm以上10cm以下の電磁波を放射する過程を含むことを特徴とする請求項49に記載の燃料前処理方法。
  53. 前記電磁波を放射する過程が、赤外線領域内にある電磁波を放射する過程を含むことを特徴とする請求項49に記載の燃料前処理方法。
  54. 前記電磁波を放射する過程が、波長が3μm以上4μm以下である電磁波を放射する過程を含むことを特徴とする請求項49に記載の燃料前処理方法。
  55. 前記電磁波を放射する過程が、波長が9μm以上10μm以下である電磁波を放射する過程を含むことを特徴とする請求項49に記載の燃料前処理方法。
  56. 前記電磁波を放射する過程が、周期分極ニオブ酸リチウム装置によって行われることを特徴とする請求項49に記載の燃料前処理方法。
  57. 前記噴射する過程が、直接燃料噴射装置によって行われることを特徴とする請求項49に記載の燃料前処理方法。
  58. 前記噴射する過程が、間接燃料噴射装置によって行われることを特徴とする請求項49に記載の燃料前処理方法。
  59. 前記燃料前処理キャビティが、燃焼室であることを特徴とする請求項49に記載の燃料前処理方法。
  60. 往復動機関で使用するためのワイヤレス点火プラグであって、
    (a)前記往復動機関の燃焼室に取り外し可能に結合されるように形成されたハウジングと、
    (b)前記ハウジングに結合され、火花を発生させるために構成されたギャップを有するアンテナ受信装置と、
    (c)前記ギャップで火花が発生するように、前記アンテナ受信装置に電磁波によって電磁的かつワイヤレスに結合されたエネルギー源とを有することを特徴とするワイヤレス点火プラグ。
  61. 前記アンテナ受信装置が、部分的に開放された環を形成し、その末端が接地装置の近傍に配置され、それによって前記ギャップを与えることを特徴とする請求項60に記載のワイヤレス点火プラグ。
  62. 前記アンテナ受信装置が1対の金属アンテナであって、前記1対のアンテナの一方の末端と他方の末端とが互いに近接して配置され、それによって前記ギャップが形成されることを特徴とする請求項60に記載のワイヤレス点火プラグ。
  63. 前記1対の金属アンテナが、前記ハウジングから絶縁された第1の金属アンテナと、前記ハウジングの接地された導電性部分に接続された第2の金属アンテナとを有することを特徴とする請求項60に記載のワイヤレス点火プラグ。
  64. 前記アンテナ受信装置を前記ハウジングから分離するような電気的に非導電性の材料を更に有することを特徴とする請求項60に記載のワイヤレス点火プラグ。



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