JP2006514698A - ナノ粒子生物活性物質 - Google Patents

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Abstract

生理活性物質を、約5〜約2000ナノメートル(nm)の直径を有する粒子に再現可能に変換する。変換は、生理活性物質に対する溶媒に生理活性物質を溶解させ;例えば、生理活性物質に対して非溶媒であるが溶媒に混和性である過剰の液体を使用して生理活性物質溶液を希釈することによって、溶液の極性をすばやく変化させて、それを生理活性物質に対して非溶媒にする;ことによって行なわれる。沈殿した生理活性物質ナノ粒子を、遠心分離、濾過または凍結乾燥によって収集する。ナノ粒子は、比較的狭い粒度分布を有し、平均粒径は、溶媒および非溶媒の選択によって調節できる。ナノ粒子は一般に非晶質である。界面活性剤を添加して、投与した際の粒子の分散を確実にしうる。好ましい態様において、生理活性物質は、低水溶性を有する薬剤である。

Description

本発明は、溶解および/または取込み速度の増加を有するナノ粒子形態の生物学的活性物質を含有する組成物に関する。
本出願は、2002年10月30日に出願された米国特許出願第60/4,230,93号、および2003年7月25日に出願された米国特許出願第60/4,903,43号の優先権を主張する。
(発明の背景)
パクリタキセルは、極めて水溶性の低い薬剤であり、経口投与後に極めて低いGI吸収を示す薬剤である。低溶性薬剤の非経口輸送の一般的な方法は、多量の水性希釈剤、可溶化剤、洗浄剤、非水性溶媒、または生理的pH溶液の使用を包含する。しかし、これら処方物は、薬剤組成物の全身毒性を増加しうるか、投与部位における体組織を損傷しうる。
例えば、パクリタキセルは、細胞毒性および抗腫瘍活性を有することが示されている天然産物である。優れた治療潜在性がよく知られているが、パクリタキセルは、治療剤として、患者に関係したいくつかの欠点を有する。これらは、部分的には極めて低い水溶性に起因し、好適な投与形態で提供することを困難にしている。パクリタキセルの低水溶性の故に、現在承認されている(米国FDA)臨床処方物は、50%ヒドロキシエチル化ヒマシ油(CREMOPHOR EL(登録商標))および50%無水アルコール中のパクリタキセル6mg/mLの溶液から成る。Am.J.Hosp.Pharm,48:1520−24(1991)。ある場合には、パクリタキセルの低水溶性を補うためにパクリタキセルと共に投与されたCREMOPHOR(登録商標)に関連して、過敏症を包含する重症反応が生じる。市販のパクリタキセル製剤に対する過敏症反応の発生および血中におけるパクリタキセル沈降の可能性により、その処方物は、数時間にわたって輸液しなければならない。それに加えて、患者は、輸液の前にステロイドおよび抗ヒスタミン薬で前処置されなければならない。
溶解速度を増加させる他の取り組みは、薬剤を、一般にポリマー微粒子の形態において、水溶性または生分解性マトリックス中の分散系として輸送することに焦点を当てている。例えば、デキサメタゾンの溶解速度が、噴霧乾燥によって形成したキトサンミクロスフェアに薬剤を捕捉することによって向上したことが報告されている(Gentaら、S.T.P.Pharma Sciences 5(3):202−07(1995))。同様に、薬剤表面を親水性にするといわれている水溶性ゼラチンと低溶性薬剤粉末とを混合することによって増加した溶解速度も報告されている(Imaiら、J.Pharm.Pharmacol.,42:615−19(1990))。これに関連した取り組みは、低溶性薬剤の比較的大きい多孔性マトリックスを形成することに向けられている。例えば、Roland & Paeratakul,「Spherical Agglomerates of Water−Insoluble Drugs」、J.Pharma.Sci.,78(11):964−67(1989)は、98%までの低溶性薬剤含有量を有するビーズの製造を開示しており、このビーズは多孔性内部構造を有している。
特にタキソールの、向上した輸送(経口輸送を含む)特性を有するといわれている処方物は、WO 01/30319号、WO 01/57013号、WO 01/30448号、米国特許第6,334,445号、米国特許第6,245,805号、WO 98/53811号、WO 97/15269号、WO 00/78247号および米国特許第5,9698,972号に開示されている。これらは全て、実際のバイオアベイラビリティーの点で制限されている。経口投与したタキサンについて、少なくとも10%のバイオアベイラビリティーが商業的成功に不可欠であると考えられるが、より低いレベルの経口有効性(oral availability)を与える処方物であっても、特に、癌のリスクがあるか、癌治療を受けている個人の予防療法において、依然として用途を有しうる。
薬剤の投与量に影響を及ぼす要因の1つは、体液における薬剤の溶解速度である。溶解速度の調節は、所望の治療効果を得るのに重要と考えられる。薬剤が容易溶解性であれば、その溶解速度を、種々の調節放出法によって減少させることができる。一般に、溶解調節法は、薬剤の粒子を溶解遅延被覆物で被覆するか、ゆっくり溶解するか、崩壊する錠剤を形成することによって行なわれる。被覆物または錠剤化材料(例えばポリマー)は、ゆっくり溶解してもよく、またはそれらは実際に不溶性であってもよく、被覆物またはポリマーのインサイチュー分解によるか、被覆物またはポリマーからの薬剤の拡散によって、薬剤を放出してもよい。
溶解速度の調節は、薬剤が体液に低溶性である場合により困難である。容易に溶解しないということは、特に、胃腸(GI)管を通る限られた移行時間が存在する経口投与形態において、薬剤のバイオアベイラビリティーが低いことを意味しうる。そのような薬剤の場合に、目標となるのは、それらの固有の不溶性が許容されるより速く、それらを組織に輸送する方法を見出すことである。1つの方法は、それらを非水性溶媒に溶解させることである。薬剤のアルコール抽出物または溶液を形成しうる。最近では、疎水性薬剤、例えばパクリタキセルを、トウゴマ脂質に溶解し、溶液を乳化し、次に、乳剤として静脈注射している。例えばMettingerの米国特許第6,334,445号は、そのような手順を開示している。この手順は、パクリタキセルに対するアレルギー反応、可逆性脊髄抑制(reversible myelosuppresion)、筋肉痛、粘膜炎および脱毛症を包含する副作用を有する。従って、改良する必要がある。
Mathiowitzらの米国特許第6,143,211号、およびJacobらの米国特許第6,368,586号は、被覆した薬剤粒子を使用して、腸を通る循環に薬剤を輸送する方法を開示している。腸におけるゆっくりした放出に加えて、輸送の改良の一部は、粘膜表面の細胞の間またはその中を通過するように誘導される粒子によるものと考えられる(Mathiowitzら、Nature 386:410(1997)参照)。ポリマー被覆物の保護作用に加えて、この方法によって、より小さい粒度がより有効に取り込まれると考えられる。
しかし、薬剤を小粒子として調製する現在の方法は、数十ミクロン〜数ミリメートルの直径を有する比較的大きい粒子を一般に生じる。一般に、薬剤は、析出、結晶化または凍結乾燥または他の乾燥法によって製造される。得られる生成物は一般に肉眼で見ることができる。標準的な錠剤化において、薬剤のサイズ範囲は、重要でない場合が多い。薬剤を、粉砕するか、摩砕するか、その他では細分して、適度に均質な粉末を得、それをさらに加工しうるが、ミリメートル範囲の粒子が充分に小さい場合が多い。
最近では、一般に調節放出調製物に使用するために、ミリメートル以下の粒子を製造する取り組みがなされている。これらの方法は、最も一般的には、粉砕または摩砕を含むが、他の方法も既知である。
Mathiowitzらの米国特許第6,235,224号、およびMathiowitzら、Nature 386:410(1997)は、ミクロンおよびミクロン以下のポリマーミクロスフェアに薬剤を封入する方法を開示している。「転相ナノカプセル封入」(「PIN」)と呼ばれるこの方法において、ポリマーを溶媒に溶解させ、封入すべき薬剤または他の物質をそのポリマー溶液に溶解させるか、懸濁させる。得られた溶液または懸濁液を、ポリマーおよび好ましくは薬剤または物質に対して不溶媒である溶液を使用して、すばやく希釈する。不溶媒は、溶媒と充分に混和性であるように選択され、それによって、ポリマーに対して不溶媒である単相溶液が希釈後に形成される。2つの溶液の自発混合が、すばやく、かつ混合の小さい特徴的スケールを伴って生じる。その結果、ポリマーが析出して、一般に数十〜数百ナノメーテル、またはある場合には数ミクロンまでの、極めて小さい直径の粒子が形成される。これらの粒子は、大きさがほぼ均一である。薬剤または物質がナノスフェアに封入される。患者への投与または他の適用において、ポリマーの拡散、分解またはこれらの作用の組合せによって、ナノスフェアから薬剤または物質が放出される。
しかし、ある状況において、封入ポリマーの存在が不必要な場合があるか、薬剤の輸送を阻害する場合さえある。例えば、薬剤の溶解が輸送において速度制限的である、高疎水性かそうでなければ低溶性の薬剤の輸送においては、薬剤輸送を遅らせるか、体内の輸送経路の作用から薬剤を保護するために、被覆物を必要としない。そのような輸送経路の例としては、循環系、胃腸管、尿路および生殖管、粘膜および皮膚を包含する。
従って、本発明の目的は薬剤の迅速輸送用の組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、薬剤の輸送速度および有効性を増加させる薬剤の粒子を形成する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、臨床的に許容されるレベルのタキサンを与える経口投与しうる処方物を提供することである。
(発明の要旨)
生物学的活性物質は、直径約5〜約2000ナノメートル(nm)の粒子に再現可能に変換しうる。変換は、物質に対する溶媒に物質を溶解し、例えば、物質に対して非溶媒であるが溶媒に混和性の液体の過剰を使用して物質溶液を希釈することによって、溶液の極性をすばやく変化させて、溶媒を物質粒子に対して非溶媒にすることによって、行なわれる。析出した物質ナノ粒子を、遠心分離、濾過または凍結乾燥によって収集する。ナノ粒子は、比較的に狭い粒度分布を有し、平均直径は、溶媒および非溶媒の選択によって調節できる。ナノ粒子は一般に非晶質である。投与した際の粒子の分散を確実にするために、界面活性剤を添加してもよい。好ましい態様において、この物質は薬剤である。最も好ましい態様において、この物質は、低水溶性を有する薬剤である。
(発明の詳細な説明)
(I.ナノ粒子組成物)
粒子は、大部分において、一般に95%を超え、より好ましくは99%を超え、直径1ミクロン未満であり、一般に安定であり、不可逆的に凝集しない、ナノ粒子の集団である。
調製した粒子は、約1ミクロン未満の容量平均直径を有する。これらは、一般に、直径(数平均または容量平均直径)が約5ミクロンより小さく、より一般的には1ミクロン未満、しばしば約500nm〜約50nmであるが、より小さい平均直径も得られる。粒子分散は比較的狭く、一般に単分散性でない。
図1は、一般的な薬剤ナノ粒子調製物における、粒度の結果を示す。数平均直径は、適度に対称であり、約80nmに集中している。容量平均直径は、約200nmをピークとし、約700nmより大きい粒子は、事実上、存在しない。
一般に結晶質である従来の薬剤粒子に対して、ナノ粒子は構造において一般に非晶質である。結晶質でないことは、顕微鏡検査によるか、示差走査熱量測定(DSC)のような方法によって観察できる。問題とする薬剤が体液に低溶性である場合、結晶質でない粒子は、同じ薬剤の結晶質粒子と比較して、増加した薬剤溶解速度を有すると考えられる。
典型的には、ナノ粒子は基本的に薬剤からなる。本明細書に一般的に使用される「薬剤」は、あらゆる生物学的活性物質を意味し、標準的な低分子薬物、治療に有効なタンパク質、脂質、多糖、プロテオグリカンおよびポリヌクレオチドを包含するがそれらに限定されない。薬剤は、治療薬、予防薬または診断薬であってよい。
マイクロ粒子またはナノ粒子物質に変換できるあらゆる薬剤を、本明細書に記載の方法を使用してナノ粒子に形成しうる。薬剤は、小分子または巨大分子形態のいずれであってもよい。薬剤は、体液に低溶性であってもよく、体液に可溶性であってもよい。例えば、極めて小さい粒度は、鼻道および鼻腔または肺に、エアロゾル剤として送達するのに有用である。この方法は、剪断感受性薬剤、例えばタンパク質および核酸の、投与形態の製造にも有用である。多くの薬剤が既知であり、Merck IndexおよびPhysicians Desk Referenceのような標準便覧に列挙されている。
最も好ましい態様において、薬剤は、体液に低溶性である。例えば、薬剤は、室温で約0.1%w/v未満の水溶性であってよい。それらの低溶性は、遅い溶解速度または固有の低溶性によるものと考えられる。これらの薬剤は、バイオアベイラビリティークラスIIおよびIVの薬剤のように、疎水性であることが多い。低溶性を有する多くの治療的に重要な薬剤が既知である。その例は、タキサン、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル;カンプトテシン;シクロスポリンおよび関連免疫反応阻害薬;グリセオフルビン、イトラコナゾールおよび関連抗真菌薬;メトロミダゾール(metromidazole)および関連抗赤痢薬;ジクマロールおよび関連抗凝固薬;およびステロイド、例えばアンドロステロンおよびエストラジオールである。低水溶性を有する薬剤、例えば前記の薬剤と類似した水溶性を有する薬剤も、使用することができる。タキサンは、細胞微小管を安定化する抗癌細胞毒である。本明細書に開示する組成物および方法に有用なタキサン化合物は、パクリタキセルおよびドセタキセル、ならびに抗癌活性または抗脈管形成活性を有するそれらの天然および合成類似体を包含する。パクリタキセルおよびドセタキセルはかなりの活性を有し、これらの薬剤の1つまたは両方が、進行した乳癌、肺癌および卵巣癌の治療成分として広く認められている。
処方物は、70wt%までの薬剤添加量でタキサンを含有しうる。好ましい態様において、タキサンが30〜70wt%の薬剤添加量で存在する。タキサンが、約30〜50wt%の薬剤添加量で存在してもよい。処方物は、低レベルの薬剤添加量、例えば、約10〜30wt%のタキサン、または約1〜10wt%のタキサンを含有してもよい。
(B.賦形剤および担体)
ナノ粒子は、単独で使用するか、1つ以上の表面活性剤(「界面活性剤」)、ポリマー、付着促進剤、または他の添加剤または賦形剤で被覆してもよい。ナノ粒子は、錠剤またはカプセル剤または他の投与形態に組み込むか、封入してもよい。種々の賦形剤が、薬剤処方物に一般に使用される。賦形剤の種類は、錠剤化補助剤、崩壊剤、流動促進剤、酸化防止剤または他の防腐剤、腸溶性被覆剤、風味剤(taste making agents)等を包含するがそれらに限定されない。そのような物質を記載している文献は、容易に入手でき、薬剤処方物分野の精通者によく知られている。賦形剤は、粒子に界面活性剤を含有させる下記に記載のいずれかの段階で添加しうる。例えば、賦形剤を、マイクロ粒子形成の間;マイクロ粒子を分散させて投与形態を形成する間;またはマイクロ粒子の投与の間に添加しうる。
添加剤または賦形剤の選択は、一部分は、目的とする投与経路によって決定される。どのような一般的な経路(例えば、吸入、経口、直腸、膣、局所および非経口)も、ナノ粒子薬剤処方物の使用に好適であり、その使用によって向上しうる。好適な処方物は、経口処方物、エアロゾル剤、局所処方物、経口処方物、および移植可能組成物を包含する。特に、ナノ粒子薬剤処方物は、疎水性および他の低溶性薬剤、例えばバイオアベイラビリティークラスIIおよびIVの薬剤を、経口またはエアロゾル投与によって輸送するのに好適であり、それによって非経口投与経路に取って代わることができる。
(界面活性剤)
粒子の凝集を除去するか、減少させるために、ナノ粒子は界面活性剤を任意に含有しうる。界面活性剤は、ナノ粒子の表面に付着する。一般に、界面活性剤は、粒子がその中で形成される初期非溶媒混合物、ナノ粒子が投与のために取り上げられる媒質、および粒子が後にその中に輸送される媒質(例えば胃腸液)のいずれか1つまたは全てにおける、ナノ粒子の分散を促進する。
あらゆる界面活性をナノ粒子に使用しうる。好適な界面活性剤は、洗浄剤と呼ばれることが多い小分子界面活性剤、および巨大分子(即ちポリマー)の両方を包含する。界面活性剤は、界面活性剤混合物を含有してもよい。非経口投与用の処方物において、界面活性剤は、FDAによって医薬的使用が認められている界面活性剤であるのが好ましい。非経口投与でない投与用の処方物において、界面活性剤は、食品または化粧品における使用がFDAによって認められている界面活性剤であってよい。
界面活性剤は、どのような好適な量で存在してもよい。好ましい態様において、有効な界面活性剤が、ナノ粒子の少ない重量部分としてのみ存在し、例えば0.1%〜10%(界面活性剤重量/薬剤重量)で存在する。しかし、特に粒子が小さく、それに応じて全表面積が大きい場合、より大きい比率の界面活性剤が必要とされるか、好都合な場合があり、従って、界面活性剤は、薬剤の重量の20wt%、50wt%または最大約100wt%で存在することもある。
界面活性剤の選択は、必然的に幾分経験的であり、いくつかの界面活性剤は、特定の用途において非有効性である場合がある。例えば、下記の例は、0.5%のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)(多くの用途において有効な界面活性剤)、は胃腸管を通過する際の、パクリタキセルマイクロ粒子の分散に有効でないことを示す。
(ポリマー)
好適なポリマーとしては、ヒドロゲル、熱可塑性樹脂、ならびに天然および合成ポリマーのホモポリマー、コポリマーおよびブレンドを包含する可溶性および非水溶性ならびに生分解性および非生分解性ポリマーが挙げられる。使用しうる代表的なポリマ−としては、ポリアクリル酸を包含するカルボキシル基含有ポリマーのような、親水性ポリマーが挙げられる。ポリ酸無水物、ポリ(ヒドロキシ酸)およびポリエステルならびにそれらのブレンドおよびコポリマーを包含する生物侵食性ポリマーも使用できる。使用しうる代表的な生物侵食性ポリ(ヒドロキシ酸)およびそのコポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシ−酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ラクチドーコ−カプロラクトン)およびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を包含する。不安定結合を含有するポリマー、例えばポリ酸無水物およびポリオルトエステルを、減少した加水分解反応性を有する任意修飾形態で、使用することができる。陽荷電ヒドロゲル、例えばキトサン、および熱可塑性ポリマー、例えばポリスチレンも、使用できる。
使用しうる代表的天然ポリマーとしては、タンパク質、例えば、ゼイン、修飾ゼイン、カゼイン、ゼラチン、グルテン、血清アルブミン、またはコラーゲン、および多糖類、例えば、デキストラン、ポリヒアルロン酸およびアルギン酸を包含する。代表的な合成ポリマーは、ポリホスファゼン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびそれらのコポリマーが挙げられる。セルロースも使用できる。本明細書において定義される「セルロース」には、天然および合成セルロース、例えば、アルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ヒドロキシアルキルセルロースおよびニトロセルロースが挙げられる。セルロースの例としては、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸乳酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、セルロース三酢酸エステル、およびセルローススルフェートナトリウム塩が挙げられる。
アクリルおよびメタクリル酸またはエステルのポリマー、およびそれらのコポリマーを使用することができる。使用しうる代表的なポリマーとしては、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、およびポリ(オクタデシルアクリレート)が挙げられる。
使用しうる他のポリマーとしては、ポリアルキレン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン;ポリアリールアルキレン、例えばポリスチレン;ポリ(アルキレングリコール)、例えばポリ(エチレングリコール);ポリ(アルキレンオキシド)、例えばポリ(エチレンオキシド);および、ポリ(アルキレンテレフタレート)、例えばポリ(エチレンテレフタレート)が挙げられる。さらに、ポリビニルポリマーも使用でき、本明細書において定義されるポリビニルポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステルおよびハロゲン化ポリビニルが挙げられる。ポリビニルポリマーの例としては、ポリ(ビニルアセテート)、ポリビニルフェノールおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。
温度または剪断力または他の物理的力の関数として粘度を変化させるポリマーも使用しうる。ポリ(オキシアルキレン)ポリマーおよびコポリマー、例えばポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)(PEO−PPO)またはポリ(エチレンオキシド)−ポリ(ブチレンオキシド)(PEO−PBO)コポリマー、ならびに、これらのポリマーと、ポリ(α−ヒドロキシ酸)(乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトンおよびポリバレロラクトンを包含するがそれらに限定されない)のようなポリマーとのコポリマーおよびブレンドを、合成しうるか、商業的に入手しうる。例えば、ポリオキシアルキレンコポリマーは、米国特許第3,829,506号;第3,535,307号;第3,036,118号;第2,979,578号;第2,677,700号;および第2,675,619号に開示されている。
これらのポリマーは、Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO;Polysciences,Warrenton,PA;Aldrich,Milwaukee,WI;Fluka,Ronkonkoma,NY;および、Biorad,Richmond,CAのような供給源から入手できるか、標準法を使用してこれらまたは他の供給会社から得られるモノマーから合成できる。
ポリマーは、例えばMathiowitzらの米国特許第6,197,346号;第6,217,908号;および第6,235,313号に開示されているように、それらの生物付着特性に基づいて選択することができる。
使用しうるポリマーとしては、非生分解性または生分解性の、合成および天然ポリマーの両方が挙げられる。代表的な合成ポリマーとしては、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリレート、ポリリシン、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシドおよびポリエチオキサゾリン(polyethyoxazoline)が挙げられる。代表的な天然ポリマーとしては、アルブミン、アルギン酸塩、ゼラチン、アラビアゴム、キトサン、セルロースデキストラン、フィコール、デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ヒアルロン酸、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、脱アセチルキトサン、硫酸デキストランおよびそれらの誘導体が挙げられる。好ましい親水性ポリマーとしては、PEG、ポリビニルピロリドン、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。親水性ポリマーは、種々の要因、例えば、ポリマー分子量、ポリマー親水性、およびポリマー内部粘度に基づいて、使用に関して選択される。
(湿潤剤)
湿潤剤の代表的な例としては、マンニトール、デキストロース、マルトース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール(cetomacrogol)乳化蝋、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000のようなマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、TWEEN(登録商標))、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、コロイド二酸化珪素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、珪酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられる。
チロキサポール(アルキルアリールポリエーテルアルコール型の非イオン性液体ポリマー;スペリノン(superinone)またはトリトンとしても既知)も有用な湿潤剤である。これらの湿潤剤の大部分は、既知の医薬賦形剤であり、American Pharmaceutical AssociationおよびThe Pharmaceutical Society of Great Britain(The Pharmaceutical Press,1986)による共同出版のHandbook of Pharmaceutical Excipientsに詳しく記載されている。
好ましい分散剤は、下記のものを包含する:ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、チロキサポール、ポロキサマー、例えばPLURONIC(登録商標)F68、F127およびF108(エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー)、およびポリキサミン、例えばTETRONIC(登録商標)908(POLOXAMINE(登録商標)908としても既知)(プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次付加から誘導される四官能性ブロックコポリマー)(BASF社から入手可能)、デキストラン、レシチン、ナトリウムスルホ琥珀酸のジアルキルエステル、例えばAEROSOL(登録商標)OT(ナトリウムスルホ琥珀酸のジオクチルエステル)(American Cyanimid社から入手可能)、DUPONOL(登録商標)P(ラウリル硫酸ナトリウム)(DuPont社から入手可能)、TRITON(登録商標)X−200(アルキルアリールポリエーテルスルホネート)(RohmおよびHaas社から入手可能)、TWEEN(登録商標)20およびTWEEN(登録商標)80(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)(ICI Specialty Chemicals社から入手可能)、Carbowax 3550および934(ポリエチレングリコール)(Unior Carbide社から入手可能)、Crodesta F−110(スクロースステアレートおよびスクロースジステアレートの混合物)、およびCrodesta SL−40(両方ともCroda Inc.社から入手可能)、およびSA90HCO(C1837CH(CON(CH)CH(CHOH)CHOH))。
特に有用であることがわかった湿潤剤としては、Tetronic 908、Tweens、Pluronic F−68およびポリビニルピロリドンが挙げられる。他の有用な湿潤剤としては、下記のものが挙げられる:デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシル−β−D−グルコピラノシド;n−デシル−β−D−マルトピラノシド;n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド;n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド;n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノニル−β−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチル−β−D−グルコピラノシド;およびオクチル−β−D−チオグルコピラノシド。他の好ましい湿潤剤は、Olin−10GまたはSurfactant 10−G(Olin Chemicalsから10Gとして商業的に入手可能)としても既知のp−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)である。2つ以上の湿潤剤を組み合わせて使用することができる。
(生物付着性賦形剤)
付着促進剤は、Santosらの米国特許第6,156,348号;Mathiowitzらの米国特許第6,197,346号;Mathiowitzらの米国特許第6,217,908号;およびMathiowitzらの米国特許第6,235,313号に開示されている。いくつかの好ましい態様において、付着促進剤は、薬剤、金属および/または金属酸化物より低い疎水性の、疎水性ポリマーを含有する。
ポリマーの生物付着特性は、金属化合物をポリマーに組み込んで粘膜のような組織表面に付着するポリマーの能力を強化することによって、増強される。ポリマーの生物付着特性を増強する金属化合物は、好ましくは、水不溶性金属化合物、例えば水不溶性金属酸化物および水酸化物であり、カルシウム、鉄、銅および亜鉛の酸化物を包含する。金属化合物は、タンパク質、多糖類および合成生物適合性ポリマーを包含する種々の親水性および疎水性ポリマーに組み込むことができる。1つの態様において、薬剤または診断薬を含有するミクロスフェアのような薬剤輸送デバイスを形成するか、被覆するために使用されるポリマーに、金属酸化物を組み込むことができる。金属化合物は、デバイスを被覆するか、形成するポリマーの表面における粒子の微細分散系の形態で適用することができ、そのような形態によって、粘膜へのデバイスの結合能力が増強される。例えばミクロスフェアの形態のポリマーは、粘膜への向上した付着能力を有し、従って、胃腸管、気道、排出管および生殖管の表面を包含する種々の粘膜表面のいずれかを経て、薬剤または診断薬を輸送するのに使用することができる。
ポリマーの生物付着特性を向上させるためにポリマーに組み込むことができる金属化合物は、水不溶性金属化合物、例えば水溶性金属酸化物および金属水酸化物を包含すし、それらは、ポリマーに組み込まれ、ポリマーと会合し、それによってポリマーの生物付着性を向上させる。本明細書において定義される水不溶性金属化合物は、水中で溶解性をほとんど有さないか、有さない、例えば約0.0〜0.9mg/mLの溶解性を有する金属化合物として定義される。
水不溶性金属化合物、例えば金属酸化物は、下記のメカニズムの1つによって組み込むことができる:(a)金属化合物の捕捉を生じる物理的混合物;(b)金属化合物とポリマーとのイオン相互作用;(c)表面に露出金属化合物を生じるポリマーの表面改質;および(d)被覆法、例えば、流動ビーズ、パンコーティング、またはデバイスの表面に金属化合物豊富層を生じる当業者に既知のあらゆる類似法。金属化合物を定義する好ましい特性は下記の特性を包含する:(a)水性環境、例えば酸性または塩基性水性環境(例えば、胃管腔に存在する環境)における実質的不溶性;および(b)水性環境のpHにおけるイオン化しうる表面電荷。
水不溶性金属化合物は、カルシウム、鉄、銅、亜鉛、カドミウム、ジルコニウムおよびチタンを包含する金属から誘導しうる。例えば、種々の水不溶性金属酸化物粉末、例えば、酸化第二鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化銅、水酸化バリウム、酸化第二錫、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化ジルコニウムおよび酸化カドミウムを使用して、ポリマーの生物付着特性を向上しうる。水不溶性金属化合物、例えば、酸化第二鉄、酸化銅および酸化亜鉛の組み込みは、例えば胃腸系における、粘膜のような組織表面へのポリマーの付着を相当に向上させることができる。
1つの態様において、金属化合物は、組織表面に付着されるポリマーの中に、または少なくともそのポリマーの表面上に組み込まれる水不溶性金属酸化物の微細粒子分散系として適用される。例えば、1つの態様において、水不溶性金属酸化物粒子を、薬剤輸送に使用されるミクロスフェアまたはマイクロカプセルを規定または被覆するポリマーに組み込む。好ましい態様において、金属酸化物が、微細粒子分散系としてマイクロ粒子の表面に存在する。金属化合物を、ポリマーデバイスの内層に組み込み、「保護」外層の分解または溶解後にのみ露出させることもできる。例えば、薬剤および金属を含有するコア粒子を、胃液に暴露した際に溶解するように設計された腸溶性被覆物で被覆してもよい。次に、金属化合物豊富コアが露出して、GI粘膜への結合に使用可能になる。
微細金属酸化物粒子は、例えば、金属酸化物を微粉化して、例えば10.0〜300nmの大きさの粒子を形成することによって製造しうる。金属酸化物粒子は、例えば、下記のようにしてポリマーに組み込むことができる:マイクロカプセル形成の前に、ポリマーの溶液または分散液に、この粒子を溶解させるか、分散させ、次に、下記に詳しく記載する手順の1つのようなマイクロカプセル形成手順を使用して、マクロカプセル形成中にポリマーに組み込むことができる。ミクロスフェア表面への金属酸化物粒子の組み込みは、好都合にも、粘膜または他の組織表面へのミクロスフェアの結合能力を強化し、ミクロスフェアの薬剤輸送特性を向上させる。
ポリマーの生物付着特性を向上させるためにポリマーに組み込まれる金属化合物は、食品または医薬添加剤としてFDAによって既に認可されている金属化合物、例えば酸化亜鉛であってよい。
粒子の生物付着性は、米国特許第6,156,348号(有機賦形剤を使用してポリマーの生物付着特性を強化する方法および組成物)に開示されているように、強化することもできる。タンパク質、多糖類および合成生物適合性ポリマーを包含する種々の親水性および疎水性ポリマーに、オリゴマー賦形剤をブレンドするか、組み込むことができる。無水オリゴマーを金属酸化物粒子と合わして、有機添加剤だけの場合よりかなり多く生物付着性を向上しうる。一般に生物付着性でない種々のポリマーへのオリゴマー化合物の組み込みは、粘膜のような組織表面へのこのポリマーの付着を劇的に増加させる。
本明細書に使用される「無水物オリゴマー」という用語は、無水物結合によって結合し、酢酸のような一酸に無水物結合によって結合したカルボキシ末端基を有する、二酸または多酸を意味する。無水物オリゴマーは、分子量約5000未満、一般に約100〜5000ダルトンを有するか、無水物結合によって結合した1〜約20の二酸単位を有するものとして定義される。無水物オリゴマー化合物は、高い化学反応性を有する。
オリゴマーは、二酸と過剰の無水酢酸との還流反応において生成することができる。過剰の無水酢酸を真空下に蒸発し、無水物結合によって結合した二酸単位約1〜20を含有する種の混合物である得られたオリゴマーを、例えばトルエンまたは他の有機溶媒から、結晶化することによって精製する。オリゴマーを濾過によって収集し、例えばエーテルで、洗浄し、その反応は、無水物結合によって互いに結合した、末端カルボン酸基を有する一酸および多酸の無水物オリゴマーを生じる。
無水物オリゴマーは加水分解的に不安定である。ゲル透過クロマトグラフィーによって分析すると、分子量は、例えば、無水フマル酸オリゴマーについては200〜400、セバシン酸オリゴマーについては2000〜4000のオーダーである。無水物結合は、一般に1700cm−1におけるカルボン酸ピークの対応する消失を伴う1750cm−1および1820cm−1における特徴的二重ピークによって、フーリエ変換赤外線分光分析法によって検出することができる。
1つの態様において、オリゴマーは、例えば、Dombらの米国特許第4,757,128号、Dombの米国特許第4,997,904号およびDombらの米国特許第5,175,235号(それらの開示は参照として本明細書に組み入れられる)に開示されている二価酸から生成しうる。例えば、セバシン酸、ビス(p−カルボキシ−フェノキシ)プロパン、イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸またはドデカン二酸のようなモノマーを使用しうる。
有機染料は、それらの電荷および親水性/疎水性の故に、ポリマーマトリックスに組み込むか、ポリマー表面に結合した際に、種々のポリマーの生物付着特性を変化させることができる。生物付着特性に影響を及ぼす染料の例は、下記のものが挙げられるがそれらに限定されない:酸性フクシン、アルシアンブルー、アリザリンレッドs、オーラミンo、アズールaおよびb、ビスマルクブラウンy、ブリリアントクレシルブルーald、ブリリアントグリーン、カルミン、シバクロンブルー3GA、コンゴーレッド、酢酸クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、エオシンb、エオシンy、エリトロシンb、ファストグリーンfcf、ギームザ、ヘマトイリン、インジゴカルミン、ヤーヌスグリーンb、ジェンナー染料、蓚酸マラカイトグリーン、メチルブルー、メチレンブルー、メチルグリーン、メチルバイオレット2b、ニュートラルレッド、ナイルブルーa、オレンジII、オレンジG、オルセイン、塩化パラオサニリン、フロキシンb、ピロニンbおよびy、反応性ブルー4および72、反応性ブラウン10、反応性グリーン5および19、反応性レッド120、反応性イエロー2、3、13および86、ローズベンガル、サフラニンo、スダンIIIおよびIV、スダンブラックBおよびトルイジンブルー。
(分散剤)
好ましい分散剤としては、親水性ポリマーおよび湿潤剤が挙げられる。処方物における分散剤の量は、処方物の重量の約80%未満、より好ましくは約75%未満である。分散剤として使用される最も好ましいポリマーは、ポリビニルピロリドンである。
(II. 組成物の製造法)
(A. ナノ粒子の形成)
薬剤のナノ粒子を形成するために、その薬剤を好適な溶媒に溶解させる。次に、非溶媒液を添加することによって、溶液をすばやく希釈する。一般に、得られるナノ粒子は安定であり、不可逆的に凝集しない。これは粒子の回収を簡単にし、回収は、一般に、遠心分離および濾過のような方法によって行なわれる。次に、ナノ粒子を、使用前に好適な溶媒に再分散させる。
ナノ粒子物質の形成に使用される方法は、回分法または連続法として容易にスケールアップできる。
(溶媒)
好適な溶媒は、薬剤を有用な濃度に溶解する特性を有し、その濃度は、少なくとも約0.5%(w/v)、好ましくは少なくとも約2%(w/v)、より好ましくは5%〜10%(w/v)または10%(w/v)を超える。一般に、薬剤は、その溶解限度より充分に低い濃度で溶解する。さらに、溶媒は、できる限り低い毒性を有し、形成された生成物から熱または真空によって容易に除去できる。溶媒は、1つ以上の非溶媒に、完全にまたは少なくとも部分的に、混和性である。
(非溶媒)
非溶媒も、その低毒性および容易除去性によって選択される。非溶媒の選択に関する重要な条件は、薬剤が非溶媒に可溶性でないこと、および非溶媒が溶媒に充分に混和性であって、混合後に単一溶媒相を形成することである。溶媒/非溶媒の比率は、混合溶液を薬剤に対して非溶媒にするのに充分な比率である。加工中の薬剤の浪費を防止するために、混合溶液における薬剤の溶解度は、低いのが好ましくは、例えば0.1%(w/v)またはそれ以下である。好ましくは、溶媒および非溶媒は、それらの溶解度パラメーターにおける差の絶対値が約6(cal/cm1/2未満になるように選択される。例えば、溶媒がエタノールのようなアルコールである場合、非溶媒は、水または水性溶液である。非溶媒が水混和性でない場合、例えばジクロロメタン(塩化メチレン)である場合、好適な非溶媒はアルカンのような非極性溶媒である。
溶媒および非溶媒は混和性であるので、ナノ粒子を形成するために攪拌する必要がない。少容量において、溶媒および非溶媒を、一方を他方に注ぐことによって、充分に混合することができる。薬剤/溶媒溶液をある容量の非溶媒に注いでもよく、または非溶媒を薬剤/溶媒溶液に注いでもよい。大容量においては、一方の液体を、他方を添加しながら攪拌するのが好都合な場合がある。または、特に大量生産においては、溶媒および非溶媒を、適切な比率の流れとして、連続的に混合することができる。攪拌は、もし適用されるとすれば、層状流れ(laminar flow of the streams)を防止するのに充分であればよい。
それらの混和性の故に、液体の自然混合が生じる規模は小さい。これは、不混和性液体の混合と対照的であり、この混合においては、表面張力が非連続相を凝集させる傾向があり、従って、粒度を減少させるために激しい攪拌が必要とされる。従って、2つの溶液を混合した場合、薬剤が、一般に直径5ミクロン未満の極めて微細な粒子として析出する。
液体が混和性であり、薬剤に化学的および物理的に適合性である溶媒および非溶媒のどのような組を使用してもよい。「化学的適合性」とは、水中での酸基のイオン化のような可逆的変化を除く、溶媒と薬剤との化学反応の不存在を意味する。「物理的適合性」は、タンパク質のような巨大分子薬剤の有意な変性の不存在を意味する。
(B.界面活性剤または他の賦形剤および薬剤を含有するナノ粒子の形成)
1つ以上の界面活性剤または他の賦形剤、例えば生体接着剤を、多くの方法で薬剤に添加することができる。界面活性剤は、本発明のナノ粒子の製造および分散工程におけるいくつかの段階の1つ以上の段階で適用しうる。第一に、界面活性剤は、薬剤または他のナノ粒子形成物質の初期溶液中に存在してよい。第二に、それは、ナノ粒子を形成する薬剤溶液に混合される非溶媒に存在してもよい。
第三の方法は、非溶媒での析出の前に、薬剤溶液に界面活性剤を添加することを含む。これは、小分子界面活性剤に好ましい方法である。
第四の方法は、薬剤を溶解させるのに使用したのと同じ溶媒に界面活性剤を溶解させることを含む。次に、界面活性剤溶液を非溶媒と混合する。その非溶媒は、薬剤溶液と混合される非溶媒と同じであるのが好ましい;異なる場合は、界面活性剤に対する非溶媒は、薬剤に対しても非溶媒であるべきである。薬剤溶液は、別に、非溶媒と混合される。次に、溶媒および非溶媒の2つの混合物を合わし、薬剤のナノ粒子を収集する。この方法は、界面活性剤が巨大分子界面活性剤または分散剤である場合に、特に適している。
第五の方法は、粒子収集の間に、粒子の若干の凝集を許容し、次に、粒子を使用するために取る際に適切な分散剤を適用することを含む。この方法は、医学的および獣医学的用途に特に有効である。下記実施例に示すように、好適な解離(disaggregating)界面活性剤の添加は、ナノ粒子薬剤のバイオアベイラビリティーを顕著に増加しうる。この増加のメカニズムは、摂取または注入の前またはその間の、粒子凝集の反転または防止であると考えられる。
(III.組成物の使用)
薬剤によって治療することができるあらゆる医学的または獣医学的状態を、ナノ粒子薬剤を使用して治療しうる。好ましい態様において、処方物は、癌のような疾患の治療、経口ワクチンの投与、または輸送される薬剤または生理活性物質の粘膜からの取り込みを必要とするあらゆる他の医療または栄養目的のために投与される。
薬剤ナノ粒子は、種々の経路で患者に投与しうる。これらの経路は、下記を包含するがそれらに限定されない:口腔の組織、胃腸管、および体の他の部分への吸収による経口輸送;鼻粘膜および肺(肺状(pulmonary))への輸送;皮膚への輸送、または経皮的輸送;生殖および尿路(膣、直腸、尿管)を包含する体の他の粘膜および上皮への輸送;循環による非経口輸送;および、局所的に埋め込まれたデポー剤またはデバイスからの輸送。
(実施例)
実施例に示すように、ナノ粒子薬剤処方物を使用して、腸の組織を通る低溶性薬剤の輸送を強化し、それによって疎水性薬剤を、非経口ではなく経口によって投与することを可能にする。
下記の実施例において、物質は、実験材料供給会社から得、生物医学研究に適した銘柄であった。ここに挙げる物質/供給会社の組み合わせを、便宜的に選択した:
Paclitaxel:Hauser Inc.;Span 85およびSpan 80:Sigma;PVP(ポリビニルピロリドン)、MW40,000(表に記載)、およびペンタン:EM Science;ジクロロメタン:Burdick & Jackson;TWEEN(登録登録商標)20:Malinckrodt;PEG(ポリエチレングリコール)、MW4500(表に記載):Spectrum Chemicals;EUDRAGIT(登録登録商標)S100、MW135,000:Rohm & Hass;PLGA(ポリラクチド−コ−グリコリド)、50:50、RG503(MW記載なし)として市販:Boehringer Ingelheim;フマル酸およびセバシン酸:Aldrich。
実施例は、パクリタキセルのようなタキサンのナノ粒子および/またはマイクロ粒子から成る処方物であって、好ましくは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(「PLGA」)のような生分解性の医薬的に許容されるポリマー中に封入されるか、分散され、最も好ましくはFeO、Fe、Feおよび無水フマル酸オリゴマーのような生体接着促進剤をさらに含有し、最も好ましくはポリビニルピロリドン(「PVP」)のような分散剤をさらに含有する処方物を開発したことを示す。経口投与後にGI上皮細胞によって取り込まれる転相粒子への封入によって、パクリタキセルは、HPLC分析によって血液および血漿中に検出することができる。5〜15%のバイオアベイラビリティーレベルが一般的である。これは、低水溶性および/または経口投与後に胃腸管からの低吸収を有するパクリタキセルおよび/または他の薬剤を輸送するナノおよびマイクロ粒子処方物である。
処方物は、ポリ乳酸(PLA)、ポリ−ラクチド−コ−グリコリド(PLGA)およびポリ(フマル酸−コ−セバシン酸無水物)のようなポリマー、およびFeO/Fe、無水フマル酸オリゴマー、ポリビニルピロリドンおよびパクリタキセルを含有しうるか、前記成分の組合せであってもよく、タキサンだけのナノ/マイクロ粒子の形成を含む。好ましい製造法において、FeO/Fe以外の全ての成分を、ジクロロメタン、アセトン、クロロホルム、酢酸エチルのような有機溶媒に溶解し、0.2μmのPTFEフィルターに通す。次に、FeO/Feを添加し、得られた溶液/懸濁液を2〜5分間にわたって浴音波処理する。直ぐに、有機溶媒の容量の15〜100倍の容量で存在するペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたは石油エーテルのような非溶媒を含有する圧力容器に、この溶液/懸濁液を入れる。溶液/懸濁液は自己分散するか、必要なら攪拌して、溶液/懸濁液のナノ/マイクロ液体粒子を形成する。溶媒が液体粒子から出て非溶媒に入ると共に、薬剤を封入したナノ/マイクロ粒子が急速かつ自発的に形成される。粒子を濾過によって取り、真空乾燥して、残留している溶媒および/または非溶媒を除去する。
これらのタキサン処方物を生体内試験したところ、所定経口投与に関して観測した場合に同じ血漿AUCを生じるIV容量に対して計算して、5〜15%の経口バイオアベイラビリティーを生じることが示された。
(II.ナノまたはマイクロ粒子の形成)
好ましい態様において、処方物はナノまたはマイクロ粒子の形態であり、マイクロカプセル、ミクロスフェアまたはマイクロ粒子の形態であってもよい。前記のように、種々のポリマーを使用してミクロスフェアを形成することができ、ミクロスフェアのポリマー表面は、ミクロスフェアの粘膜への付着能力のようなミクロスフェアの生物付着特性を向上させる金属化合物および/またはオリゴマーをその中に組み込まれている。ポリマーの生物付着特性を向上させる水不溶性金属酸化物のような金属化合物および/またはオリゴマーは、ミクロスフェアの形成前にポリマーに組み込むのが好ましい。本明細書において使用される「ミクロスフェア」という用語は、外壁と異なる物質のコアを有するマイクロ粒子およびマイクロカプセルを包含する。一般に、ミクロスフェアはナノメートル〜約5mmまでの直径を有する。全ての方法、溶媒蒸発、ホットメルトマイクロカプセル封入、溶媒抽出、吹付乾燥および転相に関して、粒度は攪拌速度によって影響を受けて、好ましくは10マイクロメートルより小、より好ましくは5マイクロメートルより小、より好ましくは2マイクロメートルより小、より好ましくは1マイクロメートルより小の粒度を得ることができる。ミクロスフェアは、水不溶性金属酸化物のような金属化合物を組み込んでいる生物付着性ポリマーから専ら成ってもよく、または金属化合物または他の粘膜付着剤を組み込んでいる生物付着性ポリマーの外被膜を有するだけでもよい。
1つの態様において、ポリ乳酸ミクロスフェアを、溶媒蒸発、ホットメルトマイクロカプセル封入および吹付乾燥を包含する方法を使用して製造することができる。ビス−カルボキシフェノキシプロパンおよびセバシン酸またはポリ(フマル酸−コ−セバシン酸)から生成されるポリ酸無水物は、ホットメルトマイクロカプセル封入によって製造できる。ポリスチレンミクロスフェアは、溶媒蒸発によって製造できる。ヒドロゲルミクロスフェアは、1993年11月11日に公開されたPCT WO 93/21906に開示されているように、アルギン酸塩、キトサン、アルギン酸塩/ポリエチレンイミン(PEI)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)のようなポリマー溶液を、貯蔵器から微小液体粒子形成装置を通って攪拌イオン浴に滴下することによって製造できる。
好ましい態様において、粒子は、下記に詳しく記載する転相によって形成されるナノ粒子である。
(溶媒蒸発)
溶媒蒸発法を使用してミクロスフェアを形成する方法は、E.Mathiowitzら、J.Scanning Microscopy,4:329(1990);L.R.Beckら、Fertil.Steril.,31:545(1979);および、S.Benitaら、J.Pharm.Sci.,73:1721(1984)に記載されている。ポリマーを、ジクロロメタンのような揮発性有機溶媒に溶解させる。組み込むべき物質を溶液に添加し、その混合物を、ポリ(ビニルアルコール)のような界面活性剤を含有する水性溶液に懸濁する。得られたエマルジョンを、大部分の有機溶媒が蒸発するまで攪拌し、固体ミクロスフェアを得る。種々の大きさ(1〜1000マイクロメートル)および形態のミクロスフェアを、この方法によって得ることができる。この方法は、ポリエステルおよびポリスチレンのような比較的安定したポリマーに有効である。しかし、不安定なポリマー、例えばポリ酸無水物は、水の存在によって製造工程の間に分解しうる。これらのポリマーについては、完全無水有機溶媒中で行なわれる下記方法のうちのいくつかがより有効である。
(ホットメルトマイクロカプセル封入)
ミクロスフェアは、Mathiowitzら、Reactive Polymer,6:275(1987)に記載されているようなホットメルトマイクロカプセル封入法を使用して、ポリエステルおよびポリ酸無水物のようなポリマーから形成しうる。この方法において、分子量3〜75,000ダルトンのポリマーを使用するのが好ましい。この方法において、ポリマーを先ず溶融させ、次に、50マイクロメートル未満に篩分けされているか、10マイクロメートル未満、好ましくは5マイクロメートル未満、好ましくは1マイクロメートル未満に微粉化されている組み込むべき物質の固体粒子と混合する。混合物を非混和性溶媒(例えばシリコーン油)に懸濁させ、次に、連続攪拌しながら、ポリマーの融点より5℃高い温度に加熱する。一旦エマルジョンが安定化したら、ポリマー粒子が凝固するまでそれを冷却する。得られたミクロスフェアを、石油エーテルでのデカンテーションによって洗浄して、流動性粉末を得る。1〜1000マイクロメートルの大きさのミクロスフェアがこの方法によって得られる。
(溶媒抽出)
この方法は、主にポリ酸無水物用に設計され、例えば、1993年11月11日に公開されたPCT WO 93/21906に開示されている。この方法において、組み込むべき物質を、ジクロロメタンのような揮発性有機溶媒中の選択ポリマーの溶液に、分散させるか、溶解させる。この混合物を、シリコーン油のような有機油に、攪拌することによって懸濁させて、エマルジョンを形成する。1〜300マイクロメートルのミクロスフェアをこの方法によって得ることができる。
(吹付乾燥)
吹付乾燥法を使用するミクロスフェアの形成法は、Mathiowitzらの米国特許第6,262,034号に開示されている。この方法において、ポリマーをジクロロメタンのような有機溶媒に溶解させる。既知量の組み込むべき物質を、ポリマー溶液に、懸濁させる(不溶性物質)か、共溶解させる(可溶性物質)。次に、溶液または分散液を吹付乾燥する。1〜10マイクロメートルのミクロスフェアを得る。この方法は、腸管の画像化用のミクロスフェアの製造に有用である。この方法を使用して、金属化合物に加えて、気体のような診断画像化剤を、ミクロスフェアに組み込むことができる。
(転相)
転相ナノカプセル封入(PIN)は、分離マイクロ粒子の自発形成を含む方法である。この一段法は、非溶媒相における溶媒相の乳化を必要としない。適切な条件下に、低粘度ポリマー溶液を、適切な非溶媒に添加した際に、断片化(fragmented)球状ポリマー粒子に転相させることができる。転相現象を適用して、低いポリマー濃度で形成されるマクロおよびミクロ孔ポリマー膜、中空ファイバーならびにナノおよびマイクロ粒子が製造されている。PINは、Mathiowitzらの米国特許第6,143,211号および第6235224号(それぞれ参照として本明細書に組み入れられる)に開示されている。
先行技術のPIN法を使用してPIN生成物を形成する間に、非溶媒に懸濁した一次粒子の顕著な凝集が、ポリマー溶液の初期注入から30秒以内に生じうる。凝集の理由は、ポリマーと非溶媒との相互作用、またはポリマー自身の相互作用によると考えられる。非溶媒との相互作用は、ポリマー依存性である。その例は、PLGAに基づくPIN粒子とn−ヘプタンとの相互作用である。12K PLGA(50:50 L:G)から成るPIN粒子は、注入から30秒以内に凝集し、20:80 FA:SAポリマー物質に基づく同様の粒子は、より少ない凝集を示す。この一次粒子の凝集は、再懸濁した際の最終生成物の粒度増加の原因である可能性が極めて高い。この粒子凝集は、薬剤の全体的放出、またはPIN粒子の粘膜上皮への浸透能力に作用しうる。
本発明の方法は、一次粒度を維持し、均質粒度を特徴とするマイクロ粒子も形成して、より正確かつ再現性のある輸送系を形成する。一般的なマイクロカプセル封入法は、10μm〜mmの均質粒度分布を生じる。先行技術法は、攪拌速度、温度、ポリマー/懸濁浴比率等のようなパラメーターによって、粒度を調節することを試みている。しかし、そのようなパラメーターは、粒度分布を有意に狭めていない。PIN法は、例えば、粒度において比較的単分散性のナノメートルサイズの粒子を製造することができる。本発明の改良PIN法は、粒子凝集を減少させることによって、粒度をさらに減少させる。充分に限定され、より少ない変化の粒度を有するマイクロ粒子を製造することによって、生理活性物質の放出に使用される際のマイクロ粒子の特性を、よりよく調節することができる。このように、本発明は、患者に投与される持効性処方物の製造における改良を可能にする。
米国特許第6,235,224号に開示されているように、ミクロスフェアは、転相法を使用してポリマーから形成することができ、この方法において、ポリマーを良好な溶媒に溶解させ、薬剤のような組み込むべき物質の微細粒子を、このポリマー溶液に混合するか、溶解させ、混合物をポリマーに対する強非溶媒に注いで、好適な条件下にポリマーミクロスフェアを自発的に生じさせ、このミクロスフェアにおいて、ポリマーが粒子を被覆しているか、粒子がポリマーに分散されている。この方法を使用して、例えば約100ナノメートル〜約10マイクロメートルの広い粒度範囲のマイクロ粒子を形成することができる。使用しうるポリマーの例は、ポリビニルフェノールおよびポリ乳酸を包含する。組み込むことができる物質は、例えば、蛍光染料のような画像化剤、またはタンパク質または核酸のような生物学的活性分子を包含する。
(タンパク質マイクロカプセル封入)
タンパク質ミクロスフェアは、Mathiowitzらの米国特許第5,271,961号に開示されているように、非溶媒中での相分離、次に溶媒除去によって形成することができる。使用しうるタンパク質は、ゼインのようなプロラミンを包含する。さらに、タンパク質の混合物、またはタンパク質とポリラクチドのような生物侵食性ポリマー物質との混合物も使用できる。1つの態様において、プロラミン溶液および組み込むべき物質を、プロリン溶媒に対して限定された混和性を有する第二の液体に接触させ、混合物を攪拌して分散液を形成する。次に、プロラミン溶媒を除去して、架橋または熱変性を有さない安定なプロラミンミクロスフェアを形成する。使用しうる他のプロラミンは、グリアジン、ホルデインおよびカフィリンを包含する。ミクロスフェアに組み込み得る物質は、金属化合物の他に、医薬、農薬、栄養薬および画像化剤を包含する。
(ミクロスフェアの低温キャスチング)
調節放出ミクロスフェアの極低温キャスチングの方法は、Gombotzらの米国特許第5,019,400号に開示されている。この方法において、溶解または分散した組み込むべき物質と共にポリマーを溶媒に溶解させ、混合物を、ポリマー−物質溶液の凝固点より低い温度で液体非溶媒を含有する容器に、霧状にして入れ、これによってポリマー液体粒子を凍結させる。液体粒子、およびポリマーに対する非溶媒が温まると共に、液体粒子中の溶媒が解凍し、非溶媒に抽出され、それによってミクロスフェアが硬化する。
金属化合物に加えて、生物学的物質、例えば、タンパク質、短鎖ペプチド、多糖類、核酸、脂質、ステロイドならびに有機および無機薬剤を、ミクロスフェアに組み込むことができる。ミクロスフェアを形成するのに使用できるポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリアミドおよびポリ酸無水物を包含するがそれらに限定されない。この方法によって製造されるミクロスフェアは、一般に5〜1000マイクロメートル、好ましくは約30〜50マイクロメートルである。しかし、適切なノズルを使用することによって、より小さいミクロスフェアを形成しうる。
(二層マイクロカプセル)
多層ポリマーミクロスフェアの製造方法は、Mathiowitzらの米国特許第5,985,354号に開示されている。1つの態様において、2つの親水性ポリマーを水溶液に溶解させる。組み込むべき物質を、ポリマー溶液に分散または溶解させ、混合物を連続相に懸濁させる。次に、溶媒をゆっくり蒸発させ、1つのポリマーによって形成された内部コアおよび第二ポリマーの外層を有するミクロスフェアを形成する。連続相は、有機油、揮発性有機溶媒、または、ポリマーの第一混合物に可溶性でなく、混合物を攪拌した際に第一の2つのポリアーの相分離を生じる第三ポリマーを含有する水溶液であってよい。
多層ポリマーの薬剤、タンパク質または細胞輸送デバイスは、この方法を使用して2つ以上の親水性ポリマーから製造できる。相ダイアグラム(phase diagrams)によって規定される特定濃度において相互に可溶性でないあらゆる2つ以上の種々の生分解性または非分解性の水溶性ポリマーを使用しうる。多層マイクロカプセルは、均一な大きさのポリマー層を有し、金属化合物に加えて、薬剤または細胞、または染料のような診断薬を包含する物質を組み込むことができる。
第一ポリマーから形成されるポリマーコア、および第二ポリマーの均質被膜、および少なくとも1つのポリマーに組み込まれる物質を含有するミクロスフェアは、米国特許第4,861,627号に開示されているように製造することができる。
(ヒドロゲルミクロスフェア)
アルギン酸塩のようなゲル型ポリマーから形成されるミクロスフェアは、従来のイオンゲル化法によって製造される。ポリマーを、先ず、水溶液に溶解させ、組み込むべき物質と混合し、次に、マイクロ液体粒子形成装置によって押し出し、場合によっては、液体粒子を分離させる(break off)ために窒素ガス流を使用する。ゆっくり攪拌されるイオン硬化浴を、押出装置の下方に配置して、形成されるマイクロ液体粒子を受けとめる。ミクロスフェアを、20〜30分間にわたってその浴でインキュベーションして、ゲル化が生じるのに充分な時間を与える。種々の大きさの押出機を使用するか、窒素ガスまたはポリマー溶液の流量を変化させることによって、ミクロスフェアの粒度を調節する。
キトサンミクロスフェアは、ポリマーを酸性溶液に溶解させ、それをトリポリ燐酸塩で架橋することによって製造できる。カルボキシメチルセルロース(CMC)ミクロスフェアは、ポリマーを酸性溶液に溶解させ、鉛イオンを使用してミクロスフェアを析出することによって製造できる。アルギン酸塩/ポリエチレンイミド(PEI)を製造して、アルギン酸塩マイクロカプセル上のカルボキシル基の量を減少させることができる。これらの系の利点は、種々の化学作用を使用して、それらの表面特性をさらに改質しうる能力である。陰荷電ポリマー(例えば、アルギン酸塩、CMC)の場合、種々の分子量の正荷電リガンド(例えば、ポリリシン、ポリエチレンイミン)をイオン的に結合させることができる。
好ましい態様において、低水溶性および/または経口投与後の胃腸管からの低吸収を有するパクリタキセルおよび/または他の薬剤を輸送するための、ナノおよびマイクロ粒子処方物は、下記の物質を使用して製造される:ポリ乳酸(PLA)、ポリラクチド−コ−グリコリド(PLGA)およびポリ(フマル酸−コ−セバシン酸無水物)(ポリ(FA:SA))のようなポリマー、ならびにFeO/Fe、無水フマル酸オリゴマー、ポリビニルピロリドン、およびパクリタキセル、または前記成分の組合せ(パクリタキセルだけのナノ/マイクロ粒子の形成を含む)。これらは、金属酸化物のような促進剤、生物付着性オリゴマー、およびPVPのような分散剤を含有して製造するのが好ましい。FeO/Fe以外の全ての成分を、有機溶媒、例えば、ジクロロメタン、アセトン、クロロホルム、酢酸エチル(それらに限定されない)に溶解し、0.2μmのPTFEフィルターに通す。次に、FeO/Feを添加し、得られた溶液/懸濁液を2〜5分間にわたって浴音波処理する。または、FeO/Feを他の成分と一緒に添加し、濾過するか、濾過せず、懸濁液を音波処理する。直ぐに、有機溶媒の容量の15〜100倍の容量で存在する非溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたは石油エーテル(それらに限定されない)を含有する圧力容器に、この溶液/懸濁液を入れる。溶液/懸濁液は自己分散するか、必要なら攪拌して、溶液/懸濁液のナノ/マイクロ液体粒子を形成する。溶媒が液体粒子から出て非溶媒に入ると共に、薬剤を封入したナノ/マイクロ粒子が急速かつ自発的に形成される。粒子を濾過によって取り、真空乾燥して、残留溶媒および/または非溶媒を除去する。
この方法は、ポリマー、分散剤およびタキサンを有効量の溶媒中で合わして連続混合物を形成し、混合物を有効量の非溶媒に導入して、ナノカプセル封入生成物の自発的形成を生じさせることによって行なってもよい。この方法は、分散剤の使用を組み込んだPIN法の改変形である。
「分散剤」という用語は、「溶媒可溶性分散剤」ならびに「溶媒不溶性分散剤」を包含し、水溶性および水不溶性物質を包含することができ、微粉化してより優れた最終有効性が得られる場合もある。本明細書に使用される「溶媒可溶性分散剤」とは、室温で有機固体であるか、両親媒性であり、形成および収集の間にPIN生成物の凝集/融合を防止する溶媒可溶性物質を意味する。これらの化合物は、ポリマー溶液相に添加され、それに可溶性である。溶媒可溶性分散剤は、天然および合成の水溶性ポリマーまたは流動促進剤、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、デンプンおよびレシチンを包含するがそれらに限定されない。
PVPは、ポリマー溶液相に可溶性であり、水にも可溶性であり、従って、非溶媒相に添加した際に析出するので、好ましい溶媒可溶性分散剤である。PVP(CNO)(ポビドン、ポリビドン、ポリ[1−(2−オキソ−1−ピロリジニル)エチレン]とも称される)は、分子量2500〜3,000,000の合成ポリマーである。PVPは固体投与形態と共に使用されており、その場合、それは錠剤における非毒性結合剤として作用する。PVPは、水溶性でもあり、多くのマイクロ粒子またはマイクロカプセル封入処方物用の懸濁安定剤として一般に使用されている。それは大部分の経口投与における賦形剤として認められており、なぜなら、この化合物が腸または粘膜表面を通って吸収されず、消費した際にそれを非毒性にするからである。
PVPは、自発的粒子形成の前に、ポリマー溶液に直接添加される。PVPは、総ポリマー含有量の0.1〜50%の濃度で添加することができる。既存のPIN法は、溶媒相における0.1〜20%(wt/vol)総ポリマー濃度を可能にしている。PVPは、一次ポリマー粒子自体の大きさを変化させるためにPIN法に使用されていない。この粒度は、PIN法の操作パラメーターによって決定される。それに代わって、PVP添加剤は、これらの一次粒子がより大きい凝集物になる凝集を防止し、そにれよって、増加した有効粒度を生じる。PVPを初期ポリマー溶液に使用して、原一次粒度を維持し、粒子および凝集物から構成されたPIN物質の一般的分布を防止しうる。PVPは、ポリマー粒子マトリックス自体に組み込むか、一次ポリマーマイクロ粒子のまわりに被膜を形成することによって、これを行なうことができる。
PIN法を使用した処方物にPVPを使用することによって、付加的利益も得られる。低水溶性薬剤に関して、PVP被膜は、薬剤の溶解性を向上させることによって物質の放出特性を変化させるという付加的利点を有しうる。PVPをPIN法に添加し、PVP/PIN生成物を、直接的か、付加的添加剤を使用して、投与形態に錠剤化することができる。この投与形態は、PVP自体の結合特性および/または再形成した際の懸濁促進剤としてのその作用から、利益を得ることができる。
不溶性分散剤も使用することができる。その方法は、PINを使用して行なわれるが、不溶性分散剤は、ポリマー溶液ではなく不溶媒に添加される。本明細書において使用される「溶媒不溶性分散剤」は、形成および収集の間のPIN生成物の凝集/融合を防止する不溶性物質を意味する。溶媒不溶性分散剤は、<100マイクロメートル、好ましくは<50マイクロメートル、最も好ましくは<25マイクロメートルの有機または無機分子である。これらの分散剤は、溶媒または非溶媒への添加前に、微粉化して、それらの粒度を減少させることができる。これらの物質は、PVPのように、水中でのPIN生成物の再形成の際に溶解してもしなくてもよいが、PVPと同様に、医薬的に許容される添加剤である。それらは、PINの間の粒子の凝集を減少させる作用もする。PIN法は、溶媒可溶性分散剤または溶媒不溶性分散剤またはそれらの両方を使用して行なってよい。
分散剤は、いくつかの方法のいずれかを使用して、処方物に添加することができる。例えば、溶媒、ポリマー、分散剤、およびタキサン含有水溶液の混合物を凍結し、次に、好ましくは真空によって、乾燥して、水を除去する。凍結混合物の乾燥後に、乾燥混合物を、非溶媒に添加する前に、溶媒に再溶解させる。好ましい態様において、溶媒、ポリマー、分散剤およびこの物質の混合物を、液体窒素において凍結させる。分散剤は、溶解度にかかわらず、2つ以上の方法によって微粉化して、より小さい粒度を得、それによって分散剤の有効性を増加しうる。
他の態様において、非溶媒への溶媒混合物の導入前に、分散剤を、非溶媒および溶媒に添加する。さらに他の態様において、非溶媒への溶媒混合物の導入前に、分散剤を非溶媒だけに添加する。さらに他の態様において、非溶媒への溶媒混合物の導入後に、分散剤を、溶媒および非溶媒に添加するか、非溶媒への溶媒混合物の導入後に、阻害剤を非溶媒だけに添加する。いくつかの態様において、溶媒における分散剤濃度は0.01%〜10%(wt/vol)であり、非溶媒においては、0.1%〜20%(wt/vol)である。
溶媒/非溶媒容量比は、粒子の凝集または融合を減少させるのに重要であると考えられる。溶媒/非溶媒容量比の使用範囲は、1:10〜1:1,000,000である。1つの態様において、溶媒/非溶媒の使用範囲は、1:10〜1:200である。
得られる粒子は、平均粒度10ナノメートル〜10マイクロメートルを有する。いくつかの態様において、粒子は、平均粒度10ナノメートル〜5マイクロメートルを有する。さらに他の態様において、粒子は、平均粒度10ナノメートル〜2マイクロメートル、または10ナノメートル〜1マイクロメートルを有する。
(III. 処方物の投与)
処方物は、治療または予防すべき疾患、およびタキサンの既知の薬物動態に基づいて、それを必要とする患者に一般に経口投与される。投与は、肺、鼻、直腸または膣から行なってもよい。薬剤は、必要に応じて1日に1回またはそれ以上で投与しうる。薬剤粒子は、当業者に既知の物質および方法を使用して、カプセル剤、助剤または懸濁剤における特定処方物として投与しうる。
本発明は、下記の比限定的実施例を参照して、さらに理解される。
(実施例1: 生物付着性ナノおよびマイクロ粒子タキサン処方物の製造)
パクリタキセル(30%w/w)、無水フマル酸オリゴマー(10%w/w)、PVP(2.8%w/w)、およびPLGA(45.4%w/w)を、ある量のジクロロメタンに溶解し、0.2マイクロメートルPTFEフィルターに通した。次に、Fe(11.8%w/w)を添加し、全混合物を2分間にわたって浴音波処理した。この混合物を、ある量の非溶媒にすぐに分散させ、それによって溶媒容量/非溶媒容量比1:100を得た。転相工程から得た粒子を、窒素ガス下に溶媒/非溶媒から加圧濾過し、収集し、真空乾燥して、残留溶媒および/または非溶媒を除去した。
(実施例2: 生物付着性ナノおよびマイクロ粒子タキサン処方物の製造)
薬剤含有量を50%(w/w)に増加し、他の成分の含有量をそれに比例して増加させた以外は、実施例1と同様に処方物を製造した。平均相対バイオアベイラビリティーは4.8%(+/−1.6)(SEM)であった。
(実施例3: 生物付着性ナノおよびマイクロ粒子タキサン処方物の製造)
PVPの%含有量を3倍にし、他の成分(同じにした薬剤含有量は除く)の含有量をそれに比例して減少させた以外は、実施例1と同様に処方物を製造した。平均相対バイオアベイラビリティーは7.5%(+/−1.3)(SEM)であった。
(実施例4: 生物付着性ナノおよびマイクロ粒子タキサン処方物の製造)
無水フマル酸オリゴマーの%含有量を2倍にし、他の成分(実施例1と同じにした薬剤含有量は除く)の含有量をそれに比例して減少させた以外は、実施例1と同様に処方物を製造した。平均相対バイオアベイラビリティーは5.9%(+/−0.6)(SEM)であった。フマル酸無水物オリゴマー%を3倍にした場合、他の成分(実施例1と同じにした薬剤含有量は除く)の含有量をそれに比例して減少させ、平均相対バイオアベイラビリティーは7.8%(+/−1.1)(SEM)であった。
(実施例5: ポリ酸無水物ベースポリマーを使用する生物付着性ナノおよびマイクロ粒子タキサン処方物の製造)
パクリタキセル(30%、50%および70%w/w)およびポリ(フマル酸−コ−セバシン酸)(ポリ(FA:SA))(20:80)を、ジクロロメタンに溶解し、0.2マイクロメートルPTFEフィルターに通し、混合物を2分間にわたって浴音波処理した。この混合物をすぐに非溶媒に分散させ、それによって溶媒容量/非溶媒容量比1:100を生じた。転相工程から得た粒子を、窒素ガス下に溶媒/非溶媒から加圧濾過し、収集し、真空乾燥して、残留溶媒および/または非溶媒を除去した。
(実施例6: ナノおよびマイクロ粒子タキサン処方物の製造)
パクリタキセルをジクロロメタンに溶解させて、3%(w/w)溶液を得た。この溶液を、0.2マイクロメートルPTFEフィルターに通し、2分間にわたって浴音波処理した。この溶液をすぐに非溶媒に分散させ、それによって溶媒容量/非溶媒容量比1:100を生じた。転相工程から得た粒子を、窒素ガス下に溶媒/非溶媒から加圧濾過し、収集し、真空乾燥して、残留溶媒および/または非溶媒を除去した。
(実施例7: ラットに経口投与した生物付着性タキサン処方物のバイオアベイラビリティー試験)
図1は、種々の経口処方物の平均相対バイオアベイラビリティーを比較するグラフである。6種類のパクリタキセル含有経口処方物を試験した。図1のカラムは、以下に、左から右に説明する。各カラムの高さは、48mgパクリタキセル/kgラットの経口投与後の、平均相対バイオアベイラビリティーを示す。カラムAは、実施例1に記載の、生物付着性賦形剤を含有する30%パクリタキセル/PLGA−PIN処方物の投与(160mg処方物/kgラット)の結果を示す。カラムBは、生物付着性賦形剤を含有しない30%パクリタキセル/PLGA−PIN処方物の投与(160mg処方物/kgラット)の結果を示す。カラムCは、生物付着性賦形剤含有ブランクPLGA処方物と遊離パクリタキセルとの共投与(160mg処方物/kgラット)の結果を示す。カラムDは、溶解させるために0.5%SLS/PBS中で攪拌した遊離パクリタキセルの投与(48mg処方物/kgラット)の結果を示す。カラムEは、実施例6に記載の、PINによって微粉化したパクリタキセルの投与(48mg処方物/kgラット)の結果を示す。カラムFは、生物付着性賦形剤を含有するパクリタキセル/PLGA−PIN処方物の投与(160mg処方物/kgラット)の結果を示す。転相(PIN)法によって微粉化したパクリタキセル(処方物E)および蒸留水(dHO)に再懸濁した処方物Fを除いて、全ての調製物を、投与のために、0.5%SLS/PBSに再懸濁した。処方物A、CおよびFにおける賦形剤は、無水フマル酸オリゴマー、ポリビニルピロリドン(PVP)および酸化鉄(FeO、Feおよび/またはFe)であった。
ある量の各処方物を経口強制栄養法によって、ラットの胃に直接的に投与して、48mgパクリタキセル/kgラットを与えた。血液試料を、特定時点で、ヘパリンを添加した試験管に採取し、遠心分離した。血漿を除去し、ジエチルエーテルでの液体−液体抽出によるパクリタキセル含有量HPLC分析用に準備した。エーテルを蒸発させ、試料を、アセトニトリル:水のHPLC移動相において再形成し、HPLCに直接注入した。血漿パクリタキセル濃度を、各時点でプロットした。
パクリタキセルの低用量(<10mg/kg)IV薬物動態は線的でないので、経口投与薬剤のバイオアベイラビリティーを、所定経口投与について観測されたのと同じ血漿薬物濃度時間曲線下面積(AUC)を生じるIV用量に関して算出する。これを行なうために、IV薬物動態試験をいくつかの用量で行い、得られたAUCを決定し、用量/AUC関係を表す等式をデータに適合させた。これは、観測された経口AUCに対応するIV用量の算出を可能にする。経口用量の分数(fractional)バイオアベイラビリティー(BA)は、経口処方物の対応IV用量/実際の経口用量(IV用量/経口用量)の比率である。
処方物Aは、8.5%の平均相対バイオアベイラビリティーを生じた。
処方物Bは、3.8%の平均相対バイオアベイラビリティーを生じた。
処方物Cは、1.0%の平均相対バイオアベイラビリティーを生じた。
処方物Dは、平均相対バイオアベイラビリティーを生じなかった(0.0%)。
処方物Eは、2.4%の平均相対バイオアベイラビリティーを生じた。
処方物Fは、8.5%の平均相対バイオアベイラビリティーを生じた。
PINを使用して製造した賦形剤含有パクリタキセル/PLGAの相対バイオアベイラビリティーは、8.5%であった(図1、カラムAおよびF参照)。この結果は、3.8%であった賦形剤を含有しないパクリタキセル/PLGA(カラムB)または2.4%であったパクリタキセルのみ(カラムE)のバイオアベイラビリティーと極めて対照的である。このように、PLGAおよび賦形剤の存在は、薬剤の相対バイオアベイラビリティーを明らかに増加させる。さらに、パクリタキセル/PLGAが0.5%SLS/PBS(カラムA)またはdHO(カラムF)に分散された場合、相対バイオアベイラビリティーに差異がないと考えられる。
(実施例8: ラットに経口投与した生物付着性タキサン処方物のバイオアベイラビリティー試験)
実施例5に記載の、パクリタキセルおよびポリ(FA:SA)(20:80)を含有する処方物を、ラットにおいて生体内試験した。投与のために、処方物を0.5%SLS/PBSに再懸濁した。
次に、各再懸濁処方物を、経口強制栄養法によって、ラットの胃に直接投与した。血液試料を、特定時点(1時間、2時間、4時間、8時間、14時間および24時間)で、ヘパリンを添加した試験管に採取し、遠心分離した。血漿を除去し、ジエチルエーテルでの液体−液体抽出によるパクリタキセル含有量HPLC分析用に準備した。エーテルを蒸発させ、試料を、アセトニトリル:水のHPLC移動相において再形成し、HPLCに直接注入した。図2において、血漿パクリタキセル濃度を、各時点でプロットする。
図2は、実施例5に記載のパクリタキセル−PIN処方物(A)、(B)、(C)および遊離パクリタキセル(D)の経口投与後の時間経過における血漿パクリタキセル濃度を比較するグラフである。処方物Aは、30%(w/w)パクリタキセル/ポリ(FA:SA)PINを含有していた(48mgパクリタキセル/kgラット)。処方物Bは、50%(w/w)パクリタキセル/ポリ(FA:SA)PINを含有していた(80mgパクリタキセル/kgラット)。処方物Cは、70%(w/w)パクリタキセル/ポリ(FA:SA)PINを含有していた(112mgパクリタキセル/kgラット)。処方物Dは、処方物Aと同じ薬剤用量で経口投与された遊離パクリタキセルを含有していた(48mg/kgラット)。160mg/kgラットの処方物A、BおよびC、ならびに48mg/kgラットの処方物Dを、ラットに投与した。
血漿パクリタキセル濃度は、試験した全ての用量について、0〜5時間でピークに達した。図2に示すように、50%薬剤濃度(処方物B)は、30%(処方物A)および70%(処方物C)の両方の薬剤濃度より高い、7〜20時間における定常状態血漿濃度を与えることが明らかである。投与後24時間まで試験した全て濃度(処方物A、BおよびC)において、パクリタキセルが血漿試料に検出された。これに対して、遊離パクリタキセル(処方物D)の投与後に、パクリタキセルが血漿試料に検出されなかった。
(実施例9: 粒子の製造および分粒)
パクリタキセル(3mg)をジクロロメタン(塩化メチレン)1mLに溶解して、0.3%(w/v)溶液を得た。この溶液を、50mLの石油エーテル、非溶媒に分散させた。
転相工程から得た粒子を、窒素ガス下に0.2ミクロンPTFEフィルターで加圧濾過することによって、溶媒/非溶媒混合物から回収し、フィルターから収集し、真空濾過して、残留溶媒および非溶媒を除去した。多くの粒子は直径0.2ミクロン未満であったが、粒子が、膜の孔を埋めるフィルターケークを形成し、高収量で回収された。
(実施例10: ペンタンを非溶媒として使用するタキソール粒子の析出)
パクリタキセル(30mg)をジクロロメタン1mLに溶解して、3%w/v溶液を調製した。この溶液を、100mLのペンタン、非溶媒に注いだ。粒子を、実施例9に記載のように収集した。
(実施例11: 水を非溶媒として使用するタキソール粒子の析出)
パクリタキセル(30mg)をアセトン1mLに溶解し、水100mLに注いだ。粒子を、実施例9に記載のように、濾過によって収集した。パクリタキセル(30mg)をエタノール1mLに溶解し、水100mLに注ぎ、粒子を濾過によって収集した。これは、溶媒および非溶媒は実質的に混和性であることを条件として、非溶媒が、溶媒より高い極性またはより低い極性であってよいことを示す。
(実施例12: 界面活性剤を使用するタキソールの共析出)
パクリタキセル(90.4mg)、ポリビニルピロリドン(PVP)5.0mg、およびPLGA(ポリラクチド−コ−グリコリド)5.1mgを、ジクロロメタン3.3mLに溶解させた。溶液を315mLのペンタン、非溶媒に注いだ。粒子を濾過によって収集し、真空乾燥した。
(実施例13: 代替収集法:非溶媒中の界面活性剤)
パクリタキセル(100.4mg)を、ジクロロメタン3.3mLに溶解し、Span 80(ポリオキシエチル化脂肪アルコールの登録商標)1.65gを含有するペンタン330mLにおいて析出した。粒子を遠心分離によって収集し、液体窒素において凍結させ、真空乾燥した。
(実施例14: 他の界面活性剤を使用する粒子の析出)
溶媒中のSpan 80(16.7g)(非溶媒中には存在せず)、EUDRAGIT(登録登録商標)S−100(ポリアクリレート)(33.3mg)、PVP(33.3mg)、またはポリエチレングリコール(PEG)(33.3mg)を使用して、実施例13に記載した実験を繰り返し、それぞれの場合に同様の結果を得た。
他の実験において、パクリタキセル300mgをエタノール6mLに溶解し、溶液を水30mLに注いだ。次に、TWEEN(登録登録商標)20(200mg)を粒子懸濁液に添加した。粒子を濾過によって収集し、真空乾燥した。
(実施例15: パクリタキセル粒子形成のスケールアップ)
パクリタキセル2400mgをジクロロメタン80mLに溶解し、ペンタン8000mLに注いだ。粒子を濾過によって収集し、真空乾燥した。
これらの実験に使用した数値(3%、1:100)を、便宜的に選択し、比較のために維持した。溶媒中の薬剤濃度、および非溶媒におけるその量は、それぞれ有意に減少しうると考えられる。
(実施例16: 粒子への組織付着剤の添加)
基本的に米国特許第4,891,225号によって、酸から無水物への変換、およびトルエン中での無水物の重合によってハウス(house)で製造される無水フマル酸および無水セバシン酸のコポリマー(pFA:SA)(20:80)は、腸粘膜および他の粘膜への粒子の付着を促進すると考えられる。パクリタキセル(2280mg)およびpFA:SA(120mg)をジクロロメタン80mLに溶解させた。界面活性剤として使用されるSpan 85(16mL)を含有するペンタン8000mLに、その溶液を注いだ。粒子を真空によって収集し、真空乾燥した。
(実施例17: 経口パクリタキセル処方物のバイオアベイラビリティーの生体内試験)
経口投与パクリタキセルの5つの処方物のバイオアベイラビリティーを、パクリタキセル、エタノールおよびポリエトキシル化ヒマシ油を含有する静脈溶液の従来投与と比較した。48mgパクリタキセル/kgラットを輸送するのに充分な量の各処方物を、経口強制栄養法によってラットの胃に直接投与した。血液試料を、特定時点(0.5、2、4、8、24、48および72時間)で、ヘパリンを添加した試験管に採取し、遠心分離した。血漿を除去し、ジエチルエーテルでの液体−液体抽出によるパクリタキセル含有量高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)分析用に準備した。エーテルを蒸発させ、試料を、アセトニトリル:水(70:30)のHPLC移動相において再形成し、HPLC機に直接注入した。血漿パクリタキセル濃度を、試料採取の各時点でプロットした。
パクリタキセルの低用量(<10mg/kg)静脈内(IV)薬物動態は線的でないので、経口投与薬剤のバイオアベイラビリティーを、所定経口投与について観測されたのと同じ血漿薬物濃度時間曲線下面積(AUC)を生じるIV用量に関して算出する。これを行なうために、IV薬物動態試験をいくつかの用量で行い、得られたAUCを決定し、用量/AUC関係を表す等式をデータに適合させた。これは、観測された経口AUCに対応するIV用量の算出を可能にする。経口用量の分数バイオアベイラビリティー(BA)は、経口処方物の対応IV用量/実際の経口用量(IV用量/経口用量)の比率である。このバイオアベイラビリティー試験の結果を図3に示す。
(5つの処方物およびそれらの対応する相対バイオアベイラビリティー)
パクリタキセルミクロスフェアーを、基本的に実施例2に記載のように製造した。それぞれの場合に、同じ量(48mg/kg)のパクリタキセルを投与した。最も左側のカラム(a)において、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)および0.1%PVP(ポリビニルピロリドン;MW40,000D)を含有する等浸透圧燐酸緩衝食塩水(PBS)に、ミクロスフェアを取った。相対バイオアベイラビリティー(BA)は9.6%であった。
第二カラム(b)において、実施例10に変更を加えてミクロスフェアを形成した。PVPはパクリタキセル溶液に存在しなかった。その代わりに、ジクロロメタンに溶解したPVPを含有する分離溶液(1%w/v)をペンタンにおいて析出した。次に、ペンタン中のPVPをすぐに薬剤粒子懸濁液に添加し、その混合比率は、パクリタキセル11.25mg(ペンタン100容量で希釈した3%溶液)についてPVP1mg(ペンタン100容量で希釈した1%溶液)、即ち、各3.75容量のパクリタキセルについて約1容量のPVPを与えるように設計された(これは、実施例9と同じPVP/パクリタキセル比率を与える)。粒状パクリタキセルおよびPVP溶液を混合した後、ナノ粒子を濾過によって回収した。付加的PVPを加えずに、試料をPBS中の0.5%SLSに取った。ラットに与えた場合、観測されたBAは10.2%であった。
中央のカラム(c)において、パクリタキセルナノスフェアを、実施例2に記載のように形成し、PBS中の0.5%SLSに取った。付加的界面活性剤は添加しなかった。観測されたBAは2.4%にすぎなかった。この低いBAは、好適な界面活性剤の不存在における、ナノ粒子の不充分な再懸濁によるものと考えられる。
第四(ブランク)カラム(d)において、PBS中の0.5%SLSに36時間浸漬した保存(購入したままの状態)パクリタキセルをラットに与えた。観測されたBAは0%であった(血清にパクリタキセルが検出されなかった)。
最も右側のカラム(e)において、保存パクリタキセルをPBS中の0.5%SLSに取り、すぐに投与した。0.7%のBAが観測された。
これらの結果を図4にグラフで示す。
(実施例18: 粒度における、音波処理時間、安定性(音波処理後の時間)および溶媒/非溶媒比率の作用)
PINによって製造したパクリタキセル粒子の粒度における、単一3分間浴音波処理に続く粒子再懸濁後の時間の作用。全ての粒子を、室温で、100容量のペンタンを使用して、塩化メチレン中の3%パクリタキセル溶液から製造した。粒子を、濾過によって回収し、真空乾燥した。粒子を、1.0%(w/v)PVP/0.5%(w/v)ラウリル硫酸ナトリウム(「SLS」)/燐酸塩緩衝食塩水(「PBS」)に再懸濁した。結果を図5aに示す。この実験は、3分間の浴音波処理後の粒度の安定性(再凝集の不存在)を示す(左の縦軸における粒度目盛りが変化していることに注意)。結果は、音波処理後、少なくとも60分間まで、粒子が安定であることを示す。
PINによって調製されたパクリタキセル粒子の粒度における、浴音波処理時間の作用。試料を、再懸濁し、所定時間にわたって浴音波処理し、次に、すぐに測定した。整粒再懸濁媒質は、1.0%(w/v)PVP/0.5%(w/v)SLS/PBSであった。結果を図5bに示す。結果は、使用した条件において、1分より長い音波処理時間が、ナノメートル直径を得るのに必要であることを示している。標準音波処理時間として3分間を選択した。2分間では、これらの条件において、有効粒度が約0.1ミクロンに集中するサブミクロン値に減少したことに注意。
これらの実験によって確立された条件を使用し、パクリタキセルをモデル薬剤として使用して、薬剤濃度の作用、および非溶媒中での希釈率の作用を調べた。全ての実験における制御条件は、3%薬剤濃度、析出における1:100希釈率、および再懸濁後の3分間の浴音波処理であった。
薬剤濃度は粒度に影響を与える。塩化メチレン中のパクリタキセル濃度を変化させた。析出比率は、塩化メチレン1容量/ペンタン100容量であった。粒子を収集し、乾燥し、再懸濁し、3分間音波処理した。PINによって製造したパクリタキセル粒子の粒度における、ジクロロメタン(DCM)中のパクリタキセル溶液濃度(w/v)(PIN加工前)の作用を測定した。試料を再懸濁し、次に、単一3分間浴音波処理後すぐに測定した。結果は、図5cに示され、より低いDCM濃度(7%未満)が、より小さい粒径(ナノメートル範囲)を生じることを示している。
有効粒度は、薬剤添加量の増加に伴って増加する。増加は、1%〜5%薬剤において少なかった。粒度分布は、100nm粒子から約500nm直径の粒子への漸進的シフトを示す。7%および9%において、粒度分布プロットにおける5〜10ミクロン粒子の出現によって判断される、有意な凝集が生じた。
PINによって製造したパクリタキセル粒子の粒度における、溶媒/非溶媒比率(PIN工程の間)の作用を測定した。溶媒はジクロロメタンであり、非溶媒はペンタンであった。試料を再懸濁し、次に、単一3分間浴音波処理後すぐに測定した。整粒再懸濁媒質は、1.0%(w/v)PVP/0.5%(w/v)SLS/PBSであった。図5dは、溶媒ジクロロメタン/非溶媒ペンタンの比率1:100〜1:05についての結果を示す。全ての比率がナノ粒子を生じた。希釈率1:100(標準)、1:50、1:25、1:10および1:5を例示する。1:100および1:50希釈は、基本的に同じであり;1:25希釈は、0.3〜0.5ミクロン範囲の粒子のいくらかの増加を示し;粒度モードは、1:10および1:5において0.5ミクロン範囲にシフトする。粒度分布プロットは、この増加が、粒度の多ミクロン粒度範囲への有意な拡大を伴っていなかったことを示す。付加的音波処理の作用は調査しなかった。1:1の希釈率も試験した。薬剤は、肉眼的沈殿物として沈殿し、微細粒子形成の証拠はほとんど示されず;1つの実験において、沈殿物が自発的に再溶解し、これは1:1の比率が、パクリタキセルがそれに可溶性であるジクロロメタン中のペンタンの限界濃度に極めて近いことを意味する。温度も、溶解度における変数になりうる。
このデータの組は、ペンタンで沈殿させたジクロロメタン中のパクリタキセルを使用して、100nm範囲の微細粒子を得るために、希釈率50における1%の濃度がほぼ最適であることを示す。軽い音波処理に対して安定な500nm粒子については、溶媒使用の最少限化の点から、5%の薬剤濃度および1:5の希釈比がほぼ最適である。
他の実験において、ジクロロメタン中3%の薬剤カルバマゼピンを、ペンタン100容量において沈殿させる。電子顕微鏡検査によると、粒子は主に針状であり、直径約1ミクロン、長さ50ミクロンであった。少しの1ミクロン球形粒子も観察された。薬剤イトラコナゾールを使用した同様の実験では、電子顕微鏡検査により直径約0.1〜0.5ミクロンのほぼ球形の粒子を生じた。
これらの実験は、ナノ粒子の確実な形成のために、特定の条件が必要であり、ナノ粒子の形成は、薬剤を溶媒に溶解し、それを非溶媒において沈殿させたことによる必然的結果でないことを示す。それは、さらに、ナノ粒子を得ることができる一般的範囲についての情報を一旦得たら、特定薬剤についての条件の最適化は、妥当な量の実験をするだけでよいことも示す。
(実施例19: マウスに経口投与したパクリタキセルナノ粒子の腫瘍増殖における作用)
前記のように製造したパクリタキセルナノ粒子(生体接着剤または界面活性剤を使用せず)を、乳房腫瘍細胞を接種した雌ヌードマウスに1日2回で5日間、経口投与した。ナノ粒子を、0.1%PVP/0.5%SLS/PBSに11.25mg/mLで再懸濁し、経口強制栄養法によって投与して、理論投与量24、48および72mg/kgを与えた。対照は、静脈注射(30mg/kg)によって投与したクレマフォール中のタキソールであった。
結果を図6に示す。結果は、タキソールナノ粒子が、クレマフォール中のタキソールと比較して、約17%のバイオアベイラビリティーを有し、腫瘍増殖のいくらかの減少を生じたことを示し、投与量72mg/kgにおいて約50%の腫瘍容量減少であった。有効性を増加させるために使用しうる可変事項は、より高い薬剤添加量、生体接着剤の組み込み、および取込みを増加させるための粒度の最適化(500nm未満)を包含する。
図1は、本明細書に開示される方法によって形成したパクリタキセル粒子の、粒径(μm)対パーセント(数および量)のグラフである。 図2は、5種類の経口処方物に関して、パクリタキセルの相対バイオアベイラビリティー(±標準誤差)を比較する棒グラフである。 図3は、パクリタキセル転相ナノカプセル封入(PIN)処方物および保存パクリタキセルの平均相対バイオアベイラビリティーのグラフである。 図4は、パクリタキセル−ポリ(FA:SA)PIN処方物(A)、(B)、(C)と遊離パクリタキセルの、経口投与後の時間経過におけるパクリタキセル血漿濃度を比較するグラフである。 図5a−5bは、粒度における、音波破砕後の時間の作用(図5a);粒度における、音波破砕時間の作用(図5b)を示すグラフである。 図5c−5dは、粒度における、薬剤溶液濃度の作用(図5c);および、粒度における、溶媒/非溶媒比率の作用(図5d)を示すグラフである。 図6は、クレモフォール(cremaphor)中のタキソールの注射と比較した、3種類の投与量のパクリタキセルナノ粒子の投与後の、腫瘍の大きさのグラフである。

Claims (31)

  1. 室温で約0.1w/v%未満の水溶性を有する治療、予防または診断用物質のナノ粒子を調製するための方法であって、以下、
    物質を溶媒に溶解させて、第一溶液を形成する工程、
    該溶媒と混和性である該物質に対して非溶媒を提供する工程、および
    該第一溶液と該非溶媒とを混合して、治療、予防または診断用物質のナノ粒子を形成する工程であって、該ナノ粒子は、少なくとも95%が1ミクロン未満の直径を有する集団を形成する工程、
    を包含する、方法。
  2. 界面活性剤または賦形剤を添加する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記界面活性剤または賦形剤を前記溶媒に添加する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記界面活性剤または賦形剤を前記非溶媒に添加する、請求項2に記載の方法。
  5. 前記界面活性剤または賦形剤を、前記ナノ粒子形成後に該ナノ粒子に添加する、請求項2に記載の方法。
  6. 前記物質が、低分子薬物、タンパク質、脂質、多糖、プロテオグリカンおよびポリヌクレオチドからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記物質が、水に不溶性であるために十分に疎水性である、請求項1に記載の方法。
  8. 遠心分離、濾過、凍結乾燥または噴霧乾燥によってナノ粒子を収集する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記ナノ粒子の約1%未満が約1ミクロンより大きい直径を有する、請求項1に記載の方法。
  10. 1ミクロン未満の直径を有する、治療、診断または予防用物質のナノ粒子を少なくとも95%含む集団であって、物質が室温で約0.1w/v%未満の水溶性を有する、集団。
  11. 前記物質が、低分子薬物、タンパク質、脂質、多糖、プロテオグリカンおよびポリヌクレオチドからなる群より選択される、請求項10に記載の集団。
  12. 前記物質が、水に不溶性であるために、充分に疎水性である、請求項10に記載の集団。
  13. 前記ナノ粒子の少なくとも99%が、1ミクロン未満の直径を有する、請求項10に記載の集団。
  14. 生体接着促進剤をさらに含む、請求項10に記載の集団。
  15. 分散剤をさらに含む、請求項10に記載の集団。
  16. ポリマーをさらに含む、請求項10に記載の集団。
  17. ポリマーに結合しているか、ポリマーに分散している生体接着剤を有するポリマーカプセル化物質を含む、請求項10に記載の集団。
  18. 前記生体接着剤が、生体接着性金属化合物および生体接着性有機分子からなる群より選択される、請求項17に記載の集団。
  19. 請求項10に記載の集団であって、前記ナノ粒子が、以下、
    前記物質を溶媒に溶解させて、第一溶液を形成する工程;
    該物質に対して非溶媒を提供する工程であって、該非溶媒が該溶媒と混和性である工程;および
    該第一溶液を該非溶媒と混合させて、ナノ粒子を形成する工程;
    を包含する方法によって形成される、集団。
  20. 静脈投与した場合のタキサンのバイオアベイラビリティーの少なくとも5%のバイオアベイラビリティーを提供する、タキサンの経口投与用ナノ粒子またはマイクロ粒子処方物。
  21. 前記タキサンがパクリタキセルである、請求項20に記載の処方物。
  22. 前記タキサンがドセタキセルである、請求項20に記載の処方物。
  23. 前記ナノ粒子およびマイクロ粒子の容積または数の90%が、5ミクロン未満の直径を有する、請求項20に記載の処方物。
  24. 前記ナノ粒子およびマイクロ粒子の容積または数の90%が、1ミクロン未満の直径を有する、請求項20に記載の処方物。
  25. 前記タキサンが、70重量%までの薬物容量で存在する、請求項20に記載の処方物。
  26. 前記タキサンが約30〜70重量%の薬物容量で存在する、請求項20に記載の処方物。
  27. 界面活性剤または賦形剤をさらに含有する、請求項20に記載の処方物。
  28. 請求項10に記載のナノ粒子集団、または請求項20に記載のナノ粒子処方物を含有する処方物を患者に投与する工程を包含する、患者を処置するための方法。
  29. 前記処方物が、経口処方物、エアロゾル剤、局所処方物、非経口処方物および移植可能組成物からなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記処方物が、経口投与される、請求項28に記載の方法。
  31. 前記処方物が、肺系に投与される、請求項28に記載の方法。
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