JP2006513170A5 - - Google Patents

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Description

【書類名】 明細書
【発明の名称】 酸および塩基から溶液を連続的に自動混合する方法
【技術分野】
本発明は、濃縮構成酸と塩基、並びに塩および他の必要な試薬の共通の貯蔵物からのインライン調製を使用することによる、生物薬剤の処理におけるクロマトグラフィーまたは他の用途などの様々な単位操作のために用いられる水性緩衝液および他の水溶液を生成するより効率的な改良方法に関する。
【背景技術】
本発明は、産物処理操作のため、または最終産物としてのいずれかでpH調節緩衝液を必要とする溶液を生成する方法に関する。これらのプロセスまたは産物は、共通して、pHを制御する必要があり、これは、イオン性基を含有する緩衝化合物を使用し、溶液のpHを、イオン性基のpKaの約1pH単位以内に調節することにより行われる。このpH範囲において、イオン性基のイオン化平衡には緩衝効果があり、溶液から水素イオンを除去するかそれに加える、溶液がさらされる化学反応からも、溶液のpHをほどほどに安定から小さなpH変化にする。現在の産業の慣例において、これらのpH緩衝溶液は通常、緩衝化合物の純粋な塩形態の水溶液を調製し、用途に必要とされる任意の追加の溶液成分(例えば、他の塩、界面活性剤、微生物阻害剤など)を加え、次いで、溶液のpHを、必要に応じて酸または塩基いずれか(HClまたはNaOHであることが多い)の制御添加により上または下に調節することにより生成される。緩衝化合物および添加剤は、乾燥(しばしば結晶質)塩の形態にあることが最も多く、これは比較的高価である。逆に、緩衝化合物の構成酸または塩基形態は、濃縮液体として供給されることが多く、ほとんどの場合、対応する乾燥塩よりも実質的に安いことが多い。
pH緩衝溶液の用途には、微生物、菌類または酵母の発酵、ほ乳類または昆虫の細胞培養並びにトランスジェニック動物および植物源により産生されたものを含む、生物薬剤の生産および下流精製に用いられる単位操作の全てが含まれる。pH緩衝溶液を使用する単位操作としては、濾過、遠心分離、沈殿、結晶化およびカラムクロマトグラフィーが挙げられる。クロマトグラフィー操作では、特に、クロマトグラフィーカラムの平衡化と装填、カラムの洗浄、そこからの産物の溶離、再生、およびカラムの復元のための異なるpH緩衝溶液を使用する。全ての単位操作は別々のサブバッチまたはサイクルにおいて行われ、産物バッチは一つ以上の単位操作サイクルからなる。本発明の他の用途は、それら自体がpH緩衝溶液である製品を含む。そのような製品の例としては、点眼剤および輸液が挙げられる。
本発明のこれらの用途において、緩衝溶液を最終的に使用するには、溶液が衛生的であり、ある場合には無菌であることが要求されることが多い。最終的に混合された緩衝溶液は、微生物の増殖を極めて支援することが多い。衛生的なまたは無菌の溶液の実際の製造、取扱いおよび貯蔵には、その溶液と接触する全ての設備の非常に注意深い、専門的かつ高価な設計と構築が要求される。さらに、その設備は、溶液接触表面を完全に洗浄し、次のバッチのために微生物汚染の可能性を最小にするために、使用後に厳しい定置洗浄(CIP)処置を施さなければならず、無菌処理状態を保証するために高圧蒸気滅菌(SIP)処置を必要とするかもしれない。これらの用途に使用される水は、非常に高い純度要件(ほとんどの場合、注射用水またはWFI)に製造され、利用するのに高く付く。衛生または無菌系のこれらの要件のために、そのようなプロセスの資本コストおよび運転費の両方は非常に高くなってしまう。
濃縮酸と塩基、および多くの場合には、高度に濃縮された形態(塩などの)にある他の成分は、それら自体は微生物増殖を支援しない。実際に、高濃縮酸および塩基はそれら自体、プロセス系を少なくともある程度は消毒する能力のために、CIP操作のための主な洗浄溶液として用いられることが多い。それゆえ、本発明におけるこれらの成分の供給物のための貯蔵タンクおよび分配システムは必ずしも、衛生または無菌の基準に合うように設計も、構築も、操作もされる必要がなく、それゆえ、ずっと安く、相当簡素であって差し支えない。
生物薬剤の製造を行う近代のプラントの多くにおいて、製造単位操作のために設計されたシステムは、大きな設備資本と大きな労働力の両方を必要とする。その最新技術は、現行のプロセスが、単位操作において個々に用いられる多数の緩衝液、溶離液、再生剤、および他の溶液の組合せを提供するようなものである。これらの数多くの様々な溶液の各々の成分は、大型の共有された溶液混合タンク内で、適切な薬剤グレード(注射用水または「WFI」などの)でそれぞれ混合される。その後、このように得られた溶液は、溶液の特別なバッチを使用する処理を開始する前に、精密濾過され、検査され、個々の専用保持タンクに移送される。溶液のバッチを使用した後、移送配管系および溶液調製タンクは、次の溶液を製造する前に、細心に定置洗浄しときには高圧蒸気滅菌を行う必要がある。
また、従来技術によれば、設備をうまく利用でき、必要なときに全ての溶液の利用可能性を確実にするために溶液の調製操作を同時に行うことは、結局相当な難題となり、かなりの費用がかかってしまう。従来技術の普通の生物薬剤および薬剤の生産設備において、溶液の調製、分配システム、および多数の溶液貯蔵タンクのために、空間と設備投資の大部分が取っておかれる。さらに、バッチ式の溶液調製では、タンクと分配システムの特定の寸法でうまく対処できる規模範囲は制限される。タンクの容積が限定され過ぎると、生産サイクルまたは全体のバッチに必要な生産能力が不足するであろう。タンクが大き過ぎると、溶液があまりにも長い間静止したままとなって、不適切または経済的に望ましくない化学変化が生じることがあり、設備投資が小規模にとっては過剰となり、商業的融通性が欠けることになる。
ごく近年、溶液の濃縮物を製造し、貯蔵する概念を用いて、ある生物薬剤製造設備が設計された。これらの濃縮物は、次いで、使用する時点で適切な薬剤グレードの水によりンラインで希釈される。この手法によって、要求される溶液の貯蔵タンクのサイズを減少でき、溶液のバッチを製造しなければならない回数および貯蔵タンクと分配システムを洗浄しなければならない回数を著しく減らすことができる。しかしながら、貯蔵タンクの数および分配システムの複雑さは、この手法によっては減少しない。また、溶液の貯蔵形態の根本的な濃度要因は、最も溶けにくい成分の溶解度により制限される。
生物薬剤処理操作の規模が増すにつれ、従来のバッチ操作の代わりに、連続単位操作のプラントが設計され、建設されている。例えば、連続細胞培養手法は、極めて一般的になってきた。トランスジェニック産生システムは、半連続式(例えば、毎日2〜3回乳を産生する形質転換搾乳用動物のように)であるか、またはそれ自体(例えば、連続下流プロセシングのための供給源として長期間に亘り貯蔵できる遺伝子組換え農作物のように)処理することもできる。次第に、連続下流精製単位操作が開発されてきた。そのような単位操作の例は、擬似移動床またはSMBクロマトグラフィーである。
バッチの完全な状態を維持する上では、所定のロットの最終薬剤産物の製造に用いられた全ての手順と材料の厳密な追跡可能性の法的要件に従うのはそれほど難しくないが、バッチ式の設計には欠点と問題がある。最も決定的な事項は、設備のキャパシティが非効率的にしか利用されないことである。時間の大半に亘り、バッチ操作プラント内の任意の所定のタンクまたは他の設備が、単位操作のため、または次のバッチのために、前の工程の実行を単に待っている。サイクルの精細な連続と交互交換はキャパシティの利用を向上させるのに役立つが、単位操作内の段階的な順序のために、この手法が制限される。特に、比較的大規模に製造される産物について(毎年数百キログラムから数トン)、キャパシティの利用を実行可能に著しく増大させる必要性がある。
連続プロセスは、生産プラント内の溶液調製システムに特別な要望を課す。それらの溶液は連続的に供給しなければならないので、貯蔵/供給タンクを洗浄し、必要な溶液の新たなバッチを製造し、次いで、タンクに再充填するために、停止することはできない。したがって、そのようなプラントにおいては、各溶液は、関連した分配システムを持つ二つの貯蔵タンクを有さなければならない。第一のものは、操作自体の供給のためであり、第二のものは、第一のものが使用されている間に洗浄し、再充填するためである。この要件は、そのような設備のコストを大幅に増加させ、連続操作の利点のいくつかをうち消してしまう。
従来技術に関して、個々の特許を以下に論じる。「Method and Apparatus for Filling, Blending, and Withdrawing Solid Particulate Material from a Vessel」と題する特許文献1には、連続混合装置を備えた装置によって、固体の粒状材料を液体と混合して懸濁液を調製する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、水性緩衝液を作製するために溶液を混合しておらず、また生物薬剤を製造することもできない。さらに、その装置は、高さまたは重量によって容器内の材料の量をモニタするセンサと、材料の供給速度と混合された物質の取出し速度とを釣り合わせて容器内の材料レベルを好ましいレベルに導くために、粒状材料の供給速度または材料の取出し速度を調節するための、センサに応答する制御装置とを備えている。この特許の図3において、混合装置では、混合装置内の溶液の量を調節するためでも、測定するためでもなく、処理プラントに進入する成分流を釣り合わせるために、容量型化学定量ポンプが利用されている。各溶液の混合は、ポンプのヘッドサイズおよび調節可能なストローク長の組合せにより調節される。
「Apparatus for Detecting Contamination in Food Products」と題する特許文献2において、食品試料が、緩衝溶液と混合緩衝液と組み合わされる。この特許のクレームによれば、緩衝溶液との混合の目的は、食品試料中の細菌の汚染量を最終的に計量することである。クレームには、連続または自動化様式でpH緩衝溶液自体を製造する方法は開示されていない。さらに、上記溶液は、どのような薬剤製造にも含まれていないようであり、むしろ診断用途に含まれるようである。
「Method for Continuous Detoxification of Poisonous Agent of Toxic Chemical Compound, or Soil Contaminated by Said Poisonous Agent and/or Toxic Chemical Compound」と題する特許文献3には、解毒すべき供給流と試薬を混合することにより物質を連続的に解毒する方法が開示されているが、生物薬剤の製造は検討も開示もされていない。
「Continuous Liquid Stream Digital Blending System」と題する特許文献4において、この発明は、連続流混合のための方法および装置に関する。この特許に教示された手法は、混合流を製造する都合のよい方法として、タンク内で流体の適切な数の少量の「デジタル・スラグ」を混合することである。この特許には、特に生物薬剤を使用するために、構成酸と塩基を混合してpH緩衝溶液を製造する特別な用法は教示されていない。
「Method and Apparatus for Super Critical Treatment of Liquids」と題する特許文献5において、この発明は、減圧工程と冷却工程とからなる連続加圧システム内で液体を滅菌する方法に向けられているが、生物薬剤の製造には関係していない。この特許では、処理済み溶液の温度の増減および制御された流量のためにポンプを利用しているが、化学物質の混合は伴わない。
「Method for Blending Diverse Blowing Agents」と題する特許文献6には、緩衝溶液ではなく、多数のガス状または揮発性液体を定圧で連続的かつ正確に混合する方法が開示されている。
「Method of Beverage Blending and Carbonation」と題する特許文献7には、混合の非常に精密な制御を行うための方法および装置が開示されているが、薬剤目的で緩衝溶液を混合することは含まれていない。
「Apparatus for Blending Chemicals with a Reversible Multi-Speed Pump」と称する特許文献8には、水性および油性などの各タイプの化学物質について一つのポンプで物質を混合するための装置が開示されている。この発明には、成分流を釣り合わせることに関係していない多段速度ポンプが開示されている。
【特許文献1】 米国特許第4907892号明細書
【特許文献2】 米国特許第6180335号明細書
【特許文献3】 米国特許出願第20020156336号明細書
【特許文献4】 米国特許第6186193号明細書
【特許文献5】 米国特許第6162392号明細書
【特許文献6】 米国特許第5823669号明細書
【特許文献7】 米国特許第5552171号明細書
【特許文献8】 米国特許第5340210号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術(特許と産業の慣例の両方において)には、連続混合を用いて、固体、液体および気体の混合物から様々なタイプの化学溶液を製造する方法が数多く教示されている。しかしながら、従来技術には、本発明の方法による、生物薬剤または他の産物を製造するために用いられるpH緩衝溶液の構成酸および塩基からの連続自動化混合は教示されていない。さらに、本発明は、より効率的かつ経済的に融通の利く基準で、化合物、特に生物薬剤を処理できる生物薬剤製造における進歩を提供する。本発明は、緩衝化合物のより高価な乾燥塩形態よりもむしろ、安価な酸および塩基を利用することによって、これらの産物の材料コストを削減することができる。さらに、好ましい実施の形態による本発明は、連続(バッチ様式の代わりに)製造方法による発酵により一層適している。そのような製造方法は、形質転換搾乳動物の乳からまたは遺伝子組換え植物の抽出物からのタンパク質の産生および連続潅流細胞培養に使用することができ、ここで、種子または植物形態により、原料の非常に長い貯蔵期間が与えられ、精製のための連続単位操作が可能になるであろう。
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明のインライン溶液調製技法を使用することによって、pH緩衝溶液のバッチ式の手動混合が改善される。この方法では、濃縮酸と塩基を利用して主要緩衝溶液を形成し、その中に混合される塩、界面活性剤または他の添加剤の濃縮溶液を利用して最終溶液を形成する。本発明の好ましい実施の形態において、小数の供給溶液を用いて、操作の効率を改善し、エラーを減少させ、コストを低下させる様々な試薬組成物を製造する。さらに、この操作は、好ましい実施の形態において、連続的であってよい。
緩衝化合物としては、無機酸(リン酸やホウ酸など)、単純な有機酸(酢酸やクエン酸など)、有機塩基(トリス−ヒドロキシメチルアミノメタン(TRIS)、およびHEPES、MOPS、MES等を含むいわゆるグッド緩衝液など)が挙げられる。緩衝化合物は通常、所望の最終pHを生じるように必要に応じて、強塩基(水酸化ナトリウムまたはカリウムなど)、または強酸(塩酸など)と組み合わされる。このような酸と塩基は、通常は非常に高い濃度で、液体濃縮物としてその系に供給される。他の成分は、純粋な液体または濃縮溶液として供給される。これらの他の溶液成分としては、塩(塩化ナトリウム、カリウムまたはマグネシウム、硫酸ナトリウムまたはアンモニウムなど)、界面活性剤(Tweenなど)、カオトロピック剤またはソルボフォビック剤(エチレングリコール、尿素、チオシアン酸ナトリウム、または塩酸グアナジニウム(guanadinium hydrochloride)など)、穏やかな還元剤(システインまたはメルカプトエタノールなど)、微生物阻害剤または蛋白質分解阻害剤(チメロソール(thimerosol)、ナトリウムアジドなど)、沈殿剤または抽出剤(ポリエチレングリコール、デキストランなど)等が挙げられる。
一旦、処理プラントに諸成分を適切に装填したら、個々の成分を混合する。ある実施の形態において、様々な流れ(水、酸、塩基および他の添加剤)を制御された流量で混合装置(スタティックまたはアクティブ・ミキサ)中にポンプで投入することにより、要求時に諸成分を連続的に混合し、次いで、このようにして得られたpH緩衝溶液を、プロセスに直接的かつ直ちに使用する。pHの調節は、混合地点の下流にpHセンサを配置し、pH値を用いて、酸と塩基の流れの相対流量を調節することにより行ってもよい。
第二の実施の形態において、個々の成分は、pH、導電率、温度、およびレベルに関するセンサを備えた小さな撹拌タンク中に、同時かまたは順次のいずれかでポンプにより投入される。この小さなタンクが充填され、混合されたときに、仕様に対して溶液の特徴を調査する(自動的か手作業のいずれかにより)。その結果が認可されたら、個々の溶液が放出される。混合および検査のための時間をみるために、第二の小さな緩衝液タンクを使用しても差し支えない。これを実施することにより、同じWHOが勧告する薬品製造、品質管理に関する規範(Good Manuracturing Practices:GMP)の品質基準を、バッチ式の溶液混合のように満たすことができる。
この方法を利用すると、より高価な緩衝化合物の塩の代わりに、濃縮緩衝酸および塩基を用いることによって、緩衝溶液のコストが減少する。さらに、この方法により、費用のかかる衛生的設計のタンク設備と配管設備が著しく減少する。追加の設備投資なく、非常に幅広い倍率範囲を達成することができる。本発明に用いられる手法は、連続プロセスおよび単位操作にとって非常に都合よい。本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態に関する以下の詳細な説明において明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
以下の略語は、この明細書において指定された意味を持つ:
省略キー:
SMB 擬似移動床クロマトグラフィーの略語
pH よく知られた科学パラメータによる化学物質または化合物の水素−イオン活性を表すために用いられる用語
WFI 注射用水の略語
CIP 定置洗浄の略語
GMP Good Manuracturing Practicesの略語
用語の説明:
生物薬剤
− その起源の合成または製造が、微生物、組み換え動物(制限するものではなく、キメラまたはトランスジェニック動物)、核移植、マイクロインジェクション、または細胞培養技法の使用を含む、任意の医薬品、治療薬、ワクチンまたは任意の医療に有用な組成物を意味するものとする
緩衝液
− 溶液中の特定の化学種の濃度変化を、この種の添加または消耗に対して最小にするように作用する系
細胞培養
− 研究所における細胞株または系統の維持を称する一般用語
クロマトグラフィー
− ガスまたは液体の移動性媒質に関する、および静止吸収媒質に関する、物質の異なる親和性に依存する、複雑な混合物を分離するための任意の数多くの技法
供給流
− プロセスまたは方法のために提供される、関心のあるタンパク質を含有する原料または原料溶液
擬似移動床クロマトグラフィー
− 供給原料の二成分を精製する連続固体−液体分離法。両成分とも、最高の収率と純度で生成される

本発明の方法は、最終的に医薬製品の製造に使用されるかまたは医薬製品として使用されるpH緩衝溶液を効率的に生成するプロセスを提供する。混合物を構成する主成分は水、および所望の最終pHを生じるように特定の濃度と特定の比率での緩衝液酸と塩基である。さらに、この溶液は、塩、界面活性剤、阻害剤などの他の溶液成分を含んでいてもよい。詳細の上記リストを参照のこと。個々の成分は、自動化混合装置を用いて使用する時点で混合される。
本発明の好ましい実施の形態において、図3に示すように、往復容量型化学定量ポンプを用いて、成分流の流れを調節している。特定の溶液に関する正確な混合は、ポンプヘッドのサイズと融通の利くストローク長の組合せにより固定される。様々な流れが、スタティックまたはアクティブ・タイプいずれかの混合装置中に同時にポンプにより送り込まれる。必要であれば、pHおよび導電率に関するセンサをミキサの後にインラインに配置し、それらの出力を用いて、酸、塩基および他の成分の相対比を調節する。この実施の形態において、この溶液は、提供されているプロセスによって直ちに利用される。
第二の好ましい実施の形態において、溶液成分(水、酸、塩基および任意の他の成分)は、ポンプにより計り出され、小さなタンク中で混合される。この計量操作は、全ての成分について同時に行うことができる(第一の実施の形態に用いたのと同じタイプの容量型化学定量ポンプを使用することにより)。あるいは、計量は、混合タンクに設置されたレベルセンサまたはロードセルを使用することにより、定量ポンプまたはコントロールのいずれかを用いて、各成分について順次行うこともできる。小さな混合タンク内での混合操作が完了したら、センサの測定値を放出の仕様と比較し、その仕様が満たされていれば、プロセスに使用するために溶液を放出する。溶液を、プロセスに連続的に供給する必要がある場合、二つの小さな混合タンクを用い、一方が、放出される溶液を供給し、他方が、新たなタンクの溶液を混合するのに用いられる。
本発明の第一の好ましい実施の形態は、構築するのに費用がかからず、簡素であり、本発明の好ましい実施の形態にしたがって、本当に連続的であってよい。これは、大部分の用途に用いられる実施の形態であろう。第二の実施の形態は、薬剤製造のためのGMPの現行の要素のいくつかを組み込んでおり、ある特定の重要なプロセス工程に必要とされるであろう。
図7を参照する。図5に示したヒト血清アルブミン下流精製プロセスについての設計および試験データが、詳細なプロセスコストのモデル化ソフトウェアシステム(マサチューセッツ州ウィルミントン所在のアプライド・プロセス・テクノロジーズ社(Applied Process Technologies)、Prardigm One)への入力として用いられた。このソフトウェア・パッケージは、特定のプロセス・パラメータ、選択された設備、ユーティリティーおよびスペースの要件などに基づいて、詳細な資本コストおよび運転費を見積もる。このモデルについて、ヒト血清アルブミンを含有する遺伝子組み換え乳から精製済みバルク活性薬剤成分(バルクAPI)を25トン毎年製造する設備が設計された。比較のために、全ての単位操作(図6参照)を一定に維持し、溶液調製および貯蔵システム並びにプロセスのユーティリティーのみを改良して、酸、塩基および添加剤からの直接的な緩衝液の混合を反映させた。さらに、本発明のプロセスによって、多くの溶液貯蔵タンクおよび分配配管をなくしたことによるスペース要件の減少のために、設備(建物)費用が著しく減少した。また、このことは、溶液の調製およびCIPに必要とされる設備に関するコストの減少にも反映されている。必要とされる給水システムのサイズと費用もある程度減少した。全体的に、プラントに見積もられた資本コストは、本発明の方法を導入したことによって、6.1百万ドル(約16%)だけ減少した。
ヒト血清アルブミンおよびアルファフェトプロテインに関する構造、機能、および疾病に関する文献がたくさん存在するが、従来技術には、これらのタンパク質を処理するために緩衝液および他の溶液を混合する効率的な自動化された連続方法は開示されていない。「Expression and Purification of Cloned Alpha Fetoprotein」と題する米国特許第5384250号明細書には、原核細胞中でヒトアルファフェトプロテインを製造する方法のみが説明されている。さらに、「Method of Producing Human Alpha-Fetoprotein and Product Produced Thereby」と題する米国特許第5206153号明細書には、それによって、ラットアルファフェトプロテインのDNA配列がヒトアルファフェトプロテインのDNAと組み合わされる、ヒトアルファフェトプロテインを製造する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では、緩衝液と他の溶液の連続的な自動化混合を使用することによるヒトアルファフェトプロテインの供給は行われない。
前述したように、この方法を用いて、治療用途のためにヒト血清アルブミンおよびアルファフェトプロテインを処理してもよい。最もよく知られている血漿タンパク質である血清アルブミンは、血液中の浸透圧の維持や、脂肪酸およびビリルビンの移送などの様々な生理的機能を担っている(Peters 1995)。供給流からの血清アルブミンのレベルを試験して、被験者が肝臓または腎臓の疾病を患っているか、もしくは血液が不十分な量のタンパク質しか消費していないかを調べてもよい。低下したレベルの血清アルブミンは、疾病並びに腹水症、火傷、糸球体腎炎、吸収不良症候群、栄養失調症、および腎炎症候群などの前兆を示しているかもしれない。
疾患を検出するために血清アルブミンのレベルを測定すること以外に、このタンパク質を合成することは、治療目的にとって有益である。アルブミン産物は、血漿コロイド浸透圧を維持し、腔内液および間質液を血管中に移動させることにより酷い水腫または浮腫を治療するために用いられる。アルブミン産物は、慢性低蛋白血症から生じる病理状態および急性低蛋白血症を緩和するために投与してもよい。アルブミン産物は、血液量減少性ショック、酷い火傷、成人呼吸窮迫症候群、腹水症、肝不全、および膵炎を治療するために用いてもよい(Cochrane et al., 1998)。アルブミンは、高ビリルビン血症、低蛋白血症、および腎炎症候群を治療するために投与してもよい(Vermeulen et al., 1995)。
アルファフェトプロテインは、有益な理由のために処理される別のタンパク質である。これは、胎児の肝臓および卵黄嚢により構築されるタンパク質である。妊娠中ずっと、高まったレベルは、以下の胎児の異常の前兆となるであろう:脊椎披裂、無脳症、臍帯ヘルニア、ファロー四徴症、十二指腸閉鎖症、ターナー症候群、および子宮内死。
胎児の疾病以外に、増加したレベルのアルファフェトプロテインを監視することは、肝炎の回復、並びに胃、膵臓、胆道、精巣、および卵巣の癌の位置を正確に突き止めるのに有用であろう。
本発明のある実施の形態によれば、数巡または連続巡のトランスジェニック選択を用いて、複数の特徴について同型の細胞または細胞系統を産生する場合、そのような細胞または細胞系統は、所定の細胞系統がイン・ビトロ培養において耐えられるサイクルの数を多くするために組成物で処理しても差し支えない。テロメラーゼがそのような化合物に含まれるであろう。
したがって、化学、生化学、または生物薬剤処理の生産速度および効率を増加させる本発明の実施の形態は、本発明の原理の用途を単に示したものであることが理解されよう。
改良された緩衝液調製および開発技術に関する開示された方法の要素の適用、使用方法、および形態の変更は新規であり、本発明の精神、または添付の特許請求の範囲から逸脱せずに、改質および/または実施してもよいことが先の説明から明らかであろう。
【表1】
Figure 2006513170
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来技術の従来のバッチ式溶液混合に関する下流プロセシングプラント
【図2】 酸および塩基からの連続溶液混合を示す下流プラント
【図3】 直接オンライン混合のための緩衝液混合装置設計
【図4】 インライン型混合タンクを用いた実施の形態による緩衝液混合装置設計
【図5】 典型的な生物薬剤生産プラントの設備要素のモデル
【図6】 遺伝子組換え型ヒト血清アルブミンのプロセススキーム
【図7】 従来のバッチ式処理に対して本発明の費用を比較した表
【図8】 擬似移動床設計を用いたヒト血清アルブミンのプロセススキーム
【図9】 代わりの単純化した遺伝子組換え型ヒト血清アルブミンのプロセススキーム
【図10】 酸と塩基とSMBとからの連続溶液混合を示す下流プラント

Claims (10)

  1. 水性のpH緩衝溶液または配合物を製造する方法であって、
    a) 制御された様式で水を混合し、
    b) 制御された比率で溶液の酸および塩基を緩衝して、構成酸および塩基の供給源から所望の最終pHおよび緩衝液濃度を生じる、
    各工程を有してなる方法。
  2. 前記緩衝溶液の任意の他の必要とされる成分を制御された比率で加えて、各成文の所望の最終濃度を生じることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記緩衝溶液を用いて生物薬剤を処理することを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 前記生物薬剤がヒト血清アルブミンであることを特徴とする請求項3記載の方法。
  5. 前記緩衝溶液の製造を連続的に行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 産物の供給流を、擬似移動床クロマトグラフィーに通して処理することを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 前記産物の供給流がトランスジェニック起源であることを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. トランスジェニックの前記産物の供給流が乳であることを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. 前記産物の供給流が細胞培養ブロス由来であることを特徴とする請求項6記載の方法。
  10. 前記水性のpH緩衝溶液または配合物を製造する工程が無菌工程であることを特徴とする請求項1記載の方法。
JP2004553825A 2002-11-18 2003-11-18 酸および塩基から溶液を連続的に自動混合する方法 Abandoned JP2006513170A (ja)

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