WO2015104794A1

WO2015104794A1 - 試料前処理装置

Info

Publication number: WO2015104794A1
Application number: PCT/JP2014/050094
Authority: WO
Inventors: 綾乃大坪; 長岡　嘉浩; 修大塚田
Original assignee: 株式会社日立製作所
Priority date: 2014-01-08
Filing date: 2014-01-08
Publication date: 2015-07-16

Abstract

　本発明は、試料に応じて最適な前処理条件に制御できる試料前処理装置を提供する。本発明の分析試料用の前処理装置は、前処理工程ごとに前処理工程操作装置であるカートリッジを備え、カートリッジの下流に前処理工程の操作の状況を判定する評価装置を備えており、評価装置の情報に基づいて、カートリッジ内に流入する流体の条件を調整すること。本構成により、多項目の前処理工程の最適化を短時間で行うことができる。

Description

試料前処理装置

　本発明は、分析対象となる試料を前処理する前処理装置に係り、特に、化学分析における試料の前処理装置及び分析システムに関する。

　試料前処理装置とは、各種の分析の前処理として、対象分析法に合わせて試料に対して予め種々の処理を施す装置のことをいう。一般に、化学分析における試料の前処理装置は、前処理の各工程を実行する複数のモジュールを組み合わせることで構成される。特許文献１には、液体の品質を評価・管理するために用いられる装置に関し、被検液と試薬との混合溶液の状態を検知する検知手段を設け、検知された混合液の状態に基づいて、被検液の状態を判定する手法について記載されている。

特開平１０－１７０４９５号公報

　近年、分析分野においては、試料の前処理から分析完了までの一連の操作に要する時間の高速化が一層求められている。

　特許文献１の手法では、分析する試料液に、ｐＨを判定するためのｐＨ指示薬を混合させ、混合部下流に設けた検出器で試料液のｐＨを判定している。しかしながら、ｐＨの調整作業、すなわち前処理操作を行うための試料の調整自体はユーザが別途にその都度行う必要があり、この調整に時間を要してしまう場合があった。なぜなら、特許文献１では、試料の調整、及び調整結果を判定する構成を備えておらず、このような構成では、前処理装置内において、前処理に必要な試料を調整する工程を行うことはできない。本発明は、前処理操作のための試料調整を短時間で行う装置を提供する。

　上記課題を解決するため、本発明の分析試料用の前処理装置は、試料液を送液する第１の送液手段と、当該第１の送液手段から送液される試料液の流量を検知する第１のセンサと、前記試料液と反応する試薬溶液を送液する第２の送液手段と、当該第２の送液手段から送液される試料溶液の流量を検知する第２のセンサと、当該送液された試料液、および試薬溶液が合流する合流部と、当該合流部を通過した混合溶液に第１の前処理を行う第１の前処理モジュールと、前記第１の前処理モジュールの下流側に配置され、前記混合溶液を評価する評価装置と、前記第１の前処理モジュールの下流側に配置され、前記混合溶液に第２の前処理を行う第２の前処理モジュール前記第１の送液手段、前記第２の送液手段を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、当該評価装置における混合溶液の評価結果と、前記第２のセンサの検知結果とに基づいて、前記混合溶液が所望の条件となるときの前記試薬溶液の流量を求め、当該求めた流量にて前記試薬溶液を送液するように、前記第２の送液手段を制御することを特徴とする。

　本発明によれば、試料に応じて最適な前処理条件に制御できる試料前処理装置を提供することができる。

　上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の構成を示す図。本発明の実施の形態に係るカートリッジ移動機構の構成を示す図。本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の表示装置の表示画面の例を示す図。本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の全体の動作シーケンスの例を示す図。本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の準備工程の動作シーケンスの例を示す図。本発明の実施の形態に係る試料前処理装置のｐＨ調整工程の動作シーケンスの例を示す図。本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の分離工程、保存工程、分析装置への切り換え工程の動作シーケンスの例を示す図。本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の前処理済み試料の保存部の構成の例を示す図。本発明の他の実施の形態に係る試料前処理装置の構成の例を示す図。本発明の他の実施の形態に係る試料前処理装置のｐＨ調整工程の動作シーケンスの例を示す図。

　以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。

　図１は本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の構成を示す図である。本装置は、食品、水、薬品などの試料を、各種分析装置で分析できるように前処理操作を行う。

　試料の前処理操作には、定量、混合、分離、抽出、加温などの前処理工程があり、分析装置や分析したい物質、試料によって必要な前処理工程の組み合わせが異なる。

　本装置の試料前処理装置１は、前処理工程操作装置１０１、１０２、試料を送液する送液手段２、試薬を送液する送液手段３、前処理工程操作装置１０２に流体を送液する送液手段４０、送液手段の圧力を取り込む圧力センサ２１、３１、４１、流量センサ２２、３２、４２、液感知センサ５１、前処理工程を評価する評価部４、切り換え装置１１１、１１２、１１３、１１４、１１５、１１６、廃液容器１１７、試料容器１１８、試薬容器１１９、液体容器１２２、分析装置への切り換え部１２１、それぞれを接続する配管２１１、２１２、２１４、２１６、２１７、２１８、２１９、２２０、２２１、２２２、合流部２１３、２１５、操作者が前処理工程を入力する入力装置５、前処理工程や操作者の入力情報を表示する表示装置６、記憶装置７を備える。また、試料前処理装置１は、制御部９、カートリッジ移動機構１０、カートリッジ保存部１０３、カートリッジ廃棄場所１０４を備える。分析装置への切り換え部１２１は分析装置１１に接続する。

　分析装置１１は分析装置制御部１２１１を備える。記憶装置７では、表示装置６に出力する情報（前処理工程や入力情報や表示情報）を記憶する。記憶装置７は前処理工程の判断条件（ｐＨの値、混合比、薬品情報、試料の情報、時間など）を記録しているデータベース８を備える。

　前処理装置制御部９は、前処理工程操作装置１０１、１０２、試料を送液する送液手段２、試薬を送液する送液手段３、前処理工程操作装置１０２に試料を送液する手段４０、送液手段の圧力を取り込む圧力センサ２１、３１、４１、流量センサ２２、３２、４２、前処理工程操作を評価する評価部４、切り換え装置１１１、１１２、１１３、１１４、１１５、１１６などの試料前処理装置の駆動制御を行う。

　図２は本発明の実施の形態に係るカートリッジ移動機構の構成を示す図である。図は前処理工程操作装置１０１を移動した場合の側面から見た図である。

　カートリッジ保存部１０３に保存してあった前処理工程操作装置１０１をカートリッジ移動機構１０の保持部１００５により、前処理工程操作装置１０１を保持し、前処理工程操作装置設置場所１０１４に設置する。前処理工程操作装置設置後１０１１は、前処理工程操作装置１０１が前処理接続部１０１２、１０１３と接続して、前処理工程操作装置設置場所１０１４に設置された状態を示している。カートリッジ移動機構１０は、Ｘステージ１００１、Ｙステージ１００２、Ｚステージ１００３、機構指示部１００４により保持部１００５を移動させる。未使用カートリッジ１０３１はカートリッジ保存部１０３に保存されたままである。

　カートリッジの移動に関しては、必ずしも装置が自動で行うことに限らず、前処理工程操作装置１０１、１０２と図１に示した配管２１１、２１２、２１４、２１６、２１７、２１８、２１９、２２０、２２１、２２２の接続は操作者が手作業で行ってもよい。

　図３は本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の表示装置の表示画面の例を示す図である。

　試料の種類や、分析したい物質、前処理工程などの前処理にかかわる情報であるプロトコールを表示装置６に入力する。

　試料の種類の入力情報を示す表示部２０１、分析対象物質の入力情報を示す表示部２０２、前処理工程数の入力情報を示す表示部２０３、１番目の前処理工程の入力情報を示す表示部２０４、２番目の前処理工程の入力情報を示す表示部２０５がある。前処理工程数の入力情報を示す表示部２０３に応じて、前処理工程の入力情報を示す表示部２０４、２０５の欄の数が増減されるように構成される。

　さらに表示装置６は、プロトコール入力ボタン２０６、プロトコール呼び出しボタン２０７、保存ボタン２０８、キャンセルボタン２０９、液漏れ確認ボタン２１０、前処理済み試料保存ボタン３０１、分析実行ボタン３０２を備える。

　プロトコールが試料前処理装置１の表示装置に入力されるとき、すなわち、欄２０１～２０５に各種情報が入力される前に、プロトコール入力ボタン２０６が使用される。前に。

　プロトコール呼び出しボタン２０７は記憶装置７に記憶されたプロトコールを欄２０１～２０５に呼び出す際に使用される。プロトコールを保存する場合は、保存ボタン２０８を押すことで記憶装置７に情報が記憶される。キャンセルボタン２０９は入力情報をキャンセルする場合に使用される。

　液漏れ確認ボタン２１０は、液漏れの確認を実行するときに使用される。また前処理済み試料保存ボタン３０１は、前処理済み試料保存部１２０（図１参照）に、前処理済み試料を保存する際に使用される。分析実行ボタン３０２は、分析装置で分析を実行する際に使用される。

　図１～８を用いて、本実施例の一例として試料であるオレンジジュースを前処理して、試料中のアスコルビン酸を分析装置１１で分析する実施例について説明する。

　図４は、本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の全体の動作シーケンスの例を示す図である。
前処理動作は、前処理工程を開始できるように準備をする工程（Ｓ４０１）、試料に試薬を混ぜてｐＨを調整する工程（Ｓ４０２）、試料中の夾雑物を分離する工程（Ｓ４０３）、前処理を完了させ、その後、前処理済みの試料を保存する工程（Ｓ４０４）、または前処理済みの試料は分析装置へ切り換えて導入される工程（Ｓ４０５）へ進むように構成される。

　≪準備工程≫
　まず、準備工程の動作工程と動作シーケンスについて、図１の試料前処理装置を参照して説明する。

　図５は、本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の準備工程（Ｓ４０１）の動作シーケンスの例を示す図である。

　はじめに試料であるオレンジジュースが収容された試料容器１１８、、試薬であるリン酸が収容された試薬容器１１９を、図１に示す所定位置に設置する（Ｓ５０１）。

　表示装置６に、試料の種類、分析対象物質など、前処理に関する各種情報が入力される。すなわち、ユーザがプロトコール入力ボタン２０６を押すと、試料の種類の入力情報を示す表示部２０１に、試料名称である「オレンジジュース」が入力され、分析対象物質の入力情報を示す表示部２０２には「アスコルビン酸」が入力され、前処理工程数の入力情報を示す表示部２０３には「２」が入力され、１番目の前処理工程の入力情報を示す表示部２０４には、混合工程の条件を意味する「混合　ｐＨ２．５」入力され、２番目の前処理工程の入力情報を示す表示部２０５には、分離工程を意味する「分離」が入力される（Ｓ５０２）。

　次に、各表示部２０１～２０５に入力された情報が制御部９に送信される（Ｓ５０３）。

　カートリッジ移動機構１０は、前処理工程操作装置１０１、１０２を、カートリッジ保存部１０３から、図２にて示した前処理工程操作装置設置場所１０１４に移動させる（Ｓ５０４）。

　上記の移動後、液漏れ確認ボタン２１０によって液漏れの確認が開始される（Ｓ５０５）。

　ステップＳ５０６では、前処理を行う前に、圧力センサ２１の値を読み取り、この値が正常値であるかどうかに基づいて、試薬１１９からの送液手段３の送液にて液漏れがないかどうかが判定される（Ｓ５０６）。正常値、異常値の数値範囲は、記憶装置７のデータベース８から参照可能である。ここで正常と判断された場合、液漏れの確認動作を停止し（Ｓ５０７－Ａ）、液漏れ確認のため駆動していた送液手段３による送液を停止する。液漏れの確認が終わった後に、すべての切り換え装置１１１、１１２、１１３、１１４、１１５、１１６、分析装置への切り換え部１２１を閉じる（Ｓ５０８－Ａ）。その後、保存ボタン２０８ボタンにより、これまでの準備工程のデータが保存され、前処理工程が開始される（Ｓ５０９－Ａ）。

　一方、異常と判断された場合には、液漏れの確認動作を停止し（Ｓ５０７－Ｂ）、表示装置６にエラー表示を示す（Ｓ５０８－Ｂ）。

　≪ｐＨ調整工程≫
　次にｐＨ調整工程の動作工程と動作シーケンスについて、図１の試料前処理装置を参照して説明する。

　図６は、本発明の実施の形態に係る試料前処理装置のｐＨ調整工程（Ｓ４０２）の動作シーケンスの例を示す図である。

　まず、図１に示した切り換え装置１１１、１１５を開いた状態として、送液手段２により試料容器１１８から試料の送液を行う（Ｓ６０１）。試料は配管２１１、合流部２１３、配管２１４、合流部２１５、配管２１６を通って評価部４、廃液容器１１７に流入する。

　次に、切り換え装置１１６を開いた後に、試薬を送液する送液手段３を用いて試薬容器１１９から試薬の送液を行う（Ｓ６０２）。

　送液手段３から送液される試薬の流量を徐々に変化させることで、合流部２１３で合流する際の試料と試薬の混合比を調整する（Ｓ６０３）。試料と試薬との混合比の調整により、配管２１４、合流部２１５、配管２１６の中で、溶液のｐＨが変化する。

　当該溶液中のｐＨの変化を評価部４で検出し、結果を制御部９へ送信する（Ｓ６０４）。

　制御部９では、評価部４から送られてきたｐＨの検出結果の情報と、表示装置６における１番目の前処理工程の入力情報を示す表示部２０４に入力された、『混合　ｐＨ２．５』という情報を比較して、溶液のｐＨが２．５になるときの試薬量を求め、送液手段３からの送液が必要となる流量を算出する（Ｓ６０５）。

　上記ステップにて算出した必要な試薬の流量を記憶装置７に記憶したのち、同情報を制御部９に送信する（Ｓ６０６）。

　制御部９は、送られてきた流量にて試薬を送液するように送液手段３に指示する。このとき、送液手段３の流量を一定に保つように送液を制御する（Ｓ６０７）。

　その後、切り換え装置１１２を開き、試料溶液を配管２１８、前処理工程操作装置１０２に送液する（Ｓ６０８）。

　≪分離工程≫
　次に分離工程の動作工程と動作シーケンスについて、図１の試料前処理装置を参照して説明する。

　図７は、本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の分離工程（Ｓ４０３）の動作シーケンスの例を示す図である。　前処理工程操作装置１０２の内部にはフィルターが取り付けられており、分離処理（ろ過）が行われる。
本工程では、上記のｐＨ調整工程において前処理工程操作装置１０１内でｐＨ調整された試料、試薬の混合溶液（以下、試料溶液とする）がフィルターを通過し、溶液内の不純物（分析装置の配管を詰まらせてしまうような大きな約0.2μｍ以上の粒子）が除去される。

　まず、送液手段２、３によって送液され、前処理工程操作装置１０１内を通過したｐＨ調整済の試料溶液が、前処理工程操作装置１０２内に移動する。前処理工程操作装置１０２内では、上記のフィルターに溶液を通過させて不純物を分離させる（Ｓ７０１）。

　試料溶液が前処理工程操作装置１０２を通過後、液感知センサ５１で、配管２２２内の液体を感知する（Ｓ７０２）。　液感知センサ５１における感知結果は、制御部９に送信される（Ｓ７０３）。

　なお、上記のステップでは、フィルターを用いた分離処理の例について説明したが、この他にも分離処理には固相抽出という手法がある。固相抽出を前処理装置１で実現する場合は、前処理工程操作装置１０２の中のフィルターに代えて固相担体を用いることができる。固相担体には、シリカを担体とするものやイオン交換樹脂などのポリマー性の担体のものがある。

　固相担体が充填された前処理工程操作装置１０２に、送液手段２と送液手段３で試料を流動させて、試料内の目的物質を固相担体内に捕捉させる。その後送液手段２、３を停止させ、切り換え装置１１２を閉状態、切り換え装置１１３を開状態とする。そして、目的物質が捕捉された固相担体に送液手段４０から流体を送液し、目的物質を固相担体から開放し、分離させる。上記操作により、分離工程として固相抽出を行うことができる。

　図７に戻り、前処理が完了した試料の前処理済み試料を、前処理済み試料保存部１２０に保存するか、引き続き分析装置１１に送液するかを選択する選択画面を表示装置６に表示する（Ｓ７０４）。

　次に、上記表示画面に沿って操作者により「前処理済み試料保存ボタン３０１」と「分析実行ボタン３０２」の一方が選択される（Ｓ７０５）。

　上記操作により、「前処理済み試料保存ボタン３０１」が選択された場合、試料溶液は前処理済み試料保存部１２０に保存される（Ｓ７０６）。ここでは、切り換え装置１１４が配管２２１側に切り換わり、配管２２０に流れた試料が配管２２１に流れ、試料が前処理済み試料保存部１２０に保存される。試料が前処理済み試料保存部１２０に保存されることから、分析装置１１と連動しなくても使用できる。　一方、「分析実行ボタン３０２」が選択された場合、試料溶液は分析装置への切り替え部１２１に送液され（Ｓ７０８）、分析装置１１に送られたのち（Ｓ７０９）、分析が開始される（Ｓ７１０）。

　また、前処理済み試料保存部１２０に保存された試料溶液についても、「分析実行ボタン３０２」がその後指示された場合には（Ｓ７０７）、上記の分析工程（Ｓ７０８～Ｓ７１0）に進むこととなる。この場合、前処理済み試料保存部１２０から分析装置１１に送液することができる。

　≪保存工程≫
　次に、上記操作において、試料溶液を前処理済み試料保存部１２０に保存する工程（Ｓ７０６）についてより詳細に説明する。

　図８は、本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の前処理済み試料の保存部の構成の例を示す図である。

　前処理済み試料保存部１２０は、切り換え装置９０１、９０２、廃液容器９１２、送液手段９１５、配管９０３、９１３、９１４、９１６で、試料保存容器９０６、９０７、９０８、液感知センサ９０９を備える。試料保存容器９０６、配管、切り換え装置９０１の数は、前処理したい試料の数に応じて増減することができる。

　切り換え装置９０１、９０２、ポンプ９１５、液感知センサ９０９は、制御部９により制御される。

　前処理済み試料保存部１２０は初期状態で、切り換え装置９０１が試料容器９０６に接続している。切り換え装置９０２が配管９１６と配管９１３に接続している。

　試料保存容器９０６に試料溶液を保存する場合を説明する。

　配管２２１を通過した試料は、切り換え部９０１、配管９０３、試料保存容器９０６、配管９０９、切り換え部９０２、配管９１３を通って廃液容器９１２に接続する。液感知センサ９０９で配管９１６内に試料溶液を感知したら、切り換え装置９０２を閉じる。そして試料保存容器９０６に試料液が保存される。

　次試料保存容器９０６から分析装置１１に送液する場合は、切り換え部１１４（図８中に図示せず）を配管２２２（図８中に図示せず）側に切り換えて、切り換え装置９０２を開いて、配管９１４と配管９１６を接続し、ポンプ９１５から空気を送って、配管２２１、配管２２２、分析装置への切り換え部１２１へと試料を送る。

　上記の構成において、予め表示装置６で試料保存容器９０６に番号を付して表示するようにしてもよい。その番号にあわせて、前処理済み試料を保存するようにしてもよい。

　表示装置６で指定した位置の試料保存容器９０６の番号を分析装置１１の制御部１２１１に送信し、分析結果に表示してもよい。　このように試料保存容器９０６に番号を付すことで、試料前処理装置１の前処理を完了した試料の番号を、分析装置１１の試料の情報として管理・処理できる。分析装置１１において改めて試料の情報を入れる必要が無いので、人が介在せずに前処理から分析まで行うことができ、試料間の採り違いを防止でき、管理が容易となる。

　≪分析装置への切り換え工程≫
　次に、上記操作において、前処理が完了した試料を分析装置１１に送液する工程（Ｓ７０８）についてより詳細に説明する。切り換え装置１１４が配管２２２側に切り換わり、前処理が完了した試料溶液が分析装置への切り換え部１２１へ送液される。
分析装置への切り換え部１２１が分析装置１１側に開き、分析装置１１に前処理が完了した試料溶液を送液する。分析装置への切り換え部１２１では目的の試料の体積分だけ、分析装置１１へ試料を流動させ、分析を開始する。　分析装置への切り換え部１２１の動作のタイミングは、分析可能時間を考慮してもよい。分析可能時間とは、分析を開始することができる時間または分析装置に試薬を流動させる、注入することができる時間である。分析可能時間の算出方法を以下に示す。　分析装置の制御部１２１１から、洗浄を開始した時間と、分析流路内を洗浄している時間である洗浄時間の情報により、分析可能時間を算出する。

　分析装置の制御部１２１１から、洗浄を開始した時間と、分析流路内を洗浄している時間である洗浄時間の情報が制御部９に送られる。

　液体クロマトグラフのような分析装置は、試料を分析したあと、次の試料の分析に影響がないように、分析装置の流路内を洗浄する。洗浄の開始時間は、分析時間によるため、試料ごとに異なるが、洗浄時間は分析装置で定められる。したがって、洗浄を開始した時間に、洗浄時間を加えることで、分析を開始することができる時間である分析可能時間がわかる。

　分析可能時間がわかるときの分析装置への切り換え工程を説明する。分析装置の制御部１２１１から、分析可能時間を参照し分析装置への切り換え部１２１に試料を送液する。他のステップは同様なので省略する。

　また、切り換え装置１１４と、分析装置への切り換え部１２１までの流路の体積と、送液手段２、３、４０の流量の情報から、切り換え装置１１４から分析装置への切り換え部１２１までの通過時間を算出し、分析可能時間から通過時間を引いた時間で切り換え装置１１４を切り換えてもよい。

　従って、洗浄時間を待たずに分析することが可能になるため、前処理工程と分析時間を合わせた時間が短縮される。

　また、前処理工程の操作が自動化されるので、上記の例におけるオレンジジュースの前処理操作の中で、人が介在する時間が短くなる。また分析装置の制御部１２１１の情報により、洗浄時間を取得することが可能なので、分析装置の洗浄時間を待つことなく、分析することが可能になった。それにより、前処理工程と分析時間を合わせた時間が短縮される。また、洗浄時間を待たずに分析できるので、時間とともに分解してしまうような物質が分析できるようになった。

　分析装置に注入することができる時間がわかるので、前処理が完了してから分析装置への注入時間が短くなり、注入されるまで待機する時間で分解していた物質の測定が可能になった。

　当然のことながら、上記の前処理の例以外にも本実施の形態に係る前処理装置によれば試料に応じて最適な前処理条件を制御でき、またこれらを適宜組み合わせることもできる。

　図９は、本発明の第二の実施の形態に係る試料前処理装置１を示す構成図である。

　本実施例では、標準物質を入れることにより前処理工程の可否を判定する操作について説明する。第一の実施例の構成に加えて、標準物質を収容した標準物質保持容器４０３、標準物質を送液する送液手段４０１、切り換え装置４０２、配管４０４を備える構成である。他の装置構成は、図１の第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。

　標準物質を送液する送液手段４０１を備えることで、前処理工程ごとに、特有な標準物質を用いて前処理工程の操作を評価することができる。標準物質とは純度がわかり濃度の基準などに用いられる試薬である。

　例えばオレンジジュースの前処理の標準物資としては、前処理工程の中で、ｐＨを評価するために、フェノールフタレインを標準物質として用いて、評価部４にある吸光度計で吸光度を評価する。

　第一の実施形態と異なる工程、ここでは、ｐＨ調整工程を中心に以下に説明する。

　それ以外のステップは第一の実施形態と同様のため、説明を省略する。

　図１０は、本発明の実施の形態に係る試料前処理装置の標準物質を用いた場合のｐＨ調整工程（Ｓ４０２）の動作シーケンスの例を示す図である。

　切り換え装置１１１、１１５を開いて、試料を送液する送液手段２を駆動させて試料容器１１８から試料の送液を行う（Ｓ１００１）。試料は配管２１１、合流部２１３、配管２１４、合流部２１５、配管２１６を通って評価部４、廃液容器１１７に流入する。

　次に、切り換え装置１１６を開いた後に、試薬を送液する送液手段３を用いて試薬容器１１９から試薬の送液を行う（Ｓ１００２）。

　ここで、切り換え装置４０２を開いて、標準物質を送液する送液手段４０１を用いて標準物質保持容器４０３から標準物質の送液を行う（Ｓ１００３）。

　送液手段３から送液される試薬の流量を徐々に変化させることで、合流部２１３で合流する際の試料と試薬の混合比を調整する（Ｓ１００４）。試料と試薬との混合比の調整により、配管２１４、合流部２１５、配管２１６の中で、溶液のｐＨが変化する。

　標準物質を含んだ溶液中のｐＨの変化は、吸光度の値に変化を与える。そこで、次に、当該溶液中の吸光度の変化を評価部４で検出し、結果を制御部９へ送信する（Ｓ１００５）。

　制御部１９では、評価部４から送られてきた吸光度の検出結果の情報と、表示装置６における１番目の前処理工程の入力情報を示す表示部２０４に入力された、『混合　ｐＨ２．５』という情報、及び記憶装置７のデータベース８に記憶されている吸光度とｐＨとの相関関係を示す情報と、に基づいて、ｐＨ２．５となるときの吸光度の値と、当該吸光度を得るために必要な送液手段３による試薬の送液量を求める（Ｓ１００６）。

　次に、送液手段４０１の送液を停止する（Ｓ１００７）。

　このように標準物質を利用する機構を設けることで、評価部４において、異なる前処理工程（ｐＨ調整・分離など）を判定できる。

　なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

１・・・試料前処理装置
２、３、４０、９１５・・・送液手段
４・・・評価部
５・・・入力装置
６・・・表示装置
７・・・記憶装置
８・・・データベース
９・・・制御部
１０・・・カートリッジ移動機構
１１・・・分析装置
２１、３１、４１・・・圧力センサ
２２、３２、４２・・・流量センサ
５１・・・液検知センサ
１０１、１０２・・・前処理工程操作装置
１１１、１１２、１１３、１１４、１１５、１１６、９０１、９０２・・・切り換え装置１１７、９１２・・・廃液容器
１１８・・・試料容器
１１９・・・試薬容器
１２１・・・分析装置への切り換え部
１２２・・・液体容器
２０１・・・試料の種類の入力情報を示す表示部
２０２・・・分析対象物質の入力情報を示す表示部
２０３・・・前処理工程数の入力情報を示す表示部
２０４・・・１番目の前処理工程の入力情報を示す表示部
２０５・・・２番目の前処理工程の入力情報を示す表示部
２０６・・・プロトコール入力ボタン
２０７・・・プロトコール呼び出しボタン
２０８・・・保存ボタン
２０９・・・キャンセルボタン
２１０・・・液漏れ確認ボタン
３０１・・・前処理済試料保存ボタン
３０２・・・分析実行ボタン
２１１、２１２、２１４、２１６、
２１７、２１８、２１９、２２０、２２１、２２２、９０３、９１３、９１４、
９１６・・・配管
２１３、２１５・・・合流部
９０６、９０７、９０８・・・試料保存容器
９０９・・・液感知センサ
１００１・・・Ｘステージ
１００２・・・Ｙステージ
１００３・・・Ｚステージ
１００４・・・機構指示部
１００５・・・保持部
１０１１・・・前処理工程操作装置設置後
１０１２、１０１３・・・前処理接続部
１０１４・・・前処理工程操作設置場所
１０３１・・・未使用カートリッジ
１２１１・・・分析装置制御部

Claims

　試料液を導入し、当該導入された試料液に対し所定の前処理を行う複数の前処理モジュールを備えた分析用試料の前処理装置であって、
　試料液を送液する第１の送液手段と、
　当該第１の送液手段から送液される試料液の流量を検知する第１のセンサと、
　前記試料液と反応する試薬溶液を送液する第２の送液手段と、
　当該第２の送液手段から送液される試料溶液の流量を検知する第２のセンサと、
　当該送液された試料液、および試薬溶液が合流する合流部と、
　当該合流部を通過した混合溶液に第１の前処理を行う第１の前処理モジュールと、
　前記第１の前処理モジュールの下流側に配置され、前記混合溶液を評価する評価装置と、
　前記第１の前処理モジュールの下流側に配置され、前記混合溶液に第２の前処理を行う第２の前処理モジュールと、
　前記第１の送液手段、前記第２の送液手段を制御する制御部と、を備え、
　前記制御部は、
　当該評価装置における混合溶液の評価結果と、前記第２のセンサの検知結果とに基づいて、
　前記混合溶液が所望の条件となるときの前記試薬溶液の流量を求め、
　当該求めた流量にて前記試薬溶液を送液するように、
　前記第２の送液手段を制御することを特徴とする前処理装置。
　請求項１に記載された前処理装置であって、
　前記第２の前処理モジュールへの流路を切り替える切り換え部を備え、
　前記制御部は、
　前記混合溶液が所望の条件となるときの前記試薬溶液の流量を求めたのちに、
　当該求めた流量にて前記試薬溶液が前記第２の前処理モジュールに送液されるように、　前記切り換え部の切り換えを制御することを特徴とする前処理装置。
　請求項２に記載された試料前処理装置であって、
　前記第１の前処理モジュールは、ｐＨ調整処理工程を実行する装置であることを特徴とする試料前処理装置。
　請求項２に記載された試料前処理装置であって、
　前記第２の前処理モジュールは、前記混合溶液中の不純物質を除去するフィルターを備え、分離処理工程を実行する装置であることを特徴とする試料前処理装置。
　試料液を導入し、当該導入された試料液に対し所定の前処理を行う複数の前処理モジュールを備えた分析用試料の前処理システムであって、
　試料液を送液する第１の送液手段と、
　当該第１の送液手段から送液される試料液の流量を検知する第１のセンサと、
　前記試料液と反応する試薬溶液を送液する第２の送液手段と、
　当該第２の送液手段から送液される試料溶液の流量を検知する第２のセンサと、
　当該送液された試料液、および試薬溶液が合流する合流部と、
　当該合流部を通過した混合溶液に第１の前処理を行う第１の前処理モジュールと、
　前記第１の前処理モジュールの下流側に配置され、前記混合溶液を評価する評価装置と、
　前記第１の前処理モジュールの下流側に配置され、前記混合溶液に第２の前処理を行う第２の前処理モジュールと、
　前記第１の送液手段、前記第２の送液手段を制御する制御部と、を備え、
　前記制御部は、
　当該評価装置における混合溶液の評価結果と、前記第２のセンサの検知結果とに基づいて、
　前記混合溶液が所望の条件となるときの前記試薬溶液の流量を求め、
　当該求めた流量にて前記試薬溶液を送液するように、
　前記第２の送液手段を制御することを特徴とする前処理システム。
　請求項５に記載された前処理システムであって、
　前記第２の前処理モジュールへの流路を切り替える切り換え部を備え、
　前記制御部は、
　前記混合溶液が所望の条件となるときの前記試薬溶液の流量を求めたのちに、
　当該求めた流量にて前記試薬溶液が前記第２の前処理モジュールに送液されるように、　前記切り換え部の切り換えを制御することを特徴とする前処理システム。