JP2006512050A - 血清タンパク質結合標的特異的リガンドとその同定方法 - Google Patents

血清タンパク質結合標的特異的リガンドとその同定方法 Download PDF

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Abstract

血清アルブミンと特定の分子標的の両方へ結合する人工の標的特異リガンドが開示される。血清アルブミンとの相互作用は、被検者へ投与されるときに、諸特性を改善する。例えば、このリガンドと血清アルブミンとの相互作用により、循環中のリガンドの半減期を延ばすことができる。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2002年6月21日出願の米国特許出願第60/390,657号の優先権を主張し、その内容は、あらゆる目的のためにそのまま本明細書に援用される。
背景
血清アルブミンは、哺乳動物種の循環血液中にある、ほぼ70キロダルトンの豊富な輸送タンパク質である。例えば、血清アルブミンは、100mlの全血につきほぼ3〜4.5グラムの濃度で通常存在する。血清アルブミンは、循環系においていくつかの重要な機能を提供する。例えば、それは、血液中に見出される様々な有機分子の輸送体として、脂肪酸、ヘマチン、及びビリルビンのような様々な代謝産物の主要な輸送体として、さらに、その豊富なことにより循環血液の浸透圧の調節因子として機能する。それはまた、小さな、陰電荷の芳香族化合物への広汎なアフィニティーを有する。これらの結合機能により、血清アルブミンは、循環血漿において他のやり方では不溶性になる脂肪酸の主要な担体として役立つことが可能になる。
血清アルブミンはまた、被検者へ投与された薬物へ結合する場合がある。実際、薬物の効力の1つの指標は、血清アルブミンや他の血清タンパク質へのそのアフィニティーである。血清アルブミンへ結合することは、多くの薬物の全体分布、代謝、及びバイオアベイラビリティに影響を及ぼす場合がある。
薬物の半減期及び分布を伸ばすためにそれを血清アルブミンへ共役させることが知られている。HSA−CD4及びHSA−メトトレキセートのようなキメラアルブミン分子が、上記の潜在的な治療薬の半減期及び分布を高めるために利用されてきた(例えば、Yeh et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1904−8及びBurger et al.(2001)Int.J.Cancer 92:718を参照のこと)。
概要
1つの側面において、本発明は、(i)標的(例えば標的分子、標的細胞、又は標的組織)と相互作用し(例えば特異的に結合し)、かつ血清アルブミン(例えばヒト血清アルブミン)へ結合し、そして(ii)例えば、マウスモデル系において30分より長い(又は40、60、80、120、240分より長い、又は5、8、12、20、24、又は36時間より長い)in vivo半減期を有する、非天然ペプチド又は単離ペプチドを特徴とする。このペプチドの血清アルブミンへのアフィニティーは、標的分子へのアフィニティーよりも小さい場合がある。このペプチドの血清アルブミンへのKoffは、標的分子へのKoffより速い場合がある。
「マウスモデル系」における半減期の評価は、リガンドを放射標識して、標識したリガンドをマウスへ注射することによって行う。このマウスを様々な時間点で犠牲にし、各時間点より血清を採取する。各試料中の標識の量を計数して、時間に対するリガンド濃度の曲線を作成する。この曲線を適正なモデルへ適合させることによって半減期を決定する。この曲線に多数の相が含まれる場合、半減期とは、この曲線の幅の少なくとも15%に貢献する最長の半減期を意味する。当然ながら、本明細書に記載の方法の適用においては、他の方法及び動物を使用してin vivo半減期を評価してよい。
本ペプチドは、本明細書に記載の方法によって作製及び/又は同定することができる。
本ペプチドには、以下に例示する特徴の1以上が含まれる場合がある:分子内ジスルフィド結合、毒性部分(例えば細胞傷害性部分)、検出可能な標識、長さ32、28、24、20、18、又は16残基未満、少なくとも1つの芳香族アミノ酸(例えばジペプチド又はトリペプチドの芳香族配列)。ジスルフィド結合が含まれるペプチド中のシステイン残基は、4、5、6、7、8、9、若しくは10アミノ酸、又はそれより多いアミノ酸のループによって隔てられる場合がある。
本ペプチドは、5、2、1、0.5、0.1、若しくは0.02μM未満、又は10、1、若しくは0.5nM未満のKDで標的分子へ結合することができる。本ペプチドは、50、5、2、1、0.5、0.1、若しくは0.02μM未満、及び/又は0.1、5、20、若しくは50nMよりも大きいか又は0.1、0.5、若しくは1μMよりも大きいKDで血清アルブミンへ結合することができる。ある態様において、本ペプチドは、血清分子に対するよりも高いアフィニティーで標的分子へ結合する。例えば、標的分子へ結合するKDは、血清アルブミンへ結合するKDより少なくとも2、5、10、50、100、103、又は105倍小さい(即ち、より優れている)場合があるか、又はこの倍率選好性は、例えば、10〜107倍、又は10〜103倍であり得る。
1つの態様において、本ペプチドは、別の化合物(例えば別のペプチド)や非生物学的ポリマー(例えば親水性ポリマー)と共役せず、それはPEGにも共役しない。別の態様において、本ペプチドは、非ポリマー化合物(例えば非ポリマー細胞毒)と共役する。
1つの態様において、本ペプチドとそれが付くいずれかの共役化合物は、分子量が4500、4000、3500、3000、2500、又は2000ダルトン未満である。
ある態様において、本ペプチドの標的分子への結合と本ペプチドの血清アルブミンへの結合は、相互に排他的である。ある態様において、標的分子への結合を仲介するペプチドの残基と血清アルブミンへの結合を仲介する残基は、同じ広がりがある。本ペプチドには、L−アミノ酸及び/又はD−アミノ酸が含まれてよい。別の態様において、本ペプチドの標的分子への結合と本ペプチドの血清アルブミンへの結合は、同時に発生してよい。
ある態様において、標的分子には天然に存在するタンパク質の細胞外ドメインが含まれる。標的分子には、哺乳動物、例えばヒトのタンパク質、又はその断片が含まれる場合がある。標的分子は、CEA、VEGF−R2、インテグリンサブユニット、及びMUC1からなる群より選択される。1つの態様において、ペプチドはVEGF−R2へ結合せず、例えば、ペプチドはDX−954以外である。
1つの態様において、標的分子は通常は血液にも血清にも存在しない。1つの態様において、標的分子は内皮細胞上に存在しない。別の態様において、標的分子は内皮細胞上に存在する。1つの態様において、標的分子はがん特異的抗原である。1つの態様において、標的分子は他の細胞内構造の小胞の腔中に位置する。
1つの態様において、本ペプチドは、実質的に標識を含まず、例えば、それは標識へ共有結合していない。1つの態様において、本ペプチドは、ペプチドの細胞への取込みを高める、タンパク質の形質導入ドメイン(例えばHIV tatタンパク質の形質導入ドメイン)と会合する。
本ペプチドは、血清アルブミンへ結合する分子を表示するメンバーについてディスプレイライブラリーをスクリーニングすることが含まれる方法によって単離することができる。
本発明はまた、標的と相互作用し(例えば特異的に結合する)、かつ血清アルブミンへ結合するペプチドが含まれるポリペプチドをコードする配列が含まれる単離核酸を特徴とする。また、その核酸を含有するベクター及び宿主細胞(例えばこの核酸分子及び/又はポリペプチドを産生するのに適したベクター及び宿主細胞)も含まれる。
別の側面において、本発明は、(i)血清タンパク質以外の標的分子へ特異的に結合し、かつ標的分子へのアフィニティーに比べて低下したアフィニティーで血清タンパク質(例えば血清アルブミン以外の血清タンパク質)へ結合し、そして(ii)マウスモデル系において30分より長い(又は、40、60、80、120、240分より長いか、又は5、8、12、20、24、若しくは36時間より長い)in vivo半減期を有する、非天然のペプチドを特徴とする。このペプチドには、本明細書に記載の他の特徴が含まれる場合がある。
さらに別の側面において、本発明は、(i)血清タンパク質以外の標的分子へ特異的に結合し、かつ血清タンパク質(例えば血清アルブミン)へ結合し(例えば、標的分子へのアフィニティーに比べて低下したアフィニティーで)、そして(ii)マウスモデル系において30分より長い(又は、40、60、80、120、240分より長いか、又は5、8、12、20、24、若しくは36時間より長い)in vivo半減期を有する、非天然のタンパク質を特徴とする。このタンパク質には、本明細書に記載の他の特徴が含まれる場合がある。例えば、このタンパク質には、1以上の免疫グロブリン可変ドメイン、例えば2つの免疫グロブリン可変ドメイン(VL及びVH)が含まれる場合がある。免疫グロブリン可変ドメインは、CDRにより標的分子と血清タンパク質へ結合する場合がある。このタンパク質には、本明細書に記載の他の特徴が含まれる場合がある。
1つの側面において、本発明は、方法、例えば所定の標的と血清アルブミンへ結合するリガンドを同定する方法を特徴とする。この方法には:それぞれにさまざまなタンパク質が含まれる、複数のライブラリーメンバーを提供すること;及び(1)血清アルブミン以外の所定の標的と(2)血清アルブミンの両方へ結合する、複数のさまざまなタンパク質のメンバーの1つ又はサブセットを同定し、それにより所定の標的と血清アルブミンへ結合するリガンドを同定することが含まれる。このサブセットには、1つ、又は少なくとも1、2、5、10、20、又は50のメンバーが含まれる場合がある。1つの態様において、複数のライブラリーメンバーは、ディスプレイライブラリー、例えば、細胞又はファージ(例えば繊維状ファージ)ディスプレイライブラリーのそれぞれのメンバーである。1つの態様において、ライブラリーは整列しており、例えば、各メンバーが独自のアドレス呼び出し可能位置に配置される。ライブラリーには、少なくとも103、105、106、107、又は109の異なるメンバーが、場合により、1012又は1011未満の異なるメンバーが含まれる場合がある。
1つの態様において、同定することには、複数のさまざまなタンパク質の第1サブセットを同定すること(ここで、第1サブセットの各メンバーは所定の標的へ結合する)と、血清アルブミンへ結合する第1サブセットのメンバーの1つ又はサブセットを同定することが含まれる。別の態様において、同定することは、複数のさまざまなタンパク質の第1サブセットを同定すること(ここで、第1サブセットの各メンバーは血清アルブミンへ結合する)と、所定の標的へ結合する第1サブセットのメンバーの1つ又はサブセットを同定することを含む。第1サブセットを同定することには、第1化合物へライブラリーのメンバーを接触させることと、第1化合物と相互作用するメンバーを単離することが含まれる場合がある。第1サブセットを同定することと第2サブセットを同定することには、それぞれ、ディスプレイライブラリーをスクリーニングすることが含まれる場合がある。別の実施例では、いくつかの同定工程だけにディスプレイライブラリーをスクリーニングすることが含まれる。第1及び/又は第2サブセットには、1つ、又は少なくとも1、2、5、10、20、50、若しくは100のメンバーが含まれる場合がある。
標的分子には、哺乳動物、例えばヒトのタンパク質又はその断片が含まれる場合がある。標的分子は、例えば、本明細書に記載の標的分子、例えば、CEA、VEGF−R2、インテグリンサブユニット、及びMUC1であり得る。1つの態様において、標的分子は、VEGF受容体以外、例えばVEGR−R2以外の分子である。1つの態様において、特定の標的化合物には、天然に存在するタンパク質の細胞外ドメインが含まれる。標的分子は、無細胞形式におけるスクリーニング又は選択に使用し得るか、又は細胞表面に提示されてよい。1つの態様において、標的は細胞である。
本方法には、1以上の同定されたメンバーのin vivo半減期を評価することをさらに含めてよい。本方法には、第2サブセットの1以上の同定されたメンバーを医薬組成物として製剤化することをさらに含めてよい。本方法には、この医薬組成物を被検者へ投与することをさらに含めてよい。
1つの態様において、ライブラリーの各タンパク質には、独立したペプチド結合ドメイン、例えば、分子内ジスルフィド結合を包含するペプチド又は直鎖ペプチドが含まれる。別の態様において、ライブラリーの各タンパク質には、免疫グロブリン可変ドメインが含まれる。
本方法には、例えば、タンパク質の2次ライブラリーを創出するために、同定されたメンバーを突然変異させることがさらに含まれる場合がある。この方法は、タンパク質の2次ライブラリーについて反復してよい。別の実施例では、2次ライブラリーは、第1又は第2化合物で、又は生理学的特性、例えばin vivo半減期についてスクリーニングされる。
同定されたタンパク質の1以上には、本明細書に記載の特性が含まれる場合がある。例えば、このタンパク質は、5、2、1、0.5、0.1、若しくは0.02μM未満、又は10、1、若しくは0.5nM未満のKDで標的分子へ結合することができる。このタンパク質は、50、5、2、1、0.5、0.1、若しくは0.02μM未満、及び/又は0.1、5、20、若しくは50nMより大きいか、又は0.1、0.5若しくは1μMより大きいKDで血清アルブミンへ結合することができる。ある態様において、同定されたタンパク質は、血清分子よりも高いアフィニティーで標的分子へ結合する。
ある態様において、本タンパク質の標的分子への結合と本タンパク質の血清アルブミンへの結合は、相互に排他的である。ある態様において、標的分子への結合を仲介するタンパク質の残基と血清アルブミンへの結合を仲介する残基は、同じ広がりがある。
本方法には、サブセットのメンバーのアミノ酸配列を互いに比較して、少なくとも1つのプロファイルを提供することがさらに含まれる場合がある。
1つの態様において、複数のライブラリーメンバーの各メンバーでは、さまざまなタンパク質にさまざまな独立した結合ドメイン、例えば、長さ32、28、24、20、18、又は16アミノ酸未満のペプチド結合ドメインが含まれる。このペプチド結合ドメインには、10、6、5、又は3未満の定常位置、例えば、正確には2又は0の定常位置が含まれる場合がある。ペプチド結合ドメインには、1以上の分子内ジスルフィド結合、例えば1本のジスルフィド結合が含まれる場合がある。ジスルフィド結合を形成する定常システイン間に4〜16の可変アミノ酸を位置づけてよい。
別の側面において、本発明は、方法、例えば、所定の標的と血清アルブミンへ結合するリガンドを同定する方法を特徴とする。この方法には:(a)それぞれにさまざまなタンパク質が含まれる、複数のライブラリーメンバーを提供すること;(b)血清アルブミン以外の所定の標的へ結合する、該複数のさまざまなタンパク質のメンバーのサブセットを同定すること;(c)該サブセットの少なくとも1つのメンバーの配列を改変して、改変サブセットを形成すること;及び(d)血清アルブミンへ結合する改変サブセットのメンバーの1つ又はサブセットを同定し、それにより所定の標的と血清アルブミンへ結合するリガンドを同定することが含まれる。関連した方法には:(a)それぞれにさまざまなタンパク質が含まれる、複数のライブラリーメンバーを提供すること;(b)血清アルブミンへ結合する、該複数のさまざまなタンパク質のメンバーのサブセットを同定すること;(c)該サブセットの少なくとも1つのメンバーの配列を改変して、改変サブセットを形成すること;及び(d)血清アルブミン以外の所定の標的へ結合する改変サブセットのメンバーの1つ又はサブセットを同定し、それにより所定の標的と血清アルブミンへ結合するリガンドを同定することが含まれる。
1つの態様において、ライブラリーは、ディスプレイライブラリー、例えば、細胞又はディスプレイライブラリーである。1つの態様において、ライブラリーは整列している。第1サブセットを同定することには、第1化合物へライブラリーのメンバーを接触させることと、第1化合物と相互作用するメンバーを単離することが含まれる場合がある。
第1サブセットを同定することと第2サブセットを同定することには、それぞれディスプレイライブラリーをスクリーニングすることが含まれる場合がある。別の実施例では、いくつかの同定工程のみにディスプレイライブラリーをスクリーニングすることが含まれる。
標的分子には、哺乳動物、例えばヒトのタンパク質、又はその断片が含まれる場合がある。標的分子は、例えば、本明細書に記載の標的分子、例えば、CEA、VEGF−R2、インテグリンサブユニット、及びMUC1であり得る。1つの態様において、特定の標的化合物には、天然に存在するタンパク質の細胞外ドメインが含まれる。
1つの態様において、改変サブユニットは、第1の同定されたサブセットからの複数のメンバー、例えば、少なくとも2、3、5、10、20、50、又は100のメンバーの変異体からなる。改変サブセットには、少なくとも103、105、106、107、又は109の異なるメンバーが、場合により、1012又は1011未満の異なるメンバーが含まれる場合がある。
本方法には、第2の同定されたメンバーの1以上のin vivo半減期を評価することをさらに含めてよい。本方法には、第2の同定されたメンバーの1以上を医薬組成物として製剤化することをさらに含めてよい。本方法には、この医薬組成物を被検者へ投与することをさらに含めてよい。
1つの態様において、ライブラリーの各タンパク質には、独立したペプチド結合ドメイン、例えば、分子内ジスルフィド結合を包含するペプチド又は直鎖ペプチドが含まれる。別の態様において、ライブラリーの各タンパク質には、免疫グロブリン可変ドメインが含まれる。
本方法には、例えば、タンパク質の2次ライブラリーを創出するために、第2の同定されたサブセットから同定したメンバーを突然変異させることがさらに含まれる場合がある。この方法は、タンパク質の2次ライブラリーについて反復してよい。別の実施例では、2次ライブラリーは、第1又は第2化合物で、又は生理学的特性、例えばin vivo半減期についてスクリーニングされる。
同定されたタンパク質の1以上には、本明細書に記載の特性が含まれる場合がある。例えば、このタンパク質は、5、2、1、0.5、0.1、若しくは0.02μM未満、又は10、1、若しくは0.5nM未満のKDで標的分子へ結合することができる。このタンパク質は、5、2、1、0.5、0.1、又は0.02μM未満のKDで血清アルブミンへ結合することができる。ある態様において、同定されたタンパク質は、血清分子よりも高いアフィニティーで標的分子へ結合する。
ある態様において、本タンパク質の標的分子への結合と本タンパク質の血清アルブミンへの結合は、相互に排他的である。ある態様において、標的分子への結合を仲介するタンパク質の残基と血清アルブミンへの結合を仲介する残基は、同じ広がりがある。
1つの態様において、改変サブセットを提供することは、第1の同定されたサブセットの少なくとも1つのメンバーを突然変異させることを含む。別の態様において、改変サブセットを提供することは、第1の同定されたサブセットのメンバーのアミノ酸配列を比較すること、そのメンバーの少なくともいくつかについて少なくとも1つのプロファイルを推定すること、及び少なくとも1つのプロファイルに従って改変サブセットを調製することを含む。
この方法には、本明細書に記載の他の特徴を含めてよい。
さらに別の側面において、本発明は、方法、例えば、標的化合物と血清アルブミンへ結合する候補タンパク質を提供する方法を特徴とする。この方法には:さまざまなタンパク質のライブラリーを提供すること;このライブラリーから、血清アルブミン以外の標的化合物へ結合するメンバーを同定すること;同定されたメンバーについて、標的化合物へ結合するのに非必須であるか、又は標的化合物へ結合するのに非必須であると予測される1以上のアミノ酸位置を決定すること;この1以上の非必須アミノ酸位置を修飾して、候補タンパク質を提供すること;及びこの候補タンパク質の血清アルブミンへの結合を評価することが含まれる。この方法には、候補タンパク質の標的化合物への結合を評価することをさらに含めてよい。この方法には、修飾することによって提供される少なくとも第2の候補タンパク質を評価することをさらに含めてよい。
1つの態様において、評価することには、修飾することによって提供される複数の候補タンパク質を固定化血清アルブミンへ接触させることと、固定化血清アルブミンと相互作用する少なくとも1つの候補タンパク質を同定することが含まれる。
修飾することには、置換、欠失、又は挿入をすることが含まれる場合がある。1つの態様において、修飾することには、アミノ酸のセット、例えば、少なくとも3、5、10若しくは12のアミノ酸のセット、又は芳香族側鎖のあるアミノ酸、例えばトリプトファン、チロシン、及びフェニルアラニンが含まれるアミノ酸のセットを使用して、1以上の非必須アミノ酸位置を変化させることが含まれる。例えば、修飾することには、1以上の非必須アミノ酸位置の少なくとも1つを芳香族側鎖、例えばトリプトファン、チロシン、又はフェニルアラニンで置換することが含まれる場合がある。別の態様において、決定することは、アラニン−スキャニング、又は芳香族アミノ酸スキャニングを含む。
1つの態様において、決定することには、変異体の2次ライブラリーを調製すること、この2次ライブラリーをスクリーニングして、標的分子へ結合するメンバーを同定すること、及び、標的分子へ結合する2次ライブラリーのメンバーのアミノ酸配列を決定することが含まれる。
1つの態様において、決定することには、決定されたアミノ酸配列を互いに比較すること、及び/又は同定されたメンバーのアミノ酸配列と比較することがさらに含まれる。
この方法には、本明細書に記載の他の特徴を含めてよい。
1つの側面において、本発明は:(a)それぞれにさまざまなタンパク質が含まれる、複数のライブラリーメンバーを提供すること;(b)所与の血清タンパク質(例えば血清アルブミン)以外の所定の標的、又は所与の血清タンパク質へ結合する、該複数のさまざまなタンパク質のメンバーのサブセットを同定すること;(c)該サブセットの少なくとも1つのメンバーの配列を改変して、改変サブセットを形成すること;及び(d)(1) (b)において同定することが所与の血清タンパク質に対してであれば、所定の標的へ、又は(2) (b)において同定することが所定の標的に対してであれば、所与の血清タンパク質へ結合する改変サブセットのメンバーの1つ又はサブセットを同定し、それにより標的結合タンパク質を同定することが含まれる方法を特徴とする。この方法には、本明細書に記載の他の特徴を含めてよい。所定の標的は、所定の標的化合物、例えば、タンパク質様化合物、所定の細胞、組織、又は生物、又は所定の粒子、例えばウイルス若しくはプラークであり得る。所定の細胞は、例えばがん又は病原体の細胞であってよい。
別の側面において、本発明は、標的(例えば標的化合物、又は標的細胞、組織、若しくは臓器)と血清アルブミンへ結合する標的結合タンパク質を提供する方法を特徴とする。この方法には:さまざまなタンパク質のライブラリーを提供すること;このライブラリーから、血清アルブミン以外の標的へ各メンバーが結合する、複数のメンバーを同定すること;この複数のさまざまなタンパク質の各メンバーを、血清アルブミンへの結合について評価すること;及び血清アルブミンへ結合する複数のさまざまなタンパク質のメンバーを選択し、それにより標的結合タンパク質を提供することが含まれる。例えば、該複数のさまざまなタンパク質の各メンバーは個別に評価される。1つの態様において、標的には、細胞、例えば哺乳動物細胞又は病原性細胞が含まれる。哺乳動物細胞は、病的な細胞、例えばがん細胞であり得る。
1つの態様において、ライブラリーはファージディスプレイライブラリーであり、例えば、評価することは、表示ファージの固定化血清アルブミンへの結合について評価するELISAアッセイを含む。評価の結果は、デジタル形式で保存してよい。結果のサブセットがユーザーへ示される場合がある。
この方法には、本明細書に記載の他の特徴を含めてよい。
別の側面において、本発明は、血清アルブミン結合タンパク質のライブラリーを特徴とする。このライブラリーには、複数のタンパク質が含まれる。この複数物の各タンパク質は、機能的な免疫グロブリン可変ドメインを実質的に含まず、少なくとも10μMのアフィニティーで血清アルブミンへ結合する。例えば、この複数物の各タンパク質には、血清アルブミンへ独立して結合するペプチドが含まれる場合がある。1つの態様において、このペプチドは、30、28、24、20、18、又は16アミノ酸未満である。
ライブラリーのタンパク質は、血清アルブミンへ特異的に結合しても、非特異的に結合してもよい。ある態様において、該複数のタンパク質の少なくとも1つは血清アルブミンへ非特異的に結合する。
1つの態様において、ライブラリーは、ディスプレイライブラリー、例えばファージディスプレイライブラリー又は細胞ディスプレイライブラリーである。別の態様において、ライブラリーの各タンパク質は、表面上の別々のアドレスに固定化される。
別の側面において、本発明は、血清アルブミンと標的分子へ結合するリガンドを同定する方法を特徴とする。この方法には:血清アルブミン結合タンパク質のライブラリー(例えば本明細書に記載のライブラリー)の複数のメンバーを選択された標的分子へ接触させること;及びこの複数のメンバーから、標的分子へ結合する1以上のメンバーを同定することが含まれる。この方法には以下の1以上:1以上の単離メンバーの機能性セグメントを被検者への投与用の組成物として製剤化すること;この1以上の単離メンバーのin vivo半減期を評価すること;単離サブセットの単離メンバーのタンパク質配列を決定すること;1以上の単離メンバーの変異体の2次ライブラリーを作製すること;この2次ライブラリーを標的分子又は血清アルブミンへ結合する1以上の変異体メンバーについてスクリーニングすること、をさらに含めてよい。この方法には、本明細書に記載の他の特徴を含めてよい。
1つの側面において、本発明は、方法、例えば所定の標的と血清タンパク質へ結合するリガンドを同定する方法を特徴とする。この方法には:それぞれにさまざまなタンパク質が含まれる、複数のライブラリーメンバーを提供すること;及び(1)血清タンパク質以外の所定の標的と(2)血清タンパク質の両方へ結合する、該複数のさまざまなタンパク質のメンバーの1つ又はサブセットを同定し、それにより所定の標的と血清タンパク質へ結合するリガンドを同定することが含まれる。血清タンパク質の例には、血清アルブミン、抗体(例えばIgG、IgM、等)、トランスフェリン、α−マクログロブリン、フェリチン、アポリポタンパク質、トランスチレチン、プロテアーゼ阻害剤、レチノール結合タンパク質、チオスタチン、α−フェトプロテイン、ビタミンD結合タンパク質、及びアファミンが含まれる。この方法には、例えば、上記又は本明細書の他所に記載のような、他の特徴を含めてよい。
さらに別の側面において、本発明は、血清タンパク質以外の標的分子と相互作用し(例えば特異的に結合する)、かつ血清タンパク質(例えば血清アルブミン)へ(例えば、標的分子に対するアフィニティーに比べて低下したアフィニティーで)結合する非天然の核酸(例えば核酸アプタマー)を特徴とする。この核酸は、例えば、マウスモデル系において30分より長い(又は、40、60、80、120、240分よりも長いか、又は5、8、12、20、24、若しくは36時間よりも長い)in vivo半減期を有する場合がある。この核酸は、本明細書に記載の他の特徴を有し得る。本発明はまた、通常の生物学的ポリマーではない化合物を使用して具現化してよい。例えば、あらゆる化学ライブラリー又は集合からの化合物を本明細書に記載の方法を使用してスクリーニングして、血清タンパク質以外の標的分子と相互作用し、かつ血清タンパク質(例えば血清アルブミン)へも結合する化合物を見出すことができる。
さらに別の側面において、本発明は、薬剤を提供する方法を特徴とする。この方法には、標的分子及び血清アルブミンへの結合能を試験した薬剤を選択し、それにより薬剤を提供することが含まれる。例えば、薬剤はペプチドである。さらに、この方法には、薬剤を被検者へ投与することを含めてよい。選択することには、本明細書に記載の結合の程度、例えば、上記又は特定の相対アフィニティー、例えば標的分子へ少なくとも1.5、2、5、10、又は100倍よく結合することについて選択することが含まれる場合がある。この方法には、本明細書に記載の他の特徴を含めてよい。
さらに別の側面において、本発明は、被検者を治療する方法を特徴とする。この方法には、標的分子及び血清アルブミンへの結合能を試験した薬剤を提供する(例えば選択する)ことと、その薬剤を被検者へ投与することが含まれる。例えば、薬剤はペプチドである。選択することには、本明細書に記載の結合の程度、例えば、上記又は特定の相対アフィニティー、例えば標的分子へ少なくとも1.5、2、5、10、又は100倍よく結合することについて選択することが含まれる場合がある。この方法には、本明細書に記載の他の特徴を含めてよい。
用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合により連結した、3以上のアミノ酸のポリマーを意味する。ポリペプチドには、1以上の非天然アミノ酸が含まれる場合がある。典型的には、ポリペプチドには、天然アミノ酸だけが含まれる。用語「ペプチド」は、長さ3〜32アミノ酸であるポリペプチドを意味する。「タンパク質」には、1以上のポリペプチド鎖が含まれる場合がある。タンパク質又はポリペプチドには、1以上の修飾、例えば、グリコシル化、アミド化、プレニル化、等が含まれる場合もある。
「単離組成物」は、単離組成物を入手し得る天然試料の少なくとも1つの成分の少なくとも30%より取り出した組成物を意味する。組成物はまた、少なくとも50、70、75、80、90、95、98、又は99%単離することができる。
「結合アフィニティー」は、見かけの解離定数又はKDを意味する。リガンドは、例えば、特定の標的分子に対して少なくとも10-5、10-6、10-7又は10-8Mの結合アフィニティーを有する場合がある。リガンドが第2標的に比べて第1標的へより高いアフィニティーで結合することは、第2標的への結合の数値、KD 2よりも第1標的への結合の数値、KD 1が小さいことで示すことができる。このような場合、リガンドは、第2標的に比べて第1標的へ特異性を有する。例示の場合において、特異的結合は、非標的に比べて所望の標的に少なくとも2、5、10、50、100、又は1000倍よく結合することを意味する。変異特異的結合は、非標的が所望の標的に対して少なくとも70、80、又は90%同一である場合の特異的結合を意味する。本明細書に記載の標的結合タンパク質は、特異的結合体でも、変異特異的結合体でもよい。本明細書に記載のリガンドと血清アルブミンとの相互作用は、特異的でも非特異的でもよく、即ち、非特異的相互作用も、例えばin vivo半減期を延長させるのに、有用であり得る。典型的には、他に指定しなければ、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)中においてpH7.2でKDを決定する。
用語「さまざまな」は、配列中に1以上の変化、例えばヌクレオチド又はアミノ酸の変化、例えば置換、挿入、又は欠失を有する高分子を意味する。
用語「ライブラリー」は、少なくとも2つの分子のあらゆる集合、例えば、核酸ライブラリー又はポリペプチドライブラリーを意味するために使用してよい。例示のライブラリーには、互いにさまざまな、少なくとも102、103、105、107又は109のユニークメンバーが含まれる場合がある。
本発明にはまた、1以上の置換、例えば、1〜6の置換か又は少なくとも1つであるが10、5、4、3、2、又は1%未満の置換が含まれる配列とその変異体も含まれる。特定の置換が寛容されるかどうか、つまり、結合活性のような所望の生物学的特性に不都合に影響しないかどうかは、機能検査によるか、又は、例えばBowie et al.(1990)Science 247:1306−1310に記載のように、予測によって決定することができる。1以上又はすべての置換が保存的である場合もある。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられる置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。特に合成的に生成されたペプチドにおいて、さらに他の置換により、非天然アミノ酸を提供することができる。
本明細書に引用する、すべての特許出願、特許、及び参考文献は、そのまま本明細書に援用される。
詳細な説明
1つの側面において、血清アルブミンと特定の分子標的の両方へ結合する人工の標的特異的リガンドを創出する。血清アルブミンとの相互作用は、被検者へ投与されるときに、改善された特性をもたらす場合がある。例えば、このリガンドと血清アルブミンとの相互作用により、リガンドの循環中の半減期が延長する可能性がある。
例えば、小さなペプチドリガンドの血清アルブミンへの結合は、血流に循環している間に、より大きな有効分子量をもたらす。このペプチドは、より大きな血清アルブミン分子との会合を利用して、例えば腎臓におけるクリアランスを回避する。しかしながら、このペプチドは、標的分子への結合についてより高いアフィニティーを有し得るので、その企図された標的へ結合することにおいて依然として有効である。血清アルブミンへの結合と標的への結合が相互に排他的である場合、血清アルブミンが標的へ局在化することは回避される。
血清アルブミン及び標的へ結合するリガンドの同定
以下の方法は、とりわけ、血清アルブミンと特定の分子標的の両方へ結合する人工リガンドを同定するために使用することができる。
1. 第1の実施例では、ペプチドのライブラリーを、特定の標的へ結合するペプチドについてスクリーニングする。初期段階では、ペプチドのライブラリーに、いくつかの変異した連続位置を有するさまざまなペプチドが含まれる場合がある。大きなアミノ酸のセット(例えば全部で20の天然アミノ酸、1以上の非天然アミノ酸と組み合わせた天然アミノ酸、又は19のシステイン以外のアミノ酸)の間で、各位置を変化させてよい。標的へ結合するペプチドの最初の同定には、標的化合物に対する1以上のラウンドのスクリーニングが含まれる場合がある。引き続き、同定したペプチドを、血清アルブミン、典型的にはヒト血清アルブミンへの結合についてスクリーニングする。後続のスクリーニングにおいて同定したペプチドは、特定の標的化合物と血清アルブミンの両方へ結合するリガンドの候補物であり、さらに特性決定する。
2. 第2の実施例では、ペプチドの初期ライブラリーをスクリーニングして、ヒト血清アルブミンへ結合するペプチドを同定する。次いで、このように同定したペプチドを、標的化合物に対する結合についてスクリーニングする。2次スクリーニングにおいて同定したペプチドは、特定の標的化合物と血清アルブミンの両方へ結合するリガンドの候補物であり、さらに特性決定する。
3. 第3の実施例では、ペプチドの初期ライブラリーをスクリーニングして、特定の分子標的へ結合するペプチドを同定する。このようなペプチドの配列を特性決定して、この初期ライブラリーより同定される1以上のペプチドに基づいて、ペプチドの2次ライブラリーを構築する。例えば、2次ライブラリーは、元の残基を少なくとも25、50、又は75%の頻度で保持するように設計することができる。他の場合、残基は、例えば、すべての他の可能なアミノ酸の間で変化させることが可能である。2次ライブラリーをスクリーニングして、血清アルブミンへ結合するペプチドを同定する。このようなペプチドをさらに特性決定する。
4. 第4の実施例では、ペプチドの初期ライブラリーをスクリーニングして、特定の分子標的へ結合するペプチドを同定する。少なくとも1つのこうしたペプチドの配列を特性決定して、標的への結合に重要である可能性がある、ペプチド内部の残基を同定する。こうした残基は、いくつかの方法によって同定することができる。例えば、同定したペプチドを互いに比較して、1以上のコンセンサス配列を構築することができる。このコンセンサスに保存されている位置が結合に必須であると推量される。別の実施例では、同定したペプチドを、例えば、無作為に、又はアラニン・スキャニングのような部位指定法を使用して、突然変異させる。ペプチドの機能変異体について配列決定して、変異不能であるか又は保存されている位置を同定する。後者の場合、非機能的である変異体により、変化した残基の貢献についての直接証拠がもたらされる。
上記の情報に基づいて、ペプチドの2次ライブラリーを構築する。特に、2次ライブラリーでは、分子標的への結合に必須ではない残基を変化させる。必須である残基は、変化させない(即ち、一定に保つ)か、又は限定されたアミノ酸のセット(例えば保存的置換を提供するもの)の間でのみ変化させる。次いで、2次ライブラリーをスクリーニングして、血清アルブミンへ結合するペプチドを同定する。
5. 第5の実施例では、ペプチドのライブラリーを、特定の標的へ結合するペプチドについてスクリーニングする。次いで、同定したペプチドについて、例えば以下に記載のハイスループットプラットフォームを使用して、個別に特性決定する。各ペプチドを、特定の標的及びHSAへの結合について試験する。この試験からの情報は、コンピュータ・データベースに保存することができ、次いでこれについて検索して、標的とHSAの両方へ結合することができるペプチドを同定する。
6. 第6の実施例において、特定の分子標的へ結合することに必須ではないペプチドの残基を、上記に記載のように同定する。次いで、血清アルブミン結合に関連している1以上の芳香族アミノ酸か又は他のモチーフを包含するように、これらの残基を体系的に変化させる。非必須残基が芳香族アミノ酸の間で選好的に変化している小さなライブラリーを作製することも可能である。他の場合、Trp−Pro−Phe;Phe−Trp−Phe;Trp−Pro;Pro−Phe、又はTyr−Proのような特定配列や、芳香族−プロリン−芳香族のような特定モチーフをこの修飾ペプチドに含める。
7. 第7の実施例では、特定の分子標的へ結合するペプチドを「トリプトファン・スキャニング」する。それぞれの連続位置で変異ペプチドを作製し、その位置でのアミノ酸がトリプトファンで置換されるようにする。特定の分子標的及びHSAに対するこのペプチドの結合アフィニティーを評価する。ある場合は、標的とHSAへ結合することができる1以上のペプチドが見出される。これらの場合、トリプトファン突然変異を組み合わせて、少なくとも2つの置換がある変異ペプチドを形成してよい。
さらに、標的とHSAへ結合するものとして同定したどのペプチドも、さらに突然変異させてよい。例示の突然変異誘発技術には、誤りがちのPCR(Leung et al.(1989)Technique 1:11−15)、組換え、ランダム切断を使用するDNAシャッフリング(Stemmer(1994)Nature 389−391)、RACHITTTM(Coco et al.(2001)Nature Biotech.19 354)、部位特異的突然変異誘発(Zollner et al.(1987)Nucl Acids Res 10:6487−6504)、カセット突然変異誘発(Reidhaar−Olson(1991)Methods Enzymol.208:564−586)、及び、変性オリゴヌクレオチドの取込み(Griffiths et al.(1994)EMBO J 13:3245)が含まれる。
上記の方法のいずれも他のタンパク質、例えば、本明細書に記載の骨格タンパク質の変異体へ容易に拡張される。
血清アルブミン結合体の一般ライブラリー
上記に論じたように(例えば、「ライブラリースクリーニング」の第2項において)、血清アルブミンへ結合するペプチド又はタンパク質の集合を、この特性を有するメンバーについて初期ライブラリーをスクリーニングすることによって調製することが可能である。この集合を複製して(例えば、ディスプレイライブラリーを増幅することによるか、又は例えばアレイの追加コピーを合成することによって)、いくつかの異なる独立した標的分子についての候補血清の一般ライブラリーを調製することができる。このペプチド又はタンパク質の集合はまた、例えば使用説明書及び/又はスクリーニング用試薬を含む、キットとして提供してもよい。
血清アルブミン結合体の一般ライブラリーはまた、例えば、血清アルブミン結合のコンセンサス配列を決定して、このコンセンサスの多様性を代表するペプチド又はタンパク質の集合を合成することによって産生してよい。こうした集合は、例えば以下に記載のように、それぞれのペプチド又はタンパク質をコードする核酸を産生することによって合成することができる。
ライブラリー構築
ペプチド又は他のタンパク質(ポリペプチドとオリゴマーポリペプチドが含まれる)のライブラリーを構築するために様々な方法が利用可能である。1つの例示の方法は組換え核酸の操作及び発現を使用し、以下に記載の別の方法はタンパク質アレイを使用する。
組換え核酸
ペプチドや他のタンパク質のさまざまなセットをコードする核酸ライブラリーは、典型的には、合成オリゴヌクレオチドより合成する。これらのオリゴヌクレオチドは、関連する発現のフレームにおいて、この集団の異なるオリゴヌクレオチドが異なるアミノ酸配列をコードするように、1以上の縮重位置を含有してよい。1回の実施では、それぞれの所与の位置にヌクレオチドの分布が含まれる縮重オリゴヌクレオチドの集団より、核酸ライブラリーが生じる。所与の配列を含むことは、分布に関して無作為である。合成多様性をもたらす縮重供給源の1例は、NNN(ここでNは、等しい比率の4つのヌクレオチドのいずれかである)が含まれるオリゴヌクレオチドである。
合成多様性はまた、例えば、所与のトリヌクレオチドの核酸配列中のコドンの数をNNNより小さい分布へ制限するために、より束縛してもよい。例えば、こうした分布は、コドンのいくつかの位置で4未満のヌクレオチドを使用して構築することができる。遺伝暗号の特定の象限又はセクターは、ヌクレオチドサブユニットの考慮された選択によって選択することができる。
さらに、トリヌクレオチド付加技術を使用して、多様性の分布をさらに束縛することができる。いわゆる「トリヌクレオチド付加技術」は、例えば、米国特許第5,869,644号とVirnekas et al.(1994)Nucl Acids.Res 22:5600−7に記載されている。オリゴヌクレオチドは、固相支持体上で1回に1つのコドン(即ちトリヌクレオチド)で合成する。この支持体には、多くのオリゴヌクレオチドが並行して合成されるように、合成用の多くの官能基が含まれる。最初に、第1位置のコドンのセットの混合物を含有する溶液へ支持体を曝露する。このユニットを、追加のユニットが付加しないように保護する。第1の混合物を含有する溶液を洗い流し、この付着した第1ユニットへ第2位置のコドンのセットを含有する第2の混合物が付加し得るように、固形支持体を脱保護する。この方法を反復して、多数のコドンを連続的に組み立てる。トリヌクレオチド付加技術により、選択された数のアミノ酸を所与の位置でコードすることができる核酸の合成が可能になる。これらアミノ酸の頻度は、混合物中のコドンの比率によって調節することができる。さらに、所与の位置でのアミノ酸の選択は、単一ヌクレオチドの混合物を合成の間に付加する場合のように、コドン表の象限に束縛されない。ある実施では、選択されるコドンのセットが配列のプロファイル(例えば先のスクリーニングにおいて同定した結合体のプロファイル)に見出される変異の程度に対応する。
ディスプレイライブラリースクリーニング
タンパク質のさまざまなセットをコードする組換え核酸のライブラリーは、ディスプレイライブラリーを使用してスクリーニングすることができる。ディスプレイライブラリーは実体の集合であり;それぞれの実体には、アクセス可能なポリペプチド成分と、このポリペプチド成分をコードするか又は同定する回収可能な成分が含まれる。ポリペプチド成分はどんな長さでもよい(例えば3アミノ酸〜300を超えるアミノ酸まで)。選択においては、ライブラリーの各メンバーのポリペプチド成分を血清タンパク質でプローブし、ポリペプチド成分がこのタンパク質へ結合すれば、典型的には支持体上での保持によって、ディスプレイライブラリーメンバーを同定する。
ディスプレイライブラリーのスクリーニングは、きわめて多数の(例えば105、107、又は5×109より多い)潜在的な結合体を試験して、成功した結合体を短い時間の間に単離することができる点で有利である。さらに、免疫化と異なり、異なる種間で保存されている血清タンパク質のエピトープへ結合するリガンドを同定することができる。
保持されたディスプレイライブラリーメンバーを支持体より回収して解析する。解析には、増幅と、似ているか又は似ていない条件下での後続の選択が含まれる場合がある。例えば、ポジティブ選択とネガティブ選択を交互に行ってよい。この解析にはまた、ポリペプチド成分のアミノ酸配列を決定することとポリペプチド成分を詳細な特性決定のために精製することも含めてよい。
ディスプレイライブラリーには様々なフォーマットを使用することができる。その例には、以下が含まれる。
ファージディスプレイ
1つのフォーマットは、ウイルス、特にバクテリオファージを利用する。このフォーマットは、「ファージディスプレイ」と呼ばれる。典型的には、バクテリオファージのコートタンパク質へペプチド成分を共有結合させる。この連結は、コートタンパク質へ融合するペプチド成分をコードする核酸の翻訳より生じる。この連結にはまた、柔軟なペプチドリンカー、プロテアーゼ部位、又は停止コドンの抑制の結果として組み込まれるアミノ酸を含めてよい。ファージディスプレイは、例えば、Ladner et al.、米国特許第5,223,409号;Smith(1985)Science 228:1315−1317;WO92/18619;WO91/17271;WO92/20791;WO92/15679;WO93/01288;WO92/01047;WO92/09690;WO90/02809;de Haard et al.(1999)J.Biol.Chem 274:18218−30;Hoogenboom et al.(1998)Immunotechnology 4:1−20;Hoogenboom et al.(2000)Immunol Today 2:371−8;Fuchs et al.(1991)Bio/Technology 9:1370−1372;Hay et al.(1992)Hum Antibod Hybridomas 3:81−85;Huse et al.(1989)Science 246:1275−1281;Griffiths et al.(1993)EMBO J 12:725−734;Hawkins et al.(1992)J Mol Biol 226:889−896;Clackson et al.(1991)Nature 352:624−628;Gram et al.(1992)PNAS 89:3576−3580;Garrard et al.(1991)Bio/Technology 9:1373−1377;Rebar et al.(1996)Methods Enzymol.267:129−49;Hoogenboom et al.(1991)Nuc Acid Res 19:4133−4137;及びBarbas et al.(1991)PNAS 88:7978−7982に記載されている。
ファージディスプレイ系は、繊維状ファージ(f1、fd、及びM13ファージ)だけでなく、他のバクテリオファージでも開発されてきた(例えば、T7バクテリオファージとラムドイドファージ;例えば、Santini(1998)J.Mol.Biol. 282:125−135;Rosenberg et al.(1996)Innovations 6:1−6;Houshmet et al.(1999)Anal Biochem 268:363−370を参照のこと)。繊維状ファージディスプレイ系は、典型的には、III遺伝子タンパク質のようなマイナーコートタンパク質と、VIII遺伝子タンパク質、メジャーコートタンパク質への融合を使用するが、VI遺伝子タンパク質、VII遺伝子タンパク質、IX遺伝子タンパク質、又はそれらのドメインのような他のコートタンパク質への融合も使用してよい(例えば、WO00/71694を参照のこと)。好ましい態様において、融合は、III遺伝子タンパク質のドメイン、例えばアンカードメイン又は「断端」に対する(例えば、III遺伝子タンパク質のアンカードメインの記載については米国特許第5,658,727号を参照のこと)。非ペプチド連結(例えば非共有結合又は非ペプチド共有結合)を使用して、表示されているタンパク質をコートへ物理的に会合させることも可能である。例えば、ジスルフィド結合、及び/又はc−fos及びc−jun巻きコイルを物理的な会合に使用してよい(例えば、Crameri et al.(1993)Gene 137:69及びWO01/05950を参照のこと)。
ポリペプチド成分の結合価も制御することができる。ポリペプチド成分をコードする配列の完全なファージゲノムへのクローニングは、III遺伝子タンパク質のすべての複製物がポリペプチド成分へ融合するので、多重変異体のディスプレイをもたらす。低下した結合価では、ファージミド系を利用することができる。この系では、III遺伝子へ融合するポリペプチド成分をコードする核酸が、典型的には長さ700未満のヌクレオチドのプラスミド上に提供される。このプラスミドにはファージの複製起点が含まれるので、このプラスミドを担う細菌細胞がヘルパーファージ、例えばM13K01で感染されるときに、このプラスミドはバクテリオファージ粒子へ組み込まれる。ヘルパーファージは、ファージの複製及び組立てに必要とされるIII遺伝子や他のファージ遺伝子のインタクトなコピーを提供する。ヘルパーファージは欠損起点を有するので、ヘルパーファージゲノムは、野生型起点を有するプラスミドに比べて、ファージ粒子へ効率的には組み込まれない。
ポリペプチド成分を表示するバクテリオファージは、標準的なファージ調製法を使用して増殖させて採取することができる(例えば増殖培地からのPEG沈殿)。
個別ディスプレイファージの選択の後で、選択されたファージを使用して細胞に感染させることによって、選択されたペプチド成分をコードする核酸を(採取する)。個別のコロニー又はプラークを摘出し、核酸を単離して配列決定することができる。
Fab断片のような多重鎖タンパク質をバクテリオファージ上に表示することも可能である。
細胞ベースのディスプレイ
さらに別のフォーマットにおいて、ライブラリーは、細胞ディスプレイライブラリーである。細胞、例えば真核又は原核細胞の表面にタンパク質を表示する。例示の原核細胞には、大腸菌細胞、枯草菌細胞、胞子が含まれる(例えばLu et al.(1995)Biotechnology 13:36を参照のこと)。例示の真核細胞には、酵母(例えばサッカロミセス・セレビジエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ハンゼヌラ又はピキア・パストリス)が含まれる。酵母表面ディスプレイは、例えば、Boder及びWittrup(1997)Nat.Biotechnol.15:553−557とWO03/029456(これは、Fab断片のような免疫グロブリンタンパク質を表示するために使用し得る酵母ディスプレイ系と重鎖及び軽鎖の組合せを産生するための共役の使用について記載する)に記載されている。
1つの態様において、多様化された(variegate)核酸配列を酵母ディスプレイ用ベクターへクローニングする。このクローニングにより、多様化された配列をドメイン(又は完全な)酵母細胞表面タンパク質、例えばAga2、Aga1、Flo1、又はGas1へつなげる。これらタンパク質のドメインは、膜貫通ドメイン(例えばFlo1)によるか又はリン脂質2重層(例えばGas1)への共有結合により、多様化核酸配列によりコードされるポリペプチドを固着させることができる。このベクターは、2つのポリペプチド鎖の一方が酵母細胞表面タンパク質へ連結するように、細胞表面上でその2つの鎖を発現するように組み立てることができる。例えば、この2つの鎖は、免疫グロブリン鎖であってよい。
リボソームディスプレイ
RNAとそのRNAによりコードされるポリペプチドは、そのRNAを翻訳して新生ポリペプチドがまだ付いているリボソームを安定化させることによって、物理的に会合させることができる。典型的には、高濃度の2価Mg2+と低温を使用する。例えば、Mattheakis et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:9022及びHanes et al.(2000)Nat Biotechnol.18:1287−92;Hanes et al.(2000)Methods Enzymol.328:404−30及びSchaffitzel et al.(1999)J Immunol Methods.231(1−2):119−35を参照のこと。
ペプチド−核酸融合物
別のフォーマットは、ペプチド−核酸融合物を利用する。ポリペプチド−核酸融合物は、例えば、Roberts及びSzostak(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:12297−12302と米国特許第6,207,446号に記載されるように、共有結合したピューロマイシン基が含まれるmRNAのin vitro翻訳により産生することができる。次いで、このmRNAをDNAへ逆転写して、ポリペプチドへ架橋結合することができる。
他のディスプレイフォーマット
さらに別のディスプレイフォーマットは、ポリペプチド成分がそのポリペプチドを同定する非核酸タグへ付いた、非生物学的ディスプレイである。例えば、このタグは、ポリペプチドを表示するビーズへ付いた化学的タグでも、無線周波タグでもよい(例えば米国特許第5,874,214号を参照のこと)。
合成ペプチド
結合リガンドには、独立的に標的分子へ結合する、32以下のアミノ酸の人工ペプチドが含まれる場合がある。ある合成ペプチドには、1以上のジスルフィド結合が含まれる場合がある。他の合成ペプチド、いわゆる「直鎖ペプチド」にはシステインがない。合成ペプチドは、溶液中で構造がほとんどないか又は全くなくても(例えば無構造である)、不均質な構造(例えば、代わりのコンホメーション又は「緩やかな」構造)をとっても、稀なネイティブ構造(例えば、協調的に折り畳まれた)をとってもよい。ある合成ペプチドは、標的分子へ結合したときに特別な構造をとる。ある例示の合成ペプチドは、いわゆる「環式ペプチド」であり、少なくともジスルフィド結合と、例えば約4〜12の非システイン残基のループを有する。多くの例示のペプチドは、長さ28、24、20、又は18アミノ酸未満である。
分子標的へ独立的に結合するペプチド配列は、ディスプレイライブラリー又はペプチドのアレイより選択することができる。同定の後で、そうしたペプチドを合成的に、又は組換え手段により産生することができる。この配列をより長い配列へ取り込む(例えば、挿入する、付加する、又は付着させる)ことができる。
以下は、いくつかの例示のファージライブラリーであり、これをスクリーニングして、本明細書に記載のポリペプチドリガンドの少なくともいくつかを見出すことができる。それぞれのライブラリーは、短い、多様化した外来ペプチドをM13ファージの表面に表示する。このライブラリーの5つのペプチドディスプレイは、システイン残基が隣接した、それぞれ4、5、6、7、8、10、11、又は12アミノ酸のセグメントを有する元のドメインに基づいた。システインの対は、安定したジスルフィド結合を形成し、環式ディスプレイペプチドを生じると考えられている。この環式ペプチドがファージの表面上のプロテインIIIのアミノ末端で表示される。このライブラリーをTN6/7、TN7/4、TN8/9、TN9/4、TN10/10、TN11/1、及びTN12/1と命名した。20アミノ酸の直鎖ディスプレイのあるファージライブラリーについてもスクリーニングして、このライブラリーをLin20と命名した。
TN6/7ライブラリーは、12アミノ酸の多様化鋳型に含まれる単一の環式ペプチドを表示するように構築した。TN6/7ライブラリーは、Xaa1−Xaa2−Xaa3−Cys4−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Cys9−Xaa10−Xaa11−Xaa12(配列番号5)の鋳型配列を利用した(ここでは、この鋳型のアミノ酸配列におけるそれぞれの可変アミノ酸の位置を下付きの整数によって示す)。この鋳型中のそれぞれの可変アミノ酸位置(Xaa)を、システイン(Cys)以外の通常のα−アミノ酸のいずれかを含有するように変化させた。
TN7/4ライブラリーは、12アミノ酸の多様化鋳型に含まれる単一の環式ペプチドを表示するように構築した。TN7/4ライブラリーは、Xaa1−Xaa2−Xaa3−Cys4−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Xaa9−Cys10−Xaa11−Xaa12−Xaa13(配列番号6)の鋳型配列を利用した(ここでは、この鋳型のアミノ酸配列におけるそれぞれの可変アミノ酸の位置を下付きの整数によって示す)。鋳型中のそれぞれの可変アミノ酸位置(Xaa)を、システイン(Cys)以外の通常のα−アミノ酸のいずれかを含有するように変化させた。
TN8/9ライブラリーは、14アミノ酸鋳型に含まれる単一の結合ループを表示するように構築した。TN8/9ライブラリーは、Xaa1−Xaa2−Xaa3−Cys−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Cys−Xaa12−Xaa13−Xaa14(配列番号7)の鋳型配列を利用した。この鋳型中のそれぞれの可変アミノ酸位置(Xaa)を、システイン(Cys)以外のどのアミノ酸も許容するように変化させた。
TN9/4ライブラリーは、15アミノ酸鋳型に含まれる単一の結合ループを表示するように構築した。TN9/4ライブラリーは、鋳型配列:Xaa1−Xaa2−Xaa3−Cys4−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Cys12−Xaa13−Xaa14−Xaa15(配列番号8)を利用した。この鋳型中のそれぞれの可変アミノ酸位置(Xaa)を、システイン(Cys)以外のどのアミノ酸も許容するように変化させた。
TN10/10ライブラリーは、16アミノ酸の多様化鋳型に含まれる単一の環式ペプチドを表示するように構築した。TN10/10ライブラリーは、鋳型配列:Xaa1−Xaa2−Xaa3−Cys4−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Cys13−Xaa14−Xaa15−Xaa16(配列番号9)を利用した(ここでは、この鋳型のアミノ酸配列におけるそれぞれの可変アミノ酸の位置を下付きの整数によって示す)。それぞれの可変アミノ酸位置(Xaa)は、システイン(Cys)以外のどのアミノ酸も許容することができた。
TN11/1ライブラリーは、17アミノ酸の多様化鋳型に含まれる単一の環式ペプチドを表示するように構築した。TN11/1ライブラリーは、鋳型配列:Xaa1−Xaa2−Xaa3−Cys4−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Cys14−Xaa15−Xaa16−Xaa17(配列番号10)を利用した(ここでは、この鋳型のアミノ酸配列におけるそれぞれの可変アミノ酸の位置を下付きの整数によって示す)。それぞれの可変アミノ酸位置(Xaa)は、システイン(Cys)以外のどのアミノ酸も許容することができた。
TN12/1ライブラリーは、18アミノ酸の鋳型に含まれる単一の環式ペプチドを表示するように構築した。TN12/1ライブラリーは、鋳型配列:Xaa1−Xaa2−Xaa3−Cys4−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13−Xaa14−Cys15−Xaa16−Xaa17−Xaa18(配列番号11)を利用した(ここでは、この鋳型のアミノ酸配列におけるそれぞれの可変アミノ酸の位置を下付きの整数によって示す)。この鋳型のアミノ酸位置、Xaa1、Xaa2、Xaa17及びXaa18を、独立して、Ala、Asp、Phe、Gly、His、Leu、Asn、Pro、Arg、Ser、Trp、及びTyrからなる12のアミノ酸の群より選択されるそれぞれのアミノ酸を許容するように変化させた。この鋳型のアミノ酸位置、Xaa3、Xaa5、Xaa6、Xaa7、Xaa8、Xaa9、Xaa10、Xaa11、Xaa12、Xaa13、Xaa14、Xaa16を、独立して、システイン(Cys)以外のどのアミノ酸も許容するように変化させた。
Lin20ライブラリーは、20アミノ酸の鋳型において単一の直鎖ペプチドを表示するように構築した。この鋳型中の各位置のアミノ酸を、システイン(Cys)以外のどのアミノ酸も許容するように変化させた。
Kay et al.、「ペプチド及びタンパク質のファージディスプレイ:実験マニュアル」(アカデミックプレス社、サンディエゴ、1996)と米国特許第5,223,409号に論じられた技術は、選択された元の鋳型に対応する潜在的な結合体のライブラリーを調製するのに有用である。上記に記載のライブラリーは、そうした技術に従って調製し、例えば上記のように、血清アルブミンと特定の分子標的へ結合するペプチドをスクリーニングすることができる。
分子内ジスルフィド結合が含まれるどの特定のペプチドでも、ペプチドを再設計して、ループの幾何学を維持するジスルフィド結合に置き換えることができる。例えば、ループの第1アミノ酸のα炭素(ループの第1システインに対してC末端である)とループの最後のアミノ酸(ループの第2のシステインに対してN末端である)の間の距離をジスルフィド結合ループ中のこれらα炭素間の距離の10、6、4、又は3オングストローム内に維持することができる。別の実施例において、ループの第1アミノ酸とループの最後のアミノ酸とのα炭素を互いの15、12、10、8、又は7の原子間結合内に維持する。また、システインの代わりに別のアミノ酸(天然又は非天然)を位置づけることも可能であり、この場合、これらそれぞれの置換アミノ酸のα炭素は、互いの9、8、又は6の結合内にあってよい。例示の結合には、C−C、C−N、C−S、O−N、及びC−O結合が含まれる。一般に、適切な長さのどの化学リンカーもジスルフィド結合に置き換えるために使用することができる。
他の例示骨格
血清アルブミンと特定の標的へ結合するタンパク質を産生するために多様化し得る他の例示骨格には、細胞外ドメイン(例えばフィブロネクチンIII型リピート、EGFリピート);プロテアーゼ阻害剤(例えばKunitzドメイン、エコチン、BPTI、等);TPRリピート;トリホイル構造;ジンクフィンガードメイン;DNA結合タンパク質;特にモノマーDNA結合タンパク質;RNA結合タンパク質;酵素、例えばプロテアーゼ(特に不活性化プロテアーゼ)、RNase;シャペロン、例えばチオレドキシン、及び熱ショックタンパク質;及び、細胞内シグナル伝達ドメイン(SH2及びSH3ドメインのような)、及び抗体(例えばFab断片、単鎖Fv分子(scFv)、単一ドメイン抗体、ラクダ抗体、及びラクダ化抗体);T細胞受容体、及びMHCタンパク質が含まれる場合がある。
米国特許第5,223,409号はまた、いくつかのいわゆる「ミニタンパク質」、例えば、α−コノトキシン(変異体GI、GII、及びMIが含まれる)、mu−(GIIIA、GIIIB、GIIIC)、又はOMEGA−(GVIA、GVIB、GVIC、GVIIA、GVIIB、MVIIA、MVIIB、等)コノトキシンに倣って成型したミニタンパク質を記載する。
多くの態様において、骨格は、長さ50アミノ酸未満であり得る。ある場合は、骨格に基づいたリガンドが1つの特定の表面上の標的分子へ結合するのに対し、異なる、非重複の表面が血清アルブミンへ結合する。別の場合、標的への結合インターフェースと血清アルブミンが同じ広がりをもつか、または少なくとも一部重複している。例えば、リガンドによる標的への結合には、血清アルブミンへの結合が除外される場合がある。この配置は、例えば、標的分子の近傍に血清アルブミンが局在化することを妨げる。
抗体ディスプレイライブラリー
特定の標的化合物と血清アルブミンへ結合する免疫グロブリンタンパク質(抗体、Fab、scFv、ラクダ抗体、及び他の抗体誘導体が含まれる)を同定することも可能であり得る。例えば、特定の標的化合物と血清アルブミンの両方へ結合するCDRを有する免疫グロブリンタンパク質を、例えばディスプレイライブラリーを使用して、同定することができる。
1つの実施において、抗体ライブラリーを上記のようにペプチドライブラリーについてスクリーニングする。こうしたスクリーニングには、2以上の連続スクリーニング(例えば、最初は標的タンパク質へ結合する抗体、次いで、こうして同定された中で、血清アルブミンへも結合する抗体)が含まれる。別の実施では、標的タンパク質及びHSAのアミノ酸配列を比較して、類似している、例えば、少なくとも50%の残基での保存的置換か又は少なくとも20、40、50、又は60%の同一性が含まれるペプチドを同定する。ペプチドは、長さ6〜32、6〜20、又は8〜15アミノ酸であってよい。
次いで、そうしたペプチド、例えばHSAに対する配列類似性を有する標的タンパク質に由来したペプチドへ結合する抗体を同定する。例えば、抗体ライブラリーについて、そうしたペプチドを標的として使用するか、又はより大きな標的タンパク質を標的として使用して、スクリーニングすることができる(この場合、このペプチドを使用して、関連する抗体を溶出させることができる)。別の実施例では、そのようなペプチドで動物を免疫して、その動物由来の抗体を単離する。
抗体誘導体、例えば、実質的にFc領域を含まない誘導体は、同様に単離しても、例えば完全長の抗体の修飾によって調製してもよい。そうした誘導体は、血清アルブミンとの会合の結果として、延長されたin vivo半減期を有するかもしれない。
典型的な抗体ディスプレイライブラリーは、VHドメイン及びVLドメインが含まれるポリペプチドを表示する。「免疫グロブリンドメイン」は、免疫グロブリン分子の可変若しくは定常ドメイン由来のドメインを意味する。免疫グロブリンドメインは、典型的には、約7つのβ鎖から形成される2つのβシートと、保存されたジスルフィド結合を含有する(例えば、A.F.Williams及びA.N.Barclay 1988 Ann.Rev Immunol.6:381−405を参照のこと)。ディスプレイライブラリーは、抗体をFab断片(例えば2つのポリペプチド鎖を使用して)又は単鎖Fv(例えば単一のポリペプチド鎖を使用して)として表示することができる。他のフォーマットも使用してよい。ドメインは完全に、又は少なくとも一部はヒト由来であり得る。
Fabや他のフォーマットの場合のように、表示された抗体には、軽鎖又は重鎖の一部として定常領域が含まれる場合がある。1つの態様において、各鎖には1つの定常領域が含まれる(例えばFabの場合のように)。他の態様では、追加の定常領域が表示される。
抗体ライブラリーは、いくつかの方法によって構築することができる(例えば、de Haard et al.(1999)J.Biol.Chem 274:18218−30;Hoogenboom et al.(1998)Immunotechnology 4:1−20;及び、Hoogenboom et al.(2000)Immunol Today 21:371−8を参照のこと)。さらに、各方法の要素を他の方法のそれと組み合わせてもよい。単一免疫グロブリンドメイン(例えばVH又はVL)又は多重免疫グロブリンドメイン(例えばVH及びVL)へ変異を導入するような方法を使用することができる。変異は、免疫グロブリン可変ドメインへ(例えば、重鎖及び軽鎖の可変ドメインの一方及び両方のこうした領域を意味する、CDR1、CDR2、CDR3、FR1、FR2、FR3、及びFR4の1以上の領域において)導入することができる。1つの態様において、ある所与の可変ドメインの3つのCDRすべてへ変異を導入する。別の好ましい態様において、例えば重鎖可変ドメインのCDR1及びCDR2へ変異を導入する。どの組合せも実施可能である。1つの方法において、CDRをコードするさまざまなオリゴヌクレオチドを核酸の対応領域へ挿入することによって抗体ライブラリーを構築する。このオリゴヌクレオチドは、モノマーヌクレオチド又はトリヌクレオチドを使用して合成することができる。例えば、Knappik et al.(2000)J.Mol.Biol.296:57−86は、トリヌクレオチド合成とオリゴヌクレオチドを受容するための工学処理された制限部位のある鋳型を使用して、オリゴヌクレオチドをコードするCDRを構築する方法を記載する。
さらに別の方法では、ネイティブな生殖系列免疫グロブリン遺伝子からか又は体細胞突然変異した免疫グロブリン遺伝子から増幅させた核酸より抗体ライブラリーを構築する。増幅核酸には、VH及び/又はVLドメインをコードする核酸が含まれる。免疫グロブリンをコードする核酸の供給源は以下に記載する。増幅には、例えば、保存された定常領域へアニールするプライマーを用いたPCRや別の増幅法が含まれる場合がある。
ファージディスプレイライブラリーを血清タンパク質結合ペプチドについてスクリーニングすること
典型的なスクリーニングでは、ファージライブラリーを標的化合物又はその断片と接触させて、結合させる。このスクリーニング法において結合体と非結合体の分離を容易にするには、標的化合物を固形支持体上に固定化することがしばしば簡便であるが、最初に溶液状態の標的化合物へ結合させてから、標的化合物を支持体へつなぐことによって結合体を非結合体より分離させることも可能である。例を挙げると、標的の存在下でインキュベートするとき、非結合ファージが溶液に残存して緩衝液で洗い流され得るのに対し、標的結合部分を担うファージは、固形支持体上に固定化された標的化合物と複合体を形成する。次いで、結合したファージは、緩衝液を相対的に強い酸性又は塩基性のpH(例えばpH2又はpH10)へ変えること、緩衝液のイオン強度を変えること、変性剤を加えること、又は他の既知の手段といったいくつかの手段により、標的より遊離させることができる。
例えば、HSA結合性リガンドを同定するには、精製HSA又は全血清をマルチウェルアッセイプレート中のウェルのプラスチック表面のような固体表面へ(受動免疫化によって)吸着させることができる。全血清を使用する場合、結合するHSAは、天然の化合物、例えば脂肪酸と会合している場合がある。引き続き、pH6〜7のような、固定化HSAとファージの構造を維持する適切な条件の下で、ファージディスプレイライブラリーのアリコートをウェルへ加えた。固定化HSAへ結合するペプチドループ構造を表示するライブラリー中のファージは、ウェルの表面へ付着しているHSAへ結合して保持され、非結合性のファージは、除去され得る。特異的及び非特異的な結合相互作用がともに有用であり得るので、ファージライブラリーの固定化HSAへの結合の間に遮断剤を含めることは、必要であってもなくてもよい。
次いで、固定化HSAへ結合したファージは、相対的に強酸のpH(例えばpH2)又はアルカリ性のpH(例えばpH8〜9)を有する緩衝溶液で洗浄することによって溶出させることができる。次いで、HSAより溶出される回収ファージの溶液を中和して、所望により、血清アルブミン結合ペプチドを表示するファージの濃縮混合ライブラリー集団としてプールしてよい。あるいは、各ライブラリーからの溶出ファージは、HSA結合体のライブラリー特異的な濃縮集団として別々に保存してもよい。次いで、血清アルブミン結合性ペプチドを表示するファージの濃縮集団は、さらなるラウンドのスクリーニングのために、及び/又はファージ上に表示されたペプチドの解析のために、及び/又は表示された結合ペプチドをコードするDNAを配列決定するために、標準法によって増殖させることができる。
多くの可能な代替スクリーニングプロトコールの1つは、ビオチニル化されて、ストレプトアビジンへの結合によって捕捉され得る、例えば粒子上でコートされた、HSA標的分子を使用する。以下の実施例に記載されるように、0.1% Tween20 非イオン性界面活性剤と0.1%カプリル酸ナトリウムを補充したリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)のpH7.4の溶液(これは、温度起因性の変性やタンパク分解性の攻撃に抗してHSAを安定化させることが知られている)中でHSA結合性ペプチドを表示するファージがカプリル酸−ビオチニル化−HSAへ結合するようなプロトコールにおいて、HSA結合性ペプチドを表示するファージを選択した。次いで、この溶液中のカプリル酸−ビオチニル化−HSA/ファージ複合体をストレプトアビジンコートの磁気ビーズ上に捕捉した。引き続き、さらなる試験のために、ビーズよりファージを溶出させた。
次いで、回収したファージは、細菌細胞の感染により増幅させてよく、スクリーニング方法は、今や非HSA結合体が枯渇していてHSA結合体が濃縮している新たなファージのプールを用いて繰り返してよい。わずかな結合ファージでも、その回収は、この方法を完了させるのに十分であろう。数ラウンドの選択の後で、結合プール中で選択されたファージクローンに由来する、結合部分をコードする遺伝子配列を慣用法によって決定すると、ファージの結合アフィニティーを標的へ付与するペプチド配列が明らかになる。各ラウンドの選択後に回収されるファージ数の増加と近縁の配列の回収は、このスクリーニングが所望の特徴を有するライブラリーの配列に収斂することを示す。
結合ポリペプチドのセットを同定した後で、配列情報を使用して、追加の所望特性を有するメンバーに偏った、他の2次ライブラリーを設計することができる。
他の種類のディスプレイライブラリーを使用して、HSA結合体を同定してよい。
ディスプレイ技術はまた、標的の特定のエピトープへ特異的であるリガンドを入手するために使用することもできる。このことは、例えば、特定のエピトープを欠くか、又はエピトープ内で(例えばアラニンで)突然変異している競合性の非標的分子を使用することによって、行なうことができる。このような非標的分子は、以下に記載のようなネガティブ選択法において、ディスプレイライブラリーを標的へ結合させるときの競合分子として、又はプレ溶出剤として(例えば、標的へ特異的でないディスプレイライブラリーメンバーを解離させる洗浄溶液中で捕捉するために)、使用する場合がある。
血清アルブミンへ結合するリガンドの結合特性は、様々なアッセイフォーマットを使用して、容易に評価することができる。例えば、リガンドの結合特性は、蛍光異方性により溶液中で測定することができて、これは、1以上の異なる種由来の血清アルブミンに対する結合部分の解離定数(KD)を決定する簡便で正確な方法を提供する。1つのそうした手順において、本明細書に記載の結合部分をフルオレセインで標識する。次いで、このフルオレセイン標識された結合部分を、マルチウェルアッセイプレートのウェルにおいて、様々な濃度の特定の種の血清アルブミンと混合することができる。次いで、蛍光偏光プレートリーダーを使用して、蛍光異方性測定を行う。同様に、血清アルブミンとリガンドとの結合相互作用を特性決定することができる。結合特性を試験するための他の溶液手段には、蛍光共鳴エネルギー転移法(FRET)とNMRが含まれる。
1つの結合パートナーが固定化されている方法を使用しても、結合特性を特性決定することができる。そうした方法には、ELISAと表面プラスモン共鳴法が含まれる。
タンパク質アレイ
ペプチドのアレイを産生することができる。ペプチドのライブラリーのメンバーをアレイ(例えば平面アレイ)上の個別位置に配置する。単一種のペプチド又はプールを各位置に定位することができる。アレイを標的分子又は血清アルブミンと接触させて、標的及び/又は血清アルブミンにより結合したアレイ上の位置を、例えば直接又は間接標識化によって同定する。
さらに、ペプチドは、アレイ上で直接合成することができる。例えば、米国特許第5,143,854号は、ペプチド又はタンパク質のアレイを産生する写真平板法を提供する。この方法は、ペプチド又はタンパク質をコードする核酸を合成することを必要としない。ペプチドは、L−アミノ酸又はD−アミノ酸から作製可能である。
タンパク質アレイを産生する追加の方法は、例えば、De Wildt et al.(2000)Nat.Biotechnol.18:989−994;Lueking et al.(1999)Anal.Biochem.270:103−111;Ge(2000)Nucleic Acids Res.28,e3,I−VII;MacBeath及びSchreiber(2000)Science 289:1760−1763;WO0/98534、WO01/83827、WO02/12893、WO00/63071、WO01/40803、及びWO99/51773に記載されている。ある実施例では、例えば、ジェネティック・マイクロシステムズ(Genetic MicroSystems)又はバイオロボティクス(BioRobotics)からの市販ロボット装置を使用して、例えば高速で、アレイの別個のアドレス上へポリペプチド(ペプチドを含む)をスポットする。アレイ基質は、例えば、ニトロセルロース、プラスチック、ガラス、例えば表面処理ガラスであり得る。アレイにはまた、有孔マトリックス、例えば、アクリルアミド、アガロース、又は別のポリマーも含めてよい。
血清結合性タンパク質リガンドの変異体
本明細書に記載されるか又は本明細書に記載の方法によって単離される血清アルブミン結合性タンパク質リガンドの変異体を使用することも可能である。いくつかの変異体があり得る。変異体は、調製してから、例えば上記の結合アッセイ(蛍光異方性のような)を使用して、検査してよい。変異体が機能性であれば、血清タンパク質と関連化合物を単離するためのアフィニティー試薬としてそれを使用することができる。
1つの種類の変異体は、本明細書に記載されるかまたは本明細書に記載の方法によって単離されるリガンドの短鎖型である。この例では、N又はC末端より除去し得るリガンドの1以上のアミノ酸残基を除去することによって、変異体を調製する。ある事例では、こうした変異体の系列を調製して検査する。この系列を検査することからの情報を使用して、血清タンパク質への結合に不可欠であるリガンドの領域を決定する。内部の欠失体又は挿入体の系列も同様に構築して検査することができる。
別の種類の変異体は、置換体である。1つの例において、リガンドをアラニン・スキャニングに処して、結合活性に貢献する残基を同定する。別の例では、1以上の位置での置換体のライブラリーを構築する。このライブラリーは、偏りのないものであっても、また、特に多数の位置を変化させるならば、元の残基に対して偏りがあるものでもよい。ある事例では、置換を保存的置換へ制限する。
関連した種類の置換体は、1以上の非天然アミノ酸が含まれるリガンドである。そのような変異リガンドは、化学合成によって産生することができる。1以上の位置を非天然アミノ酸で置換してよい。ある事例では、置換アミノ酸が元の天然残基へ化学的に関連している(例えば脂肪族、帯電、塩基性、酸性、芳香族、親水性)か、又は元の残基の同配体である。
非ペプチド連結や他の化学修飾を含めることも可能であり得る。例えば、リガンドの一部又は全部をペプチド模擬体、例えばペプトイドとして合成することができる(例えば、Simon et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:9367−71及びHorwell(1995)Trends Biotechnol.13:132−4を参照のこと)。ペプチドには、1以上の(例えばすべての)加水分解不能な結合を含めてよい。多くの加水分解不能なペプチド結合が、そのような結合を含有するペプチドの合成の手順とともに、当該技術分野で知られている。例示の加水分解不能な結合には、−−[CH2NH]−−還元アミドペプチド結合、−−[COCH2]−−ケトメチレンペプチド結合、−−[CH(CN)NH]−−(シアノメチレン)アミノペプチド結合、−−[CH2CH(OH)]−−ヒドロキシエチレンペプチド結合、−−[CH2O]−−ペプチド結合、及び−−[CH2S]−−チオメチレンペプチド結合が含まれる(例えば、米国特許第6,172,043号を参照のこと)。
自動化法と情報管理
リガンドスクリーニングプラットフォームのあらゆるどの側面も自動化することができる。例えば、自動化を使用して、多数の異なる試料を自動的に処理してよい。液体処理ユニットを使用して、血清アルブミンと標的分子へ結合する化合物を単離することができ、単離された化合物を分析法へ自動的に処することができる。また、自動化を使用して、リガンドを産生して検査してよい。
装置
自動化法には様々なロボット・デバイスを利用することができる。これらには、マルチウェルプレート運搬システム、磁気ビーズ粒子プロセッサー、及び液体処理ユニットが含まれる。これらのデバイスは、顧客の仕様に基づいて構築しても、オートジェン(フラミンガム、マサチューセッツ州)、ベックマン・コールター(アメリカ)、バイオロボティクス(ウォバーン、マサチューセッツ州)、ジェネティクス(ニューミルトン、ハンプシャー、イギリス)、ハミルトン(レノ、ネバダ州)、ハドソン(スプリングフィールド、ニュージャージー州)、ラブシステムズ(ヘルシンキ、フィンランド)、パッカード・バイオサイエンス(メリデン、コネチカット州)、及びテカン(マンネドルフ、スイス)のような市販の供給源より購入してもよい。
情報管理
リガンドスクリーニングプラットフォームにより産生された情報は、コンピュータ・データベースに(例えばデジタル形式において)保存することができる。この情報には、1以上の化合物(例えば、標的化合物、血清アルブミン、及び非標的化合物)への潜在的なリガンドの結合特性を記載する情報が含まれる場合がある。非標的化合物の例には、標的に対して相同であるが、非同一である化合物が含まれる。そのような化合物は、異なる細胞、例えば非標的細胞上に存在する場合がある。例えば、このデータベースには、関連した化合物の特性について記載する情報(例えば、タンパク質配列、化学構造、豊富さ、修飾状態、等)や、試料について記載する情報(例えば、その供給源の同一性、日付、処理法、病理、治療、等)を含めることができる。これらの情報の項目は、互いに関連付けることができる。例えば、特定の状態(例えば特定の疾患又は治療)についての検索を使用して、その状態に見出される関連化合物の特性を同定することができる。同様に、1以上の関連化合物の特定の特性を検索項目として使用して、その特性が優勢である状態を同定することができる。
データベースはまた、1以上の配列決定されたHSA−結合体又は標的−結合体について解析するために使用することができる。この配列を互いに比較して、例えば、結合に重要である位置を示唆し得るコンセンサス又はプロファイルを作成することができる。ソフトウェアを使用してプロファイルを比較しても、そのプロファイルから構造モデルを作成してもよい
データベースサーバーはまた、デバイスにより解釈可能であるコマンドや他のシグナルを使用して各デバイスと情報伝達するように作製することができる。このシステムのコンピュータベースの側面は、デジタル電子回路において、又はコンピュータ・ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせにおいて実行することができる。本発明の装置、例えばデータベースサーバーは、プログラム可能なプロセッサーによる実行用の機械読取り可能保存デバイスにおいて有形に具現化されるコンピュータプログラム製品において実行することができて、方法動作は、インプットデータに基づいて作動してアウトプットを産生することによって本明細書に記載の機能を実施すべき指令のプログラムを実行するプログラム可能なプロセッサーによって実施することができる。実行環境の1つの非限定例には、ウィンドウズ(登録商標)NT4.0(マイクロソフト)以上、又はソラリス(Solaris)2.6以上(サン・マイクロシステムズ)の操作システムを作動させるコンピュータが含まれる。
本発明はまた、本明細書に記載のリガンド(例えばペプチド)を装置が産生することを可能にする機械読取り可能なソフトウェア又は指令を特徴とする。
ハイスループットのリガンド発見
1つの例示のハイスループットリガンド発見法には、少なくとも107又は108の多様性ライブラリーを有するファージディスプレイライブラリーについてスクリーニングすることが含まれる。標的分子(例えば磁気ビーズ上に固定化された)へファージを接触させる。結合ファージを単離し、増幅して、1以上の追加サイクルにおいて再スクリーニングする。次いで、個別のファージを、例えばマイクロタイタープレートのウェルへ単離して、特性決定する。
例えば、ロボットを使用して各個別のファージについて2つのELISAアッセイを設定することができる。一方のアッセイは特定の標的分子への結合についてであり、他方は血清アルブミンへの結合についてである。自動化プレートリーダーは、このアッセイを評価して、アクセス可能なフォーマット(例えば、データベース、スプレッドシート、又はワードプロセッシング文書)に結果を保存するコンピュータシステムへ結果を情報伝達する。結果について解析して、特定の標的と血清アルブミンの両方へ結合するタンパク質を表示するファージを同定する。結果は、さらに、例えばアフィニティー又は相対アフィニティーにより層別して、例えば、アルブミンよりも標的に対して高いアフィニティーで結合するタンパク質を同定することができる。
例示の標的
一般的に言えば、どの分子種も標的として使用してよい。ある態様では、1以上の分子種を標的として使用して、例えば、複数の標的へ試料を曝露する。標的は、低分子(例えば有機又は無機の低分子)、ポリペプチド、核酸、細胞、等のものであり得る。
1つのクラスの標的にはポリペプチドが含まれる。そうした標的の例には、小ペプチド(例えば長さ約3〜30アミノ酸)、単一ポリペプチド鎖、及び多重ポリペプチド(例えばタンパク質複合体)が含まれる。
ポリペプチド標的は、修飾、例えば、グリコシル化、リン酸化、ユビキチン化、メチル化、切断、ジスルフィド結合化、等をすることができる。好ましくは、このポリペプチドは、特定のコンホメーション、例えば、ネイティブ状態又は非ネイティブ状態を有する。1つの態様において、ポリペプチドは、1より多い特定のコンホメーションを有する。例えば、プリオンは、1より多いコンホメーションをとることができる。ネイティブなコンホメーションでも病的なコンホメーションでも、例えば、ネイティブコンホメーションを安定化させるか、又は病的なコンホメーションを同定するか又は標的にする薬剤を単離するために、所望の標的になり得る。1つの態様において、リガンドは、特定のコンホメーションにおいてのみ標的へ結合する。ある種のコンホメーションは、例えばジスルフィド結合を使用して、安定化させることができる。
しかしながら、いくつかの事例では、ポリペプチドが構造化されずに、例えば、ランダムコイルコンホメーションをとるか、又は単一の安定なコンホメーションを欠く。無構造ポリペプチドへ結合する薬剤を使用して、変性している(例えば、変性SDS−PAGEゲル中にある)ときにポリペプチドを同定するか、又は正確にフォールドされたアイソフォームに対してポリペプチドの無構造アイソフォームを分離する(例えば分取精製法において)ことができる。
いくつかの例示のポリペプチド標的には、細胞表面タンパク質(例えばグリコシル化表面タンパク質又は低グリコシル化変異体)、がん関連タンパク質、サイトカイン、ケモカイン、ペプチドホルモン、神経伝達物質、細胞表面受容体(例えば細胞表面受容体キナーゼ、7回膜貫通受容体、ウイルス受容体及び共受容体、インテグリンのような細胞外マトリックス結合タンパク質、細胞結合タンパク質(例えば、カドヘリン、セレクチン、N−CAM、E−CAM、U−CAM、I−CAM、等のような細胞接着分子又は「CAM」)、又は細胞表面タンパク質(例えば、哺乳動物のがん細胞又は病原体の)が含まれる。ある態様において、ポリペプチドは、疾患、例えばがんに関連している。
標的ポリペプチドは、好ましくは、可溶性である。例えば、タンパク質の可溶性ドメイン又は断片を使用することができる。この選択肢は、細胞表面受容体のような膜貫通タンパク質やレトロウイルス表面タンパク質へ結合する分子を同定するのに特に有用である。1つの態様において、標的分子は、被検者が疾患も障害も有さなければ、特定の環境において通常は存在していないタンパク質である。
いくつかの例示の標的には、細胞表面タンパク質(例えばグリコシル化表面タンパク質又は低グリコシル化変異体)、がん関連タンパク質、サイトカイン、ケモカイン、ペプチドホルモン、神経伝達物質、細胞表面受容体(例えば細胞表面受容体キナーゼ、7回膜貫通受容体、ウイルス受容体及び共受容体、細胞外マトリックス結合タンパク質、細胞結合タンパク質、病原体の抗原(例えば細菌抗原、マラリア抗原、等)が含まれる。
より特定の例には、インテグリン、カドヘリン、セレクチン、N−CAM、E−CAM、U−CAM、I−CAM、等のような細胞接着分子又は「CAM」;プロテアーゼ、例えば、ズブチリシン、トリプシン、キモトリプシン;ウロキナーゼ又はヒト組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)のような、プラスミノーゲンアクチベーター;ボンベシン;IX因子;トロンビン;CD−4;CD−19;CD20;血小板由来増殖因子;インスリン様増殖因子−I及びII;神経成長因子;繊維芽細胞増殖因子(例えばaFGF及びbFGF);表皮増殖因子(EGF);トランスフォーミング増殖因子(TGF、例えば、TGF−α及びTGF−β);インスリン様増殖因子結合タンパク質;エリスロポエチン;トロンボポエチン;ムチン;成長ホルモン(例えばヒト成長ホルモン);プロインスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;チロキシン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;心房性ナトリウム利尿ペプチドA、B、又はC;黄体形成ホルモン;グルカゴン;VIII因子;造血増殖因子;腫瘍壊死因子(例えばTNF−α及びTNF−β);エンケファリナーゼ;ミュラー管抑制物質;ゴナドトロピン関連ペプチド;組織因子タンパク質;インヒビン;アクチビン;血管内皮細胞増殖因子;ホルモン、増殖因子、及び本明細書に記載の他の分子の受容体;プロテインA又はD;リウマチ様因子;骨誘導因子;インターフェロン、例えばインターフェロン−α、β、γ;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、M−CSF、GM−CSF、及びG−CSF;インターロイキン(IL)、例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、等;崩壊促進因子;免疫グロブリン(定常又は可変ドメイン);及び、上記に列挙したポリペプチドのいずれの断片も含まれる。ある態様において、標的は、疾患、例えばがんに関連している。
ヒト血清タンパク質の配列
ヒト血清タンパク質のアミノ酸配列は周知であり、公知の配列在庫、例えばGenBank(国立バイオテクノロジー情報センター、国立衛生研究所、ベテスダ、メリーランド州)に見出すことができる。さらに、ヒトの集団においては、天然の遺伝変異が個人間の血清タンパク質の間のアミノ酸の差異をもたらす場合がある。
以下の配列は、特定の個人に由来する少なくともいくつかのヒト血清タンパク質のアミノ酸配列の例である。
多くの個人において、HSAは、SwissProtエントリーに列挙されるアミノ酸配列:P02768及び/又は以下の成熟配列を有する:
Figure 2006512050
ヒト血清アルブミン変異体の例には、H27Q、H27Y、E106K、R122S、E378K、E400K、及びE529K(未処理配列を使用した番号付け。ここでは、配列番号1の最初のDが未処理配列の残基25に対応する)が含まれる。
ヒト血清アルブミンの精製タンパク調製物は、例えば、US再発行36,269及びUS5,986,062を含む、多様な方法によって調製することができる。
いくつかの事例において、血清アルブミンは、非ヒト血清アルブミンである。例えば、あるマウス血清アルブミンのアミノ酸配列は:
Figure 2006512050
である。
結合相互作用の特性決定
血清アルブミンへ結合するリガンドの結合特性は、様々なアッセイフォーマットを使用して、容易に評価することができる。例えば、リガンドの結合特性は、蛍光異方性により溶液中で測定することができて、これは、血清アルブミン又は特定の分子標的に対する結合部分の解離定数(KD)を決定する簡便で正確な方法を提供する。1つのそうした手順において、本明細書に記載の結合部分をフルオレセインで標識する。次いで、このフルオレセイン標識された結合部分を、マルチウェルアッセイプレートのウェルにおいて、様々な濃度の血清アルブミン又は標的と混合することができる。次いで、蛍光偏光プレートリーダーを使用して、蛍光異方性測定を行う。
ELISA
リガンドの標的(又は血清アルブミン)への結合相互作用はまた、ELISAアッセイを使用して解析することができる。例えば、その底の表面を標的(例えば限定量の標的)でコートしたマイクロタイタープレートへリガンドを接触させる。この分子をプレートへ接触させる。このプレートを緩衝液で洗浄し、非特異的に結合した分子を除去する。次いで、このリガンドに特異的な抗体でプレートをプローブすることによって、プレートへ結合したリガンドの量を決定する。抗体は、アルカリホスファターゼのような酵素へ連結させてよく、これは、適切な基質が提供されるとき、呈色産物を産生する。ディスプレイライブラリーメンバーの場合、抗体は、すべてのディスプレイライブラリーメンバーの間で一定である領域(例えばファージディスプレイライブラリーメンバーでは、ファージのメジャーコートタンパク質)を認識することができる。
均質アッセイ
リガンドとその標的又は血清アルブミンとの結合相互作用は、均質アッセイを使用して解析することができる。即ち、アッセイのすべての成分を加えた後では、追加の流体操作を必要としない。例えば、蛍光エネルギー転移(FET)を均質アッセイとして使用することができる(例えば、Lakowicz et al.、米国特許第5,631,169号;Stavrianopoulos et al.、米国特許第4,868,103号を参照のこと)。第1の分子(例えば、分画中に同定した分子)上の蛍光団ラベルを選択して、第1の分子の近傍に第2の分子が存在すれば、その射出蛍光エネルギーが第2の分子(例えば標的)上の蛍光ラベルにより吸収され得るようにする。第2の分子上の蛍光ラベルは、それが転移エネルギーを吸収すると蛍光を発する。このラベル間のエネルギー転移の効率は、分子を分割する距離に関連するので、分子間の空間関係を評価することができる。分子間で結合が起こる状況では、「アクセプター」分子ラベルの蛍光射出がこのアッセイにおいて最高になるはずである。FET結合イベントは、簡便にも、当該技術分野で周知の標準的な蛍光測定検出手段(例えば蛍光光度計を使用する)により測定することができる。第1又は第2の結合分子の量を滴定することによって、結合曲線を作成して平衡結合定数を推定することができる。
表面プラスモン共鳴法(SPR)
分子を分画中に同定した後に、標的とのその結合相互作用を、SPRを使用して解析することができる。例えば、試料中に存在するディスプレイライブラリーメンバーの配列決定をし、そして場合により、例えばELISAにより検証した後で、表示されるポリペプチドを多量に産生して、SPRを使用して標的への結合をアッセイすることができる。SPR又はリアルタイム生体分子相互作用解析法(BIA)は、相互反応体のいずれも標識せずに、生物特異的な相互作用をリアルタイムで検出する(例えばBIAcore)。BIAチップの結合表面での質量の変化(結合イベントを示唆する)は、表面付近で光の屈折率の改変をもたらす(表面プラスモン共鳴(SPR)の光学現象)。屈折性の変化により検出可能なシグナルが産生され、これを生物学的分子間のリアルタイム反応の指標として測定する。SPRを使用する方法は、例えば、米国特許第5,641,640号;Raether(1988)「表面プラスモン」Springer Verlag;Sjolander S.及びUrbaniczky,C.(1991)Anal.Chem.63:2338−2345;Szabo et al.(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705に記載されている。
SPRからの情報を使用して、生体分子の標的への結合についての平衡解離定数(Kd)とkon及びkoffを含む動力学的パラメーターの正確かつ定量的な測定を提供することができる。こうしたデータを使用して、異なる生体分子を比較することができる。例えば、ディスプレイライブラリーより選択されるタンパク質を比較して、標的への高いアフィニティーを有するか、又は遅いkoffを有する個別タンパク質を同定することができる。この情報はまた、この生体分子が関連していれば、構造活性相関(SAR)を明らかにするために使用することができる。例えば、タンパク質がいずれも単一の親抗体又は既知の親抗体のセットの突然変異体であれば、特定の結合パラメーター、例えば高アフィニティーと遅いkoffと相関する所与の位置で変異体のアミノ酸を同定することができる。
結合アフィニティーを測定する追加の方法には、蛍光偏光法(FP)(例えば米国特許第5,800,989号を参照のこと)、核磁気共鳴法(NMR)、及び結合滴定法(例えば蛍光エネルギー転移を使用する)が含まれる。
結合特性を試験するための他の溶液手段には、蛍光共鳴エネルギー転移法(FRET)とNMRが含まれる。
in vivo半減期の特性決定
リガンドはまた、そのin vivo半減期又は効力を決定するために特性決定する場合がある。in vivo半減期を測定する1つの例示の方法は、以下の通りである:
先ずリガンドを標識する。例えば、例えばI125(例えばヨウ素産生物又はヨウ素ビーズ)を使用してリガンドをチロシン上で直接標識しても、例えば99mTc又は111Inを用いてTc又はインジウムキレートを調製するキレート体(chelator)へリガンドをつないでもよい。標識されたリガンドをマウスへ注射する。マウスを異なる時点で犠牲にして、各時点より血清を採取する。各試料中の標識の量を計数して、リガンド濃度対時間の曲線を作成する。
別の齧歯動物(例えばラット)のような他の動物も使用してよい。試験するリガンドがHSAだけでなくその動物の血清アルブミンへも結合することを試験する前に証明しておくことは有用であり得る。血清アルブミンへ結合しないリガンドを種特異的なやり方でスクリーニングすることも、有用であるかもしれない。
マウス、ラット、チンパンジー、及び/又はヒト個体において、少なくとも30、40、60、80、120、240分、又は5、8、12、20、24、若しくは36時間より長いか、又は、2若しくは4日間より長い半減期を有するリガンドは、特に有用であり得る。
リガンド産生
標準的な組換え核酸法を使用して、標的と相互作用して血清アルブミンへ結合するタンパク質リガンドを発現させることができる。1つの態様において、タンパク質リガンドをコードする核酸配列を、例えば、転写及び翻訳に適したシグナル及びプロセシング配列や調節配列とともに、核酸発現ベクターへクローニングする。別の態様において、特にペプチドリガンドでは、自動有機合成法を使用して、タンパク質を合成することができる。タンパク質を産生する合成法は、例えば、「酵素学の方法」289巻:「固相ペプチド合成」Gregg B. Fields(監修)、Sidney P.Colowick,Melvin I.Simon(監修)による、アカデミック・プレス(1997年11月15日)ISBN:0121821900、に記載されている。
タンパク質リガンドを発現させるための発現ベクターには、タンパク質リガンド又はその断片をコードするセグメントに加えて、例えば、目的の核酸へ機能可能的に連結したプロモーターを包含する調節配列が含まれる場合がある。当業者には多数の好適なベクター及びプロモーターが公知であり、本発明の組換え構築体の産生用に市販されている。例として、以下のベクターが提供される。細菌性:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(ストラタジーン);pTrc99A、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、及びpRIT5(ファルマシア)。真核性:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXTI、pSG(ストラタジーン)、pSVK3、pBPV、pMSG、及びpSVL(ファルマシア)。
当業者に周知の方法を使用して、本明細書のポリヌクレオチドと適切な転写/翻訳制御シグナルを含有するベクターを構築することができる。これらの方法には、in vitro組換えDNA技術、合成技術、及びin vivo組換え/遺伝子組換えが含まれる。例えば、Sambrook&Russell、「分子クローニング:実験マニュアル」第3版、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、ニューヨーク(2001);及び、Ausubel et al.「分子生物学の最新プロトコール」グリーン・パブリッシング・アソシエーツ及びウィリー・インターサイエンス、ニューヨーク(1989)に記載される技術を参照のこと。プロモーター領域は、選択可能マーカーを有するCAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクターや他のベクターを使用してどの所望の遺伝子より選択してもよい。2つの適切なベクターは、pKK232−8とpCM7である。特に命名された細菌プロモーターには、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λP、及びtrcが含まれる。真核プロモーターには、CMV極初期、HSVチミジンキナーゼ、初期及び後期SV40、レトロウイルス由来LTR、マウス・メタロチオネイン−I、並びに、当該技術分野で公知の様々な組織特異プロモーターが含まれる。
形質転換用の例示の原核宿主には、大腸菌、枯草菌、ネズミチフス菌、並びに、シュードモナス、ストレプトマイセス、及びブドウ球菌の属内の様々な種が含まれるが、他の種も選択すべきものとして利用してよい。例示の真核宿主には、酵母、哺乳動物細胞(例えばHeLa細胞、CV−1細胞、COS細胞)、及び昆虫細胞(例えばSf9細胞)が含まれる。本発明の宿主は、酵母や他の真菌でもよい。酵母では、構成又は誘導プロモーターを含有するいくつかのベクターを使用することができる。概説については、「分子生物学の最新プロトコール」第2版、Ausubel et al.監修、グリーン・パブリッシング・アソシエーツ・アンド・ウィリー・インターサイエンス、13章(1988);「酵素学の方法」Wu&Grossman監修、アカデミック・プレス、ニューヨーク、153:516−544(1987)中、Grant et al.「酵母の発現及び分泌ベクター」;Glover、「DNAクローニング」第II巻、IRLプレス、ワシントン、D.C.第3章(1986);「酵素学の方法」Berger&Kimmel監修、アカデミック・プレス、ニューヨーク、152:673−684(1987)中、Bitter「酵母における異種遺伝子発現」;及び「酵母サッカロマイセスの分子生物学」Strathern et al.監修、コールド・スプリング・ハーバー・プレス、第I及びII巻(1982)を参照のこと。潜在的に好適な酵母株には、サッカロミセス・セレビジエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、Kluyveromyces株、カンジダ、又は異種タンパク質を発現することが可能なあらゆる酵母株が含まれる。
哺乳動物発現系の例には、Gluzman、Cell 23:175(1981)に記載されるサル腎臓線維芽細胞のCOS−7系と、適合可能なベクターを発現することが可能な他の細胞系、例えば、C127、3T3、CHO、HeLa、及びBHK細胞系が含まれる。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、好適なプロモーター、さらに、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、転写終止配列、及び5’隣接非転写配列を含むものである。哺乳動物の宿主細胞には、例えば、サルCOS細胞、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト腎臓293細胞、ヒト表皮A431細胞、ヒトColo205細胞、3T3細胞、CV−1細胞、他の形質転換された霊長動物の細胞系、正常2倍体細胞、1次組織、1次外植片のin vitro培養物より派生した細胞株、HeLa細胞、マウスL細胞、BHK、HL−60、U937、HaK、又はJurkat細胞が含まれる。
治療
標的と血清アルブミンへ結合するタンパク質リガンド、例えば、本明細書に記載される、及び/又は本明細書に説明される方法によって同定されるリガンドには、治療及び予防上の有用性がある。例えば、これらのリガンドは、被検者へ、例えばin vivoで投与されて、がんのような様々な障害を治療、予防及び/又は診断することができる。
本明細書に使用される用語「治療する」又は「治療」は、障害、障害の症状、又は障害への素因を治癒する、癒す、軽減する、緩和する、改変させる、矯正する、改善する、向上させる、又は影響を及ぼす目的で、標的特異リガンドを、単独で、又は第2の薬剤と組み合わせて被検者、例えば患者へ適用又は投与すること、又は、障害(例、本明細書に記載の障害)、障害の症状、又は障害への素因を有する被検者、例えば患者からの単離組織又は細胞、例えば細胞系へ該剤を投与することと定義される。細胞を治療することは、細胞のin vitro又はin vivoでの阻害、切除、殺傷、又は細胞、例えば異常細胞の容量を抑制して、障害、例えば本明細書に記載の障害(例、がん性障害)に仲介することを意味する。1つの態様において、「細胞を治療すること」は、細胞、例えば過剰増殖細胞の活性及び/又は増殖の抑制を意味する。そうした抑制は、必ずしも細胞全体の消滅を意味しないが、細胞の活性又は数量における抑制、例えば統計学的に有意な抑制を意味する。
本明細書に使用されるように、障害を治療するのに有効な標的特異リガンドの量、又は「治療有効量」は、被検者への単回又は頻回用量投与時に、細胞、例えばがん細胞(例、標的発現がん細胞)を治療するか、又は本明細書に記載の障害のある被検者を、そうした治療の非存在時に予測される以上に、延命、治癒、軽減、緩和、又は改善するのに有効である、リガンドの量を意味する。本明細書に使用されるように、新生物の「増殖を阻害すること」は、その増殖及び転移を遅らせる、妨害する、阻止する、停止させることを意味し、必ずしも新生物増殖の全体的な消滅を示唆しない。
本明細書に使用されるように、障害を予防するのに有効な標的特異リガンドの量、又はリガンドの「予防有効量」は、被検者への単回又は頻回用量投与時に、障害、例えばがんの発症又は再発の発生を予防するか又は遅延させるのに有効である、標的特異リガンド、例えば本明細書に記載の標的特異リガンドの量を意味する。
用語「誘導」、「阻害」、「亢進」、「上昇」、「増加」、「減少」、等は、例えば2つの状態間の定量的な差を意味し、2つの状態間の差、例えば統計学的有意差を意味する。例えば、「標的発現細胞の増殖を阻害するのに有効な量」は、その細胞の増殖の速度が、未処置細胞とは異なる、例えば統計学的に有意に異なることを意味する。
本明細書に使用されるように、用語「被検者」は、ヒトと非ヒト動物が含まれると企図される。好ましいヒト動物には、異常な細胞増殖又は細胞分化を特徴とする障害を有するヒト患者が含まれる。用語「非ヒト動物」には、すべての脊椎動物、例えば非哺乳動物(ニワトリ、両生類、爬虫類のような)と、非ヒト霊長動物、ヒツジ、イヌ、ウシ、ブタ、等の非ヒト哺乳動物が含まれる。
1つの態様において、被検者は、ヒト被検者である。あるいは、被検者は、標的特異リガンドが交差反応する標的分子を発現する哺乳動物であってよい。ヒト被検者へは治療目的のために標的特異リガンドを投与することができる(以下に詳しく考察する)。さらに、標的特異リガンドは、そのリガンドが結合する標的又はその相同体を発現する非ヒト哺乳動物(例えば、霊長動物、ブタ又はマウス)へ獣医学上の目的のために、又はヒト疾患の動物モデルとして投与してよい。後者に関して言えば、そのような動物モデルは、リガンドの治療効果を評価する(例えば、投与量や投与の時間クールを試験する)のに有用であり得る。
1つの態様において、本発明は、細胞(例えば、非がん性細胞、例、正常、良性、又は過形成の細胞、又はがん性細胞、例、悪性細胞、例えば、固形腫瘍、柔組織腫瘍、又は転移病巣に見出される細胞(例えば、腎臓、尿路上皮、結腸、直腸、肺、乳房又は肝臓のがん及び/又は転移巣に見出される細胞))を治療する(例えば、成長を抑制する、増殖を抑制する、切除又は殺傷する)方法を提供する。本発明の方法には、その細胞を治療するのに十分な量で標的特異リガンド、例えば、本明細書に記載の標的特異リガンドと細胞を接触させる工程が含まれる。
本方法は、培養状態の、例えばin vitro又はex vivoの細胞に使用することができる。例えば、がん性又は転移性の細胞(例、腎臓、尿路上皮、結腸、直腸、肺、乳房、卵巣、前立腺、又は肝臓のがん性若しくは転移性細胞)を培養基においてin vitro培養して、この培養基へ標的特異リガンドを加えることによって接触工程を有効にすることができる。この方法は、in vivo(例えば、治療又は予防の)プロトコールの一部として、被検者に存在する細胞(例、がん性又は転移性の細胞)に対して実施することができる。in vivoの態様では、接触工程が被検者中で有効になり、リガンドの当該細胞への結合と治療(例えば、その細胞の殺傷又は切除)をともに可能にするのに有効な条件の下で標的特異リガンドを被検者へ投与することが含まれる。
本方法は、がんを治療するために使用される場合がある。本明細書に使用されるように、用語「がん」、「過剰増殖」、「悪性」、及び「新生物」は交換可能的に使用され、迅速な増殖又は新生物を特徴とする異常な状態又は状況にある細胞を意味する。この用語には、組織病理学上の型や浸潤の段階に拘らず、あらゆる種類のがん性増殖又は発がんプロセス、転移組織、又は悪性に形質転換した細胞、組織、又は臓器が含まれる。「病理学的な過剰増殖」細胞は、悪性腫瘍増殖を特徴とする病態に存在する。
用語「新生物」の一般的な医学上の意味は、正常な増殖制御に対する応答性の喪失として生じる「新たな細胞増殖」、例えば新生物の細胞増殖を意味する。「過形成」は、異常に高い増殖速度を体現している細胞を意味する。しかしながら、本明細書に使用されるように、新生物と過形成の用語は、それらの文脈から明らかなように、交換可能的に使用してよく、異常な細胞増殖速度を体験している細胞を概して意味する。新生物と過形成には、良性、前がん性、又は悪性であり得る「腫瘍」が含まれる。
がん性障害の例には、限定されないが、固形腫瘍、柔組織腫瘍、及び転移病巣が含まれる。固形腫瘍の例には、悪性疾患、例えば、肺、乳房、リンパ様組織、胃腸(例、結腸)、及び生殖尿路管(例、腎臓、尿路上皮の細胞)、咽頭、前立腺、卵巣に影響を及ぼすもののような、様々な臓器系の肉腫、腺がん、及びがん腫、並びに、ほとんどの結腸癌、直腸癌、腎細胞癌、肝癌、肺の非小細胞癌、小腸の癌、等のような悪性疾患が含まれる腺癌が含まれる。上記がんの転移病巣も本発明の方法及び組成物を使用して治療又は予防することができる。
本方法はまた、造血系起源の過形成/新生物細胞(例えば、骨髄様、リンパ様又は赤血球系の系統より生じる)又はその前駆細胞の増殖を阻害するために使用することができる。
標的特異リガンドを投与する方法は、「医薬組成物」に記載する。使用する分子の好適な投与量は、被検者の年齢及び体重と使用する特殊な薬物に依存するものである。リガンドは、望まれない相互作用(例えば、天然又は病理学的な作用因子と標的との間の)を阻害、抑制する競合剤として使用することができる。
1つの態様において、標的特異リガンドを使用して、がん性細胞と正常、良性過形成、及びがん性の細胞をin vivoで殺傷又は切除する。リガンドは、それ自体で使用しても、薬剤、例えば細胞傷害剤、放射性同位体へつなげてもよい。この方法には、リガンドを単独で、又は細胞傷害薬へ付けて、そのような治療を必要とする被検者へ投与することが含まれる。
用語「細胞傷害剤」及び「細胞増殖抑制剤」及び「抗腫瘍剤」は、本明細書において交換可能的に使用され、過剰増殖細胞、例えば異常ながん細胞の成長又は増殖を阻害する(例、細胞増殖抑制剤)か、又はその殺傷を引き起こす特性を有する薬剤を意味する。がん治療の態様では、用語「細胞傷害剤」を用語「抗がん」又は「抗腫瘍」と交換可能的に使用して、新生物、特に固形腫瘍、柔組織腫瘍、又は転移病巣の発達又は進行を阻害する薬剤を意味する。
抗がん剤の非限定的な例には、例えば、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗薬、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、挿入剤、シグナル伝達経路に干渉することが可能な薬剤、アポトーシスを促進する薬剤、放射線、並びに、他の腫瘍関連抗原に抗する抗体(素の抗体、免疫毒素、及び放射線抱合体が含まれる)が含まれる。特別なクラスの抗がん剤の例を以下のように詳しく提供する:抗チューブリン/抗微小管剤、例えば、パクリタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、タキソテレ;トポイソメラーゼI阻害剤、例えば、トポテカン、カンプトテシン、ドキソルビシン、エトポシド、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、テニポシド、アムサクリン、エピルビシン、メルバロン、塩酸ピロキサントロン;代謝拮抗薬、例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、シタラビン/Ara−C、トリメトレキセート、ゲンシタラビン、アシビシン、アラノシン、ピラゾフリン、N−ホスホロアセチル−L−アスパラギン酸=PALA、ペントスタチン、5−アザシチジン、5−アザ−2'−デオキシシチジン、ara−A、クラドリビン、5−フルオロウリジン、FUDR、チアゾフリン、N−[5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−チエノイル]−L−グルタミン酸;アルキル化剤、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシンC、BCNU=カルムスチン、メルファラン、チオテパ、ブスルファン、クロラムブシル、プリカマイシン、ダカルバジン、リン酸イホスファミド、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、ウラシルマスタード、ピポブロマン、4−イポメアノール;他の作用機序を介して作用する薬剤、例えば、ジヒドロレンペロン、スピロムスチン、及びデシペプチド;例えば、抗腫瘍応答を高める、インターフェロンのような生物学的応答調節剤;アクチノマイシンDのような、アポトーシス剤、並びに、抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェンのような抗エストロゲン、又は、例えば4'−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3'−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリドのような抗アンドロゲン。
ある標的特異リガンド(例えば、細胞毒素で修飾した)は、がん性組織中の細胞(がん性細胞そのものを含む)及び/又はその近傍の細胞を選択的に殺傷又は切除することができる。
上記リガンドは、治療薬、放射線を射出する化合物、植物、真菌、又は細菌起源の分子、生物学的タンパク質、並びにこれらの混合物が含まれる多様な細胞傷害薬を送達するために使用することができる。細胞傷害薬は、短距離放射線エミッタ(例えば、本明細書に記載のような短距離の高エネルギーα線エミッタが含まれる)のように、細胞内で作用する細胞傷害薬であり得る。
酵素的に活性な毒素とその断片の例となるのは、ジフテリア毒素A断片、ジフテリア毒素の非結合性の活性断片、外毒素A(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α−サクリン、特定の Aleurites fordii タンパク質、特定の Dianthin タンパク質、Phytolacca americana タンパク質(PAP、PAPII及びPAP−S)、Morodica charantia 阻害剤、クルシン、クロチン、Saponaria officialis 阻害剤、ゲロニン、ミトジリン、レストリクトシン、フェノマイシン、及びエノマイシンである。免疫毒素の酵素的に活性なポリペプチドを調製する手順は、参照により本明細書に組み込まれる、WO84/03508及びWO85/03508に記載されている。抗体へ共役させる(conjugate)ことができる細胞傷害部分の例には、アドリアマイシン、クロラムブシル、ダウノマイシン、メトトレキセート、ネオカルチノスタチン、及び白金が含まれる。
ポリペプチド毒素の場合、組換え核酸技術を使用して、そのリガンド(又はそのポリペプチド成分)と細胞毒素(又はそのポリペプチド成分)をコードする核酸を翻訳融合物として構築することができる。次いで、この組換え核酸を例えば細胞中で発現させて、コードされた融合ポリペプチドを単離する。
タンパク質リガンド(例えば抗体)を細胞傷害剤と共役させる手順は、すでに記載されている。クロラムブシルを抗体と共役させる手順がFlechner(1973)European Journal of Cancer、9:741−745;Ghose et al.(1972)British Medical Journal、3:495−499;及びSzekerke et al.(1972)Neoplasma、19:211−215に記載され、これらは参照により本明細書に組み込まれる。ダウノマイシン及びアドリアマイシンを抗体へ共役させる手順が Hurwitz, E. et al(1975)Cancer Research、35:1175−1181;及びArnon et al.(1982)Cancer Surveys、1:429−449に記載され、これらは参照により本明細書に組み込まれる。抗体−リシン共役体を調製する手順が米国特許第4,414,148号とOsawa,T.,et al.(1982)Cancer Surveys、1:373−388とそこに引用される文献に記載され、これらは参照により本明細書に組み込まれる。カップリングの手法も、参照により本明細書に組み込まれる、EP86309516.2に記載されている。
正常、良性で過形成性、又はがん性の細胞を殺傷するか又は切除するには、第1のタンパク質リガンドを、プロドラッグアクチベータのごく近傍にあるときにのみ活性化されるプロドラッグと共役させる。プロドラッグアクチベータは、第2のタンパク質リガンド、好ましくは、標的分子上の非競合部位へ結合するものと共役している。2つのタンパク質リガンドが競合又は非競合の結合部位のいずれへ共役するかは、慣用の競合結合アッセイによって決定することができる。本発明の実践における使用に適した薬物−プロドラッグ対については、Blakely et al.,(1996)Cancer Research、56:3287−3292に記載されている。
あるいは、標的特異リガンドは、高エネルギー放射線エミッタ、例えば、131Iのような放射線同位体、γ−エミッタへ結合することができて、これは、腫瘍部位に局在化すると、いくつかの細胞直径(diameters)の殺傷をもたらす。例えば、「がんの検出及び治療用のモノクローナル抗体」R.W.Baldwin et al.(監修)中、303−316頁、S.E.Order,「放射標識抗体のがん療法における治療使用の解析、結果、及び将来展望」(アカデミック・プレス)を参照のこと。他の好適な放射性同位体には、212Bi、213Bi、及び211Atのようなα−エミッタと186Re及び90Yのようなβ−エミッタが含まれる。さらに、造影剤と細胞傷害剤のいずれとしてもLu117を使用してよい。
131I、90Y、及び177Luで標識した抗体を使用する放射免疫療法(RIT)は、鋭意に臨床検討されている。これら3つの核種の物理特性には著しい相違があり、結果として、放射線核種の選択は、腫瘍への最大放射線量を送達するのにきわめて重要である。90Yの高いβエネルギー粒子は、かさのある腫瘍に良好であり得る。131Iの相対的に低いエネルギーのβ粒子は理想的であるが、放射ヨウ素化分子のin vivo脱ハロゲン化は、抗体を内部化するのに重大な短所となる。対照的に、177Luはほんの0.2〜0.3mm範囲の低エネルギーβ粒子を有し、90Yに比較してずっと低い放射線量を骨髄へ送達する。さらに、(90Yに比較した)より長い物理半減期により、腫瘍滞留時間はより長い。結果として、より高い活性(より多くのmCi量)の177Lu標識剤を比較的少ない放射線量で骨髄へ投与することができる。様々ながんの治療における177Lu標識抗体の使用について検討したいくつかの臨床試験がある(Mulligan T et al.(1995)Clin Cancer Res.1:1447−1454;Meredith RF,et al.(1996)J Nucl Med 37:1491−1496;Alvarez RD,et al.(1997)Gynecologic Oncology 65:94−101)。
標的特異リガンドは、天然の補体依存性細胞毒性(CDC)又は抗体依存性細胞の細胞毒性(ADCC)を介して抗原発現細胞を消失させるために、直接in vivoで使用することができる。特定のタンパク質リガンドには、IgG1、2、又は3由来のFc部分や補体へ結合するIgMの対応部分のような補体結合エフェクタードメイン、又は補体タンパク質へ結合し得るペプチドが含まれる場合がある。1つの態様において、標的細胞の集団を標的特異リガンドと適正なエフェクター細胞でex vivo処理する。この処理に、補体又は補体含有血清の添加を補充してよい。さらに、補体タンパク質の結合によって、タンパク質リガンドでコートした標的細胞の貪食作用を高めることができる。別の態様では、補体結合エフェクタードメインが含まれるタンパク質リガンドでコートした標的細胞を補体により溶解する。
本発明にまた含まれるのは、標的特異リガンドを予防のために使用することを伴う、殺傷又は切除の方法である。例えば、上記の材料を使用して、がんの発症又は進行を予防するか又は遅延させることができる。
がんを治療するための本発明の治療方法の使用には、いくつかの利益がある。本発明のタンパク質リガンドは標的タンパク質を特異的に認識するので、他の組織が除外され、治療を必要とする部位へ高レベルの薬剤が直接送達される。本発明による治療は、臨床パラメーターで効果的にモニタリングすることができる。あるいは、これらのパラメーターを使用して、上記の治療をいつ利用すべきかを指定してよい。
標的特異リガンドは、限定されないが、外科手術、放射線療法、及び化学療法が含まれる、がんを治療するための既存モダリティの1以上と組み合わせて投与してよい。
医薬組成物
別の側面において、本発明は、組成物、例えば製剤的に許容される組成物を提供し、これには、標的特異リガンド(例えば、標的(例、標的分子、標的細胞、又は標的組織)と相互作用して(例えば、特異的に結合して)、血清アルブミンへ結合するリガンド)、又は標的と血清アルブミンへ結合するものと同定された(本明細書に記載されるような)ポリペプチドが含まれ、製剤的に許容される担体と一緒に製剤化される。本明細書に使用されるように、「医薬組成物」には、標識リガンド(例えばin vivo造影のための)、並びに治療組成物が含まれる。
本明細書に使用されるように、「製剤的に許容される担体」には、生理学的適合性がある、あらゆるすべての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤、等が含まれる。好ましくは、担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は表皮での投与(例えば、注射又は注入による)に適している。投与の経路に依存して、活性化合物、タンパク質リガンドをある材料でコートして、その化合物を不活性化し得る酸の作用や他の自然条件から該化合物を保護してよい。
「製剤的に許容される塩」は、親化合物の所望の生物学的活性を保持して、望まれない毒性効果を付与しない塩を意味する(例えば、Berge,S.M.,et al.(1977)J.Pharm.Sci.66:1−19を参照のこと)。そうした塩の例には、酸付加塩と塩基付加塩が含まれる。酸付加塩には、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸、等のような無毒の無機酸より、並びに脂肪族のモノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族のスルホン酸、等のような無毒の有機酸より誘導されるものが含まれる。塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、等のようなアルカリ(土類)金属より、並びに、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン、等のような無毒の有機アミンより誘導されるものが含まれる。
本発明の組成物は、多様な形態であってよい。これらには、例えば、液体溶液剤(例、注射可能及び注入可能な溶液剤)、分散液剤又は懸濁液剤、錠剤、丸剤、散剤、リポソーム剤及び坐剤のような、液体、半固体及び固体の剤形が含まれる。好ましい形態は、企図される投与の形式と治療応用に依存する。典型的な好ましい組成物は、ヒトに抗体を投与するのに使用するものに類似した組成物のような、注射可能又は注入可能な溶液剤の形態である。好ましい投与の形式は、非経口(例、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。好ましい態様において、リガンドは、静脈内注入又は注射によって投与される。
本明細書に使用される句「非経口投与」及び「非経口的に投与する」は、腸への投与や局所投与以外の、通常は注射による投与の形式を意味し、それには、限定なしに、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内の注射及び注入が含まれる。
医薬組成物は、典型的には、製造及び保存の条件の下で、無菌かつ安定でなければならない。医薬組成物はまた、それが投与の規制及び業界標準に合致することを保証するために検査される場合がある。例えば、調製物中の内毒素レベルについて、USP 24/NF19法に従って、カブトガニ変形細胞溶解液アッセイ(例えば、Bio Whittaker ロット番号7L3790,感度:0.125EU/mLを使用する)を使用して検査することができる。医薬組成物の無菌性は、USP 24/NF19法に従って、チオグリコレート培地を使用して決定することができる。例えば、調製物を使用してチオグリコレート培地に接種して、35℃で14日間以上の間インキュベートする。この培地について定期的に視察し、微生物の増殖を検出する。
組成物は、溶液剤、ミクロ乳剤、分散液剤、リポソーム剤、又は高い薬物濃度に適した他の秩序構造として製剤化することができる。無菌の注射可能溶液剤は、活性化合物(即ち、リガンド)を、必要に応じて上記に列挙した成分の1つ又は組合せとともに、適正な溶媒に必要量取り込むことと、それに続く濾過滅菌によって調製することができる。一般に、分散液剤は、基底の分散媒体と上記に列挙したものからの必要な他の成分を含有する無菌担体へ活性化合物を取り込むことによって調製する。無菌の注射可能溶液剤の調製用の無菌散剤の場合、好ましい調製の方法は真空乾燥と凍結乾燥であり、有効成分に加えてすでに無菌濾過した溶液からの所望の追加成分の散剤が得られる、である。溶液剤の適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用により、分散剤の場合は要求される粒子径の維持により、そして界面活性剤の使用により維持することができる。注射可能組成物の延長吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩とゼラチンを組成物に含めることによってもたらすことができる。
標的特異リガンドは、当該技術分野で知られた多様な方法によって投与してよいが、多くの適用では、投与の好ましい経路/形式は、静脈内注射又は注入である。例えば、治療適用では、リガンドは、静脈内注入により30未満、20、10、5、又は1mg/分の速度で投与して、約1〜100mg/m2又は7〜25mg/m2の用量に達することができる。投与の経路及び/又は形式は、所望される結果に応じて変化する。ある態様において、活性化合物は、インプラントが含まれる制御放出製剤やミクロ被包化送達系のように、該化合物を即時放出に対して保護する担体と一緒に調製される場合がある。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸のような、生物分解性で生体適合性のポリマーを使用してよい。こうした製剤の調製の多くの方法が特許化されているか、又は一般に知られている。例えば、「持続及び制御放出の薬物送達系」J.R.Robinson(監修)、マルセル・デッカー社、ニューヨーク、1978を参照のこと。
医薬組成物は、当該技術分野で知られている医療デバイスとともに投与することができる。例えば、好ましい態様において、医薬組成物は、米国特許番号:5,399,163、5,383,851、5,312,335、5,064,413、4,941,880、4,790,824、又は4,596,556に開示されるデバイスのような、無針皮下注射デバイスとともに投与することができる。本発明に有用なよく知られたインプラント及びモジュールの例には、米国特許第4,487,603号(これは、医薬品を制御速度で調剤するための移植可能なマイクロ注入ポンプを開示する);米国特許第4,486,194号(これは、皮膚を通して医薬品を投与するための治療用デバイスを開示する);米国特許第4,447,233号(これは、医薬品を正確な注入速度で送達するための医薬品注入ポンプを開示する);米国特許第4,447,224号(これは、連続薬物送達用の移植可能な可変フロー注入装置を開示する);米国特許第4,439,196号(これは、マルチチャンバ・コンパートメントを有する浸透性の薬物送達系を開示する);及び米国特許第4,475,196号(これは、浸透性の薬物送達系を開示する)が含まれる。当然ながら、そのような他の多くのインプラント、送達系、及びモジュールも知られている。
ある態様において、本明細書に記載の化合物は、適切なin vivo分布を確実にするように製剤化することができる。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高親水性化合物を排除する。本治療化合物が(所望される場合)BBBを通過することを確実にするには、それらを、例えば、リポソームに製剤化する場合がある。リポソームを製造する方法については、例えば、米国特許4,522,811;5,374,548;及び5,399,331を参照のこと。リポソームは、特定の細胞又は臓器へ選択的に輸送されて、それにより標的指向性の薬物送達を高める1以上の部分を含む場合がある(例えば、Ranade(1989)J.Clin.Pharmacol.29:685を参照のこと)。
投与方式を調整して、所望される最適な応答(例、治療応答)をもたらすようにする。例えば、単一ボーラスを投与しても、数回の分割用量をある時間にわたり投与しても、治療状況の緊急事態により指定されるように用量を比例して低下又は増加させてもよい。投与の容易さと投与量の一様性のために非経口製剤を単位剤形に製剤化することは特に有利である。本明細書に使用される単位剤形は、治療すべき患者への単位投与量として適している物理的に明瞭な単位を意味し;各単位は、必要とされる医薬担体と一緒になって所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含有する。この投与量単位の仕様は、(a)活性化合物の独自の特性と達成すべき特別な治療効果、並びに(b)各個体の感受性の処置のためにこうした活性化合物を調合する技術に内在する限界によって決定されて、それに直接左右される場合がある。
治療上又は予防上有効な抗体量の例示の非限定的な範囲は、0.1〜20mg/kg、より好ましくは1〜10mg/kgである。標的特異リガンドは、30未満、20、10、5、又は1mg/分の速度で静脈内注入により投与して、約1〜100mg/m2又は約5〜30mg/m2の用量に達することができる。分子量が抗体より小さいリガンドでは、適正量が比例してより少なく、例えば、約0.01〜5mg/kg又は0.005〜1mg/kgであり得る。投与量の数値は軽減すべき状態の種類及び重症度に伴って変動する場合があることに留意すべきである。さらに、特別な被検者では、個別の必要性と、組成物を投与するか又はその投与を監督する人物の専門的な判断に従って経時的に調整すべきであること、そして本明細書に説明される投与量範囲が例示にすぎず、特許請求される組成物の範囲や実践を制限することを企図していないことをさらに理解されたい。
本医薬組成物には、「治療有効量」又は「予防有効量」の標的特異リガンドを含めてよい。「治療有効量」は、必要な投与量と時間の間で所望される治療結果を達成するのに有効な量を意味する。組成物の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重と、所望の応答をその個体において引き起こすタンパク質リガンドの能力といった要因に従って変動する場合がある。治療有効量はまた、組成物の有毒又は有害な効果が治療上の利益効果によって「凌駕されるものである。「治療有効投与量」は、好ましくは、測定可能なパラメーター、例えば腫瘍増殖率を、未処置被検者に比較して、少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、そしてなおより好ましくは少なくとも約80%阻害する。測定可能なパラメーター、例えばがんを阻害する化合物の能力は、ヒト腫瘍における効力を予測する動物モデル系において評価することができる。あるいは、組成物のこの特性は、化合物の阻害する(当業者に知られたアッセイによるin vitroでの阻害のように)能力を試験することによって評価してよい。
「予防有効量」は、必要な投与量と時間の間で、所望される予防結果を達成するのに有効な量を意味する。典型的には、予防用量は、疾患に先立つか又はそのより早期の段階で被検者において使用されるので、予防有効量は、治療有効量より少ないものである。
本発明の範囲内にはまた、標的分子と血清アルブミンへ結合するタンパク質リガンドと使用(例えば、治療、予防、又は診断上の使用)についての説明書を含んでなるキットがある。1つの態様において、診断適用の説明書には、in vitroで、例えば試料、例えばがん又は新生物障害を有する患者からの生検又は細胞において、又はin vivoで標的発現細胞を検出するためのリガンドの使用が含まれる。別の態様において、治療適用の説明書には、がん又は新生物障害のある患者における推奨の投与量及び/又は投与形式が含まれる。キットは、診断又は治療薬剤、例えば本明細書に記載の診断又は治療薬剤といった少なくとも1つの追加試薬、及び/又は、1以上の別個の医薬調製物に適宜製剤化された、1以上の追加標的特異リガンドをさらに含有してよい。
診断上の使用
特定の標的分子と血清アルブミンへ結合するタンパク質リガンドはまた、in vitro及びin vivoの診断有用性を有する。
1つの側面において、本発明は、標的発現細胞の存在をin vivoで(例えば、被検者におけるin vivo造影において)検出するための診断法を提供する。
この方法には(i)標的特異リガンドを被検者へ投与すること;及び(ii)リガンドと標的の複合体の形成を検出することが含まれる。この検出には、複合体の位置やその形成の時間を決定することが含まれる場合がある。
リガンドは、結合又は非結合の抗体の検出を容易にするために、検出可能な物質で直接的又は間接的に標識してよい。好適な検出可能物質には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、及び放射活性物質が含まれる。
in vivo造影法
さらに別の態様において、本発明は、標的発現細胞又は組織の存在をin vivoで検出する方法を提供する。この方法には、(i)検出可能マーカーへ共役している、血清アルブミンへ結合する標的特異リガンドを被検者(例、がん又は新生物障害を有する患者)へ投与すること;(ii)前記検出可能マーカーを検出するための手段へ被検者を処すことが含まれる。例えば、例えばNMRや他の断層撮影手段により被検者を造影する。
本発明による診断造影法に有用な標識の例には、131I、111In、123I、99mTc、32P、125I、3H、14C、及び188Rhのような放射標識、フルオレセイン及びローダミンのような蛍光標識、核磁気共鳴活性標識、陽電子放射断層撮影法(「PET」)スキャナーによって検出可能な陽電子放射同位体、ルシフェリンのような化学発光体、及び、ペルオキシダーゼ又はホスファターゼのような酵素マーカーが含まれる。短距離検出プローブによって検出可能な同位体のような、短距離放射エミッタも利用してよい。タンパク質リガンドは、既知の技術を使用して、そうした試薬で標識することができる。例えば、抗体の放射標識に関連する技術については、Wensel及びMeares(1983)放射免疫造影法と放射免疫療法」、エルセヴィエ、ニューヨークと、D.Colcher et al.(1986)Meth. Enzymol.121:802−816を参照のこと。
本発明の放射標識リガンドはまた、in vitro診断検査に使用することができる。同位体標識リガンドの比活性は、放射活性標識の半減期、同位体純度と、標識を抗体へ取り込ませる方法に依存する。
ポリペプチドを放射活性同位体(14C、3H、35S、125I、32P、131Iのような)で標識する手法は、一般的に知られている。例えば、トリチウム標識の手法は、米国特許第4,302,438号に記載されている。例えば、マウスモノクローナル抗体に適用されるような、ヨウ素化、トリチウム標識、及び35S標識の手法は、例えば、Goding,J.W.(「モノクローナル抗体:原理と実践:細胞生物学、生化学、及び免疫学におけるモノクローナル抗体の産生及び応用」第2版、ロンドン;オーランド:アカデミック・プレス、1986.124−126頁)とその引用文献により記載されている。抗体のようなポリペプチドをヨウ素化する他の手法が、Hunter及びGreenwood(1962)Nature 144:945,David et al.,(1974)Biochemistry 13:1014−1021,及び米国特許第3,867,517及び4,376,110号に記載されている。造影に有用である放射標識元素には、例えば、123I、131I、111In、及び99mTcが含まれる。抗体をヨウ素化する手法は、Greenwood,F.et al.(1963)Biochem.J.89:114−123;Marchalonis,J.(1969)Biochem.J.113:299−305;及びMorrison,M.et al.(1971)Immunochemistry 289−297に記載されている。99mTc標識の手法は、Burchiel,S.et al.(監修)「腫瘍造影法:がんの放射免疫化学検出」ニューヨーク:マッソン中、Rhodes,B.et al.111−123(1982)とその引用文献に記載されている。抗体を111In標識するのに適した手法は、Hnatowich,D.J.et al.(1983)J.Immul.Methods,65:147−157,Hnatowich,D.et al.(1984)J.Applied Radiation,35:554−557及びBuckley,R.G.et al.(1984)F.E.B.S.166:202−204に記載されている。
放射標識リガンドの場合、リガンドは、患者へ投与され、該リガンドが反応する抗原を担う腫瘍へ局在化し、例えば、γ−カメラ又は放射断層撮影法を使用する放射核スキャニングのような既知の技術を使用して、in vivoで検出又は「造影」される。例えば、「がんの検出及び治療用のモノクローナル抗体」R.W.Baldwin et al.,(監修)(アカデミック・プレス 1985)65−85頁、A.R.Bradwell et al.,「抗体造影法の開発」を参照のこと。あるいは、放射標識が陽電子(例、11C、18F、15O、及び13N)を射出する場合には、ブルックヘブン・ナショナル・ラボラトリー(Brookhaven National Laboratory)にあるPet VIと呼称されるような、陽電子放射超軸性断層撮影スキャナーを使用してよい。
MRI造影剤
磁気共鳴造影法(MRI)は、NMRを使用して、生きている被検材料の内部の特徴を視覚化して、予後判定、診断、治療、及び外科手術に有用である。MRIは、明らかな利益として、放射活性のあるトレーサー化合物なしで使用することができる。いくつかのMRI技術がEP−A−0502814に要約されている。一般的にいえば、異なる環境にある水プロトンの緩和時間定数T1及びT2に関する差を使用して、画像を作成する。しかしながら、これらの差は、明瞭な高解像イメージを提供するには不十分であり得る。
これら緩和時間定数の差は、造影剤によって増強することができる。そのような造影剤の例には、いくつかの磁性薬剤、常磁性剤(主にT1を改変する)と強磁性又は超常磁性剤(主にT2応答を改変する)が含まれる。ある種の常磁性物質(例、Fe+3、Mn+2、Gd+3)へ付ける(そして、毒性を低下させる)ためにキレート(例、EDTA、DPTA及びNTAキレート)を使用してよい。他の薬剤は、粒子(例えば、直径10μm未満〜約10nm)の形態であり得る。粒子は、強磁性、反強磁性、又は超常磁性の特性を有する場合がある。粒子には、例えば、磁鉄鉱(Fe34)、γ−Fe23、フェライト、並びに、遷移元素の他の磁性鉱物が含まれる場合がある。磁気粒子には、非磁性材料を伴うか又は伴わない1以上の磁性結晶を含めてよい。非磁性材料には、合成又は天然のポリマー(セファロース、デキストラン、デキストリン、デンプン、等のような)が含まれる場合がある。
標的特異リガンドはまた、NMR活性19F原子又は複数のそのような原子を含有する指示基で標識してよい。これは、(i)天然に豊富なフッ素原子の実質的にすべてが19F同位体であるので、実質的にすべてのフッ素含有化合物がNMR活性である;(ii)トリフルオロ酢酸無水物のような多くの化学的に活性なポリフッ素化化合物が比較的低いコストで市販されている;そして、(iii)多くのフッ素化化合物は、ヘモグロビン代替品として酸素を運ぶために利用される過フッ素化ポリエーテルのように、ヒトにおける使用が医学的に受容されることが判明しているからである。インキュベーション用の時間を許容した後で、Pykett(1982)Scientific American,246:78−88に記載されるものの1つのような装置を使用して全体のMRIを行って、がん性の組織を定位して造影する。
本発明の範囲内にはまた、特別な標的と血清アルブミンへ結合するタンパク質リガンドと診断使用(例えば、in vivoで、例えば被検者、例えばがん患者を造影することによって標的発現細胞を検出するためのリガンドの使用)についての説明書を含んでなるキットがある。キットは、標識や追加の診断薬剤といった少なくとも1つの追加試薬をさらに含有してよい。in vivo使用では、リガンドが医薬組成物として製剤化される場合がある。
以下の非限定的な実施例は、本発明の側面を例示する:
DX−954
DX−954は、VEGF−R2へ結合するリガンドとしてファージディスプレイにより単離されたペプチドである。DX−954はまた、高濃度の血清アルブミンによりDX−954がVEGF−R2へ結合することが妨げられるので、血清アルブミンへも結合する。
DX−954のアミノ酸配列は;
AGPTWCEDDWYYCWLFGTGGGK(配列番号1)である。DX−954ペプチドは、アミノ末端でアセチル化され、カルボキシ末端でアミド化される。
DX−1235は、DX−954と別のペプチド、DX−712の共役体であり、もう1つのVEGF−R2結合体である。DX−712のアミノ酸配列は:
GDSRVCWEDSWGGEVCFRYDPGGGK(配列番号2)である。DX−1235の構造を図1に示す。図1の上部のアミノ酸配列がDX−712(配列番号2;以下、実施例2も参照のこと)に対応する。図1の下部のアミノ酸配列がDX−954(配列番号1;以下、実施例1も参照のこと)に対応する。それぞれのアミノ酸配列中の2つのシステイン(「C」)を連結する線がジスルフィド結合に対応する。
DX−1235は、循環からのクリアランスについて2相性の半減期を有する。早期ではt1/2が約2分であり、遅期ではt1/2が約30分である。
DX−1235を注射した動物からの血清試料について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して分析した。DX−1235は、高分子量物質を含有する分画に結び付いていた。この知見は、HSAとの相互作用に一致する。
米国公開公報出願2003/0069395(USSN 10/094401)は、血清アルブミンへ結合するいくつかのペプチドを提供する。例えば、2003/0069395の表8を参照のこと。こうしたペプチド中に過剰に現れるモチーフ及びアミノ酸を使用して、血清アルブミンへも結合する標的特異タンパク質を製造することができる。例えば、こうしたモチーフ及び/又はアミノ酸を、結合に非必須である位置で、標的結合リガンドへ置換することができる。
本発明はまた、他の態様を提供する。例えば、他の血清成分、例えば、化合物を標的領域へ送達し得る成分、例えば、フィブリン、血球の表面上のタンパク質、免疫グロブリン、等へ結合するペプチドを開発することも有用であるかもしれない。他の態様も本発明の要約に提供され、さらに他のものも以下の特許請求項の範囲内にある。
図1は、DX−1235の概略図である。実線は、システインループ中に配置される残基を示す。上部のアミノ酸配列がDX−172(配列番号2;以下の実施例2も参照のこと)に対応する。下部のアミノ酸配列がDX−954(配列番号1;以下の実施例1も参照のこと)に対応する。それぞれのアミノ酸配列中の2つのシステインを連結する線がジスルフィド結合に対応する。
【配列表】
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Claims (59)

  1. 所定の標的と血清アルブミンへ結合する標的結合タンパク質を同定する方法であって:
    複数のさまざまなタンパク質を提供すること;及び
    (1)血清アルブミン以外の所定の標的と相互作用し、かつ(2)血清アルブミンへ結合する、上記複数のさまざまなタンパク質のメンバーの1つ又はサブセットを同定し、それにより所定の標的と血清アルブミンへ結合する標的結合タンパク質を同定すること
    を含む、前記方法。
  2. 同定されたメンバー又は該サブセットの少なくともいくつかのメンバーのin vivo半減期を評価することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 複数のさまざまなタンパク質がディスプレイライブラリーのメンバーを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 同定することがディスプレイライブラリーをスクリーニングすることを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 同定することが、所定の標的と相互作用する複数のさまざまなタンパク質のメンバーをスクリーニングするか又は選択すること、次に、所定の標的と相互作用するメンバーから、血清アルブミンへ結合もするメンバーの1つ又はサブセットについてスクリーニングするか又は選択することを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 同定することが、血清アルブミンへ結合する複数のさまざまなタンパク質のメンバーをスクリーニングするか又は選択すること、次に、血清アルブミンへ結合するメンバーから、所定の標的と相互作用もするメンバーの1つ又はサブセットについてスクリーニングするか又は選択することを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 血清アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項1に記載の方法。
  8. 所定の標的が天然に存在するタンパク質の細胞外ドメインである、請求項1に記載の方法。
  9. 同定されたメンバーを被検者へ投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 同定されたメンバー又は同定されたサブセットの1以上のメンバーを医薬組成物として製剤化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. さまざまなタンパク質のそれぞれが長さ30アミノ酸未満の多様なペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
  12. 多様なペプチドが4未満の定常位置を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 多様なペプチドが2つの不変システイン残基により形成される分子内ジスルフィド結合を含む、請求項11に記載の方法。
  14. 請求項1に記載の方法によって単離される標的結合タンパク質であって、(1)血清アルブミン以外の所定の標的と相互作用し、かつ(2)血清アルブミンへ結合するポリペプチドを含む、前記タンパク質。
  15. 標的結合タンパク質を同定する方法であって:
    (a) それぞれにさまざまなタンパク質が含まれる、複数のライブラリーメンバーを提供すること;
    (b) 血清アルブミン以外の所定の標的、又は血清アルブミンへ結合する、複数のさまざまなタンパク質のメンバーのサブセットを同定すること;
    (c) 該サブセットの少なくとも1つのメンバーの配列を改変して、少なくとも1つのメンバーの複数の変異体が含まれる改変サブセットを形成すること;及び
    (d) (1)(b)において同定することが血清アルブミンに対してであれば、所定の標的へ、又は(2)(b)において同定することが所定の標的に対してであれば、血清アルブミンへ結合する改変サブセットのメンバーの1つ又はサブセットを同定し、それにより標的結合タンパク質を同定すること
    を含む、前記方法。
  16. 改変することが、サブセットのメンバーのアミノ酸配列を比較すること、該メンバーの少なくともいくつかについて少なくとも1つのプロファイルを推定すること、及び、該少なくとも1つのプロファイルにおいて保存されていない位置を変化させることによって改変ライブラリーを調製することを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 所定の標的と血清アルブミンへ結合する標的結合タンパク質を同定する方法であって:
    標的化合物へ特異的に結合する開始タンパク質を提供すること;
    開始タンパク質の1以上のアミノ酸位置を改変することによって複数の変異タンパク質を調製すること;及び
    1以上の変異タンパク質について所定の標的へ結合することと血清アルブミンへ結合することを評価することによって、複数の変異タンパク質から、所定の標的と血清アルブミンへ結合する標的結合タンパク質を選択すること
    を含む、前記方法。
  18. 1以上の変異タンパク質を固定化血清アルブミンへ接触させることを含む方法によって1以上の変異タンパク質を評価する、請求項17に記載の方法。
  19. 複数の変異タンパク質を調製することが、開始タンパク質をコードする核酸配列を改変することを含む、請求項17に記載の方法。
  20. 複数の変異タンパク質を調製することが、ディスプレイライブラリーを構築することを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 複数の変異タンパク質を調製することが、初発タンパク質について、所定の標的へ結合するのに非必須である1以上のアミノ酸位置を決定すること、及び非必須位置の少なくとも1つを変化させることを含む、請求項17に記載の方法。
  22. 複数の変異タンパク質を調製することが、少なくとも1つの芳香族アミノ酸を開始タンパク質のアミノ酸位置へ置換することを含む、請求項17に記載の方法。
  23. 開始タンパク質を提供することが、ディスプレイライブラリーをスクリーニングすることを含む、請求項17に記載の方法。
  24. 血清アルブミン以外の標的分子へ1μM未満のKDで特異的に結合し、かつ血清アルブミンへ結合する、単離ペプチド。
  25. 長さ6〜32アミノ酸である、請求項24に記載のペプチド。
  26. 標的分子に対するKDよりも大きいKDで血清アルブミンへ結合する、請求項24に記載のペプチド。
  27. 標的分子に対するKDよりも少なくとも5倍大きいKDで血清アルブミンへ結合する、請求項26に記載のペプチド。
  28. マウスモデル系において少なくとも30分のin vivo半減期を有する、請求項24に記載のペプチド。
  29. 血清アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項24に記載のペプチド。
  30. 分子内ジスルフィド結合を含む、請求項24に記載のペプチド。
  31. 細胞傷害性部分へ付く、請求項24に記載のペプチド。
  32. 少なくとも1つの芳香族アミノ酸を含む、請求項24に記載のペプチド。
  33. 芳香族のジペプチド又はトリペプチド配列を含む、請求項24に記載のペプチド。
  34. ペプチドの標的分子への結合とペプチドの血清アルブミンへの結合が相互に排他的である、請求項24に記載のペプチド。
  35. 標的分子への結合を仲介するペプチドの残基と血清アルブミンへの結合する仲介する残基が同一の広がりをもつ、請求項24に記載のペプチド。
  36. 標的分子が天然に存在するタンパク質の細胞外ドメインを含む、請求項24に記載のペプチド。
  37. 標的分子が、インテグリン、CEA、VEGF−R2、及びMUC1からなる群より選択される、請求項24に記載のペプチド。
  38. ペプチド及びいずれかの共役部分が4500ダルトン未満の分子量を有する、請求項24に記載のペプチド。
  39. ペプチド及びいずれかの共役部分が3500ダルトン未満の分子量を有する、請求項38に記載のペプチド。
  40. 200nM未満のKDで標的分子へ結合する、請求項24に記載のペプチド。
  41. 50nM未満のKDで標的分子へ結合する、請求項40に記載のペプチド。
  42. 50nM〜50μMのKDで血清アルブミンへ結合する、請求項24に記載のペプチド。
  43. 50nM〜50μMのKDで血清アルブミンへ結合する、請求項38に記載のペプチド。
  44. 50nM〜50μMのKDで血清アルブミンへ結合する、請求項41に記載のペプチド。
  45. 血清アルブミン以外の標的分子へ1μM未満のKDで特異的に結合し、かつ標的分子に対するKDよりも少なくとも5倍大きい50nM〜50μMのKDでヒト血清アルブミンへ結合する単離ペプチドであって、長さ6〜32アミノ酸であり、該ペプチド及びいずれかの共役部分が4500ダルトン未満の分子量を有し、そして、マウスモデル系において少なくとも30分のin vivo半減期を有する、前記ペプチド。
  46. 請求項24に記載のペプチドと製剤的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  47. 請求項45に記載のペプチドと製剤的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  48. 請求項24に記載のペプチドを含むポリペプチドをコードする配列を含む、単離核酸。
  49. 請求項45に記載のペプチドを含むポリペプチドをコードする配列を含む、単離核酸。
  50. 請求項48に記載の核酸を含有し、かつ前記核酸によりコードされるポリペプチドを産生することができる組換え宿主細胞。
  51. 請求項49に記載の核酸を含有し、かつ前記核酸によりコードされるポリペプチドを産生することができる組換え宿主細胞。
  52. 標的結合タンパク質を被検者へ投与する方法であって、請求項46に記載の医薬組成物を被検者へ投与することを含む、前記方法。
  53. 被検者の症状を評価することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
  54. 被検者を撮像することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
  55. ペプチドの被検者からのクリアランスを評価することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
  56. ペプチドの被検者における濃度を評価することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
  57. 規定の投与方式の一環として組成物を投与して、投与量は少なくとも24時間離して投与する、請求項52に記載の方法。
  58. 薬剤を提供する方法であって、血清アルブミン以外の標的分子への結合能と血清アルブミンへの結合能を試験したペプチド薬剤を選択し、それにより薬剤を提供することを含む、前記方法。
  59. 薬剤を被検者へ投与することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
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