JP2006508917A - メスナを有する、オキサザホスホリンの液体安定性組成物 - Google Patents

メスナを有する、オキサザホスホリンの液体安定性組成物 Download PDF

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Abstract

非経口投与用の、メスナを有する、低毒性の安定性オキサザホスホリン含有組成物を記載する。その方法では、本質的に、オキサザホスホリン抗新生物薬を、エーテル化β−シクロデキストリンの水溶液へ添加すること、次いで、メスナを、それ自体又は場合によりエーテル化β−シクロデキストリンを含む水溶液として添加することが必要である。好ましくは、オキサザホスホリン抗新生物薬が、イホスファミドであり、及びエーテル化β−シクロデキストリンが、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである。

Description

発明の詳細な説明
発明の分野
本発明は、オキサザホスホリン抗新生物薬、メスナ(mesna)及びエーテル化β−シクロデキストリンを含む、低毒性で、安定性の、水性の、すぐに使用可能な、オキサザホスホリン含有組成物を製造する方法に関する。それは、ヒト及び他の哺乳類において非経口投与するのに適する、イホスファミド(Ifosfamide)、メスナ及び2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(これ以降、“HPBCD”と称する)を含む組成物の製造という特定用途を有するが、これに限定される訳ではない。本発明は、より具体的には、一定期間にわたり安定性であり、それによりそれらが即時的臨床用途に適するものとされている、イホスファミド、メスナ、HPBCDを含む、イホスファミドの透明水性低毒性組成物の製造方法に関する。
発明の背景
悪性疾患(malignant disease)の治療に使用される、2つの主要グループの薬剤は、アルキル化剤及び代謝拮抗物質である。イホスファミド及びシクロホスファミドは、アルキル化剤グループに属するオキサザホスホリン抗新生物薬剤であり、広範に使用される。
イホスファミドは、4%未満に希釈された溶液としての注射(injection)によるか又は注入(infusion)によるいずれかにより、経静脈的に与えられ、及び、頚部、子宮内膜、肺、卵巣、睾丸及び胸腺の固形腫瘍を含む種々の固形腫瘍及び肉腫の治療において及びバーキットリンパ腫の治療において使用される。
イホスファミドは、3−(2−クロロエチル)−2−[(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン−2−オンについての承認学名であり、及び次式により表される。
Figure 2006508917
それは、融点が40℃と低い、白色の吸水性の結晶性パウダーである。それは、また、その融点未満で焼結し始める。イホスファミドのこれらの特性により、その乾燥パウダーの無菌充填が困難となり、これは、温度及び湿度の双方を実際に調節する必要があることによる。更に、イホスファミドパウダーを、無菌的に、殺菌容器に充填する際には、その製品の無菌性を維持するための最大限の予防策が必要とされる。
イホスファミドパウダーは、水中における溶解性が高い。その水溶液は、pHの変化に感受性である。
同様の問題は他のオキサザホスホリン抗新生物薬、例えばシクロホスファミドについても生じ、それは、2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサゾホスホリン2−オキシドについての承認学名であり、及び次式により表される。

Figure 2006508917
オキサザホスホリン抗新生物薬は、尿道に対して毒性であり、及び腎臓及び膀胱にも影響を及ぼし得る。従って、それらは、2−メルカプトエタンスルホネート、具体的にはメスナと関連して投与することが推奨される。メスナは、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムについての承認学名であり、及び次式:HSCH2CH2SO3 -Na+により表される。
メスナは、水溶解性が高い。それは、イホスファミド又はシクロホスファミドで治療されている患者における尿路上皮毒の予防のために使用される。腎臓用メスナジスルフィド(kidney Mesna disulfide)においては、メスナの不活性代謝産物が、遊離メスナに還元され、それは、膀胱に対する毒性に対して応答性であると考えられ、アクロレイル(acroleil)を含む、シクロホスファミド及びイホスファミドの代謝産物と反応するチオール基を有する。
メスナの1日あたりの静脈投与量は、イホスファミドの1日あたりの全投与量の60%に等しく計算され、及びイホスファミド投与が短期注入で2.5g/m2/日未満で行われる際、イホスファミドの各投与の15分前、4時間後及び8時間後に3回のボーラス投与として与えられる。イホスファミドの連続注入については、メスナは、イホスファミドの全投与量の20%に等しいボーラス投与として与えられ、次いで、イホスファミド注入の完了後12時間から24時間にかけて継続的に、イホスファミド投与量の40%に等しいメスナの連続注入を行うことができる。
メスナは、また、イホスファミド投与量の60%に等しい投与量で連続的に注入投与されている。イホスファミドの標準投与量について、イホスファミドの60%w/wより高いメスナ投与量を正当化するのに利用可能な臨床データはない。2.5g/m2を越える高いイホスファミド投与量については、連続的及び長期的なメスナ投与計画が、尿道毒性(urotoxicity)に対する最大保護のために必要とされる。
パウダー形態の、現在商業的に入手可能な製品の不利な点としては、以下の点が挙げられる:
1.標準投与量が1日あたり1gを越える際には、2つ以上のバイアルが、再構成され及び次いで、希釈されて、所定濃度にされることが必要である。
2.1gのバイアル8つと同程度の高い投与量でのイホスファミド療法においては、再構築され及び希釈されて、所定濃度にされることが必要である。
3.メスナが、イホスファミドと一緒に投与される必要がある場合、再構築後のイホスファミド溶液がメスナと混合されることが必要である。
様々な研究者/発明者らにより、再構築の間及びメスナとの混合の間のイホスファミドの取り扱いの問題を克服するような、イホスファミド及びメスナを含む、すぐに使用可能な非経口溶液を配合する試みがなされていた。
米国特許第4,959,215号明細書には、イホスファミド、メスナ及びヘキシトール、好ましくはマンニトールの水性又は水性エタノール系溶液を凍結乾燥することにより製造される、イホスファミド、0.05〜1.0質量部のメスナ及び0.1〜17質量部のヘキシトールを含む安定性イホスファミド−メスナ凍結乾燥体が開示されている。シクロデキストリンの存在については言及されていない。その凍結乾燥体は、安定して物理的にディスカラレーション(discolouration)を示さない。溶解速度は、また、乾燥充填イホスファミドに比し顕著に高いと主張されている。
米国特許第4,952,575号明細書には、80〜100%v/vのエタノール中に溶解された、10〜70%w/vの、次式のオキサザホスホリンを含む組成物が開示されている:
Figure 2006508917
(式中、R1、R2及びR3の少なくとも2つは、独立して、2−クロロエチル又は2−メタンスルホニルオキシエチルであり、及び残りのR基は、水素、メチル及びエチルより選ばれる)。イホスファミドについての崩壊が最小であることが示されているが、そのような高濃度での溶剤の使用により、他の問題、例えば揮発性、製造間の取り扱い、血液との混和性の問題が生じてしまう。エタノールは薬学的に活性であるので、これは、また、イホスファミドのアルコール系溶液の投与の際にヒトに影響し得る。
国際公開第9918973号パンフレットには、水溶液中において塩素イオンを形成する物理的に良好に許容される化合物を含む、次式のオキサザホスホリンの少なくとも1種の、安定性で、すぐに利用可能な液体組成物が開示されている:
Figure 2006508917
(式中、R1、R2及びR3は、独立して、メチル、エチル、2−クロロエチル、2−メタンスルホニルオキシエチル又はR3を除いては水素であり、及びR1、R2及びR3の少なくとも2つは、2−クロロエチル及び/又は2−メタンスルホニルオキシエチルである)。独立して、その組成物は、シクロデキストリン、好ましくはα−シクロデキストリン、又はそれらのエトキシル化誘導体を等張化調整剤として及びメスナを含んでいてもよいとするが、βシクロデキストリン又はメスナを含む組成物についての例示はない。
米国特許第4,879,286号明細書には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びグリセロールより選ばれる有機ポリオール50〜100%及び水0〜50%を含むキャリヤ中における、すぐに希釈できる溶液として配合された、シクロホスファミドの貯蔵安定性液体殺腫瘍配合物が開示されている。その配合物は、アルコール、例えば10〜30%(配合物の全質量をベースとする)のエタノールと組み合せて使用することができる。
米国特許第6,407,079号明細書には、やや水溶性の又は水不安定性の薬剤の水溶性及び安定性が、水100ml中における水溶解性が1.8gより高く、及び次式:(β−CD)OR(式中、Rは、場合によりアルキル基をいくらか有するヒドロキシアルキル基である)の部分エーテル化β−シクロデキストリンを有する包接化合物の配合物により改善されることが開示されている。好ましくは、Rは、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル又はジヒドロキシプロピル基より選ばれる。この特許明細書には、水にやや溶解性の/不溶性の薬剤を溶解するためのシクロデキストリンの使用が示され、及び、イホスファミド及びメスナのような水溶性材料についての有用性は示されていない。
米国特許第4,727,064号明細書には、親油性薬剤の安定化が、薬剤を、水溶性シクロデキストリン誘導体の、本来的に非晶質の混合物中へ溶解して、可溶化シクロデキストリン/薬剤複合体を形成し、及び場合により、得られた可溶化複合体を凍結乾燥又は蒸発させて、パウダー形態の固形シクロデキストリン/薬剤複合体を得ることにより可能であることが開示されている。シクロデキストリン誘導体の例示混合物は、例えば、プロピレンオキシド、グリシドール、ヨードアセトアミド、クロロアセテート又は2−ジエチルアミノエチルクロライドを用いて、α−、β−又はγ−シクロデキストリンを非選択的にアルキル化することにより得られる。シクロデキストリンは、ヒドロキシアルキルカルボキサミド、ジエチルアミノエチル、カルボキシメチル又はカルボキシアミドメチルにより置換されてもよく、及び例示的シクロデキストリンとしては、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンが挙げられる。この特許明細書には、イホスファミド及びメスナのような水溶性材料のためにシクロデキストリンを使用することが示唆されていない。
国際公開第0139749号パンフレットには、甘味が長持ちする、固形投与形態にある、高速溶解性医薬組成物であって、(a)少なくとも1種の薬剤、(b)少なくとも1種の水溶性糖、(c)少なくとも1種の、通常の高速放出形態にある非糖甘味料及び(d)少なくとも1種の、粘膜付着性(mucoadhesive)の遅延放出形態にある非糖甘味料を含むものが開示されている。例示的薬剤としては、イホスファミド及びメスナが挙げられ、及び例示的粘膜付着性剤としては、シクロデキストリンが挙げられる。イホスファミド、メスナ及びシクロデキストリンの2種又は3種以上を含む組成物は例示されていない。
メスナは、イホスファミドの投与毎に同時に投与することが必要とされるため、本発明のある態様においては、イホスファミド及びメスナを同一組成物中において組み合せて、メスナを別に投与する不便さを回避する。本発明の他の態様においては、イホスファミド及びメスナをHPBCDと組み合せて、製品の市場性が容易なものとなり、及び再構築の工程なしに及びより少ない取り扱いで使用するのに都合が良くなるような安定性組成物を提供する。驚くべきことに、イホスファミド、メスナ及びHPBCDを組み合せる本発明の方法により、また、低毒性の組成物が得られる。
本発明の主な目的は、従って、従来技術における不利な点が全て克服される、従来の非経口添加剤を用いて又は用いずに、イホスファミド、メスナ及びHPBCDを含む、低毒性で、安定な、イホスファミドの組成物を製造する方法を開発すること、及び、ヒト及び哺乳類における非経口投与に適する組成物を製造することである。
発明の概要
従って、本発明は、オキサザホスホリン抗新生物薬、メスナ及びエーテル化β−シクロデキストリンを含む、低毒性の安定性オキサザホスホリン含有組成物の製造方法であって:
i)オキサザホスホリン抗新生物薬を、エーテル化β−シクロデキストリンの水溶液へ添加する工程;
ii)メスナを、それ自体又は場合によりエーテル化β−シクロデキストリンを含む水溶液として、工程i)のオキサザホスホリン溶液へ添加する工程;及び
iii)得られる水溶液を混合し、及び場合により、水を用いて容量を調整する工程
を含むことを特徴とする方法に関する。
発明の実施態様の詳細な記載
本発明において使用されるオキサザホスホリン抗新生物薬は、次式のものである:
Figure 2006508917
(式中、R1、R2及びR3の少なくとも2つが、独立して、2−クロロエチルであり、及び、残りのR基が水素である)。より好ましくは、オキサザホスホリン抗新生物薬は、シクロホスファミド(R1及びR2が、クロロエチルであり、及びR3が、水素である)又は特にはイホスファミド(R1及びR3が、クロロエチルであり、及びR2が、水素である)である。
エーテル化β−シクロデキストリンは、好ましくは、少なくともいくらかの、ヒドロキシアルキル基によりエーテル化されたヒドロキシ基、及び場合により、アルキル基によりエーテル化された他のものを有し、及び水溶性が約1.8g/水100mlより高い。好ましくは、ヒドロキシアルキル基は、ヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピル又は特にはヒドロキシプロピル基であり、及びアルキル基は、存在する場合、メチル又はエチル基である。ヒドロキシアルキル基によるモル置換(molar substitution:MS)(アンヒドログルコースユニットあたりのアルキル化アルキレンオキシドのモルとして計算される)は、適切には、約0.05〜約10、好ましくは、約0.2〜約2、及び特には、約0.5〜約1.2である。
組成物のオキサザホスホリン抗新生物薬含量は、通常は、約1〜約1000mg/ml、好ましくは、約25〜約750mg/ml、及びより好ましくは、約50〜約500mg/mlである。
オキサザホスホリン抗新生物薬のメスナに対する比は、質量ベースで、通常、約20:1〜約1:2、好ましくは、約10:1〜約1:1の範囲内にある。
組成物中におけるエーテル化β−シクロデキストリン含量は、通常、約1〜約60%w/v、好ましくは、約2.5〜約40%w/v、より好ましくは、約5〜約20%w/vである。
従来の非経口添加剤が、オキサザホスホリン抗新生物薬が添加される水溶液中に及び/又はメスナが添加される水溶液中に存在していてもよい。これらの添加剤は、また、別々に、水溶液として、メスナをオキサザホスホリン溶液へ添加する前又は容量を調整する前のいずれかに添加してもよい。そのような添加剤は、例えば、水性非経口組成物中において通常使用されるような、緩衝液、等張希釈剤、抗結晶化剤、金属イオン封鎖剤、又は酸化防止剤であってもよい。
緩衝液は、医薬的に許容可能な緩衝液系、例えば、通常使用される化合物又はクエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、グリシン、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸より選ばれる化合物の混合物を含む、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、グリシン緩衝液より選ばれる。好ましくは、使用される緩衝液は、リン酸二水素ナトリウム及びリン酸水素二ナトリウムの混合物である。
水溶液は、好ましくは、十分な攪拌により混合し、及び得られる溶液は、通常、殺菌グレードフィルターに通すろ過により殺菌する。好ましくは、溶液は、2μ及び0.2μフィルターに連続的に通すか又は0.2μフィルターに通してろ過する。
通常、ろ液は、無菌的に、殺菌容器、例えば、バイアル、アンプル、プラスチック容器に充填し、充填容器をシール化する。
以下、本発明を、実施例により説明する。これらの実施例は説明を意図するのみであって、いかなる場合にも本発明の範囲を制限するものではない。
これらの実施例において使用したイホスファミドは、米国の薬理学的規格に適合する非経口グレードのものとした。これらの実施例において使用したメスナは、非経口グレードのものとした。使用したヒドロキシプロピルβシクロデキストリン(HPBCD)は、Wacker Chemieにより製造されたものであり、0.5〜1.2の、アルキル基によるグルコースユニットあたりの置換度を有する。使用した装置は、従来の性質を有するものであり;全ての処理は、制御された環境領域内において行った。これらの実施例において使用した水は、“注入用水”規格に適合する非経口グレードのものとした。これらの実施例において使用した全ての他の添加剤は、非経口グレードのものとした。
実施例I
Figure 2006508917
秤量したリン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムを、水160ml中に溶解し、及び秤量したHPBCDを添加し、攪拌下にゆっくりと溶解した。得られたHPBCD溶液を等しい部で2分した。
秤量したイホスファミドを、1部の緩衝HPBCD溶液へ攪拌下に徐々に添加し、及び良好に混合した。
秤量したメスナを、残部の緩衝HPBCD溶液へ攪拌下に徐々に添加し、及び良好に混合した。
上記で製造したメスナ溶液をイホスファミド溶液へ添加した。得られた溶液を一緒に混合した。容量を、水を用いて200mlに調整した。生成物を、0.2μフィルターに通してろ過し、及び無菌的に殺菌ガラスバイアルに充填した。ガラスバイアルを、無菌条件下で、殺菌テフロン(登録商標)被覆されたゴム栓で閉じ、及びフリップオフ(flip off)シールを用いてシールした。
この実施例で得られた組成物を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりイホスファミド含量及びメスナ含量について分析し、及び、52.92mg/mlのイホスファミド及び10.2mg/mlのメスナを含むことが分かった。組成物のpHは、6.86であった。
実施例II
実施例Iで得られた組成物を、マウスにおける急性毒性研究に付した。M/s. German Remediesにより製造された従来の配合物、ホロキサン(登録商標)を、製造業者の指示通りに再構築し、及びメスナ(20%のイホスファミド含量に等しい)と混合した後にコントロールとして使用した。両薬剤溶液を、5%デキストロースインジェクションで適切に希釈し、及び静脈内投与した。500mg/kg体重、700mg/kg体重及び900mg/kg体重の投与量のイホスファミドを、3つの異なるグループの動物に投与し、各グループは8匹の動物からなるものとした。
動物は、14日間観察し、及び3日及び7日の終わりに死亡率を記録した。
LD50投与量は、従来の配合物に比し、実施例Iの組成物について高いことが分かった。
Figure 2006508917
上記データから、実施例Iの組成物が、従来の配合物に比し低毒性であることが明らかである。
実施例III
Figure 2006508917
秤量したリン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムを、水160ml中に溶解し、及び秤量したHPBCDを添加し、攪拌下にゆっくりと溶解した。
秤量したイホスファミドを、緩衝HPBCD溶液へ攪拌下に徐々に添加し、及び3時間混合した。
3時間後、秤量したメスナを、緩衝イホスファミド溶液へ攪拌下に徐々に添加した。容量を、水を用いて200mlに調整し、0.2μフィルターに通してろ過し、及び無菌的に殺菌ガラスバイアルに充填した。ガラスバイアルを、無菌条件下で、殺菌テフロン(登録商標)被覆されたゴム栓で閉じ、及びフリップオフシールを用いてシールした。
実施例IV
Figure 2006508917
上記量の成分を用いて、実施例Iの手順を繰り返した。




実施例V
Figure 2006508917
上記量の成分を用いて、実施例Iの手順を繰り返した。
実施例VI
Figure 2006508917
上記量の成分を用いて、実施例Iの手順を繰り返した。
実施例VII
Figure 2006508917
秤量したHPBCDを、水20ml中に溶解した。イホスファミドを、HPBCD溶液へ攪拌下に徐々に添加した。混合を、透明溶液が得られるまで続けた。メスナを、得られたイホスファミド溶液へ攪拌下に徐々に添加し、メスナ全量が溶液となるまで良好に混合した。容量を、水を用いて200mlに調整した。
この実施例で得られた組成物を、イホスファミド含量及びメスナ含量について分析し、及び497.88mg/mlのイホスファミド及び98.73mg/mlのメスナを含むことが分かった。
実施例VIII
Figure 2006508917
秤量したHPBCDを、水20ml中に溶解した。イホスファミドを、HPBCD溶液へ攪拌下に徐々に添加した。混合を、透明溶液が得られるまで続けた。メスナを、得られたイホスファミド溶液へ攪拌下に徐々に添加し、メスナ全量が溶液となるまで良好に混合した。容量を、水を用いて200mlに調整した。
この実施例で得られた組成物を、イホスファミド含量及びメスナ含量について分析し、及び492.02mg/mlのイホスファミド及び296.18mg/mlのメスナを含むことが分かった。

実施例IX
Figure 2006508917
HPBCDを、水20ml中に溶解した。イホスファミドを、その後、HPBCD溶液へ攪拌下に徐々に添加した。混合を、透明溶液が得られるまで続けた。メスナを、得られたイホスファミド溶液へ攪拌下に徐々に添加した。エデト酸二ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムを、水10ml中に溶解し、及びイホスファミド−メスナ溶液へ添加し、及び良好に混合した。容量を、水を用いて200mlに調整した。
実施例X
Figure 2006508917
上記量の成分を用いて、実施例VIIIの手順を繰り返した。
実施例XI
Figure 2006508917
秤量したリン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムを、水160ml中に溶解し、及び秤量したHPBCDを添加し、攪拌下にゆっくりと溶解した。秤量したイホスファミドを、緩衝HPBCD溶液へ攪拌下に徐々に添加し、及び3時間混合した。
秤量したメスナを、上記イホスファミド溶液へ攪拌下に徐々に添加し、及び良好に混合した。
容量を、水を用いて200mlに調整した。生成物を0.2μフィルターに通してろ過し、及び無菌的に、殺菌ガラスバイアルに充填した。ガラスバイアルを、無菌条件下に、殺菌テフロン(登録商標)被覆されたゴム栓で閉じ、及びフリップオフシールでシールした。
この実施例で得られた組成物を、イホスファミド含量及びメスナ含量について分析し、及び51.2mg/mlのイホスファミド及び10mg/mlのメスナを含むことが分かった。組成物のpHは、7.05であった。
実施例XII
実施例XIで得られた組成物を、M/s. German Remediesにより製造された、従来の配合物、ホロキサン(登録商標)と一緒に、膀胱毒性を評価するために、ラットにおける出血性膀胱炎の研究に付した。
実験の詳細は次のとおりである:
Figure 2006508917
Figure 2006508917
Figure 2006508917
研究計画
動物を5グループに分けたが、各グループは2匹からなる。動物に、表1に特定したようなイホスファミド配合物を注入した。
表1.イホスファミド配合物の投与量
Figure 2006508917
全ての動物への注入は、経静脈ルートで行った。動物は、注入から24時間後に犠牲にした。全ての動物の膀胱を収集し、及び10%ホルマリン中に48時間固定した。器官の組織病理学的スライドを作成し、顕微鏡検査に付した。
評価:表2に、出血性膀胱炎のグレードパターンを示す。







表2:出血性膀胱炎のグレードパターン
Figure 2006508917
観察:表3は、2つのイホスファミド配合物の出血性膀胱炎についての評価結果を示す。
表3:出血性膀胱炎についての2つのイホスファミド配合物の評価
Figure 2006508917
議論:
ホロキサンで処理した動物は、400mg/kg及び500mg/kgの両投与量で出血性膀胱炎となったが、実施例XIの組成物では、出血性膀胱炎にはならなかった。
結論:
上記知見から、結論的に、実施例XIの組成物が、従来の配合物、ホロキサン(登録商標)より低毒性であることが証明された。
実施例XIII
実施例XIで得られた組成物を安定性の研究に付した。データは以下のとおりである:
Figure 2006508917
結論:
上記から、イホスファミドが、2℃−8℃で貯蔵された場合にいかなる崩壊を受けることなしに実施例XIで得られた組成物中において安定であることが明らかである一方、再構築における従来の配合物では、冷却下で3〜6週間安定であることが報告される。
本発明の利点
1.本発明の組成物は、すぐに使用可能で、安定で、低毒性である。
2.非経口用の、メスナを有する水溶液中にイホスファミドを配合することにより、パウダー配合物の再構築が不要であるため、細胞毒性薬剤の取り扱いが容易となる。
3.イホスファミド含量を、10mlのバイアル中に10g程度まで高めることができ、これに対して、従来の市販パックでは1〜2gである。これにより、薬剤投与間の取り扱いのための容器数が低減される。
4.メスナと混合する更なる工程が必要とされない。なぜなら、本発明の組成物は、メスナを有するイホスファミド溶液として配合されるからである。

Claims (26)

  1. オキサザホスホリン抗新生物薬、メスナ及びエーテル化β−シクロデキストリンを含む、低毒性の安定性オキサザホスホリン含有組成物の製造方法であって:
    i)オキサザホスホリン抗新生物薬を、エーテル化β−シクロデキストリンの水溶液へ添加する工程;
    ii)メスナを、それ自体又は場合によりエーテル化β−シクロデキストリンを含む水溶液として、工程i)のオキサザホスホリン溶液へ添加する工程;及び
    iii)得られる水溶液を混合し、及び場合により、水を用いて容量を調整する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  2. オキサザホスホリン抗新生物薬が、以下の式:
    Figure 2006508917
    (式中、R1、R2及びR3の少なくとも2つが、独立して、2−クロロエチルであり、及び、残りのR基が水素である)
    を有する請求項1に記載の方法。
  3. オキサザホスホリン抗新生物薬が、シクロホスファミド(R1及びR2が、クロロエチルであり、及びR3が、水素である)である請求項2に記載の方法。
  4. オキサザホスホリン抗新生物薬が、イホスファミド(R1及びR3が、クロロエチルであり、及びR2が、水素である)である請求項2に記載の方法。
  5. 使用するエーテル化β−シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン(HPBCD)である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. HPBCDのモル置換が、約0.5〜約1.2である請求項5に記載の方法。
  7. 組成物のオキサザホスホリン抗新生物薬含量が、約1〜約1000mg/mlである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記オキサザホスホリン抗新生物薬含量が、約25〜約750mg/mlである請求項7に記載の方法。
  9. 前記オキサザホスホリン抗新生物薬含量が、約50〜約500mg/mlである請求項8に記載の方法。
  10. 前記オキサザホスホリン抗新生物薬含量が、約50mg/mlである請求項9に記載の方法。
  11. 前記オキサザホスホリン抗新生物薬含量が、約500mg/mlである請求項9に記載の方法。
  12. オキサザホスホリン抗新生物薬のメスナに対する比が、質量ベースで、約20:1〜約1:2の範囲内にある請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. オキサザホスホリン抗新生物薬のメスナに対する比が、質量ベースで、約10:1〜約1:1の範囲内にある請求項12に記載の方法。
  14. オキサザホスホリン抗新生物薬のメスナに対する比が、質量ベースで、10:2である請求項13に記載の方法。
  15. オキサザホスホリン抗新生物薬のメスナに対する比が、質量ベースで、10:6である請求項13に記載の方法。
  16. 組成物におけるエーテル化β−シクロデキストリン含量が、約1〜約60%w/vである請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記エーテル化β−シクロデキストリン含量が、約2.5〜約40%w/vである請求項16に記載の方法。
  18. 前記エーテル化β−シクロデキストリン含量が、約5〜約20%w/vである請求項17に記載の方法。
  19. 1種又は2種以上の従来の非経口添加剤を、請求項1の工程i)若しくは請求項1の工程ii)の水溶液、又は請求項1の工程iii)において容量を調整するために使用する水中に導入する請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 得られる水溶液の前記混合物を、殺菌グレードフィルターに通すろ過により殺菌する請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 殺菌グレードフィルターからのろ液を、無菌的に、殺菌容器中へ充填し、及び充填容器をシールする請求項20に記載の方法。
  22. 請求項1に記載され、かつ、実施例のいずれかに関連して先に実質的に記載された方法。
  23. 請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法により得ることが可能な安定性オキサザホスホリン含有組成物。
  24. 請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法により製造された安定性オキサザホスホリン含有組成物。
  25. 悪性疾患治療用薬剤を製造するための、請求項23又は24に記載の安定性オキサザホスホリン含有組成物の使用。
  26. 悪性疾患を治療する方法であって、該疾患に罹患した患者に対して、請求項23又は24に記載の殺菌安定性オキサザホスホリン含有組成物を有効量で投与することを含むことを特徴とする方法。
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