JP2006507356A - ミオスタチンのメタロプロテアーゼ活性化およびミオスタチン活性の調節方法 - Google Patents

ミオスタチンのメタロプロテアーゼ活性化およびミオスタチン活性の調節方法 Download PDF

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Abstract

ミオスタチンプロペプチドのメタロプロテアーゼ開裂により潜在性不活性ミオスタチンが活性型に活性化されることが分かった。したがって、ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を調節する薬剤の、本発明の方法を用いて同定される薬剤としての同定法が提供される。また、別の実施形態において、ミオスタチンプロペプチドのメタロプロテアーゼ媒介開裂を増加または減少することによる、生物中の筋肉生長の調節法も提供される。

Description

本発明は、2003年7月10日付け米国特許出願第60/486,863号、2003年1月9日付け米国特許出願第60/439,164号、および2002年9月16日付け米国特許出願第60/411,133号(これらの各々の全内容は、本明細書中に参考として援用される)の優先権の利益を米国特許法第119条(e)に基づき請求するものである。
本発明の一部はNational Institute of Healthより交付された助成金番号HD35887、AR47746およびGM63471の下で行われた。アメリカ合衆国政府は本発明の一部に権利を有する。
(発明の背景)
(技術分野)
本発明は全体としてミオスタチン活性のメタロプロテアーゼ制御に関し、より具体的には、例えば器官における筋肉の発育を制御するためのメタロプロテアーゼのBMP−1/TLDファミリーのアゴニストまたはアンタゴニストの使用法、このようなメタロプロテアーゼのアゴニストおよびアンタゴニストの同定法、ならびにその様にして同定されたアゴニストおよびアンタゴニストに関する。
(背景情報)
ミオスタチンは骨格筋成長の適切な制御に必須のトランスフォーミング成長因子−β(TFG−β)ファミリーの一員である。ミオスタチンは胚発生の間、および動物の成体において、特に骨格筋系統の細胞で発現する分泌タンパク質であり、低レベルのミオスタチンmRNAがまた動物の成体の脂肪細胞中に存在する。初期胚形成の間に、ミオスタチンmRNAは発育中の体節中の筋板区画内で検出され得る。後期胚期および出生後に、検査した全ての骨格筋中でミオスタチンが広く発現する。
ミオスタチンの機能が、マウスの遺伝子ターゲティング研究で明らかにされた。ミオスタチンを欠くマウスでは、筋線維の増殖と肥大のために骨格筋の量が劇的に広い範囲で増加し、ミオスタチンが筋成長の負の調節因子であることを示している。ミオスタチン遺伝子は進化を通じて高度に保存され、予測される成熟ミオスタチンタンパク質配列は、マウス、ラット、ヒト、ニワトリ、シチメンチョウおよびブタの間で同一であり、水棲生物間に関してはなお相同性が高い。ミオスタチンの機能も保存されており、ミオスタチン遺伝子の突然変異は、ウシの筋肉肥大表現型と関連している。
ミオスタチンの筋肉成長および発生の制御に対する役割を考えれば、ミオスタチン活性を制御する方法および組成物は、例えば、ヒトの疾患の処置、および家畜生産の改良等の広い範囲で適用し得ることがわかる。ヒトの処置への適用では、ミオスタチンの発現または機能のインヒビターが、筋ジストロフィー、悪液質、および筋肉減少症等の筋肉消耗障害の処置で臨床的な恩恵をもたらし得ることを示している。さらに、ミオスタチン欠失動物は脂質蓄積がかなり減少し、ミオスタチンの消失はマウスの遺伝子モデルにおいて肥満およびII型糖尿病の進行を防止する。従って、ミオスタチン活性の調節はまた、肥満およびII型糖尿病等の代謝障害の処置においても有用であり得る。この点に関してさらに、ミオスタチンの発現または機能のインヒビターは、家畜生産効率の増加に有用であるばかりでなく、脂肪含有量のより低い肉の生産ももたらし得る。
ミオスタチンの生物活性を操作するさまざまな戦略が報告されている。ミオスタチンはタンパク質分解処理で「プロペプチド」と呼ばれるN−末端フラグメントと、C−末端フラグメントとを生成する前駆体タンパク質として合成され、そのジスルフィド結合二量体が生物活性種である。ミオスタチン活性を阻害するために現在報告されている戦略では、ミオスタチンC−末端二量体に結合しその活性を阻害し得る分子を利用している。例えば、ミオスタチンは二つのアクチビンII型レセプターActRIIAおよびActRIIBをインビトロで結合し、トランスジェニックマウス中のActRIIBの切断されたドミナントネガティブ型の発現により、トランスジェニックミオスタチンノックアウトマウスと比較して筋肉量の多いマウスが得られた。
ミオスタチンプロペプチドもミオスタチン活性を阻害するために用いられる。タンパク質分解処理後、ミオスタチンプロペプチドはC−末端二量体と非共有的に会合したままであり、二量体を潜在的な不活性状態に保つ。様々なインビトロアッセイで、精製されたミオスタチンC−末端二量体の活性をプロペプチドがブロックすることが知られており、トランスジェニックマウスにおけるプロペプチドの過剰発現の結果、突然変異のないミオスタチンの表現型特性が得られた。フォリスタチンはミオスタチンインヒビターとして作用する別のタンパク質である。フォリスタチンはミオスタチンを含む様々なTGF−βファミリーのメンバーと結合してその活性を阻害し、筋肉内でフォリスタチンを過剰発現するトランスジェニックマウスでは筋肉の成長が劇的に増加し、これはミオスタチン活性の阻害と符合している。
上記のミオスタチンの各インヒビターは成熟したミオスタチンと特異的に相互作用し、その活性を阻害する。タンパク質と直接相互作用する薬剤を用いてミオスタチン等のタンパク質の活性を阻害することは極めて特異的であり、このような方法では阻害効果が現れるために全ての、またはほとんどのタンパク質が薬剤と結合していることが必要である。タンパク質、特に第1のタンパク質が活性であるためにそれ自体が酵素等の第2のタンパク質で活性化される必要があるタンパク質の活性を阻害する代替的な方法は、第2タンパク質を標的とすることである。酵素等の活性化タンパク質がその基質より一般的にはるかに低いレベルで存在するため、このような方法は有利であり得る。従って、酵素等の活性化タンパク質の全て、またはほとんどを阻害し得る可能性が極めて高い。
ミオスタチンに関して言えば、少なくとも2種のプロテアーゼが遺伝子1次生産物であるプロミオスタチンをシグナルペプチド、プロペプチドおよびC−末端フラグメントへ加工することに関連していることが知られおり、その後者がミオスタチンの生物活性を有するホモ二量体を形成する。不運なことに、これらのプロテアーゼはまた、様々な他のタンパク質にも作用し、生物組織に投与した場合、これらのプロテアーゼ、例えばシグナルペプチダーゼを標的とし阻害する薬剤は様々な有害な効果を有する可能性がある。従って、ミオスタチンの活性化と活性の調節により特異的に関与する生物分子を同定する必要がある。本発明はこの必要性を満足し、さらに別な利点を提供するものである。
(発明の要旨)
本発明は、ミオスタチンプロペプチドがミオスタチンC−末端二量体との複合体で存在する場合を含み、ミオスタチンプロペプチドを開裂するプロテアーゼの同定に基づいている。従って、そのプロテアーゼはC−末端ミオスタチンポリペプチドと会合したミオスタチンプロペプチドを含む潜在性不活性ミオスタチン複合体を、筋肉成長と発育の負の調節因子である活性ミオスタチンに変換することができる。タンパク質のメタロプロテアーゼ骨形成タンパク質−1/トロイド(BMP−1/TLD)ファミリーで例示されるこの様なプロテアーゼは、プロテアーゼ活性を増加または減少し得る薬剤に対する標的となり、従ってミオスタチン活性を増加または減少する。従って、本発明はメタロプロテアーゼで媒介されるミオスタチンプロペプチド開裂を調節する薬剤と、この様な薬剤を用いる、例えば生物におけるミオスタチン活性を調節するための使用法を提供する。この様な薬剤の同定法も提供する。
本発明はミオスタチン活性化の調節法に関する。この様な方法は、例えば、ミオスタチンプロペプチドおよびミオスタチンC−末端フラグメント、特にC−末端フラグメント二量体を含む潜在性ミオスタチン複合体を、ミオスタチンプロペプチドを開裂し得るメタロプロテアーゼ、およびメタロプロテアーゼによるプロペプチドのタンパク質分解開裂を増加または減少し得る薬剤と接触させることにより行われ、その結果ミオスタチン活性を調節する。特にプロペプチドが、例えばBMP−1、TLD、トロイド様タンパク質−1(TLL−1)、またはトロイド様タンパク質−2(TLL−2)等のBMP−1/TLDファミリーメンバーを含む潜在性ミオスタチン複合体、特に哺乳動物(m)TLD(mTLD)、mTLL−1およびmTLL−2等の哺乳動物BMP−1/TLDファミリーメンバーを有する場合は、メタロプロテアーゼはミオスタチンプロペプチドを開裂し得る任意のメタロプロテアーゼであってよい。
潜在性ミオスタチン複合体とメタロプロテアーゼとを、例えばメタロプロテアーゼによるプロペプチドのタンパク質分解開裂を増加する薬剤と接触させることにより、ミオスタチン活性化のレベルを増加する(即ち薬剤のない状態におけるミオスタチン活性化レベル以上に)ため;または潜在性ミオスタチン複合体とメタロプロテアーゼとを、例えばメタロプロテアーゼによるプロペプチドのタンパク質分解開裂を減少する薬剤と接触させることによりミオスタチン活性化のレベルを減少(ベースラインレベル以下に)するために、本発明の方法を用いることができる。例えば、培養細胞もしくは組織、細胞抽出物、またはかなり精製されたメタロプロテアーゼおよび/もしくは潜在性ミオスタチン複合体を含むかなり精製された薬剤を用いてインビトロで;またはインビボで、例えば細胞または組織中でその方法を行うことができるが、後者の場合、細胞および組織の何れかは器官中のその場所であるか、または器官から分離されていてもよい(例えば培養液中を含むエキソビボ細胞)。従って、少なくとも潜在性ミオスタチン複合体およびメタロプロテアーゼを含む試料(例えば組織試料および/または生物体液)をインビトロで薬剤と接触させるか、または例えば薬剤を被験体に投与することによりインビボでその方法を行うことができる。
遊離ミオスタチンプロペプチド、潜在性ミオスタチン複合体、およびミオスタチンプロペプチドを開裂し得るメタロプロテアーゼは、細胞内、または細胞外に存在し得る。しかしながら、プロペプチドまたは潜在性ミオスタチン複合体は一般にメタロプロテアーゼと同じ細胞または細胞型中に存在せず、従ってメタロプロテアーゼによるミオスタチンプロペプチドの開裂は、一般にメタロプロテアーゼがプロペプチドと接触することにより細胞外で行われる。従って、薬剤とプロペプチド、複合体および/またはメタロプロテアーゼとの接触は、部分的には薬剤が開裂を調節する方法に依存する。例えば、薬剤がメタロプロテアーゼと結合し、ミオスタチンプロペプチドに対する開裂活性を阻害する様にその立体配座を変化させることが可能である場合は、分泌されたメタロプロテアーゼにはこの様な活性がない様にメタロプロテアーゼを生産する細胞と薬剤とを接触させることができる。または、媒体中で薬剤と接触するとメタロプロテアーゼによるプロペプチドの開裂が減少するか阻害される様に、メタロプロテアーゼが分泌される媒体中(例えば生物の血流中)に薬剤を投与することができる。それと比較して、薬剤が例えばメタロプロテアーゼとプロペプチドとの相互作用を不安定にする様に作用する場合、または薬剤がプロペプチドに対しメタロプロテアーゼの競合的または非競合的インヒビターとして作用する場合、一般にメタロプロテアーゼとプロペプチドが相互作用し易い媒体(例えば血液)とその薬剤を接触させる。
ある実施態様では、薬剤が潜在性ミオスタチン複合体からミオスタチンプロペプチドを開裂するメタロプロテアーゼのタンパク質分解活性を減少させ、その結果、ミオスタチンの活性化を薬剤がない場合に生じるか生じるミオスタチン活性化レベル以下に減少させるか阻害する。この様な薬剤を被験体に投与した場合、その薬剤により被験体内で筋肉量が増加するか、脂肪含有量が減少するか、またはその双方を生じる。被験体はその中でミオスタチンが発現する任意の被験体、特に脊椎動物、例えば食料源として飼育する哺乳動物種(例えばヒツジ、ブタ、またはウシ)、鳥類(ニワトリまたはシチメンチョウ)、または魚類(例えばサケ、マスまたはタラ)等の動物であり得る。被験体はヒト、例えば筋肉疾患(例えば筋失調症またはジストロフィー)に罹患した患者、消耗性疾患(例えば悪液質)に罹患した患者、または病的肥満またはII型糖尿病等の代謝障害に罹患した患者であり得る。他の実施態様では、薬剤は潜在性ミオスタチン複合体由来のミオスタチンプロペプチドを開裂するメタロプロテアーゼのタンパク質分解活性を増加し、薬剤がない場合に生じるか、生じるミオスタチン活性化のレベル以上にミオスタチンの活性化を増加させる。被験体にこの様な薬剤を投与した場合、その薬剤は被験体内で筋肉量を減少させるか、脂肪含有量を増加させるか、またはその両方を生じる。
本発明はまた、被験体内で筋肉量を増加させる方法に関する。この様な方法は例えば、ミオスタチンプロペプチドを開裂するプロテアーゼによるミオスタチンプロペプチドのタンパク質分解開裂を減少させる、または阻害する薬剤を被験体に投与することで行われ、その結果、細胞内で潜在性ミオスタチンの活性化を阻害し、被験体内で筋肉量を増加させる。メタロプロテアーゼは任意のメタロプロテアーゼ、特にBMP−1、mTLD、mTLL−1およびmTLL−2を含むTLD、TLL−1またはTLL−2等のBMP−1/TLDファミリーメンバーである。筋肉量を増加する必要のある被験体は一般に脊椎動物、例えばヒツジ、ブタ、またはウシ等の哺乳動物;ニワトリまたはシチメンチョウ等のトリを含む家畜または飼育動物であるか、魚類であるか、またはヒトである。
本発明はさらに、被験体内の代謝障害を軽減する方法に関する。この様な方法を例えば、ミオスタチンプロペプチドを開裂するプロテアーゼによる、ミオスタチンプロペプチドのタンパク質分解開裂を減少または阻害する薬剤を被験体に投与することにより行うことができ、その結果、細胞内で潜在性ミオスタチンの活性化を阻害し、代謝障害を軽減する。代謝障害はミオスタチンの活性化または活性の増加、または望ましくない活性化または活性と関連する任意の疾患であり、例えば筋ジストロフィー、悪液質(例えば癌または後天性免疫欠損症)または筋肉減少症等の筋肉消耗障害;または病的肥満またはII型糖尿病等の代謝障害が含まれる。代謝障害が軽減される被験体は任意の被験体であり、一般的に脊椎動物の被験体、例えばネコまたはイヌ等の家畜、または食料源として飼育する動物(例えばウシ、ヒツジ、ブタまたは魚)、またはヒトである。一般的に特定の代謝障害を追跡するために用いられる任意のアッセイ、例えば糖尿病に対するグルコース耐性試験、または体脂肪分析のための血清レプチンアッセイで疾患の軽減を同定することができる。
本発明はまた、メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチンプロペプチド開裂、および潜在性ミオスタチンの活性化を調節する薬剤の同定法に関する。例えば、ミオスタチンプロペプチド、ミオスタチンプロペプチドを開裂し得るメタロプロテアーゼ、および試験薬剤をメタロプロテアーゼによるプロペプチドの開裂に十分な条件下で接触させ;試験薬剤がある場合と比較した、試験薬剤がない場合のプロペプチドの開裂量の変化を検出することでこの様なスクリーニング法を行い、その結果、潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を調節する薬剤として試験薬剤を同定することができる。ミオスタチンプロペプチドは単離された形であるか、またはミオスタチンC−末端フラグメントまたはミオスタチンC−末端二量体をさらに含む潜在性ミオスタチンの成分であり得る。
試験薬剤がメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン調節活性を有すると同定された場合、本発明のスクリーニングアッセイには、その薬剤がミオスタチンプロペプチド開裂またはミオスタチン活性化を増加または減少する量を決定する工程がさらに含まれる。例えば、ある薬剤がメタロプロテアーゼのタンパク質分解活性を細胞内レベル以上に増加すると同定された場合、薬剤がミオスタチン活性化を基底レベル以上に増加する量の測定が本発明の方法に含まれる。従って、本発明の方法はメタロプロテアーゼによるミオスタチン活性を様々に調節する薬剤または薬剤のパネルを提供する。この様な方法はさらに、ミオスタチン活性の望ましいレベルを提供するために有用な、特定の薬剤の量を決定する手段を提供する。
試験薬剤との接触によるプロペプチドの開裂量の差を、例えばミオスタチンプロペプチドまたはその開裂生成物をそのサイズ、電荷またはその双方に基づいて検出し得る電気泳動、クロマトグラフィーまたはマススペクトロメトリー等の方法;または無傷のプロペプチドまたは開裂プロペプチドに特異的であるが、無傷および開裂プロペプチドの双方とは結合しない抗体を用いるイムノブロット分析、酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)等の免疫に基づくアッセイ;または例えば無傷のプロペプチドの蛍光は消光するがプロペプチドの開裂により消光が解除される蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイを含む蛍光に基づくアッセイを用いて検出することができる。検出される無傷のミオスタチンプロペプチド、プロペプチド開裂生成物、またはそれらの組み合わせにより、メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチンプロペプチド開裂および潜在性ミオスタチンの活性化を増加または減少する薬剤として、試験薬剤を同定することができる。
インビトロで、または細胞表面上に発現したミオスタチンレセプターへのミオスタチンの結合の変化を検出するか、ミオスタチンレセプターを発現する細胞内でのミオスタチン媒介シグナル伝達の変化を検出して、プロペプチドの開裂量の差を検出することもできる。アッセイが細胞に基づくアッセイである場合、その細胞は内因性ミオスタチンレセプターを発現する細胞、例えばL6筋細胞、またはミオスタチンレセプターをコードする移入遺伝子を発現する細胞、例えばアクチビンII型レセプター等のアクチビンレセプターをコードするポリヌクレオチドで形質転換された細胞であり得る。ミオスタチン媒介シグナル伝達を、ミオスタチンの細胞表面レセプターへの結合からミオスタチンのミオスタチンレセプターへの結合により制御される遺伝子の発現を含む、シグナル伝達経路中の任意のレベルで検出できるが、本発明のスクリーニングアッセイではミオスタチンプロペプチドのメタロプロテアーゼ媒介開裂と、潜在性ミオスタチン複合体の活性化にシグナル伝達が依存する。従って、レセプター結合アッセイを用いるミオスタチンのミオスタチンレセプターへの結合を検出して、または例えば検出可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに随意に結合したTGF−β調節エレメントを含み得る、例えばレポーター遺伝子を含むミオスタチンで制御される遺伝子の発現を検出して、ミオスタチン媒介シグナル伝達を検出することができる。従って、本発明はメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチンプロペプチド開裂およびミオスタチン活性化を調節する薬剤を提供し、その薬剤を本発明のスクリーニングアッセイを用いて同定する。本発明の方法はまた、ある薬剤がメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチンプロペプチド開裂とミオスタチン活性化、必要あれば薬剤の比活性を調節することを確認するために有用である。
本発明はまた、潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を調節する薬剤に関する。その薬剤は潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化のアゴニストまたはアンタゴニストであり、潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を減少または阻害し得るか、または増加し得る。潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を調節する薬剤は、例えばペプチド化合物、ポリヌクレオチド化合物、抗体化合物、または小さい有機分子化合物を含む任意の型の分子であり得る。
潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を調節する薬剤の例は、本明細書ではペプチド化合物である。ペプチド化合物には例えばミオスタチンポリペプチドのペプチド部分、またはこの様なミオスタチンのペプチド部分の誘導体を含み得る。ある実施態様では、ミオスタチンのペプチド部分の誘導体はミオスタチンプロペプチドに対応するペプチドである。本実施態様のある態様では、誘導体はメタロプロテアーゼ開裂部位の突然変異、例えば開裂部位における、または開裂部位に十分に近い部位でのアミノ酸の置換、欠失または挿入を有し、ペプチド化合物に対するメタロプロテアーゼの開裂活性が増加または減少したプロペプチドである。本実施態様の他の態様では、ミオスタチンのペプチド部分の誘導体は潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を減少または阻害するペプチドである。潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を調節する薬剤は、第2分子に作動可能に結合することが可能で、それにより薬剤の作用または活性を増大するか、または特定の環境における薬剤の安定性を増加または減少する。例えば、ペプチド化合物が抗体分子のFcドメイン等のポリペプチドに作動可能に結合して安定化され、その結果ペプチド化合物の半減期がインビボで増加する。
(発明の詳細な説明)
本発明はプロペプチドがミオスタチンC−末端二量体との複合体中に存在する場合、およびそれにより潜在性不活性ミオスタチン複合体を活性ミオスタチンへ変換する場合を含み、ミオスタチンプロペプチドを開裂するプロテアーゼの同定に基づいている。この様なミオスタチンプロペプチド開裂活性を有するプロテアーゼの例は、タンパク質のメタロプロテアーゼ由来骨形成タンパク質−1/トロイド(BMP−1/TLD)ファミリーである。従って、プロテアーゼ活性を増加または減少し得る、またはプロテアーゼで媒介されるミオスタチンプロペプチド開裂を増加または減少し、従ってミオスタチン活性を増加または減少し得る薬剤を同定するための標的と薬剤をプロテアーゼが提供する。
ミオスタチン(成長分化因子−8;GDF−8)はプレタンパク質であるプロミオスタチンとして発現し、シグナルペプチド(アミノ酸残基数約1〜20)、ミオスタチンプロペプチドドメイン(アミノ酸残基数約20〜262または263)、およびミオスタチンC−末端ドメイン(アミノ酸残基数約267または268〜375)を含む。プロミオスタチンポリペプチドおよびそれをコードするポリヌクレオチドは進化で高度に保存されている(McPherronおよびLee、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、94:12457、1997;GenBank寄託番号AF019619、AF019620、AF019621、AF019622、AF019623、AF019624、AF019625、AF019626およびAF019627;米国特許第5,994,618号参照、それぞれを本明細書中に参考として援用する)。プロミオスタチンポリヌクレオチドおよびそれによりコードされるポリペプチドの本明細書の例は、ヒトプロミオスタチン(配列番号1および2;プロペプチドはアミノ酸残基数約20〜263である)、ウシプロミオスタチン(配列番号3および4;プロペプチドはアミノ酸残基数約20〜262である)、ニワトリプロミオスタチン(配列番号5および6;プロペプチドはアミノ酸残基数約20〜262である)、およびゼブラフィッシュプロミオスタチン(配列番号7および8;プロペプチドはアミノ酸残基数約20〜262である)である。
ミオスタチンは2回のタンパク質分解開裂工程−第1のシグナル配列の除去(最初の約20個のN−末端アミノ酸残基;例えば配列番号2参照)および第2の4塩基加工部位(プロミオスタチンの約263〜266アミノ酸残基における)の除去−で活性化され、26kDaのN−末端プロペプチド(アミノ酸残基約20〜262または263)、および12.5kDaのC−末端ペプチド(アミノ酸残基約266または267からC−末端)が生成するが、C−末端ペプチドの二量体は生物活性を有する。細胞から分泌されると、残っているミオスタチンプロペプチドへの結合によりミオスタチンC−末端二量体は潜在性不活性状態に保たれる(LeeおよびMcPherron、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA98:9306−9311、2001参照、本明細書中に参考として援用する)。成熟マウスの血液中の循環する潜在性ミオスタチン複合体は酸処理によりインビトロで活性化することができる(Zimmersら、Science、296:1486−1488、2002、本明細書中に参考として援用する)。
ミオスタチン遺伝子がノックアウトされたマウスでは筋肉量が増加し、野生型の同腹マウスと比較して加齢に伴う脂肪蓄積のかなりの減少を示す(McPherronおよびLee、J.Clin.Invest.109:595−601、2002、本明細書中に参考として援用する)。逆に、生体内のミオスタチンの過剰発現により、筋肉消耗症候群である悪液質に特徴的な兆候と症候を示す(Zimmersら、上記、2002)。循環ミオスタチンレベルが増加したマウスで観察された筋肉消耗は、ミオスタチンプロペプチドおよびフォリスタチン等のミオスタチン結合薬剤をマウスに導入することで部分的に反転することができる(Zimmersら、上記、2002)。これらの結果は、観察された筋肉消耗がミオスタチンの増加によるものであることを確認し、活性ミオスタチンのレベルを減少する、またはミオスタチン活性を減少または阻害する方法が筋肉消耗を軽減するために有用であることを示した。魚およびヒトの様に全く異なった種間のミオスタチンの高度に保存される性質から見て、これらの結果は、例えば癌、後天性免疫不全症候群(AIDS)および敗血症の他、筋ジストロフィー等の神経筋不全等のヒトの様々な疾患と関連した悪液質にミオスタチンが関与していることを示すものである(Gonzalez−Kadavidら、Proc.Natl.Acad.Med.、USA95:14938−14943、1998、本明細書中に参考として援用する)。
適切な骨格筋機能も、正常なグルコース代謝の維持に関連し、インスリン刺激グルコース取り込みに耐性の骨格筋は非インスリン依存性(II型)糖尿病の最も初期の徴候である(McPherronおよびLee、上記、2002参照)。肥満と糖尿病の2つのマウスモデルでは、ミオスタチンの消失が加齢に伴う脂肪組織量の増加を阻止し、マウスモデルにおける肥満および糖尿表現型を減少させた(McPherronおよびLee、上記、2002参照)。従って、ミオスタチン活性を調節する方法も個体中の体脂肪を減少し、異常な筋肉機能または肥満、例えばII型糖尿病を処置するために有用である。
本明細書に開示する様に、遊離型またはミオスタチンC−末端二量体との複合体の一部の何れかであるミオスタチンプロペプチドを、メタロプロテアーゼのBMP−1/TLDファミリーのメンバーで開裂することが可能で、このような開裂によりプロペプチドの阻害効果からミオスタチンC−末端二量体を開放し、活性ミオスタチンを生成する。従って、BMP−1/TLDプロテアーゼはミオスタチン活性を調節し、従って筋肉量を増加または減少するか、または生物の肥満を阻止し得る薬剤の標的を提供する。従って、メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチンペプチド開裂を調節し、潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を調節する薬剤の同定法を本発明は提供する。
本発明のスクリーニング法を例えばミオスタチンプロペプチド、ミオスタチンプロペプチドを開裂し得るメタロプロテアーゼ、および試験薬剤を、メタロプロテアーゼでミオスタチンプロペプチドを開裂するに十分な条件下で接触させ;薬剤が存在する場合と比較して薬剤が存在しない場合のプロペプチドの開裂量の変化を検出することにより行い、その結果、試験薬剤をメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチンプロペプチド開裂を調節する薬剤として同定することができる。ミオスタチンプロペプチドは単離された形でも、ミオスタチンC−末端フラグメントまたはミオスタチンC−末端二量体をさらに含む潜在性ミオスタチン複合体の成分であってもよい。
本発明のスクリーニングアッセイに従って試験したメタロプロテアーゼは、ミオスタチンプロペプチドがC−末端ミオスタチンフラグメントまたはその二量体を有する潜在性ミオスタチン複合体中にある場合に、それを開裂する任意のプロテアーゼであり、潜在性ミオスタチン複合体から活性ミオスタチンを生成する。この様なメタロプロテアーゼの例はメタロプロテアーゼのBMP−1/TLDファミリーであり、4種の哺乳動物タンパク質であるBMP−1(Wozneyら、Science242:1528−1534、1988)、哺乳動物トロイド(mTLD;Takaharaら、J.Biol.Chem.269:32572−32578,1994)、哺乳動物トロイド様−1(mTLL−1;Takararaら、Genomics34:157−165,1996)および哺乳動物トロイド様−2(mTLL−2;Scottら、Devel.Biol.213:283−300,1999)が含まれる。一方、メタロプロテアーゼのBMP−1/TLDファミリーはタンパク質のより大きいファミリーであるアスタチンのメンバーであり、例えばアフリカツメガエル(キソロイド;UVS.2)、魚(コリオリジンHおよびL;ゼブラフィッシュトロイド)、ウニ(BP−10およびSpAN)、およびヒドラ(HMP−1;例えばLiら、Proc.Natl.Acad.Sci.93:5127−5130、1996、本明細書中に参考として援用する)を含む様々な脊椎動物および非脊椎動物中で発現するプロテアーゼが含まれる。従って、本発明のスクリーニングアッセイを任意の様々なメタロプロテアーゼを用いて実施することが可能であり、従って様々な異なった生物中でミオスタチン活性化を調節するために有用である薬剤を同定することができる。
BMP−1およびmTLDは単一遺伝子由来の選択的にスプライスされたmRNAでコードされる(Takaharaら、上記、1994)が、mTLL−1およびmTLL−2は一定の遺伝子でコードされる。プロテアーゼのBMP−1/TLDファミリーは少なくとも3クラスの基質の活性の制御にある役割を有することが知られている。まず、BMP−1、mTLDおよびmTLL−1はプロコラーゲン前駆体を、細胞外マトリックス中に通常存在する多量体線維に組み立てるのに必要な成熟単量体に加工することができる(Kesslerら、Science271:360−362,1996;Liら、上記、1996)。第二に、BMP−1、mTLD、mTLL−1およびmTLL−2の各々は、プロリジルオキシダーゼを成熟した生物活性酵素に加工することができる(Uzelら、J.Biol.Chem.276:22537−22543、2001)。第三に、BMP−1およびmTLL−1は通常TGF−βスーパーファミリーのBMPサブグループのさまざまなメンバーを結合し、それらを潜在状態に保つ、コルジン(Scottら,上記、1991)を開裂することができる(Bladerら、Science278:1937−1940、1997;Marquesら、Cell91:417−26、1997;Piccoloら、Cell91:407−416,1997)。これらのメタロプロテアーゼによるコルジンの開裂により、BMPがコルジンの阻害効果から開放される。従って、BMP−1およびTLL−1は様々な形成過程中にBMPの効果を調節する役割を有すると考えられている。本明細書に開示する様に、BMP−1、mTLD、mTLL−1およびmTLL−2を含むBMP−1/TLDファミリーのメンバーも、遊離型またはミオスタチンC−末端二量体(潜在性ミオスタチン複合体)に結合したミオスタチンプロペプチドを開裂することが可能であり、プロペプチドの開裂によりミオスタチンC−末端二量体が活性化される(実施例1および2参照)。
本発明の方法により検討し得る試験薬剤は、例えばペプチド、ペプチドヒドロキサメートまたはホスフィンペプチド等のペプチド誘導体、ペプトイド、ポリヌクレオチド、または小さい有機分子を含む任意のタイプの分子であってよい(実施例3参照)。従って、用語「試験薬剤」は本明細書では、メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチンプロペプチド開裂またはミオスタチン活性化に関してアゴニストまたはアンタゴニスト活性が検討される任意の化合物を広く意味する様に使用される。この方法は一般的に作動薬剤または拮抗薬剤として作用する、今までに未知の分子(試験薬剤)を同定するためのスクリーニングアッセイとして使用されるが、実際に特定の活性を有することが知られている薬剤が、例えば薬剤を安定化する活性を有することを確認するため;またはこの様な既知の薬剤の誘導体その他の修飾型、および模倣型をスクリーニングするためにこの方法を使用することができる。
本発明のスクリーニング法はハイスループットの分析に簡便に適合され得、従って、ミオスタチンプロペプチドのメタロプロテアーゼ媒介開裂、従ってミオスタチン活性を調節し得るランダム試験薬剤、バイアス試験薬剤またはまだら(variegated)試験薬剤のライブラリーである試験薬剤のコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングに使用することができる(例えば米国特許第5,571,698号参照、本明細書中に参考として援用する)。所望の活性を試験し得る分子のコンビナトリアルライブラリーの調製法、例えばペプチドのファージディスプレイライブラリーの作成法は公知であり、それらは限定ペプチド(例えば米国特許第5,622,699号、同第5,206,347号;ScottおよびSmith、Science 249、386−390、1922;Marklandら、Gene 109:13−19、1991;それぞれ本明細書中に参考として援用するを参照);ペプチドライブラリー(米国特許第5,264,563号、本明細書中に参考として援用する);ヒドロキサメート化合物ライブラリー、逆ヒドロキサメート化合物ライブラリー、カルボキシレート化合物ライブラリー、チオール化合物ライブラリー、ホスフィンペプチドライブラリー、またはホスホネート化合物ライブラリーのようなペプチド誘導体化合物のライブラリー(例えばDiveら、Biochem.Soc.Trans.28:455−460,2000;YeおよびMarshall、Peptides:The Wave of Future(LeblおよびHoughten編集;American Peptide Society、2001)、これらの各々を本明細書中に参考として援用する);ペプチド模倣物ライブラリー(Blondelleら、Trends Anal.Chem.14:83−92、1995、本明細書中に参考として援用する);核酸ライブラリー(O‘Connellら、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA 93:5883−5887、1996;TuerkおよびGold、Science 249:505−510、1990;Goldら、Ann.Rev.Biochem.64:763−797、1995、それぞれ本明細書中に参考として援用する)、オリゴサッカライドライブラリー(Yorkら、Carb.Res.285:99−128、1996;Liangら、Science 274:1520−1522、1996;Dingら、Adv.Expt.Med.Biol.376:261−269、1995;それぞれ本明細書中に参考として援用する)、リポタンパク質ライブラリー(de Kruifら、FEBS Lett.399:232−236、1996、本明細書中に参考として援用する);糖タンパク質または糖脂質ライブラリー(Karaogluら、J.Cell Biol.130:567−577,1995、本明細書中に参考として援用する);あるいは、例えば薬剤またはその他の医薬品を含む化学ライブラリー(Gordonら、J.Med.Chem.37:1385−1401、1994;EckerおよびGrooke、BioTechnology 13:351−360、1995;本明細書中に参考として援用する)である。
ポリヌクレオチドはメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチンプロペプチド開裂またはミオスタチン活性化を調節し得る薬剤として特に有用であるが、その理由は細胞ポリペプチドを含む細胞標的に対し結合特異性を有する核酸分子が天然に存在し、この様な特異性を有する合成分子を容易に調製して同定できるからである(例えば米国特許第5,750,342参照、本明細書中に参考として援用する)。用語「ポリヌクレオチド」は本明細書で広く使用され、ホスホジエステル結合で結合した少なくとも2個のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを意味する。従って、用語「ポリヌクレオチド」には遺伝子またはその一部であるRNAおよびDNA、cDNA、合成ポリデオキシリボ核酸配列等が含まれ、それらは単鎖または二重鎖の他、DNA/RNAハイブリッドである。ポリヌクレオチドは細胞から単離し得る天然起源核酸分子、または例えば化学合成法またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の酵素法により調製し得る合成分子であってもよい。
ポリヌクレオチド試薬(または試験薬剤)にはヌクレオシドまたはヌクレオチドアナログ、またはホスホジエステル結合以外の骨格結合を含み得る。一般に、ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは2’−デオキシリボースに結合したアデニン、シトシン、グアニンまたはチミン等の天然起源デオキシポリヌクレオチド、またはリボースに結合したアデニン、シトシン、グアニンまたはウラシル等のリボヌクレオチドを含む。しかしながら、ポリヌクレオチドは非天然起源合成ヌクレオチドまたは修飾天然起源ヌクレオチドを含むヌクレオチドアナログも含み得る。この様なヌクレオチドアナログは周知であり、この様なヌクレオチドアナログを含むポリヌクレオチドとして市販されている(Linら、Nucl.Acids Res.22:5220−5234,1994;Jellinekら、Biochemistry 34:11363−11372、1995;Pagratisら、Nature Biotechnol.15:68−73,1997、それぞれ本明細書中に参考として援用する)。
ポリヌクレオチドのヌクレオチドを結合する共有結合は一般にホスホジエステル結合である。しかしながら、その共有結合はジチオエステル結合、ホスホロチオエート結合、ペプチド様結合、またはヌクレオチドを結合して合成ポリヌクレオチドを生成するために有用であるとして公知の任意の他の結合を含む様々な任意の他の結合であってもよい(例えばTamら、Nucl.Acid Res.22:977−986,1994;EckerおよびCrooke、BioTechnology 13:351360,1995、それぞれを本明細書中に参考として援用する)。ヌクレオチドまたはアナログを結合する非天然起源ヌクレオチドアナログまたは結合を含むことは、例えば組織培養培地または生体に投与した場合を含む、核酸分解活性を含み得る環境にポリヌクレオチドが晒される場合、修飾ポリヌクレオチドが分解を受け難いので、特に有用である。
天然起源ヌクレオチドおよびホスホジエステル結合を有するポリヌクレオチドを化学合成するか、または適当なポリヌクレオチドを鋳型として用いる組み換えDNA法を用いて製造することができる。比較として、ヌクレオチドアナログまたはホスホジエステル結合以外の共有結合を有するポリヌクレオチドは一般に化学合成されるが、T7ポリメラーゼ等の酵素はあるタイプのヌクレオチドアナログをポリヌクレオチド中に取り込むことが可能で、従ってこの様なポリヌクレオチドを適当な鋳型から組み換えで製造するために使用し得る(Jellinekら、上記、1995)。
同様に、本明細書に例示するペプチド(実施例3および4参照)はメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化を調節する薬剤として、またはこのような活性をスクリーニングするための試験薬剤として有用であり得る。ペプチド試薬(または試験ペプチド)は少なくとも1種のD−アミノ酸および/もしくはL−アミノ酸;ならびに/または少なくとも1種のアミノ酸アナログ、例えばその反応性側鎖で誘導体化または修飾されたアミノ酸を含むことができる。さらに、ペプチド中の少なくとも1個のペプチド結合を修飾し、アミノ末端またはカルボキシ末端、または両者を修飾することができる。D−アミノ酸またはL−アミノ酸アナログを含むペプチド等はプロテアーゼ、酸化剤またはペプチドが生物環境中で遭遇し得る他の反応性物質に対する安定性が改良されており、従って本明細書に開示するメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化の調節法を行う上で特に有用であり得る。本明細書に開示されるように、ペプチド試薬の安定性も、インビボでペプチド試薬の半減期を増加するペプチドおよび第2ペプチド(例えば、抗体のFcドメイン)を有する融合タンパク質を生成(結合)することにより改善し得る(実施例4参照;また本明細書中に参考として援用する米国出願公報US2003/0104406A1号参照)。ペプチドはまた、必要であれば生物環境中で安定性が減少する様に修飾し、環境中でペプチドが活性である期間を減少することもできる。
試験試薬はミオスタチンプロペプチドを開裂するメタロプロテアーゼの少なくとも1個のエピトープ、またはプロペプチドのエピトープに対し生成し、エピトープに特異的に結合する抗体であってもよく、プロペプチドは単離プロペプチドまたは潜在性ミオスタチン複合体のプロペプチド成分、またはメタロプロテアーゼとプロペプチドとの複合体である。本明細書で用いる用語「抗体」は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の他、この様な抗体の抗原結合フラグメントを含む最も広い意味で使用される。抗体に関連して使用される場合、用語「特異的に結合する」または「特異的結合活性」等は、抗体と特定のエピトープとの相互作用が少なくとも約1×10−6M、一般に少なくとも約1×10−7M、通常少なくとも約1×10−8M、特に少なくとも約1×10−9Mまたは1×10−10M以下の解離定数を有することを意味する。従って、特異的結合活性を保持する、抗体のFab、F(ab’)、FdおよびFvフラグメントが抗体の定義中に含まれる。特定のエピトープを特異的に結合することに加えて、抗体試薬はミオスタチンプロペプチドに対するメタロプロテアーゼのプロテアーゼ開裂活性を、この様な活性の増加または減少を含んで調節する。
本明細書で用いる用語「抗体」には天然起源抗体の他、例えば単鎖抗体、キメラ抗体、2官能性抗体およびヒト化抗体を含む型非天然起源抗体、ならびにその抗原結合フラグメントも含まれる。この様な非天然起源抗体を固相ペプチド合成を用いて構築でき、組み換えで製造、または例えば可変重鎖および可変軽鎖からなるコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングして得ることができる(Huseら、Science 246:1275−1281、1989参照、本明細書中に参考として援用する)。例えばキメラ抗体、ヒト化抗体、CDR−グラフト化抗体、単鎖抗体、および2官能性抗体のこれらの、および他の製造法は公知である(WinterおよびHarris、Immunol.Today 14:243−246,1993;Wardら、Nature 341:544−546,1989;HarlowおよびLane、Antibodies:A laboratory manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);Hilyardら、Protein Engineering:A practical approach(IRL Press 1992);Borrabeck、Antibody Engineering、第2版(Oxford University Press 1995);それぞれ本明細書中に参考として援用する)。
ミオスタチンプロペプチドまたはメタロプロテアーゼ、特にBMP−1/TLDファミリーメンバーのペプチド部分を用いて動物を免疫して、試験試薬抗体のパネルを簡便に
得ることできる。プロペプチドまたはメタロプロテアーゼのこの様なペプチド部分が非免疫原性である場合、ウシ血清アルブミン(BSA)またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)等のキャリア分子にハプテンを結合して、またはペプチド部分を融合タンパク質として発現してペプチドを免疫原性とすることができる。様々な他のキャリア分子、およびハプテンをキャリア分子に結合する方法は当該分野で周知である(例えば、HarlowおよびLane、上記、1999参照)。例えばウサギ、ヤギ、マウスまたは他の動物中でポリクローナル抗体を生成する方法は当該分野で周知である(例えばGreenら、「Production of Polyclonal Antibody」Immunochemical Protocols(Manson編集、Humana Press 1992)、p1−5;Coliganら、「Production of Polyclonal Antisera in Rabbit,Rat,Mice and Mansters」Curr.Protocols Immunol.(1992),2.4.1節参照;それぞれ本明細書中に参考として援用する)。さらに、公知で当該分野で周知かつ慣用的な方法を用いてモノクローナル抗体を得ることができる(例えば、KohlerおよびMilstein、Nature 256:495、1975参照、本明細書中に参考として援用する;またHarlowおよびLane、上記、1999参照)。例えば、ミオスタチンレセプターで免疫したマウス由来の脾臓細胞、またはそのエピトープフラグメントをSP/02骨髄腫細胞等の適当な骨髄腫細胞株と融合し、ハイブリドーマ細胞を作成することができる。クローン化したハイブリドーマ細胞株を標識抗原を用いてスクリーニングし、適当な特異性を有するモノクローナル抗体を分泌するクローンを同定し、所望の特異性と親和性を有する抗体を発現するハイブリドーマを単離して継続的な抗体源として使用することができる。例えばミオスタチンプロペプチドのメタロプロテアーゼ媒介開裂を調節する単鎖抗体を発現する組み換えファージも、標準化キット調製用に使用し得る抗体を提供する。
例えばプロテインAセファロースゲルによるアフィニティクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーを含む確立した技術を用いて、モノクローナル抗体をハイブリドーマ培養物から単離精製することができる(Coliganら、上記、1992、2.7.1−2.7.12節および2.9.1−2.9.3節参照;また、Barnesら「Purification of Immuniglobulin G(IgG)」Meth.Molec.Biol.10:79−104(Humana Press 1992)参照;本明細書中に参考として援用する)。モノクローナル抗体のインビトロおよびインビボでの増幅法は当該分野で周知である。必要に応じて、ウシ胎児血清または微量元素、および正常マウス腹腔滲出細胞、脾臓細胞、骨髄マクロファージ等の生育維持補充剤を補充したダルベッコ改変イーグル培地またはRPMI1640培地等の適当な培養培地中で、インビトロ増幅を行うことができる。インビトロ生産により、比較的純粋な抗体調製物が提供され、スケールアップで大量の所望の抗体を得ることができる。エアーリフト反応器中の均一懸濁培養、連続攪拌反応器中または固定化または捕捉細胞培養により、大量ハイブリドーマ生産を行うことができる。細胞クローンを例えば同系マウス等の親細胞と組織適合性の動物中に注入して抗体生産腫瘍を成長させ、インビボ増幅を行うことができる。必要に応じて、注入前に動物を炭化水素、特にプリスタン(テトラメチルペンタデカン)でプラミングする。1〜3週間後に、所望のモノクローナル抗体が動物の体液から回収される。
本発明のスクリーニングアッセイに従って同定される抗体の処置への適用も提供される。処置方法がヒトの患者の処置である場合、抗体は類人猿霊長類抗体由来であってもよい(例えばGoldenbergら、国際公開公報WO91/11465,1991;およびLosmanら、Intl.J.Cancer 46:310,1990参照、それぞれ本明細書中に参考として援用する)。ヒトの処置用の治療上有用な抗体も、「ヒト化」モノクローナル抗体から誘導することができる。マウス免疫グロブリンの重鎖および軽鎖可変領域由来のマウス相補性決定領域をヒト可変領域中に移送し、マウスに対応する部分の骨格領域中のヒトの残基を置換することにより、ヒト化モノクローナル抗体が生産される。ヒト化モノクローナル抗体由来の抗体成分の使用により、マウス不変領域の免疫原性に関連した潜在性な問題を防止する。マウス免疫グロブリン可変ドメインをクローニングする一般的な技術は公知である(例えばOrlandiら、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA 86:3833,1989参照;全文を本明細書中に参考として援用する)。ヒト化モノクローナル抗体の製造技術も公知である(例えばJonesら、Nature 321:522,1986;Riechmannら、Nature 332;323、1988;Verhoeyenら、Science 239:1534、1988;Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA 89:4285,1992;Sandhu、Crit.Rev.Biotechnol.12:437,1992;およびSingerら、J.Immunol.150:2844、1993参照;それぞれを本明細書中に参考として援用する)。または、コンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーから単離されたヒト抗体フラグメントから、抗体を誘導することができる(例えばBarbasら、METHODS:A Comparison in Immunology 2:119,1991;Winterら、Ann.Rev.Immunol.12:433,1994参照;それぞれを本明細書中に参考として援用する)。
例えば抗原チャレンジに反応して特異性ヒト抗体を生産するために遺伝的に修飾されたヒトモノクローナル抗体から、抗体を誘導することもできる。この技術では、ヒト重鎖および軽鎖部位の要素が、内因性重鎖および軽鎖部位の標的破壊を含む胚幹細胞株由来のマウス種に導入される。トランスジェニックマウスはヒト抗原特異性ヒト抗体を合成することが可能で、そのマウスをヒト抗体分泌ハイブリドーマを製造するために使用できる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得る方法は周知であり(例えばGreenら、Nature Genet.7:13、1994;Lonbergら、Nature 368:856,1994;およびTaylorら,Int.Immunol.6:579,1994参照;それぞれを本明細書中に参考として援用する)、市販のヒト抗体も入手できる(Abgenix、Inc.、Fremont、CA)。
抗体のタンパク質加水分解またはそのフラグメントをコードするDNAのE.coli中の発現抗体により、抗体の抗原結合フラグメントを調製することができる。従来の方法による全抗体のペプシンまたはパパイン消化により、抗体フラグメントを得ることができる。例えば、ペプシンによる抗体の酵素開裂により抗体フラグメントを製造し、5Sフラグメント、F(ab’)が得られる。チオール還元試薬、必要に応じて、スルフヒドリル基に対するブロック基を用いてこのフラグメントをさらに開裂し、3.5S Fab’1価フラグメントを製造することができる。または、ペプシンを用いる酵素開裂により、2個の1価Fab’フラグメントと1個のFcフラグメントを直接製造する(例えばGoldenberg、米国特許第4,036,945号および同第4,331,647号;それぞれ本明細書中に参考として援用する;およびその中の参考文献:Nisonhoffら、Arch.Biochem.Biophys.89:230,1960;Porter、Biochem.J.73:119,1959;Edelmanら、Meth.Enzymol.1:422(Academic Press、1967);それぞれ本明細書中に参考として援用する;またColigenら、上記、1922、2.8.1−2.8.10節および2.10.1−2.10.4節参照)。
フラグメントが無傷の抗体で認識される抗原に特異的に結合する場合、重鎖を1価軽鎖/重鎖フラグメントから分離、フラグメントをさらに開裂、またはその他酵素的、化学的または遺伝技術等の抗体を開裂する他の方法も使用される。例えば、FvフラグメントにはV鎖およびV鎖の会合が含まれるが、この会合は非共有結合である(Inbarら、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA 69:2659,1972)。または、可変鎖を分子間ジスルフィド結合で結合するか、またはグルタルアルデヒド等の薬品で架橋する(Sandhu、上記、1992)。Fvフラグメントがペプチドリンカーで結合したV鎖およびV鎖を有することが好ましい。これらの単鎖抗原結合タンパク質(sF)は、オリゴヌクレオチドで結合したVドメインおよびVドメインをコードするDNA配列を有する構造遺伝子を構築することにより調製される。構造遺伝子を発現ベクター中に挿入し、それを次にE.coli等の宿主細胞中へ導入する。組み換え宿主細胞は二つのVドメインを架橋するリンカーペプチドを有する単一ポリペプチド鎖を合成する。sFvsの製造法は、例えばWhitlowら、METHODS:A Comparison to Mehtods in Enzymology 2:97,1991;Birdら、Science 242:423−426、1988;Ladnerら、米国特許第4,946,778号;Packら、BioTechnology 11:1271−1277、1993に記載され、それぞれを本明細書中に参考として援用する:Sandhu、上記、1992も参照。抗体フラグメントの他の形は単一相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRペプチド(「最小認識ユニット」)が、関連する抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することにより得られる。例えば抗体生産細胞のRNA由来の可変領域を合成するためのポリメラーゼ連鎖反応を用いて、この様な遺伝子を調製する(例えばLarrickら、METHODS:A Comparison Enzymology 2:106,1991参照;本明細書中に参考として援用する)。
例えばミオスタチンプロペプチドまたはその開裂生成物をサイズ、電荷またはその両方に基づく電気泳動、クロマトグラフィーまたはマススペクトロメトリー(例えばThiesら、Growth Factors 18:251−259,2001参照;本明細書中に参考として援用する);無傷のプロペプチドまたは開裂したプロペプチドに対し抗体特異性であるが、両方に対して特異性でないことを利用する酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA);または例えば無傷のプロペプチドの蛍光は消光し、プロペプチドの開裂により消光が解消する蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイ等の方法を用いてプロペプチドおよび/またはプロペプチドの開裂生成物を検出することにより、試験薬剤との接触によるプロペプチドの開裂量の差を検出できる。試験薬剤がない場合の開裂生成物の量と比較して、試験薬剤の存在で(または試験薬剤との接触後に)プロペプチドの開裂生成物の量の増加が検出された場合、その試験薬剤は潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を増加し得る薬剤であると同定される。同様に、試験薬剤がない場合のプロペプチドの量と比較して、試験薬剤の存在で(または試験薬剤との接触後に)プロペプチドの量の減少が検出された場合、その試験薬剤は潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を増加し得る薬剤であると同定される。逆に、試験薬剤がない場合の開裂生成物の量と比較して、試験薬剤の存在で(または試験薬剤との接触後に)プロペプチドの開裂生成物の量の減少が検出された場合、その試験薬剤は潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を減少し得る薬剤であると同定される。試験薬剤がない場合のプロペプチドの量と比較して、試験薬剤の存在で(または試験薬剤との接触後に)より多くのプロペプチドの量が検出された場合、その試験薬剤は潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を減少し得る薬剤であると同定される。細胞に基づくアッセイまたは動物アッセイを用いて、例えば薬剤によるミオスタチン媒介シグナル伝達活性の変化を検出することにより、この様な活性を確認することができる。
ミオスタチンのミオスタチンレセプターへの結合の変化を検出して、またはミオスタチンレセプターを発現する細胞内のミオスタチン媒介シグナル伝達の変化を検出して、プロペプチドの開裂量の差を検出することもできる。本発明のスクリーニングアッセイを行うために有用な細胞は、例えば哺乳動物、鳥、魚、酵母またはショウジョウバエ由来の細胞である。この様な機能性アッセイは、試験薬剤がメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化を直接示すことができる。この様な方法に有用な細胞は、内因性ミオスタチンレセプターを発現する細胞例えばL6単核細胞であるか、または一時的または安定的に遺伝的に修飾されてミオスタチンレセプター、例えばアクチビンII型レセプター等のアクチビンレセプターをコードする導入遺伝子を発現する細胞である(Thiesら、上記、2001)。細胞表面レセプターへのミオスタチンの結合からミオスタチンで制御される遺伝子の発現まで、ミオスタチン媒介シグナル伝達をシグナル伝達経路の任意のレベルで検出できるが、この方法は本発明のスクリーニングアッセイではミオスタチンプロペプチドのメタロプロテアーゼ媒介開裂およびミオスタチン活性化に依存している。
メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化と、その結果としてのミオスタチン媒介シグナル伝達を、インビボアッセイまたは細胞に基づくアッセイである、レセプター結合アッセイを用いるミオスタチンレセプターへのミオスタチンの結合を測定して検出することができる。メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化と、その結果としてのミオスタチン媒介シグナル伝達を、例えば検出可能なラベルをコードするポリヌクレオチドに作動可能に結合するTGF−β調節エレメントを有するレポーター遺伝子である、ミオスタチンで制御される遺伝子の発現を測定して検出することもできる。例えばレポーター遺伝子配列のRNA転写を検出して、またはレポーター遺伝子でコードされるポリペプチドまたはコードされたポリペプチドの活性を検出して、レポーター遺伝子の発現を検出することができる。ポリペプチドレポーターは例えばβ−ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、アデノシンデアミナーゼ、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、葉酸ジヒドロレダクターゼ、ハイグロマイシン−β−ホスホトランスフェラーゼ、チミジンキナーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、またはキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼであり,例えば放射能、燐光、化学発光、蛍光、酵素活性またはレポーターポリペプチドによる特異的結合、またはレポーターポリペプチドを発現する細胞の選択培地中の生存率を検出してポリペプチドレポーターを検出することができる。ミオスタチンレポーターをコードするポリヌクレオチドまたはレポーター遺伝子等の導入遺伝子を、導入遺伝子でコードされるポリペプチドを発現し得る条件下で導入する方法は、本明細書に開示されるか、当該分野で周知である。
一般に、少なくとも1個の転写要素、必要に応じて、転写調節エレメントに作動可能に結合するレポーターポリペプチドまたはポリペプチドをコードし、ベクター、特に発現ベクターに含まれるコード配列がレポーター遺伝子に含まれる。必要あれば、ニッケルイオン、コバルトイオン等の2価イオンを用いて検出できるHis−6タグ等の作動可能に結合したペプチドタグ;抗FLAG抗体を用いて検出できるFLAGエピトープ(例えばHoppら、BioTechnology 6:1204,1988;米国特許第5,011,912号参照;それぞれを本明細書中に参考として援用する);特異的抗エピトープ抗体を用いて検出できるc−mycエピトープ;ストレプタビンまたはアビジンを用いて検出できるビオチン;グルタチオンを用いて検出できるグルタチオンS−トランスフェラーゼ;またはプロテインAまたは抗Fc抗体を用いて検出できる抗体のFcドメインをコード配列がさらにコードすることができる。それらは何れも検出可能にラベルされているか、または固体支持体に固定化されているか、または第2抗体を用いて検出されるが、必ずしもその必要はない。従って、特定のタグ付き分子を検出する様々な手段を用いてタグ付き分子を単離し得ることが理解される。
本明細書で用いる用語「作動可能に結合」とは、少なくとも2個の分子が相互に位置して単一ユニットとして作用し、少なくとも1個の分子またはそれらの組み合わせに帰せられる機能を発揮することを意味する。例えば、レポーターポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列が調節エレメントに作動可能に結合した場合、調節エレメントが通常細胞中で会合しているポリヌクレオチド配列に影響を及ぼす方法と同様な方法で、調節エレメントはその制御効果をポリヌクレオチドに及ぼす。第1ポリヌクレオチドコード配列も第2(またはそれ以上の)コード配列に作動可能に結合し、キメラポリペプチドを作動可能に結合したコード配列から発現することができる。キメラポリペプチドは融合ポリペプチドであってもよく、2個(またはそれ以上)のコードされたペプチドが単一のポリペプチド中に翻訳される(例えば実施例4参照)、即ちペプチド結合を通じて共有結合しているか、または2個の別個のペプチドとして翻訳され、翻訳後に相互に会合して安定な複合体を形成する。
レポーター遺伝子等のポリヌクレオチドをベクター中に含ませ、ポリヌクレオチドの標的細胞中への導入を含むポリヌクレオチドの操作を促進することができる。ベクターポリヌクレオチドを維持するために有用なクローニングベクター、またはポリヌクレオチドの他にポリヌクレオチド発現に有用であり、ポリヌクレオチドがポリペプチドをコードする場合、特定の細胞中でコードされたペプチドを発現するために有用な調節エレメントを含む発現ベクターであってもよい。例えばコードポリヌクレオチドの持続的転写を行うために必要な発現要素を発現ベクターが含むことができるか、または制御因子がベクター中にクローニングされる前にポリヌクレオチドに作動可能に結合し得る。
発現ベクター(またはポリヌクレオチド)は一般にプロモーター配列を含むかコードし、プロモーター配列はコードポリヌクレオチドの構成的、必要あれば誘導可能な組織特異性、または生育期特異性発現、ポリA認識配列、およびリボソーム認識部位または内部リボソーム侵入部位、または組織特異性であるエンハンサー等の他の調節エレメントを提供する。必要あれば原核細胞または真核細胞宿主系またはその双方中で複製に必要な要素をベクターが含むこともできる。バクテリオファージ、バキュロウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、牛痘ウイルス、セムリキ森林ウイルス、およびアデノ肝炎ウイルスベクターを含むこのようなベクターは周知であり、市販されている(Promega,MAIDSon WI;Stratagene,LaJolla CA;GIBCO/BRL,Gaithersburg MD)か、または当業者が構築することができる(例えばMeth.Enzymol.Vol.185、Goeddel編集(Academic Press,Inc.、1990);Jolly、Canc.Gene Ther.1:51−64,1994;Flotte、J.Bioenerg.Biomemb.25:37−42,1993;Kirshenbaumら、J.Clin.Invest.92:381−387,1993;それぞれを本明細書中に参考として援用する)。
レポーターポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを例えば筋肉細胞特異性制御因子等の組織特異性制御因子に作動可能に結合することができるが,レポーターポリペプチドの発現は個体中の筋肉細胞、または培養物、例えば器官培養物中の混合細胞群中の筋肉細胞に限られる。筋肉細胞特異性調節エレメントには例えば筋肉クレアチンプロモーター(Sternbergら、Mol.Cell.Biol.8:2896−2909,1988、本明細書中に参考として援用する)、およびミオシン軽鎖エンハンサー/プロモーター(Donoghueら、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA 88:5847−5851,1991、本明細書中に参考として援用する)が含まれる。
ウイルス発現ベクターがポリヌクレオチドを細胞中、必要あれば被験体の細胞中に導入するために特に有用である。ウイルスベクターは比較的高い効率で宿主細胞に感染し、特定の細胞型に感染し得るので有利である。ウイルスベクターは特定の宿主系、特に哺乳動物系に使用するために開発され、例えばレトロウイルスベクター、ヒト免疫欠失ウイルス(HIV)系等の他のレンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、牛痘ウイルスベクター等が含まれる(例えばMillerおよびRosman、BioTechniques 7:980−990,1992;Andersonら、Nature 392:25−30、補遺、1998;VermaおよびSomia、Nature 389:239−241、1997;Wilson,New Engl.J.Med.334:1185−1187,1996参照;それぞれ本明細書中に参考として援用する)。
ベクター中で得られるレポーター遺伝子またはポリヌクレオチド試薬等のポリヌクレオチドを様々な任意の方法で細胞中に導入することができる(Sambrookら、Molecular Cloning:A laboratory manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989);Ausubelら,Current Protocol in Molecular Biology(John Wiley and Sons、Baltimore、MD 1987、および補遺1995);それぞれを本明細書中に参考として援用する)。このような方法には例えばトランスフェクション、リポフェクション、ミクロインジェクション、バイオリスティック法、エレクトロポーレーション、およびウイルスベクターによる感染と、リポソーム、ミクロエマルジョン等の使用が含まれ、ポリヌクレオチドの細胞中への導入を促進し、細胞中へ導入する前のポリヌクレオチドの分解を防止することができる。特定の方法の選択は例えばポリヌクレオチドが導入される細胞の他、細胞が培養液中に単離されているか、培養中の組織または器官中であるか、インサイチュであるかに依存する。
試験薬剤がミオスタチン修飾活性を有すると同定された場合、スクリーニングアッセイにはその薬剤がミオスタチン活性を増加させるか減少させる量を決定する工程がさらに含まれる。例えば、ある薬剤が特定の系、例えば精製された薬剤を用いるインビトロアッセイまたは被験体のインビボにおける活性のベースラインレベル以上にミオスタチンプロペプチドに対するメタロプロテアーゼのタンパク質分解活性を増加することが同定された場合、その方法には薬剤がミオスタチン活性をベースレベル以上に増加させる量を決定する工程がさらに含まれる。従って、相対的に決定された量でミオスタチン活性をメタロプロテアーゼにより増加または減少させる異なった薬剤、または薬剤パネルを得ることができる。この様な方法により、ミオスタチン活性の所望のレベルを提供するために有用な、特定の薬剤の量を決定する手段が得られる。従って、本発明はメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化を調節する試薬または薬剤パネルを提供し、この様な薬剤は被験体中、例えば筋ジストロフィー、筋肉減少症、肥満またはII型糖尿病等の代謝障害を有する被験体中でミオスタチン活性を調節するための薬剤として有用である。
従って、本発明はメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化の調節法を提供する。本明細書で用いる用語「調節」とは、メタロプロテアーゼミオスタチンプロペプチドのメタロプロテアーゼ媒介開裂またはメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化に対する効果に関連して用いられる場合、プロペプチド開裂またはミオスタチン活性化の何れかが増加する、または減少する、または阻害されることを意味する。用語「増加する」および「減少または阻害する」は、メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチンプロペプチド開裂またはミオスタチン活性化のベースラインレベルに対する効果に関連して用いられる。活性のベースラインレベルとは、特定の条件下で精製プロペプチドとメタロプロテアーゼとを用いる、または正常な健常個体であるが必ずしもその必要はない被験体から得られた細胞または摘出組織等の生物試料を用いるインビトロアッセイで生じると同定される開裂または活性化レベル;または被験体のインビボで生じる開裂または活性化のレベルである。用語「減少または阻害する」は本明細書では同じ意味で使用されるが、その理由はある場合はメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチンプロペプチド開裂またはミオスタチン活性化が特定のアッセイで検出し得るレベル以下に減少し得ることが認められるからである。従って、例えば低レベルのミオスタチンプロペプチド開裂が残存するか、またはこの様な開裂が完全に阻害されたかをこの様なアッセイを用いて決定し得ない場合もある。
例えばミオスタチンプロペプチドを開裂し得るメタロプロテアーゼ、およびメタロプロテアーゼで媒介されるプロペプチドの開裂を増加または減少させ得る薬剤と、ミオスタチンプロペプチドおよびミオスタチンC−末端フラグメント、特にC末端フラグメントダイマーを含む潜在性ミオスタチン複合体とを接触させて、メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチンプロペプチド開裂またはミオスタチン活性化の調節法を行うことができる。特にプロペプチドが例えばBMP−1、mTLD、mTLL−1またはmTLL−2等のBMP−1/TLDファミリーメンバーを含む潜在性ミオスタチン複合体を有する場合、メタロプロテアーゼはミオスタチンプロペプチドを開裂し得る任意のメタロプロテアーゼでよい。薬剤はミオスタチンプロペプチドのメタロプロテアーゼ媒介開裂を調節する任意の方法で作用し得るが、その作用には例えばタンパク質分解活性を増加または減少させること、メタロプロテアーゼに対してプロペプチドと競合すること、メタロプロテアーゼとプロペプチド複合体を含む潜在性ミオスタチン複合体との接触を促進すること、または潜在性ミオスタチン複合体がメタロプロテアーゼに対してより適合し難い(またはより適合し易い)様に潜在性ミオスタチン複合体に空間配置の変化を誘導することによる調節が含まれる。
メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化の調節法を、脊椎動物および無脊椎動物を含むミオスタチンを発現する任意の被験体について行うことができる。例えばその被験体はヒト、マウス、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ニワトリ、シチメンチョウ、ゼブラフィッシュ、サケ、その他の水生生物および他の種でもよい。水生生物の例にはマス、イワナ、アユ、コイ、フナ、キンギョ、ローチ、シラウオ、ウナギ、アナゴ、イワシ、トビウオ、スズキ、タイ、ブダイ、フエダイ、サバ、マグロ、カツオ、ブリ、ロックフィッシュ、カレイ、シタヒラメ、ヒラメ、フグ、カワハギ等の魚類;イカ、コウイカ、タコ等の頭足類;ハマグリ類(例えばボンビノスガイ、マニラ、アサリ、クアホッグ、ウバ貝、ボンビノスガイ)、トリガイ、イガイ、タマキビ、ホタテガイ(例えばシースカロップ、イタヤガイ、カロー)、ホラガイ、カタツムリ、ナマコ、アカガイ、カキ(例えばC.virginica、ガルフオイスター;ニュージーランドオイスター、マガキ)等の斧足類;サザエ、アワビ(グリーン、ピンク、レッド)等の腹足類;Spinyロブスター、ロックロブスターおよびアメリカンロブスターを含むがそれに限定されないロブスター、M.rosenbergii、P.styllrolls、P.indicus、P.jeponious(クルマエビ)、P.monodon、P.vannemel(エクアドルムキ)、M.ensis、S.melantho、N.norvegious、冷水エビ等を含むがそれに限定されないエビ、ブルー、ルーク、ストーン、キング、クイーン、スノー、ブラウン、イチョウガニ、ヨナ、マングローブ、ソフトシェルを含むがそれに限定されないカニ等の甲殻類;シャコ、オキアミ、クルマエビ;ブルー、マロン、レッドクラウ、レッドスワンプ、ソフトシェル、ホワイトを含むがそれに限定されないザリガニ/イセエビ;Annelida;ワニおよびカメを含むがそれに限定されない爬虫類;カエルを含む両生類;およびウニを含むがそれに限定されないEchinodermataが含まれる。
メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性の調節法を培養細胞または組織、摘出細胞または組織、血清または血漿試料、または実質的に精製されたメタロプロテアーゼおよび/または潜在性ミオシン複合体を含む実質的に精製された薬剤を用いてインビトロまたはエキソビボで行うことができる(例えばThiesら、上記参照、2001)。その方法をインビトロで行う場合、薬剤を試料に添加して、一般的に培養液または他の緩衝液中にあるメタロプロテアーゼおよび潜在性ミオスタチン複合体を含む試料と接触させる。例えば、その方法を培養中の細胞を用いて行う場合、薬剤を培養培地中に添加してメタロプロテアーゼおよび/またはプロペプチドと接触させるが、その一方または両方が培養中の細胞内に存在するかまたは培地中に分泌さている。試料培地中に可溶である様に薬剤を選ぶか、または必要あれば溶解度を増加させる様に処方される。
ミオスタチン活性化の調節法を被験体内の細胞または局所組織に関する試料を含む生体被験体を含むインビボで行うこともできる。この様な方法は一般に薬剤を被験体に投与することで行われ、従って薬剤は一般に被験体に投与するに適した組成物で処方される。その結果、メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化を媒介し得る薬剤を含む組成物が提供され、この様な組成物には薬学的に受容可能な担体が含まれる。この様な組成物は本明細書に開示する筋肉および/または代謝障害に罹患している被験体を処置するための薬剤として有用であり、労働用または食用の家畜等の動物に投与するために有用である。
生体投与用の組成物には一般に薬学的に受容可能な担体中の薬剤が含まれる。薬学的に受容可能な担体は当該分野で周知であり、例えば水または生理学的緩衝食塩水等の水溶液、またはグリコール、グリセロール、オリーブ油等のオイルまたは注射可能な有機エステル等のビヒクルが含まれる。薬学的に受容可能な担体は、例えば薬剤を安定化する、または薬剤の吸収を増加させる作用のある生理学的に受容可能な化合物を含むことができる。この様な生理学的に受容可能な化合物には例えばグルコース、スクロースまたはデキストリン等の炭水化物、アスコルビン酸またはグルタチオン等の抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質または他の安定化剤または賦形剤が含まれる。当業者は、生理学的に受容可能な化合物を含む薬学的に受容可能な担体の選択が、例えば投与される薬剤の物理化学的性質、および例えば経口または静脈注射等の非経口等の組成物の投与経路に依存し、注射、挿管法または他の公知の方法で行われることを理解し得る。組成物は例えば栄養剤またはビタミン等の少なくとも1種のその他の薬剤も含むことが可能であり、組成物が治療目的で投与される場合、疾患に関連する診断薬または治療薬も処置される。
試薬を水中油エマルジョン、ミクロエマルジョン、ミセル、混合ミセル、リポソーム、ミクロスフェアまたは他のポリマーマトリックス等のカプセル化材料中に取り込むことができる(例えばGregoriAIDS、Liposome Technonogy Vol.1(CRC Press、Boca Raton、FL 1984);Fraleyら、Trends Biochem.Sci.6:77(1981)参照、それぞれを本明細書中に参考として援用する)。例えばホスホリピドまたは他のリピドでなるリポソームは非毒性で生理学的に許容され、製造と投与が比較的簡単である代謝し得る担体である。「ステルス(Stealth)」リポソーム(例えば米国特許第5,882,679号、同第5,395,619号、および同第5,225,212号参照、それぞれを本明細書中に参考として援用する)は、本発明の方法を実施するために特に有用なこの様なカプセル化材料の一例であり、他の「マスクされた」リポソームも使用し得るが、この様なリポソームは治療薬が循環系中に止まる時間を延長する。例えば、陽イオン性リポソームを特定のレセプターまたはリガンドで修飾することもできる(Morishitara、J.Clin.Invest.91:2580−2585(1993)、本明細書中に参考として援用する)。
メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化を調節する薬剤を含む薬剤組成物の投与経路は、部分的には分子の化学構造に依存する。例えば、消化管中で分解されるので、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドは経口投与した場合は特に有用ではない。しかしながら、例えば化学修飾よりポリペプチドを内因性プロテアーゼによる分解を受け難くする、またはポリペプチドを食道を通してより吸収しやすくする方法は公知である(例えばBlondelleら、上記、1995;EckerおよびCrook、上記、1955参照)。さらに、ペプチド試薬をD−アミノ酸を用いて調製する、またはペプチドドメインの構造を真似た有機分子であるペプチド擬似体に基づく、またはビニル性ペプトイド等のペプトイドに基づく少なくとも1個のドメインを含むことも可能である。
本明細書に開示する組成物を、例えば経口、静脈中等の非経口、筋肉内、皮下、眼窩内、カプセル内、腹腔内、直腸内、または例えば皮膚パッチまたは経皮膚イオン浸透を用いる皮膚を通る受動または能動吸収等の様々な経路で被験体に投与することができる。さらに、組成物を注射、挿管、経口または局所で投与することができるが、局所投与は例えば軟膏の直接貼付による受動投与、または鼻スプレーまたは吸入を用いる能動投与であり、後者の場合は組成物の1成分は適当な噴射剤である。
薬学的組成物を錠剤等の経口組成物、または溶液または懸濁液の形で調合、または外部または非経口投与に適した有機または無機混合物を含有することが可能で、例えば錠剤、ペレット、カプセル、坐薬、溶液、エマルジョン、懸濁液、または使用に適した他の形のための通常の無毒で薬学的に受容可能な担体と組み合わせることもできる。上記に開示されたものの他に、担体はグルコース、ラクトース、マンノース、アカシアガム、ゼラチン、マンイトール、澱粉ペースト、マグネシウムトリシリケート、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ポテトスターチ、尿素、中程度の鎖長のトリグリセリド、デキストラン、および固体、半固体または液体の形の配合物の調製に適した他の担体を含むことができる。さらに例えばトリルロース等の安定化乾燥剤等の助剤、安定化剤、増粘剤または着色剤および香料を使用することもできる(例えば米国特許弟5,314,695号参照)。
本発明方法の実施における投与される薬剤の全量を、比較的短い期間で固体または輸液として一回で投与するか、または複数回の投薬を長期間にわたって投与する分割処置プロトコールを用いて投与することができる。例えば被験体の肥満を処置するための薬剤組成物の量は、年齢と一般的な健康状態の他、投与経路と投与する治療回数とを含む多くの因子に依存することが理解される。これらの因子を考えて、当業者は必要に応じ特定の投与量を調節し得ると考えられる。一般的に、第I相および第II相臨床試験を用いて組成物の処方および投与経路と回数がまず決定される。
例えば潜在性ミオスタチン複合体および/またはメタロプロテアーゼをメタロプロテアーゼのタンパク質分解活性を増加させる薬剤と接触させることにより、本発明の方法をミオスタチン活性化のレベルを(すなわち薬剤のない場合のミオスタチン活性化のベースラインより上に)増加するために使用できるか;または例えば潜在性ミオスタチン複合体および/またはメタロプロテアーゼをミオスタチンプロペプチドのメタロプロテアーゼ媒介タンパク質分解活性を減少させる薬剤と接触させることにより、ミオスタチン活性化のレベルを(ベースラインレベル以下に)減少させるために使用できる。その薬剤は潜在性ミオスタチン複合体のミオスタチンプロペプチドを開裂するメタロプロテアーゼの活性を減少させ、その結果、薬剤がない場合に生じるか生じるミオスタチン活性レベル以下にミオスタチン活性化を減少または阻害する薬剤である。被験体にこの様な薬剤を投与した場合、その薬剤は筋肉量を増加させるか脂肪含有量を減少させるか、またはその両方の結果を患者にもたらす。例えば、その被験体は筋肉減少疾患に罹ったヒトの患者であり、筋肉量を増加することにより疾患の兆候または兆候を軽減することができる。または、その薬剤は潜在性ミオスタチン複合体からミオスタチンプロペプチドのメタロプロテアーゼ媒介タンパク質分解開裂を増加させる薬剤であり、その結果、薬剤がない場合に生じるか生じるミオスタチン活性化レベルがあれば、そのレベル以上にミオスタチン活性化を増加させる。この様な薬剤を被験体に投与した場合、その薬剤は筋肉量を減少させるか、脂肪含有量を増加させるか、またはその両方の結果をもたらす。このような被験体は例えば外来魚種またはげっ歯類等の望ましくない生物であり、筋肉量の減少および/または脂肪含有量の増加により、外来種が環境中の競合で不利な立場になる。
従って、ある実施態様では、本発明はBMP−1/TLD等のメタロプロテアーゼによるミオスタチンプロペプチドのたんぱく質分解開裂を調節することによる、被験体の筋肉量の増加法、脂肪含有量の減少法、またはその双方を提供する。例えば被験体にプロテアーゼのタンパク質分解活性を減少するか阻害する薬剤を投与し、被験体中で潜在性ミオスタチンの活性化を阻止し筋肉量を増加することにより、この様な方法を行うことができる。筋肉量を増加させる被験体とはミオスタチンが発現される任意の被験体、特に家庭用動物(イヌ、ネコ類)、哺乳動物種(例えばヒツジ、ブタまたはウシ類)、鳥類(例えばニワトリまたはシチメンチョウ)および魚類(例えばサケ、マス、タラ)を含む家畜動物または食料源として飼育される動物を含む脊椎動物である。例えば、この様な方法が食料源として有用な生物に対して行われる場合、食料のタンパク質含有量お増加し、コレステロールレベルを減少し、食品の品質を高めることができる。従って、ミオスタチンを発現し,ミオスタチンを活性化するためにミオスタチンプロペプチドのメタロプロテアーゼ媒介開裂に依存する、例えば哺乳動物、鳥類または魚類等の脊椎動物、または軟体類、棘皮類、腹足類、または頭足類等の有無脊椎動物を含む任意の真核生物で本発明の方法を行うことができる。ある実施態様では、被験体は筋肉疾患(例えば筋失調症またはジストロフィー)、筋肉消耗症(例えば悪液質)、病的肥満またはII型糖尿病等の代謝障害に罹患したヒトの患者である。
従って、本発明はまた、被験体中でメタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化を調節する代謝障害の軽減法を提供する。代謝障害に関連して用いられる場合、本明細書で用いる用語「軽減」とは疾患が軽減されることに関連する兆候または症候を意味する。例えば糖尿病を追跡するための耐グルコース試験、または体脂肪分析のための血清レプチンアッセイ等、熟練した医師が一般的に使用する任意の診断法を用いて疾患の軽減を同定することができる(McPherronおよびLee、上記、2002)。肥満または悪液質等の代謝障害の軽減を、単純に被験体の体重を測定して追跡することもできる。
異型接合ミオスタチンノックアウトマウスは骨格筋量を増加したが、その量は同型接合突然変異マウスで観察された量より少なく、ミオスタチンが生体内で投与量に依存して作用することを示している。さらに、動物中のミオスタチンの過剰発現は筋肉の成長に関して反対の効果を有する。例えば、ミオスタチン発現腫瘍を有するヌードマウスは筋肉と脂肪重量の劇的な減少が特徴である消耗症候群を発症し、癌またはAIDS等の慢性疾患を有する患者で見られる悪液症に類似している。さらに、ミオスタチン免疫反応性物質の血清レベルが筋肉消耗に関する患者の症状と関連している(Gonzalez−Kadavisら、上記、1998)。従って、全体重の減少で測定される悪液症の兆候も示すAIDS患者では、AIDSに罹患していない正常な男性、または体重減少のないAIDS患者の何れかと比較してミオスタチン免疫反応性物質の血清レベルが若干増加した。ミオスタチンは筋肉量ばかりでなく生物の全体的な代謝にも影響する。例えば、ミオスタチンは脂肪組織で発現し、ミオスタチン欠乏マウスでは加齢と伴に脂肪蓄積が劇的に減少する。脂肪蓄積を5倍抑制する肥満マウス種(アグーチ致死黄色(A)マウス)中へのミオスタチン突然変異の導入で示される様に、ミオスタチン活性の減少に応じて生じる筋肉組織に対する全体的な同化効果は、生物の全体的な全体的な代謝を変化させ、脂肪の形のエネルギー貯蔵に影響する。ミオスタチン突然変異を含むアグーチマウスで、異常グルコース代謝も部分的に抑制された。
従って、メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化を現象または阻害する本発明の方法と薬剤を、肥満およびII型糖尿病等の代謝障害の処置または予防に使用することができる。本発明の方法は、例えば癌等の慢性疾患に伴う悪液症を含む様々な代謝不全(Nortonら、Crit.Rev.Oncol.Hematol.7:289−327,1987、本明細書中に参考として援用する)の他、II型糖尿病、肥満および他の代謝病等の病状軽減に有用である。本明細書で用いる用語「代謝障害」とは、少なくとも部分的に筋肉および/または脂肪組織の異常な量、発達または代謝活性が特徴である状態を指す。この様な代謝障害には例えば肥満、筋ジストロフィー等の筋肉消耗障害、菌神経疾患、悪液症および食欲減退;および一般に肥満と関連するが必ずしもそうでないII型糖尿病等の疾患が含まれる。筋肉および/または脂肪組織の量、発達または代謝活性と関連して用いられる用語「異常」は、熟練した医師またはその他の関係する業者が正常または理想的であると認める量、発達または代謝活性との比較で相対的な意味で使用される。この様な正常または理想的な値は医師に公知であり、対応する群中の健康な個人で一般的に観察される、または望まれる平均値に基づいている。例えば、医師は肥満が「理想」体重より約20パーセント多い体重と関連することを知っている。しかしながら、同じ身長と体形の人に期待される体重より20パーセント以上多い体重を有すると言うだけで、ボディービルダーが必ずしも肥満でないことを、医師は理解していると考えられる。同様に、筋肉活性が異常に減少している患者で、例えば患者に様々な筋力試験を行い、その結果を対応する群中で平均的な健常人人の結果と比較することにより、筋肉の発育が異常であると決められることを、当業者は知っている。
例えばミオスタチンプロペプチドを開裂するプロテアーゼのタンパク質分解活性を減少または阻害する薬剤を被験体に投与し、その結果、細胞中の潜在性ミオスタチンの活性化を阻止し、代謝障害を軽減することにより、被験体中の代謝障害軽減方法を実施することができる。上記に示した様に、代謝障害は例えば筋ジストロフィー、悪液症を含む筋肉消耗障害に関連する(例えば癌または後天性免疫欠損病に関連する)ミオスタチン活性化または活性の増加または望ましくない高さに関連した任意の疾患または筋減少症;または病的肥満またはII型糖尿病である。例えば、筋減少症は骨格筋量、質および強度の減少が特徴であり、成人で筋虚弱をもたらす代謝障害である。全体的な質に寄与する骨格筋の性質の例には収縮性、線維サイズと型、およびグルコース取り込みと代謝が含まれる。痩せた体重の減少は機能を減少させ、約40%の痩せた体重の減少は一般に致命的であるので筋減少症は重大な結果となる(例えばRoubenoffおよびCastaneda、J.Amer.Med.Assn.286.2001参照)。本発明の方法は、メタロプロテアーゼ媒介ミオスタチン活性化を現象または阻害し、その結果被験体中の筋肉成長と発達を増加させることにより、筋減少症の軽減法を提供する。
以下の実施例は説明のためのものであり、本発明を制限するものではない。
(実施例1 BMP−1/TLDメタロプロテアーゼファミリーメンバーはミオスタチンプロペプチドを開裂する)
本実施例は、メタロプロテアーゼの骨形成タンパク質−1/トロイド(BMP−1/TLD)ファミリーのメンバーがミオスタチンプロペプチドを開裂することを示す。
500ngの精製ミオスタチンプロペプチド、またはプロペプチドとC−末端二量体とを有する精製潜在性ミオスタチン複合体(LeeおよびMcPherron、上記、2001)を100ngの精製BMP−1、mTLD、mTLL−1またはmTLL−2と共に37℃で一晩インキュベーションした(Scottら、Devel.Biol.213:283−300,1999、本明細書中に参考として援用する)。反応生成物をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、次いで抗ミオスタチンプロペプチド血清を用いるウエスターンブロット分析により分析した(LeeおよびMcPherron、上記、2001参照)。
4種のプロテアーゼの一つを含む各反応中でプロペプチドの別個のタンパク質分解開裂生成物が検出されたが、プロテアーゼを含まないコントロール反応中では検出されなかった。さらに、各プロテアーゼはそれが精製された形であっても、ミオスタチンC−末端二量体であってもプロペプチドを開裂した。これらの結果は、BMP−1/TLDメタロプロテアーゼがミオスタチンプロペプチドを開裂することを示している。
(実施例2 ミオスタチンプロペプチドのメタロプロテアーゼ開裂が潜在性ミオスタチンを活性化する)
本実施例はBMP−1/TLDメタロプロテアーゼによるミオスタチンプロペプチドの開裂が潜在性ミオスタチンを活性化することを示す。
精製ミオスタチンプロペプチドとC−末端二量体複合体との複合体をmTLL−1とインキュベーションし、ミオスタチン活性を特異的に検出するレポーター遺伝子アッセイにより調べた。TGF−β誘導性PAI−1遺伝子のプロモーター由来のTGF−β応答GAGA配列に結合したルシフェラーゼコード配列を有するpGL3−(GAGA)12ルシフェラーゼレポーター遺伝子構築物(Thiesら、上記、2001)を、A204横紋筋肉腫細胞に感染させた。感染細胞を未処理プロペプチド/C−末端二量体複合体、またはmTLL−1と予備インキュベーションした複合体と接触させた。複合体とmTLL−1とのインキュベーションにより、レポーター細胞アッセイで検出されるルシフェラーゼ活性量が劇的に増加したが、mTLL−1のみで処理、またはミオスタチン複合体のみで処理した細胞では変化が見られなかった(図1)。
mTLL−1によるミオスタチン活性化の程度を測定するため、レポーター遺伝子アッセイにおいて精製ミオスタチンC−末端二量体を用いて標準曲線を作成し(図2)、mTLL−1処理複合体で処理した細胞中のルシフェラーゼ活性量を標準曲線と比較した。mTLL−1処理試料中に存在するミオスタチン活性量と、この試料中のmTLL−1によるプロペプチドのタンパク質分解処理の程度とを比較すると、少なくとも50%のタンパク質分解開裂ミオスタチン複合体がレポーターアッセイで活性であることが明らかとなった。これらの結果は、プロペプチドとミオスタチンC−末端二量体との複合体中のミオスタチンプロペプチドのBMP−1/TLDメタロプロテアーゼ、すなわちmTLL−1による開裂により、ミオスタチンが活性化されたことを示している。
(実施例3 トロイドファミリーメンバーに対するペプチド基質)
BMP−1/TLDメタロプロテアーゼ開裂部位(野生型ペプチド中の以下に太字で示されるアミノ酸残基;配列番号9、12、15、18および21)を含む10、20、30、40または50アミノ酸残基の一連の3種のペプチドそれぞれを、ミオスタチンプロペプチドの配列に基づいた合成した。開裂部位のすぐ上流のP1位置のアルギニン残基をグルタミン残基に変え(配列番号10、13、16、19および22、太字参照)、開裂部位のすぐ下流のP1’位置をアラニンに変えた(配列番号11、14、177、20、および23)ペプチドも合成した。ペプチドの配列を以下に示す:
50マー:
Figure 2006507356
30マー:
Figure 2006507356
20マー:
Figure 2006507356
10マー:
Figure 2006507356
ペプチドは凍結乾燥粉末として供給され、1.0mMの保存溶液を60%アセトにトリル−0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)−40%水中に調製した。ペプチド基質に対する酵素活性を70μlの水、関連するペプチドを含む20μlの擬馴化培地または馴化培地の何れか、および10μlの合成ペプチド溶液中で評価した。試料を室温または37℃の何れかで一晩インキュベーションし、次いで1.0μlの0.1%TFAを添加してpHを下げて反応を停止した。それぞれの一部を2cmのC18ガードカラムカートリッジ(Supelco)に添加し、ペプチドを0.1%TFA中のアセトニトリル勾配(20分で0〜40%)を用いて溶出した。開裂したペプチドフラグメントに対応するピークを同定し、マススペクトロメトリーを用いて確認した。40マー、30マーおよび20マーの野生型およびR−>Q突然変異体をTLL−2を含む馴化培地で開裂し、一方、P1’位置にD−>A突然変異体を含むペプチドは開裂しなかった。50マーは用いた条件では不溶であり、10マーの開裂生成物はそのサイズが小さいために検出が困難であった。
(実施例4 BMP−1/トロイドファミリーメタロプロテアーゼによる潜在性ミオスタチンの活性化)
本実施例はBMP−1/TLLファミリーメンバーが潜在性ミオスタチンを開裂し活性化し得ることを示す。
(ミオスタチンの精製と分析)
ミオスタチンを過剰発現するCHO細胞株の作成は以前に報告されている5,6(実施例の最後に列記した参考文献)。完全長ヒトミオスタチンおよびプロペプチド/Fc融合ペプチドの突然変異型を発現するCHO株を作成するため、同様な戦略が用いられた(米国特許公報US2003/0104406A1号参照)。突然変異ヒト完全長ミオスタチン配列は配列番号2に基づき、突然変異プロペプチド配列は配列番号2のアミノ酸残基24〜266に基づいていた。ミオスタチンプロペプチド/C−末端二量体複合体を文献通りにCHO発現細胞の馴化培地から精製した。プロペプチド/Fc融合タンパク質をプロテインA−セファロースゲルカラムを用いて精製した。抗バクテリア生産ミオスタチンC−末端ドメイン抗体および抗プロペプチド抗体は文献1,5通りである。
(プロテアーゼおよびレポーター遺伝子アッセイ)
精製BMP−1、mTLD、mTLL−1およびmTLL−2プロテアーゼは文献1,5通りに調製した。ミオスタチン活性をA204横紋筋肉腫細胞中のpGL3−(GAGA)12−ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて文献通りに測定した。ミオスタチン活性を定量するため、精製ミオスタチンC−末端二量体を用いる標準曲線を各アッセイセット毎に作成した。
(マウスの注射)
体重17g〜19gの雌BALB/cマウス(Charles River)に第1、4、8、15および22日にPBSのみ、またはPBS中に希釈した様々なタンパク質を注射した。投与したタンパク質の量は以下の通りであった:プロペプチド/Fc融合タンパク質−1mg/kgまたは10mg/kg;IgG2am(コントロール抗体)−10mg/kg;およびJA16(ミオスタチン中和抗体)−60mg/kg。筋肉分析のためマウスを第29日に屠殺した。マウスの両側からの筋肉を秤量し、各筋肉の平均重量を用いた。
ミオスタチンを過剰発現するモルモット卵巣(CHO)細胞の作製は報告されている5,6。他のTGF−βファミリーメンバーと同様に、CHO細胞中で製造されたミオスタチンを2塩基部位で開裂し、N−末端プロペプチドとC−末端フラグメントのジスルフィド結合二量体を作成する。これらの細胞によるミオスタチンの分泌を特徴付ける課程で、プロペプチドの独立の開裂生成物の存在が注目される(プロペプチド特異性抗体を用いるウエスターンブロットアッセイで検出)。完全長ミオスタチン前駆体タンパク質(図示せず)またはC−末端ドメインがなくミオスタチンプロペプチドのみを含む発現構築物に感染したCHO細胞の馴化培地中で、この開裂生成物を検出した(図3A)。ミオスタチンプロペプチドはインビトロ5,6およびインビボ7、8の双方の潜在状態でC−末端二量体を維持し、TGF−βプロペプチドは潜在性TGF−βを活性化するための一つの機構である10−14と考えられているので、ミオスタチンの潜在性制御におけるミオスタチン開裂の役割を検討した。
N−末端の配列決定により、CHO細胞馴化培地中で検出されたプロペプチド開裂生成物がアルギニン75とアスパラギン酸76との間のタンパク質分解開裂に由来することが明らかとなった。タンパク質分解開裂にこれらのアミノ酸の何れが必須であるかを決めるため、アルギニンまたはアスパラギン酸の何れかをグルタミンまたはアラニンに変更したプロペプチドの突然変異バージョンを発現するCHO細胞株をそれぞれ作成した。インビトロの研究(以下を参照)に対するこれらのタンパク質の安定性を増すため、突然変異プロペプチドをFcドメインと融合した。アルギニンをグルタミンに変えることはタンパク質分解開裂に何の効果もなかったが、アスパラギン酸からアラニンへの突然変異プロペプチド/Fc融合タンパク質を発現するCHO細胞から調製された馴化培地中で分解性生物が検出されなかった(図3B、実施例3も参照)。開裂部位にアスパラギン酸が必要なことは、メタロプロテアーゼのBMP−1/TLDファミリーのメンバーがこの分解性生物の生成に関与していることを示唆している。BMP−1/TLDファミリーの哺乳動物中のメンバーでいくつかの基質が同定されており、ほとんど全ての場合でタンパク質分解開裂がアスパラギン酸残基に隣接するN−末端側で行われることが示されている15,16。さらに、突然変異発生の研究から、これらの部位がタンパク質分解開裂を受け易くするためのアスパラギン酸残基の重要性を示している17。アスパラギン酸残基に隣接するC−末端側がタンパク質基質で切除され得る結合に対し特異的または必要である他のプロテアーゼの明瞭な報告はないので、BMP−1/TLDファミリーのインビトロでのミオスタチンプロペプチド開裂能を検討した。
ミオスタチンを過剰生産CHO細胞の馴化培地から精製した。ヒドロキアパタイト、レンチルレクチンセファロースゲル、DEAEアガロースおよびヘパリンセファロースゲルで順次分画後、C−末端二量体に非共有的に結合したN−末端プロペプチドでなるミオスタチン潜在性複合体の精製調製物が得られた(図3C)。図3Dに示す様に、精製潜在性複合体を精製BMP−1とインキュベーションすることにより、プロペプチドが完全に分解され、ミオスタチンを過剰生産する様に遺伝子操作されたCHO細胞から調製した馴化培地中で検出されたものと同じ電気泳動易動度を有する単一生成物を生じた。BMP−1処理プロペプチドのN−末端配列決定により、アスパラギン酸に隣接するN−末端側で開裂が行われたことが確認された。
mTLD、mTLL−1およびmTLL−2を含むBMP−1/TLDファミリーの他の哺乳動物メンバーのプロペプチド開裂能も試験した。これらの実験では、部分開裂のみが行われる酵素濃度を使用し、4種の酵素の相対活性の比較を行った。図3Eに示す様に、潜在性複合体を4種のプロテアーゼのそれぞれとインキュベーションすると、プロペプチドが開裂した。3種のプロテアーゼBMP−1、mTLL−1およびmTLL−2はプロペプチドの開裂にほぼ同じくらい有効であったが、mTLD調製物がプロコラーゲン等の公知の基質に対し完全に活性であったにもかかわらず、プロペプチド開裂では他の3種よりかなり活性が低かった。これらのプロテアーゼは全て、C−末端二量体を精製して除去したプロペプチドも開裂した。
プロペプチドのタンパク質分解開裂のミオスタチンの潜在性に対する効果を調べるため、4種のプロテアーゼそれぞれで処理したミオスタチンの生物活性を測定した。A204横紋筋肉腫細胞がpGL3−(GAGA)12−ルシフェラーゼ構築物に感染させ、ミオスタチンとインキュベーションする、レポーター遺伝子アッセイをこの目的のために用いた。先に記載した様に、これらの細胞に精製ミオスタチンC−末端二量体を添加すると、ルシフェラーゼ活性がベースライン以上に上昇した(図4A)。対照的に、精製ミオスタチン複合体はこのアッセイで不活性であるが、80℃で5分間インキュベーションすると活性化することができた(図4B)。図4Cに示す様に、潜在性複合体もBMP−1処理で活性化された。標準曲線と比較したミオスタチン活性の定量に基づき、BMP−1によるプロペプチドの開裂は、潜在性複合体の活性化における熱処理とほぼ同じ程度に有効であった。潜在性プロペプチドは他のプロテアーゼによる処理でも活性化され、活性化の程度はほぼ酵素によるタンパク質分解開裂の程度に関連していた(図4D)。
開裂部位におけるアスパラギン酸の必要性も検討した。アスパラギン酸76をアラニンに変えたミオスタチンの突然変異型を高レベルで発現するCHO細胞を作成し、潜在性複合体をこれらの細胞の馴化培地から精製した。図3Cに示す様に、突然変異はプロペプチドがC−末端二量体に結合する能力に影響せず、突然変異プロペプチドとC−待たん二量体は精製中に強く会合したままであった。さらに、ルシフェラーゼレポーターアッセイで評価された様に、突然変異プロペプチドは熱で活性化し得る潜在性の形を維持していた(図4B)。しかしながら、潜在しえ複合体中の突然変異プロペプチドは4種のプロテアーゼ、すなわちBMP−1、mTLD、mTLL−1およびmTLL−2それぞれによるタンパク質分解に耐性であり、これらのプロテアーゼによる活性化に耐性であった(図4Cおよび4D)。
最後に、プロペプチドの野生型および突然変異バージョンをマウスに注射する効果を調べて、インビボでのプロペプチドのタンパク質分解開裂の役割を検討した。先の実験で明かな様に、プロペプチドをFcドメインと融合することにより、マウスの腹腔内へ注射後の野生型プロペプチドの半減期を約2時間から5〜7日に増加することができた。この理由で、Fcドメインに融合した野生型または突然変異(アスパラギン酸76をアラニンへ)プロペプチドを発現するCHO細胞株を作成し、融合タンパク質をプロテインAセファロースゲルカラムを用いて精製した。精製した野生型および突然変異プロペプチド/Fc融合タンパク質がレポーター遺伝子アッセイで精製ミオスタチンC−末端二量体の活性阻害に同等に有効であったので(図5)、アスパラギン酸からアラニンへの突然変異は生体内のプロペプチドの活性に影響しなかった。
生体内におけるこれらのタンパク質の活性を評価するため、成熟マウスに精製野生型または突然変異プロペプチド/Fc融合タンパク質を毎週注射し、筋肉をアッセイするため4週間後に屠殺した。比較のため、マウスのセットにJA16ミオスタチン中和モノクローナル抗体を注射したが、この場合は12週間の処理で筋肉量が約25〜30%増加した18。表1(下記)に示す様に、1mg/kg/週および10mg/kg/週の投与量で野生型プロペプチド/Fc融合タンパク質の注射は筋肉量に何の効果もなかった。同様に、1mg/kg/週の投与量でアスパラギン酸−アラニン突然変異プロペプチド/Fc融合タンパク質の注射後にほとんど効果は見られなかった。しかしながら、突然変異プロペプチド/Fc融合タンパク質を10mg/kg/週で注射すると、測定した各骨格筋の重量は18〜27%の統計的に有意な増加を示した(p<0.0001)。突然変異プロペプチド/Fc融合タンパク質のより高い投与量で観察される筋肉重量の増加量は、筋肉重量が10〜16%増加したJA16ミオスタチン中和モノクローナル抗体の注射後の注射後に見られた増加量の約2倍であった。
これらの結果は、メタロプロテアーゼのBMP−1/TLDファミリーのメンバーがC−末端二量体と結合したミオスタチンプロペプチドを開裂し、潜在性複合体を活性化することを示している。さらに、成熟マウスに注射するとBMP−1/TLDプロテアーゼによる開裂に耐性であったプロペプチドの突然変異型が筋肉量を増加させる結果となったが、これはこの群のプロテアーゼで活性化できない潜在性複合体を生成しているためである。C−末端二量体の活性を制御するこの一般的な機構が、ある種の他のTFG−βファミリーメンバーでも報告されている。TGF−βの場合は、その会合したプロペプチドのプラスミン10,11、またはマトリックスメタロプロテアーゼ12−14によるタンパク質分解開裂が、生体内における潜在性の活性化に対する一つの機構であると考えられている。BMPの場合は、BMP−1/TLDファミリーのメンバーがBMPアンタゴニストコルジンを開裂し不活性化することにより、C−末端二量体の活性制御に重要な役割を果たすようである15、19−22
BMP−1/TLDファミリー中の4種の哺乳動物プロテアーゼが生体内でミオスタチンプロペプチドを開裂することが可能であり、少なくとも1種は生体内でミオスタチン活性制御に関与している。この点に関し、他のプロテアーゼと異なりmTLL−2は胚芽細胞発育中に骨格筋中で特異的に発現している15。ミオスタチンの潜在性制御に関与する特異性プロテアーゼまたはプロテインアーゼの同定により、筋肉量を調節するために有用な薬剤を同定するための標的となり、ヒトの処置および農業への適用に両方のための新規筋肉増大薬の開発で、これらの酵素を標的とすることができる。
Figure 2006507356
p<0.05(対PBS)
p<0.0001(対PBS)
p<0.05(対PBS)
p<0.01(対PBS)
p<0.001(対PBS)
p<0.001(対PBS)
以下の刊行物の各々は、本明細書中に参考として援用される:
Figure 2006507356
Figure 2006507356
Figure 2006507356
Figure 2006507356
本発明を上記実施例を参照して説明したが、修正と変更も本発明の趣旨と範囲に含まれることが理解される。従って、本発明は添付の特許請求の範囲のみに制約されるものである。
図1はミオスタチン複合体(MSTN;C−末端ミオスタチン二量体およびプロペプチド)とmTLL−1をインキュベーションすると、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現が劇的に増加することを示し(点描バー;実施例2参照)、細胞が活性ミオスタチンと接触するとその発現がトランスフェクト横紋筋肉腫細胞で制御される。ミオスタチン複合体単独(黒色バー)またはmTLL−1のみ(斜線バー)と接触した細胞ではバックグラウンド発現のみが観察された。 図2はルシフェラーゼレポーター遺伝子を用いて作成した標準曲線を示し、トランスフェクト細胞(上記図1参照)を特定量の活性精製C−末端ミオスタチン二量体(菱形)と接触させた。コントロールルシフェラーゼ活性(ミオスタチンなし)を円で示す。 図3AはプロテアーゼのBMP−1/TLDファミリーによるミオスタチンプロペプチドの開裂の検出を示す。図3Aおよび3BはCHO細胞コンディション媒体中のプロペプチド分解生成物の検出を示す。プロペプチド(図3A)またはプロペプチド/Fc融合タンパク質の野生型および突然変異型(図3B)をSDS−PAGEでアッセイし、次いで抗ミオスタチンプロペプチド抗体(図3A)またはIgG(図3B)を用いてウエスターンブロットアッセイでアッセイした。D76からAへの突然変異により分解性生物が失われたことに注意。 図3BはプロテアーゼのBMP−1/TLDファミリーによるミオスタチンプロペプチドの開裂の検出を示す。図3Aおよび3BはCHO細胞コンディション媒体中のプロペプチド分解生成物の検出を示す。プロペプチド(図3A)またはプロペプチド/Fc融合タンパク質の野生型および突然変異型(図3B)をSDS−PAGEでアッセイし、次いで抗ミオスタチンプロペプチド抗体(図3A)またはIgG(図3B)を用いてウエスターンブロットアッセイでアッセイした。D76からAへの突然変異により分解性生物が失われたことに注意。 図3CはプロテアーゼのBMP−1/TLDファミリーによるミオスタチンプロペプチドの開裂の検出を示す。図3Cは野生型および突然変異プロペプチド/C−末端二量体複合体の精製を示す。図示する様に、タンパク質複合体をβ−メルカプトエタノールのある場合、およびない場合でSDS−PAGE、次いでウエスターンブロットアッセイでアッセイした。野生型プロペプチドと同様、D76A突然変異プロペプチドがC−末端二量体との複合体中で精製されたことに注意。プロペプチド分解生成物は同時に精製されず、従って複合体の一部ではない。星型を記したバンドは、非還元条件下で見られる会合しないミオスタチン種を示す。 図3DはプロテアーゼのBMP−1/TLDファミリーによるミオスタチンプロペプチドの開裂の検出を示す。図3Dおよび3EはBMP−1/TLDプロテアーゼによるプロペプチドの開裂を示す。野生型および突然変異複合体を精製プロテアーゼとインキュベーションし、SDS−PAGE、次いで抗プロペプチド抗体を用いるウエスターンブロットでアッセイした。1μgの潜在性複合体と250ngのプロテアーゼで37℃、16時間インキュベーションしたが、図3Dではさらに250ngのBMP−1を加えて試料をさらに4時間インキュベーションした。図3Eでは、「酵素なし」と記されたレーンは酵素なしで37℃、16時間インキュベーションした試料を示す。全ての酵素が開裂生成物を生成することが可能で、D76A突然変異タンパク質は完全に開裂に抵抗性があったことに注意。 図3EはプロテアーゼのBMP−1/TLDファミリーによるミオスタチンプロペプチドの開裂の検出を示す。図3Dおよび3EはBMP−1/TLDプロテアーゼによるプロペプチドの開裂を示す。野生型および突然変異複合体を精製プロテアーゼとインキュベーションし、SDS−PAGE、次いで抗プロペプチド抗体を用いるウエスターンブロットでアッセイした。1μgの潜在性複合体と250ngのプロテアーゼで37℃、16時間インキュベーションしたが、図3Dではさらに250ngのBMP−1を加えて試料をさらに4時間インキュベーションした。図3Eでは、「酵素なし」と記されたレーンは酵素なしで37℃、16時間インキュベーションした試料を示す。全ての酵素が開裂生成物を生成することが可能で、D76A突然変異タンパク質は完全に開裂に抵抗性があったことに注意。 図4AはBMP−1/TLDプロテアーゼによる潜在性ミオスタチン活性の活性化を示す。図4Aは精製ミオスタチンC−末端二量体によるpGL3−(GAGA)12−ルシフェラーゼレポーター遺伝子活性の活性化を示す。 図4BはBMP−1/TLDプロテアーゼによる潜在性ミオスタチン活性の活性化を示す。図4B〜4Dで、黒いバーは野生型を示し、灰色のバーはD76A突然変異複合体を示す。熱処理により野生型および突然変異複合体が活性化されたが(図4B)、各プロテアーゼは野生型複合体のみを活性化可能であったことに注意(図4Cおよび4D)。p<0.05、**p<0.01。図4Bは熱処理によるミオスタチンプロペプチド/C−末端二量体潜在性複合体の活性化を示す。コントロール(ミオスタチン(MSTN)なし)が示される。 図4CはBMP−1/TLDプロテアーゼによる潜在性ミオスタチン活性の活性化を示す。図4B〜4Dで、黒いバーは野生型を示し、灰色のバーはD76A突然変異複合体を示す。熱処理により野生型および突然変異複合体が活性化されたが(図4B)、各プロテアーゼは野生型複合体のみを活性化可能であったことに注意(図4Cおよび4D)。p<0.05、**p<0.01。図4CはBMP−1/TLDプロテアーゼによるミオスタチンプロペプチド/C−末端二量体潜在性複合体の活性化を示す。図4Cおよび4Dでレポーターアッセイに使用した試料は図3Dおよび3Eそれぞれに示す試料と同じ試料である。 図4DはBMP−1/TLDプロテアーゼによる潜在性ミオスタチン活性の活性化を示す。図4B〜4Dで、黒いバーは野生型を示し、灰色のバーはD76A突然変異複合体を示す。熱処理により野生型および突然変異複合体が活性化されたが(図4B)、各プロテアーゼは野生型複合体のみを活性化可能であったことに注意(図4Cおよび4D)。p<0.05、**p<0.01。図4DはBMP−1/TLDプロテアーゼによるミオスタチンプロペプチド/C−末端二量体潜在性複合体の活性化を示す。図4Cおよび4Dでレポーターアッセイに使用した試料は図3Dおよび3Eそれぞれに示す試料と同じ試料である。 図5はインビトロにおける野生型および突然変異プロペプチド/Fc融合タンパク質におるレポーター遺伝子活性の阻害を示す。レポーター構築物でトランスフェクトされたA204細胞を10ng/mlの精製ミオスタチンC−末端二量体、および様々な濃度の野生型(黒)およびD76A突然変異(白)プロペプチド/Fc融合タンパク質と共にインキュベーションした。野生型および突然変異タンパク質がミオスタチン活性のブロックに同等に有効であったことに注意。

Claims (21)

  1. 潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を調節する薬剤であって、該薬剤はペプチドを含み、該ペプチドはミオスタチンポリペプチドのペプチド部分または該ペプチド部分の誘導体を有し、該ミオスタチンポリペプチドのペプチド部分の誘導体はメタロプロテアーゼに対する開裂部位の突然変異を有するペプチドを含む、薬剤。
  2. 前記薬剤が潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を減少または阻害する、請求項1に記載の薬剤。
  3. 前記薬剤が潜在性ミオスタチンのメタロプロテアーゼ媒介活性化を増加する、請求項1に記載の薬剤。
  4. 前記ペプチドが以下のアミノ酸配列:
    KDVIRQLLPKAPPLRELIDQYDVQRADSSDGSLEDDDYHATTETIITMPT(配列番号11);
    QLLPKAPPLRELIDQYDVQRADSSDGSLEDDDYHATTETI(配列番号14);
    APPLRELIDQYDVQRADSSDGSLEDDDYHA(配列番号17);
    ELIDQYDVQRADSSDGSLED(配列番号20);または
    YDVQRADSSD(配列番号23)
    を有する、請求項1に記載の薬剤。
  5. 前記薬剤が第2分子に作動的に結合している、請求項1に記載の薬剤。
  6. 前記第2分子が検出可能な標識を有する、請求項5に記載の薬剤。
  7. 前記第2分子が異種ポリペプチドを有する、請求項5に記載の薬剤。
  8. 前記異種ポリペプチドが前記ペプチドを安定化する、請求項7に記載の薬剤。
  9. 前記異種ポリペプチドが抗体のFcドメインを有する、請求項7に記載の薬剤。
  10. 融合タンパク質を有する、請求項7に記載の薬剤。
  11. 前記融合タンパク質が配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20または配列番号23に記載のアミノ酸配列を有するペプチドを含む、請求項10に記載の薬剤。
  12. 前記融合タンパク質が作動的に結合した抗体分子のFcドメインを有する、請求項11に記載の薬剤。
  13. 前記メタロプロテアーゼが骨形成タンパク質−1/トロイド(BMP−1/TLD)ファミリーメンバーである、請求項1に記載の薬剤。
  14. 前記BMP−1/TLDファミリーメンバーが、BMP−1、TLD、トロイド様タンパク質−1(TLL−1)またはトロイド様タンパク質−2(TLL−2)である、請求項13に記載の薬剤。
  15. 前記BMP−1/TLDファミリーメンバーが、BMP−1、哺乳動物TLD(mTLD)、哺乳動物TLL−1(mTLL−1)または哺乳動物TLL−2(mTLL−2)である、請求項14に記載の薬剤。
  16. 被験体中の筋肉量を増加する方法であって、該方法は請求項1に記載の薬剤の投与を包含する、方法。
  17. 被験体の代謝障害を処置する方法であって、該方法は請求項1に記載の薬剤の投与を包含する、方法。
  18. 前記代謝障害が筋肉消耗障害である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記筋肉消耗障害が、デュシェンヌ筋ジストロフィーを含む筋ジストロフィー;癌もしくは後天性免疫不全症候群に関連する悪液質を含む悪液質;または加齢に伴う筋肉減少症を含む筋肉減少症に関連する、請求項18に記載の方法。
  20. 前記代謝障害が糖尿病である、請求項17に記載の方法。
  21. 前記代謝障害が肥満と関連する、請求項17に記載の方法。
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