JP2006506323A - インテグリンα−v−β−6に結合する抗体およびその使用方法 - Google Patents

インテグリンα−v−β−6に結合する抗体およびその使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、インテグリンαvβ6に結合するモノクローナル抗体mBLA3および他の等価の抗体を提供する。本発明はまた、癌関連抗原インテグリンαvβ6の種々のヒト癌に関する同定および特徴付け、ならびにこれらのヒト癌の診断方法および処置方法を、提供する。本発明は、インテグリンのβ6サブユニットに結合する抗体およびポリペプチド、ならびにインテグリンのβ6サブユニットに結合するこれらの抗体およびポリペプチドの製造方法および使用方法を提供する。

Description


(関連出願)
本出願は、米国仮特許出願第60/372,277号(2002年4月12日出願)および米国仮特許出願第60/373,274号(2002年4月16日出願)の利益を主張し、これらはその全体において参考として援用される。
(技術分野)
本発明は、癌生物学および免疫治療の分野における。より具体的には、種々のヒト癌に存在する、インテグリンα−v−β−6に結合するモノクローナル抗体mBLA3のような抗体の発見、そのような癌の診断方法および/または治療方法に関する。
(発明の背景)
免疫治療あるいは治療目的の抗体の使用は、近年癌を治療するために用いられている。受動免疫治療には、癌治療におけるモノクローナル抗体の使用などが含まれる。例えば、Cancer:Principles and Practice of Oncology、第6版(2001)20章p.495〜508を参照のこと。これらの抗体は、細胞の増殖の直接阻害または生存の直接阻害、および生体の免疫系の天然の細胞殺傷活性を補充するその能力の双方により、固有の治療生物活性を有し得る。これらの薬物は、単独であるいは放射線または化学治療薬剤と併用して投与され得る。Rituxan(登録商標)およびHerceptin(登録商標)は、それぞれリンパ腫の治療および乳癌の治療に認可されており、そのような治療法の二つの例である。あるいは、抗体は、抗体結合体(conjugate)をつくるために使用され得、そこで抗体は毒性剤と結合し、腫瘍と特異的に結合することにより、この薬物を腫瘍に導く。Mylotarg(登録商標)は、白血病処置に使用される認可された抗体結合体の一例である。癌細胞に結合し、診断および治療に利用される可能性のあるモノクローナル抗体は、刊行物において開示されている。例えば、特にいくつかの標的タンパク質の分子量を開示する以下の特許出願を参照のこと。米国特許第6,054,561号(200kD c−erbB−2(Her2)、および40〜200kDの大きさのその他の未知の抗原)および米国特許第5,656,444号(50kDおよび55kD、腫瘍胎児タンパク質)。臨床試験における抗体の例および/または固形腫瘍の治療に認可されている抗体の例としては、以下が挙げられる:Herceptin(抗原:180kD、HER2/neu)、Panorex(抗原:40〜50kD、Ep−CAM)、HMFG1(抗原>200kD、HMW ムチン)、C225(抗原:150kDおよび170kD、EGFレセプター)、Campath(抗原:21〜28kD、CD52)、およびRituxan(抗原:35kD、CD20)。
別の免疫治療のタイプは、能動免疫治療すなわちワクチン接種であり、ここで、抗原の発現を導く特定の癌またはDNA構築物において存在する抗原は、次いで、個体に免疫反応を引き起こす、すなわち、個体がそれ自体の癌に対する抗体を活発に産生するように誘導する。能動免疫は、受動免疫治療または受動免疫毒素ほど頻繁に用いられていない。
インテグリンα−v−β−6(αvβ6)は、癌に関連することが報告されている。例えば、以下を参照のこと:J.M.Breussら、J.Cell Science 108:2241−2251(1995);K.Arihiroら、Breast Cancer 7:19−26(2000);M.Agrezら、Int.J.Cancer 81:90−97(1999);M.Buskら、J.Biol.Chem.267:5790−5796(1992);J.Jonesら、J.Oral.Pathol.Med 26:63−8(1997);M.Lehmannら、Cancer Res.54:2101−7(1994);M.Agrezら、J.Cell.Biol.127:547−56(1994);およびR.B.Dixitら、J.Biol.Chem.271(42):25976−25980(1996);N.Ahmedら、J.Histochem.Cytochem.50(10):1371−80(2002)。インテグリンαvβ6に対するいくつかのモノクローナル抗体が作製されている。例えば、米国特許第6,316,601号;M.Lehmannら、Cancer Res.54:2102−7(1994);A.Weinackerら、J.Biol.Chem.269:6940−6948(1994);J.M.Breussら、J.Cell Science 108:2241−2251(1995);K Arihiroら、Breast Cancer 7:19−26(2000);およびJ.Jonesら、J.Oral.Pathol.Med.26:63−8(1997)。αv−インテグリンに対するその他のモノクローナル抗体は、開示されている。例えば、Mitjansら(米国特許第5,985,278号)を参照のこと。その他のモノクローナル抗体は、β6インテグリンについて開示されている。例えば、Huangら(米国特許第6,316,601号)を参照のこと。
インテグリンは、細胞表面接着分子のスーパーファミリーであり、細胞外基質および他の細胞への細胞の接着を制御する。インテグリンは細胞移動、細胞増殖および細胞分化に重要な役割を有する。インテグリンは、サブユニットであるαとβの二つの1型膜貫通糖タンパク質から成るヘテロダイマーである。現在、8つの報告されたβサブユニットおよび16のαサブユニットが存在し、22の公知のインテグリン対に組み合わされる。これらのヘテロダイマー接着分子の各々は異なったリガンド結合プロフィールおよび異なった細胞内/細胞間のシグナル伝達機能を有する。具体的に、αvサブユニットはβ1、β3、β5およびβ6サブユニットと結合し得る。
インテグリンαvβ6に対するモノクローナル抗体は開示されているが、癌増殖阻害特性を有することが示されている抗体は、存在するとしても、ほとんど開示されていない。αvβ6に対する抗体、好ましくは、癌増殖阻害特性を有する、より制限されたβ6サブユニットを標的にする、αvβ6に対する抗体が必要とされる。
(発明の要旨)
本明細書中に開示される発明は、β6インテグリンサブユニットに結合する抗体に関し、これは、種々のヒト癌において発現する。従って、1つの局面において、本発明は、β6インテグリンサブユニットに優先的に結合する抗体またはポリペプチドである(抗体であってもなくてもよい)。1つの実施形態において、この抗体またはこのポリペプチドは、標的抗原(β6インテグリンサブユニット)の変性後も免疫学的に活性であり続ける。別の実施形態において、この抗体またはこのポリペプチドは、非還元標的抗原(β6インテグリンサブユニット)に対してのみ免疫学的に活性である。
別の局面において、本発明は、モノクローナル抗体mBLA3であり、これは、特許受託番号PTA−3775でAmerican Type Culture Collectionに寄託される宿主細胞株により産生される。この抗体mBLA3は、非還元型でのみネイティブのβ6インテグリンサブユニットおよび変性のβ6インテグリンサブユニットに結合する。
別の局面において、本発明は、mBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体またはポリペプチドである(抗体であってもなくてもよい)。いくつかの実施形態において、本発明は、mBLA3が優先的に結合するβ6インテグリンサブユニット上のエピトープと同じエピトープに優先的に結合する抗体またはポリペプチドである。mBLA3が結合するβ6インテグリンサブユニット上のエピトープは、ジスルフィド結合依存性である。
別の局面において、本発明は抗体mBLA3のフラグメントまたは領域を含む抗体である。1つの実施形態において、このフラグメントは、抗体mBLA3の軽鎖である。別の実施形態において、このフラグメントは、抗体mBLA3の重鎖である。なお、別の実施形態において、このフラグメントは、抗体mBLA3の軽鎖および/または重鎖からの1つ以上の可変領域を含む。なお別の実施形態において、このフラグメントは、抗体mBLA3の軽鎖および/または重鎖からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。
別の局面において、本発明は、以下のいずれかを包含するポリペプチドを提供する(抗体であってもなくてもよい):a)抗体mBLA3の軽鎖または重鎖からの1つ以上のCDR、b)抗体mBLA3の軽鎖からの3つのCDR、c)抗体mBLA3の重鎖からの3つのCDR、d)抗体mBLA3の軽鎖からの3つのCDRおよび重鎖からの3つのCDR、e)抗体mBLA3の軽鎖可変領域、f)抗体mBLA3の重鎖可変領域。
別の局面において、本発明は、mBLA3由来のヒト化抗体である。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、抗体mBLA3の1つ以上のCDRを含む。別の局面において、本発明は、mBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害するヒト化抗体を提供する。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、抗体mBLA3と同じエピトープに結合する。一般に、本発明のヒト化抗体は抗体mBLA3のCDRと同じか、および/またはこれに由来する、1つ以上(1、2、3,4、5、6)のCDRを含む。他の局面において、本発明は、mBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害するヒト抗体を提供する。いくつかの実施形態において、ヒト抗体は、β6インテグリンサブユニット上の抗体mBLA3が結合するエピトープと同じエピトープに結合する。
別の局面において、本発明は、抗体mBLA3の重鎖可変領域および軽鎖可変領域に由来する可変領域ならびにヒト抗体の重鎖定常領域および軽鎖定常領域に由来する定常領域を含むキメラ抗体である。
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドは、治療薬剤(例えば、放射性部分)に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドは、プロドラッグを活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合する。
なお別の局面において、本発明は、モノクローナル抗体mBLA3を産生する宿主細胞(ATCC番号PTA−3775)である。
別の局面において、本発明は、ATCCの受託番号PTA−3775の宿主細胞またはその子孫によって産生される抗体mBLA3をコードする単離されたポリヌクレオチドである。別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される抗体(抗体フラグメントを含む)のいずれかおよび任意の他のポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
なお別の局面において、本発明は、β6インテグリンサブユニットのエピトープに特異的な抗体に結合されるβ6インテグリンサブユニットを含む単離された複合体である。1つの実施形態において、抗体はmBLA3である。なお別の局面において、本発明は、β6インテグリンサブユニットのエピトープに特異的な抗体に結合されるインテグリンαvβ6を含む単離された複合体である。1つの実施形態において、抗体はmBLA3である。
なお別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれかに結合されるβ6インテグリンサブユニットを含む複合体である。いくつかの実施形態において、β6インテグリンサブユニットは、αvインテグリンサブユニットに関連する。いくつかの実施形態において、β6インテグリンサブユニットは、乳癌細胞、結腸癌細胞、肺癌細胞、膵臓癌細胞、前立腺癌細胞、食道癌細胞、甲状腺癌細胞、腎臓癌細胞または卵巣癌細胞上に存在する。いくつかの実施形態において、癌細胞は、転移性である。いくつかの実施形態において、抗体は、mBLA3であるか、またはmBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体である。いくつかの実施形態において、抗体mBLA3またはmBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体は、治療薬剤(例えば、放射性部分)に結合する。いくつかの実施形態において、抗体mBLA3またはmBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体は、プロドラッグを活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、mBLA3が優先的に結合するエピトープと同じエピトープに優先的に結合する。いくつかの実施形態において、上述の複合体は、単離される。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれかに結合されるβ6インテグリンサブユニットを発現する癌細胞の複合体である。いくつかの実施形態において、β6インテグリンサブユニットは、αvインテグリンサブユニットに関連する。いくつかの実施形態において、β6インテグリンサブユニットは、乳癌細胞、結腸癌細胞、肺癌細胞、膵臓癌細胞、前立腺癌細胞、食道癌細胞、甲状腺癌細胞、腎臓癌細胞または卵巣癌細胞上に存在する。いくつかの実施形態において、癌細胞は、転移性である。いくつかの実施形態において、抗体は、mBLA3であるかまたはmBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体である。いくつかの実施形態において、抗体mBLA3またはmBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体は、治療薬剤(例えば、放射性部分)に結合する。いくつかの実施形態において、抗体mBLA3またはmBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体は、プロドラッグを活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、抗体mBLA3が優先的に結合するエピトープと同じエピトープに優先的に結合する。いくつかの実施形態において、上述の複合体は、単離される。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれかに結合される、mBLA3が優先的に結合するβ6インテグリンサブユニット上のエピトープの複合体である。いくつかの実施形態において、β6インテグリンサブユニットは、αvインテグリンサブユニットに関連する。いくつかの実施形態において、β6インテグリンサブユニットは、乳癌細胞、結腸癌細胞、肺癌細胞、膵臓癌細胞、前立腺癌細胞、食道癌細胞、甲状腺癌細胞、腎臓癌細胞または卵巣癌細胞上に存在する。いくつかの実施形態において、癌細胞は、転移性である。いくつかの実施形態において、抗体は、mBLA3であるかまたはmBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体である。いくつかの実施形態において、抗体mBLA3またはmBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体は、治療薬剤(例えば、放射性部分)に結合する。いくつかの実施形態において、抗体mBLA3またはmBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体は、プロドラッグを活性抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、抗体mBLA3が優先的に結合する同じエピトープに優先的に結合する。いくつかの実施形態において、上述の複合体は、単離される。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチド(抗体mBLA3のような抗体のいずれかを含む)またはポリヌクレオチドのいずれかを含有する薬学的組成物であり、この薬学的組成物は、抗体mBLA3、治療薬剤に結合する抗体mBLA3、抗体mBLA3のフラグメントを含む抗体、抗体mBLA3のヒト化抗体、抗体mBLA3の可変領域由来の可変領域およびヒト抗体の定常領域由来の定常領域を含むキメラ抗体、もしくは抗体mBLA3の1つ以上の特性を有するヒト抗体、または治療薬剤(例えば、放射性部分)またはプロドラッグを活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合される本明細書中に記載される抗体のいずれかおよび薬学的に受容可能な賦形剤を含有する。
なお別の局面において、本発明は、非癌細胞より癌細胞に対して高い親和性を有するモノクローナル抗体を産生する方法であり、この方法は、以下の工程を包含する:(a)インタクトなヒト胎児膀胱細胞(HFB)により宿主哺乳動物を免疫化する工程;(b)哺乳動物からリンパ球を得る工程;(c)リンパ球(b)と骨髄腫細胞株とを融合させ、ハイブリドーマを産生する工程;(d)(c)のハイブリドーマを培養して、モノクローナル抗体を産生する工程;(e)抗体をスクリーニングして、癌細胞または癌細胞株に結合するが、非癌細胞もしくは非癌細胞株には結合しない、または正常細胞により低いレベルで結合するか、または異なる様式で結合する抗体のみを選択する工程。
別の局面において、本発明は、抗体mBLA3を産生する方法であり、この方法は、抗体mBLA3の産生を可能にする条件下で宿主細胞(ATCC番号PTA−3775)またはその子孫を培養する工程、および抗体mBLA3を精製する工程を包含する。他の実施形態において、本発明の抗体は、抗体の産生を可能にする条件下で抗体を産生するハイブリドーマを培養することにより産生される。次いで、この抗体は、精製または単離され得る。
別の局面において、本発明は、適切な細胞において抗体(単一の軽鎖もしくは重鎖として別々に発現され得るか、または軽鎖および重鎖の双方が1つのベクターから発現される)抗体をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを発現させることにより、本明細書中に記載される抗体(またはポリペプチド)のいずれかを産生し、その後、一般に目的の抗体またはポリペプチドを回収および/または単離する方法を、提供する。
別の局面において、本明細書中に記載される抗体mBLA3または任意のβ6インテグリンサブユニット結合部分(ポリペプチドであり、このポリペプチドとしては種々の抗体および抗体誘導体が挙げられるがそれらに限定されない)を用いて個体の細胞からβ6インテグリンサブユニットを検出することにより、本発明は、個体において癌を診断する(例えば、有無を検出または同定する)方法である。いくつかの実施形態において、癌は、乳癌、結腸癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、食道癌、甲状腺癌、腎臓癌および卵巣癌である。いくつかの実施形態において、この方法は、細胞からのβ6インテグリンサブユニットのレベル(または、いくつかの実施形態においては、存在もしくは非存在)を検出する。β6インテグリンサブユニットの存在は、β6インテグリンサブユニットとβ6インテグリンサブユニット結合部分との間の複合体を検出することにより検出される。本明細書中で使用される用語「検出」は、コントロールに言及するかもしくは言及しない、質的検出および/または量的検出レベルの(測定)を含む。
なお別の局面において、本発明は、個体由来の細胞から抗原β6インテグリンサブユニットを検出することにより、個体において、前立腺癌を診断する(例えば、存在もしくは非存在を検出または同定する)方法である。これらの実施形態について、任意の抗体(またはβ6インテグリンサブユニットに結合する部分)が使用され得る。1つの実施形態において、細胞からのβ6インテグリンサブユニットは、本明細書中に記載される抗体mBLA3または任意のβ6インテグリンサブユニット結合部分(ポリペプチドであり、このポリペプチドとしては種々の抗体および抗体誘導体が挙げられるがそれらに限定されない)により検出される。いくつかの実施形態において、前立腺癌は、転移性である。
なお別の局面において、本発明は、個体由来の細胞から抗原β6インテグリンサブユニットを検出することにより、個体において、転移性癌を診断する方法である。いくつかの実施形態において、転移性癌は、転移性乳癌、転移性前立腺癌、転移性腎臓癌、転移性甲状腺癌、転移性食道癌または転移性卵巣癌である。いくつかの実施形態において、抗原β6インテグリンサブユニットは、本明細書中に記載される抗体mBLA3または任意のβ6インテグリンサブユニット結合部分(ポリペプチドであり、このポリペプチドとしては種々の抗体および抗体誘導体が挙げられるがそれらに限定されない)により結合される抗原β6インテグリンサブユニットの複合体を検出することにより検出される。
別の局面において、本発明は、癌細胞の増殖を低下させるのに十分なβ6インテグリンサブユニットに結合する抗体を含有する有効量の組成物を投与することにより、癌を処理する方法である。いくつかの実施形態において、抗体は、抗体mBLA3であるか、または本明細書中に記載される抗体(ポリペプチドを含む)もしくはポリヌクレオチドの実施形態のいずれかであり、これらの実施形態としては、治療薬剤に関連する抗体mBLA3、抗体mBLA3のフラグメントまたは領域を含む抗体、ヒト化抗体、(一般に、抗体mBLA3の1つ以上のCDRを含むが、必ずしも含まなくてもよい)抗体mBLA3の可変領域由来の可変領域およびヒト抗体の定常領域由来の定常領域を含むキメラ抗体、抗体mBLA3の1つ以上の特性を有するヒト抗体、治療薬剤(例えば、放射性部分)に結合される本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれか、またはプロドラッグを活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合される本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれか(この抗体またはポリペプチドはプロドラッグとの併用により投与される)が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、癌は、乳癌、結腸癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、食道癌、甲状腺癌、腎臓癌または卵巣癌である。
なお別の局面において、本発明は、β6インテグリンサブユニットに結合する抗体を含有する有効量の組成物を個体に投与することにより、個体において、癌細胞の増殖(growth)および/または増殖(proliferation)を阻害する方法である。いくつかの実施形態において、抗体は抗体mBLA3であるか、または本明細書中に記載される抗体(ポリペプチドを含む)もしくはポリヌクレオチドの実施形態のいずれかであり、これらの実施例としては、治療薬剤に関連する抗体mBLA3、抗体mBLA3のフラグメントまたは領域を含む抗体、ヒト化抗体(抗体mBLA3の1つ以上のCDRを含むが、必ずしも含まなくてもよい)、抗体mBLA3の可変領域由来の可変領域およびヒト抗体の定常領域由来の定常領域を含むキメラ抗体、抗体mBLA3の1つ以上の特性を有するヒト抗体、治療薬剤(例えば、放射性部分)に結合される本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれか、またはプロドラッグを活性抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合される本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれか(この抗体またはポリペプチドはプロドラッグとの併用により投与される)が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、癌は、乳癌、結腸癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、食道癌、甲状腺癌、腎臓癌または卵巣癌である。
なお別の局面において、本発明は、癌を有する個体における転移進行を遅らせる方法であり、この方法は、β6インテグリンサブユニットに特異的に結合する有効量抗体を投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、抗体は抗体mBLA3または本明細書中に記載される抗体(ポリペプチドを含む)もしくはポリヌクレオチドの実施形態のいずれかであり、これらの実施例としては、治療薬剤に関連する抗体mBLA3、抗体mBLA3のフラグメントまたは領域を含む抗体、ヒト化抗体(一般に、抗体mBLA3の1つ以上のCDRを含むが、必ずしも含まなくてもよい)、抗体mBLA3の可変領域由来の可変領域およびヒト抗体の定常領域由来の定常領域を含むキメラ抗体、抗体mBLA3の1つ以上の特性を有するヒト抗体、治療薬剤(例えば、放射性分子)に結合される本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれか、またはプロドラッグを活性抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合される本明細書中に記載される抗体またはポリペプチドのいずれか(この抗体またはポリペプチドはプロドラッグとの併用により投与される)が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、癌は、乳癌、結腸癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、食道癌、甲状腺癌、腎臓癌または卵巣癌である。
別の局面において、本発明は、有効量の抗体をまたはプロドラッグを活性抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素個体に投与することにより、治療薬剤(例えば、毒素または放射性部分)またはプロドラッグを活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素を送達する方法である。この抗体は、本明細書中に記載されるβ6インテグリンサブユニットまたは任意のβ6インテグリンサブユニット結合部分(ポリペプチドであり、このポリペプチドとしては抗体または抗体誘導体が挙げられるがそれらに限定されない)に特異的に結合し、これらのβ6インテグリンサブユニット結合部分は、治療薬剤(例えば、化学治療薬剤、毒素または放射性部分)に結合する。プロドラッグ活性化酵素に結合されるβ6インテグリンサブユニット結合部分は、有効量のプロドラッグと併用して個体に投与される。β6インテグリンサブユニット結合部分としては、mBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体、mBLA3が優先的に結合するのと同じβ6インテグリンサブユニット上のエピトープに優先的に結合する抗体、抗体mBLA3、抗体mBLA3のフラグメントもしくは領域を含む抗体、ヒト化抗体(一般に、抗体mBLA3の1つ以上のCDRを含むが、必ずしも含まなくてもよい)、抗体mBLA3の可変領域由来の可変領域およびヒト抗体の定常領域由来の定常領域を含むキメラ抗体、または抗体mBLA3の1つ以上の特性を有するヒト抗体が挙げられるがそれらに限定されない。いくつかの実施形態において、癌細胞は、乳癌、結腸癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、食道癌、甲状腺癌、腎臓癌または卵巣癌からの細胞である。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される1つ以上の組成物を含むキットを提供する。これらのキットは、一般に適した包装で適切な使用説明書と共に提供され、本明細書中に記載される方法のいずれかについて有用である。
(発明の詳細な説明)
本発明は、インテグリンのβ6サブユニットに結合する抗体およびポリペプチド、ならびにインテグリンのβ6サブユニットに結合するこれらの抗体およびポリペプチドの製造方法および使用方法を提供する。β6インテグリンサブユニットは、種々のヒト癌において存在することが示されており、その発現は、種々のヒト癌において増加する。本明細書中に記載される抗体は、β6インテグリンサブユニットに結合する。本発明は、β6インテグリンサブユニットの発現に関連する種々のヒト癌の診断方法および処理方法をさらに提供する。
(I.一般的技術)
本発明の実施は、特に示さない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技術を利用し、これらは、当業者の技術の範囲内である。そのような技術は、以下のような文献において十分に説明されている:Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrookら、1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.Griffiths、およびD.G.Newell編、1993−8)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら、編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction、(Mullisら、編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら、編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty、編、IRL Press、1988−1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean、編、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra、編、Harwood Academic Publishers、1995);および Cancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVitaら、編、J.B.Lippincott Company、1993)。
(II.定義)
「抗体」は、免疫グロブリン分子であり、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位経由で、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどのような特定の標的に結合可能である。本明細書中で使用されるように、この用語は、インタクトなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のみならず、そのフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv)、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、および必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他の改変された立体配置も包含する。
「モノクローナル抗体」とは、同質な抗体集団をいい、ここで、モノクローナル抗体は、抗原の選択的結合に関与するアミノ酸(天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸)から成る。モノクローナル抗体は、極めて特異的であり、単一の抗原性部位に指向する。用語「モノクローナル抗体」は、インタクトなモノクローナル抗体および全長のモノクローナル抗体のみならず、そのフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv)、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、ならびに必要な特異性および抗原と結合する能力の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された配置も包含する。抗体の供給源またはそれが作製される様式(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物など)の点で限定されることは意図されない。
「ヒト化」抗体とは、非ヒト種からの免疫グロブリンに実質的に由来する抗原結合部位を有し、ヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づく分子の免疫グロブリン構造を残存する分子をいう。抗原結合部位は、定常ドメイン上に融合される完全な可変ドメインまたは可変ドメインにおける適切なフレームワーク領域に移植される相補性決定領域(CDR)のみのどちらかを含み得る。抗原結合部位は、野生型であり得るか、または1つ以上のアミノ酸置換により改変され得る;例えば、ヒト免疫グロブリンにさらにより似るように改変される。ヒト化抗体のいくつかの形は、全てのCDR配列を保存する(例えば、マウス抗体からの全ての6つのCDRを含むヒト化マウス抗体)。ヒト化抗体の他の形態は、元の抗体に対して変更された1つ以上(1、2、3、4、5、6)のCDRを有し、それは、mBLA3からの1つ以上のCDR「に由来する」1つ以上のCDRとも呼ばれる。
「キメラ抗体」とは、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列のそれぞれの1つの部分が、特定の種に由来する抗体または特定のクラスに属する抗体における対応する配列と相同であり、一方、鎖の残りのセグメントが、別の抗体における対応する配列と相同である抗体をいう。代表的に、これらのキメラ抗体において、軽鎖および重鎖の双方の可変領域は、1種の哺乳動物に由来する抗体の可変領域を模倣し、一方、定常部分は、別の種の哺乳動物に由来する抗体における配列と相同である。そのようなキメラ形態に対する1つの明確な利点は、例えば、可変領域が、都合よく現在公知の供給源に由来し得、非ヒト宿主生物から容易に入手可能なハイブリドーマまたはB細胞を用いて、例えば、ヒト細胞調製物に由来する定常領域と組み合わせ得ることである。可変領域は、調製の容易さの利点を有し、その特異性はその供給源の影響を受けないが、ヒトである定常領域は、非ヒト供給源由来の定常領域より、抗体が注射されるときに、ヒト被験体からの免疫応答を誘発しにくい。しかし、その定義は、この特定の例に限定されない。
エピトープであるものに関する用語「免疫学的に活性である」、または「免疫学的に活性なままである」とは、異なる条件下で、例えば、エピトープが、還元されているおよび変性している条件に供された後に、エピトープと結合する抗体(例えば、mBLA3)の能力をいう。
抗体またはポリペプチドに「特異的に結合する」または「優先的に結合する」(本明細書中で同義的に使用される)エピトープは、当業者に周知の用語であり、そのような特異的な結合または優先的な結合を決定する方法はまた、当業者に周知である。分子は、代替の細胞または物質よりも特定の細胞または物質に、より頻繁に、より迅速に、より長い持続時間および/またはより高い親和性で、反応するかまたは結合する場合に、「特異的な結合」または「優先的な結合」を示すと言われている。抗体は、他の物質と結合するよりも、より高い親和性および結合活性で、より迅速に、および/またはより長い持続時間で結合する場合に、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。例えば、β6インテグリンサブユニットエピトープと特異的にまたは優先的に結合する抗体は、他のβ6インテグリンサブユニットエピトープまたは非β6インテグリンサブユニットエピトープと結合するよりも、より高い親和性および結合活性で、より迅速に、および/またはより長い持続時間で、このβ6インテグリンサブユニットエピトープと結合する抗体である。この定義を読むことにより、例えば、第一の標的と特異的にまたは優先的に結合する抗体(部分またはエピトープ)が、第二の標的と、特異的にまたは優先的に結合してもしなくてもよいこともまた理解される。このように、「特異的な結合」または「優先的な結合」は、排他的な結合を(含み得るが)必ずしも要しない。一般に、結合への言及は、優先的な結合を意味するが、必ずしも意味する必要はない。
本明細書中で使用されるように、用語「mBLA3」、「抗体mBLA3」および「モノクローナル抗体mBLA3」とは、ATCC受託番号PTA−3775の宿主細胞またはその子孫により産生された免疫グロブリンをいうために、同義的に使用される。mBLA3の作成および特徴づけは、実施例に記載される。異なる生物学的機能は、mBLA3に関連し、これらの機能としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:β6インテグリンサブユニットと結合する能力;ネイティブのβ6インテグリンサブユニットまたは変性したβ6インテグリンサブユニットと結合する能力;β6インテグリンサブユニットエピトープと結合する能力(ジスルフィド結合依存性である);大腸癌細胞のようなβ6インテグリンサブユニットを発現する癌細胞の増殖を阻害する能力;β6インテグリンサブユニットを発現する癌細胞を有する個体において転移の進行を遅らせる能力;毒素、放射性化合物もしくは放射性部分のような治療薬剤、またはプロドラッグを活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素をβ6インテグリンサブユニットを発現する癌細胞に送達する能力。本明細書中で考察されるように、本発明のポリペプチド(抗体を含む)は、これらの特性のうちのどれか1つ以上を有し得る。
「mBLA3等価抗体」または「mBLA3等価ポリペプチド」とは、例えば、結合特異性のような、mBLA3に関連する1つ以上の生物学的機能を有する抗体またはポリペプチドをいう。
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」とは、本明細書中で同義的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直線状または分枝状であり得、改変アミノ酸を含み得、非アミノ酸により中断され得る。この用語は、天然にまたは介入により改変されているアミノ酸ポリマーも包含する。(例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または、標識成分との結合のような任意の他の操作または改変)。また、この定義内に包含されるものの例としては、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含む)の1つ以上のアナログを含むポリペプチド、および当業者に公知の他の改変が挙げられる。本発明のポリペプチドは、抗体に基づくため、このポリペプチドは、単鎖または結合鎖として存在し得ることが理解される。
抗体の「可変領域」とは、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域のどちらか1つまたは組み合わせをいう。
抗体の「定常領域」とは、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域のどちらか1つまたは組み合わせをいう。
本明細書中で使用されるように、「実質的に純粋」とは、物質が、少なくとも50%純粋(すなわち、汚染されていない)、より好ましくは少なくとも90%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、より好ましくは少なくとも98%純粋、より好ましくは少なくとも99%純粋、またはそれ以上の純粋なことをいう。
「宿主細胞」としては、ポリヌクレオチド挿入物の取り込みのためのベクターのレシピエントであり得るかまたはそのレシピエントである、個々の細胞または細胞培養が挙げられる。宿主細胞としては、単一の宿主細胞の子孫が挙げられ、その子孫は、天然の変異、偶然の変異、または故意の変異に起因して、元の親細胞と(形態またはゲノムDNA補体において)必ずしも完全に同一とは限らない。宿主細胞としては、本発明のポリヌクレオチドによりインビボでトランスフェクトされた細胞が挙げられる。
抗体、薬物、または薬学的組成物の「有効量」は、以下のような臨床結果を含む有益な結果または所望の結果をもたらすのに十分な量である;腫瘍の大きさの縮小(癌(例えば、乳癌または前立腺癌)の状況)、癌細胞の増殖阻止、疾患に起因する1つ以上の症状の軽減、疾患を患っている人々の生活の質の向上、疾患を処置するために必要な他の医薬品の用量の減少、標的化などによる別の医薬品の効果の亢進、疾患の進行の遅延、および/または個体の生存の延長。有効量は、1回以上の投与において投与され得る。本発明の目的のために、薬物、化合物、または薬学的組成物の有効量は、直接的かまたは間接的に、癌細胞の増殖を減少させる(または、癌細胞を破壊する)のに十分な量、ならびに癌細胞の転移の進行または増殖を、減少および/または遅延させるのに十分な量である。癌の臨床状況において理解される場合、薬物、化合物、または薬学的組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または薬学的組成物と組み合わせて達成されても達成されなくてもよい。このように、「有効量」は、1つ以上の治療薬剤を投与する状況において考えられ得、単一薬剤は、1つ以上の他の薬物と組み合わせて、所望の結果が達成され得るかまたは達成される場合に、有効量で投与されるとみなされ得る。
本明細書中で使用される場合、「と組み合わせて」とは、別の処置様式に加える1つの処置様式の投与をいい、例としては、同じ個体にへの、プロドラッグを活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に連結されるβ6インテグリンサブユニット結合部分の投与に加えた、プロドラッグの個体への投与が挙げられる。このような場合、「と組み合わせて」とは、個体への、他の処置様式の投与前、投与中または投与後の、1つの処置様式の投与をいう。
本明細書中で使用される場合、「処置」または「処置する」とは、好ましくは臨床結果を含む、有益な結果または所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有益な臨床結果または所望の臨床結果としては、以下のうちの1つ以上が挙げられるが、それらに限定されない:癌細胞の増殖の減少(または、癌細胞の破壊)、癌において見出された癌細胞の転移の減少、腫瘍の大きさの縮小、疾患に起因する症状の軽減、疾患を患っている人々の生活の質の向上、疾患を処置するために必要な他の医薬品の用量の減少、疾患の進行の遅延、および/または個体の生存の延長。
本明細書中で使用される場合、「転移の進行を遅延させること」は、転移の進行を、延期させること、阻止すること、遅らせること(slow)、遅延させること(retard)、安定させること、および/または延期することを意味する。この遅延は、処置されている癌および/または個体の病歴に応じて、時間の長さが変わり得る。当業者に明らかであるように、十分な遅延または有意な遅延は、実際において、個体において転移が発生しないための予防を含み得る。
「生物学的サンプル」は、個体から得られる種々のサンプル型を包含し、診断的アッセイまたはモニタリングアッセイにおいて使用され得る。この定義は、生物学的供給源の血液および他の液体サンプル、生検標本もしくは組織培養物またはそれ由来の細胞およびその子孫のような固形組織サンプルを包む。また、この定義は、獲得後に任意の方法で操作されたサンプルを含み、その任意の方法の例としては、試薬による処理、タンパク質もしくはポリヌクレオチドのような特定成分の可溶化もしくは富化、または薄切目的のための半固形マトリックスもしくは固形マトリックスへの包理が挙げられる。用語「生物学的サンプル」は、臨床サンプルを含み、そして、培養細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的流体、および細胞サンプルを含む。
「個体」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物としては、家畜、スポーツ動物、ペット(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長動物、マウスおよびラットが挙げられるが、それらに限定されない。
「毒素」または「細胞毒素」とは、細胞内部に有害な応答をもたらす任意の物質をいう。例えば、癌細胞に関する毒素は、癌細胞に対する有害(adverse)な作用、ときに悪影響(deleterious effect)、を有し得る。毒素の例としては、ラジオアイソトープ、カリケアミシン、およびメイタンシノイドが挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、「因子(agent)」とは、生物学的化合物、薬学的化合物、または化学的化合物をいう。非限定的な例としては、単純な有機分子、単純な無機分子、錯体有機分子もしくは錯体無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、または抗体フラグメントが挙げられる。種々の化合物が、合成され得、例としては、低分子およびオリゴマー(例えば、オリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチド)、ならびに種々のコア構造に基づく合成有機化合物が挙げられる。さらに、種々の天然供給源は、植物抽出物または動物抽出物などのようなスクリーニング用の化合物を提供し得る。
本明細書中で使用される場合、「治療薬剤」は、治療(本明細書では、一般に、癌の状況において)に有用な任意の薬物を意味し、それらとしては、抗腫瘍薬物、毒素または細胞毒素、細胞毒素薬剤、および放射性薬剤が挙げられる。
用語「プロドラッグ」とは、親薬物と比較して腫瘍細胞に対してより細胞毒素が少なく、酵素的に活性であるかまたはより活性な型に変換されることが可能な、薬学的に活性な物質の、前駆体または誘導体をいう。
「活性な免疫応答」とは、宿主哺乳動物への静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、またはアジュバントを用いるかもしくは用いない他の投与様式による、抗原またはその抗原をコードするDNAベクターの投与に応答して、抗原に対して指向されたインビボでの抗体の、発生および進行中の産生をいう。活性な免疫応答はまた、細胞性免疫応答のような、免疫応答の他の局面も含み得る。
(III.組成物および組成物を作製する方法)
本発明は、抗体(mBLA3、およびmBLA3等価抗体またはmBLA3等価ポリペプチド(mBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体を含むか、または、いくつかの実施形態において、この抗体は、mBLA3が優先的に結合する際に、β6インテグリンサブユニット上の同一のエピトープと結合する)を含む)を包含する。本発明はさらに、組成物を包含し、それらとしてはβ6インテグリンサブユニットに結合する、本明細書中に記載される抗体、ポリペプチドおよびタンパク質を含有する薬学的組成物、ならびにβ6インテグリンサブユニットに結合する抗体、ポリペプチドおよびタンパク質をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含有する薬学的組成物が挙げられる。本明細書中で使用される場合、組成物は、β6インテグリンサブユニットに結合する1つ以上の抗体、ポリペプチドおよび/もしくはタンパク質、ならびに/またはβ6インテグリンサブユニットに結合する1つ以上の抗体、ポリペプチドおよびタンパク質をコードする配列を含む1つ以上のポリヌクレオチドを含有する。さらに、これらの組成物は、当業者に周知の緩衝液を含む薬学的に受容可能な賦形剤のような適切な賦形剤を含有し得る。
本発明の抗体、ポリペプチドおよびタンパク質は、さらに、任意の(1つ以上の)以下の判定基準により識別され、特徴づけられる:(a)β6インテグリンサブユニットと結合する能力;(b)mBLA3とβ6インテグリンサブユニットとの優先的な結合を競合阻害する能力であって、mBLA3が優先的に結合するβ6インテグリンサブユニットエピトープに優先的に結合する能力を含み、この結合は、抗原の変性と関係があるか、または関係がない、ジスルフィド結合である;(c)乳癌細胞、大腸癌細胞、肺癌細胞、膵臓癌細胞、前立腺癌細胞、食道癌細胞、甲状腺癌細胞または腎臓癌細胞のような、癌細胞上のβ6インテグリンサブユニットに結合する能力;(d)大腸癌細胞のような、β6インテグリンサブユニットを発現する癌細胞の増殖(growth)および/または増殖(proliferation)を阻害する能力;(e)β6インテグリンサブユニットを発現する癌細胞を有する個体における転移の進行を遅らせる能力;(f)毒素もしくは放射性部分のような治療薬剤、またはプロドラッグをβ6インテグリンサブユニットを発現する癌細胞に対して活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素を送達する能力。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、ATCC受託番号PTA−3775を有する宿主細胞またはその子孫により産生される抗体mBLA3である。本発明はまた、mBLA3およびmBLA3等価抗体またはポリペプチドフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、単鎖抗体(ScFv)、その変異体、抗体部分を含有する融合タンパク質、ヒト化抗体の種々の形成、ならびに必要な特異性の認識部位である抗原(β6インテグリンサブユニット)を含むmBLA3の他の任意の改変された配置を包含する。本発明はまた、1つ以上のmBLA3の生物学的特性を示すヒト抗体を提供する。mBLA3の等価抗体(ヒト化抗体およびヒト抗体を含む)、mBLA3のポリペプチドフラグメント、およびこれらの任意のフラグメントを含むポリペプチドは、上述の6つの判定基準のうちのいずれか(1つ以上)により確認され、特徴づけられる。
いくつかの実施形態において、本発明のβ6インテグリンサブユニットに結合する抗体、ポリペプチドおよびタンパク質は、β6インテグリンサブユニットとのmBLA3の優先的結合を競合的に阻害する抗体、ポリペプチドおよびタンパク質である。いくつかの実施形態において、抗体、ポリペプチドおよびタンパク質は、抗体mBLA3が優先的に結合する際に、β6インテグリンサブユニット上の同一のエピトープに優先的に結合する。
従って、本発明は、以下のいずれか(または、以下のいずれかを含有する薬学的組成物を含む組成物)を提供する:(a)ATCC受託番号PTA−3775を有する宿主細胞またはその子孫により産生される抗体mBLA3;(b)抗体mBLA3のヒト化形態;(c)抗体mBLA3の1つ以上の軽鎖および/または重鎖の可変領域を含む抗体;(d)抗体mBLA3の重鎖および軽鎖の可変領域に相同な可変領域またはそれに由来する可変領域、ならびにヒト抗体の重鎖および軽鎖の定常領域に相同な定常領域またはそれに由来する定常領域を含むキメラ抗体;(e)mBLA3の1つ以上(少なくとも、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ)の軽鎖および/または重鎖のCDRを含む抗体;(f)mBLA3の重鎖および/または軽鎖を含む抗体;(g)mBLA3と等価であるヒト抗体。この抗体のヒト化型は、mBLA3、すなわちATCC受託番号PTA−3775を有する宿主細胞により産生される抗体と同一なCDRを有してもよく、または有さなくてもよい。CDR領域の決定は、当業者に周知である。いくつかの実施形態において、本発明は、mBLA3、すなわちATCC受託番号PTA−3775を有する宿主細胞により産生される抗体の、少なくとも1つのCDR、少なくとも2つのCDR、少なくとも3つのCDR、少なくとも4つのCDR、もしくは少なくとも5つのCDRに実質的に相同である(または、いくつかの実施形態において、mBLA3の6つ全てのCDRに実質的に相同であるかもしくはmBLA3に由来する)、少なくとも1つのCDRを含む抗体を提供する。他の実施形態は、mBLA3の、またはmBLA3に由来する、少なくとも2つのCDR、少なくとも3つのCDR、少なくとも4つのCDR、少なくとも5つのCDR、または少なくとも6つのCDRに実質的に相同である、少なくとも2つのCDR、少なくとも3つのCDR、少なくとも4つのCDR、少なくとも5つのCDR、もしくは少なくとも6つのCDRを有する抗体、またはATCC受託番号PTA−3775を有する宿主細胞により産生される抗体を包含する。本発明の目的のために、活性の程度はmBLA3と比べて変動し得る(より大きくてもよくまたはより小さくてもよい)が、結合特異性および/または総合的な活性(癌細胞の増殖(growth)および/もしくは増殖(proliferation)の減少、癌細胞におけるアポトーシス細胞死の誘発、転移の進行の遅延、ならびに/または緩和的な処理に関してであり得る)は、一般に保持されることが理解される。本発明はまた、これらの抗体のいずれかを作製する方法を提供する。抗体を作製する方法は、当業者に公知であり、本明細書中に記載される。
本発明はまた、本発明の抗体(例えばmBLA3)のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、抗体mBLA3の1つ以上の軽鎖および/または重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、mBLA3の1つ以上の軽鎖および/または重鎖のCDRを含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、mBLA3の軽鎖および/または重鎖の3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、以下のいくつかを有するmBLA3のアミノ酸配列を含む:mBLA3の配列の少なくとも5個連続するアミノ酸、mBLA3の配列の少なくとも8個連続するアミノ酸、mBLA3の配列の少なくとも約10個連続するアミノ酸、mBLA3の配列の少なくとも約15個連続するアミノ酸、mBLA3の配列の少なくとも約20個連続するアミノ酸、mBLA3の配列の少なくとも約25個連続するアミノ酸、mBLA3の配列の少なくとも約30個連続するアミノ酸、ここで、このアミノ酸のうち少なくとも3つは、mBLA3の可変領域に由来する。1つの実施形態において、可変領域は、mBLA3の軽鎖に由来する。別の実施形態において、可変領域は、mBLA3の重鎖に由来する。別の実施形態において、5個(またはそれ以上)連続するアミノ酸は、mBLA3の相補性決定領域(CDR)に由来する。
抗体は、ポリクローナル(例えば、同質ではない)またはモノクローナルであり得る。モノクローナル抗体を作製する方法は、当業者に公知である。採用され得る1つの方法は、KohlerおよびMilsteinの方法(Nature 256:495〜497(1975))またはその改変方法である。一般に、マウスまたはラットは、免疫化に使用されるが、他の動物も、使用され得る。免疫原は、初代細胞、培養細胞株、癌細胞、核酸、組織またはペプチドであり得るが、それらに限定されない。1つの実施形態において、ヒト胎児膀胱細胞が、使用される。ヒト胎児膀胱細胞を単離および培養する方法は、実施例1に詳述されている。例えば、ヒト胎児膀胱細胞のような、免疫原として使用される細胞は、その免疫原としての使用の前の期間(少なくとも24時間)、培養され得る。細胞(例えば、ヒト胎児膀胱細胞)は、それ自体で、または、Ribiのような非変性化アジュバントと組み合わせて、免疫原として使用され得る。一般に、細胞(例えば、ヒト胎児膀胱細胞)は、免疫原として使用される場合、インタクトなままであるべきであり、好ましくは、生存可能なままであるべきである。インタクトな細胞は、免疫化した動物によって、破裂細胞より抗原をより良く検出可能にし得る。変性化アジュバントまたはFreudのアジュバントなどの粗い(harsh)アジュバントの使用は、ヒト胎児膀胱細胞を破裂させ得ることにより、弱める。免疫原は、隔週または毎週のような定期的間隔で多回投与され得るか、または動物の(例えば、組織組換えにおいて)生存度を維持するような方法で投与され得る。実施例2は、mBLA3を作成するために使用される方法を記載し、β6インテグリンサブユニットに結合する他のモノクローナル抗体を作製するために使用され得る。
1つの実施形態において、β6インテグリンサブユニットに結合するモノクローナル抗体は、β6インテグリンサブユニットを発現または過剰発現する宿主細胞または免疫原として癌細胞を発現するβ6インテグリンサブユニットを用いることによって得られる。別の実施形態において、全長β6インテグリンサブユニットまたはβ6インテグリンサブユニットの任意のフラグメントは、免疫原として使用される。
抗体応答をモニタリングするために、小さな生物学的サンプル(例えば、血液)は、動物から入手し得、免疫原に対する抗体力価を試験され得る。脾臓および/またはいくつかの大リンパ節は、除去され得、単一細胞内に解離され得る。所望の場合、脾臓細胞は、抗原で十分にコーティングされたプレートまたはウェルに、細胞懸濁液を適用することにより(非特異的接着細胞の除去後に)スクリーニングされ得る。抗原に特異的な膜結合免疫グロブリンを発現するB細胞は、プレートに結合し、他の懸濁液で洗い流されない。次いで、得られたB細胞または全ての解離された脾臓細胞は、骨髄腫細胞と融合され得る(例えば、X63−Ag8.653およびSalk Institute,Cell Distribution Center,San Diego,CAからのもの)。ポリエチレングリコール(PEG)は、脾臓またはリンパ球を骨髄腫細胞と融合し、ハイブリドーマを形成するために使用され得る。ハイブリドーマは、次いで、選択培地(例えば、ヒポキサンチン培地、アミノプテリン培地、チミジン培地、さもなければ「HAT培地」として公知の培地)において培養される。得られたハイブリドーマは、次いで、限界希釈によりプレートされ、FACSまたは免疫組織化学(IHCスクリーニング)を用いて、免疫原(例えば、HFB細胞の表面、癌細胞株の表面、胎児膀胱切片など)に特異的に結合する抗体の作製についてアッセイされる。選択されたモノクローナル抗体分泌ハイブリドーマは、次いで、インビトロ(例えば、組織培養ボトルまたはホローファイバーリアクターにおいて)またはインビボ(例えば、マウスの腹水において)のどちらかで培養される。実施例は、抗体mBLA3を得るために利用される方法およびスクリーニングするために利用される方法についてのさらなる詳細を提供する。ハイブリドーマを抗体mBLA3を生成する条件下で培養する方法およびその抗体を精製する方法は、当該分野で公知であり、実施例2および実施例3にさらに詳述されている。
上述のモノクローナル抗体分泌ハイブリドーマは、抗体mBLA3が優先的に結合するβ6インテグリンサブユニットにおける同じエピトープに優先的に結合する抗体を作製するために選択され得る。そのような抗体を選択する方法は、当該分野で公知である。例えば、結合競合アッセイは、抗体がmBLA3と同じエピトープに結合するかどうか決定するために使用され得る。β6インテグリンサブユニットへの結合についての、抗体のmBLA3との競合は、抗体が、mBLA3が結合するエピトープに優先的に結合することを示唆する。結合競合アッセイは、当該分野で周知であり、1つの方法が、実施例7に詳述されている。抗体が、mBLA3が優先的に結合するエピトープに優先的に結合することの別の示唆は、抗体が、ネイティブのβ6インテグリンサブユニットおよび変性のβ6インテグリンサブユニットの両方に結合し、その抗体が結合するエピトープが、ジスルフィド結合依存性であることである。また、抗体mBLA3が優先的に結合するβ6インテグリンサブユニットにおけるエピトープに優先的に結合するポリペプチドは、同様の方法を用いて試験および同定され得る。
細胞融合技術に代わる別の技術として、EBV不死化B細胞は、本発明の対象のモノクローナル抗体を作製するために使用され得る。ハイブリドーマは、必要に応じて、増殖およびサブクローン化され、上清は、抗免疫原活性について従来のアッセイ手順により(例えば、FACS、IHC、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、蛍光イムノアッセイなど)アッセイされる。
別の代替技術において、抗体は、組換え的に作製され得る。組換え抗体を作製する方法は、当該分野で周知である。モノクローナル抗体mBLA3および他の同様の抗体は、配列決定され得、インビトロで組換え的に作製され得る。1つの実施形態において、mBLA3は、配列決定され、次いで、ポリヌクレオチド配列は、発現または伝播のためにベクター内にクローン化される。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞においてベクター内に維持され得、次いで、宿主細胞は、その後の使用目的のために、増殖および凍結され得る。別の代替技術において、抗体は、ファージディスプレイ技術により、組換え的に作製され得る。例えば、米国特許第5,565,332号;同第5,580,717号;同第5,733,743号;同第6,265,150号;およびWinterら、Annu.Rev.Immunol.(1994)12:433〜455を参照のこと。
抗体mBLA3または他の任意の目的の抗体もしくはタンパク質は、当業者に周知のEdman分解による配列決定に供され得る。質量分析またはEdman分解から得られたペプチド情報は、目的のタンパク質をクローン化するために使用されるプローブまたはプライマーを設計するために使用され得る。
目的のタンパク質をクローン化する代替方法は、目的の抗体またはタンパク質を発現する細胞に対してβ6インテグリンサブユニットを用いる「パニング」による。この「パニング」手順は、目的の抗体またはタンパク質を発現する組織または細胞からcDNAライブラリを得、第2細胞型においてcDNAを過剰発現させ、β6インテグリンサブユニットへの特異的結合についてその第2細胞型のトランスフェクトされた細胞をスクリーニングすることにより、実施される。「パニング」により細胞表面タンパク質についてコードする哺乳動物遺伝子のクローニングにおいて使用される方法の詳細は、当該分野で見い出され得る。例えば、Aruffo,A.およびSeed,B.Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84、8573〜8577(1987)ならびにStephan,J.ら、Endocrinology 140:5841〜5854(1999)を参照のこと。
cDNAは、当該分野における標準方法に従って、特定の細胞型からmRNAを逆転写することにより得られ得る。具体的には、mRNAは、Sambrookら(上述)に記載の手順に従って種々の溶菌酵素もしくは化学溶液を用いて単離され得、または、製造者(例えば、Qiagen、Invitrogen、Promega)により提供される付随的指示に従って市販の核酸結合樹脂により抽出され得る。次いで、合成されたcDNAは、発現ベクター内に導入され、第2型の細胞において目的の抗体またはタンパク質が産生される。発現ベクターが、エピソームまたは染色体DNAの組み込まれた部分のどちらかとして、宿主細胞において複製可能でなければならないことが暗示される。適切な発現ベクターとしては、プラスミド、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、レトロウイルスを含むウイルスベクター、コスミドが挙げられるが、それらに限定されない。
目的のポリヌクレオチドを含むベクターは、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAEデキストランまたは他の物質を利用するトランスフェクション、微粒子銃、リポフェクション、および感染(例えば、そこで、ベクターは、ワクシニアウイルスのような感染因子である)を含む、多数の適切な手段のいずれかにより宿主細胞内に導入され得る。導入するベクターまたはポリヌクレオチドの選択は、しばしば宿主細胞の特徴に依存する。
異種DNAを過剰発現できる任意の宿主細胞は、目的の抗体、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的のために、使用され得る。哺乳動物宿主細胞の非限定的な例としては、COS細胞、HeLa細胞およびCHO細胞が挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、宿主細胞は、存在するならば、宿主細胞における対応する内因性の目的の抗体またはタンパク質より、約5倍高い、より好ましくは10倍高い、さらにより好ましくは20倍高いレベルで、cDNAを発現する。β6インテグリンサブユニットとの特異的結合についての宿主細胞のスクリーニングは、イムノアッセイまたはFACSにより実施される。目的の抗体またはタンパク質が過剰発現される細胞は、同定され得る。
本発明は、mBLA3のような本発明の抗体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドは、当該分野で公知の手順により作製され得る。このポリペプチドは、抗体のタンパク分解性分解もしくは他の分解、上述のような組換え方法(すなわち、単一ポリペプチドもしくは融合ポリペプチド)、または化学合成により、作製され得る。抗体のポリペプチド、特に、アミノ酸が約50個までのより短いポリペプチドは、化学合成により都合よく作製される。化学合成の方法は、当該分野で公知であり、市販されている。例えば、mBLA3ポリペプチドは、固相方法を利用する自動ポリペプチドシンセサイザーにより作製され得る。
また、本発明は、mBLA3のような、本発明の抗体の単鎖可変領域フラグメント(「scFv」)を含む。単鎖可変領域フラグメントは、短結合ペプチドを用いて、軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を結合することにより、作製される(Birdら、(1988)Science 242:423〜426)。結合ペプチドの一例は、(GGGGS)(配列番号1)であり、これは、1つの可変領域のカルボキシ末端と他の可変領域のアミノ末端との間の約3.5nmを架橋する。他の配列のリンカーは、設計され、使用されている(Birdら(1988))。また、リンカーは、薬物の付着または固体支持体への付着のような、付加的機能のために改変され得る。単鎖改変体は、組換え的にまたは合成的に、作製され得る。scFvの合成生成のために、自動シンセサイザーが、使用され得る。scFvの組換え作製のために、scFvをコードするポリヌクレオチドを含む適切なプラスミドは、酵母、植物、昆虫もしくは哺乳動物のような真核生物の細胞、またはE.coliのような原核生物の細胞のどちらかの、適切な宿主細胞内に導入され得る。目的のscFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの結紮のような、慣習的な操作により作製され得る。得られたscFvは、当該分野で公知の標準のタンパク質精製技術を用いて、単離され得る。
本発明は、抗体mBLA3のような抗体に対する改変を含み、この抗体は、特性に有意に影響しないmBLA3の機能的に等価な抗体およびポリペプチド、および増大した活性または減少した活性を有する改変体に有意な影響を及ぼさないを含む。ポリペプチドの改変は、当該分野における慣用的な実施であり、本明細書中で詳細に記載される必要はない。改変ポリペプチドの例としては、アミノ酸残基の保存的置換を有するポリペプチド、有意に有害に機能活性を変えないアミノ酸の1つ以上の欠失もしくは付加を有するポリペプチド、または化学的アナログの使用を有するポリペプチドが挙げられる。別の1つのアミノ酸残基に保存的に置換され得るアミノ酸残基としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:グリシン/アラニン;バリン/イソロイシン/ロイシン;アスパラギン/グルタミン;アスパラギン酸/グルタミン酸;セリン/スレオニン;リシン/アルギニン;およびフェニルアラニン/トライシン(tryosine)。また、これらのポリペプチドとしては、グリコシル化ポリペプチドおよび非グリコシル化ポリペプチド、ならびに、例えば、異なる糖によるグリコシル化、アセチル化およびリン酸化のような、他の翻訳後改変を有するポリペプチドが挙げられる。好ましくは、アミノ酸置換は、保存的であり、すなわち、置換されたアミノ酸は、元のアミノ酸と同様の化学特性を所有する。そのような保存的置換は、当該分野で公知であり、実施例は、上記に提供されている。アミノ酸改変は、1つ以上のアミノ酸を変更または改変することから、可変領域のような領域の完全な再設計まで及び得る。可変領域の変更は、結合親和性および/または結合特異性を変え得る。改変の他の方法は、当該分野で公知の結合技術の使用を含み、その例としては、酵素的手段、酸化的置換およびキレート化が挙げられるが、それらに限定されない。改変は、例えば、ラジオイムノアッセイ用の放射性部分の付着のような、イムノアッセイ用の標識の付着のために、使用され得る。改変されたmBLA3ポリペプチドは、当該分野において確立された手順を用いて作製され、当該分野で公知の標準アッセイを用いてスクリーニングされ得、そのいくつかは下記および実施例に記載される。
また、本発明は、mBLA3のような、本発明の抗体からの1つ以上のフラグメントまたは領域を含む融合タンパク質を包含する。1つの実施形態において、可変軽鎖領域の少なくとも10個連続するアミノ酸および可変重鎖領域の少なくとも10個連続するアミノ酸を含む融合タンパク質が、提供される。別の実施形態において、融合ポリペプチドは、異種性免疫グロブリン定常領域を含む。別の実施形態において、融合ポリペプチドは、mBLA3の、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む。本発明の目的のために、mBLA3融合タンパク質は、1つ以上のmBLA3ポリペプチドおよび、例えば、異種配列または別の領域からの相同配列が天然の分子において付着されない別のアミノ酸配列を含む。mBLA3ポリペプチドは、例えば、合成的にまたは組換え的に、当業者に公知の方法により作製され得る。
別の実施形態において、重鎖および/または軽鎖が融合タンパク質であるmBLA3キメラが、提供される。いくつかの実施形態において、鎖の定常ドメインは、特定の種および/またはクラスからのものであり、可変領域は、異なる種および/またはクラスからのものである。例えば、キメラ抗体(いくつかの実施形態における)は、定常領域がヒト供給源に由来し、可変領域がmBLA3に相同または由来する(すなわち、ネズミ)のものである。また、(いくつかの実施形態において)CDR領域がmBLA3アミノ酸配列を含む一方で、フレームワーク領域がヒト配列に由来する、ヒト化可変領域を有する抗体は、本発明の範囲内で体化される。ヒト化抗体の他の形態は、当該分野で公知であり、本明細書中に記載される。キメラの機能的フラグメントも、体化される。一例は、ヒト化Fabフラグメントであり、これは、ヒトヒンジ領域、ヒト第一定常領域、ヒトκ軽鎖定常領域またはヒトκ重鎖定常領域、ならびにmBLA3からの軽鎖および/または重鎖の可変領域を含む。次いで、ヒト化mBLA3Fabフラグメントが、Fabダイマーを形成するために作製され得る。代表的に、本発明のmBLA3融合タンパク質およびmBLA3キメラは、本明細書中に記載される組換え方法を用いてそれらをコードする発現するポリヌクレオチドを調製することにより作製されるが、当業者に公知の他の手段でも調製され得、その例として、化学合成が挙げられる。例えば、米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第6,331,415号を参照のこと。
また、本発明は、ヒト化抗体を包含する。mBLA3または他の等価の抗体のような抗体のポリヌクレオチド配列は、「ヒト化」抗体を作製するための遺伝子操作、または抗体の親和性もしくは他の特性を向上させるための遺伝子操作のために、使用され得る。抗体のヒト化における一般的原則には、抗体の抗原結合部分の基本配列を保持する一方で、抗体の非ヒト残部をヒト抗体配列と交換することが含まれる。これらは、モノクローナル抗体をヒト化する4つの一般的工程である。これらは、以下のとおりである:(1)開始抗体軽可変ドメインおよび開始抗体重可変ドメインのヌクレオチドおよび予測されるアミノ酸配列を決定すること、(2)ヒト化抗体を設計すること、すなわち、ヒト化プロセス中にどの抗体フレームワーク領域を使用するか決定すること、(3)実際のヒト化方法論/ヒト化技術、ならびに(4)ヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現。例えば、定常領域は、抗体がヒトにおける臨床試験および処置で使用される場合に、免疫応答を避けるために、ヒト定常領域により似せるよう設計され得る。例えば、米国特許第5,997,867号および同第5,866,692号を参照のこと。
非ヒト免疫グロブリン由来の抗原結合部位を含む多くの「ヒト化」抗体分子が記載されており、例としては、げっ歯類V領域または改変されたげっ歯類V領域、およびヒト定常領域に融合される関連する相補性決定領域(CDR)を有するキメラ抗体が挙げられる。例えば、Winterら、Nature 349:293〜299(1991)、Lobuglioら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220〜4224(1989),Shawら、J Immunol.138:4534〜4538(1987)、およびBrownら、Cancer Res.47:3577〜3583(1987)を参照のこと。他の引用文献は、適切なヒト抗体定常ドメインとの融合前に、ヒト支持フレームワーク領域(FR)に移植されたげっ歯類CDRを記載する。例えば、Riechmannら、Nature 332:323〜327(1988),Verhoeyenら、Science 239:1534〜1536(1988)、およびJonesら、Nature 321:522〜525(1986)を参照のこと。別の引用文献は、組換え的に張られたげっ歯類フレームワーク領域により支持されるげっ歯類CDRを記載する。例えば、ヨーロッパ特許公報第519,596号を参照のこと。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエントにおけるそれらの部分の治療的適用の持続時間および有効性を限定するげっ歯類抗ヒト抗体分子に対する望まれない免疫応答を、最小限にするよう設計されている。利用され得る抗体をヒト化する他の方法は、Daughertyら、Nucl.Acids Res.、19:2471〜2476(1991)により、ならびに米国特許第6,180,377号;同第6,054,297号;同第5,997,867号;同第5,866,692号;同第6,210,671号;同第6,350,861号;およびPCT WO01/27160において、開示される。
なお別の代替において、完全ヒト抗体は、特異的なヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように設計されている市販で入手可能なマウスを使用することにより、得られ得る。より望ましい免疫応答(例えば、完全ヒト抗体)またはより強い免疫応答を生じるように設計されているトランスジェニック動物も、ヒト化抗体またはヒト抗体の作製のために使用され得る。そのような技術の例としては、Abgenix,Inc.(Fremont,CA)からのXenomouseTMならびにMedarex,Inc.(Princeton,NJ)からのHuMAb−Mouse(登録商標)およびTC MouseTMが挙げられる。
また、本発明は、放射性部分、毒素(例えば、カリケアミシン)もしくは化学療法分子のような治療薬剤、またはプロドラッグを活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素、あるいはリポソームもしくは化学療法化合物を含む他のベシクル(または、これらの抗体またはポリペプチドを含有する組成物)に、結合される(例えば、連結される)、mBLA3、またはmBLA3に等価な抗体もしくはポリペプチドを、提供する。この組成物は、個体に投与されるときに、これらの薬物を、抗体またはポリペプチドにより認識されるβ6インテグリンサブユニットを発現する癌細胞に対する標的化し得、次いで、例えば、癌細胞を除去し得(癌細胞の数を減らし得)、そして/または癌細胞の増殖(proliferation)および/もしくは増殖(growth)を抑制し得る。簡単にするために、これらの方法が、本明細書中に記載されるβ6インテグリンサブユニット結合実施形態のいずれかに適用されるという理解の下で、参照は、一般に、mBLA3または抗体に対してなされる。一般に、これらの結合とは、本明細書中に記載されるような、これらの化合物の連結をいう。この連結(一般に、少なくとも、投与のために近接した集合を成すこれらの化合物を固定している)は、後述のとおり、多数の方法で、達成され得る。
本発明の放射性部分または放射性分子は、癌細胞を破壊する際に有効な任意のラジオアイソトープを含む。この例としては、コバルト60およびX線が挙げられるが、それらに限定されない。さらに、ラジオアイソトープの混合物を代表的に示す、ウラニウム、ラジウムおよびトリウムのような、天然に存在する放射性元素は、放射性部分の適切な例である。
本発明の毒素としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、ミトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−ジヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびプロマイシン、ならびにその類似体または相同体が挙げられるが、それらに限定されない。
本発明の抗体またはポリペプチドは、放射性部分もしくは放射性分子、毒素、他の治療薬剤、またはプロドラッグを活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に、あるいはリポソーム、または治療薬剤を共有結合的にまたは非共有結合的に、直接的にまたは間接的に、含む他のベシクルに、結合(連結)され得る。この抗体は、抗体がその標的β6インテグリンサブユニットに結合する限り、放射性分子、毒素、治療分子、またはプロドラッグ活性化酵素に、抗体に沿った任意の位置で連結され得る。
毒素または治療薬剤は、適切なモノクローナル抗体に、直接的にまたは間接的に、結合され得る(例えば、共有結合的に結合され得る)(例えば、リンカー基を介して、または、二者択一的に、米国特許第5,552,391号に記載されているプラットフォーム分子のような、適切な結合部位を有する連結している分子を介して)。本発明の毒素および治療薬剤は、当該分野において公知の方法を用いて、特定の標的化タンパク質に直接的に結合され得る。例えば、薬物と抗体との間の直接反応は、他の置換基と反応できる置換基をそれぞれが所有するときに可能である。例えば、アミノ基またはスルフヒドリル基のような求核基は、無水物または酸ハロゲン化物のようなカルボニル含有基と反応し得る一方で、良好な脱離基(例えば、ハロゲン化物)を含むアルキル基と反応し得る。
抗体またはポリペプチドはまた、マイクロキャリア経由で、治療薬剤に連結され得る。マイクロキャリアとは、水に不溶な、大きさが、約150μm未満、約120μm未満または約100μm未満の、より一般には約50〜60μm未満の、好ましくは約10μm未満、約5μm未満、約2.5μm未満、約2μm未満または約1.5μm未満の、生分解性粒子または非生分解性粒子をいう。マイクロキャリアは、大きさが、約1μm未満の、好ましくは約500nm未満の、マイクロキャリアである、「ナノキャリア(nanocarrier)」を含む。そのような粒子は、当該分野において公知である。固相マイクロキャリアは、生体適合性天然発生ポリマー、合成ポリマーまたは合成コポリマーから形成される粒子であり得、当該分野において公知の他の生分解性物質と同様に、アガロースまたは架橋アガロースから形成されるマイクロキャリアを含んでも良いし除外しても良い。生分解性固相マイクロキャリアは、哺乳動物の生理学的条件下で、分解性(例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびそのコポリマー)または腐食性(例えば、ポリ(3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(DETOSU)のようなオルトエステル)もしくはセバシン酸のポリ(無水物)のようなポリ(無水物))であるポリマーから形成され得る。マイクロキャリアはまた、リポソーム、抗原のないイスコム(iscom)(コレステロールおよびリン脂質ならびにアジュバント活性サポニンの安定複合体である、免疫刺激複合体)、または液相マイクロキャリアが生分解性である場合に水中油乳濁液または油中水乳濁液において見出される液滴またはミセルのような液相(例えば、油性または液性)であり得る。代表的に、生分解性液相マイクロキャリアは、生分解性油を取り込み、そのうちの多くは、当該分野において公知であり、スクアレンおよび植物油が挙げられる。マイクロキャリアは、代表的に、形が球状であるが、球形から逸脱しているマイクロキャリアもまた、容認され得る(例えば、楕円体、桿状体等)。その不溶性の性質(水に関して)に起因して、マイクロキャリアは、水および水性(水様)溶液から濾過可能である。
本発明の抗体結合体またはポリペプチド結合体は、毒物または治療薬剤に結合することができる基および抗体に結合することができる基の双方を含む、2官能リンカーを含み得る。リンカーは、結合能との干渉を避けるために、抗体を薬物から遠ざけるためのスペーサーとして、機能し得る。リンカーは、開裂性または非開裂性であり得る。リンカーはまた、薬物または抗体における置換基の化学反応性を高めるために役立ち得るため、結合効率を上昇させる。化学反応性の上昇はまた、薬物の使用、または、他の方法では不可能であるはずの、薬物上の官能基の使用を促進する。2官能リンカーは、当該分野において公知の手段により、抗体に結合され得る。例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルのような、活性なエステル部分を含むリンカーは、抗体内のリシン残基にアミド結合を介して結合するために、使用され得る。別の実施例において、求核アミンまたはヒドラジン残基を含むリンカーは、抗体炭水化物残基の解糖酸化により作製されたアルデヒド基に結合され得る。これらの直接的な結合方法に加えて、リンカーは、アミノデキストランのような中間キャリアを用いて、間接的に抗体に結合され得る。これらの実施形態において、改変された結合は、リシン、炭水化物または中間キャリアのいずれかの経由である。1つの実施形態において、リンカーは、タンパク質内の遊離チオール残基に部位選択的に結合される。タンパク質上のチオール基への選択的結合に適している部分は、当該分野において周知である。その例としては、ジスルフィド化合物、α−ハロカルボニル化合物およびハロカルボキシル化合物、ならびにマレイミドが挙げられる。求核アミンの機能が、α−ハロカルボニル基またはカルボキシル基と同じ分子内に存在するときに、ポテンシャルが、アミンの分子内アルキル化を経て起こる環化について存在する。この問題を防ぐ方法は、当業者に周知であり、例えば、アミンおよびα−ハロの機能が、アリール基またはトランスアルケンのような、固い基により分離される分子の調製により、望まれない環化を立体化学的に好まれないものにする。例えば、ジスルフィド部分を介するメイタンシノイドと抗体の結合体の調製については、米国特許第6,441,163号を参照のこと。
本発明の抗体(またはポリペプチド)は、当該分野において公知の任意の方法により、放射性部分または放射性分子に結合(連結)され得る。放射標識抗体に関する方法の考察については、「Cancer Therapy with Monoclonal AntibodiesT」、D.M.Goldenberg編(CRC Press,Boca Raton、1995)を参照のこと。
本発明の抗体(またはポリペプチド)は、プロドラッグを活性な抗癌剤に変換する薬物(プロドラッグ活性化酵素を含む)に連結され得る。例えば、本発明の抗体(またはポリペプチド)は、抗体を、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、WO81/01145を参照のこと)を活性癌薬剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合(連結)させることにより、抗体依存性酵素媒介プロドラッグ治療(Antibody Dependent Enzyme Mediated Prodrug Therapy)(ADEPT)において使用され得る。例えば、WO88/07378および米国特許第4,975,278号を参照のこと。
ADEPTに有用な免疫結合体の酵素構成要素は、プロドラッグをそのより活性な細胞毒性型に変換するような方法で、プロドラッグに作用することができる任意の酵素を含む。
本発明の方法において有用な酵素としては、リン酸塩含有プロドラッグを遊離薬剤に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;硫酸塩含有プロドラッグを遊離薬剤に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒素5−フルオロシトシンを抗癌剤5−フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬剤に変換するのに有用な、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン(例えば、カテプシンBおよびカテプシンL)のようなプロテアーゼ;Dアミノ酸置換基を含むプロドラッグを変換するのに有用なDアラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離薬剤に変換するのに有用なβガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼのような炭水化物切断酵素;βラクタムにより誘導体化された薬物を遊離薬剤に変換するのに有用なβラクタマーゼ;ならびにフェノキシアセチル基またはフェニルアセチル基によりそのアミン窒素で誘導体化された薬物を遊離薬剤にそれぞれ変換するのに有用なペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼのようなペニシリンアミダーゼが挙げられるが、それらに限定されない。あるいは、当該分野において「アブザイム」としても知られている、酵素活性を有する抗体は、本発明のプロドラッグを遊離活性薬剤に変換するために使用され得る(例えば、Massey、Nature 328:457〜458(1987);Carter,Nat.Rev.Cancer 1(2):118〜29(2001);米国特許第6,368,839号;同第5,658,753号を参照のこと)。抗体アブザイム結合体は、アブザイムの腫瘍細胞集合への送達のために、本明細書中で記載されるように調製され得る。
本発明の酵素は、上述のヘテロ2官能架橋試薬の使用のような当該分野において周知の技術により、抗体に共有結合的に結合し得る。あるいは、本発明の酵素の少なくとも機能的に活性な部分に連結された、本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質は、当該分野において周知の組換えDNA技術を用いて作製され得る(例えば、Neubergerら、Nature、312:604〜608(1984)を参照のこと)。
プロドラッグ活性化酵素に連結された、本発明の抗体またはポリペプチドは、酵素により活性な抗癌剤に変換されるプロドラッグとの結合において使用され得る。例えば、D.E.V.Wilman、「Prodrugs In Cancer Chemotherapy」Biochemical Society Transactions、14、pp.375〜382(615th Meeting、Belfast 1986)およびV.J.Stellaら、「Prodrugs:A Chemical Approach To Targeted Drug Delivery、」Directed Drug Delivery、R.Borchardtら(編)、pp.247〜267(Humana Press 1985)を参照のこと。本発明のプロドラッグとしては、リン酸塩含有プロドラッグ、チオリン酸塩含有プロドラッグ、硫酸塩含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸修正プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、βラクタム含有プロドラッグ、必要に応じて置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは必要に応じて置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシン、および、結合体の酵素によってより活性な遊離細胞毒に変換され得る他の5−フルオロウリジンプロドラッグが挙げられるが、それらに限定されない。本発明で使用するためにプロドラッグ型に誘導体化され得る細胞毒の例としては、エトポシド、テニポシド、アドリアマイシン、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、ミトマイシン、シス−白金、シス−白金アナログ、ブレオマイシン、エスペラミシン(esperamicin)(米国特許第4,675,187号)、5−フルオロウラシル、メルファラン、および他の関連するナイトロジェンマスタードが挙げられるが、それらに限定されない。
本発明の抗体(またはポリペプチド)は、蛍光性分子、放射性分子または当該分野において公知の任意の他の標識のような、標識化薬剤(または、「標識」と呼ばれる)に連結され得る。標識は、当該分野において公知であり、一般にシグナルを(直接的にまたは間接的にのいずれかで)提供する。
β6インテグリンサブユニットを発現する癌細胞の増殖を阻害する能力、β6インテグリンサブユニットを発現する癌を有する個体における転移の進行を遅らせる能力、あるいは、毒素もしくは放射性化合物のような治療薬剤またはプロドラッグを活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素をβ6インテグリンサブユニットを発現する癌細胞に送達する能力のような、本発明の抗体またはポリペプチドの能力は、当該分野において公知の方法を用いて試験され得、そのいくつかは実施例において記載される。
また、本発明は、抗体mBLA3もしくはmBLA3等価抗体(本開示が明らかにするように、本明細書中に記載される全ての抗体を含む)またはポリペプチドを含む組成物(薬学的組成物を含む)および治療薬剤を提供する。
(IV.モノクローナル抗体をスクリーニングする方法)
β6インテグリンサブユニットに結合するモノクローナル抗体をスクリーニングするために、いくつかの方法が使用され得る。「結合」とは、免疫学的に関連する結合、すなわち、免疫グロブリン分子がコードされる抗原(またはエピトープ)に特異的な結合のことを言うことが理解される。これは、免疫グロブリンが、非特異的な標的に対して非常に高い濃度で使用される場合に起こり得る、非特異的な結合のことは言わない。スクリーニングに使用され得る1つの方法は、免疫組織化学(IHC)である。標準的な免疫組織化学技術は、当業者に公知である。例えば、Animal Cell Culture Methods(J.P.MatherおよびD.Barnes編,Academic Press,第57巻,第18章および第19章,pp.314−350,1998)参照。生物学的サンプル(例えば組織)は、生検、剖検(autopsies)、または剖検(necropsies)から得られ得る。β6インテグリンサブユニットが癌細胞上のみに存在するか否かを確かめるため、mBLA3が、癌を有する個体由来の組織上におけるβ6インテグリンサブユニットの存在を検出するために使用され得、他方、癌にかかっている個体由来の非癌組織、または、癌を有さない個体由来の組織が、コントロールとして使用される。該組織は、凍結させる間の損傷を防ぐ、固形物質、または半固形の物質(例えばアガロースゲルまたはOCT)に埋め込まれ得、次いで染色のために薄切される。異なる器官由来の癌、および、異なる程度の癌が、モノクローナル抗体をスクリーニングするために使用され得る。スクリーニングの目的で使用され得る組織の例としては、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、胃、神経、血管、骨、上部消化管、および膵臓が挙げられるが、これらに限定されない。スクリーニングの目的で使用され得る異なる癌の型の例としては、癌腫、腺癌、肉腫、腺肉腫、リンパ腫、および白血病が挙げられるが、これらに限定されない。
さらに別の代替物として、SK−Ov−3(ATCC番号HTB 77)、OVCAR−3(ATCC番号HTB 161)、Caov−3(ATCC番号HTB 75)、LnCap(ATCC番号CRL−1740)、COLO 205(ATCC番号CCL 222)、A549(ATCC番号CCL 185)、PANC−1(ATCC番号CRL 1469)、SK−BR−3(ATCC番号HTB 30)、SK−MES−1(ATCC番号HTB 58)、HT−29(HTB−38)、H9(ATCC番号HTB−176)、SW 480(ATCC番号CCL 228)、AsPC−1(ATCC番号CRL 1682)、Capan−1(ATCC番号HTB 79)、CFPAC−1(ATCC番号CRL 1918)、HPAF−II(ATCC番号CRL−1997)、HF−700T(ATCC番号HTB 147)、ES−2(ATCC番号CRL−1978)、PC−3(ATCC番号CRL 1435)、END(成体の子宮内膜から培養されたヒトの線維芽細胞)、Du−145(ATCC番号HTB−81)、Rav CA130(Raven Biotechnologies,Inc.で開発された専売の肺癌株)、Rav9926(専売の膵臓癌細胞株)、SU.86.86(ATCC CRL−1837)、およびZR7−51(ATCC番号CRL−1500)などの癌細胞株、ならびに、それぞれの組織からの正常な細胞が、癌組織に特異的なモノクローナル抗体をスクリーニングするために使用され得る。異なる器官(卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、大動脈の平滑筋、および内皮細胞が挙げられるが、それらに限定されない)からの正常な組織に由来する1次細胞培養または継代の少ない(low passage)細胞培養が、陰性コントロールとして使用され得る。WO 01/43869に記載されるように、癌細胞または非癌細胞は、スライドガラスまたはカバーガラス上、あるいはプラスチック表面上で培養され得るか、またはCellArrayTM内で調製され得、組織に関して上で記載されるように、IHCを使用して抗体の結合についてスクリーニングされる。あるいは、細胞は、非タンパク分解性の手段を使用して増殖表面から除去され得、遠心分離してペレットにされ、次いで包埋されて、前述のようにIHC分析用の組織として処理される。別の代替法においては、単一の細胞が、一次抗体と共にインキュベートされ、二次「レポーター」抗体が蛍光分子へ結合され、次いで蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)機械を使用して分析されることにより、スクリーニングされ得る。
いくつかの異なる検出システムが、抗体の組織切片への結合を検出するために利用され得る。代表的に、免疫組織化学は、一次抗体の組織への結合に関与し、次に、一次抗体に由来する種に対して反応性を有する二次抗体が生成され、検出可能なマーカーへ結合される(例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)またはジアミノベンゼジン(diaminobenzedine)(DAB)など)。使用され得る1つの代替的な方法は、ポリクローナル鏡像相補抗体すなわちポリMICAである。ポリMICA(ポリクローナル鏡像相補抗体)の技術は、D.C.ManghamおよびP.G.Isaacson(Histopathology(1999)35(2):129−33)によって記載されており、一次抗体(例えばmBLA3など)の正常の組織および癌組織への結合を試験するために使用され得る。何種類かのポリMICATM検出キットが、The Binding Site Limited(P.O.Box 4073 Birmingham B29 6AT England)から市販されている。製品番号HK004.Dは、DABクロマゲン(chromagen)を使用するポリMICATM検出キットである。製品番号HK004.Aは、AECクロマゲンを使用するポリMICATM検出キットである。あるいは、一次抗体は、検出可能なマーカーを用いて直接標識され得る。
適切な抗体について選択するための、IHCスクリーニングにおける最初の工程は、マウス内で産生させた一次抗体(例えばmBLA3)の1つ以上の免疫原(例えば細胞または組織のサンプル)への結合である。1つの実施形態において、組織のサンプルは、異なる器官に由来する凍結組織切片である。細胞または組織のサンプルは、癌性であってもなくても、どちらでもよい。
凍結した組織は、当業者に公知の多数の方法のうちいずれかによって、固定化されるか、または固定化されずに、調製、薄切され、IHCが実行される。例えば、Stephanら,Dev.Biol.212:264−277(1999)およびStephanら,Endocrinology 140:5841−54(1999)を参照。
β6インテグリンサブユニットに結合するモノクローナル抗体は、癌細胞または癌組織に結合するようにスクリーニングされるが、正常な細胞または組織には同じ程度に結合しないように選択される。1つ以上の癌の型上に発現される抗原に結合するが、正常な細胞には結合しないモノクローナル抗体も選択される。mBLA3は、多数の異なる癌上に存在する抗原に結合するが、正常な組織への結合には限界を有する抗体の例である。ブダペスト条約に従い、mBLA3を生成するハイブリドーマは、2001年10月10日に、American Type Culture Collection(ATCC)(10801 University Blvd.,Manassas VA 20110−2209)へ、PTA−3775の特許受託名で寄託されている。
(V.mBLA3を特徴づける方法)
mBLA3を特徴づけるために、いくつかの方法が使用される。1つの方法は、それが結合するエピトープを同定することである。エピトープのマッピングは、例えば、Pepscan Systems(Edelhertweg 15,8219 PH Lelystad,オランダ)など、様々な販売元から市販されている。エピトープのマッピングは、mBLA3が結合する配列を決定するために使用され得る。エピトープは、直鎖状のエピトープであり得、すなわち一本鎖のアミノ酸に含有され得るか、または、一本鎖に必ずしも含まれるとは限らないアミノ酸の3次元的な相互作用により形成される高次構造的なエピトープであり得る。多様な長さのペプチド(例えば、少なくとも4〜6個のアミノ酸の長さ)が、単離または合成され得(例えば遺伝子組み換え的に)、mBLA3との結合アッセイに使用される。mBLA3が結合するエピトープは、β6インテグリンサブユニットの細胞外配列に由来する重複ペプチドを使用し、mBLA3による結合を決定することにより、系統的なスクリーニングで決定され得る。
mBLA3を特徴づけるために使用され得るさらに別の方法は、同じ抗原、すなわちβ6インテグリンサブユニットに結合することが公知の他の抗体を用いて、mBLA3が他の抗体と同じエピトープに結合するか否かを決定する、競合アッセイの使用である。β6インテグリンサブユニットに対する抗体で市販されているものの例は、R6G9、10D5およびE7P6である。競合アッセイは、当業者には周知である。この手順は、実施例7において更に詳しく記載される。mBLA3は、それが結合する組織、癌の型、または腫瘍の型によって更に特徴づけられ得る。
mBLA3を特徴づける別の方法は、それが結合する抗原によるものである。mBLA3は、多様なヒトの癌に由来する細胞可溶化物を用いて、ウエスタンブロットにおいて使用された。当業者に公知であるように、ウエスタンブロット法は、細胞可溶化物および/または細胞の画分を、変性ゲルまたは非変性ゲル上で泳動すること、タンパク質をニトロセルロース紙に移すこと、および、ブロットを抗体(例えばmBLA3)でプローブして、どのタンパク質が抗体に結合されているかを見ること、を包含し得る。この手順は、実施例4において更に詳しく述べられる。mBLA3が結合したバンドは、実施例5および6に記載のように、単離され、質量分析を用いて更に分析された。mBLA3が結合する抗原は、特にαvβ6インテグリンに関して、インテグリンのβ6サブユニットであることが見出された。mBLA3の結合は、本明細書においてはαvβ6への結合として示されているが、本発明は、αvβ6インテグリンのみへの結合に限定されない。β6サブユニットを含む任意のインテグリンもまた、mBLA3によって認識され得るので、スクリーニング、診断、および処置の目的のために有用である。
(VI.mBLA3、β6インテグリンサブユニットに結合するmBLA3等価抗体またはmBLA3等価ポリペプチドを使用して癌を診断する方法)
モノクローナル抗体mBLA3、およびβ6インテグリンサブユニットに結合する等価抗体またはmBLA3のポリペプチド誘導体(本明細書に開示された方法によって作製される)が、診断の目的で、種々の組織(卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、胃、神経、血管、骨、上部消化管、および膵臓が挙げられるが、これらに限定されない)における癌細胞の存在または非存在を同定するために使用され得る。単純にするために、これらの方法は、一般にmBLA3または抗体にしか言及しないが、本明細書に記載される任意のβ6インテグリンサブユニットの結合実施形態に当てはまることを理解する。検出は、一般的β6インテグリンサブユニットに結合する、本明細書に記載の抗体またはポリペプチドと細胞を接触させること、および、β6インテグリンサブユニットと、β6インテグリンサブユニットに特異的に結合する抗体(例えば、mBLA3、mBLA3のヒト化抗体、ヒト抗体、またはその他の任意のβ6インテグリンサブユニット結合部分)との間の複合体の形成を包含する。このような複合体の形成は、インビトロでもインビボでも行なわれ得る。理論に縛られることなく、モノクローナル抗体mBLA3は、β6サブユニットの細胞外ドメインを通じてβ6インテグリンサブユニットに結合し得る。
いくつかの実施形態において、細胞からβ6インテグリンサブユニットを検出することにより、前立腺癌細胞の存在または非存在を検出するための方法が提供される。前立腺癌細胞に由来するβ6インテグリンサブユニットは、β6インテグリンサブユニットmRNAの検出、および、β6インテグリンサブユニットタンパク質の検出を含む任意の方法を使用して検出され得るが、これらの方法に限定されない。本明細書に記載されるような、任意のβ6インテグリンサブユニット結合部分が使用され得る(例えば、mBLA3、mBLA3等価抗体(mBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的な結合を競合的に阻害する))。本明細書に使用されるように、検出には、質的な、および/または量的な検出が含まれ得、そして、癌細胞におけるβ6インテグリンサブユニットの発現のレベルの上昇について、測定されたレベルを正常な前立腺細胞と比較することが包含し得る。
別の局面において、本発明は、本明細書に記載された任意の抗体またはポリペプチドを使用した癌の診断を補助する方法を提供する。本明細書において使用されるように、「診断を補助する」方法とは、これらの方法が、癌の分類、または性質に関して臨床的な決定をする際に補助することを意味し、確定診断に関して、結論的であってもなくてもよい。従って、癌の診断を補助する方法は、個体からの生物学的サンプルにおけるβ6インテグリンサブユニットのレベルを検出する工程、および/または、該サンプルにおけるβ6インテグリンサブユニットの発現のレベルを決定する工程を含み得る。
診断に抗体を使用する1つの方法は、抗体を標識部分(例えば、蛍光剤、放射性薬剤、または放射線不透過性薬剤)に結合し、個体に抗体を投与し、そしてエックス線またはその他の画像化機械を使用して、抗原を発現している癌細胞表面における標識された抗体の局在を視覚化することによる、インビボでの腫瘍画像化法である。抗体は、生理学的条件において結合を促進する濃度で投与される。標識部分は、当技術分野において公知である。
その他の方法においては、癌細胞は除去され、当技術分野において周知の方法(例えば、凍結した化合物への包埋、凍結、および薄切(固定してまたは固定せずに);固定およびパラフィン包埋(抗原の回収および対比染色の種々の方法を行なうか、または行なわない))によって、組織は、免疫組織化学のために調製される。モノクローナル抗体はまた、異なる発達段階における癌細胞を同定するためにも使用され得る。抗体はまた、どの個体の腫瘍がその表面上で所定のレベルで抗原を発現する(従って、この抗体は、その抗原に対して指向された抗体を用いる免疫療法の候補である)かを測定するためにも使用され得る。
抗原を認識する抗体(またはポリペプチド)はまた、体液中の生きている癌細胞、または死にかけている癌細胞から放出あるいは分泌された抗原を検出するための診断上の免疫測定法を作製するためにも使用され得る。体液としては、血液、唾液、尿、肺の液体、または腹水が含まれるが、これらに限定されない。実施例においてさらに詳細に論じられるように、mBLA3は、組織から得られた異なる段階の癌の多様な形態に結合し得る。この組織としては、乳房、結腸、肺、膵臓、前立腺、食道、甲状腺、および腎臓が挙げられるが、これらに限定されない。診断の目的でmBLA3を使用する方法は、与えられた処置に最も強い反応性の腫瘍、癌を有する個体の予後、腫瘍のサブタイプまたは転移性疾患の起源、および疾患の進行または処置への反応を決定するために、任意の形態の抗癌処置(例えば化学療法または放射線治療など)の前後両方において有用である。
(VII.治療上の目的で、mBLA3、mBLA3等価抗体またはポリペプチドを使用する方法)
モノクローナル抗体mBLA3、ならびに、本明細書に開示された方法により作製された等価抗体(およびその他の本発明のポリペプチド実施形態と同様)は、種々の組織に癌(卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、胃、神経、血管、骨、上部消化管、および膵臓の癌が挙げられるが、これらに限定されない)を有する個体において、治療上の目的で使用され得る。いくつかの実施形態において、(前立腺癌細胞が抗体またはポリペプチドに結合する場合、)癌は前立腺癌である。これらの治療上の方法はまた、前述の結合された実施形態にも適用される。単純にするために、通常はmBLA3または抗体に言及するが、これらの方法は、本明細書に記載された任意のβ6インテグリンサブユニット結合実施形態に適用され、結合実施形態を含む本明細書に記載されるヒト化抗体およびヒト抗体を含むが、これらに限定されないことが理解される。mBLA3を用いた治療は、上述のようにインビトロおよびインビボの両方において複合体の形成に関与し得る。1つの実施形態において、モノクローナル抗体mBLA3は、実施例12および実施例13に示されるように、癌細胞(例えば結腸癌細胞など)に結合し、その増殖を減じ得る。抗体は、生理学的な(例えばインビボ)条件において結合を促進する濃度で投与されることが理解される。別の実施形態において、モノクローナル抗体mBLA3は、単独で、癌細胞に結合し、アポトーシスによる細胞死を誘導し得る。別の実施形態においては、モノクローナル抗体mBLA3は、癌細胞に結合し、転移の進行を遅らせ得る。別の実施形態においては、モノクローナル抗体mBLA3は、癌細胞に結合し、治療薬剤(例えば毒素、または放射性化合物など)、または、プロドラッグを癌細胞上のmBLA3に結合される活性抗癌薬物に変える薬剤(プロドラッグ活性化酵素を含むがこれらに限定されない)を送達し得る。薬剤(例えばプロドラッグ活性化酵素など)に結合された抗体は、プロドラッグと併用して個体に投与される。一般的に、これらの実施形態においては、効果的な量(治療薬剤を標的癌細胞へ送達するのに十分な量、または、プロドラッグを十分な量の活性抗癌薬物に変えるプロドラッグ活性化酵素を送達するのに十分な量)が、個体に投与される。さらに別の実施形態においては、癌を有する個体に対し、本発明の抗体を用いて緩和処置が施される。癌個体の緩和処置は、疾患の有害な症状、または、癌の進行に直接影響を及ぼさずに疾患に与えられる他の処置から生じる医原性の症状を処置すること、あるいは減少させることに関与する。これには、痛みの緩和、栄養補給、性機能障害、心理的苦悩、鬱病、疲労、精神障害、吐き気、嘔吐などのための処置が含まれる。
本発明はまた、β6インテグリンサブユニットに結合する任意の抗体またはその他の実施形態を使用して、癌を処置し、癌細胞(乳房、結腸、肺、膵臓、前立腺、食道、甲状腺、腎臓、および卵巣の癌細胞が挙げられるが、これらに限定されない)の増殖(growth)および/または増殖(proliferation)を阻害する方法を提供する。本発明の処置方法は、細胞表面上でβ6インテグリンサブユニットを発現する任意の癌に適用される。β6インテグリンサブユニットに結合する抗体について記載されている。例えば、米国特許第6,316,601号を参照のこと。癌細胞の増殖(growth)および/または増殖(proliferation)を阻害する際の抗体の活性を試験する方法は、当技術分野において公知であり、実施例12および実施例13において詳しく記載される。
本発明はまた、mBLA3抗体もしくはmBLA3等価抗体またはポリペプチド(例えば、mBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的な結合を競合的に阻害する抗体など)を使用して、癌細胞(例えば前立腺、肺、乳房、結腸、卵巣、膵臓、腎臓、卵巣の癌細胞など)の増殖(growth)および/または増殖(proliferation)を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態において、抗体は、mBLA3が優先的に結合するのと同じエピトープに、優先的に結合する。
さらに別の実施形態において、mBLA3または本明細書に記載された任意のβ6インテグリンサブユニット実施形態は、癌細胞を発現するβ6インテグリンサブユニットに結合し、β6インテグリンサブユニットを発現する癌細胞に対する活性免疫反応を誘導し得る。いくつかの場合において、活性免疫応答は、癌細胞の死を引き起こし得る(例えば、癌細胞に結合するmBLA3がアポトーシスによる細胞死を誘導する)か、あるいは、癌細胞の増殖を阻害(例えば、細胞周期の進行をブロックする)し得る。その他の場合においては、mBLA3または本明細書中に記載された任意のβ6インテグリンサブユニット抗体は、癌細胞に結合し得、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)は、mBLA3が結合する癌細胞を除去し得る。従って、本発明は、本明細書中に記載された任意の組成物の投与を包含する、免疫応答を刺激する方法を提供する。
いくつかの場合において、mBLA3結合はまた、細胞性免疫応答および体液性免疫反応の両方を活性化し、より多くのナチュラルキラー細胞を補充し、あるいは、癌細胞を破壊する個体の免疫システムを更に活性化させるサイトカイン(例えばIL−2、IFN−γ、IL−12、TNF−α、TNF−βなど)の産生を増加させ得る。さらに別の実施形態において、mBLA3は、癌細胞に結合し得、マクロファージまたはその他の食細胞は、癌細胞をオプソニン化し得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書中に記載された任意の組成物の投与を包含する受動免疫を与える方法を提供する。
本発明は、例えばβ6統合サブユニット発現癌細胞などのβ6統合サブユニット発現細胞に対し、本明細書に記載された任意の組成物(結合体を含む)を送達する方法を提供する。これらの方法は、本明細書中に記載された組成物(結合体を含む)の個体への投与を伴う。抗体mBLA3、および、本明細書中に開示された方法により産生された等価抗体(ならびに本発明のその他のポリペプチド実施形態)は、放射性部分または放射性分子、毒素(例えばカリケアミシン)、化学療法的分子、プロドラッグを活性抗癌薬物に変えるプロドラッグ活性化酵素、リポソーム、あるいは、化学療法的化合物を含有するその他の小胞に結合され(conjugate)得るかまたは結合され(associated with)得、これらの化合物を、抗体によって認識された抗原を含む癌細胞を標的化するために、個体に投与され、それにより、癌細胞を除去し得る。さらに別の実施形態において、癌を有する個体は、mBLA3を用いた緩和処置が与えられる。さらに別の実施形態において、抗体は、転移の進行を遅らせるために、抗原を発現する癌を外科的に除去する際に、アジュバント療法として使用され得る。抗体はまた、腫瘍のサイズを減じるために、抗原を発現する腫瘍を有する個体において、外科手術前にも投与され得(ネオアジュバント療法)、これにより、外科手術を可能にし、あるいは単純化し、外科手術中に組織を残しておき(spare)、そして/または、生じる醜い跡を減じる。
例えば、キメラ抗体、単鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、および必要な特異性のβ6インテグリンサブユニット認識部位を含む任意の他の改変されたmBLA3立体配置などの、mBLA3および等価抗体またはフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)の種々の処方物が、投与のために使用され得る。いくつかの実施形態において、mBLA3抗体またはそれらのmBLA3の種々の処方物が、適切に投与される。他の実施形態において、mBLA3またはそれらのmBLA3の種々の処方物(本明細書中に記載される任意の組成物実施形態を含む)、および薬学的に受容可能な賦形剤は、投与され、種々の処方物であり得る。薬学的に受容可能な賦形剤は、当技術分野において公知であり、薬理学的に効果的な物質の投与を促進する比較的不活性な物質である。例えば、賦形剤は、形態または粘性(consistency)を与え得、希釈剤として作用し得る。適切な賦形剤としては、分解防止剤、湿潤剤ならびに乳化剤、浸透圧を変えるための塩、封入剤、緩衝液、および皮膚浸透エンハンサーが挙げられるが、これらに限定されない。非経口の薬物および非経口ではない薬物の送達のための賦形剤および処方物については、Remington,The Science and Practice of Pharmacy 第20版,Mack Publishing(2000)に記載されている。
一般的に、これらの薬剤は、注射による投与(例えば腹腔内注射、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、など)のために処方されるが、その他の投与形態(例えば経口的投与、粘膜投与、など)もまた使用され得る。従って、mBLA3抗体およびそれらの対価物は、好ましくは、生理食塩水、リンガー溶液、ブドウ糖溶液などの薬学的に受容可能なビヒクルと混ぜ合わされる。特定の投薬レジメン、すなわち、用量、タイミング、および頻度は、特定の個体およびその個体の病歴に依存する。一般的に、体重1kg当たり少なくとも約100μg、体重1kg当たり少なくとも約250μg、体重1kg当たり少なくとも約750μg、体重1kg当たり少なくとも約3mg、体重1kg当たり少なくとも約5mg、体重1kg当たり少なくとも約10mg、が投与される。
半減期などの実験に基づいた考慮は、一般に用量の決定に寄与する。ヒト化抗体または完全なヒト抗体などの、ヒト免疫システムとの適合性を有する抗体は、抗体の半減期を延長するため、および、抗体が宿主の免疫システムによって攻撃されるのを防止するために使用され得る。投与の頻度は、治療の経路にあわせて決定および調整され得、癌細胞の数を減らすか、癌細胞の減少を維持させるか、癌細胞の増殖を減らすか、または、転移の進行を遅らせるか、に基づく。癌細胞の存在は、当業者に公知の多数の方法、あるいは本明細書中で考慮された方法(例えば免疫組織化学、あるいは、生検または生物学的サンプルのフローサイトメトリーによる検出)によって同定され得る。あるいは、mBLA3抗体の徐放性の連続的放出処方物が適し得る。徐放性の放出を達成するための種々の処方物およびデバイスは当技術分野において公知である。
1つの実施形態において、mBLA3抗体の用量は、1回以上の投与が与えられている個体において実験に基づいて決定され得る。個体において、mBLA3の用量が増加される。mBLA3またはその他の等価抗体の効力を評価するために、特定の癌疾患状態のマーカーが追跡され得る。このマーカーとしては、触診または視覚での観察を通した腫瘍のサイズの直接的な測定、X線またはその他の画像技術による腫瘍のサイズの間接的な測定、直接の腫瘍生検によって、および腫瘍サンプルの顕微鏡検査によって評価されるような改善、間接的な腫瘍マーカー(例えば前立腺癌用のPSAなど)の測定、痛みまたは麻痺の減少、話す能力、視覚、呼吸、またはその他における腫瘍に関連する障害の改善、食欲の増進、または、承認された試験によって測定されるような生活の質の上昇あるいは生存期間の延長を含む。用量が、個体、癌の型、癌の段階、癌が個体において他の場所へ転移し始めているか否か、および、過去使用された処置ならびに現在併用される処置に依存して変化することは、当業者にとって明らかである。
その他の処方物は、リポソームなどのキャリアが挙げられるがこれらに限定されない、当技術分野において公知の適切な送達形態を含む。例えば、Mahatoら,(1997)Pharm.Res.14:853−859参照。リポソーム製剤としては、サイトフェクチン(cytofectin)、多層状ベシクル、および単層ベシクルが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、1つより多い抗体が存在し得る。この抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。このような組成物は、少なくとも1つの、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの、癌腫、腺癌、肉腫、または腺肉腫に対して反応性の、異なる抗体を含有し得る。mBLA3抗体は、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、骨、上部消化管、および膵臓が挙げられるがこれらに限定されない器官における癌、腺癌、肉腫、または腺肉腫に対して反応性の1つ以上の抗体と混合され得る。抗体の混合物は、当技術分野においてしばしば示されるように、より広範囲の個体の集団の処置において特に有用であり得る。
疾患の評価が、画像方法および適切なマーカーのモニタリングなどの当技術分野における標準的な方法を使用して行われる。
(VIII.β6インテグリンサブユニットに結合する本発明の抗体およびポリペプチドを含むキット)
本発明はまた、診断および/または治療における使用のために、β6インテグリンサブユニットに結合する抗体または本明細書中に記載される任意の組成物を含むキットも提供する。従って、キットは、β6インテグリンサブユニットに優先的に結合し得るか、そして/または、β6インテグリンサブユニットとの複合物を形成し得る抗体を含む(例えば、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、食道、甲状腺、腎臓、または卵巣の癌細胞を検出するのに有用である)。いくつかの実施形態において、キットは、抗体mBLA3、または、mBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的な結合を競合的に阻害する抗体を含む。いくつかの実施形態において、キットは、抗体mBLA3、あるいは、治療薬剤、プロドラッグ活性化酵素、または標識剤に結合されたβ6インテグリンサブユニットへのmBLA3の優先的な結合を競合的に阻害する抗体を含む。これらのキットは更に、指示、および/あるいは、この抗体または本明細書中に記載された任意の抗体実施形態またはポリペプチド実施形態を治療薬剤、プロドラッグ活性化酵素、または標識剤に結合するための試薬を含み得る。いくつかの局面において、抗体(例えばモノクローナル、ポリクローナル、ヒト、ヒト化など)のβ6インテグリンサブユニットへの結合は、個体における癌診断のために使用される(例えば、癌細胞の存在もしくは非存在を検出するためのキット、および、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、食道、甲状腺、腎臓、または卵巣の癌細胞の存在もしくは非存在を検出するためのキット)。その他の局面において、キットは、例えば、癌を有する、または癌の家族歴を有する個体を処置するために使用され得る。癌を有する個体を処置するためのキットは、結腸の癌細胞などの癌細胞の増殖(growth)および/または増殖(proliferation)を阻害するためのキット、および/あるいは、治療薬剤またはプロドラッグ活性化酵素を癌細胞へ送達するためのキットを含むが、これらに限定されない。本発明のキットは、適切に包装され、さらなる構成要素を必要に応じて提供し得、このさらなる構成要素は、例えば、本発明の抗体と組み合わせて使用されるプロドラッグ、ならびにβ6インテグリンサブユニットに対する結合を決定するための緩衝液および指示(例えば、捕捉試薬、現像試薬、標識、反応表面、検出手段、コントロールサンプル、および説明の情報)である。指示は、本明細書中に記載されるアッセイを含むがこれらに限定されない、抗原結合の任意の測定のためであり得る。その他の実施形態において、指示は、本明細書中に記載の任意の方法のためであり得、以下を含む:結腸の癌細胞などの癌細胞の増殖(grow)および/または増殖(proliferation)を阻害するための指示;治療薬剤またはプロドラッグ活性化酵素を癌細胞に送達するための指示(プロドラッグを使用するための指示を含む)。いくつかの実施形態において、上述の試薬は、同じ個体における長期の測定または複数の個体における測定を可能にするなど、複数の測定が成され得るように供給される。抗体の結合を検出するための任意の適切な手段(標識された抗ヒト抗体(この標識は酵素であり得る)、フルオロフォア、化学発光物質放射性同位元素、または補酵素)が、使用され得る(そしてキットにおいて提供され得る)。一般的に、使用される標識は酵素である。
以下の実施例は、例として提供されるが、本発明を限定するものではない。
(実施例1 免疫原としてのヒト胎児膀胱細胞の調製)
妊娠週齢が14〜21週のヒトの胎児の膀胱を、カリフォルニア州Alameda CountyのAdvanced Bioscience Researchから入手した。膀胱を、調達し、濡らした氷上の組織培地に入れ、研究室に輸送した。到着後すぐに、膀胱を、20mlの冷PBSで3回洗浄した。解剖用顕微鏡の下で、膀胱から、膀胱の周りの余分な組織を取り除き、膀胱を冷PBSでさらに2回洗浄した。
膀胱を、100mmの乾燥した培養シャーレ内において、カミソリの刃を用いて、1mmのキューブ状に細切れにした。10mlのOpti−MEM培地(GIBCO BRL カタログ番号22600)を加えた。組織片を、PBS中の5%BSAで事前にコーティングした5mlのピペットによって、15mlの遠心管に移した。次に組織片を、1000×gで5分間、遠心分離した。ペレットを、6mlのOpti−MEM培地内で再懸濁した。組織を、以下の増殖因子(各々1ミリリットルの培養中の最終濃度)を含有する3mlのOpti−MEM培地で、6ウェルプレート内で培養した:10μg/mlのインスリン、10μg/mlのトランスフェリン、5μg/mlのビタミンE、25μg/mlのアプロチニン、3ng/mlのプロゲステロン、10ng/mlのKGF、5nMのヘレグリン(heregulin)(HRG)、100μg/mlのゲンタマイシン(細胞培養の最初の2日間で加えられる)。注射の3日前に、トリプシン(GIBCO BRL カタログ番号25300−054)を、最終濃度が0.05%となるように加えて、線維芽細胞を取り除いた。
これらの培養条件下で、ヒト胎児膀胱細胞(HFB)を、組織培養容器のプラスチックに付着させ、単層として培養した。培養物を、はじめに細胞をトリプシン処理して組織培養容器から離脱させ、次に、5日目から7日目まで毎日、分割比1〜5で、同じ培地中で細胞を移植することにより、継代された。細胞を、Opti−MEMで洗浄し、最低24時間は、上述のように無血清培地中で増殖し、その後、収集して注射した。
細胞を収集するために、細胞を、カルシウムおよびマグネシウム非含有ハンクス生理食塩水で1回リンスし、ハンクス生理食塩水中0.02% EDTAに中で、37℃で15分間インキュベートした。細胞を、優しくタッピングすることにより、培地表面から離脱させた。細胞懸濁液を、1000rpmで10分間の遠心分離により沈殿させた。上清を除去し、細胞を、適切な非変性アジュバントを含有する血清非含有培地(Opti−MEM)内で再懸濁した。
(実施例2 モノクローナル抗体の産生)
培養の11〜16日目のHFB細胞を使用して、モノクローナル抗体を産生した。マウス1匹当たり約10個のHFB細胞を、週1回、Balb/cマウスの足蹠から注射した。非変性アジュバント(例えばRibi)を使用した。週1回注射の6週間後、各免疫化動物の尾から少量の血液を採取し、FACS分析を用いて、HFBに対する抗体価を試験した。抗体価が少なくとも1:2000に達したとき、マウスをCOチャンバ内で屠殺し、次いで頚椎を脱臼させた。ハイブリドーマの調製のためにリンパ節を収集した。
マウスから得られた最も高い抗体価を有するリンパ球を、35%ポリエチレングリコール4000を使用して、マウスの骨髄腫株X63−Ag8.653と融合した。融合後10日目に、ハイブリドーマの上清を、HFBに特異的なモノクローナル抗体の存在について、蛍光活性化セルソーティング(FACS)によってスクリーニングした。各ハイブリドーマから得た調整済みの培地を、HFB細胞のアリコートを用いて30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞のサンプルを洗浄し、0.1mlの希釈剤中に再懸濁し、1μg/mlのFITCが結合したヤギ抗マウスIgG F(ab’)2フラグメントで、4℃で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、0.5mlのFACS希釈剤中で再懸濁し、FACScanセルソーター(Becton Dickinson;San Jose,CA)を用いて分析した。ハイブリドーマのクローンを、更なる拡張、クローニング、およびFACSにより評価されるHFB細胞表面への結合に基づく特徴づけのために選択した。100個のハイブリドーマクローンが、この第1スクリーニングにおいて陽性であることが見出された。
陽性のハイブリドーマを、正常な組織切片への反応について、さらにスクリーニングした。膀胱および前立腺の組織切片において陽性、かつ、腎臓および皮膚の組織切片において陰性の、染色したハイブリドーマクローンを採取した。mBLA3と呼ばれるモノクローナル抗体を作るハイブリドーマを選択した。ブダペスト条約に従い、mBLA3を産生するハイブリドーマを、2001年10月10日に、PTA−3775の特許受託名で、American Type Culture Collection(ATCC)(P.O.Box 1549 Manassas,VA 20108)に寄託した。
(実施例3 mBLA3の精製)
モノクローナル抗体を、タンパク質−Gアフィニティークロマトグラフィー を使用して、組織培養物の上清から精製した。抗体の精製工程について以下の物質を使用した:ハイブリドーマの組織培養物上清、Immunopure(G)IgG結合緩衝液(Pierce #21011 Rockford,IL)、Immunopure IgG溶出緩衝液(Pierce #21009)、濃HCl(pH調製のため)、Corning 1リットル PES(ポリエーテルスルホン)、0.22μmのフィルター(Corning #431098,Corning,NY)、Amersham Pharmacia GradiFrac System(Amersham Pharmacia,Piscataway,NJ)、タンパク質−Gセファロース4Fast Flow(Amersham Pharmacia #17−0618−02)、ストリッピング緩衝液(3M KSCN/50mM Tris(pH 7.8))、およびPBS(リン酸緩衝生理食塩水)3M Tris(pH 9.0)。
mBLA3抗体を精製するために、上清の容量を測定し、同じ容量の結合緩衝液を上清に加えた。混合物を、室温と平衡させた。上清を、0.22μmのフィルターを通して浄化した。上清を、GradiFracシステムを使用してタンパク質Gカラムにロードした。カラムを、5〜10カラム容量分の結合緩衝液で洗浄した。モノクローナル抗体を、溶出緩衝液で溶出し、そして2mlの画分を回収した。画分のOD280値を得、モノクローナル抗体を含有する画分をプールした。溶出したモノクローナル抗体の画分を、1/20容量の3M Trisの添加によって中和した。サンプルを、1×PBS中で4℃で透析した(少なくとも3時間に1回の緩衝液の交換を3回行なった)。精製モノクローナル抗体を、フィルター滅菌し(0.2uM)、2〜8℃で貯蔵した。
ハイブリドーマの上清からのmBLA3モノクローナル抗体の精製後、HFB細胞への結合を再試験した。細胞のサンプルを、実施例4に記載したように調製し、種々の濃度の精製抗体と共にインキュベートした。インキュベート後、細胞を洗浄し、0.1mlの希釈剤中に再懸濁し、1μgのFITCが結合したヤギ抗マウスIgGのF(ab’)フラグメントと共に、30分間、4℃でインキュベートした。細胞を洗浄し、0.5 mlのFACS希釈剤中に再懸濁し、FACScanセルソーター(Becton Dickinson;San Jose,CA)を使用して分析した。FACScanヒストグラムにおいて右側にシフトすることは、精製抗体がまだHFB細胞に結合することを示した。
(実施例4 mBLA3が結合する抗原の同定および特徴づけ)
細胞ペレット(ヘマトクリット値約25μlの膵臓腫瘍細胞株CFPAC−1(ATCC番号CRL−1918)またはSU.86.86(ATCC番号CRL−1837))が、最初に細胞を水中で0.5mlまで希釈し、次いで凍結および融解を3回行なうことによって溶解した。溶液を、14,000rpmで遠心分離した。細胞膜フラグメントを含有する、得られたペレットを、50μlのSDSサンプル緩衝液(Invitrogen,Carlsbad,CA)中で再懸濁した。サンプルを、80℃で5分間加熱し、次いで14,000rpmで2分間遠心分離し、いかなる不溶性の物質も除去した。mBLA3の抗原を発現し、精製に使用され得るその他の細胞株としては、Du−145、HT−29、または、表3に示されるように、mBLA3に結合するその他の細胞株が挙げられる。
サンプルを、製造業者の指示に従い、4〜20% Tris−Glycine SDSポリアクリルアミドの非変性勾配ゲル(Invitrogen;Carlsbad,CA)を使用して、ウエスタンブロットによって分析した。10マイクロリットルの膜サンプルを、ポリアクリルアミドゲルの1レーンに適用した。予め染色した分子量のマーカーSeeBlue Plus2(Invitrogen;Carlsbad,CA)を、ゲル上の分子量を評価するために使用した。ゲルタンパク質が、14.4g/lのグリシン、3 g/lのTris Base、10%のメタノール、および0.05% SDSのトランスファー緩衝液を使用して、ニトロセルロース膜にトランスファーした。膜をブロックし、抗体mBLA3を用いてプローブし(0.5ug/mlの濃度で)、製造業者の指示に従い、InvitrogenのWesternBreeze Chromogenic Kit−AntiMouseを使用して展開した。膵臓腫瘍細胞の膜サンプルにおいて、1つの顕著なバンドが、約120kDa(+/−10%)で移動するのが観察された。従って、mBLA3抗体は、この分子量マーカーシステムを用いたウエスタンブロット分析に基づき、約120kDaの分子量を有する膵臓腫瘍細胞内のタンパク質上の抗原を認識する。
mBLA3の抗原を更に特徴づけるために、細胞表面タンパク質のビオチン化、免疫沈降およびウエスタンブロットの技術を使用した。乳癌細胞SKBR3(ATCC番号HTB30)を、175cmの培養シャーレ上で、コンフルエンシーまで増殖させた。コンフルエントな単層を、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS+、炭酸水素ナトリウムまたはフェノールレッド非含有、l0mM HEPES緩衝化(pH 7.4)、Sigma Chemicalsから得た)で3回洗浄し、200μgのスルフォ−NHS−LC−ビオチン(Pierce Endogen)で30分間、室温でビオチン化した。細胞をHBSS+含有0.1M Tris(pH 7.4)(Sigma Chemicals)でさらに3回洗浄し、HBSS+含有0.1M Tris(pH 7.4)中で、15分間室温でインキュベートした。細胞を最後にHBSS+で3回洗浄し、溶解緩衝液(HBSS+含有2% Triton X−100、2mM PMSF、0.1%アジ化ナトリウム、および5mlの溶解緩衝液当たり1錠のEDTA非含有Complete−Miniプロテアーゼカクテル(EDTA非含有Complete−Miniプロテアーゼカクテルを、Roche Molecular Biochemicalsから得た。その他の化学薬品はすべて、Sigma Chemicalsから得た))中で、5分間氷上でインキュベートすることにより溶解した。細胞を、溶解緩衝液中で傷つけ、溶解物を回収した。溶解物を、4℃で1時間、24,000×gの遠心分離によって精製した。精製した溶解物を、最初に、5μlのマウスIgG/BSA結合(1mg/ml)CNBr 4MBセファロースビーズ(Amersham Pharmacia)で2時間、4℃で前処理した。マウスIgG/BSAビーズを除去し、次に前処理した溶解物を、5μlのmBLA3が結合したCNBr 4MBセファロースビーズ(1mg/mlで結合)で2時間、4℃でインキュベートした。mBLA3ビーズを、2時間のインキュベーション後、除去した。マウスIgG/BSAビーズおよびmBLA3ビーズの両方を、1mlの溶解緩衝液で独立に3回洗浄し、次に1mlのHBSS+で3回洗浄した。洗浄したビーズを、30μlのSDS−PAGEサンプル緩衝液を加え、99℃で5分間沸騰させることによって溶出した。サンプルを、4〜20% Novex勾配ゲル(Invitrogen)上で分離し、0.2μmのニトロセルロース(Invitrogen)上にトランスファーし、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ストレプトアビジン(Pierce Endogen)によって視覚化するか、または、ブロット当たり5μgのmBLA3を用いてウエスタンブロットした。mBLA3によって単離された、ビオチン化細胞表面のタンパク質を検出するために、ニトロセルロースを、HRP結合ストレプトアビジンで染色した。ニトロセルロースを最初に、ブロッキング緩衝液(0.05% Tween−20(PBST)含有リン酸緩衝生理食塩水内の5%の無脂肪ドライミルク、Sigma Chemicals)で1時間ブロックした。HRP結合ストレプトアビジンを、PBST内に1μg/mlで希釈し、30分間、室温でニトロセルロースに露出した。ニトロセルロースを、DAB基質で着色する前に、PBSTで3回洗浄した。mBLA3でウエスタンブロットを行なうために、ニトロセルロースを、同様にブロッキング緩衝液中で1時間ブロックした。次にニトロセルロースを、ブロッキング緩衝液中に希釈した1mlの5μg/ml mBLA3含有プラスチック袋内(加熱密封された)でインキュベートした。ニトロセルロースを、PBSTで3回洗浄し、次に、10mlの1μg/ml HRP結合ロバ抗マウスIgG(重鎖および軽鎖特異的であり、ウシ、ニワトリ、ヤギ、モルモット、シリアンハムスター、ウマ、ヒト、ウサギ、ヒツジの血清タンパク質に対して交差吸着する)で、1時間、室温でインキュベートした。ニトロセルロースを最後に、PBSTで3回洗浄し、DAB基質を用いて発色させることにより視覚化した。
分子量120kDaの細胞表面のタンパク質を、HRP結合ストレプトアビジンを使用して同定した。同じ分子量のタンパク質はまた、mBLA3によるウエスタンブロット法によっても認識された。
mBLA3が結合する抗原もまた、以下の方法を使用して同定および特徴づけした。SKBR3細胞を、175cmのフラスコ内でコンフルエンシーまで増殖した。SKBR3細胞が入った、少なくとも8つの175cmのフラスコ(総量で少なくとも1400cmの細胞等価物))を、精製のために配分した。1400cmのうち175cm、または総細胞の等価物の約12.5%を、HBSS+(カルシウム、マグネシウム、および10mM HEPESを含有するハンクス平衡化塩溶液(pH 7.2))中の400mg/175cmのスルフォ−NHS−LC−ビオチン(Pierce Endogen)を用いて、フラスコ内において30分間、室温でビオチン化した。反応を、pH 8.0の1M Trisを加えて、最終濃度を100mMとすることによってクエンチした。次いですべてのSKBR3細胞を、HBSS+で洗浄し、次に、175cmの細胞の等価物について、1mlの溶解緩衝液(HBSS+含有2% Triton X−100、5ml当たり1錠のComplete−Mini(EDTA非含有)プロテアーゼカクテル、2mM PMSF(Triton X−100、Complete−MiniおよびPMSFはRoche Molecular Biochemicalsより得た)、および0.03% NaN)を用いて、フラスコ内で溶解した。溶解物を回収し、13,000×gで45分間、4℃で精製した。精製した溶解物を、1mlのマウスIgG/BSAカラム(1mgのマウスIgGおよび1mgのBSAが、Pharmacia Biotechから入手した1mlの活性化CNBr 6MBビーズに結合した)を使用して予め吸収させた(pre−absorbed)(2時間、4℃)。次いで予め吸収させた溶解物を、5μl/秒以下の流速で、室温で、1mlのmBLA3カラムを通過させた(1mgのmBLA3が、Pharmacia Biotechから入手した1mlの活性化CNBr 6MBビーズに結合された)。両方のカラムを、15カラム分の容量の溶解緩衝液で洗浄し、次に15カラム分の容量のHBSS+で、室温で洗浄した。洗浄したカラムを、5カラム分の容量の0.1Mグリシン(pH2.8)で溶出した。各カラムの容量(1ml)を独立に加え、溶出液を1mlの画分に回収し、Fl、F2、F3、F4およびF5とラベルを貼り、F1とF2との間で、30分間、室温でのインキュベーションが生じた。サンプルの濃縮の前に、F1をF4とプールし、F1+4のラベルを貼った。一方、F2をF3とプールし、F2+3のラベルを貼った。F1+4およびF2+3を、予めリンスしたCentricon−10濃縮器(Millipore)上で、最終的な容量が>400μlとなるまで独立に濃縮した。次いで、濃縮した容量を、予めリンスしたMicrocon−10濃縮器(Millipore)上で、最終容量が20μl以下に至るまでさらに濃縮した。
各濃縮溶出液の5%を、還元条件下(20mMのDTTで還元)、SDS−PAGEゲル(Invitrogenから得た4−20% tris−グリシン勾配ゲル)上で電気泳動し、ニトロセルロース上にトランスファーした。次いでブロットを、0.05% Tween−20 (TPBS)および5%の無脂肪ドライミルク含有PBS中で、1時間、室温でブロックした。ブロットを、HRP結合ストレプトアビジンを使用して、TPBS中で30分間、室温で分離した。次いでビオチン化したタンパク質が、DABを使用して視覚化した。mBLA3 F2+3を、130kDa以下の分子量の範囲において、強力な1つのバンドを示した。このバンドは、マウスIgG/BSAのFl+4およびF2+3の条件と比較した場合、独特であった。mBLA3 Fl+4は、類似の、しかし非常に短いバンドを示した。このタンパク質を、Ag−BLA3と名づけた。
mBLA3の濃縮溶出液の残りを、還元性の条件下で、SDS−PAGEゲル(Invitrogenから得られた4−20% トリス−グリシン勾配ゲル)上で電気泳動し、Gel−Codeゲル染色試薬(Pierce Endogen)を使用して、染色を用いて分離した。上述のウエスタンブロットで観察された130kDa以下の独特のバンドの場所において、本発明者は、お互いの5kDa以下以内に2つのくっきりしたバンドを隠す、130kDa以下の独特のあいまいな「バンド」が観察された。ウエスタンブロット法で使用した酵素的展開によって与えられたシグナルの増幅は、時々近接して移動する二重バンドを隠し得るので、両方のバンドを切り出し、サンプルを2つの近接に泳動するタンパク質であるとメモし、抗原の同定に使用した。
(実施例5 質量分析のための、mBLA3の抗原の単離)
精製された抗体mBLA3を、Centricon YM30濃縮器(Millipore カタログ番号4208)を使用して、約1mg/mlまで濃縮した。約1mgのmBLA3を、製造業者の指示に従い、0.35gの臭化シアン−活性化Sepharose 4B樹脂(Amersham Pharmacia Biotech カタログ番号17−0430−01)に、共有結合的に結合させた。新鮮に増殖させたRav9926細胞(2×10個以下の細胞)を、スピナーフラスコから収集した。細胞を、遠心分離によってペレットにし、次いで、100μlのプロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma カタログ番号P8340)を含有する、総量で15mLの脱イオン水(dH2O)中で再懸濁した。
細胞懸濁液を、−80℃で凍結し、次いで融解した。この工程を、5サイクル繰り返し、細胞を破壊した。細胞膜を、Eppendorfマイクロ遠心分離機内において、14,000rpmで15分間、4℃での遠心分離によって収集した。
細胞膜のペレットを、2% Empigen BB界面活性剤(Calbiochem カタログ番号324690)および50μl Sigma プロテアーゼインヒビターカクテルを含有する2mlのハンクス平衡化塩溶液(HBSS,GibcoBRL カタログ番号14175−079)、pH 7.0中で再懸濁した。次いで細胞膜調製物を、一晩4℃で回転板上に置いた。
細胞膜調製物を、Empigen BBの最終的な濃度が1%になるまでHBSSを用いて希釈した。不溶性の細胞残屑を、Eppendorfマイクロ遠心分離機内において、14,000rpmで15分間、4℃での遠心分離によって除去した。水溶性の膜タンパク質を含有する上清を収集し、アフィニティー精製において使用するまで−80℃で貯蔵した。
細胞膜の抽出物を解凍し、次いで以前に調製したmBLA3−アフィニティーゲルと混合し、2時間4℃で回転した。インキュベーション後、アフィニティーゲルを以下の通りにしっかり洗浄した:血清および添加剤非含有HBSS+1.0% Empigen BBで5回→血清および添加剤非含有HBSS+0.5% Empigen BBで3回→血清および添加剤非含有HBSS+0.25% Empigen BBで3回→血清および添加剤非含有HBSS+0.125% Empigen BBで2回→血清および添加剤非含有HBSSのみで2回→dHO中0.5M NaClで1回→PBSで1回。
各洗浄液は、5.0mLから成る(1.5mlである0.5M NaCl洗浄を除く)。次いで抗原を、dH2O中1.5mlの2%酢酸で2分間、アフィニティーゲルから溶出した。0.5M NaCl洗浄液および酸で溶出した抗原を得、各サンプル容量を、SpeedVac(Savant カタログ番号ISS110)を使用して、中程度の加熱で、2.5時間以下で、100μl以下まで減らした。
次いでサンプルを沈殿し、400μLのメタノールおよび100μLのクロロホルムの添加によって抽出した。サンプルをボルテックスし、次いで300μlのdH2Oを加え、静かに混合した。サンプルを、Eppendorfマイクロ遠心分離機内において、14,000rpmで4分間、室温で遠心分離した。タンパク質を、液相の境界に局在するので、最上層のほとんどは捨てた。400μlのメタノールを、サンプルの残りに加え、静かに混合した。サンプルを再び14,000rpmで4分間、室温で遠心分離した。上清を捨て、SpeedVacを使用してサンプルを完全に乾燥させた。
乾燥サンプルを、電気泳動のための調製において、28μlの1×LDSサンプル緩衝液(Invitrogen カタログ番号NP007)を加えることにより再構成した。サンプルを、10分間、75℃まで加熱し、次いでマイクロ遠心分離機内で遠心分離し、ボルテックスして混合した。25μlの各サンプルを、pre−cast NuPAGE 4〜12%勾配ゲル(Invitrogen カタログ番号NP0322)上の1つのレーン内にロードし、引き続き抗原を同定した。2μlを、ウエスタンブロットによる分析のために、別のレーンにロードした。適切な分子量標準物質もまた、アフィニティー樹脂でのインキュベーション前および後の細胞膜タンパク質抽出物サンプルと同様、ゲル上にロードした。電気泳動を、製造業者の指示に従って実施した。ゲルを、10%酢酸を含有する50%メタノール中で30分間固定し、次いで、製造業者の指示に従い、Colloidal Blue染色液(Invitrogen カタログ番号LC6025)を使用して染色した。ゲルの固定しない部分を、ウエスタンブロットのために、再び製造業者の指示に従い、ニトロセルロースシート(Invitrogen カタログ番号LC2000)上にトランスファーした。次いでブロットを、mBLA3を用いてプローブし、ウエスタンブロットキット(Invitrogen カタログ番号WB7103)を使用して展開し、抗原認識を確認した。
NuPAGEゲル由来の染色タンパク質バンドを、清潔な外科用メスを用いて切り出し、清潔なEppendorfチューブに入れた。切り出したバンドを、質量分析によるタンパク質同定に使用するまで、−20℃で貯蔵した。
(実施例6 MALDI質量分析)
mBLA3が結合する抗原を、実施例4および5に記載のように単離し、MALDI質量分析に供した。免疫アフィニティーカラムの溶出液を、SDS−PAGEによって分離し、バンドを切り出して、抽出した。ゲル片を、代表的に「ゲルにおいて(in gel)」において消化した(Gharahdaghi,F.,Weinberg,C.R.,Meagher,D.A.,Imai,B.S.およびMische,S.M.(1999)Electrophoresis 20,601−605)。抽出されたペプチドを、Kratos,AXIMA CFR上で、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(MALDI−Tof)によって分析した。ペプチドの質量を、100ppm内で測定し、カーブフィールドリフレクトロン(curved field reflectron)によるイオンゲート時間(a time ion gate)を、ポストソース分解(PSD)を介して、ペプチドの単離および断片化のために使用した。研究を、Protein Prospector Programs(Clauser K.R.,Baker P.R.およびBurlingame A.L.,Analytical Chemistry,第71巻,14,2871−(1999))のMSFitおよびMSTagを用いて行った。2つの主要なタンパク質にマッチする配列が得られ、これらのタンパク質は、インテグリンサブユニットαvおよびインテグリンサブユニットβ6であった。
(実施例7 mBLA3が結合するインテグリンαvβ6のサブユニットの同定)
mBLA3がαvサブユニットまたはβ6サブユニット、あるいは両方のいずれに結合するのかを測定するために、精製mBLA3抗原を、SDSゲル内で電気泳動によって分画し、ニトロセルロース膜上にトランスファーした。膜を、mBLA3、ヤギ抗αvインテグリンC末端ペプチド(Q−20,Santa Cruz Biotechnologies,カタログ番号sc−6617)、マウス抗インテグリンβ6クローンR6G9(Chemicon international MAB2075Z)、マウス抗インテグリンαvβ6クローン10D5(Chemicon International MAB2077Z)、および、マウス抗インテグリンβ6クローンCSβ6(Chemicon International MAB2076Z)を用いて、ウエスタンブロット法によってプローブした。結果は、mBLA3が、Q−20によって認識されたαvサブユニットよりも約5〜10kD小さい1つのタンパク質バンドを認識することを示した。従って、mBLA3はインテグリンβ6サブユニットに結合したが、インテグリンαvサブユニットには結合しなかった。しかし、モノクローナル抗体クローン10D5、R6G9およびCSβ6は、ウエスタンブロット上で、αvバンドもβ6バンドも認識しなかったが、これは、それらの抗体がウエスタンブロット上で働かないという公表された結果に一致する。mBLA3抗原がインテグリンβ6であることを更に確認するために、インテグリンβ6を、抗β6抗体クローンCSβ6を使用してSK−BR−3細胞溶解物から免疫沈降し、R6G9を、SDSゲル内で電気泳動により分画し、ニトロセルロース膜に移した。これらの膜を、mBLA3を用いてウエスタンブロットによりプローブした。再び、mBLA3は、β6に対応するタンパク質のバンドを認識した。さらに、mBLA3は、ウエスタンブロット上で、β6インテグリンの非還元形態のみを認識する。β−メルカプトエタノールまたはジチオスレイトールを用いたβ6インテグリンサブユニットの還元は、mBLA3の結合を破壊した。
mBLA3が、β6サブユニット以外のインテグリンに交差反応するか否かを測定するために、SW480(ATCC番号CRL 228)、SK−Ov−3(ATCC番号HTB 77)、SK−MES−1(ATCC番号HTB 58)、SK−BR−3(ATCC番号HTB30)、HT−29(ATCC番号HTB 38)、およびHPAF−II(ATCC番号CRL−1997)の細胞株を増殖し、10%の胎仔ウシ血清で補充したF12/DMEM培地中で、組織培養処理された96ウェルプレート(Falcon カタログ番号354075)内で、コンフルーエンスまで増殖させた。細胞を組織培養培地で洗浄し、次いで、1%BSAおよび0.1%アジ化ナトリウムを含有するハンクス平衡化塩溶液(HBSS)中に5μg/mlのmBLA3を添加して、または添加せず、1時間、室温でインキュベートした。細胞を、次いで、1ウェル当たり100μlのHBSSで3回洗浄し、次に、1ウェル当たり50μlの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ロバ抗ヒトIgG重鎖および軽鎖特異的抗体で、HBSS中に希釈した0.8μg/mlの濃度で、30分間、室温でインキュベートした。細胞を、最後に、HBSSで3回洗浄し、100μlのTMB基質(KPL カタログ番号50−65−00および50−76−01)中で5分間インキュベートし、1ウェル当たり100μlの1μリン酸を加えることによって停止した。展開したプレートを、O.D.450nmで読み取った。結果を図1に示した。これらの細胞株におけるmBLA3の結合パターンは、特異的αvβ6抗体の結合パターンに類似していたが、特異的αvβ6抗体の結合パターンとは異なった。SW480(αl、α2、α3、α6、αvおよびβ1を発現するが、β6および β3は発現しない、公知の細胞株。Koretz K.ら Virchows Arch 425:229−36参照)においても、SKOV−3細胞株(αl、α2、α3、α5、α6、αv、β1およびβ3を発現するが、β6を発現しない公知の細胞株。Cannistra SAら,Gynecol Oncol 58:216−25参照)においても、mBLA3の特異的な結合は、存在しなかった。種々のレベルでインテグリンβ6を発現したSK−BR−3細胞株、HT−29細胞株およびHPAF II細胞株に対するmBLA3の特異的な結合があったが、これは特異的なαvβ6について得られた結果に一致した。従って、mBLA3は、インテグリンβ6サブユニット特異的モノクローナル抗体である。
mBLA3は、市販されているその他の抗体によって認識されなかったβ6インテグリンサブユニット上のエピトープに結合した。証拠の1つは、mBLA3非還元SDS変性β6サブユニットに結合したが、既存のモノクローナル抗体のいずれもが結合しなかったことである。別の証拠は、競合的アッセイである。このアッセイにおいて、HT−29細胞株を増殖させて、10%の胎仔ウシ血清で補充したF12/DMEM内において、96ウェルの組織培養処理されたプレート内にコンフルーエンスまで増殖させた。細胞を、組織培養培地で洗浄し、次いで、1%BSAおよび0.1%アジ化ナトリウムを含有するハンクス平衡化塩溶液(HBSS)内中で、0.5μg/mlのビオチン化mBLA3を添加して、または添加せず、10μg/mlの非標識化mBLA3、非標識化R6G9、非標識化10D5、非標識化E7P6あるいは非特異的なマウスIgGを添加して、または添加しないで、1時間、室温でインキュベートした。細胞を、次いで、ウェル当たり100μlのHBSSで3回洗浄し、次に、ウェル当たり50μlのストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(2μg/ml、Pierce Biochemicals)で30分間、室温でインキュベートした。細胞を、最後に、HBSSでで3回洗浄し、100μl TMB基質(KPL カタログ番号50−65−00および50−76−01)で、5分間インキュベートし、ウェル当たり100μlの1μリン酸の添加によって停止した。展開したプレートを、O.D.450nmで読み取った。結果を図2に示した。mBLA3とその他の入手可能な抗αvβ6抗体との間に、競合は観察されなかった。同様のアッセイを、mBLA3精製インテグリンαvβ6について、プレートELISAフォーマット中で行った(図3)。再び、mBLA3とその他の入手可能な抗αvβ6抗体との間に、競合は観察されなかった。これらのデータは、mBLA3が、その他の入手可能な抗αvβ6抗体と異なり、インテグリンのβ6サブユニット上のエピトープに結合することを示す。
(実施例8 フィブロネクチンへの細胞接着の阻害)
96ウェルプレートの適切なウェルを、フィブロネクチン(0.5μg/ウェル)で、1時間、室温でコーティングした。これを除去し、プレート全体を、DMEM/F12培地中1mg/ml BSAを用いて、37℃で30分間ブロックした。これを除去し、抗体を、1mg/ml BSA含有DMEM/F12培地中の適切なウェルに加えた。SKBR3細胞を、10mM EDTAを用いて、ストック組織培養シャーレから取り除いた。細胞を遠心分離し、1mg/ml BSA含有DMEM/F12中に再懸濁した。1.5×10細胞を各ウェルに加えられるように密度を調整した。37℃で1時間後、シャーレを、ペーパータオル上におき、培地および未接着細胞を除去し、ウェル当たり100μlのPBSでゆっくり洗浄し、再度ペーパータオル上においた。接着して残っている細胞を、固定剤を含有するクリスタルバイオレットで10分間染色した。これを完全に洗浄し、プレートを乾燥させた後、光学濃度を、プレート読み取り装置上で、540で読み取った。図4に示すように、mBLA3は、SKBR3のフィブロネクチンへの接着を阻害する。
(実施例9 mBLA3抗体の、腫瘍を有する組織への結合についての免疫組織化学)
凍結組織サンプルを、OCT化合物内に包埋し、ドライアイスを用いてイソペンタン内ですばやく凍結した。凍結切片を、Leica 3050 CMマイクロトームを用いて、5μmの厚さで薄切し、解凍してスライドガラス上に乗せた。切片を、エタノールを用いて、−20℃で固定し、室温で一晩、空気乾燥した。固定した切片を、使用するまで、−80℃で保存した。免疫組織化学のために、組織の切片を回収し、まずブロッキング緩衝液(PBS、5% 正常ヤギ血清、0.1% Tween 20)中で30分間、室温でインキュベートし、次いで、ブロッキング緩衝液(1μg/ml)中で希釈したmBLA3およびコントロールモノクローナル抗体を用いて、120分間インキュベートした。次いで切片を、ブロッキング緩衝液を用いて3回洗浄した。結合したモノクローナル抗体を、0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.05)および0.003% 過酸化水素(Sigma カタログ番号H1009)中ヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)F(ab’)−ペルオキシダーゼ結合体、および、ペルオキシダーゼ基質ジアミノベンジジン(1mg/ml,Sigma カタログ番号D5637)で検出した。染色したスライドを、ヘマトキシリンで対比染色し、Nikonの顕微鏡を用いて調べた。
図5は、中程度に分化した肺腺癌および潤滑性乳管腺癌におけるmBLA3抗体の特異的な結合(茶色)を示す。凍結腫瘍サンプルを、OCTに包埋し、6μmで薄切し、エタノールで固定した。免疫組織化学を、凍結切片について、前述の通りに実行した。細胞核を、ヘマトキシリンを用いて対比染色した(薄青)。組織内のすべての癌細胞が、mBLA3を結合する細胞表面抗原について陽性であった。
いくつかの場合において、パラフィン包埋したホルムアルデヒド固定組織を、適切な抗原回収方法を用いた後、免疫組織化学に使用した。このような抗原回収方法の1つは、ManghamおよびIsaacson,Histopathology 35:129−33(1999)に記載されている。抗原回収および/または検出のその他の方法は、当業者によって使用され得る。凍結組織と、または、適切な場合は、固定組織と抗原の回収およびpolyMICA検出とを用いて実行された同様の実験から、結果が得られた。種々の正常組織および癌組織に対する、mBLA3の結合を、評価した。すべての場合において、コントロール固定組織における抗体の結合は、凍結組織の場合と相関した。この2つがコントロールにおいてマッチしなかった場合にのみ、凍結組織から得られた結果を使用した。便宜上、表1は、5つの異なる供給源に由来する凍結腫瘍組織を使用した、mBLA3を有する5つの主な腫瘍型を代表する原発性腫瘍サンプルの染色に関する、結果の組み合わせを示す。各腫瘍型について、mBLA3の抗原、すなわちβ6インテグリンサブユニットに陽性を示した腫瘍の数、および、試験されたこのような腫瘍の総数を示す(+/総数)。mBLA3を結合する腫瘍のパーセンテージも示す。
Figure 2006506323
表2は、固定腫瘍組織、あるいは凍結腫瘍組織を使用した、mBLA3を有する7つの転移性腫瘍型の染色の、合成した結果を示す。各腫瘍型について、mBLA3の抗原に対して陽性を示した腫瘍の数、および、試験されたこのような腫瘍の総数を示す(+/総数)。mBLA3を結合する腫瘍のパーセンテージも示す。表2に示されるように、mBLA3は、試験された転移性腫瘍型の約92%に結合した。この結果は、表1と比較すると、mBLA3の結合が、転移性腫瘍のマーカーとして使用され得ることを示唆した。
Figure 2006506323
(実施例10 CellArrayTMから得た免疫細胞化学の結果)
モノクローナル抗体mBLA3を、異なる型の組織に由来する種々の細胞株 との反応性を試験するために使用した。異なる樹立細胞株に由来する細胞を、プロテアーゼを使用せずに増殖表面から除去し、圧縮し、OCT化合物に包埋した。細胞を凍結し、薄切し、次いで、標準的なIHCプロトコルを使用して染色した。CellArrayTMの技術は、WO01/43869に記載されている。CellArrayの結合実験から得られた結果を、表3にまとめる。
Figure 2006506323
(実施例11 正常な組織に対するmBLA3の結合)
外科的な切除によって得られた正常な組織を、凍結し、腫瘍組織と共にマウントした。凍結切片を、Leica 3050 CMマイクロトームを用いて厚さ5μmに薄切し、vectaboundコートしたスライド上に解凍マウントした。切片を、エタノールを用いて20℃で固定し、室温で一晩、空気乾燥した。主要な抗体mBLA3を、1〜100の希釈率で使用した(最終濃度は1μg/ml)。組織の切片を回収し、はじめにブロッキング緩衝液(PBS、5% 正常ヤギ血清、0.1% Tween 20)中で、室温で30分間インキュベートし、次いで、mBLA3およびブロッキング緩衝液中に希釈したコントロールモノクローナル抗体(1μg/ml)を用いて、120分間、インキュベートした。次いで切片を、ブロッキング緩衝液で3回洗浄した。結合したモノクローナル抗体を、0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.05)および0.003% 過酸化水素(Sigma カタログ番号H1009)中の、ヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)F(ab’)−ペルオキシダーゼ結合体、および、ペルオキシダーゼ基質ジアミノベンジジン(1mg/ml,Sigma カタログ番号D5637)を用いて検出した。染色したスライドを、ヘマトキシリンを用いて対比染色し、正常な皮膚に対するmBLA3の結合を測定するために、Nikonの顕微鏡下で、polyMICATM検出キットを使用して調べた。mBLA3を有する正常組織の染色の結果を、表4に示す。表5は、mBLA3抗原に陽性を示す個々の腫瘍および正常な組織の免疫組織化学的染色の強度の総括を示す。
Figure 2006506323
Figure 2006506323
(実施例12 HT−29大腸癌腫細胞およびHPAF−II膵臓腺癌細胞の細胞増殖に対するmBLA3の効果)
単層として増殖させた場合にインビトロでの細胞数を減少させる抗体の能力は、種々の量のテスト用精製抗体またはコントロール用精製抗体の存在下、あるいは非存在下で増殖させた細胞の単層を使用して、評価され得る。また、細胞数の変化は、MTTを使用して評価され得る。MTTは、ミトコンドリアの酵素の活性を測定し、関連する生存可能な細胞数と相関する、染料である。所定の細胞をプレート培養し、96ウェルプレート内で、10%の胎仔ウシ血清で補充されたF12/DMEM(1:1)増殖培養培地中で増殖した。以下の細胞株を、96ウェルシャーレ3枚分のウェル内で、以下の濃度でプレート培養した:HT−29およびHPAF−II、ウェル当たり10,000個の細胞)。プレート後すぐに、mBLA3を、異なる最終濃度(0〜50μg/mlの範囲)で、培地に加えた。細胞を、加湿したインキュベーター内で、空気中5%のCO2で、37℃で4日間インキュベートした。アッセイの最後に、MTTを、PBS(5mg/ml)中に溶解し、1:10の希釈度で、ウェルに直接加えた。プレートを、またインキュベートに戻して4時間置いた。インキュベート後、培地を除去し、100μlのDMSOを加えてMTT沈降物を可溶化した。プレートを、プレート読み取り装置上で、540で読み取った。
最初の実験は、mBLA3が、用量依存的様式で、HT−29大腸癌腫細胞の増殖を阻害することを示した。しかし、追加的な実験では、この結果を繰り返すことができなかった。mBLA3はまた、最終濃度が50μg/mlの場合において、HPAF−II膵臓腺癌細胞の増殖を阻害しなかった。
(実施例13 インビボでのヒト腫瘍異種移植に対する抗体活性)
ヒトの腫瘍に対するmBLA3の阻害効果を、ヒトの腫瘍の異種移植を有するマウスに抗体を注射することにより試験した。特に、HT29細胞(ヒトの結腸癌腫株)を、10%の胎仔ウシ血清で補充したF12/DMEM培地中で増殖させた。細胞をプレートから除去し、ペレットにし、100,000個の細胞を、50μlの中和されたタイプ1ラットテールコラーゲンに再懸濁した。細胞/コラーゲンの混合物を、15分間、37℃におき、次いで、増殖培養培地を満たし、一晩培養した(Wangら,200 Cancer Research 60:6008−6017参照)。次いで細胞を、成熟オス胸腺欠損(BALB−nu/nu)マウスの腎臓莢膜の下にグラフトした(1つの腎臓にはHT29を用いた)。細胞の移植片を、7日間増殖させた。7、10、13日目に、動物に、体重1kg当たり50mgのmBLA3を、腹腔内に注射した。コントロール用の動物には、生理食塩水を注射した。20日目に(最初の注射から13日目に)、動物を屠殺し、取り出された細胞移植片を、パラホルムアルデヒド固定し、上述のように薄切するために、パラフィン包埋した。
無処置コントロールは、大きく異常な黄色の腫瘍の塊の、肝臓への浸潤を示した(図6)。mBLA3で処理したグラフトは、いくらかのアポトーシスおよび壊死の部分を有する、より小さく圧縮された腫瘍の塊を示し、グラフト内の細胞は、無処置コントロールの動物とかなり異なる形態を示した(図6および図7)。処置動物においては、腫瘍全体を、隣接する肝臓から容易に分離し得たが、無処置動物においては、分離し得なかった。実際、無処置コントロールにおける腫瘍は、肝臓に浸潤したのが、切片において見られ得た(図7)。これらの結果は、mBLA3抗体が、無処置コントロール動物における未分化型浸潤性腫瘍と比較すると、より良い分化およびより少ない浸潤性表現型を有する、腫瘍の塊の減少を引き起こす活性があることを示した。これらの結果は、mBLA3のインテグリンαvβ6への結合が、腫瘍細胞を阻害および/または殺傷するために十分であることを示唆した。
(実施例14 癌細胞に対するmBLA3および毒素結合抗マウスIgGの効果)
Mab−ZAP(Advanced Targeting Systems,San Diego,CA)は、サポリン(saporin)結合抗マウスIgGであり、タンパク質合成を阻害する毒素である。この毒素は、細胞膜に対して不透過性である。モノクローナル抗体が、内在性細胞表面抗原に結合される場合、毒素結合体は、結合されたモノクローナル抗体に結合し得、内在化され得、最終的に細胞を殺傷し得る。毒性活性の実証のための内在化に依存して、Mab−ZAPは、所定の表面抗原が、細胞毒性効果を発現するための内在化に依存する任意の毒素に対して、適切な標的としての役割を果たすか否かを評価するのに役立ち得る。従って、Mab−ZAPは、このような内在化依存性毒素(たとえば、メイタンシノイド(maytansinoids)、アウリスタチン(auristatin)、およびカリチケアミシン(calicheamicin))のためのモデルとして寄与する。
mBLA3およびサポリン結合抗マウスIgGの腫瘍細胞による内在化、ならびに、サポリンの内在化後に腫瘍細胞を殺傷する効果を試験するために、ヒト前立腺癌細胞、LNCaP(ATCC番号CRL−1740)および22RV1(ATCC番号CRL−2505);ヒト結腸癌細胞、HT29(ATCC番号HTB−38);ヒト乳癌細胞、SK−BR−3(ATCC番号HTB30)を、10mM EDTAを用いてストックフラスコから取り出し、遠心分離した。細胞を、1ml当たり50,000個の割合で、適切な培地中に再懸濁し、96ウェルプレート内に、ウェル当たり100μlをプレートした。抗体mBLA3を、10×の濃度で、適切なウェルに直ちに加え、最終濃度を10μg/mlとした。15分後、室温で、Mab−ZAP(カタログ番号IT−04,Advanced Targeting Systems,San Diego CA)を、適切なウェルに10×の濃度で加え、最終濃度を0.001pM〜10pMとした。4日間の増殖後、MTTを、37℃で4時間加えた(ストック5mg/ml PBS、ウェルにおいて1:10の希釈)。次いで、すべてのウェルから培地を除去し、ウェル当たり100μlのDMSOを加えた。プレートを静かに旋回し、青色のMTT沈殿物を可溶化し、プレートを、プレート読み取り装置を用いて、540nmで読み取った。
Mab−ZAPを、0.001〜10pM加えた場合、mBLA3非存在下の染色の場合に比較して、mBLA3存在下でのヒトの結腸癌細胞HT29およびヒトの乳癌細胞SK−BR−3におけるMTT染色において、減少は見られなかった。このことは、mBLA3およびMab−ZAPが、これらの条件下において、これらの癌細胞の増殖を阻害しなかったことを示している。
本明細書に記載された実施例および実施形態は、例証する目的のためだけに記載され、それらに照らした種々の改変または変更が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲に包含されるべきであることが理解される。本明細書中で挙げられた全ての刊行物、特許、および特許出願は、各々独立の刊行物、特許または特許出願が、独自にかつ個別に参考として援用されることを示されるのと同じ程度に、その全体が本明細書中で参考として援用される。
図1は、mBLA3、抗−αvβ6、またはαvβ3を用いた、生細胞ELISAを示す。SW480は、αVを発現するが、β3サブユニットまたはβ6サブユニットを発現しない。SKOV3およびSKMESは、αvβ3を発現するが、β6を発現しない。SKBR3およびHT−29は、αvβ6を発現するが、β3を発現しない。 図2は、HT−29細胞またはSKOV3細胞における結合についての抗体競合を示す。R6G9(抗−β6)、E7P6(抗−αvβ6)、および10D5(抗−αvβ6)を、10μg/mlで使用し、mBLA3を、1μg/mlで使用した。 図3は、精製インテグリンαvβ6における結合についての抗体競合を示す。R6G9(抗−β6)、E7P6(抗−αvβ6)、および10D5(抗−αvβ6)を、10μg/mlで使用し、mBLA3を、1μg/mlで使用した。 図4は、SKBR3のフィブロネクチンへの結合に対するmBLA3の効果を示す。 図5は、免疫組織化学の顕微鏡写真であり、mBLA3抗体の中程度に分化した肺腺癌および潤滑性乳腺管癌における特定の結合を示す。凍結腫瘍サンプルは、OCT中に包理し、6μmで等切し、エタノールで固定した。凍結切片について、免疫組織化学を実施例9に記載されるように実施した。細胞核を、ヘマトキシリンで対比染色した。 図6は、mBLA3の、胸腺欠損マウスからのHT29ヒト腫瘍異種移植片に対する効果を示すインサイチュの写真である(生理食塩水(コントロール、下)またはmBLA3(上)による処置後13日)。 図7は、図6に示したヒトHT29腫瘍の異種移植片の切片を低倍率および高倍率で示した。上パネル(低倍率)は、肝臓(矢印)に侵入するコントロールHT29腫瘍および周囲の健全な肝組織を示す。処置した腫瘍は、コントロールの低分化型の攻撃的な癌細胞と比較して、緻密かつ高分化型である。

Claims (43)

  1. 受託番号ATCC第PTA−3775号を有する宿主細胞またはその子孫によって産生される抗体mBLA3の、β6インテグリンサブユニットへの優先的結合を、競合的に阻害する抗体。
  2. 受託番号ATCC第PTA−3775号を有する宿主細胞またはその子孫によって産生される抗体mBLA3。
  3. 請求項2に記載の抗体mBLA3の軽鎖および重鎖の可変領域に由来する可変領域、ならびにヒト抗体の軽鎖および重鎖の定常領域に由来する定常領域を含む、キメラ抗体。
  4. 請求項2に記載の抗体mBLA3の、ヒト化抗体。
  5. 治療薬剤に結合されている、請求項1、請求項3または請求項4に記載の抗体。
  6. プロドラッグを活性な抗癌薬物に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合される、請求項1、請求項3または請求項4に記載の抗体。
  7. 宿主細胞株(ATCC番号第PTA−3775号)またはその子孫。
  8. 受託番号ATCC第PTA−3775号を有する宿主細胞もしくはその子孫によって産生された抗体mBLA3によって結合されるか、または該抗体mBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する抗体によって結合される、β6インテグリンサブユニットの複合体。
  9. 前記β6インテグリンサブユニットが、癌細胞上にある、請求項8に記載の複合体。
  10. 前記癌細胞が、乳癌細胞である、請求項9に記載の複合体。
  11. 前記癌細胞が、結腸癌細胞である、請求項9に記載の複合体。
  12. 前記癌細胞が、肺癌細胞である、請求項9に記載の複合体。
  13. 前記癌細胞が、甲状腺癌細胞である、請求項9に記載の複合体。
  14. 前記癌細胞が、膵臓癌細胞である、請求項9に記載の複合体。
  15. 前記癌細胞が、前立腺癌細胞である、請求項9に記載の複合体。
  16. 前記癌細胞が、腎臓癌細胞である、請求項9に記載の複合体。
  17. 前記癌細胞が、食道癌細胞である、請求項9に記載の複合体。
  18. 請求項9に記載の複合体であって、前記抗体mBLA3または該抗体mBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する前記抗体が、治療薬剤に結合している、複合体。
  19. 請求項9に記載の複合体であって、前記抗体mBLA3または該抗体mBLA3のβ6インテグリンサブユニットへの優先的結合を競合的に阻害する前記抗体が、プロドラッグを活性な抗癌薬物に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合している、複合体。
  20. 請求項1、請求項3または請求項4に記載の抗体、および薬学的に受容可能な賦形剤を含有する、薬学的組成物。
  21. 請求項5に記載の抗体、および薬学的に受容可能な賦形剤を含有する、薬学的組成物。
  22. 請求項6に記載の抗体、および薬学的に受容可能な賦形剤を含有する、薬学的組成物。
  23. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の抗体を含む、癌細胞を検出するためのキット。
  24. 請求項1、請求項3および請求項4のいずれか1項に記載の抗体を含む、癌細胞の増殖を阻害するためのキット。
  25. 前記抗体が、治療薬剤に結合している、請求項24に記載のキット。
  26. 前記抗体が、プロドラッグを活性な抗癌薬物に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合している、請求項24に記載のキット。
  27. 請求項2に記載の抗体を産生するための方法であって、該方法は、請求項2に記載の抗体をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを発現する工程、および該抗体を精製する工程を包含する、方法。
  28. 個体における癌細胞の存在または非存在を検出する方法であって、該方法は、該個体由来の細胞を、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の抗体と接触させる工程、ならびに該癌細胞由来のβ6インテグリンサブユニットと該抗体との複合体を、存在する場合に検出する工程を包含する、方法。
  29. 前記検出される癌細胞が、乳癌細胞である、請求項28に記載の方法。
  30. 前記検出される癌細胞が、結腸癌細胞である、請求項28に記載の方法。
  31. 前記検出される癌細胞が、肺癌細胞である、請求項28に記載の方法。
  32. 前記検出される癌細胞が、膵臓癌細胞である、請求項28に記載の方法。
  33. 前記検出される癌細胞が、前立腺癌細胞である、請求項28に記載の方法。
  34. 前記検出される癌細胞が、食道癌細胞である、請求項28に記載の方法。
  35. 前記検出される癌細胞が、甲状腺癌細胞である、請求項28に記載の方法。
  36. 前記検出される癌細胞が、腎臓癌細胞である、請求項28に記載の方法。
  37. 前記癌細胞が、転移性癌細胞である、請求項28に記載の方法。
  38. 個体における癌細胞の増殖を阻害する方法であって、該方法は、有効量の請求項20に記載の組成物を該個体に投与する工程を包含する、方法。
  39. 前記癌細胞が、結腸癌細胞である、請求項38に記載の方法。
  40. 個体における癌細胞に治療薬剤を送達する方法であって、該方法は、有効量の請求項21に記載の組成物を該個体に投与する工程を包含する、方法。
  41. 前記癌細胞が、結腸癌細胞である、請求項40に記載の方法。
  42. 個体における癌細胞にプロドラッグ活性化酵素を送達する方法であって、該方法は、有効量の請求項22に記載の組成物を該個体に投与する工程を包含する、方法。
  43. 前記癌細胞が、結腸癌細胞である、請求項42に記載の方法。
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