JP4347694B2 - 癌関連抗原cd46に結合する抗体およびその使用方法 - Google Patents
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Description
本願は、2001年10月16日に出願された、米国仮出願番号60/329,644号の利益を主張する。この出願は、その全体が参考として援用される。
本発明は、癌生物学および免疫療法の分野である。より具体的には、本発明は様々なヒト癌に存在する、CD46(膜補因子タンパク質)に結合する抗体の発見、およびそのような癌を診断および/または治療する方法に関する。
免疫療法、または治療目的のための抗体の使用が、近年癌を治療するために使用されている。受動免疫療法は、癌治療におけるモノクローナル抗体の使用を含む。例えば、Cancer:Principles and Practice of Oncology、第6版(2001)第20章495−508頁を参照のこと。これらの抗体は、腫瘍細胞の成長または生存の直接的阻害、および身体の免疫系のナチュラル細胞破壊活性を動員する能力の両方による、内在する治療的生物学的活性を有し得る。これらの薬剤を、単独で、または照射または化学療法剤と組み合せて施し得る。リンパ腫および乳癌の治療のために認可された、それぞれ、Rituxan(登録商標)およびHerceptin(登録商標)は、このような療法の2つの例である。あるいは、抗体を使用して抗体結合体を作成し得、ここで抗体は毒性薬剤に連結され、そして腫瘍へ特異的に結合することによってその薬剤を腫瘍へ向ける。Mylotarg(登録商標)は、白血病の治療のために使用される、認可された抗体結合物の例である。癌細胞に結合し、そして診断および治療への潜在的な用途を有するモノクローナル抗体が、刊行物に開示されている。例えば、特に標的タンパク質の分子量を開示する、以下の特許出願を参照のこと:米国特許第6,054,561号(200KD c−erbB−2(Her2)、および大きさが40−200KDの他の未知抗原)および米国特許第5,656,444号(50KDおよび55KD、腫瘍胎児性タンパク質)。臨床試験中および/または固形腫瘍の治療に認可された抗体の例としては、以下が挙げられる:Herceptin(抗原:180kD、HER2/neu)、Panorex(抗原:40−50kD、Ep−CAM)、HMFG1(抗原>200kD、HMWムチン)、C225(抗原:150kDおよび170kD、EGF受容体)、Campath(抗原:21−28kD、CD52)、およびRituxan(抗原:35kD、CD20)。
本明細書中で開示される発明は、様々なヒト癌に存在する、抗原CD46(膜補因子タンパク質としても知られる)に対する抗体に関連する。よって、1つの局面において、本発明は、本明細書中以下で「Ag−PA7」またはCD46として知られる抗原に選択的に結合する抗体またはポリペプチド(それは抗体であり得る、またはそうでないかもしれない)であり、ここでCD46は4−20%Tris−グリシンSDS−PAGE(すなわち変性勾配)ゲルにおいて、約55kDa+/−10%である。
本明細書中で開示される本発明は、抗原CD46に結合する抗体およびポリペプチド、およびCD46に結合するこれらの抗体およびポリペプチドを作成および使用する方法を提供する。CD46は、様々なヒト癌に存在し、そしてその発現が増加することが示された。ジスルフィド結合依存性であるCD46エピトープに優先的に結合する抗体mPA7は、インビトロおよびインビボモデルにおいて前立腺癌細胞の成長を抑制することが見出され、そして癌細胞内に治療薬を内在化する能力を示した。
本発明の実施は、他に示さなければ、当該分野の技術の範囲内である、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の伝統的な技術を採用する。そのような技術は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版(Sambrookら、1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology: A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1988)Plenum Press;Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.Griffiths、およびD.G.Newell編、1993−8)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies: a practical approach(D.Catty編、IRL Press、1988−1989);Monoclonal antibodies: a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000);Using antibodies: a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995);およびCancer: Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVitaら編、J.B.Lippincott Company、1993)のような文献において完全に説明される。
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する、少なくとも1つの抗原認識部位によって、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等のような標的に特異的に結合し得る免疫グロブリン分子である。本明細書中で使用される場合、その用語は、そのままのポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、その断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvのような)、一本鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、および必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子のあらゆる他の修飾された構成も含む。
本発明は、CD46(膜補助因子タンパク質、またはMCPとしても知られる)に結合する抗体、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにCD46に結合する抗体、ポリペプチドおよびタンパク質をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む、医薬品組成物を含む組成物を含む。本明細書中で使用される場合、組成物は、CD46に結合する1つまたはそれ以上の抗体、ポリペプチドおよび/またはタンパク質、ならびに/あるいはCD46に結合する1つまたはそれ以上の抗体、ポリペプチドおよびタンパク質をコードする配列を含む1つまたはそれ以上のポリヌクレオチドを含む。これらの組成物はさらに、当該分野で周知の、緩衝液を含む薬剤学的に受容可能な賦形剤のような適当な賦形剤を含み得る。
Ag−PA7(CD46)に結合するモノクローナル抗体をスクリーニングするために、いくつかの方法を使用し得る。採用し得る1つの方法は、免疫組織化学(IHC)である。標準的な免疫組織化学的技術は、当業者に公知である。例えば、Animal Cell Culture Methods(J.P.MatherおよびD.Barnes編、Academic Press、第57巻、第18および19章、314−350頁、1998)を参照のこと。生物学的試料(例えば組織)を、生検、解剖、または検死から得ることができる。Ag−PA7(CD46)が癌細胞にのみ存在するかどうかを確かめるために、mPA7を使用して、癌に罹患した個体由来の他の非癌組織または癌を有さない個体由来の組織をコントロールとして使用しながら、癌を有する個体由来の組織におけるAg−PA7(CD46)の存在を検出し得る。その組織を、凍結中の損傷を予防する固体または半固体物質(例えばアガロースゲルまたはOCT)に包埋し、そして次いで染色のために薄片にし得る。異なる臓器および異なる進行度の癌を使用して、モノクローナル抗体をスクリーニングし得る。スクリーニング目的のために使用し得る組織の例は、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、胃、神経、血管、骨、上部消化管、および膵臓を含むがこれに限らない。スクリーニング目的のために使用し得る、異なる癌の型の例は、癌腫、腺癌、肉腫、腺肉腫、リンパ腫、および白血病を含むがこれに限らない。
mPA7の抗原を同定するためにいくつかの方法を採用し得、そのいくつかは実施例で記載される。1つの方法は、アフィニティー精製のための抗体の利用である。細胞溶解物/抽出物または組織ホモジネート/抽出物を、抗体mPA7を固体支持体に結合させた、アフィニティー樹脂に適用し得る。抽出する試料を、正常または癌組織、癌または別の疾患状態を有する個体由来の生物学的試料、市販の供給源(例えばAmerican Type Culture CollectionまたはATCC、Manassas、VA)、または細胞系統を含むがこれらに限らない、多くの供給源から得ることができる。アフィニティー精製のために使用される抗体を、下記で詳細に議論する様々な方法で得ることができる。一旦、抗原が支持体に結合したら、抗原を異なる試薬を用いて溶出し得る。これらの試薬としては、低pH試薬および化学的変性剤(例えば尿素またはグアニジンHCl)が挙げられるがこれらに限らない。例えば、Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、第2巻、1991、8.2.1−8.2.9)を参照のこと。この方法を、実施例5でさらに詳述する。
一旦、抗原(例えばAg−PA7)が同定および特徴付けされたら、その抗原についての情報(例えば配列)を、様々な目的のために使用し得る。抗体mPA7の抗原は、CD46であると決定された。CD46の配列は、米国特許第5,846,715号、同第5,514,787号、同第5,552,381号、同第5,703,046号、および同第6,218,520号において開示された。1つの局面において、Ag−PA7(CD46)の配列を、それに結合する抗体を作製するために使用し得る。例えば、Ag−PA7(CD46)配列を、発現ベクターにクローニングし、そして適当な宿主細胞に発現させて、動物への注入および続くハイブリドーマ産生のための免疫源を作製し得る。抗体の作製方法は以下で記載する。別の局面において、抗体mPA7の配列を使用して、抗体を組換え的に作製し得る。組換え抗体の作製方法は、当該分野で周知である。例えば、Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991)および米国特許第5,665,570号;同第5,677,425号;同第5,760,185号;同第5,773,247号;および同第5,929,212号を参照のこと。さらに別の局面において、Ag−PA7(CD46)を使用して、本明細書中で記載したような抗体を作製し得、そしてAg−PA7に結合する抗体を、新規で潜在的な生物学的に機能的なエピトープを発見するために、エピトープマッピングおよび/または他の抗体との交差競合のために使用し得る。
モノクローナル抗体mPA7および等価な抗体または本明細書中で開示された方法によって作製されたCD46に結合するmPA7のポリペプチド誘導体を、診断目的のために、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、胃、神経、血管、骨、上部消化管、および膵臓を含むがこれらに限らない、様々な組織における癌細胞の存在または非存在を同定または検出するために使用し得る。単純さのために、これらの方法は、本明細書中で記載されたCD46結合実施形態のいずれにも適用されるという理解で、一般的にmPA7または抗体に言及する。検出は、一般的に細胞を抗体またはCD46に結合する本明細書中で記載したポリペプチドと接触させること、およびAg−PA7(CD46)とAg−PA7(CD46)に特異的に結合する抗体(例えばmPA7、mPA7のヒト化抗体、ヒト抗体またはあらゆる他のCD46結合部分)との間の複合体形成を含む。そのような複合体の形成は、インビトロまたはインビボであり得る。理論に拘束されることなく、モノクローナル抗体mPA7は、Ag−PA7(CD46)の細胞外ドメインによってAg−PA7(CD46)に結合し得る。
モノクローナル抗体mPA7および本明細書中で開示された方法によって作製された等価な抗体(および本発明の他のポリペプチド実施形態)を、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓または膵臓の癌を含むがこれらに限らない、癌を有する個体において治療目的のために使用し得る。ある実施形態において、その癌は前立腺である(ただし、その前立腺癌は、抗体またはポリペプチドに結合する)。これらの治療方法はまた、上記で記載した連結した実施形態にも適用される。単純さのために、これらの方法は、連結した実施形態を含む本明細書中で記載したヒト化抗体およびヒト抗体を含むがこれらに限らない、本明細書中で記載したあらゆるCD46結合実施形態に適用されるという理解で、一般的にmPA7または抗体に言及する。mPA7による治療は、上記のように、インビトロおよび/またはインビボの両方で、mPA7およびAg−PA7(CD46)の複合体の形成を含み得る。1つの実施形態において、モノクローナル抗体mPA7は、癌細胞(例えば前立腺癌細胞)に結合し、そして成長および/または増殖を抑制し得る。別の実施形態において、モノクローナル抗体mPA7は、癌細胞に結合し、そしてアポトーシス細胞死を誘導し得る。別の実施形態において、モノクローナル抗体mPA7は、癌細胞に結合し、そして転移の発生を遅らせ得る。別の実施形態において、モノクローナル抗体mPA7は、癌細胞に結合し、そしてmPA7に連結した治療剤(毒素、または放射活性化合物のような)を癌細胞へ伝達し得る。ある実施形態に関して、治療剤(例えば、毒素)は細胞内に導入される(すなわち、内在化される)。これらの方法に特に適当な薬剤は、細胞内で活性な薬剤を含む。そのような薬剤の例としては、サポリン(saporin)、カリーチアマイシン、アウリスタチン(auristatin)、およびメイタンシノイド(maytansinoid)が挙げられるがこれらに限らない。ある実施形態において、これらの薬剤はmPA7に連結され、そして前立腺、卵巣、乳房、または結腸の癌細胞に内在化される。一般的に、これらの実施形態において、有効量(治療剤を標的癌細胞におよび/またはその中に送達するのに十分な量)が個体に投与される。さらに別の実施形態において、癌を有する個体に、mPA7を用いた緩和治療を与える。癌患者の緩和治療は、癌の進行に直接影響を与えずに、疾患の有害な症状、または疾患のために与えられた他の治療によって生じる医原性の症状を治療または軽減することを含む。これは、痛みの緩和、栄養的な維持、性的な問題、心理学的苦痛、うつ、疲労、精神障害、嘔気、嘔吐等の治療を含む。
本発明はまた、診断および/または治療において使用するために、CD46に結合する、抗体または本明細書中で記載した組成物のいずれかを含むキットを提供する。よって、キットは、CD46に選択的に結合し得る、および/またはCD46と複合体を形成し得る抗体を含む(例えば、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、または腎臓の癌細胞を検出するのに有用である)。ある実施形態において、そのキットは抗体mPA7またはmPA7が選択的に結合するのと同じエピトープに選択的に結合する抗体を含む。ある実施形態において、そのキットは、治療薬または標識薬剤に連結した、抗体mPA7またはmPA7が選択的に結合するのと同じエピトープに選択的に結合する抗体を含む。これらのキットはさらに、抗体または本明細書中で記載したあらゆる抗体またはポリペプチド実施形態を、治療薬または標識薬剤に連結するための、指示および/または試薬を含み得る。ある局面において、抗体(例えばモノクローナル、ポリクローナル、ヒト、ヒト化等)のCD46への結合を、個体において癌を診断するために使用する、例えば癌細胞の存在または欠如を検出するためのキット、および乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、または腎臓の癌細胞の存在または欠如を検出するキットである。他の局面において、そのキットを、例えば癌を有する、または癌の家族歴を有する個体を治療するために使用し得る。癌を有する個体を治療するキットは、前立腺癌のような癌細胞の成長および/または増殖を阻害するためのキット、癌細胞に治療薬を送達するためのキット、前立腺、卵巣、乳房、または結腸の癌細胞のような癌細胞内に治療薬を送達するキットを含むがこれに限らない。本発明のキットは、適当なパッケージング内にあり、そして任意で、緩衝液のようなさらなる成分、および捕獲試薬、展開試薬、標識、反応表面、検出の手段、コントロール試料、および説明的情報のような、Ag−PA7(CD46)への結合を決定するための指示を提供し得る。その指示は、本明細書中で記載したそれらのアッセイを含むがこれに限らない、抗原の結合のあらゆる測定に関するものであり得る。他の実施形態において、その指示は、前立腺癌のような癌細胞の成長および/または増殖を阻害すること、癌細胞に治療薬を送達すること、前立腺、卵巣、乳房、または結腸の癌細胞のような癌細胞内に治療薬を送達することに関する指示を含む、本明細書中で記載したあらゆる方法に関するものであり得る。ある実施形態において、上記で記載した試薬を、時間をかけて同じ個体における、または複数の個体における測定を可能にするような、複数の測定を行い得るように供給する。標識抗ヒト抗体のような、抗体の結合を検出するあらゆる適当な手段を採用し得(およびキット中で提供し得る)、ここでその標識は酵素、蛍光団、化学発光物質、放射性同位元素または補酵素であり得る。一般的に、使用される標識は酵素である。
(実施例1 免疫源としてのヒト膵臓上皮前駆(hPED)細胞の調製)
胎児膵臓(妊娠14−22週齢)を、酵素的分解の前に、立体顕微鏡下で顕微解剖によって機械的にばらばらにした。酵素処理は、部分的に分解した組織を、1mg/mlのコラゲナーゼ−4、1mg/mlのダイズトリプシン阻害剤、1mg/mlのヒアルロニダーゼ、および50μg/mlのDNAアーゼを含むCaフリーおよびMgフリーのPBSに、摂氏37℃で15分間置くことからなっていた。
非変性アジュバント(Ribi、R730、Corixa、Hamilton MT)をリン酸緩衝化生理食塩水中で4mlに再水和した。100μlのこの再水和アジュバントを、次いで400μlのハンクスの平衡塩類溶液で希釈し、そしてこれを続いて免疫に使用する細胞ペレットと静かに混合した。マウスあたり約106のhPED細胞を、Balb/cマウスに、1週間に1度足蹠に注射した。毎週の注射の6週間後に、各免疫動物の尾から1滴の血液を取り、FACS分析を用いてhPEDに対する抗体の力価を試験した。力価が少なくとも1:2000に達した時、マウスをCO2室内で屠殺し頸部脱臼した。ハイブリドーマ調製のために、リンパ節を回収した。
hPED細胞を、0.5mMのEDTAの存在下で組織培養フラスコから分離し、1400rpmで5分間遠心し、そして1%のBSAおよび2mMのEDTAを含むPBS(FACS希釈剤)に再懸濁した。細胞を計測し、そして107細胞/mlに調整した。細胞の約0.1mlを、100μlのハイブリドーマ上清または100μlのFACS希釈剤中1μgの精製モノクローナル抗体と、37℃で30分間インキュベートした。モノクローナル抗体を、プロテインGアフィニティークロマトグラフィーを用いて組織培養上清から精製した。抗体精製過程に以下の材料を使用した:ハイブリドーマ組織培養上清、Immunopure(G)IgG結合緩衝液(Pierce#21011、Rockford、IL)、Immunopure IgG 溶出緩衝液(Pierce#21009)、濃縮HCl(pHの調整のため)、Corning 1リットルPES(ポリエーテルスルホン)、0.22μmのフィルター(Corning#431098、Corning、NY)、Amersham Pharmacia GradiFrac System(Amersham Pharmacia、Piscataway、NJ)、Protein−G Sepharose 4 Fast Flow(Amersham Pharmacia#17−0618−02)、3MのKSCN/50mMのTris pH7.8であるStripping buffer、およびPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)3M Tris pH9.0。
LnCap細胞系統(ATCCから市販で入手可能)の約25μlのパックセル容積(packed cell volume)の細胞ペレットを、最初に細胞を水中で0.5mlに希釈すること、続いて3回凍結および解凍することによって溶解した。その溶液を14,000rpmで遠心した。細胞膜断片を含む、できたペレットを、50μlのSDS試料緩衝液(Invitrogen、Carlsbad、CA)に再懸濁した。その試料を80℃で5分間加熱し、そして次いで14,000rpmで2分間遠心してあらゆる不溶性の物質を除去した。Ag−PA7を発現し、そして精製に使用し得る他の細胞系統は、HPAF、Colo−205およびPanc−1、または表3に示すようなmPA7に結合する他の細胞系統を含む。
精製抗体mPA7を、Centricon YM30濃縮器(Millipore カタログ番号4208番)を用いて、約1mg/mlに濃縮した。約1mgのmPA7を、製造会社の指示によって、0.35グラムの臭化シアン活性化Sepharose 4B樹脂(Amersham Pharmacia Biotech カタログ番号17−0430−01番)に共有結合的に結合させた。新規に増殖させたHPAF、Colo−205、LnCap、またはPanc−1細胞(約2×109細胞)を、スピナーフラスコ(spinner flask)から回収した。細胞を遠心してペレット化し、次いで100μlのプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma、カタログ番号第P8340番)を含む全体で15mLの脱イオン水(dH2O)に再懸濁した。
mPA7が結合する抗原を、実施例5で記載したように単離し、そしてMALDI質量分析にかけた。イムノアフィニティーカラムの溶出物を、SDS−PAGEによって分離し、そしてバンドを摘出および抽出した。ゲル切片を、典型的には「ゲルにおいて」消化した(Gharahdaghi,F.、Weinberg,C.R.、Meagher,D.A.、Imai,B.S.およびMische,S.M.(1999)Electrophoresis 20、601−605)。抽出したペプチドを、Kratos、AXIMA CRFにおいてマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI−Tof)によって分析した。ペプチド質量を100ppm内で決定し、そしてカーブドフィールドリフレクトロン(curved field reflectron)を有するタイムイオンゲート(time ion gate)を、ペプチドの単離およびポスト−ソース−ディケイ(post−source−decay)(PSD)による断片化のために採用した。Protein Prospector Programs(Clauser,K.R.、Baker,P.R.、およびBurlingame,A.L.、Analytical Chemistry 71、2871−(1999)MSFitおよびMSTag)によって検索を行なった。抗原はCD46であると同定された。
mPA7が結合するCD46上のエピトープがジスルフィド結合依存性であるかどうかを試験するために、免疫沈降およびウェスタンブロッティング技術を使用した。ヒト結腸癌細胞系統、HT−29(ATCC#HTB−38)を、溶解緩衝液(HBSS+2%のTritonX−100、2mMのPMSF、0.1%のアジ化ナトリウム、および溶解緩衝液5mlあたり1錠のEDTAフリー完全ミニプロテアーゼカクテルを含む(EDTAフリー完全ミニプロテアーゼカクテルはRoche Molecular Biochemicalsから得た;全ての他の化学物質は、Sigma Chemicalsから得た))中、氷上で5分間インキュベートすることによって溶解した。細胞を溶解緩衝液中でこすって、そして溶解物を回収した。溶解物を、24,000×gで1時間、4℃で遠心することによって透明にした。透明になった溶解物を、最初に5μlのマウスIgG/BSA結合(1mg/ml)CNBr 4MBセファロースビーズ(Amersham Pharmacia)で、4℃で2時間、予備清澄化(pre−cleared)した。マウスIgG/BSAビーズを除去し、そして予備清澄化溶解物を次いで10μgのmPA7と4℃で2時間インキュベートした。抗原およびmPA7複合体を、10μlのプロテインGセファロースビーズとインキュベートした。ビーズを次いで個々に1mlの溶解緩衝液で3回洗浄し、続いて1mlのHBSS+で3回洗浄した。洗浄したビーズを、20mMのジチオトレイトール(DTT)の存在下または非存在下で、30μlのSDS−PAGE試料緩衝液を加え、そして99℃で5分間沸騰させることによって溶出した。試料を、4−20%Tris−Glycine Novex勾配ゲル(Invitrogen)で分離し、0.2μmのニトロセルロース(Invitrogen)に転移させ、そして5μg/ブロットのmPA7でウェスタンブロットした。mPA7によるウェスタンブロッティングのために、ニトロセルロースを、固定化緩衝液で1時間固定化した。ニトロセルロースを次いで、固定化緩衝液に希釈した1mlの5μg/mlのmPA7を含む、熱密閉プラスチックパウチ中でインキュベートした。ニトロセルロースを、10mlの1μg/mlHRP結合ロバ抗マウスIgG(重鎖および軽鎖特異的、ウシ、ニワトリ、ヤギ、モルモット、ゴールデンハムスター、ウマ、ヒト、ウサギ、ヒツジの血清タンパク質に対して交差吸収される)と室温で1時間インキュベーションする前に、PBSTで3回洗浄した。ニトロセルロースを、最終的にPBSTで3回洗浄し、そしてDAB基質を用いた色素展開によって視覚化した。
癌患者由来の凍結組織試料を、OCT化合物に包埋して、そしてドライアイスによってイソペンタン中で急速冷凍した。凍結切片を、Leica 3050CMミクロトームで、5μmの厚さに切断し、そしてベクタバウンド(vectabound)でコートしたスライドに解凍−固定した。切片を−20℃でエタノールを用いて固定し、そして室温で一晩空気乾燥させた。固定した切片を、使用まで−80℃で保存した。免疫組織化学のために、組織切片を回収し、そして最初に固定化緩衝液(PBS、5%の正常ヤギ血清、0.1%のTween20)中、室温で30分インキュベートし、そして次いで固定化緩衝液で希釈したmPA7およびコントロールモノクローナル抗体(1μg/ml)と120分間インキュベートした。切片を次いで固定化緩衝液で3回洗浄した。結合したモノクローナル抗体を、0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液pH5.05および0.003%過酸化水素(Sigma、カタログ番号H1009番)中で、ヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)F(ab’)2−ペルオキシダーゼ結合物およびペルオキシダーゼ基質ジアミノベンジジン(1mg/ml、Sigma カタログ番号D5637番)によって検出した。染色したスライドを、ヘマトキシリンで対比染色し、そしてNikon顕微鏡下で検査した。凍結手術組織を用いたいくつかの実験の結果のまとめを、下記の表1に示す。mPA7に結合する腫瘍の割合を列挙し、そして結合した数/試験した全体の数をカッコ内に示す。
モノクローナル抗体mPA7を使用して、異なる型の組織由来の様々な細胞株との反応性を試験した。異なる確立した細胞株からの細胞を、プロテアーゼを使用せずに増殖表面から除去し、詰め、そしてOCT化合物に包埋した。細胞を凍結し、そして切片にし、次いで標準的なIHCプロトコールを用いて染色した。CellArrayTM技術が、WO01/43869において記載されている。CellArray結合実験からの結果を、表3にまとめる。各細胞株を、反応性(+)または非反応性(−)として記録する。
外科的切除によって得られた正常組織(ヒト)を、実施例8のように凍結および固定した。凍結切片を、Leica 3050CMミクロトームで5μmの厚さに切断し、そしてベクタバウンドでコートしたスライドに解凍−固定した。切片を、−20℃でエタノールによって固定し、そして室温で一晩空気乾燥させた。PolyMICATM Detectionキットを用いて、mPA7の正常組織への結合を決定した。1次抗体mPA7を、1μg/mlの最終濃度で使用した。正常組織のmPA7による染色の結果を、表4に示す。
図1は、ヒト肺癌のmPA7染色の写真を示す。腫瘍試料を包埋し、そして凍結切片を調製し、エタノール固定し、そしてIHCを凍結切片に関して記載したように行なった。管腔上皮の先端表面における染色(茶色)は、mPA7の腫瘍への結合を示した。形態の同定を助けるために、mPA7を結合しない隣接する正常組織を、ヘマトキシリンで対比染色し、そして薄い青色になった。
抗癌抗体の望ましい性質は、腫瘍細胞の成長を阻害する能力である。そのような評価の1つの方法論は、抗体への曝露時の、インビトロにおける細胞の成長の減少である。単層として増殖させた場合にインビトロで細胞数を減少させる抗体の能力を、様々な量の精製試験抗体またはコントロール抗体の存在下または非存在下で増殖させた細胞単層を使用して評価し得、そして細胞数の変化を、クリスタルバイオレットを用いて評価する。クリスタルバイオレットは、非特異的タンパク質染色であり、従って相対的細胞数と関連する。
ヒト前立腺癌のマウスモデルを使用して、ヒト前立腺癌に対するmPA7の効力を評価した。LN−CaP(ヒト前立腺癌細胞)およびWI38(ヒト線維芽細胞)を、細胞培養から得た。各細胞型の1×105細胞を、コラーゲンゲルにキャスト(cast)し、それを次いでCD1ヌードマウス(Charles River、Hollister、CA)の腎臓被膜下に移植した。10日間増殖させた後、治療およびコントロールグループの各動物の宿主腎臓を、腫瘍の成長を観察および記録するために露出させた。次いで動物に最初の抗体治療またはPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)賦形剤を投与した。治療グループにおいて、100μlのPBS中、4回用量のmPA7抗体(100μg/宿主の体重g/用量)を、3日の間隔で腹腔内に投与した。コントロールグループには、同じ間隔で100μlのPBSを注射した。宿主を、最終投薬量を投与した2日後に屠殺した。腫瘍サイズを記録し、そして腫瘍を組織学のために10%の中性ホルマリン中で固定した。図3は、固定およびパラフィンに包埋し、次いで5μmの切片に切断し、そしてヘマトキシリンおよびエオジンで染色した、LN−Cap腫瘍の写真を示す。上のパネルは、PBSコントロールグループ由来の未治療前立腺癌組織を示し、そして下のパネルは、上記で開示した方法に従ってmPA7で治療した前立腺癌組織を示す。mPA7で治療したLN−Cap腫瘍は、かなりの壊死および溶血を示し、残った少数の腫瘍細胞は異常およびアポトーシス的に見える。WI−38細胞は、mPA7治療によって影響を受けなかった。続く実験において、mPA7の用量を50μg/g体重の4回用量、50μg/g体重の3回用量、または5μg/g体重の3回用量に減少した場合でも、LN−Cap腫瘍に対する同様の効果が見られた。
Mab−ZAP(Advanced Targeting Systems、San Diego、CA)は、タンパク質合成を阻害する毒素であるサポリンに結合した抗マウスIgGである。この毒素は細胞膜に対して非透過性である。モノクローナル抗体が、内在化する細胞表面抗原に結合するなら、毒素結合物が、結合したモノクローナル(抗体)に結合し、そして内在化し、最終的には細胞を殺し得る。毒性活性を示すための内在化に依存するので、Mab−ZAPは、当該表面抗原が、細胞毒性効果を発現するために内在化に依存するあらゆる毒素の適当な標的として役立つかどうかを評価するために役立ち得る。そうであるので、Mab−ZAPは、マイタンシノイド(maytansinoid)およびカリーチアマイシンのような、そのような内在化依存性毒素のモデルとして役立つ。
Claims (40)
- ATCC PTA−3706の寄託番号を有する宿主細胞またはその子孫により産生され
る抗体mPA7。 - 請求項1に記載の抗体mPA7の軽鎖および重鎖の可変領域由来の可変領域、ならびにヒト抗体の軽鎖および重鎖の定常領域由来の定常領域を含み、該抗体は、該抗体mPA7のCD46に対する結合特異性を有するかまたは保持するものである、キメラ抗体。
- 請求項1に記載の抗体mPA7のヒト化抗体であって、該抗体は、該抗体mPA7のCD46に対する結合特異性を有するものである、抗体。
- 前記抗体が、治療剤に連結される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
- 宿主細胞株(ATCC No.PTA−3706)またはその子孫。
- CD46およびATCC No.PTA−3706の寄託番号を有する宿主細胞またはその子孫により産生されCD46に結合される抗体mPA7を含む複合体。
- CD46およびATCC No.PTA−3706の寄託番号を有する宿主細胞またはその子孫により産生されCD46に結合される抗体mPA7を含む複合体であって、ここで該CD46が癌細胞上にある、複合体。
- 前記癌細胞が、乳房組織由来である、請求項7に記載の複合体。
- 前記癌細胞が、結腸組織由来である。請求項7に記載の複合体。
- 前記癌細胞が、肺組織由来である、請求項7に記載の複合体。
- 前記癌細胞が、卵巣組織由来である、請求項7に記載の複合体。
- 前記癌細胞が、膵臓組織由来である、請求項7に記載の複合体。
- 前記癌細胞が、前立腺組織由来である、請求項7に記載の複合体。
- 前記癌細胞が、腎臓組織由来である、請求項7に記載の複合体。
- 前記抗体mPA7が、治療剤に結合される、請求項7に記載の複合体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗体および薬学的に受容可能な賦形剤を含有する、癌細胞の増殖を阻害するための組成物。
- 請求項1、2および3のいずれか1項に記載の抗体を含有する、癌細胞を検出するためのキット。
- 請求項1、2および3のいずれか1項に記載の抗体を含有する、癌細胞の増殖を阻害するためのキット。
- 前記抗体が、治療剤に結合されている、請求項18に記載のキット。
- 個体における癌細胞の存在または非存在を検出するインビトロの方法であって、該個体由来の細胞と、請求項1、2または3のいずれか1項に記載の抗体を接触させる工程、および該癌細胞由来のCD46の複合体を、存在する場合に、検出する工程、を包含する、方法。
- 検出される前記癌細胞が、乳房組織由来である、請求項20に記載のインビトロの方法。
- 検出される前記癌細胞が、結腸組織由来である、請求項20に記載のインビトロの方法。
- 検出される前記癌細胞が、肺組織由来である、請求項20に記載のインビトロの方法。
- 検出される前記癌細胞が、卵巣組織由来である、請求項20に記載のインビトロの方法。
- 検出される前記癌細胞が、膵臓組織由来である、請求項20に記載のインビトロの方法。
- 検出される前記癌細胞が、前立腺組織由来である、請求項20に記載のインビトロの方法。
- 検出される前記癌細胞が、腎臓組織由来である、請求項20に記載のインビトロの方法。
- 癌細胞を有する個体における治療処置のための医薬の製造における、請求項16に記載の組成物の、使用。
- 前記抗体が、治療剤に結合される、請求項28に記載の組成物の、使用。
- 前記癌細胞が、前立腺組織由来である、請求項28に記載の組成物の、使用。
- 前記癌細胞が、卵巣組織由来である、請求項28に記載の組成物の、使用。
- 前記癌細胞が、乳房組織由来である、請求項28に記載の組成物の、使用。
- 前記癌細胞が、結腸組織由来である、請求項28に記載の組成物の、使用。
- 請求項1に記載のmPA7抗体のフラグメントであって、該フラグメントは、抗体mPA7の重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域を含み、該フラグメントは、抗体mPA7のCD46に対する結合特異性を有する、フラグメント。
- 請求項1に記載のmPA7抗体のフラグメントであって、該フラグメントは、抗体mPA7のCD46に対する結合特異性を有するかまたは保持する、フラグメント。
- 請求項1に記載の抗体の軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含む単鎖Fvであって、該単鎖Fvは、前記抗体mPA7のCD46に対する結合特異性を有する、単鎖Fv。
- 請求項2に記載のキメラ抗体のフラグメントであって、該フラグメントは、前記抗体mPA7のCD46に対する結合特異性を有する、フラグメント。
- 請求項3に記載のヒト化抗体のフラグメントであって、該フラグメントは、前記抗体mPA7のCD46に対する結合特異性を有する、フラグメント。
- 抗体mPA7を生成する方法であって、請求項5に記載の宿主細胞株を、抗体mPA7の生成を可能とする条件下で培養する工程、および該抗体を精製することにより抗体mPA7を生成する工程を包含する、方法。
- 請求項2または3に記載の抗体を生成する方法であって、該抗体をコードする一つ以上のポリヌクレオチドを発現させる工程、および該抗体を精製する工程を包含する、方法。
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