JP2006501887A - リン酸カルシウムで被覆された埋込型医用デバイスおよびその製作方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、リン酸カルシウムを被覆した埋込型医用デバイスおよびその製作方法に関する。このリン酸カルシウム被覆は、インプラントに対する免疫応答(例えば、ステント処置手順における再狭窄)を最小限に抑えるように設計される。このリン酸カルシウム被覆を、医薬活性物質を貯蔵し、制御された方式で放出するために使用し得る。このような被覆は、任意の埋込型医用デバイスに適用することが可能であり、心血管ステント処置におけるバルーン血管形成、尿管ステント処置、およびカテーテル処置を含む多くの医療手順に有用である(ただし、医療手順の例は、これらに限定されるものではない)。このリン酸カルシウム被覆は、ゾル‐ゲル被着法、エアロゾル‐ゲル被着法、バイオミメティック被着法、リン酸カルシウムセメント被着法、電気泳動電着法、または電気化学的被着法による1つまたは複数の被覆として基材に適用し得る。この被覆は、人為的に設計された方式で薬物を収容し溶出し得る。

Description

本発明は、リン酸カルシウムで被覆された新規な埋込型医用デバイスおよびその製作方法に関する。リン酸カルシウムで被覆された独創的な埋込型医用デバイスにより、インプラントに対する免疫応答が最小限に抑えられる。この被覆された埋込型デバイスは、1つまたは複数の医薬活性物質を貯蔵し、制御された方式で体内に放出する機能を有する。
心血管ステントは、冠状動脈を拡げ、それによってより良好に血液を循環させるための血管形成術において広く使用されている。これは一般に、収縮状態のステント(通常は網状の金属製チューブの形態)をガイド・ワイヤに沿って血管狭窄部位に移動させるバルーン血管形成術によって実現される。ステントが定位置にくると、内側に置かれたバルーンによりステントを径方向に拡張させる。拡張後にバルーンを萎ませて血管から取り除き、ステントは拡張状態のまま定位置に残される。このように、ステントは、血管壁を骨格状に支持して血管の開口を拡げ、血液の流れを増加させる。この手術により、世界中で年間何百万人もの命が救われている。遺憾ながら、金属製のステントを配置すると、有害な副作用が生じることが多い。比較的大きな割合の患者(ある統計によると、最大で母集団の半分)が、炎症性再狭窄と呼ばれる、埋め込まれたステントに対する免疫応答や、血管の再狭窄につながるその他の悪影響を経験している。こうなると一般に最初のバルーン血管形成術から1〜2年以内に再手術処置が必要である。
医用デバイスの埋込みに関連する再狭窄その他の免疫応答に至る機序は、手術中に血管の内壁が損傷を受けることによって開始される。このような損傷を完全に回避することは極めて難しいが、その影響、すなわち炎症および/または感染は、埋込型金属製医用デバイスの表面を改変することによって軽減し得る。埋込型医用デバイスの最も一般的な表面の改変は、ポリマー製の薄膜状の被覆を施すことである。これらの被覆には、抗生物質、抗炎症剤およびその他のより複雑な薬剤など、医学的に活性な1つ(または複数)の作用物質を含浸させることが多い。これらの医学的に活性な作用物質は、多くの場合担体被膜の溶解により、動脈壁および血流へとしみ出ることによって被覆物から放出される。一般に、このような薬物送達系では、ポリ乳酸、ポリグリコール酸その他の生分解性ポリマーが、ヘパリンその他の血栓防止剤としばしば組み合わされて選択される。ステント上にポリマーを被覆することの具体的な利点は、ポリマーの被覆が可撓性を示し、概ね血栓形成性ではないことである。
これまで、ポリマー材料は、薬物送達の制御に使用され、ある種の薬物系については大きな臨床的成功を収めてきた。遺憾ながら、元々の金属表面よりも生体への適合性が高い生分解性ポリマーでも、依然として、生体組織には異物として認識される。そのため、生分解の過程には組織の炎症応答を伴うことが多い。心血管ステントなど、一部の命にかかわる用途においては、ポリマーで被覆したステントは、長期の(1年を超える)使用においては予想どおり機能しないことがわかっている。さらに、多くの場合ポリマー被覆は比較的迅速に再吸収されてステント表面からすぐに消失し、それに伴い薬物の長期的な効果が失われ、むき出しの金属表面が露出して組織に接触し悪影響を及ぼす。その結果、組織の有害な応答が生じ、炎症、(ステントの場合には)再狭窄、および外科処置を繰り返す必要が生じ得る。
したがって、完全に生体に適合し、ゆえに組織内でいかなる悪影響も生じない、埋込型医用デバイスを被覆する材料を見出すことが強く求められている。さらに、理想的には、この被覆材料は、1つまたは複数の医薬活性物質を目標部位に送達し得るものであろう。
多孔質の被覆材は、必要とされる量の薬物を吸着により受け入れ、次いでこの薬物を制御された様式で放出し得ることが研究により示されている。薬物の放出過程は、被覆材料の表面特性、ならびに薬物の吸着特性、分子サイズその他の特徴に依存する。
所望の特徴を示す1群の材料は長く知られているものであり、人体内の人工股関節など、大型の剛体インプラントの表面の改変に広範に使用されている。これらの材料は、CaP(リン酸カルシウム)ファミリーのメンバーであり、HA(ヒドロキシアパタイト)、リン酸二カルシウムおよびリン酸三カルシウム、ならびに部分的にまたは完全にアモルファス状のリン酸カルシウムを含む。これらの材料は、硬組織の鉱質成分であり、したがって、副作用を伴わない完全な生体適合性かつ生体再吸収性を有する。リン酸カルシウム、特にHA(ヒドロキシアパタイト)は、骨の主要な無機成分であり、そのため、被覆を用いた薬物封入系および薬物送達系に全く新しい展望をもたらすものである。
ヒドロキシアパタイト・セラミックCa10(PO(OH)は、薬物放出制御用の基質を含む様々な生物医学的応用例に使用されるCaP(リン酸カルシウム)を用いた生体活性材料群に属する(非特許文献1〜3)。CaHPO.2HO(リン酸二カルシウム)またはCa(PO(リン酸三カルシウム)などのCaPファミリーの他のメンバーも、類似の目的に使用されている。CaPファミリーの材料は、人体組織との生体適合性の度合いが高いと長い間認められてきた。
HA被覆などのリン酸カルシウム被覆を、埋込型デバイス上に熱により被着させて使用することは、これまで用いられてきたこのような被覆の厚さが0.01mmよりも厚く、バルクの形態のときには脆性的な挙動を示すことから制限されてきた。この特徴のために、これらの被覆材の使用は、歯科用または股関節用のインプラントなどの固体支持構造物であるため構造が大きく変形し得ない応用例に制限されてきた。このような例では、被覆が損傷する可能性は限定されており、改善された形で骨と組織の一体化が生じる。特に、HAで被覆されたインプラントは優れた生体適合性を有し、インプラントと周囲の組織の一体化(オッセオインテグレーション)が加速されることが示されている。このような被覆材の生体再吸収速度は、同被覆材の結晶性および化学組成を調整することによって、例えば、炭酸基の組み込みその他当業者に周知の方法によって制御し得る。
熱による被覆に代わる方法は、室温でHA被膜をバイオミメティック法により被着させることである(BM−HA)。この技術は、薬物送達などの様々な生物医学的用途に使用されている(非特許文献4、特許文献1、非特許文献5、非特許文献6)。この形成機序は、HAが最も安定な相になる適切なpHの溶液下で、Ca2+およびPO 3−の過飽和によって促される。この形成過程は室温または室温に近い温度で進行するので、核形成および成長によって形成されるアパタイト結晶に、抗生物質、抗癌剤、抗炎症剤などの生物学的に活性な分子種を組み込むことが可能である。BM−HAの被着速度は、0.05〜0.5μm/時間の範囲である。
この比較的遅い被着速度は、適切な濃度のカルシウムイオンおよびリンイオンを含む溶液内で、ステントなどの被覆される金属基材に電界を印加すると大きく高められることがある。この被覆処理の変法を通常、ECD(Electro-Chemical Deposition :電気化学的被着法)と称し、得られた被膜をECD−HAと称する。ECDも室温(または室温に近い温度)で進行するので、ECD−HA内に薬物を封入することも可能である。BM−HA形成用の生理溶液は、当然のことながら水ベースであり、そのため、疎水性の生体活性物質をBM−HA被覆内に封入することは不可能である。バイオミメティックHA被膜(BM−HAおよびECD−HAのいずれも)は、室温で埋込型医用デバイス上に被着させることが可能であり、このことは、被着の際に薬物を封入するのに大きな利点になる。
遺憾ながら、BM−HAおよびECD−HAと金属表面の結合強度は一般に、ゾル‐ゲル法によるHA(ここでは、SG−HAと称する)の結合強度よりもかなり小さい。一方で、BM−HAまたはECD−HAと、予め固化させたヒドロキシアパタイトとの結合強度は大きく、概ね40MPaよりも大きい。この点で、金属基材に良好に結合した既に存在するSG−HA被膜の上面にBM−HAまたはECD−HA被膜をさらに積み重ねると、室温で被着させた被膜の結合強度を大きくし、多孔率を制御し、薬物を封入する能力を実現するための新規な創意に富んだ手段が得られる。
薬物を含浸させ封入するために室温(または室温に近い温度)で多孔質リン酸カルシウム被膜、特にヒドロキシアパタイトを被着させる別の代替手段は、いわゆるCPC(リン酸カルシウムセメント)を用いる手段である。以前に開示されている(特許文献2参照)この方法では、リン酸カルシウムの前駆物質Ca(OH)およびリン酸カルシウム塩の無水リン酸一カルシウムの微粒子をエタノール中で粉砕混合し、その後、被膜としてリン酸ナトリウム溶液を含浸させる(この手順の詳細については、下記の実施例4を参照されたい)。この加工処理の結果、被膜の再吸収中に浸出によって薬物が送達されるのに適した、部分的にアモルファス状の微孔質CPC−HAが得られる。上記で述べたのと同様に、CPC−HA被膜と金属表面、例えば、インプラントまたはステントの金属表面との結合は弱い。しかし、予め固化させたHA表面、例えばSG−HA上に被着させたCPC−HA被膜では、概ね40MPaを超える高い結合強度が実現される。この点で、金属基材に良好に結合した既に存在するSG−HA被膜の上面にCPC−HA被膜をさらに積み重ねると、室温で被着させた被膜の結合強度を高め、多孔率を制御し、薬物を封入する能力を実現するための新規な創意に富んだ手段が得られる。
電界を利用する薄膜被着技術は、特にステントなどの複雑な基材では、得られた被膜が均一であるという大きな利点を有する。このような技術の1つは、EPD(Electro-Phoretic Deposition :電気泳動電着法)と称するものであり、セラミック加工においては周知の方法である。この方法では、液体中に懸濁させたセラミックの微粒子(粒径は概ね約1μm以下)が、この液体との相互作用によって、あるいは、この懸濁液に表面活性物質を加えることによって電荷を獲得する。このようなEPD系の最も簡単な例は、水と(硝酸などの)酸の混合液中に懸濁させた酸化物(または、ヒドロキシアパタイトなどの水酸化物)セラミック粉体である。このような環境では、陽子は、これらのセラミック粒子の表面上に吸着する傾向があり、その結果該粒子に正電荷が与えられる。電界を印加すると、このような荷電粒子は、負極(カソード)に移動することになる。塩基性環境では正反対のことが生じることになる。すなわち、負に帯電したセラミック粒子が、正極(アノード)に移動する。EPDは、特許文献3に開示されているように、リン酸カルシウム被膜などのセラミック被膜を被着させる優れた技術である。遺憾ながら、EPD被膜は、十分な構造的完全性を得るために、比較的高温で焼結しなければならない。例えば、特許文献3に開示されたリン酸カルシウムのEPD被膜は、600℃〜1350℃で焼結しなければならなかった。これは、例えば、表面の酸化または微細構造の変化(例えば、結晶粒成長)の点で、金属基材に実質的な変化を誘起するのに十分に高い温度である。
これまで、HA内に薬物を封入することは、焼結した多孔質HAセラミックに単純に後で含浸させることによって実現されてきた(非特許文献7)。この方法では、薬物の分子は、単純に多孔質セラミックの表面上に吸着される。薬物の放出は、生理学的な流体に曝された後で、薬物が脱着して周囲の組織へ浸出することによって実現される。遺憾ながら、吸着された薬物分子の大部分は、このような系から比較的短期間で放出される。焼結した多孔質リン酸カルシウムのミクロスフェアに薬物材料を含浸させることについては、特許文献中で報告されている。特許文献4では「持続放出性」多孔質顆粒が特許請求されているが、同文献では200〜1400℃で顆粒を焼結し、同顆粒の細孔に薬物成分を含浸させる。特許文献5では「リン酸カルシウムの微小担体およびミクロスフェア(Calcium
phosphate microcarriers and microspheres)」が特許請求されているが、同文献では中空のミクロスフェアを焼結し、薬物を含浸させて持続放出させる。特許文献6では、巨視的な形状に硬化し、同時に薬物材料を封入して持続放出させることが可能な、結晶性の低いアパタイトが特許請求されている。細菌感染症を、骨性の感染部位で処置するために、アミノグリコシド系抗生物質であるGS(硫酸ゲンタマイシン)用の担体として多孔質の複合HAを使用することが示唆されている(非特許文献8)。HA被覆内にタンパク質が存在しても、カルシウムイオンまたはリンイオンの溶解特性には影響を及ぼさず、溶解特性は媒質によってのみ決まる(非特許文献9)。
いくつかの特許文献において、ステントが開示されている。特許文献7は、壁にレーザによる切欠きを有する拡張性金属チューブ型人工器官を開示している。この人工器官に、生体適合性を与えるためにTiN(窒化チタン)を被覆し得る。この人工器官の壁の穴を利用して、薬剤などを局所的に投与し得る。
特許文献8は、金属性の管状基部を備えて構築されたステントを開示している。このステントは、3つの層を有するように構築し得る(図2参照)。第1層15は典型的には、316Lステンレス鋼製である。中間層50は、好ましくは、ニオブ、ジルコニウム、チタン、およびタンタルからなる群から選択された貴金属またはその合金で形成される(第7段の第58〜61行を参照されたい)。第3層すなわち外層80は、組織の炎症および血栓形成を回避することを主目的として機能する生体適合層として、酸化金属、水酸化金属、または硝酸金属など、好ましくは、酸化イリジウムまたは硝酸チタンなどのセラミック状の金属材料から構成されることが好ましい。
特許文献9は、複数のストラットを備えた円筒として形成された薄壁ステントを開示している。ストラットの中には流路が形成される。これらの流路に治療薬を投入し得る。動脈の再狭窄(再度狭くなること)を防ぐためにこれらの流路に投入し得る治療薬として、ラパマイシンが具体的に言及されている。
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完全に生体に適合し、ゆえに組織内でいかなる悪影響も生じない、埋込型医用デバイスを被覆する材料を見出すことが強く求められている。さらに、理想的には、この被覆材料は、1つまたは複数の医薬活性物質を目標部位に送達し得るものであろう。
本発明は、リン酸カルシウム被覆を有する埋込型医用デバイスを対象とする。このデバイスは、(a)基材と、(b)この基材上のリン酸カルシウム被覆とからなり、前記被覆は、所望の結合特性および多孔質特性を有する。
このデバイスのリン酸カルシウム被覆は、ヒドロキシアパタイトとし得る。このリン酸カルシウム被覆の厚さは、約0.00001mm〜0.01mmとし得るが、好ましくは、約0.001mm〜0.0001mmである。基材とリン酸カルシウム被覆の引張結合強度は、約20MPaよりも大きくなり得る。このリン酸カルシウム被覆は、直径約1μm〜100μmおよび厚さ約1μm〜10μmの粒子として、デバイス上に被着させることが可能である。これらの粒子により、基材の表面の約20%〜約90%を覆い得る。
この埋込型医用デバイスは、ステンレス鋼、コバルト合金、チタンコバルト−クロムまたは金属合金で構築し得る。リン酸カルシウム被覆は多孔質とすることが可能であり、これらの細孔は薬物を保持し得る。これらの細孔からの薬物の放出速度は人為的に設計された方式で制御し得る。
基材は、第1のリン酸カルシウム被膜および第2のリン酸カルシウム被膜を有することが可能であり、薬物を、これら第1および第2のいずれの被覆にも、あるいは一方の被覆にのみ含めることが可能である。この薬物は、再狭窄を阻止するものとし得る。リン酸カルシウム被覆は、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、またはリン酸四カルシウムとし得る。このデバイスは、ヒトまたは動物の組織用の埋込型デバイスとし得る。このデバイスは、リン酸カルシウムで被覆されたステントとし得る。
本発明は、埋込型医用デバイスにリン酸カルシウム被覆材を被覆する方法も対象とする。この方法は、(a)水またはアルコールをベースとした媒質中でリンの前駆物質を加水分解することと、(b)このホスファイトが加水分解された後に、媒質にカルシウムの塩前駆物質を加えてリン酸カルシウム・ゲルを得ることと、(c)このリン酸カルシウム・ゲルを被覆材として基材の表面上に被着させることと、(d)このリン酸カルシウム被覆を、適切な高温で所定の時間焼成して、所望の結晶性、結合特性、および多孔質特性を有する結晶化したリン酸カルシウムを得ることとからなる。
基材上に被覆材を被着させることは、エアロゾル被着法、ディップ・コーティング法、スピン・コーティング法、電気的リン酸塩処理法、または電気化学的被覆法によって実施し得る。リン酸カルシウム被覆は、少なくとも約350℃の温度で焼成し得る。リン酸カルシウム・ゲルは、ヒドロキシアパタイト・ゲルとし得る。
リン酸カルシウム被覆の多孔性は制御することが可能であり、薬物を保持し得る。薬物の放出速度は制御し得る。リン酸カルシウム被覆は、ヒドロキシアパタイト、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、またはリン酸四カルシウムとし得る。
ホスフェートの前駆物質は、アルキルホスファイトまたはリン酸トリエチルとし得る。カルシウムの前駆物質は、水溶性カルシウム塩とし得る。この水溶性カルシウム塩は、硝酸カルシウムとし得る。
本発明は、軟部組織用の埋込型デバイスにリン酸カルシウム被覆材を被覆する方法も対象とする。この方法は、(a)軟部組織用の埋込型基材を提供することと、(b)この基材上に、バイオミメティック被着法を利用してリン酸カルシウム被覆材を被着させること、または、(c)この基材上に、リン酸カルシウムセメント被着法を利用してカルシウム被覆材を被着させること、または、(d)この基材上に、電気泳動電着法を利用してリン酸カルシウム被覆材を被着させること、または、(e)この基材上に、電気化学的被着法を利用してリン酸カルシウム被覆材を被着させることとからなる。
このデバイスを、リン酸カルシウムで被覆されたステントとし得る。このリン酸カルシウム被覆材は、ヒドロキシアパタイトとし得る。このリン酸カルシウム被覆材は、離散粒子として不連続に基材上に被着させることが可能である。
第1のリン酸カルシウム被覆は、基材上に、エアロゾル‐ゲル法、ゾル‐ゲル法、または電気泳動電着法、あるいは電気化学的被着法を利用して被着させることが可能であり、第2のリン酸カルシウム被覆は、第1の被覆または基材上に、エアロゾル‐ゲル法、ゾル‐ゲル法、バイオミメティック法、リン酸カルシウムセメント法、電気泳動電着法、または電気化学的被着法を利用して被着させることが可能である。
リン酸カルシウム被覆は、薬物を収容し、それを溶出させることが可能である。リン酸カルシウム被覆を、ヒドロゲル被膜で被覆することができる。リン酸カルシウムを、不連続な非等軸の粒子として基材上に被着させることが可能である。これらの非等軸な粒子の
平均サイズを約0.1μm、厚さを最大で約0.01mmとし得る。第1および第2の被覆は薬物を含み得る。
ゾル‐ゲル状の前駆物質中のカルシウムとホスフェートの比は、様々なリン酸塩の相を得ることが可能なように設計し得る。リン酸カルシウムの相は、ヒドロキシアパタイト、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、またはリン酸四カルシウムとし得る。
図面に、本発明の特定の実施形態を示すが、これらを、本発明の趣旨および範囲をいかなる形にも限定するものと解釈すべきではない。
以下の説明を通じて、本発明をより完全に理解するために具体的な詳細について述べる。ただし、これらの具体例なしでも本発明を実施し得る。それ以外の場合には、本発明が不必要に不明瞭になるのを避けるために、周知の要素を詳細に示しておらず、また説明もしていない。したがって、本明細書および図面は、限定的なものではなく、例示的なものとみなすべきである。
本発明の一実施形態では、大容量の薬物担体として働き得る生体適合性かつ生体再吸収性の可撓性薄膜リン酸カルシウム被覆を備えた埋込型医用デバイスを対象とする。このようなCaP被覆には、被覆が体液中に溶解する際にいかなる副作用もなく、薬物の保持特性および放出特性をも決める被覆の溶解速度および微細構造を高度に制御した状態で設計し得る。
現存する埋込型医用デバイスのあらゆるタイプのうち、バルーン血管形成術で使用する冠状動脈ステントは、このようなステントが可撓性を示すように設計すべきであることから、このようなステント上にゾル‐ゲル法により被着させた薄い可撓性CaP被覆の有効性をテストするための有用なモデルを提供する。ただし、以下の実施例でこのようなステントを使用することについて、CaP被覆の応用例がステントだけに限定されると解釈すべきではない。本発明は、事実上いかなるタイプの体内埋込型デバイスにも広く適用される。
本発明者らは、予想外にも、ゾル‐ゲル法により強固に結合した被覆が被着され、その厚さが約0.001mm未満の場合には、CaPの固有な脆性挙動によってこの系の変形能力が制限されることがなくなることを突き止めた。このような薄いCaPをゾル‐ゲル法により被着させたステントの収縮/拡張を繰り返す実験から、被覆が約0.001mmよりも薄く、基材に強固に結合している場合には(引張結合強度は、ASTM C−633基準による標準的な強度実験で測定したとき、約40MPaよりも大きくなければならない)、この被覆はステントから分離せず、被覆に見た目の損傷もないことが明らかになった。
さらに、本発明者らは、リン酸カルシウムを被着させる新規のゾル‐ゲル法、具体的にはHA(ヒドロキシアパタイト)の合成(本発明者らの米国特許第6,426,114 B1号(2002年7月30日、ティー トロジンスキー(T. Troczynski )、ディー リュー(D. Liu)、「ゾル‐ゲル法によるリン酸カルシウムセラミック被覆ならびにこれを作製する方法(Sol-Gel Calcium Phosphate Ceramic Coatings and Method of Making Same)」)で以前に開示されている)を利用する場合、得られる薄い可撓性被覆の多孔性が制御されることを見出した。この多孔性を利用して、被覆内に薬物を保持し、同薬物を制御された速度で放出することができる。
本発明は、埋込型医用デバイス上に、リン酸カルシウム、特にHA(ヒドロキシアパタ
イト)の薄膜被覆を合成するSG(ゾル‐ゲル)法に関するものである。この方法により、比較的低い温度で、すなわち約350℃から開始される温度で、結晶化が制御された形態のHAを得ることが可能である。これは、ゾル‐ゲル法によるHA合成では予想外に低い結晶化温度である。この方法により、化学的かつ物理的な均質性に優れ、かつ基材との結合強度に優れたHA被覆が得られる。このように処理温度を低くすると、熱により誘起される層転移、微細構造の崩壊、または酸化による基材金属の劣化が回避される。
本明細書で開示するのは、EPD(電気泳動電着)法による均一なヒドロキシアパタイトの被膜(EPD−HA)を複雑なステント表面上に被着させる方法である。この方法では、被膜の実質的な構造的完全性および金属基材との高い結合強度を実現するために、500℃よりも高い温度で焼結させるという必要がない。この方法の第1ステップは、例えば米国特許第5,258,044号に開示されている周知のHA被膜のEPDであり、1μm未満のHA粒子を水に懸濁した懸濁液を使用して行う。この被膜を乾燥させ、次いでHAの焼結を開始するために500℃で10〜60分熱処理する。この被膜は、ステントその他の医用デバイスあるいはインプラント上の被覆として実際に使用するには依然としてあまりにも脆弱であり、結合も弱すぎるが、エアロゾル‐ゲル法によるHAの液滴を含浸させることを含む後続の処理ステップに耐えるには十分に強いものである。この液滴は、毛細管吸引作用に強く助けられて、予め被着させたEPD−HAの細孔に浸透する。そのため、HAのゾル‐ゲル前駆体が、このEPD−HAのほとんどの細孔に浸透し、金属基材にまで至る。この時点で、この複合被膜を乾燥させ、400〜500℃の比較的低い温度で焼結することが可能である。これは、この被膜のゾル‐ゲル成分の活動が極めて活発なことによるものである。熱処理中に、このゾル‐ゲル被膜は、EPDによって被着させたHA粒子を結合し、かつ金属基材に良好に結合する。このように、(EPD法による)被膜の均一性および(ゾル‐ゲル法による)低温焼結性がともに実現される。ステント上で均一なHA被覆を得るためのこの新規で創意に富んだハイブリッド技術により、厚さが約1μm〜100μm、さらに100μmを超える範囲で、約10体積%〜約70体積%の範囲の多孔率を備えた被膜を生成し得る。このような厚い多孔質のHA被膜は、この被膜の開孔部に含浸させることによって薬物が装填される優れた担体である。ステント上にHA被膜を準備するためのこのようなハイブリッド法の詳細およびそのいくつかの変法を以下の実施例に示す。
in vivoで薬物を送達することに伴う問題は、担体作用物質に毒性があること、薬物を装填する能力が全体的に低いこと、ならびに自己調整的に決められた時間で放出が行われるように薬物送達を制御することを目的とすることに関係していることが多い。薬物を装填する能力が比較的高いコロイド状の担体系を除き、ほとんどの有機系では、生体活性薬物の送達レベルは十分ではない。比較的低い温度で熱処理されたゾル‐ゲル被膜は、利用可能な表面積および細孔のサイズの点で、コロイド状被膜の特性に極めて類似している。
本発明によるゾル‐ゲル法により、比較的低い温度、すなわち約350〜500℃で、結晶化した形態のリン酸カルシウムを得ることが可能である。熱処理の温度および時間を変化させると、被覆の結晶性が制御される(すなわち、より低い温度では、よりアモルファス的な、より再吸収され易い被覆を処理し得る)とともに、被覆の多孔率が制御される(より低い温度では、多孔率がより高くなり、細孔の平均サイズがより小さくなる)。ゾル‐ゲル前駆物質混合物中のCa/Pの比を変化させると、例えば、ヒドロキシアパタイト、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、またはリン酸四カルシウムなど、様々なリン酸カルシウムの相を得ることが可能になる。
本発明は、1実施形態において、ヒドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウムを調製するためのゾル‐ゲル法を対象とする。この方法は、(a)水またはアルコールをベース
とした媒質中でリン前駆物質を加水分解することと、(b)このホスファイトが加水分解された後に媒質にカルシウム塩前駆物質を加えて、ヒドロキシアパタイト・ゲルなどのリン酸カルシウム・ゲルを得ることと、(c)このゲルを埋込型医用デバイスの表面上に被着させることと、(d)このリン酸カルシウム、例えばヒドロキシアパタイトを、適切な高温で所定の時間焼成して、デバイス上の被覆に関して所望の結晶性、結合特性、および多孔質特性を得ることとを含む。このゲルの被着は、エアロゾル被着法、ディップ・コーティング法、スピン・コーティング法、電気泳動電着法など、様々な方法によって行い得る。
好ましい実施形態では、リン前駆物質をアルキルホスファイトとすることが可能であり、このアルキルホスファイトをトリエチルホスファイトとすることが可能である。さらに、カルシウム前駆物質を水溶性のカルシウム塩とすることが可能であり、この水溶性カルシウム塩を硝酸カルシウムとすることが可能である。この結晶化したリン酸カルシウムは、約350℃以上の温度で焼成し得る。金属製の埋込型医用デバイスは、ステンレス鋼、コバルト合金、チタン製の基材およびその他の金属合金製の基材とし得る。
本発明者らは、リン酸カルシウム被覆のある特定の特性が維持されれば、この被覆は、その化学的性質、高い生体適合性、および高い生体再吸収性を保ちながら、極めて可撓性が高くなることを見出した。最も重要な特性は、(a)被覆の厚さ、および(b)被覆が金属基材に結合する強度である。本発明者らは、CaP被覆の厚さが約0.001mm未満に維持され、金属基材に対する結合強度が約40MPaよりも大きい場合には、この基材−被覆系が基材単体の変形能力を保持すること、すなわち、この系が変形する際に、系の完全性を維持することを繰り返し実証した(以下の実施例を参照されたい)。
さらに、本発明者らは、金属基材上に不連続に、すなわち、直径約1〜100μmの離散した「アイランド」および「パッチ」の形態で被着させた比較的厚いCaP被覆は、基材の変形に対して高い耐性を保持することを見出した。本発明者らの実験から、このような1〜100μmの、約1〜10μmの厚さのパッチで被覆されたステントは、このセラミックのパッチに損傷を与えることなく、波形に屈曲させ、次いで、拡張させることが可能であることが示された。これらのパッチは、BM−HA、ECD−HA、CPC−HA(これらはすべて室温または室温に近い温度で行う)、または、EPD−HA、SG−HA(この2つの技術は、高温での熱処理を含む)、およびこれらの組合せなど、上記で論じた様々な方法で基材上に被着させることが可能である。後述の実施例に、これらの被覆被着技術について例示する。CaP被膜を不連続に被着させた医用インプラントでは、金属基材の区域の一部が生体組織に露出していることがあり、その場合も、上記で説明した有害な組織反応が生じ得る。この問題は、不連続なCaP被膜と、連続した生体適合性かつ非血栓形成性のポリマーとを組み合わせることによって回避し得る。よって、医用インプラント上にCaP‐ポリマー複合被覆を施すということになる。さらに、薄い(0.001mm未満の)連続CaP被覆と、より厚い不連続CaP被覆とを組み合わせることが可能である。
この方法の効果(実施例で詳細に説明する)を代表図1および図2に示す。図1Aに、不連続なASG−HA薄膜を被覆したステンレス鋼(316L)製のステントを示す。図1Bは、矩形で示す(A)部分の拡大図である。図2Aに、不連続なASG−HA薄膜を被覆したステンレス鋼(316L)製のステントを波形に屈曲させ、被覆への損傷がないことを示す。図2Bは、同じステントを拡張させた後、被覆への損傷が認められないことを示す。
本発明者らが、連続/不連続な可撓性CaP被膜またはCaP/ポリマー被膜を見出したことにより、医用インプラント(特に冠状動脈ステントなど、変形能力が求められる医
用インプラントが含まれるが、これらに限定されない)のための極めて生体適合性が高いCaP被覆を新しい適用範囲に応用する道が開けた。
SG(ゾル‐ゲル)法により、固相合成、湿式沈降法、または水熱合成法などの他の手段に比べて、最終的なセラミック製品の化学的かつ物理的な均質性が優れたものになる。SG法により、所望のセラミック相、例えば薄膜CaP被覆を、一部の代替方法よりもかなり低い温度で合成し得る。SG被覆法では、熱により誘起される相転移および微細構造の改変または酸化による基材金属の劣化が回避される。SG法により、例えば、環境に配慮する能力が高くなり、この方法は、薄いセラミック被覆を被着させる極めて好都合な方法である。
高温(350〜500℃)でHA被膜をゾル‐ゲル法により被着させること(SG−HA)は、以前に米国特許第6,426,114 B1号に開示されている。HAをSG(ゾル‐ゲル)処理することにより、カルシウムとリンの前駆物質を分子レベルで混合して、得られるリン酸カルシウムの化学的な均質性を改善することが可能になる。このリン酸カルシウム相の結晶性は、処理中に水処理を適切に利用することによって高めることが可能である。ゾル‐ゲル前駆物質混合物中のCa/P比を変化させることにより、例えば、ヒドロキシアパタイト、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、またはリン酸四カルシウムなど、いくつかのリン酸カルシウム相のいずれをも得ることが可能である。SG法の融通性により、ディップ・コーティング、スピン・コーティング、またはエアロゾル被着というかなり簡単な工程で、薄膜被覆を連続または不連続に形成する自由度が得られる。
生体活性をより長期間保つ応用例では、HAの結晶性の度合いを高くすることがしばしば求められる。というのは、部分的に結晶化している、あるいはアモルファス状のリン酸カルシウム被覆、例えばHA被覆は、生体組織によって迅速に再吸収されるからである。現時点で開示している埋込型医用デバイス上のHA薄膜の応用例では、加工処理中に時間/温度の履歴を変化させることによって、HA被覆の結晶性を制御することが可能である。これにより、被覆の再吸収速度、したがって、被覆の微細孔中にしみ込んだ薬物の放出速度を制御し得る。
ゾル‐ゲル法によって生成されるセラミックは、細孔サイズが良好に規定された(狭い間隔に分布した)細孔を高い割合で含むように設計し得る。これは、SG法によって生成される最終的な酸化セラミックに至るまでの化学的反応経路の結果である。元の前駆物質の質量のほんの一部しか最終的に酸化セラミックに変換されず、熱処理の間に通常はガスの形態で放出される残りの部分は通常、水と二酸化炭素の組合せである。そのため、ガスが放出された後は、乾燥条件ならびに熱処理の時間および温度に応じて、多孔率が高く、ある種の例では最大90%の状態となる。これらの細孔は、はやり乾燥条件ならびに熱処理の時間および温度に応じて、直径数nmにも小さくし得る。実際には、このようなゾル‐ゲル法により誘導された酸化セラミックの利用可能な表面積は、酸化物1グラム当たり数百平方メートルに達し、その結果この酸化セラミックは、ガスまたは液状の物質あるいは溶液の優れた吸収体になり得る。例えば、400℃という比較的低い温度で処理したゾル‐ゲルHAの細孔の平均サイズは直径約5nmであり、これらの細孔の直径の90%が1〜30nmの範囲に入る。この独特な多孔特性は、ゾル‐ゲル法により誘導されたセラミックの乾燥剤、フィルタ、および膜を生成するのに広く利用されている。この点で、ゾル‐ゲル法により誘導された酸化セラミックは、多孔率が高く、かつ利用可能な表面積が大きくなるように処理するのが一般に難しいポリマーに比べて大きな利点を有する。本発明では、利用可能な表面積が大きいので大容量の薬物担体となる、ゾル‐ゲル法により誘導されたCaP被覆のこの独特な特性を、医用インプラント、特にステントに用いる。
本願明細書では、適切な場合には「CaP(リン酸カルシウム)」という用語を包括的に用い、この用語が、ヒドロキシアパタイト、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、およびアモルファス状または部分的にアモルファス状のリン酸カルシウムなどの鉱物を含むことを理解されたい。埋込型医用デバイス、特にステント上の薄膜リン酸カルシウム被覆を得るために本発明者らが実施したゾル‐ゲル反応経路に関する研究は、方法の開発において予想外の飛躍的な進歩につながった。本発明の方法により、約350℃で始まる熱処理を空気中で行った後で、CaP被覆が生成された。本発明者らは、予想外にも、この被膜が、約0.001mmよりも薄い場合には可撓性が高く、その結果CaPで被覆された変形可能な埋込型医用デバイスを損傷させずに操作し得ること、例えば、CaPで被覆されたステントの収縮および拡張を行い得ることを見出した。好ましくは、この被覆の厚さは、約0.0001〜0.001mmである。さらに、この応用例では、本発明者らは、この被膜が、その微細な細孔の中に薬物を受け入れることによって、一般の埋込型医用デバイスに関連する有害な現象、すなわち、血管中に冠状動脈ステントを配置した後で生じる再狭窄に対処し得ることを見出した。
本発明によるリン酸カルシウム被覆を、ディップ・コーティング、スピン・コーティング、エアロゾル被着、電気泳動電着などの様々な技術を利用してステントその他の金属表面上に被着させた。これらの被覆は、316Lステンレス鋼製のステントおよびチューブ、ならびにコバルト−鉄合金およびチタンなどの他の金属基材上に被着させた。
[実施例]
上記で概要を示した独特な加工処理概念の実現可能性を示すために、以下に、ステンレス鋼基材および冠状動脈ステントについての実施例を説明する。以下に概要を示す手順は、他の埋込型医用デバイスに適用し得る。
本方法の第1段階では、周囲環境において、密封したビーカ中で、(濃度3Mの)水−エタノール混合物中のホスファイト・ゾルを、このホスファイトが完全に加水分解されるまで(ホスファイト特有の匂いがなくなることによって容易に見分けられる)加水分解した。その後、無水エタノールに(2Mの)カルシウム塩を溶解させ、次いで、この溶液をすぐに、加水分解させたホスファイト・ゾルに加えた。このゾルを周囲環境で8時間放置し、その後、乾燥器内で60℃で乾燥させた。この工程の結果、白色のゲルが得られた。HAを生成するのに必要とされる比率でCaおよびPを含むゾルについては、350℃という低い温度で焼成した後、ゲルはCa/P比が化学量論上のHAと同じ1.666の純粋な(単相)アパタイト構造を示した。Ca/P比を変化させると、リン酸二カルシウム(Ca/P=1)またはリン酸三カルシウム(Ca/P=1.5)など、他のリン酸カルシウムを得ることが可能である。この工程を用いて生成させて316SS基材に施した被覆は、450℃未満の温度で硬化させた後で、約40Mpaの接着強度を示した。この被覆は、ひび割れがなく多孔質であった。
本方法の別の変形形態では、純粋な水ベースの環境を用いた。エタノール・ベースの系に関して実施例1において上記で説明したのと同じやり方で水ベースのゾルを調製した。ホスファイト・ゾルがより速い速度で加水分解することが観察された。この混合ゾルを撹拌しながら乾燥させた。8時間経時変化させた後で、白色のゲルが現れた。HAを生成するのに必要とされる比率でCaおよびPを含むゾルについては、このゲルを温度350℃で焼成した後、Ca/P比が化学量論上のHAに近い1.663のアパタイト構造が得られた。エタノール・ベースのゲルおよび水ベースのゲルはともに、比較的低い温度で本質的に同じアパタイト構造を示した。本発明は、水ベースのゾル‐ゲル法によってHAセラミックを合成する方法を提供する。
エアロゾル‐ゲル処理によって、一群の電解研磨したステンレス鋼製のステントの表面上にCaP被覆を被着させた。まず、2.4Nのリン酸溶液中で、これらのステントを70℃で10分間処理して表面を清浄化し、かつ微細な粗度を生成することによって、被覆の結合性を高めた。処理済みのステントを超音波洗浄し乾燥させた。(a)リン前駆物質(ホスファイト)を加水分解することと、(b)ホスファイトが加水分解された後に、媒質にカルシウム塩前駆物質を加えて、ヒドロキシアパタイト・ゾルなどのリン酸カルシウム・ゾルを得ることとによって、CaPゾルを調製した。超音波を用いる霧化器を使用して、このゾルを約4μmの大きさの粒子に霧化し、得られたエアロゾルを被覆チャンバに供給した。この特定の被着技術を、ASG(エアロゾル‐ゲル)被着法と称し、得られるヒドロキシアパタイト被膜をASG−HAと称する。
この清浄なステントを、CaPエアロゾル‐ゲル流で満たした被覆チャンバ内に30秒間挿入し、エアロゾル流は0.1リットル/分に、チャンバ温度を50℃に維持した。被覆チャンバの温度は、被覆材の被着状態に影響を及ぼし、それによって均一な薄膜状の覆いが表面上に生成される。これはSEMによって確認される。この被覆を60℃で乾燥させ、450℃で15分間熱処理してCaPを結晶化させることにより、ヒドロキシアパタイトの薄膜を形成させた。この手順により、ステントの表面を均一に覆う薄い被覆が生成される。この被覆の厚さを、偏光解析法を利用して50〜150nmの範囲で測定する。その後、SEMにより、波形に屈曲させ、かつ拡張させた被覆ステントを検討すると、被覆のひび割れまたは層間剥離の形跡は認められないことが示される。このことから、このステントを冠状動脈中に配置し埋め込む際の、この均一な薄い連続CaP被覆の信頼性が証明される。
実施例3で説明したように、電解研磨したステンレス鋼製ステントの表面上に、ASG(エアロゾル‐ゲル)処理によってCaP被覆を被着させた。チャンバの温度は、25℃に維持した。この被覆を60℃で乾燥させ、450℃で15分間熱処理してCaPを結晶化させることにより、ヒドロキシアパタイト薄膜を形成させた。上記で説明した手順により、サイズが約2〜6μm、厚さが0.1〜2μmの分離したアイランドを含む被覆が生成される。これらのアイランドは、図1Aおよび図1Bに示すように、ステントの表面上で均一に分散し、ステント表面の約70%を覆っている。図2Aおよび図2Bに示すように、その後、SEMにより、波形に屈曲させ、かつ拡張させた被覆ステントを検討すると、被覆のひび割れまたは層間剥離の形跡は認められないことが示された。このことから、このステントを冠状動脈中に配置し埋め込む際の、この様々な厚さの不連続なCaP被覆の信頼性が証明される。
ステンレス鋼製の金属基材(316L)を、実施例3で説明した0.6〜0.8μmの薄いアパタイト層(ASG−HA)で被覆した。一群のサンプルを400℃で20分間アニールして結晶質のSG−HA(C)被膜を得、別の群のサンプルを375℃で60分間アニールしてアモルファス状のSG−HA(A)被膜を得た。これらの被膜を、BM−HA被膜の沈降用の核形成部位として使用した。SG−HAを被覆したサンプルを、イオン組成が142Na、5.0K、2.5Ca2+、1.5Mg2+、103Cl、25HCO 、1.4HPO 2−、および0.5SO 2−(単位はミリモル/リットル)のSBF(「擬似体液」)中に浸した。このSBFを、トリス(ヒドロキシメチル)‐アミノメタンおよびHClにより緩衝してpH7.4とした。約24℃でのこの静的なin‐vitro被着(すなわち、被着期間中にSBFを入れ替えなかった)により、平坦なSG−HA基材上に、良好な品質の、高密度の、厚さ3〜5μmのBM−HA被膜が
生成された。結晶質のSG−HA(C)被膜は高密度のBM−HAで被覆され、アモルファス状のSG−HA(A)被膜は多孔質のBM−HAで被覆される。下にある表面を改変したSG−HA被膜の特性を使用して、核形成し被着させた薬物封入用のBM−HA上層被膜の特性、例えば多孔率を変化させることが可能である。
実施例3で説明したように、ステンレス鋼製の金属ステント(316L)を、約0.1μmの薄さのCaP被覆で被覆した。リン酸カルシウム前駆物質Ca(OH)およびリン酸カルシウム塩の無水リン酸一カルシウムを含む無機コロイド状スラリーを、エタノール中でボールミル粉砕した。この開始時の2つの無機成分の粒子サイズはそれぞれ、0.3〜2μmおよび0.5〜4μmであった。このスラリー中の初期Ca/P比は、1.5に維持した。このような系におけるアパタイト形成では、溶解および沈降が主な機序なので、1μm未満の結晶性ヒドロキシアパタイト粉体5重量%を、CPC‐HAの不均一核形成用の種として使用した。この薄いCaP被膜の表面を改変したサンプルを、前駆物質のエタノール懸濁液中でディップ・コーティングした。ディップ・コーティングを1回行った後、エタノールの急速な蒸発により、厚さ約10μmの多孔質な前駆物質粉体混合物の層が基材上に形成された。前駆物質スラリーがコロイド状の性質であるため、この被膜には、次の処理工程を受け入れるのに十分な構造的完全性(すなわち、強度および硬さ)が形成される。この工程では、被膜を(0.25Mの)リン酸ナトリウム水溶液に暴露して同溶液を被膜の開孔部の中にしみ込ませ、次いで被膜を37℃、相対湿度100%の恒温器内に24時間置く。保温中、コロイド状の前駆物質がリン酸溶液と反応し、HAを沈降させる。この二重被覆の反応経路を用いて薬物を制御放出させる可能性について評価するために、ひな形薬物としてアメトプテリン(米国所在のシグマケミカルズ(Sigma Chemicals ))を、CPC−HA前駆物質の固相含有量に対して5%の量で使用した。この薬物を、ディップ・コーティングを実施する前に、前駆物質のコロイド状懸濁液と混合した。保温の間に、厚さ20μmCPC−HA被覆が、結晶化しつつあるHAの微細孔中に薬物分子を封入しながら沈降した。封入後、この基材を、(CPC被覆の重量)/(PBSの体積)比が1mg/mlの一定値であるPBS(リン酸緩衝生理食塩水、pH=7.4)20ml中に浸すことによって、薬物放出の検討を実施した。ヒドロゲル被膜で被覆した基準サンプルも、薬物放出の動態についてテストした。このヒドロゲル被膜は、薬物を含むCPC−HA層を、3%ポリビニルアルコールを含むポリマー溶液中に浸漬することによって調製した。乾燥させた後、追加のヒドロゲル被覆によって約20mgのCPC−HA層に追加された重量は約0.5mgであり、これは、CPC−HA基質中のポリマー被膜の含有量である約2.5%に相当する。放出された薬物を含むPBS溶液のサンプルを周期的に取り出し(すなわち、液体全体を空にし)、同じ量のPBS 20mlを充填し直した。紫外−可視分光法によって、上澄み液中の薬物濃度を求めた。いずれの被覆についても約8時間の初期期間にバースト効果が検出されたが、ヒドロゲルを後で被着させたサンプルのほうが放出が遅いことが明らかである。8時間を超える放出期間では、放出された薬物の量と(時間)1/2の間に線形な関係が得られた。
ステントを、1μm未満のヒドロキシアパタイト粒子からなる水ベースの希釈懸濁液中に沈めた。この懸濁液中に含まれるHAは、約2重量%であった。このステントに直流電圧5Vを印加した。印加時間は、5秒〜10分で変化させた。このような溶液中では、HA粒子は自然に正電荷を獲得するので、これらの粒子は、この系の負極(カソード)でもあるステントの表面に引き付けられる。ステント(カソード)に引き付けられたHA粒子が蓄積すると、極めて均一に被覆された表面が生成され、この被覆の厚さは、電圧を印加する時間の関数として変化する。この被膜の均一性は、このようなEPD(電気泳動電着法)処理の最も大きな利点であり、これを、ゾル‐ゲル法などの他の方法を用いて再現することは難しい。10秒という短い時間では、EPD−HA被覆の厚さは約1μmになる
。図3に、316Lステンレス鋼製のステント上に被覆させたこのタイプのEPD−HA被覆を示す。数分という比較的長い時間では、被覆の厚さは、10μmよりも厚くなり得る。このように、このEPD法では、制御された厚さの均一なHA被膜を生成し得る。このように被着させた被膜は、緩く結合したHA粒子からなり、その多孔率は概ね50体積%よりも大きい。このようなEPD被膜の構造的完全性および基材との結合強度を増すために、少なくとも500℃の温度で少なくとも10分間、熱処理する必要がある。EPD被膜の熱処理は、ゾル‐ゲル被膜よりも高い温度かつ長い時間で進める。というのは、EPD法で被着させたHA粒子は、ゾル‐ゲル法で被着させたものよりも反応性が低いからである。このような熱処理の目的は、粒子間の結合性を高めるのと同時に、この被膜の低剛性および可撓性を維持し、かつ薬物を含浸させる余地を設けるのに十分な余剰の細孔を提供することである。EPD被膜の熱処理をより高温かつより長時間行うことが必要なことは欠点になる。というのは、熱処理工程は、ステントの金属基材の特性に悪影響を及ぼし得るからである。
実施例7で説明したように、EPD法によって、316Lステンレス鋼製ステントの表面上にHAを被着させた。均一に被着させたEPD被膜を、同被膜が取扱いに耐え、液状媒質と接触したときに被膜が再流動化するのを防止するのに十分な最低限の被膜の構造的完全性が得られるように、500℃で10分間熱処理した。このようなEPD法により被覆したステントを、実施例3で説明したエアロゾル‐ゲル法でゾルの液滴に暴露した。これらゾルの液滴は、EPD被膜の開孔部に浸透し、毛細管引力によって、多くはEPD法により被着させたHA粒子の間の狭くなった部分の負に湾曲した部分に置かれた。このような複合被覆を再度500℃で10分間熱処理した。この時点で、この被覆の活性なゾル‐ゲル成分により、被膜の構造的完全性が高められ、同被覆のEPD成分により、この被膜による覆いの均一性が高められた。この新規な組合せ方法で、均一な多孔質HA被膜が得られた。
Ca(NO4HOとNH‐HPOの混合水溶液中で、ヒドロキシアパタイトHAのECD(電気化学的被着法)を実施した。この方法では、
10Ca2++6PO 3−+2OH→Ca10(PO(OH)
の反応によって、ステントまたはインプラントのカソードの(負にバイアスされた)表面上にHAを被着させる。0.02329MのCa(NO4HOと0.04347MのNHPOの混合水溶液中でECDを実施した。ステンレス鋼製の試料、すなわちステントをカソードとし、白金をアノードとして使用した。pHは、水酸化ナトリウムを追加して4.0に制御した。環境温度は、40℃±1℃に制御した。低電流密度(1mA/cm)で被着させた被覆の形態は、図4に示すように、0.5〜1分で被着させた厚さ1〜2μmの薄い均一な多孔質構造になった。
実施例4で説明したように、ASG‐HA法によって、316Lステンレス鋼製のステントの表面上にHAを被着させた。不連続な網目状のHAパッチにより、ステントの表面の一部が被覆されずに残った。このようなあらかじめ被覆したステントに5V直流バイアス電圧を印加し、このステントを、1μm未満のHA粒子の懸濁液中に浸漬した。ステントの被覆されていない金属表面が選択的にHA粒子を引き付けて、その区域においてHAの選択的EPD(電気泳動電着)が行われ、それによって、約10秒で厚さ約1μmの被覆が形成された。この被覆されたステントを、500℃で10分間熱処理した。EPD‐HAで被覆された区域は、ASG‐HAで被覆された区域に比べて高い多孔率を示し、多孔率が高いということは、薬物を担持する液体を含浸させるのに適している。このような人為的に設計された複合HA被覆は、機械的性能および薬物放出特性に関して独自の特性
を示す。
実施例3で説明したように、ASG−HA法によって316Lステンレス鋼製のステントの表面上にHAを被着させ、その後、実施例9で説明したECD−HA被着法を実施した。ただしECD−HA被着法は熱処理済みのASG−HAの上部に対して行った。このような複合技術による被覆により、ASG−HAの上部にECD−HAを被着させる間に、(金属表面上に直接被着させたECD−HAに比べて)結合強度が大きく高められ、薬物を封入する能力が得られた。
実施例4で説明したように、ASG−HA法によって、2つの316Lステンレス鋼製ステントの表面上にHAを被着させた。これらの被覆処理したステントを、イヌを用いた標準的な血栓耐性テストで評価した。2つのテスト部位のうち一方では、等級1(1箇所でのみ血栓が認められると定義される)の最小の血栓形成が観察された。第2のテスト部位では、血栓形成は観察されなかった(等級0)。
埋込型医用デバイス上にリン酸カルシウム、特に生体活性セラミックであるHAを被覆する本明細書で開示した方法により、他の方法および埋込型医用デバイス上の他の被覆材料に比べて以下の利点がもたらされる。
(1)周囲環境(すなわち空気)中で、CaPゾル合成を含めて被覆工程を24時間未満で完了し得る。
(2)(0.001mm未満の)薄い接着性CaP被覆は、例えば、被覆されたステントを波形に屈曲し拡張させる間、被覆が損傷または破砕することなく、かなりの歪みに耐えるのに十分な可撓性を示す。
(3)多孔質CaP被覆を、細孔の量およびサイズを制御して生成し得る。これにより、所望の設計柔軟性および被覆に含浸させる薬物の吸収/放出特性が可能になる。
(4)合成で求められるのは、高品質かつ高接着性のCaP被覆を形成するための低温(約350℃)かつ短時間(1時間未満)の焼成である。新規なCaP被覆を金属上に低温で焼成することにより、金属の酸化、ならびに、微細構造の崩壊または相転移のために生じ得る特性の劣化の危険性を伴わずに、空気環境中で熱処理を行うことが可能になる。
ゾル‐ゲル法の技術分野の当業者には、時間、エアロゾルの流速、被着チャンバの温度、またはゾル‐ゲル溶液の濃度などの被覆の際の被着パラメータを、異なる埋込型医用デバイス材料および表面を様々な度合いで覆う用途に応じて特別に製造し得ることが明らかであろう。処理パラメータを同様に操作し最適化することを、開示した他の被覆方法、すなわち、ディップ・コーティング法およびスピン・コーティング法ならびに電気泳動法、バイオミメティック被覆法、電気化学的被着による被覆、リン酸カルシウムセメント被覆法、電気泳動電着による被覆に適用し得る。被覆の細孔の分布、および無機相(CaP)と有機相(生分解性ポリマー)の比についても同様である。上記実施例で説明した埋込型医用デバイス上の具体的なCaP被覆に対して、これらのパラメータを最適化した。
ヒドロキシアパタイトの結晶性および微細多孔性が、体液中でヒドロキシアパタイトの溶解速度に直接影響を及ぼすことはよく知られている。異なる熱処理方式および温度を採用して、様々な度合いの結晶性および微細多孔性を作り出し、それによって、被覆が劣化して体内環境に入るのを制御し得る。この利点は、ゾル‐ゲル法によりCaPで被覆された埋込型医用デバイスの表面に薬物送達能力を付加する場合、極めて重要なものである。他の金属表面、例えばチタン基材、またはコバルト‐クロム‐ニッケル‐モリブデン‐鉄などの他の合金などの被覆に、類似の被着方法を適用し得る。薄い均一な薄いHA被覆が得られる。この実験の結果から、ポリマーなどの非金属材料から構成される医用デバイス
上への、上記で説明した被覆の実現可能性について基本的な証拠が得られる。
本発明によるCaP被覆の被着方法は、金属製埋込型医用デバイスの現在の生産実務慣行に容易に組み込み得る性質のものである。この方法は、CaPセラミック被覆に対する水ベースの液体前駆物質、簡単な被着技術(例えば、ディップ・コーティングもしくはスピン・コーティング、またはエアロゾル被着、あるいは電気泳動電着など)、および空気中での低温熱処理により、簡単な塗付−硬化操作と変わらなくなり、このような操作は、比較的少ない労力で実用化し得る。
上記開示に照らして当業者には明らかなように、本発明の範囲から逸脱することなく本発明を実施するに際して、多くの代替形態および改変形態が可能である。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される内容に従って解釈すべきである。
不連続なASG−HA薄膜で被覆したステンレス鋼(316L)製ステントの顕微鏡写真。 図1Aの矩形で示す部分の拡大写真。 不連続なASG−HA薄膜で被覆したステンレス鋼(316L)製ステントを波形に屈曲させ、被覆への損傷がないことを示す顕微鏡写真。 図2Aに示すのと同じステントを拡張させた後、被覆への損傷がないことを示す顕微鏡写真。 連続したEPD−HA薄膜で被覆したステンレス鋼(316L)製ステントの顕微鏡写真。 図3Aの矩形によって示す部分の約4×6μmの拡大写真。 連続したECD−HA薄膜で被覆したステンレス鋼(316L)製ステントの顕微鏡写真。 図4Aの矩形によって示す部分の約65×88μmの拡大写真。

Claims (36)

  1. (a)基材と、
    (b)所望の結合特性および多孔質特性を有する、該基材上のリン酸カルシウム被覆とからなるリン酸カルシウム被覆を備えた埋込型医用デバイス。
  2. 前記リン酸カルシウム被覆が、ヒドロキシアパタイトである、請求項1に記載のデバイス。
  3. 前記リン酸カルシウム被覆の厚さが、約0.00001mm〜0.01mmである、請求項1に記載のデバイス。
  4. 前記リン酸カルシウム被覆の厚さが、約0.001mm〜約0.0001mmである、請求項1に記載のデバイス。
  5. 前記基材と前記リン酸カルシウム被覆の引張結合強度が、約20MPaよりも大きい、請求項1に記載のデバイス。
  6. 前記リン酸カルシウム被覆が、直径約1μm〜100μmおよび厚さ約1μm〜10μmの粒子として前記デバイス上に被着されている、請求項1に記載のデバイス。
  7. 前記粒子により、前記基材の表面の約20%〜約99%が覆われている、請求項1に記載のデバイス。
  8. 前記基材が、ステンレス鋼、コバルト合金、チタンコバルト‐クロムまたは金属合金から構築されている、請求項1に記載のデバイス。
  9. 前記リン酸カルシウム被覆が多孔質であり、細孔が薬物を保持し溶出する、請求項1に記載のデバイス。
  10. 細孔からの薬物の放出速度が人為的に設計された方式で制御される、請求項9に記載のデバイス。
  11. 前記基材が、第1のリン酸カルシウム被膜および第2のリン酸カルシウム被膜を有し、薬物が、該第1および第2の被覆内に収容される、請求項10に記載のデバイス。
  12. 前記薬物が再狭窄を阻止する、請求項9に記載のデバイス。
  13. 前記リン酸カルシウム被覆が、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、またはリン酸四カルシウムである、請求項1に記載のデバイス。
  14. ヒトまたは動物の組織用の埋込型デバイスである、請求項1に記載のデバイス。
  15. ステントである、請求項14に記載のデバイス。
  16. 埋込型医用デバイスをリン酸カルシウム被覆で被覆する方法であって、
    (a)水またはアルコールをベースとした媒質中でリン前駆物質を加水分解することと、
    (b)該ホスファイトが加水分解された後に、媒質にカルシウム塩前駆物質を加えてリン酸カルシウム・ゲルを得ることと、
    (c)リン酸カルシウム・ゲルを被覆として基材の表面上に被着させることと、
    (d)リン酸カルシウム被覆を、適切な高温で所定の時間焼成して、所望の結晶性、結合特性、および多孔質特性を有する結晶化したリン酸カルシウムを得ることと
    からなる方法。
  17. 基材上への被覆の被着を、エアロゾル被着法、ディップ・コーティング法、スピン・コーティング法、電気的リン酸塩処理法、または電気化学的被覆法によって実施する、請求項16に記載の方法。
  18. 前記リン酸カルシウム被覆を、少なくとも約350℃の温度で焼成する、請求項16に記載の方法。
  19. 前記リン酸カルシウム・ゲルが、ヒドロキシアパタイト・ゲルである、請求項16に記載の方法。
  20. 前記基材上の前記リン酸カルシウム被覆の厚さが、約0.00001mm〜0.01mmである、請求項16に記載の方法。
  21. 前記リン酸カルシウム被覆の厚さが、約0.0001mm〜約0.001mmである、請求項16に記載の方法。
  22. 前記リン酸カルシウム被覆と前記基材の引張結合強度が、約20MPaよりも大きい、請求項16に記載の方法。
  23. 前記リン酸カルシウム・ゲルを、直径約1μm〜100μmの粒子として前記基材上に被着させる、請求項16に記載の方法。
  24. 前記リン酸カルシウム被覆の多孔性が制御されており、該多孔性により薬物が保持され溶出される、請求項16に記載の方法。
  25. 薬物の放出速度が規定された方式で制御される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記リン酸カルシウム被覆が、ヒドロキシアパタイト、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、またはリン酸四カルシウムである、請求項16に記載の方法。
  27. 軟部組織用の埋込型デバイスをリン酸カルシウム被覆で被覆する方法であって、
    (a)軟部組織用の埋込型基材を提供することと、
    (b)該基材上に、バイオミメティック被着法を利用してリン酸カルシウム被覆を被着させること、または、
    (c)該基材上に、リン酸カルシウムセメント被着法を利用してカルシウム被覆を被着させること、または、
    (d)該基材上に、電気泳動電着法を利用してリン酸カルシウム被覆を被着させること、または、
    (e)該基材上に、電気化学的被着法を利用してリン酸カルシウム被覆を被着させることと
    からなる方法。
  28. 前記基材がステントである、請求項27に記載の方法。
  29. 前記リン酸カルシウム被覆がヒドロキシアパタイトである、請求項27に記載の方法。
  30. 前記リン酸カルシウム被覆を、離散粒子として不連続に前記基材上に被着させる、請求項27に記載の方法。
  31. 第1のリン酸カルシウム被覆を、前記基材上に、エアロゾル‐ゲル法、ゾル‐ゲル法、電気泳動電着法、または電気化学的被着法を利用して被着させ、第2のリン酸カルシウム被覆を、該第1の被覆または前記基材上に、エアロゾル‐ゲル法、ゾル‐ゲル法、バイオミメティック法、リン酸カルシウムセメント法、電気泳動電着法、または電気化学的被着法を利用して被着させる、請求項27に記載の方法。
  32. 前記リン酸カルシウム被覆が薬物を収容する、請求項27に記載の方法。
  33. 前記リン酸カルシウム被覆に、ヒドロゲル被膜を被覆する、請求項27に記載の方法。
  34. 前記リン酸カルシウムを、不連続な非等軸粒子として前記基材上に被着させる、請求項27に記載の方法。
  35. 前記非等軸粒子の平均サイズが約0.1μmであり、厚さが最大で約0.01mmである、請求項34に記載の方法。
  36. 前記第1の被覆および前記第2の被覆がともに薬物を含む、請求項31に記載の方法。
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