JP2006348756A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 弁座13を有し、下流側に燃料が通過する開口24が形成されている弁ボディ11と、弁ボディ11に収容され、弁座13から離座することにより燃料噴射を許容し、弁座13に着座することにより燃料噴射を遮断する弁部材12と、弁ボディ11に下流側から重なって開口24を閉塞するプレート23であって、弁部材12が離座すると燃料圧力によって弾性変形するプレート23と、を備え、プレート23が弾性変形することによって弁ボディ11とプレート23との間に隙間が生じ、隙間から燃料を噴射する。弁軸に対して概ね垂直な角度で燃料を噴射できるので、噴孔を吸気弁に近づけても噴霧は吸気弁の中心付近に直に衝突し難い。従って、燃料噴射弁を吸気弁の上流近傍に配置できる。
【選択図】 図1
Description
図12(A)は非吸気行程中に噴射された噴霧を示す模式図であり、図12(B)は吸気行程中に噴射された噴霧を示す模式図である。非吸気行程中に燃料を噴射した場合、図12(A)に示すように吸気ポート中を浮遊する噴霧が吸気ポートの壁面に付着する。吸気行程中に燃料を噴射した場合、図12(B)に示すように噴霧が吸気に押され、吸気ポートの壁面に付着する量は更に増大する。吸気ポートの壁面や吸気弁に燃料が付着すると付着した燃料が液状になって燃焼室内に流入し、燃焼性が悪化する。その結果、排気エミッションや燃費が悪化する。
特許文献3には、吸気流制御装置を用いて噴霧を搬送する燃料噴射方法が開示されている。特許文献3に記載の燃料噴射方法では、吸気行程中に噴射に同期して吸気流を生じさせ、噴霧を吸気流に乗せて搬送することで吸気ポートの壁面や吸気弁への燃料付着を防止している。
しかしながら、特許文献1および2に記載された燃料噴射弁によると、燃料が略弁軸方向に噴射されるので、燃料噴射弁を吸気弁に近づけると噴霧は吸気弁の外周に沿った最適な狙い位置および範囲から外れ、吸気弁の中心付近に直に衝突してしまう。従って、燃料噴射弁を吸気弁に近づけられないという問題がある。噴孔を傾斜させることで噴霧の角度を変え、それにより噴霧を最適な狙い位置から外すことなく燃料噴射弁を吸気弁に近づけることは可能である。しかしながら、一般に燃料噴射弁では噴孔の傾斜角度と燃料の噴射角度とは一致せず、燃料の噴射角度は噴孔の傾斜角度よりも浅い。噴孔プレートの板厚を上げて噴孔を長くすることで噴孔の傾斜角度と同角度で燃料を噴射することも可能であるが、噴孔が長くなると微粒化が悪化するので、実質的には噴孔の傾斜角度未満の角度でしか噴射できない。噴孔の傾斜角度には加工上の理由による加工限界角度があるので、従来の燃料噴射弁では燃料の噴射角度は最大でも噴孔の加工限界角度未満となる。従って、噴孔を傾斜させたとしても燃料噴射弁を吸気弁に近づけられる距離には限界がある。
本発明は、上述の問題に鑑みて創作されたものであって、吸気弁の上流近傍に配置しても、噴射方向を最適にできる燃料噴射弁を提供することを目的とする。
請求項4に記載の発明によると、噴孔群を弁軸に対して偏った位置に配置しているので、燃料は弁軸から離間した位置から噴射される。従って、噴霧が吸気弁の中心付近に直に衝突し難い。また、請求項4に記載の発明によると、隙間を流れる燃料流は弁軸に対して垂直な方向かつ噴孔の傾斜の方向に流れる。弁軸に対して垂直な方向は加工限界角度以上の角度であり、燃料流の方向を噴孔の傾斜方向にすると、微粒化を損なうことなく燃料を加工限界角度と同等もしくは、それ以上の角度で噴射できる。燃料を加工限界角度以上の角度で噴射すると、燃料噴射弁を吸気弁に近づけても噴霧は吸気弁の中心付近に直に衝突せず、吸気弁の外周に沿った最適な狙い位置に向かって噴射できる。従って、燃料噴射弁を吸気弁の上流近傍に配置しても、噴射方向を最適にできる。
(第一実施形態)
図2は、本発明の第一実施形態に係る燃料噴射弁10の断面図である。
弁ボディ11は、弁部材としてのノズルニードル12を往復移動可能に収容している。弁ボディ11の内周壁にはノズルニードル12が着座可能な弁座13が形成されている。ノズルニードル12の弁座13と反対側の結合部14は、可動コア15と溶接等により結合している。
アジャスティングパイプ17は、固定コア16の内周側に圧入されている。アジャスティングパイプ17の内周側は燃料通路18を形成している。
スプリング19は、一方の端部がアジャスティングパイプ17に当接し、他方の端部が可動コア15に当接し、可動コア15を弁座13側に付勢している。スプリング19の付勢力はアジャスティングパイプ17の圧入量によって調整される。
弁ボディ11は下流側に開口34(図3(A)参照)が形成されており、噴孔プレート21が設けられている。噴孔プレート21は、第1プレート22(図3(A)参照)と第2プレート23(図3(A)参照)とで構成されている。
図1(A)は燃料噴射弁10の下流側を模式的に示す断面図であり、図1(B)は図1(A)に示すX方向から見た第1プレート22及び第2プレート23を示す模式図である。ノズルニードル12が弁座13から離座すると高圧燃料によって第2プレート23が反X方向に押圧される。前述したように第2プレート23は両端しか溶接されていないので、高圧燃料によって押圧されると長手方向の中央周辺が弾性変形して撓み、第1プレート22との間に隙間が生じる。その隙間から図1(A)に示すように燃料26が噴射される。燃料26は第1プレート22と第2プレート23との間から弁軸Pに対して概ね垂直な方向に噴射される。また、第2プレート23は両端しか溶接されていないので、図示するように互いに逆向きの2方向に同時に燃料が噴射される。
図4(A)はエンジンの吸気弁周辺を示す模式図であり、図4(B)は吸気弁周辺を別角度から示す模式図である。図4(C)は噴霧が吸気弁の傘に沿うようにして噴射される様子を示す模式図である。ここでは吸気行程中に燃料を噴射する場合を例に説明する。エンジン27には図4(A)に示すように2つの吸気ポート28がある。図4(B)に示すように吸気ポート28は中央隔壁29で仕切られており、一つの吸気ポート28について吸気口を開閉する吸気弁30が2つ設けられている。燃料噴射弁10は一つの吸気ポート28に一つ設けられている。燃料噴射弁10は図4(A)に示すように弁軸が吸気流れと概ね平行な姿勢で組み付けられている。燃料噴射弁10は弁軸に対して概ね垂直な方向に燃料を噴射できるので、噴孔プレート21を中央隔壁29に近づけても、燃料噴射弁10から噴射された燃料は図4(B)に示すように中央隔壁29に衝突しない。また、噴射された噴霧は図4(C)に示すように吸気弁30の外周部に向かって噴射されるので、噴霧が吸気弁30の中心付近に直に衝突することはない。噴射された噴霧は吸気流により吸気口から気筒内に吸い込まれる。
なお、第一実施形態では弁ボディ11に第1プレート22が固定されている場合を例に説明したが、第1プレート22は必ずしも必要ではない。例えば開口34を開口24と同じ形状及び同じ大きさに形成し、第2プレート23のみで開口34を閉塞してもよい。その場合、開口34が特許請求の範囲に記載の「開口」に相当することになる。
図5は、第二実施形態に係る噴孔プレート33を示す模式図である。噴孔プレート33は第1プレート22と第2プレート23とで構成されている。第2プレート23は3辺が第1プレート22に溶接されている。図5において網掛けで示す領域32は溶接されている部分を模式的に示している。従って、噴孔プレート33では燃料26は片方向にのみ噴射される。
図6(A)は吸気弁周辺を示す模式図であり、図6(B)は吸気弁周辺を別角度から示す模式図である。ここでは吸気行程中に燃料を噴射する場合を例に説明する。図6(B)に示すようにエンジン27には一つの吸気ポート28について吸気弁30が2つ設けられている。燃料噴射弁31は吸気弁30毎にそれぞれ一つ設けられている。燃料噴射弁31は図6(A)に示すように弁軸が吸気流れに概ね垂直な姿勢で組み付けられており、弁軸に対して概ね垂直な方向に燃料を噴射する。
第二実施形態はその他の点において第一実施形態と実質的に同一である。
図7(A)は第三実施形態に係る燃料噴射弁40の下流側を模式的に示す断面図であり、図7(B)は図7(A)に示すX方向から見た噴孔プレート41を示す模式図である。ここでX方向は弁軸方向に相当する。図7(B)において仮想円44は、弁ボディ11の下流側の端面に形成されている開口45を噴孔プレート41上に示したものである。
図8(A)は弁座13周辺をより拡大して示す断面図であり、図8(B)は噴孔49aをより拡大して示す断面図である。隙間43には図8(A)に示すように径方向中心から径外方向に向かう燃料流、すなわち弁軸に対し垂直な方向かつ噴孔の傾斜方向に流れる燃料流53が生じる。弁軸に対し噴孔49の傾斜角度よりも傾斜した角度の燃料流が噴孔49に流入すると、微粒化された燃料を、弁軸に対し噴孔の角度と同角度、あるいはそれ以上の角度で噴射できる。すなわち、燃料噴射弁40は、燃料流の角度を変えることにより微粒化を悪化させることなく噴孔49の加工限界角度と同角度、あるいはそれ以上の角度で燃料を噴射することを可能にしている。
図9は、吸気弁周辺の模式図である。燃料噴射弁40は第二実施形態の燃料噴射弁31と同様に弁軸が吸気流れに概ね垂直な姿勢で組み付けられる。一つの吸気ポート28には同様に2つの吸気弁30があり、燃料噴射弁40は2つの吸気弁30に対して一つだけ設けられる。
第三実施形態はその他の点において第二実施形態と実質的に同一である。
図10(A)は第四実施形態に係る燃料噴射弁60の下流側を模式的に示す断面図であり、図10(B)は図10(A)に示すX方向から見た噴孔プレート61を示す模式図である。噴孔プレート61は、弁軸Pに直交する仮想平面63に対して傾斜した姿勢で弁ボディ81の下流側に固定されている。図10(B)に示すように噴孔62は弁軸Pを中心に均等に配置されており、仮想直線64を挟んで異なる2方向に燃料を噴射するように形成されている。
第四実施形態はその他の点において第三実施形態と実質的に同一である。
図11(A)は第五実施形態に係る燃料噴射弁70の下流側を模式的に示す断面図であり、図11(B)は噴孔62の一つを拡大して示す断面図である。第五実施形態は第四実施形態の変形例である。弁部材としてのノズルニードル71は、ノズルニードル71が弁座80に着座する箇所Rから更に噴孔プレート61側に延びる凸部78を有している。凸部78の先端面79は噴孔プレート61に平行であり、ノズルニードル71は凸部78の先端面79が噴孔プレート61に平行な姿勢を維持するために弁軸P周りの回動が規制されている。
弁ボディ81とノズルニードル71とで形成される隙間73、隙間74、および凸部78の先端面79と噴孔プレート61とによって燃料流路83が形成される。燃料流路83には矢印75で示すように噴孔プレート61の傾斜方向上側から下側に向かって流れる燃料流が生じる。
第五実施形態では燃料が流れる矢印75方向と噴霧が噴射される方向77とが逆向きになるので、弁軸Pに対して噴霧の噴射角度は噴孔62の傾斜角度より浅くなるが、噴孔プレート61自体が傾斜しているので、弁軸Pに対し、噴孔62の加工角度以上の角度で燃料を噴射できる。
第五実施形態はその他の点において第四実施形態と実質的に同一である。
Claims (6)
- 弁座を有し、下流側に燃料が通過する開口が形成されている弁ボディと、
前記弁ボディに収容され、前記弁座から離座することにより燃料噴射を許容し、前記弁座に着座することにより燃料噴射を遮断する弁部材と、
前記弁ボディに下流側から重なって前記開口を閉塞するプレートであって、前記弁部材が離座すると燃料圧力によって弾性変形するプレートと、
を備え、前記プレートが弾性変形することによって前記弁ボディと前記プレートとの間に隙間が生じ、前記隙間から燃料を噴射することを特徴とする燃料噴射弁。 - 前記プレートは両端部が前記弁ボディに固定され、
互いに逆向きの2方向に燃料を噴射することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。 - 前記プレートは略長方形状に形成されており、長手方向の前記両端部が前記弁ボディに固定されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射弁。
- 下流側の端面に燃料が通過する開口を有する弁ボディと、
前記弁ボディの下流側に設けられ、燃料を噴射する噴孔群が弁軸に対して偏った位置に配置されている噴孔プレートと、
を備え、前記弁ボディと前記噴孔プレートとの間に前記開口に連通する隙間が形成されており、前記噴孔群の少なくとも一部の噴孔は前記隙間の下流側に配置されていることを特徴とする燃料噴射弁。 - 弁ボディと、
燃料を噴射する噴孔を有し、弁軸に直交する仮想平面に対して傾斜した姿勢で前記弁ボディの下流側に設けられる噴孔プレートと、
を備えることを特徴とする燃料噴射弁。 - 前記弁ボディは弁座を有し、
前記弁ボディに収容され、前記弁座から離座することにより前記噴孔からの燃料噴射を許容し、前記弁座に着座することにより前記噴孔からの燃料噴射を遮断する弁部材であって、前記弁座に着座する箇所から更に前記噴孔プレート側に延びる凸部を有し、前記凸部の先端面が前記噴孔プレートに平行である弁部材を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の燃料噴射弁。
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