JP2006348510A - 支持杭保持具および支持杭固定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】地面から略鉛直下方向に掘削された掘削穴10に支持杭20を挿入するとともに掘削穴10内にセメントミルクを流し込み支持杭20を掘削穴10内にて固定する際に、支持杭20の下端部位に鋼管30を固定し、当該鋼管30の下端31を掘削穴10の底面11に当接させる。その結果、支持杭20は鋼管30によって底面11から一定高さに保持され、支持杭20をセメントミルクの中で沈降せしめる種々の原因が発生したとしても、支持杭20は沈降しない。
【選択図】図1
Description
支持杭20は、建設現場などにおいて掘削された掘削穴10に挿入される柱状の部材である。支持杭20は、所定の比重を有するセメントミルク40が流し込まれる掘削穴10内に挿入されることにより略鉛直方向に固定される。そして、目的の建造物の建設にあたっては、この固定された支持杭20の上に柱を立てるなどして工事が行われる。
支持杭20は、建造物の柱を立てるための土台であるため、セメントによる固定後において当然にその高さ位置が設計段階で定めた高さ位置となる必要があり(具体的には、上端22が地面Cよりも所定距離d1だけ低くなるようにする。)、支持杭20の長さhやセメントミルクの量および比重も上記高さ位置が実現されるような値に設定されている。
つまり、周辺地盤の地質によっては掘削穴10内に地下水が流出することがあり、この地下水がセメントミルクと混合することでセメントミルクの比重が低下し、その結果、支持杭20が沈降することがあった。
さらには、支持杭20の固定後においては掘削穴10を地面の高さまで埋めることになるが、その穴埋め作業に用いられる土砂の重量や、建設用重機の作業時の振動により、支持杭20が沈降することがあった。
むろん、上記各要因はそれぞれに発生しうるものであり、かかる複数の要因が重なって支持杭20が看過できないほど深く沈降することがあった。
しかし上記の様に支持杭20が沈降してしまうと、下端21が支持層Fを通り過ぎ、最悪の場合、支持層Fの下の貧弱な層の範囲に下端21が到達してしまい、その結果、支持杭20の固定が不安定な状況になってしまうことが考えられた。
このように本発明によれば、支持杭がセメントミルクの中で沈降してしまうことを防止することができる。
管状である支持杭保持具の外側または内側の表面の少なくとも一方に凸部を複数形成すれば、セメントミルクと支持杭保持具との接触面積が増え、その結果、セメントミルクによる支持杭の固定が非常に強固なものとなる。
支持杭の下端部位と支持杭保持具の径とを略同一径としてもよいが、請求項4においては、あえて支持杭保持具の径を下端部位よりも細径としている。その結果、掘削穴内にて支持杭が若干傾いている場合にも、支持杭保持具の外側表面が掘削穴の内壁面に直接触れてしまうことが防がれ、支持杭保持具の外側表面が確実にセメントミルクと接することになる。
そこで、請求項5にかかる支持杭固定方法の発明は、地面から略鉛直下方向に掘削された掘削穴に所定長さの支持杭を挿入するとともに掘削穴内にセメントミルクを流し込み支持杭を掘削穴内にて固定する際に、所定の支持杭保持具の一端を支持杭の下端部位に取り付け、かつ当該支持杭保持具の他端を上記掘削穴の底面に当接させることにより支持杭の高さ位置を掘削穴内にて所定の高さ位置に保持する構成としてある。
また、支持杭の下端が本来下端を到達させる予定であった地層とは異なる下端部位の固定には適さない貧弱な地層まで沈降してしまって支持杭の固定も不安定となる、といった不都合が防止される。
さらに、請求項3によれば、支持杭保持具とセメントミルクとの摩擦力を増加させて、支持杭の固定を一層強固なものとすることができる。
さらに、請求項5によれば、支持杭の高さ位置を設計段階で定めた位置と違わなくし、後の建造物の建設作業において支持杭の高さの狂いを補うための補助的工事を一切不要とする支持杭固定方法を提供することができる。
(1)第一の実施形態
(2)他の実施形態
(3)まとめ
図1は、本発明にかかる支持杭の固定方法を説明するための図である。同図も、上述の図7,8と同様に、地面Cから略鉛直下方向に掘られた掘削穴10および周囲の地層の鉛直方向の断面図である。また、図7,8と共通する部分については同図7,8と同じ符号を用いている。
例えば、図2に示すように、支持杭20を内側に嵌め込められる大きさに鋼管30の内径を設計しておき、鋼管30の上端32側に支持杭20の下端21側を嵌め込む。このとき、鋼管30の内側において、支持杭20の下端21が図中の2点鎖線の位置に進行するまで、支持杭20を嵌め込む。
上記のようにして支持杭20と鋼管30とが重なった部分については、溶接や鋼管30の外側からのビス止め等により強固に固定する。
この場合、鋼管30の内側には上端32から所定距離だけ下端31側に進んだ位置に、フランジ部33を形成する。フランジ部33は、鋼管30の内壁から鋼管30の中心軸に向かって所定幅を持って延設されたドーナツ状の部位である。図2と同様に、鋼管30の内径は、支持杭20を内側に嵌め込められる大きさに設計しておく。
このように、本実施形態では、支持杭20の下端部位に鋼管30を固定したため、支持杭20は、鋼管30によって掘削穴10の底面11上に支持され、その高さ位置を常に一定に維持することができる。
支持杭20を下方から支える鋼管の形状は、図1〜3に示したものに限られない。図4は、鋼管30aを支持杭20の下端部位に固定する様子を示している。
同図においては、支持杭20の下端21の径よりも径の細い鋼管30aを用いている。鋼管30aの径をどの程度細くするかは任意であるが、一例として、以下のようにすることができる。
支持杭20は掘削穴10の中において鉛直方向を向いた状態で固定されるものであるが、若干ではあるが同掘削穴10の内部において傾いてしまうことがある。このとき、鋼管の径が支持杭20と同等であるか或いは支持杭20よりも太い場合には、先端ということもあり、鋼管の外側表面が掘削穴10の内壁面に接触してしまうことがある。
一方、鋼管と掘削穴10の内壁面との間には、セメントミルク40が介在しているのが正常な状態であり、セメントミルク40が鋼管の周囲を満遍なく満たすことで、鋼管は強く固定される。しかし、鋼管の一部が直接に掘削穴10の内壁面に触れ、セメントミルク40と鋼管とが接触する面積が減少すれば、その分セメントによる鋼管の固定力が低下する。
図5は、鋼管30の表面の一部範囲を示している。同図に示すように、鋼管30の表面には、複数の凸部60が形成されている。図6は、凸部60の形状を詳細に示している。凸部60は、鋼管30の表面上における長さLs、幅Wsであり、同表面から先端面61までの高さがhsである台状の突起となっている。また、同表面から先端面61へと連続する各側面は斜面となっており、その結果、凸部60は鋼管30の表面から遠ざかるに連れて、同表面と平行な断面の面積が小さくなっていく。
なお、鋼管30とセメントミルク40との摩擦力の程度は、鋼管30表面に形成する凸部60の数、大きさ、高さ、側面の斜度、さらには同表面上における角度など、各種要素を変えることにより変更可能である。
このように本発明によれば、支持杭20は鋼管30によって底面11から一定高さに保持されるため、上述したようなセメントミルクの比重低下や周囲の地中への流出、さらには支持杭20に対して必要以上の加重や振動が与えられた場合など、支持杭20をセメントミルクの中で沈降せしめる種々の原因が発生したとしても、支持杭20は沈降することなくその高さ位置を常に理想の設計位置に保持することができる。
その結果、固定後の支持杭20の高さ位置が設計位置とずれた場合に行っていた補助工事や補強工事などが一切不要となり、その後の建造物の建設スケジュールに支障をきたすことも無くなる。
11…底面
20…支持杭
21…下端
22…上端
23…ビス穴
30,30a…鋼管
31…下端
32,32a…上端
33…フランジ部
34…ビス穴
35…ビス
40,50…セメントミルク
60…凸部
61…先端面
Claims (5)
- 地面から略鉛直下方向に掘削された掘削穴に所定長さの支持杭を挿入するとともに掘削穴内にセメントミルクを流し込み支持杭を掘削穴内にて固定する際に、支持杭の下端部位に取り付けられることにより当該支持杭の高さ位置を掘削穴内にて所定の高さ位置に保持することを特徴とする支持杭保持具。
- 全体が管状に形成され、一方の開口近傍の部位を上記支持杭の下端部位に固定し、他方の開口における縁部を上記掘削穴の底面に当接させることにより上記保持を実現することを特徴とする請求項1に記載の支持杭保持具。
- 外側の表面または内側の表面の少なくとも一方に、複数の凸部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の支持杭保持具。
- 上記支持杭の下端部位の径よりもその径が小さいことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の支持杭保持具。
- 地面から略鉛直下方向に掘削された掘削穴に所定長さの支持杭を挿入するとともに掘削穴内にセメントミルクを流し込み支持杭を掘削穴内にて固定する際に、所定の支持杭保持具の一端を支持杭の下端部位に取り付け、かつ当該支持杭保持具の他端を上記掘削穴の底面に当接させることにより支持杭の高さ位置を掘削穴内にて所定の高さ位置に保持することを特徴とする支持杭固定方法。
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2005
- 2005-06-14 JP JP2005173532A patent/JP2006348510A/ja active Pending
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