JP2006347132A - 樹脂の加飾方法及び加飾された樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 微細なパターンの意匠でも容易に、簡素な設備で、低コストで、樹脂表面に加飾する。
【解決手段】 レーザー照射前にレーザー吸収性材料又は結晶性樹脂を第1のローラーにより基材樹脂表面に塗布する工程と、レーザーを用いて樹脂表面を選択的に加熱・溶融する工程と、レーザー照射後に該レーザー吸収性物質又は結晶性樹脂を第2のローラーにより基材樹脂表面に定着させる工程とを含む樹脂の加飾方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂成形体の表面に、任意の文字、模様、図形、凹凸等、又はこれら2種以上の組み合わせの意匠性を付与して加飾を行う樹脂の加飾方法及び加飾された樹脂成形品に関する。
従来、樹脂成形品の表面に意匠性(デザイン性)を付加するための加飾処理としては、ホットスタンプやインモールド転写などの転写技術、シルク印刷、およびパット印刷などの印刷技術が採用されていた。
しかし、上記加飾処理として採用される転写技術においては、転写用フィルムが高価であり、しかも使用後のフィルム自体が産業用廃棄物となってしまうという問題があり、印刷技術においては、インキ材料や溶剤などといった有機液体の管理にかかる手間、および臭気発生などの点において問題があった。また、樹脂成形品の製造コストの面においても、現状の上記従来の方法では、粗面化加工と加飾処理とを別々に行うため十分な効率化が図れないという問題があり、さらなる向上が望まれている。
具体的な、樹脂成形物の表面の加飾方法としては、例えば、(1)下記特許文献1及び特許文献2等に開示の射出成形同時加飾方法等では、成形加飾用シートを射出成形の雌雄両型間に装着した後、溶融樹脂をキャビティ内に射出充填し固化させることで、樹脂成形物の成形と同時にその表面に成形加飾用シートを接着積層して一体化した加飾成形品を得る方法を開示している。また、下記特許文献3ではブロー金型表面に、ブロー成形温度以下、ブロー圧以下で、接着可能な接着層を具えた転写フィルムを貼着し、ブロー成形することを特徴とするインモールド転写方法が考案されている。下記特許文献4では樹脂製品の表面に、必要に応じマスク材を当て、紫外線を照射する。紫外線が照射された部分が変色し、加飾される。下記特許文献5では電磁線を用いて硬化する3次元成型物用の熱可塑フィルム、下記特許文献6では加飾すべき物品の表面に、所望の加飾模様を施した加飾シートを被せ、この加飾シートの上に透明または半透明の保護シートを被せて物品の表面に固着する。保護シートを、熱収縮材料で筒状に形成し、これで加飾シートを被せた物品を包み、加熱して保護シートを収縮させて固着する。
もっと一般的には、成型物の表面を塗装などにより加飾する方法が知られている。
更に、下記特許文献7には、表面へのレーザー照射により、頂上部に凹みを有する複数の微細凸形状からなる粗面化加工が表面に施されているとともに、該微細凸形状が周辺部より濃色に発色している樹脂成形品が開示されている。
特公昭50−19132号公報 特公昭43−27488号公報 特開2004−090313号公報 特開平05−105779号公報 特開2002−240202号公報 特開平10−076573号公報 特開2002−67150号公報
熱転写および複数の積層シートを熱プレスするような従来の加飾方法では全体を加熱するため、加飾工程において、合成樹脂板の冷却時の表裏面間の温度差に起因する変形予備加熱を行って、反り等の変形を矯正したりする必要がある。また、このような方法では凹凸を形成してもその精度に限界がある。
一方、複数の材料を積層して加飾する方法は各機能をもった複数の材料が必要であったりあらかじめ加飾用の層に施して置いた意匠が加熱によって変色や変形する可能性がある。
また、塗装では樹脂表面に転写しておいた凹凸が埋まったり、塗膜の膜厚が不均一になるため、微細な凹凸は実現が不可能である。
更に、レーザー照射を用いる方法は、樹脂表面に選択的に加飾する点で満足できる方法ではなかった。
従来の加飾方法では、上記のような問題が生じていた。そこで、本発明は、微細なパターンの意匠でも容易に、簡素な設備で、低コストで、樹脂表面に加飾することを目的とする。
本発明者らは、レーザー照射を用いる加飾方法において特定の工程を設けることで上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。即ち、レーザー照射の前に第1のローラーを用いて特定の材料を塗布し、レーザー照射の後に第2のローラーを用いて定着するものである。
第1に、本発明は、樹脂の加飾方法の発明であり、(1)レーザー照射前にレーザー吸収性材料又は結晶性樹脂を第1のローラーにより基材樹脂表面に塗布する工程と、(2)レーザーを用いて樹脂表面を選択的に加熱・溶融する工程と、(3)レーザー照射後に該レーザー吸収性物質又は結晶性樹脂を第2のローラーにより基材樹脂表面に定着させる工程とを含む。レーザー吸収性材料又は結晶性樹脂を基材樹脂表面に塗布することにより、レーザー照射により、基材樹脂表面に選択的にレーザー光が吸収され、加熱により微細な加飾デザインの前処理を可能とする。レーザー照射後にレーザー吸収性物質又は結晶性樹脂を第2のローラーで押圧することにより、加飾デザインを基材樹脂表面に定着させる。
レーザー吸収性材料としては、カーボンブラックを始め、各種顔料及び/又は染料の着色剤を用いることができる。その他、樹脂に顔料及び/又は染料の着色剤を分散させたマスターバッチを用いることで、加飾デザインを着色させることも可能である。
本発明において、第2のローラーの表面が平坦であっても良いが、表面に微細な凹凸が形成されていても良い。表面に微細な凹凸が形成されていると、樹脂表面に微細な凹凸が付与された加飾を可能とすることができる。
本発明において、『加飾』とは、樹脂表面への広く各種デザインの付与を意味し、具体的には、樹脂成形体の表面に、(1)任意の文字の付与、(2)各種模様の付与、(3)各種図形の付与、(4)微細な凹凸の付与、(5)これら2種以上の組み合わせの意匠の付与、等が挙げられる。
第2に、本発明は、上記の方法で加飾された樹脂成形品である。
本発明の樹脂の加飾方法により下記のような作用・効果が奏される。
1)樹脂表面にミリオーダーからナノオーダーまでの精密な凹凸パターンが形成できる。
2)表層のみを選択的に加熱するため基材樹脂の変形や劣化がほとんどない。(特に低融点の樹脂などに有効)
3)透明樹脂などの裏面に着色し厚み感を持つような意匠の場合、透明樹脂の結晶化などに伴う白濁が起こらないため意匠性にすぐれる。
4)簡素な設備で実現できるためコスト的に有利である。
5)塗装時に必要なプライマーが不要である。
6)顔料を樹脂全体に分散する必要がないため、低コストかつ基材樹脂の物性低下が少ない。
図1に、本発明の樹脂の加飾方法を模式的に示す。第1のローラー2によりレーザー照射前にレーザー吸収性材料、結晶性樹脂、顔料含有マスターバッチ等を基材樹脂1表面に塗布する。レーザーを用いて樹脂表面を選択的に加熱・溶融する。この際、先に塗布したレーザー吸収性材料、結晶性樹脂、顔料含有マスターバッチ等は、レーザーを選択的に吸収し、微細な加飾デザインを形成する。次に、レーザーを照射されたレーザー吸収性材料、結晶性樹脂、顔料含有マスターバッチ等を第2のローラー3により基材樹脂表面に定着させることで、最終的に加飾デザインを基材樹脂表面に形成させる。
図2に、本発明の樹脂の加飾方法の他の態様を模式的に示す。図1では、第2のローラー3の表面が平坦であったのに対して、図2の態様では、第2のローラー4の表面に微細な凹凸が形成されている点が相違する。第1のローラー2によりレーザー照射前にレーザー吸収性材料、結晶性樹脂、顔料含有マスターバッチ等を基材樹脂1表面に塗布すること、及び、レーザーを用いて樹脂表面を選択的に加熱・溶融することは図1と同様である。レーザー吸収性材料、結晶性樹脂、顔料含有マスターバッチ等を微細な凹凸を表面に有する第2のローラー4により基材樹脂表面に定着させると同時に、樹脂表面に微細な凹凸をプリントして、最終的に凹凸を伴った加飾デザインを基材樹脂表面に形成させる。
本発明において、基材となる樹脂は特に制限されず、各種成形体に成形可能な熱可塑性樹脂樹脂及び熱硬化性樹脂を広く用いることができる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニール、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶性ポリマー、フッ素樹脂、ポリアレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、等の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂、更にこれらを2種以上ブレンドした材料を用いることが可能である。
本発明で用いる、レーザー吸収性材料としては、染料や顔料の着色材が上げられる。この中で、カーボンブラックが最適である。また、各種樹脂にカーボンブラック、染料や顔料等の着色材を混入し、レーザー光の吸収率を高めたものも好適である。
本発明において、レーザー光源としては、レーザー光を発振するものを広く用いることができる。例えば、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ヘリウム−ネオンやアルゴン等のガスレーザー、エキシマレーザー等が使用できる。また、これらのレーザー光に波長変換したものも使用できる。
本発明の方法により加飾された各種樹脂成形体は、各種分野で広く用いられる。また、加飾工程が簡素化されており、コストダウンに貢献する。
本発明の樹脂の加飾方法を模式的に示す。 本発明の樹脂の加飾方法の他の態様を模式的に示す。
符号の説明
1:基材樹脂、2:第1のローラー、3:第2のローラー、4:微細な凹凸を表面に有する第2のローラー。

Claims (7)

  1. レーザー照射前にレーザー吸収性材料又は結晶性樹脂を第1のローラーにより基材樹脂表面に塗布する工程と、レーザーを用いて樹脂表面を選択的に加熱・溶融する工程と、レーザー照射後に該レーザー吸収性物質又は結晶性樹脂を第2のローラーにより基材樹脂表面に定着させる工程とを含むことを特徴とする樹脂の加飾方法。
  2. 前記レーザー吸収性材料が、顔料及び/又は染料の着色剤であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂の加飾方法。
  3. 前記レーザー吸収性材料が、樹脂に顔料及び/又は染料の着色剤を分散させたマスターバッチであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂の加飾方法。
  4. 前記第2のローラーの表面が平坦であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂の加飾方法。
  5. 前記第2のローラーの表面に微細な凹凸が形成されており、樹脂表面に微細な凹凸を付与することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂の加飾方法。
  6. 前記加飾が、樹脂成形体の表面に、任意の文字、模様、図形、凹凸から選択される1種又はこれら2種以上の組み合わせの意匠を付与することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂の加飾方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の方法で加飾された樹脂成形品。
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