JP2006347016A - 木材改質剤およびその製造方法並びにその木材改質剤によるガラス含浸木材 - Google Patents

木材改質剤およびその製造方法並びにその木材改質剤によるガラス含浸木材 Download PDF

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Abstract

【課題】
木材にガラス成分を含浸させ、防腐性および硬度を向上し、防蟻作用を持たせ、表面を疎水性にし、更に光沢を持たせることができる木材改質剤を提供する
【解決方法】
トロポロン類を含有した水溶液とシラノール化合物を含有したコロイダルシリカ水溶液を混合した水溶液をpH5乃至pH8に中和し、アルコール溶液で希釈してなる木材改質剤を木材の表面に塗布し、または浸漬法により含浸し、乾燥して、所定温度の下で硬化処理を施したガラス含浸木材。

Description

本発明は、木材の改質剤およびその製造方法並びにその木材改質剤によるガラス含浸木材に関し、更に詳しくは木材の防腐性および機械的強度を向上させるため、コロイダルシリカおよび天然物質由来のトロポロン類等から製造され、比較的低温で硬化する熱硬化性の木材改質剤およびその製造方法並びにその木材改質剤による含浸木材に関するものである。
木材は、導管(仮導管)、細胞壁のセルロース、ヘミセルロースおよびリグニン等の多孔質組織からなる高度有機物であるため、表面処理を施さずに屋外で使用した場合、腐朽菌による作用とリグニンの紫外線による酸化重合・溶脱作用によって、通常1ヶ月程度で白化(灰色化)してしまう。そこで、一般に屋外で使用する木材には、その耐候性を向上させるために顔料を木材に含浸させる含浸性塗料又は木材表面に塗膜を形成する塗膜性塗料で表面処理を施す。
しかし、含浸型塗料の場合、木材表面は空気に触れたままであるため風化作用により、顔料が飛び白色化が起こる。またウレタン塗料やアクリル塗料に代表される塗膜型塗料の場合、木材自身の膨張や割れ等により、その塗膜に割れが生じて剥離してしまう。白化した木材は耐水性に劣るため雨水に溶けた埃、タール類などが木材の木目部分に入り込み、灰色化が起きる。
更に、木材が灰色化した場合、含浸性塗料でも塗膜性塗料でも灰色部に染みこんで黒くなり著しくその美観を損なうだけでなく、当初の外観を取り戻すことは非常に困難である。そこで、ペンキ等のエナメル系塗料を塗布する方法があるが、木目を消してしまうので木材独自の味わいを生かすことができない。また、このようなエナメル系塗料も塗膜塗料と同じく剥がれやすいという問題がある。
この他の木材の改質方法としては、木材の表層部にプラスチックを含浸させるウッド・プラスチック・コンビネーション(WPC)、木材の水酸基をエステル重合させたアセチル化木材や、マレイン酸−グリセリン処理などが新しい環境性防腐処理として挙げられるが、加圧注入処理が必要なため、専用工場でなければ生産できない。 また樹脂系の防腐処理は通常オリゴマーを使用するが、減圧・加圧注入方法を適用すれば木材の仮導管内に防腐剤を充填することはできるが、分子が大きいため細胞壁内には浸透させることができない。従って、細胞壁を侵す軟腐菌やカビ菌の繁殖を抑制することはできない。
また、木材のみならず同じく多孔質性の建材であるコンクリート、モルタル、煉瓦、人工石も紫外線には強いが雨水等の汚れにより黒ずむという問題が知られている。
屋内においても、建材に使用されたホルムアルデヒト等の揮発性有機化合物(VOC)が空気中へ拡散して引き起こされるシックハウス症候群等が問題視されており、VOCを削減した塗料の開発が進んでいる。しかし、低VOCの水性塗料は透明性のあるものが少なく、かつその分子構造が大きいため基材の表面で塗膜化するだけで、基材の内部に含浸しにくい。従って、難燃性の付与や基材の改質などには不向きである。
これらの問題に鑑み、木材等の多孔質建材の表面にガラス膜を形成してその表面を保護する方法があり、例えば特許文献1記載のコロイダルシリカによるコンクリート改質剤や特許文献2記載の金属アルコキシドから加水分解、脱水重合を経てガラス膜を得る方法が知られている。
しかし、特許文献1記載のコロイダルシリカによるものはアルカリ性が強い場合が多く、木材のセルロース崩壊を起こす可能性があり、木材への使用には適さない。また、特許文献2記載の金属アルコキシドによるものは、その金属アルコキシド自体が非常に高価であり、その用途に制限がある。
特開平6−256073号公報 特開平6−199528号公報
そこで、本発明の解決しようとする課題は、木材にポリシロキサン結合からなるガラス成分を含浸させ、難燃性および硬度を向上し、防腐、防蟻作用を持たせ、表面を疎水性にし、更に光沢を持たせることができ、比較的低温で硬化する木材改質剤、およびその製造方法並びにその木材改質剤を用いて処理されたガラス含浸木材を提供することにある。
本発明請求項1記載の木材改質剤は、トロポロン類を含有した水溶液とシラノール化合物を含有したコロイダルシリカ水溶液を混合した水溶液をpH5乃至pH8に中和し、アルコール溶液で希釈してなることを要旨とするものである。
本発明請求項2記載の木材改質剤は、前記アルコール溶液として、ポリエチレングリコールとシラノール化合物を含有したコロイダルシリカ水溶液を混合したアルコール溶液をpH5乃至pH8に中和したアルコール溶液を用いるこを要旨とするものである。
本発明請求項3記載のガラス含浸木材は、前記請求項1または請求項2記載の木材改質剤が木材の表面に塗布され、または浸漬法により含浸され、乾燥され、所定温度の下で硬化処理が施されてなることを要旨とするものである。
本発明請求項4記載の木材改質剤の製造方法は、トロポロン類を含有した水溶液とシラノール化合物を含有したコロイダルシリカ水溶液を混合してトロポロン−コロイダルシリカ水溶液を製作し、このトロポロン−コロイダルシリカ水溶液をpH5乃至pH8に中和し、アルコール溶液で希釈することを要旨とするものである。
請求項1記載の木材改質剤によれば、トロポロン類を含有した水溶液とコロイダルシリカ水溶液を中和し、アルコール溶液で希釈したものとなっている。したがってこのシラノール化合物含有水溶液を木材に含浸させ、シラノール化合物が重合することにより木材の基質がガラス化して、この木材の硬度、耐水性及び難燃性を向上し、防腐、防蟻効果を付与し、木材の表面に光沢を持たせて、木材の質感を損なわないで改質することができる。また、間伐材等の木材でも、美しく高級感のある木材に仕上げることができる。また、本木材改質剤は、そのpHが中性に近く調整されているので、木材のセルロースへの浸食等の問題が生じない。
請求項2記載の木材改質剤によれば、前記トロポロン類を含有した水溶液とコロイダルシリカ水溶液を希釈するアルコール溶液に、木材の割れ止めや紫外線対策の目的のために用いられるポリエチレングリコールからなるアルコール溶液を用いている。従って、上記請求項1記載の木材改質剤による性質に加えて、前記割れ止めや紫外線保護の性質を木材に付与することができる。また、一般に、ポリエチレングリコールを木材に塗布すると、カビがつきやすくなるという問題が知られているが、本木材改質剤はシラノール化合物を含有しており、これが木材表面及び木材内部で脱水重合反応してガラス化するので、カビが付くのを防ぐことができる。
請求項3記載のガラス含浸木材は、木材に浸み込んだシロキサン結合含有水溶液が重合しガラス化しているので、非常に優れた硬度、耐水性及び難燃性を示し、防腐、防蟻効果を備えている。また外観上も、その表面に光沢があり、木材本来の質感を損なわない。また、木材にシロキサン結合からなるガラス成分を含浸させることができるので、細胞壁を侵す子のう菌に代表される軟腐菌やカビ菌に対する高い防腐効果も備えている。更に、間伐材等の木材でも、美しく高級感のある木材にとなる。
請求項4記載の木材改質剤の製造方法によれば、天然物質由来のトロポロン類および比較的環境に対して害が少なく安価な汎用の珪酸ソーダからなるコロイダルシリカ水溶液等を原料としており、建材等の大型の木材に使用するのに経済的であるのみならず、周辺環境に対する害が少ない。また、木材に浸み込み易いため、予め木材に浸透孔を設けたり、減圧・加圧注入のための特別な装置等を必要としない。更に、溶媒としてアルコールを用いているので、木材に塗布した後、短時間で乾燥させることができる。
以下に本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。
先ず、コロイダルシリカ水溶液100mlとトロポロン水溶液900mlを混合する。このトロポロン水溶液は下記の式1で示されるトロポロン化合物を含有するものであり、例えばC1012で表されるヒノキチオール、β、γ−ツヤプリシン等が混在しているものであり、本実施例では乳白色でトロポロンが水成体として約10−14%含まれる青森ヒバ抽出水溶液を用いた。
Figure 2006347016
(式中、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基を示す。)
コロイダルシリカ水溶液として、ここでは、MO・ySiO(MはNa,K,Li,Csのいずれかで、yは0.5〜5)で表されるケイ酸アルカリ水溶液のMをイオン交換法でアンモニウムイオンと置換した浸透性無機質反応型改良剤(株式会社日興製、商品名:クリスタルシーラーまたはアサヒペン株式会社製、商品名:アサヒペンコンクリート改質剤)を用いた。本実施例で用いたコロイダルシリカ水溶液は強アルカリ性でpH10.5〜11.5を示し、このコロイダルシリカの粒径は約10nm乃至40nm程度であった。
この無色透明のコロイダルシリカ水溶液を乳白色の前記トロポロン水溶液と混合すると、黄色の濁った水溶液となり、pH10.5を示した。この水溶液中では、トロポロンとコロイダルシリカが下記の式2で表されるようなトロポロン−シリカ錯体を形成しているものと考えられる。
Figure 2006347016
(式中、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、xは0から2の整数、n+mは0から4の整数を示す。)
このような強アルカリ性の水溶液は、木材のセルロース崩壊を起こす危険性が高く、木材への塗布には適さない。しかし、前記ケイ酸アルカリ水溶液のアルカリが中和されると、通常この水溶液中のシラノールSi−OHは重合が進み、ポリシロキサン結合からなるゲルを形成してしまい、やはり木材に塗布することはできない。ところが、前記このトロポロンとコロイダルシリカの錯体は安定でシロキサン結合の重合が進みにくいため、水溶液の粘度を比較的低く抑えたまま酸を加えて中和することができる。
この中和は、一般的な酸による中和であれば良く、特に炭酸ガス、クエン酸、酢酸及び/又はホウ酸、若しくはこれらを溶解したトロポロン水溶液等を適用することができる。本実施例では前記トロポロン−コロイダルシリカ水溶液100mlに対してクエン酸180gを溶解してpH6.5程度まで中和した。
この中和されたトロポロン−コロイダルシリカ水溶液100mlに対しイソプロピルアルコール50mlを加えて希釈しすることで、本発明の請求項1に係る木材改質剤を得ることができる。このようにしてえら得た木材改質剤は、ゲル化の速度が非常に遅く、生成から20日を経過しても著しい粘度の上昇はみられなかった。この希釈に用いるアルコールは上記イソプロピルアルコールのみならず、メタノール若しくはこれらの混合アルコール溶液を用いることができる。
この木材改質剤にヒノキ材(含水率12%)を約24時間浸漬した後、木材人工乾燥機内で80℃において60分間乾燥処理を施した(実施例1)。
一般にトロポロン類のα−ツヤプリシンは34℃、β−ツヤプリシンは52℃、γ−ツヤプリシンは82℃で分解されてしまうことが知られていることから、前記トロポロン−コロイダルシリカ水溶液においても、乾燥加熱処理時にトロポロンが分解されて、錯体が崩壊するものと考えられる。これにより脱水反応によるシロキサン結合の重合が進んでゲルが生成されて硬化し、木材をガラス化することができ、これにより、耐水性で親水性のガラス化木材を得ることができる。
また、本木材改質剤を、木材に塗布したところ、非常に浸透性が良く、アルコール溶媒を使用していため乾燥が早く、80℃〜120℃に加熱することで木材の表面に光沢のある疎水性のガラス膜を備えたガラス膜が形成された、ガラス含浸木材を製造することができた。
未処理のヒノキ材(含水率12%)の硬度は、鉛筆硬度でHであったものが、上記木材改質剤に24時間浸漬し、木材人工乾燥機内で80℃で60分間加熱乾燥した実施例1のガラス化木材は、その硬度が3Hまで向上した。スギ材では、未処理時に鉛筆硬度Bであったものが、実施例1と同様の処理を施すことで、その硬度がH〜2Hに上昇した。
実施例2として、前記本発明第1の実施形態により得られた木材改質剤100mlに対して、アクリル溶剤(株式会社関西ペイント製、商品名:カンペアクリル撥水塗料)15mlを添加し、 前記未処理のヒノキ材(含水率12%)に塗装した。温度80℃〜120℃で24時間硬化処理を施したところ、光沢をのある疎水性の塗膜が木材表面に形成された。硬化処理後の木材の硬度は5Hまで上昇し、非常に硬い木材を得ることができた。
比較例1として、このアクリル溶剤(株式会社関西ペイント製、商品名:カンペアクリル撥水塗料)のみを 前記未処理のヒノキ材(含水率12%)に塗布し、平均温度20℃で24時間硬化処理を施したところ、撥水性の塗膜を得ることはできたが、その硬度はHのままで、未処理の木材と同程度であった。
また、実施例3として、前記本発明第1の実施形態により得られた木材改質剤100mlに対して、シリコン硬化剤(信越化学株式会社製、商品名:シリコン硬化剤ke17)を5〜8ml混合し、前記ヒノキ材に塗布した。これにより、加熱処理を施すことなく、常温で24〜40時間でに硬化させることができ、塗膜性および疎水性を有するガラス化木材を得ることができた。
また、実施例4として、前記本発明第1の実施形態により得られた木材改質剤100mlにシリコン硬化剤を添加したものにアクリル溶剤(株式会社関西ペイント製、商品名:アサヒペン株式会社製、商品名:アクリル撥水塗料)10〜30mlを混合し、前記ヒノキ材に塗布した。これにより、疎水性の塗膜を木材表面に形成させることができた。
実施例5として、前記トロポロン−コロイダルシリカ水溶液を中和するための無水クエン酸の代わりに、木材に難燃性および耐延焼性を付与することができるホウ酸を用いた。前記トロポロン水溶液100mlにホウ酸5gを溶解したトロポロン−ホウ酸水溶液105mlを前記トロポロン−コロイダルシリカ水溶液100mlと混同して中和し、アルコール溶液で希釈して、前記ヒノキ材に塗布した。これを80℃〜100℃で硬化させたところ、その硬度は4Hであった。
下記の表1に前記実施例1〜5と比較例1の木材が、硬化処理後、屋外で7日間経過した状態を比較したものを示す。
Figure 2006347016
最高気温28℃、最低気温15℃
次ぎに本発明の第2の実施の形態について詳細に説明する。
先ず、前記コロイダルシリカ水溶液20mlと前記トロポロン水溶液80mlを混合する。このトロポロン−コロイダルシリカ水溶液100mlに対してクエン酸180gを溶解してpH6.5程度まで中和した。
この中和されたトロポロン−コロイダルシリカ水溶液100mlを希釈するためのアルコール溶液として、ポリエチレングリコール(丸石製薬株式会社製、商品名:マクロゴール600)70mlと前記コロイダルシリカ水溶液30mlとイソプロピルアルコール50mlを混合したコロイダルシリカ−ポリエチレングリコール溶液を用いた。従来からポリエチレングリコールは、割れ止めや紫外線対策のために木材に塗布されることがあり、本木材改質剤の溶媒とすることで、木材にガラス質と樹脂の両方の特性を持たせることができる。
この本発明の第2の実施形態に係る木材改質剤を、木材に塗布し、80℃〜120℃で乾燥加熱処理を施せば、部分的にポリエチレングリコールと結合したガラス成分が木材内で生成され、ガラス−プラスチックの複合体が含浸した木材を得ることができる。
実施例6(サンプル1、サンプル2)として、本発明の第2の実施形態に係る木材改質剤に、スギ材(含水率12%、鉛筆硬度B)を3日間浸漬し、人工木材乾燥機内にて80℃において6時間乾燥加熱処理を施した。処理後のスギ材は硬度3Hを示し、光沢のある表面を得ることができた。また、比較例2(サンプル3、サンプル4)として、ポリエチレングリコールのみを木材に塗布した。
これらの実施例6および比較例2の木材(サンプル1〜4)を、9日間排水路内に置き、カビの発生状況等を比較した。その結果を下記表2に示す。
Figure 2006347016
比較例2のポリエチレングリコールのみを塗布した場合はカビ菌の発生が認められたが、実施例6の本発明の第2の実施例に係る木材改質剤を塗布したものにはカビの発生は認められなかった。
また、本発明の第2の実施形態に係る木材改質剤を、灰色化した木材の洗浄に適用することもできる。木材を屋外で長期間使用した場合、リグニンの酸化等による白化が起こり耐水性を失い、雨水に溶けた埃、タール類などが木材の木目部分に入り込み、褐色腐朽菌やカビ菌等の表面汚染菌が繁殖して灰色化が起きる。一般にこのような木材を元の色調に戻すことは非常に困難である。
しかし、本発明の第2の実施形態に係る木材改質剤をこのような灰色化した木材の洗浄に適用した場合、木材改質剤を塗布後スポンジ等を用いて擦る、又は高圧で噴射して吹き付けるだけで容易に灰色化した部分を洗浄することができる。そして洗浄後は、自然乾燥後、80℃〜120℃の温風で加熱乾燥させれば、木材に浸み込んだ本木材改質剤がガラス化し、光沢のある美しい表面状態となる。
このように、通常アルカリ性が強く木材への塗布に適さないガラス成分を生成するシラノール化合物を含有したコロイダルシリカ水溶液を中性に近いアルコール溶液とすることで、木材にガラス成分を含浸させることができる。また、本木材改質剤によれば、塗布後、高温での硬化処理を要しないので、木材の改質に好適に用いることができる。また、木材への含浸性が高く、減圧・加圧注入の様な特別な装置を必要としないので非常に汎用性が高い。また、本木材改質剤によれば、木材の硬度、耐水性及び難燃性を向上し、防腐、防蟻効果を付与することができるだけでなく、細胞壁を侵す子のう菌に代表される軟腐菌やカビ菌に対する高い防腐効果も備えることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、上記第1および第2の実施形態では、トロポロン水溶液として、市販の青森ヒバ水溶液を用いたが、その他の木材例えば杉等の廃材を用い、これを水に浸漬して得た木材抽出液を用いても良いし、それ以外にも、茶成分等から生成したトロポロン化合物や、その他の天然品もしくは合成品より生成した水溶液を用いても良い。
また、本発明に係る木材改質剤の使用に際し、本木材改質剤を対象物への塗布に適した所定の粘度に調整するために、イソプロピルアルコールまたはメタノール若しくはこれらの混合アルコール溶液で適宜希釈することができる。
また、前記木材改質剤を塗布して硬化処理を施したガラス含浸木材の表面に、汎用の紫外線保護用水性ウレタン塗装を施せば、親水性の表面を有する本発明に係るガラス含浸木材との密着性がよく、有効な紫外線対策を施すことが可能である。
更に、本木材改質剤は、木材のみならずコンクリートやモルタル等の多孔質建材にも好適に使用することができる。
本発明の木材改質剤は、木材の強度を向上し、難燃性を付与し、その表面を疎水性にして光沢を持たせることができ、家具や工芸品から間伐材等を利用した建材まで幅広い用途および大きさの木材の改質に利用できる。

Claims (4)

  1. トロポロン類を含有した水溶液とシラノール化合物を含有したコロイダルシリカ水溶液を混合した水溶液をpH5乃至pH8に中和し、アルコール溶液で希釈してなることを特徴とする木材改質剤。
  2. 前記アルコール溶液として、ポリエチレングリコールとシラノール化合物を含有したコロイダルシリカ水溶液を含むアルコール溶液をpH5乃至pH8に中和したアルコール溶液を用いることを特徴とする請求項1記載の木材改質剤。
  3. 前記請求項1または請求項2記載の木材改質剤が木材の表面に塗布され、または浸漬法により含浸され、乾燥され、所定温度の下で硬化処理が施されてなることを特徴とするガラス含浸木材。
  4. トロポロン類を含有した水溶液とシラノール化合物を含有したコロイダルシリカ水溶液を混合してトロポロン−コロイダルシリカ水溶液を製作し、このトロポロン−コロイダルシリカ水溶液をpH5乃至pH8に中和し、アルコール溶液で希釈することを特徴とする木材改質剤の製造方法。
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