JP2006345696A - 回転電機の軸封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転電機におけるシールリングの軸受面の破損を防止し、軸封装置の信頼性の向上を図ることを目的とする。
【解決手段】回転電機の回転軸1との間に油膜を形成するシールリング2の機外側軸受部及び機内側軸受部は、軸受メタルの代わりに断熱効果の高いフッ素樹脂2e、2fにより構成されることにより、シールリング2に流入する熱量が極めて少なくなり、シールリング2の熱変形を小さくおさえることができる。この結果、シールリング2の長周期揺動が抑制され、軸受面の破損防止が可能となり、回転軸1の軸封装置の信頼性を向上させることができる。
【選択図】図2
【解決手段】回転電機の回転軸1との間に油膜を形成するシールリング2の機外側軸受部及び機内側軸受部は、軸受メタルの代わりに断熱効果の高いフッ素樹脂2e、2fにより構成されることにより、シールリング2に流入する熱量が極めて少なくなり、シールリング2の熱変形を小さくおさえることができる。この結果、シールリング2の長周期揺動が抑制され、軸受面の破損防止が可能となり、回転軸1の軸封装置の信頼性を向上させることができる。
【選択図】図2
Description
この発明は、回転電機の軸封装置に関するもので、より詳細にいえば、回転体が固定部を貫通する部分で機内冷却用の水素ガス漏洩を防止するシールリング部の構成に関するものである。
図4は従来の回転電機の構造を示す断面図であり、図5は図4の一部拡大図である。
図において、回転軸11の径方向の周りには、この回転軸11との間に回転電機内部の水素ガスの漏洩を防止するために油膜を形成するシールリング12が設けられており、このシールリング12の軸方向の周囲にはグランドシール13が設けられている。
そして、上記シールリング12には、2つの環状の給油溝12a,12bが設けられており、その一方の給油溝12aは、密封機能を果たす油を給油するための機外側給油溝であり、もう一方の給油溝12bは機内側給油溝である。
また、上記シールリング12の内周面は、機外側軸受面12cと機内側軸受面12dとからなっている。なお、これら軸受面の材質は軸受メタルから成っている。そして、一方の機外側密封部では密封油14が用いられると共に、他方の機内側密封部では密封油15が用いられ、機内側に流れる密封油15は下部に配設した排油溝16から排出される。
なお、図中の矢印はそれぞれ油の流れの方向を示している。
図において、回転軸11の径方向の周りには、この回転軸11との間に回転電機内部の水素ガスの漏洩を防止するために油膜を形成するシールリング12が設けられており、このシールリング12の軸方向の周囲にはグランドシール13が設けられている。
そして、上記シールリング12には、2つの環状の給油溝12a,12bが設けられており、その一方の給油溝12aは、密封機能を果たす油を給油するための機外側給油溝であり、もう一方の給油溝12bは機内側給油溝である。
また、上記シールリング12の内周面は、機外側軸受面12cと機内側軸受面12dとからなっている。なお、これら軸受面の材質は軸受メタルから成っている。そして、一方の機外側密封部では密封油14が用いられると共に、他方の機内側密封部では密封油15が用いられ、機内側に流れる密封油15は下部に配設した排油溝16から排出される。
なお、図中の矢印はそれぞれ油の流れの方向を示している。
次にこの回転電機の軸封装置の動作について説明する。密封油14,15は2つの環状の機外側給油溝12a及び機内側給油溝12bにそれぞれ供給され、シールリング12と回転軸11の隙間を通り、回転軸11に沿って流れる。密封油圧が機内ガス圧より高圧である限り、機内側給油溝12bを流れる密封油はシールリング12から機内側に向かって流れ、水素の漏洩を防ぐ。また、密封油が機外空気圧より高圧である限り、機外側給油溝12aを流れる密封油はシールリング12から機外側に向かって流れ、空気の機内への侵入を防ぐ。
回転電機の運転中、回転軸11の中心とシールリング12の中心が一致せず、偏心する場合は、密封油14,15の温度は円周方向に不均一な分布となり、密封油14,15からシールリング12への熱伝達によりシールリング12の温度分布も不均一となる。この温度分布の不均一によりシールリング12は楕円形状に変形する。この楕円形状の変形によりシールリング12の油の最高温度点が周期的に周方向に移動する。これに伴い、シールリング12の変形状態も比較的長い周期で変化し、長周期揺動が発生する。このシールリング12の長周期揺動は、シールリング12の軸受面の破損をもたらし、回転電機の軸封装置としての機能を損なうことがある。
更に、回転電機の運転開始時、シールリング12は回転軸11の上に乗っている状態にある。そのため、運転開始後油膜が十分発達した状態ではシールリング12は浮き上がるが、十分油膜が発達する前には回転軸11とシールリング12の軸受面との接触によって、シールリング12の軸受面の破損をもたらし、回転電機の軸封装置としての機能を損なうことがある(特許文献1参照)。
従来の回転電機の軸封装置は以上のように構成されているので、シールリングの直径が大きい場合、あるいはシールリングの偏心率が大きくシールリングの円周方向の温度分布の不均一が大きい場合は、シールリングは楕円形状に変形する。この楕円形状の変形によりシールリングの油の最高温度点が周期的に周方向に移動し、これに伴い、シールリングの変形状態も比較的長い周期で変化し、長周期揺動を発生する。このシールリングの長周期揺動は、シールリング軸受面の破損をもたらし、回転電機の軸封装置としての機能を損なうことがある。
更に、回転電機の運転開始時、シールリングは回転軸の上に乗っている状態にある。そのため、運転開始後油膜が十分発達した状態ではシールリングは浮き上がるが、十分油膜が発達する前には回転軸と軸受面との接触によってシールリング軸受面の破損をもたらし、回転電機の軸封装置としての機能を損なうことがある。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、シールリングの軸受面の破損を防止し、軸封装置の信頼性の向上を図ることを目的とする。
この発明の請求項1に係る回転電機の軸封装置は、シールリングの軸受部をフッ素樹脂により構成したものである。
又この発明の請求項2に係る回転電機の軸封装置は、シールリングの軸受部をポリアミド樹脂により構成したものである。
この発明の請求項1に係る回転電機の軸封装置によれば、シールリングの軸受部をフッ素樹脂により構成したので、シールリングに流入する熱量が極めて少なくなり、シールリングの熱変形を小さくおさえることができる。この結果、シールリングの長周期揺動が抑制され、軸受面の破損防止が可能となり、回転軸の軸封装置の信頼性が向上する。
この発明の請求項2に係る回転電機の軸封装置によれば、シールリングの軸受部をポリアミド樹脂により構成したので、摺動時の軸受面の摩擦が軽減され、軸受面の破損防止が可能となり、回転軸の軸封装置の信頼性が向上する。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1はこの発明の前提技術となる回転電機のシールリング部を示す断面図であり、図において、回転軸1の径方向の周りには、この回転軸1との間に回転電機内部の水素ガスの漏洩を防止するために油膜を形成するシールリング2が設けられており、このシールリング2の軸方向の周囲にはグランドシール3が設けられている。そして上記シールリング2には2つの環状の給油溝2a,2bが設けられており、一方の給油溝2aは、密封機能を果たす油を給油する機外側給油溝であり、もう一方の給油溝2bは機内側給油溝である。
ここで、上記シールリング2の内周面は、機外側軸受面2cと機内側軸受面2dとからなっている。
なお、機外側密封部では密封油4が用いられると共に、機内側密封部では密封油5が用いられ、そしてこの密封油5は、上記従来装置と同様に、下部の排油溝(図示省略)から排出されるようになされている。
図中の矢印はそれぞれ油の流れ方向を示している。
以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1はこの発明の前提技術となる回転電機のシールリング部を示す断面図であり、図において、回転軸1の径方向の周りには、この回転軸1との間に回転電機内部の水素ガスの漏洩を防止するために油膜を形成するシールリング2が設けられており、このシールリング2の軸方向の周囲にはグランドシール3が設けられている。そして上記シールリング2には2つの環状の給油溝2a,2bが設けられており、一方の給油溝2aは、密封機能を果たす油を給油する機外側給油溝であり、もう一方の給油溝2bは機内側給油溝である。
ここで、上記シールリング2の内周面は、機外側軸受面2cと機内側軸受面2dとからなっている。
なお、機外側密封部では密封油4が用いられると共に、機内側密封部では密封油5が用いられ、そしてこの密封油5は、上記従来装置と同様に、下部の排油溝(図示省略)から排出されるようになされている。
図中の矢印はそれぞれ油の流れ方向を示している。
図2はこの発明の実施の形態1による回転電機のシールリング部を示す断面図であり、図において、機外側軸受部及び機内側軸受部には断熱材としてフッ素樹脂2e,2fが用いられている。
次に動作について説明する。この発明の実施の形態1によるシールリング2の機外側軸受部及び機内側軸受部は、従来の軸受メタルの代わりに断熱効果の高いフッ素樹脂から構成されている。そしてフッ素樹脂の熱伝導率は軸受メタルの約1/50〜1/200倍であり、従って、従来の方式に比べて、シールリング2に流入する熱量が極めて少なくなり、シールリング2の熱変形を小さくおさえることができる。この結果、シールリング2の長周期揺動が抑制され、軸受面の破損防止が可能となり、回転軸1の軸封装置の信頼性が向上する。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2を図に基づいて説明する。図3はこの発明の実施の形態2による回転電機のシールリング部を示す断面図であり、図において、機外側軸受部及び機内側軸受部は摩擦係数の小さい材質としてポリアミド樹脂2g,2hから構成されている。
次に、この発明の実施の形態2を図に基づいて説明する。図3はこの発明の実施の形態2による回転電機のシールリング部を示す断面図であり、図において、機外側軸受部及び機内側軸受部は摩擦係数の小さい材質としてポリアミド樹脂2g,2hから構成されている。
次に動作について説明する。この発明の実施の形態2におけるシールリング2の機外側軸受部及び機内側軸受部は、その内周面に従来の軸受メタルの代わりに摩擦係数の小さいポリアミド樹脂により構成されており、ポリアミド樹脂の摩擦係数は軸受メタルの摩擦係数の約1/2倍である。従って摺動時の軸受面の摩擦が軽減され、軸受面の破損防止が可能となり、回転軸1の軸封装置の信頼性が向上する。
1 回転軸、2 シールリング、2e,2f フッ素樹脂軸受部、
2g,2h ポリアミド樹脂軸受部。
2g,2h ポリアミド樹脂軸受部。
Claims (2)
- 回転軸との間に油膜を形成するシールリングを設けた回転電機の軸封装置において、上記シールリングの軸受部をフッ素樹脂により構成したことを特徴とする回転電機の軸封装置。
- 回転軸との間に油膜を形成するシールリングを設けた回転電機の軸封装置において、上記シールリングの軸受部をポリアミド樹脂により構成したことを特徴とする回転電機の軸封装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006243604A JP2006345696A (ja) | 2006-09-08 | 2006-09-08 | 回転電機の軸封装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006243604A JP2006345696A (ja) | 2006-09-08 | 2006-09-08 | 回転電機の軸封装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13837897A Division JPH10325304A (ja) | 1997-05-28 | 1997-05-28 | 回転電機の軸封装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006345696A true JP2006345696A (ja) | 2006-12-21 |
Family
ID=37642197
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006243604A Pending JP2006345696A (ja) | 2006-09-08 | 2006-09-08 | 回転電機の軸封装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006345696A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2894770A4 (en) * | 2013-11-29 | 2016-06-29 | Mitsubishi Electric Corp | ROTARY MACHINE EQUIPPED WITH A TREE SEALING DEVICE |
CN109027248A (zh) * | 2018-10-10 | 2018-12-18 | 四川省机械研究设计院 | 一种抑制密封油窜流流量的氢冷发电机双流环密封瓦 |
-
2006
- 2006-09-08 JP JP2006243604A patent/JP2006345696A/ja active Pending
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CN109027248A (zh) * | 2018-10-10 | 2018-12-18 | 四川省机械研究设计院 | 一种抑制密封油窜流流量的氢冷发电机双流环密封瓦 |
CN109027248B (zh) * | 2018-10-10 | 2023-10-20 | 四川省机械研究设计院(集团)有限公司 | 一种抑制密封油窜流流量的氢冷发电机双流环密封瓦 |
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