JP2006345565A - 弾性表面波素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 タンタル酸リチウム基板において、従来よりも適切なカット面及び弾性表面波伝搬方向を見出し、これによって高性能の弾性表面波素子を提供する。
【解決手段】 タンタル酸リチウムからなる圧電基板については、該圧電基板のカット面及び弾性表面波伝搬方向を、オイラー角表示で(φ,θ,ψ)及びこれと実質的に等価な範囲とするとき、0°≦φ≦87°,80°≦θ≦120°,0°≦ψ≦44°に設定する。
【選択図】図1
【解決手段】 タンタル酸リチウムからなる圧電基板については、該圧電基板のカット面及び弾性表面波伝搬方向を、オイラー角表示で(φ,θ,ψ)及びこれと実質的に等価な範囲とするとき、0°≦φ≦87°,80°≦θ≦120°,0°≦ψ≦44°に設定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ニオブ酸リチウム或いはタンタル酸リチウムを圧電材料とする弾性表面波素子の技術分野に関するものである。
携帯用電話機等の通信機器においては、共振器フィルター、信号処理用遅延線等の回路素子として、弾性表面波素子が広く応用されている。弾性表面波素子は、例えば圧電性を有する基板の表面に簾状の電極や格子状の反射器を形成し、電気信号と弾性表面波の相互の変換を行なうものである。
一般に、弾性表面波素子の圧電基板に於いては、電気機械結合係数が大きいこと、伝搬損失が小さいこと等が要求される。
ところで、近年の通信機器の高周波化に伴って、ギガヘルツ帯で使用可能な弾性表面波素子へのニーズが高まっている。弾性表面波素子の中心周波数f0は、弾性表面波の伝搬速度Vと電極指周期L(=波長λ)との関係で、次式によって表わされる。
f0=V/L
f0=V/L
従って、弾性表面波素子の高周波化に対応するには、より高い伝搬速度(位相速度)Vが得られる圧電基板を開発する必要がある。これには、ダイヤモンドの様な硬質の基板材料を用いる方法と、所謂漏洩弾性表面波を利用する方法とがある。
特に後者の漏洩弾性表面波は、弾性体の深さ方向にエネルギーを放射しながら表面を伝搬する弾性波であって、使用する弾性体の表面のカット面や弾性表面波伝搬方向を適切に選択することによって、伝搬損失を小さくし、更に、レイリー(Rayleigh)波よりも高い伝搬速度を実現することが可能である。
この種の漏洩弾性表面波を用いた弾性表面波素子としては、水晶LSTカット、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)の41°Y−Xカット、64°Y−Xカット、及びタンタル酸リチウム(LiTaO3)の36°Y−Xカットが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
又、四硼酸リチウム(Li2B4O7)基板においては、速い横波の位相速度を超える漏洩弾性表面波が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。この漏洩弾性表面波の位相速度は、縦波の位相速度に近いので縦波型リーキー波と呼ばれている。
更に、任意のカット面を有するニオブ酸リチウム基板を伝搬する漏洩弾性表面波については既に報告されている(例えば、非特許文献3参照)。
近年、ここにきて従来にあっては、タンタル酸リチウム基板およびニオブ酸リチウム基板で得られる位相速度が精々約4400m/sであったものが、約7000m/sを越える位相速度が得られるような従来よりも良好なカット面及び弾性表面波伝搬方向を本願発明者等は見出し、従来よりも高性能な弾性表面波素子を提案している(例えば、非特許文献4参照)。
本発明者等が提案する漏洩弾性表面波は、ニオブ酸リチウム基板及びタンタル酸リチウム基板における漏洩弾性表面波の伝搬特性を、カット面及び弾性表面波伝搬方向を種々に変えることによって理論的に研究した結果によるもので、2つのタイプの漏洩弾性表面波、つまり遅い横波と速い横波との間の位相速度を持つ第1漏洩表面波(First Leaky Wave)と、速い横波を越える位相速度を持つ第2漏洩表面波(Second Leaky Wave)を見出したものである。
ここで、本願発明を説明するに先立って、すでに発明者等が提案しているこれら漏洩表面波のうち本願発明との特性面での比較が可能な第2漏洩表面波について簡単に説明すると、まず第1には、タンタル酸リチウムからなる圧電基板上に電極を形成した弾性表面波素子であって、該圧電基板のカット面及び弾性表面波伝搬方向を、右手系のオイラー角表示で(φ,θ,ψ)及びこれと実質的に等価な範囲とするとき、φを90°、θを90°、ψを0°〜180°の範囲としたものである。
そして、第2には、ニオブ酸リチウムからなる圧電基板上に電極を形成したものにあっては、該圧電基板のカット面及び弾性表面波伝搬方向を、オイラー角表示で(φ,θ,ψ)及びこれと実質的に等価な範囲とするとき、φを90°、θを90°、ψを0°〜180°の範囲に設定したものである。
但し、ここで使用するカット面及び弾性表面波伝搬方向を特定するためのオイラー角(φ,θ,ψ)については、図9で示す如く結晶軸をX、Y、Zとするとき、Z軸を中心としてX軸をY軸側へ角度φだけ回転させて、これをA1軸とし、次にA1軸を中心としてZ軸を反時計回りに角度θだけ回転させ、これをA2軸とする。このA2軸を法線としてA1軸を含む面方位でカットし、基板とする。そして、該面方位にカットした基板において、A2軸を中心としてA1軸を反時計回りに角度ψだけ回転させた軸をA3軸とし、このA3軸を弾性表面波伝搬方向とする。斯る関係をカット面及び弾性表面波伝搬方向をオイラー角(φ,θ,ψ)と表示している。
図10及び図11は、前記第1のタンタル酸リチウム基板の(90°,90°,ψ)カットにおいて、表面が電気的開放及び電気的短絡の各場合における第2漏洩表面波の伝搬特性を角度ψの関数として表わしたもので、図10に示す様に、第2漏洩表面波の位相速度は、表面が開放、短絡の何れの場合にも約6000m/sと、レイリー波の約2倍の高い位相速度を有し、縦波(Longitudinal)の位相速度に非常に近くなっている。
更に、図11によれば、電気機械結合係数及び1波長当たりの伝搬損失を表わしている。図示の如く、ψが31°にて、電気機械結合係数K2は最大値2.14%となっている。又、表面が電気的開放の場合における伝搬損失は、電気的短絡の場合における伝搬損失よりも非常に小さい。そして、表面が開放及び短絡の両場合において、伝搬損失は、ψが164°にて略零となっている。
また、一方、前記第2のニオブ酸リチウム基板の(90°,90°,ψ)カットにおいて、表面が電気的開放及び電気的短絡の各場合における第2漏洩表面波の伝搬特性を角度ψの関数として表わしたものが図12及び図13である。
これらが示す様に、第2漏洩表面波の位相速度は約7000m/sと、極めて高速であり、レイリー波の位相速度の約2倍となり、又その一方で第2漏洩弾性表面波の位相速度は、電気的開放の場合と電気的短絡の場合で異なる変化を示しており、ψが37°では約500m/sの違いがあり、この結果、大きな機械電気結合係数が得られる。
尚、前述した第2の弾性表面波、及び後述する本願発明においても、弾性表面波素子の特性評価方法としては、従来から知られている一般的な解法(非特許文献5参照。)を採用し、コンピュータシミュレーションによって、位相速度、電気機械結合係数及び伝搬損失を算出した。
そして又、本願発明にあっても、最適なカット面及び弾性表面波伝搬方向については、実際に弾性表面波素子を試作して、その特性を実測したところ、シミュレーション結果と符合する測定値が得られた。これによって、コンピュータシミュレーションの妥当性が裏付けられる。
清水康敬「弾性表面波材料の伝搬物性と利用の現状」電子情報通信学会論文誌A Vol.J76−A,2,pp129−137,1993 佐藤隆裕、阿部秀典「四硼酸リチウム基板を伝搬する縦波型リーキー波」学術振150委員会第39回研究会資料(6.6.23) 清水康敬、村上享司「LiNbO3基板漏洩弾性表面波の特性と新カット」Vol.J69−C,10,pp1309−1318,1986 第15回超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウムp.185(平成6年11月29日) J. J. Campbell, W. R. Jones,"A Method for Estimating Optimal Crystal Cuts and Propagation Directions for Excitation of Piezoelectric Surface Waves", IEEE transaction on Sonics and Ultrasonics, vol.SU−15, No.4, pp209−217,(1968)
清水康敬「弾性表面波材料の伝搬物性と利用の現状」電子情報通信学会論文誌A Vol.J76−A,2,pp129−137,1993 佐藤隆裕、阿部秀典「四硼酸リチウム基板を伝搬する縦波型リーキー波」学術振150委員会第39回研究会資料(6.6.23) 清水康敬、村上享司「LiNbO3基板漏洩弾性表面波の特性と新カット」Vol.J69−C,10,pp1309−1318,1986 第15回超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウムp.185(平成6年11月29日) J. J. Campbell, W. R. Jones,"A Method for Estimating Optimal Crystal Cuts and Propagation Directions for Excitation of Piezoelectric Surface Waves", IEEE transaction on Sonics and Ultrasonics, vol.SU−15, No.4, pp209−217,(1968)
然し乍ら、本発明者等は、これら第2弾性表面波には、更に高い位相速度であって、且つ伝搬損失の少なく、然も大きな電気機械結合係数が得られる最適なカット面及び弾性表面波伝搬方向が存在する可能性があるものと、鋭意研究の結果、これを発明したものである。
本発明の目的は、ニオブ酸リチウム基板及びタンタル酸リチウム基板において、これまでよりもより適切なカット面及び弾性表面波伝搬方向を見出し、これによって高性能の弾性表面波素子を提供することである。
本発明における第1の弾性表面波素子は、ニオブ酸リチウムからなる圧電基板上に電極を形成したものであって、該圧電基板のカット面及び弾性表面波伝搬方向を、右手系のオイラー角表示で(φ,θ,ψ)及びこれと実質的に等価な範囲とするとき、0°≦φ≦86°,73°≦θ≦118°,0°≦ψ≦44°に設定し、更には95°≦φ≦180°,73°≦θ≦118°,0°≦ψ≦44°に設定する。
更に、前記オイラー角表示で0°≦φ≦83°,83°≦θ≦105°,0°≦ψ≦38°に設定し、具体的には、98°≦φ180°,83°≦θ≦105°,0°≦ψ≦38°に設定する。
本発明に係る第2の弾性表面波素子は、タンタル酸リチウムからなる圧電基板上に電極を形成したものであって、該圧電基板のカット面及び弾性表面波伝搬方向を、オイラー角表示で(φ,θ,ψ)及びこれと実質的に等価な範囲とするとき、0°≦φ≦87°,80°≦θ≦120°,0°≦ψ≦44°に設定したことを特徴とする。
より具体的には、前記圧電基板のカット面及び弾性表面波伝搬方向を、91°≦φ≦180°,80°≦θ≦129°,0°≦ψ≦44°に設定する。
更に、前記オイラー角表示で、0°≦φ≦85°,87°≦θ≦114°,0°≦ψ≦36°としたことであり、より具体的には、93°≦φ≦180°,87°≦θ≦114°,0°≦ψ≦36°に設定したことにある。
本発明によれば、ニオブ酸リチウム基板及びタンタル酸リチウム基板においてカット面及び弾性表面波伝搬方向が適切に設定されて、高い位相速度と大きな電気機械結合係数を保持したままで、伝搬損失を十分に低減させることができる。
以下、本発明の一実施形態につき、図面に沿って詳述する。
ニオブ酸リチウム基板における第1漏洩弾性表面波図1は及び図2は、LiNbO3基板(φ,θ,37°)カットにおいて、φが82°及び90°夫々の場合において、θを変化させたときの第2漏洩弾性表面波の伝搬特性である。
図1は、θに対する位相速度及び電気機械結合係数K2を、図2は、θに対する伝搬損失を示している。
これら図によれば、φをパラメータとして90°から82°へと変化させると、伝搬特性は連続的に変化し推移するものの、更にφが82°を下回ると第2漏洩弾性表面波は存在しなくなる。これは、本願発明が利用せんとする第2漏洩弾性表面波とは異なったモードに変化するためであり、コンピュータシミュレーション上では、解が存在しないとして現れる。
従って、図2から、ψを37°とした場合にあっては、φが82°とした場合、θの広い範囲でもっとも伝搬損失を低減させることが可能であり、とりわけθが92°付近にあっては最も伝搬損失が小さくなることが分かる。
即ち、伝搬損失として、0.05dB/λ以下の条件を満たすものとしては、θは、73°以上118°以下とすることが好ましいことが分かる。更に、好適なものとしては、0.02dB/λ以下の条件とする場合としては、θは、83°以上105°以下とすることが好ましいことが分かる。
斯る伝搬特性を考慮して、θを92°、ψを37°として、即ちLiNbO3基板(φ,92°,37°)カットにおいて、φを変化させた場合の伝搬損失特性を示したのが図3である。同図によれば、φを70°から110°まで変化させると、約80°以下と約100°以上においては損失はないものの、約80°以上約100°以下ではφが91°で最大値となるような伝搬損失を示すことが分かる。
従って、同図から伝搬損失として、0.05dB/λ以下の条件を満たすものとしては、φは、86°以下または96°以上とすることが好ましいことが分かる。更に、好適なものとしては、0.02dB/λ以下の条件とする場合としては、φは、83°以下または98°以上とすることが好ましいことが分かる。
以上の特性を考慮して、次にLiNbO3基板(82°,92°,ψ)カットにおいて、ψを変化させた場合の伝搬損失特性を示したのが図4である。同図によれば、伝搬損失はψを30°から60°まで変化させるにつれて、ψが約35°となる近傍から単調に増加することが分かる。
従って、同図によれば、伝搬損失が0.05dB/λ以下となる条件を満たすものとしては、ψは、44°以下とすることが好ましいく、更に、好適な伝搬損失が0.02dB/λ以下となる場合としては、ψは、38°以下とすることが好ましい。
<タンタル酸リチウム基板における第2漏洩弾性表面波>
図5は、LiTaO3基板(85°,θ,31°)カットにおいて、θを変化させた場合の伝搬損失特性を示したものである。同図によれば、伝搬損失は、θが60°から90°近辺にまで増加するにつれて漸次減少し、90°以上110°以下では伝搬損失がゼロを示している。そして、110°以上では損失の増加傾向を示している。同図にはφをパラメータとして変化させた場合の伝搬損失の変化を示しており、ニオブ酸リチウムと同様に連続的に変化していることが分かる。
図5は、LiTaO3基板(85°,θ,31°)カットにおいて、θを変化させた場合の伝搬損失特性を示したものである。同図によれば、伝搬損失は、θが60°から90°近辺にまで増加するにつれて漸次減少し、90°以上110°以下では伝搬損失がゼロを示している。そして、110°以上では損失の増加傾向を示している。同図にはφをパラメータとして変化させた場合の伝搬損失の変化を示しており、ニオブ酸リチウムと同様に連続的に変化していることが分かる。
従って、同図によれば、伝搬損失が0.005dB/λ以下となる条件としては、θが80°以上120°以下とするのが好ましく、より好ましい0.002dB/λ以下のなる条件としては、θが87°以上114°以下の範囲に設定することが好ましい。
斯様な伝搬特性を考慮して、θを91°、ψを31°として、即ちLiTaO3基板(φ,91°,31°)カットにおいて、φを80°から100°まで変化させたものが図6である。同図によれば、φが約83°以上約95°以下の範囲では、約89°で最大となる伝搬損失特性を呈することが分かる。
従って、伝搬損失として、0.005dB/λ以下の条件を満たすには、φは、87°以下または91°以上とすることが好ましいことが分かる。更に、好適な0.002dB/λ以下の条件とする場合としては、φは、85°以下または93°以上とすることが好ましい。
斯る特性を考慮し、次にLiTaO3基板(85°,91°,ψ)カットにおいて、ψを20°から60°まで変化させた場合の伝搬損失特性を示したのが図7である。同図は、伝搬損失がψが約30°近傍から単調に増加することを示しており、伝搬損失が0.005dB/λ以下となる条件を満たすものとしては、ψは、44°以下とすることが好ましく、更に、好適な伝搬損失が0.002dB/λ以下となる場合としては、ψは、36°以下とすることが好ましい。
本願発明と、前述した本発明者等が提案した第2漏洩表面波とを比較したのが表1である。同表には、本願発明のLiNbO3の伝搬特性の代表値として、(82°,92°,37°)カットにおける特性と、すでに提案した(90°,90°,37°)カットの特性を示している。これに示すように、位相速度及び電気機械結合係数の値は、殆ど同程度であるものの、伝搬損失は本願発明では20分の1と小さくなっている。また同表には、TCD(遅延特性の温度特性)及びPFA(パワーフロー角)についても併せて示しているが、いずれも本願発明は同程度の値であり、他の特性を劣化させることなく、伝搬損失を低減することができていることが分かる。
因みに、図8は、同表に示したTCD及びPFAについてのθとの関係を示したものであり、TCDに関しては、θが85°近傍で、極小値(約68ppm/℃)を持ち、PFAにあっては、θが60°から75°近傍まで、ほぼゼロの値を保ち、約75°以上では、ゆるやかに増加傾向を示す。
尚、図1乃至図8に示す特性は、コンピュータシミュレーションによるものであるが、本実施例で採用した前述の特性評価手法に、例えば弾性表面波素子のモデル化に伴う多少の誤差があったとしても、その誤差は図1乃至図8のグラフの横軸方向には殆ど発生しないと考えられる。然も、本発明に係る第2漏洩表面波と従来のレイリー波とを比較する上では、両者に同じ大きさの誤差が含まれるから、上述の比較結果に影響はないと言える。
上述の如く、本発明では、ニオブ酸リチウム基板及びタンタル酸リチウム基板における第2漏洩表面波を理論的に研究した結果、これらの基板について夫々、最適なカット面及び弾性表面波伝搬方向を見出し、これによって、伝搬損失が小さく且つ高い周波数帯域に対応可能な弾性表面波素子を完成した。
このように、本発明の第1の弾性表面波素子に於いては、ニオブ酸リチウム基板のカット面及び弾性表面波伝搬方向を、オイラー角表示で(φ,θ,ψ)及びこれと実質的に等価な範囲とするとき、0°≦φ≦86°,73°≦θ≦118°,0°≦ψ≦44°に設定することにより、又95°≦φ≦180°,73°≦θ≦118°,0°≦ψ≦44°に設定することにより、従来と比べ、位相速度や電気機械結合係数を劣化させることなく、伝搬損失を0.05dB/λ以下とすることができ、さらに0°≦φ≦83°,83°≦θ≦105°,0°≦ψ≦38°に設定することにより、又98°≦φ≦180°,83°≦θ≦105°,0°≦ψ≦38°に設定することにより、従来と比べ、位相速度や電気機械結合係数を劣化させることなく、伝搬損失を0.02dB/λ以下とすることができる。
上記第2の弾性表面波素子に於いては、タンタル酸リチウム基板のカット面及び弾性表面波伝搬方向を、オイラー角表示で(φ,θ,ψ)及びこれと実質的に等価な範囲とするとき、0°≦φ≦87°,80°≦θ≦120°,0°≦ψ≦44°に設定することにより、又91°≦φ≦180°,80°≦θ≦120°,0°≦ψ≦44°に設定することにより、従来と比べ、位相速度や電気機械結合係数を劣化させることなく、伝搬損失を0.005dB/λ以下とすることができ、さらに0°≦φ≦85°,87°≦θ≦114°,0°≦ψ≦36°に設定することにより、又93°≦φ≦180°,87°≦θ≦114°,0°≦ψ≦36°に設定することにより、従来と比べ、位相速度や電気機械結合係数を劣化させることなく、伝搬損失を0.002dB/λ以下とすることができる。
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
Claims (2)
- タンタル酸リチウムからなる圧電基板上に、弾性表面波を伝搬させるための電極を形成した弾性表面波素子に於いて、該圧電基板のカット面及び弾性表面波伝搬方向を、オイラー角表示で(φ,θ,ψ)及びこれと実質的に等価な範囲とするとき、これらφ、θ及びψを夫々、
0°≦φ≦87°、又は、91°≦φ≦180°
80°≦θ≦120°
0°≦ψ≦44°
の範囲に設定したことを特徴とする弾性表面波素子。 - 前記圧電基板のカット面及び弾性表面波伝搬方向を、
0°≦φ≦85°、又は、93°≦φ≦180°
87°≦θ≦114°
0°≦ψ≦36°
の範囲に設定したことを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波素子。
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