JP2006344651A - 熱硬化性樹脂ペースト及びこれを用いたフレキシブル配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温高湿条件下でのファインピッチ配線の絶縁信頼性を維持し、保護膜端部へのメッキ成分の浸透が無くかつ配線へメッキ層が拡散して無くなることなく、フレキシブル配線板用保護膜として必要な低反り性、柔軟性、封止材との密着性、耐溶剤性及び耐薬品性、耐熱性、電気特性、耐湿性、作業性及び経済性に優れる熱硬化性樹脂ペースト及びこれを用いたフレキシブル配線板を提供する。
【解決手段】 配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板の表面保護膜として用いられる熱硬化性樹脂ペーストであって、硬化温度が120℃以下であり、かつ熱硬化性樹脂ペーストを硬化膜とした物のアンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度が20ppm以下であり、かつ(A)熱硬化性樹脂100重量部に対し(B)無機微粒子100〜1000重量部及び(C)無機イオン交換体0.1〜20重量部を含有する熱硬化性樹脂ペースト。
【選択図】 なし
【解決手段】 配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板の表面保護膜として用いられる熱硬化性樹脂ペーストであって、硬化温度が120℃以下であり、かつ熱硬化性樹脂ペーストを硬化膜とした物のアンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度が20ppm以下であり、かつ(A)熱硬化性樹脂100重量部に対し(B)無機微粒子100〜1000重量部及び(C)無機イオン交換体0.1〜20重量部を含有する熱硬化性樹脂ペースト。
【選択図】 なし
Description
本発明は、熱硬化性樹脂ペースト及びこれを用いたフレキシブル配線板に関する。
近年、電子機器の小型化、薄型化、高速化への対応から、FPC、TAB及びCOFといったフレキシブル配線板の配線ピッチはより一層ファイン化し、それにともなって配線厚みも薄膜化してきている。配線間の絶縁信頼性を維持するために配線上には、通常、絶縁性の熱硬化性樹脂ペーストが塗布、硬化されている。しかし、40μmピッチ以下のファインピッチ配線となった場合、従来の熱硬化性樹脂ペーストを用いても高温高湿条件下で配線に電圧を印加すると配線間の絶縁性が低下し、また硬化膜中のイオン性不純物として特にアンモニウムイオンとナトリウムイオンが配線金属のマイグレーションを促進するため、長時間にわたって絶縁信頼性を維持できない問題がある。
また、フレキシブル配線板は、リジッド配線板、ICチップ、電子部品又はLCDパネルと接続される配線パターン部分を除いて、熱硬化性樹脂ペーストをスクリーン印刷し、熱硬化した後、接続される配線パターン部分をAuやSnにてメッキするのが一般的である。このメッキ工程においてメッキ成分が印刷、硬化された保護膜の端部から浸透するため、配線パターンの腐食や断線を招いたり、保護膜端部が剥離する等の問題が生じる。ファインピッチ化により配線厚みが薄膜化すると上記の配線パターンの断線が発生する危険性がより一層高まることから、保護膜端部へのメッキ成分の浸透を完全に無くす熱硬化性樹脂ペースト及びフレキシブル配線板製造方法が求められている。
この課題を解決する方法として、フレキシブル配線板の配線パターン部の全てを予めメッキ処理してから、接続される配線パターン部分を除いて熱硬化性樹脂ペーストをスクリーン印刷、熱硬化させる先メッキ法がある。この方法は保護膜がメッキ工程を通らないため、保護膜端部へメッキ成分が浸透することは全く無いが、熱硬化性樹脂ペーストを硬化する際の熱によってメッキ層が配線へ拡散し、硬化後にはメッキ層の厚みが十分に確保できない問題がある。配線は一般的にCuであるが、Cuの表面にあるメッキ層は熱硬化性ペーストの硬化熱でCuへ拡散して合金化するため、保護膜の無い配線部分を接続する際に接続温度が高くなったり、配線の柔軟性が低下する問題がある(特許文献1、2参照)。
特開平7−304950号公報
特開平8−333455号公報
本発明は、上記の従来技術の問題点を解消し、高温高湿条件下でのファインピッチ配線の絶縁信頼性を維持し、保護膜端部へのメッキ成分の浸透が無くかつ配線へメッキ層が拡散して無くなることなく、フレキシブル配線板用保護膜として必要な低反り性、柔軟性、封止材との密着性、耐溶剤性及び耐薬品性、耐熱性、電気特性、作業性及び経済性に優れる熱硬化性樹脂ペースト及びこれを用いたフレキシブル配線板を提供するものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板の表面保護膜として用いられる熱硬化性樹脂ペーストであって、硬化温度が120℃以下であり、かつ熱硬化性樹脂ペーストを硬化膜とした物のアンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度が20ppm以下であり、かつ(A)熱硬化性樹脂100重量部に対し(B)無機微粒子100〜1000重量部及び(C)無機イオン交換体0.1〜20重量部を含有する熱硬化性樹脂ペースト。
(2)引張り弾性率が25℃で1.0GPa以下で、かつ引張り伸び率が25℃で20%以上である項(1)記載の熱硬化性樹脂ペースト。
(3)硬化膜とした物の5%熱重量減少温度が、250℃以上である項(1)または(2)記載の熱硬化性ペースト。
(4)項(1)から(3)いずれかに記載の熱硬化性樹脂ペーストを表面保護膜として用いた配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板。
(1)配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板の表面保護膜として用いられる熱硬化性樹脂ペーストであって、硬化温度が120℃以下であり、かつ熱硬化性樹脂ペーストを硬化膜とした物のアンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度が20ppm以下であり、かつ(A)熱硬化性樹脂100重量部に対し(B)無機微粒子100〜1000重量部及び(C)無機イオン交換体0.1〜20重量部を含有する熱硬化性樹脂ペースト。
(2)引張り弾性率が25℃で1.0GPa以下で、かつ引張り伸び率が25℃で20%以上である項(1)記載の熱硬化性樹脂ペースト。
(3)硬化膜とした物の5%熱重量減少温度が、250℃以上である項(1)または(2)記載の熱硬化性ペースト。
(4)項(1)から(3)いずれかに記載の熱硬化性樹脂ペーストを表面保護膜として用いた配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板。
本発明の熱硬化性樹脂ペーストは、高温高湿条件下でのファインピッチ配線の絶縁信頼性を維持し、保護膜端部へのメッキ成分の浸透が無くかつ配線へメッキ層が拡散して無くなることなく、フレキシブル配線板用保護膜として必要な低反り性、柔軟性、封止材との密着性、耐溶剤性及び耐薬品性、耐熱性、電気特性、耐湿性、作業性及び経済性に優れるものである。また、本発明の熱硬化性樹脂ペーストを用いたフレキシブル配線板は、上記の優れた特性を兼ね備えたフレキシブル配線板である。
本発明の熱硬化性樹脂ペーストは、前記のような硬化温度が120℃以下であり、かつ熱硬化性樹脂ペーストを硬化膜とした物のアンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度が20ppm以下であり、かつ(A)熱硬化性樹脂100重量部に対し(B)無機微粒子100〜1000重量部及び(C)無機イオン交換体0.1〜20重量部を含有する。
本発明における(A)成分として用いられる熱硬化性樹脂は、硬化温度が120℃以下のものが好ましい。硬化温度が120℃を超えると、配線へメッキ層が拡散してメッキ層が無くなる傾向がある。また熱硬化性樹脂ペーストを硬化膜とした物のアンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度が20ppmを超えると高温高湿条件下で電圧印加されたファインピッチ配線間の絶縁性が低下する傾向がある。さらに硬化膜としたものの引張り弾性率が25℃で0.5GPaを超えると反り性、柔軟性が低下する傾向があり、硬化膜としたものの引張り伸び率が25℃で50%未満であると柔軟性が低下し、耐折性が低下する傾向がある。
また、本発明における(B)成分として用いられる無機微粒子は、上記した(A)成分の熱硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂溶液中に分散してペーストを形成するものであれば、特に制限はない。このような無機の微粒子としては、例えば、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、ジルコニア(ZrO2)、窒化珪素(Si3N4)、チタン酸バリウム(BaO・TiO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、チタン酸鉛(PbO・TiO2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga2O3)、スピネル(MgO・Al2O3)、ムライト(3Al2O3・2SiO2)、コーディエライト(2MgO・2Al2O3/5SiO2)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、チタン酸アルミニウム(TiO2−Al2O3)、イットリア含有ジルコニア(Y2O3−ZrO2)、珪酸バリウム(BaO・8SiO2)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸カルシウム(CaSO4)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO2)、硫酸バリウム(BaSO4)。有機ベントナイト、カーボン(C)などを使用することができ、これらの1種又は2種以上を使用することもできる。
本発明における無機微粒子としては、平均粒子径50μm以下、最大粒子径100μm以下の粒子径をもつものが好ましく用いられる。平均粒子径が50μmを超えると後述するチキソトロピー係数が1.1以上のペーストが得られにくくなり、最大粒子径が100μmを超えると塗膜の外観、密着性が不十分となる傾向がある。熱硬化性樹脂の溶液に無機微粒子を分散させる方法としては、通常、塗料分野で行われているロール練り、ミキサー混合などが適用され、十分な分散が行われる方法であれば良い。
本発明の熱硬化性樹脂ペーストにおいて、回転型粘度計での粘度が25℃で0.5Pa・s〜500Pa・s、チキソトロピー係数が1.1以上であるのが好ましい。粘度が0.5Pa・s未満であると、印刷後のペーストの流れ出しが大きくなるとともに膜厚が薄膜化する傾向がある。粘度が500Pa・sを超えるとペーストの基材への転写性が低下するとともに印刷膜中のボイド及びピンホールが増加する傾向がある。またチキソトロピー係数が1.1未満であると、ペーストの糸引きが増加するとともに印刷後のペーストの流れ出しが大きくなり、膜厚も薄膜化する傾向がある。
ここで、ペーストの粘度は、E型粘度計(東機産業社製、RE80U型)を用いて、試料量0.2ml又は0.5mlで測定した回転数10rpmの粘度として表される。またペーストのチキソトロピ−係数(TI値)はE型粘度計(東機産業社製、RE80U型)を用いて、試料量0.2ml又は0.5mlで測定した回転数1rpmと10rpmのペーストのみかけ粘度、η1とη10の比η1/η10として表される。
さらに、本発明における(C)成分として用いられる無機イオン交換体は、上記した(A)成分の熱硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂溶液中に分散するもので、反対電荷のイオンを取り入れたイオン交換を行い、イオン性不純物を補足固定するものであれば、特に制限はない。このような無機イオン交換体としては、例えば、東亞合成株式会社製の商品名IXE−300等のアンチモン系イオン交換体、東亞合成株式会社製の商品名IXE−600、IXE−633等のアンチモンビスマス系イオン交換体、東亞合成株式会社製の商品名IXE−100等のジルコニウム系イオン交換体等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
熱硬化性樹脂の溶液に無機イオン交換体を分散させる方法としては、ロール練り、ミキサー混合などが適用され、十分な分散が行われる方法であれば良い。また、本発明の熱硬化性樹脂ペーストを硬化膜とした物の5%熱重量減少温度が250℃以上であることが好ましい。5%熱重量減少温度が250℃未満であると、リジッド配線板、ICチップ、電子部品又はLCDパネルとの接続時にかかる熱により、硬化膜が変形、分解する可能性がある。
本発明の熱硬化性樹脂ペーストにおいて、(B)成分として用いる無機微粒子の配合量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して100〜1000重量部の範囲とする。これよりも少ない場合、高温高湿条件下での配線間の絶縁性が低下したり、硬化膜のアンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度が20ppm以上となる傾向がある。また、1000重量部より多い場合、ペーストの粘度及びチキソトロピー係数が高くなり、ペーストの基材への転写性が低下するとともに印刷膜中のボイド及びピンホールが増加する傾向がある。
本発明の熱硬化性樹脂ペーストにおいて、(C)成分として用いる無機イオン交換体の配合量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲とする。これよりも少ない場合、硬化膜のアンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度が20ppm以上となる傾向がある。また、20重量部より多い場合、ペーストの粘度が高くなり、ペーストの基材への転写性が低下するとともに印刷膜中のボイド及びピンホールが増加する傾向がある。
本発明における熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリブタジエン、水添加ポリブタジエン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリテトラフルオロ樹脂、ポリシリコーン、メラミン樹脂、ポリアミド、ポリイミドなどを単独又は2種類以上組み合わせた熱硬化性樹脂がある。これらの熱硬化性樹脂の中なで耐熱性、電気特性、耐湿性、耐溶剤性及び耐薬品性に優れたイミド結合を含む熱硬化性樹脂が好ましい。
本発明に使用されるイミド結合を含む熱硬化性樹脂は、イミド結合を必須成分として含有し、酸無水物基を有する3価のポリカルボン酸又はその誘導体及び/又は酸無水物基を有する4価のポリカルボン酸とイソシアネート化合物又はアミン化合物を反応させて得られる。酸無水物基を有する3価のポリカルボン酸又はその誘導体(a)としては、特に制限はないが、例えば、下記一般式(1)及び一般式(2)で示す化合物を使用することができる。耐熱性、コスト面等を考慮すれば、トリメリット酸無水物が特に好ましい。
酸無水物基を有する4価のポリカルボン酸(a’)としては、特に制限はないが、例えば、下記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物を使用することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、これらのほかに必要に応じて、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキシジ安息香酸等)などを使用することができる。ジイソシアネートは、例えば、下記一般式(4)で表されるカーボネートジオール類と、下記一般式(5)で表されるジイソシアネート類とを無溶媒あるいは有機溶媒中で反応させることにより得られる。
上記の一般式(4)で表されるカーボネートジオール類としては、例えば、ダイセル化学株式会社製の商品名PLACCEL、CD−205、205PL、205HL、210、210PL、210HL、220、220PL、220HLとして市販されているものが挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、上記一般式(5)で表されるジイソシアネート類としては例えば、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジメチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジエチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジメトキシジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4、4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−[2,2ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルメキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式イソシアネート及び3官能以上のポリイソシアネートを用いてもよく、経日変化を避けるために必要なブロック剤で安定化したものを使用してもよい。ブロック剤としては、アルコール、フェノール、オキシム等があるが、特に制限はない。
上記の一般式(4)で表されるカーボネートジオール類と一般式(5)で表されるジイソシアネートの配合量は、水酸基数とイソシアネート基数の比率が、イソシアネート基/水酸基=1.01以上なるようにすることが好ましい。反応は、無溶媒あるいは有機溶媒の存在下で行うことができる。反応温度は、60〜200℃とすることが好ましく、反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件などにより適宜選択することができる。
このようにして得られるジイソシアネートの数平均分子量は、500〜10,000であることが好ましく、1,000〜9,500であることがより好ましく、1,500〜9,000であることが特に好ましい。数平均分子量が500未満であると、反り性が悪化する傾向があり、10,000を超えると、ジイソシアネートの反応性が低下し、ポリイミド樹脂化することが困難となる傾向がある。なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値である。
本発明においては、さらに上記のイソシアネート以外のポリイソシアネート化合物を用いることが、耐熱性の点で好ましい。このようなポリイソシアネート成分としては、特に制限はなく、例えば、一般式(5)で表されるジイソシアネート類又は3価以上のポリイソシアネート類(c)を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
(c)成分のポリイソシアネート化合物としては、その総量の50〜100重量%が芳香族ポリイソシアネートであることが好ましく、耐熱性、溶解性、機械特性、コスト面などのバランスを考慮すれば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
本発明における上記一般式(4)と上記一般式(5)で表されるジイソシアネート類とを無溶媒あるいは有機溶媒中で反応させることにより得られたジイソシアネート(b)と上記一般式(5)で表されるジイソシアネート類又は3価以上のポリイソシアネート類(c)の配合割合は、(b)成分/(c)成分の当量比で0.1/0.9〜0.9/0.1とすることが好ましく、0.2/0.8〜0.8/0.2とすることがより好ましく、0.3/0.7〜0.7/0.3とすることが特に好ましい。この当量比が0.1/0.9未満では、低弾性率化できず、反り性及び密着性が低下する傾向があり、0.9/0.1を超えると、耐熱性等の膜特性が低下する傾向がある。
また、酸無水物基を有する3価のポリカルボン酸又はその誘導体(a)及び/又は酸無水物基を有する4価のポリカルボン酸(a’)の配合割合は、(b)成分と(c)成分中のイソシアネート基の総数に対する(a)成分及び/又は(a’)成分のカルボキシル基及び/又は酸無水物基の総数の比が0.6〜1.4となるようにすることが好ましく、0.7〜1.3となるようにすることがより好ましく、0.8〜1.2となるようにすることが特に好ましい。この比が0.6未満又は1.4を超えると、ポリイミド結合を含む樹脂の分子量を高くすることが困難となる傾向がある。
本発明のイミド結合を含む樹脂の製造法における反応は、有機溶媒、好ましくは非含窒素系極性溶媒の存在下に、遊離発生してくる炭酸ガスを反応系より除去しながら加熱縮合させることにより行うことができる。
上記非含窒素系極性溶媒としてはエーテル系溶媒、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、含硫黄系溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン、エステル系溶媒、例えば、γ−ブチロラクトン、酢酸セロソルブ、ケトン系溶媒、例えば、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、芳香族炭化水素系溶媒、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。生成する樹脂を溶解する溶剤を選択して使用するのが好ましい。合成後、そのままペーストの溶媒として好適なものを使用することが好ましい。高揮発性であって、低温硬化性を付与でき、かつ効率良く均一系で反応を行うためには、γ−ブチロラクトンが最も好ましい。溶媒の使用量は、生成するイミド結合を含む樹脂の0.8〜5.0倍(重量比)とすることが好ましい。0.8倍未満では、合成時の粘度が高すぎて、攪拌不能により合成が困難となる傾向があり、5.0倍を超えると、反応速度が低下する傾向がある。
反応温度は、80〜210℃とすることが好ましく、100〜190℃とすることがより好ましく、120〜180℃とすることが特に好ましい。80℃未満では反応時間が長くなり過ぎ、210℃を超えると反応中に三次元化反応が生じてゲル化が起こり易い。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択することができる。また、必要に応じて、三級アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、錫、亜鉛、チタニウム、コバルト等の金属又は半金属化合物等の触媒存在下に反応を行っても良い。
このようにして得られたイミド結合を含む樹脂の数平均分子量は、4,000〜40,000であることが好ましく、5,000〜38,000であることがより好ましく、6,000〜36,000であることが特に好ましい。数平均分子量が4,000未満であると、耐熱性等の膜特性が低下する傾向があり、40,000を超えると、非含窒素系極性溶媒に溶解しにくくなり、合成中に不溶化しやすい。また、作業性に劣る傾向がある。また、合成終了後に樹脂末端のイソシアネート基をアルコール類、ラクタム類、オキシム類等のブロック剤でブロックすることもできる。
本発明の熱硬化性樹脂ペーストには、硬化性を向上させるために、各種エポキシ樹脂を添加することも出来る。エポキシ樹脂としては、例えば、油化シェルエポキシ株式会社性の商品名エピコート828等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、東都化成株式会社製の商品名YDF−170等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ株式会社性の商品名エピコート152、154、日本化薬株式会社製の商品名EPPN−201、ダウケミカル社製の商品名DEN−438等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製の商品名EOCN−125S,103S、104S等のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ株式会社製の商品名Epon1031S、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製の商品名アラルダイト0163、ナガセ化成株式会社製の商品名デナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等の多官能エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ株式会社製の商品名エピコート604、東都化成株式会社製の商品名YH434、三菱ガス化学株式会社製の商品名TETRAD−X、TERRAD−C、日本化薬株式会社製の商品名GAN、住友化学株式会社製の商品名ELM−120等のアミン型エポキシ樹脂、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製の商品名アラルダイトPT810等の複素環含有エポキシ樹脂、UCC社製のERL4234,4299、4221、4206等の脂環式エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独で又は2種類以上組合せて使用することができる。
これらのエポキシ樹脂のうち、1分子中にエポキシ基を3個以上有するアミン型エポキシ樹脂は、耐溶剤性、耐薬品性、耐湿性の向上の点で特に好ましい。本発明の熱硬化性樹脂ペーストに用いられるエポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を1個だけ有するエポキシ化合物を含んでいてもよい。このようなエポキシ化合物は、イミド結合を含む樹脂全量に対して0〜20重量%の範囲で使用することが好ましい。このようなエポキシ化合物としては、n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等がある。また、3,4−エポキシシクロヘキシル、メチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物を使用することができる。
本発明におけるエポキシ樹脂の使用量は、ポリイミド結合を含む樹脂100重量部に対して好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜45重量部、さらに好ましくは3〜40重量部とされる。エポキシ樹脂の配合量が1重量部未満では、硬化性、耐溶剤性、耐薬品性、耐湿性が低下する傾向にあり、50重量部を超えると、耐熱性及び粘度安定性が低下する傾向にある。エポキシ樹脂の添加方法としては、添加するエポキシ樹脂を予めイミド結合を含む樹脂に含まれる溶媒と同一の溶媒に溶解してから添加してもよく、また、直接添加してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂ペーストには、塗工時の作業性及び被膜形成前後の膜特性を向上させるため、消泡剤、レベリング剤等の界面活性剤類、染料又は顔料等の着色剤類、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、滑剤を添加することもできる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
攪拌機、油水分離器付き冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた5リットルの四つ口フラスコに、(b)成分としてPLACCEL CD−220(ダイセル化学株式会社製1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオールの商品名)1000.0g(0.50モル)及び4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.27g(1.00モル)と、γ−ブチロラクトン833.51gを仕込み、140℃まで昇温した。140℃で5時間反応させ、ジイソシアネート[一般式(1)において、Rがすべてヘキサメチレン基を示し、Xがジフェニルメタン基を示し、m=13、n=1であるジイソシアネート]を得た。
(実施例1)
攪拌機、油水分離器付き冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた5リットルの四つ口フラスコに、(b)成分としてPLACCEL CD−220(ダイセル化学株式会社製1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオールの商品名)1000.0g(0.50モル)及び4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.27g(1.00モル)と、γ−ブチロラクトン833.51gを仕込み、140℃まで昇温した。140℃で5時間反応させ、ジイソシアネート[一般式(1)において、Rがすべてヘキサメチレン基を示し、Xがジフェニルメタン基を示し、m=13、n=1であるジイソシアネート]を得た。
更に、この反応液に(a’)成分として3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物358.29g(1.00モル)、(c)成分として4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート125.14g(0.50モル)及びγ−ブチロラクトン584.97gを仕込み、160℃まで昇温した後、7時間反応させて、数平均分子量が30,000の樹脂を得た。得られた樹脂をγ−ブチロラクトンで希釈し、粘度65Pa・s、不揮発分40重量%のポリイミド樹脂溶液を得た。なお、(b)成分/(c)成分のモル比は、0.5/0.5である。
得られたポリイミド樹脂溶液1000gにB−30(堺化学工業株式会社製商品名、平均粒子径0.3μm、表面処理硫酸バリウム微粒子)600gとIXE−300(東亞合成株式会社製商品名、アンチモン系イオン交換体8gとγ−ブチロラクトン900gを加え、まず粗混練し、次いで高速3本ロールを用いて3回混練を繰り返して本混練を行い、均一に微粒子が分散したポリイミド樹脂ペーストを得た。このペーストは粘度50Pa・s、TI値2.8であった。
(実施例2)
実施例1で得られたポリイミド樹脂ペーストの樹脂分100重量部に対してYH−434(東都化成株式会社製アミン型エポキシ樹脂の商品名、エポキシ当量約120、エポキシ基4個/分子)10重量部を加え、γ−ブチロラクトンで希釈して、粘度38Pa・s、TI値2.9、不揮発分40重量%のポリイミド樹脂ペーストを得た。
実施例1で得られたポリイミド樹脂ペーストの樹脂分100重量部に対してYH−434(東都化成株式会社製アミン型エポキシ樹脂の商品名、エポキシ当量約120、エポキシ基4個/分子)10重量部を加え、γ−ブチロラクトンで希釈して、粘度38Pa・s、TI値2.9、不揮発分40重量%のポリイミド樹脂ペーストを得た。
(実施例3)
実施例2において、YH−434、10重量部の代わりに、エピコート828(油化シェルエポキシ株式会社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂の商品名、エポキシ当量約189、エポキシ基2個/分子)10重量部を用いた以外は、実施例1と全く同様の操作を行い、粘度36Pa・s、TI値2.9、不揮発分40重量%のポリイミド樹脂ペーストを得た。
実施例2において、YH−434、10重量部の代わりに、エピコート828(油化シェルエポキシ株式会社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂の商品名、エポキシ当量約189、エポキシ基2個/分子)10重量部を用いた以外は、実施例1と全く同様の操作を行い、粘度36Pa・s、TI値2.9、不揮発分40重量%のポリイミド樹脂ペーストを得た。
(比較例1)
フラスコを3Lとした以外は実施例1と同様のフラスコに(a)成分として3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物537.44g(1.50モル)、(c)成分として4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート382.9g(1.53モル)及びγ−ブチロラクトン1380.51gを仕込み、160℃まで昇温した。反応中、ワニスに濁りが生じ均一なポリイミド溶液を得ることはできなかった。
フラスコを3Lとした以外は実施例1と同様のフラスコに(a)成分として3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物537.44g(1.50モル)、(c)成分として4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート382.9g(1.53モル)及びγ−ブチロラクトン1380.51gを仕込み、160℃まで昇温した。反応中、ワニスに濁りが生じ均一なポリイミド溶液を得ることはできなかった。
(比較例2)
実施例1と同様のフラスコに(b)成分としてシリコーンジオールBX16−001(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製ジメチルポリシロキサン系ジオールの商品名)700g(0.50モル)及び4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.27g(1.00モル)と、γ−ブチロラクトン316.76g及びN―メチル―2―ピロリドン316.76gを仕込み、140℃まで昇温した。140℃で3時間反応させ、更に、この反応液に(a’)成分として3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物358.29g(1.00モル)、(c)成分として4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート125.14g(0.50モル)及びγ−ブチロラクトン269.75g及びN―メチル―2―ピロリドン269.75gを仕込み、160℃まで昇温した後、9時間反応させて、数平均分子量が25,000の樹脂を得た。得られた樹脂をγ−ブチロラクトンで希釈し、粘度30Pa・s、不揮発分50重量%のポリイミド樹脂溶液を得た。
実施例1と同様のフラスコに(b)成分としてシリコーンジオールBX16−001(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製ジメチルポリシロキサン系ジオールの商品名)700g(0.50モル)及び4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.27g(1.00モル)と、γ−ブチロラクトン316.76g及びN―メチル―2―ピロリドン316.76gを仕込み、140℃まで昇温した。140℃で3時間反応させ、更に、この反応液に(a’)成分として3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物358.29g(1.00モル)、(c)成分として4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート125.14g(0.50モル)及びγ−ブチロラクトン269.75g及びN―メチル―2―ピロリドン269.75gを仕込み、160℃まで昇温した後、9時間反応させて、数平均分子量が25,000の樹脂を得た。得られた樹脂をγ−ブチロラクトンで希釈し、粘度30Pa・s、不揮発分50重量%のポリイミド樹脂溶液を得た。
得られたポリイミド樹脂溶液1000gにB−30(堺化学工業株式会社製商品名、平均粒子径0.3μm、表面処理硫酸バリウム微粒子)400gとγ−ブチロラクトン400gを加え、まず粗混練し、次いで高速3本ロールを用いて3回混練を繰り返して本混練を行い、均一に微粒子が分散したポリイミド樹脂ペーストを得た。このペーストは粘度15Pa・s、TI値1.6であった。
(比較例3)
比較例2得られたポリイミド樹脂ペーストの樹脂分100重量部に対してYH−434を10重量部を加え、γ−ブチロラクトンで希釈して、粘度10Pa・s、不揮発分50重量%のポリイミド樹脂ペーストを得た。
比較例2得られたポリイミド樹脂ペーストの樹脂分100重量部に対してYH−434を10重量部を加え、γ−ブチロラクトンで希釈して、粘度10Pa・s、不揮発分50重量%のポリイミド樹脂ペーストを得た。
上記の実施例及び比較例で得られたポリイミド樹脂ペーストの特性を下記の方法で測定し、結果を下記表1及び表2に示した。
(1)反り性
厚さ38μmのポリイミドフィルムと厚さ12μmのCuからなる2層フレキシブル基材をSnメッキし、縦35mm、横20mmの大きさに裁断する。この基材上に、得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱し、得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)について、塗布面を下にして定盤上に置き、反り高さを評価した。
(2)耐溶剤性
(1)反り性で用いた基材上に得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱し、得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)について、室温でアセトン中に1時間硬化膜を浸漬させ、塗膜外観の変化について以下の基準で評価した。○:外観変化なし、△:一部外観に変化あり、×:全面外観に変化ありとした。
(3)封止材に対する密着性
(1)反り性で用いた基材上に得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱し、得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)上に、エポキシ系封止材〔日立化成工業株式会社製商品名CEL−C−5020〕を0.06gポッティングし、空気雰囲気下、120℃で120分、さらに150℃で120分加熱する。得られた試験片は、封止材側が外側になるように折り曲げ、剥離のモードを以下の基準で評価した。○:基材/塗膜の界面剥離、△:塗膜/封止材の界面剥離、×:全く接着せずとした。
(4)Snメッキ厚の変化
(1)反り性で用いた基材上に未塗布部分が得られるように、得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱し、塗膜厚さ15μmの試験片を得た。この試験片のペースト未塗布部分のSnメッキ厚を測定し、下記の基準で評価した。なお、Snメッキ厚の減少率は、ペースト硬化前後のSnメッキ厚の変化率とする。○:Snメッキ厚の減少率50%以下、×:Snメッキ厚の減少率50%以上とした。
(5)アンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度
テフロン板上に得られたポリイミド樹脂ペースト約10gを塗布し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱する。得られた硬化物を粉砕し、粉砕試料3gとイオン交換水30gを容器に入れて密栓し、121℃、2.0265×105Pa、20時間煮沸抽出後、抽出液中のアンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度をイオンクロマト法によって測定した。
(6)耐マイグレーション性
厚さ38μmのポリイミドフィルムと厚さ12μmのCu櫛歯電極の配線ピッチが40μmピッチの2層フレキシブル基材をSnメッキする。この基材上に、得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱する。得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)の配線に85℃/85%RH環境下で60Vの電圧を印加し、1000時間後の絶縁抵抗値について以下の基準で評価した。○:絶縁抵抗108以上、×:絶縁抵抗108未満とした。
(7)引張り弾性率及び伸び率
得られたポリイミド樹脂ペーストを90℃で15分乾燥した後、空気雰囲気下、120℃
で120分又は160℃で60分加熱し、膜厚約30μm、幅10mm、長さ60mmの硬化膜を形成する。得られた硬化膜を用いてチャック間長さ20mm、引張り速度5mm/分の条件で引張り試験を行い、引張り弾性率及び引張り伸び率を求めた。
(8)5%重量減少温度
得られたポリイミド樹脂ペーストを90℃で15分乾燥した後、空気雰囲気下、120℃
で120分又は160℃で60分加熱し、膜厚約30μmの硬化膜を形成する。得られた硬化膜を用いて、空気雰囲気中、10℃/分の昇温速度にてTG−DTA法により、5%重量減少温度を測定した。
(1)反り性
厚さ38μmのポリイミドフィルムと厚さ12μmのCuからなる2層フレキシブル基材をSnメッキし、縦35mm、横20mmの大きさに裁断する。この基材上に、得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱し、得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)について、塗布面を下にして定盤上に置き、反り高さを評価した。
(2)耐溶剤性
(1)反り性で用いた基材上に得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱し、得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)について、室温でアセトン中に1時間硬化膜を浸漬させ、塗膜外観の変化について以下の基準で評価した。○:外観変化なし、△:一部外観に変化あり、×:全面外観に変化ありとした。
(3)封止材に対する密着性
(1)反り性で用いた基材上に得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱し、得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)上に、エポキシ系封止材〔日立化成工業株式会社製商品名CEL−C−5020〕を0.06gポッティングし、空気雰囲気下、120℃で120分、さらに150℃で120分加熱する。得られた試験片は、封止材側が外側になるように折り曲げ、剥離のモードを以下の基準で評価した。○:基材/塗膜の界面剥離、△:塗膜/封止材の界面剥離、×:全く接着せずとした。
(4)Snメッキ厚の変化
(1)反り性で用いた基材上に未塗布部分が得られるように、得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱し、塗膜厚さ15μmの試験片を得た。この試験片のペースト未塗布部分のSnメッキ厚を測定し、下記の基準で評価した。なお、Snメッキ厚の減少率は、ペースト硬化前後のSnメッキ厚の変化率とする。○:Snメッキ厚の減少率50%以下、×:Snメッキ厚の減少率50%以上とした。
(5)アンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度
テフロン板上に得られたポリイミド樹脂ペースト約10gを塗布し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱する。得られた硬化物を粉砕し、粉砕試料3gとイオン交換水30gを容器に入れて密栓し、121℃、2.0265×105Pa、20時間煮沸抽出後、抽出液中のアンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度をイオンクロマト法によって測定した。
(6)耐マイグレーション性
厚さ38μmのポリイミドフィルムと厚さ12μmのCu櫛歯電極の配線ピッチが40μmピッチの2層フレキシブル基材をSnメッキする。この基材上に、得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱する。得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)の配線に85℃/85%RH環境下で60Vの電圧を印加し、1000時間後の絶縁抵抗値について以下の基準で評価した。○:絶縁抵抗108以上、×:絶縁抵抗108未満とした。
(7)引張り弾性率及び伸び率
得られたポリイミド樹脂ペーストを90℃で15分乾燥した後、空気雰囲気下、120℃
で120分又は160℃で60分加熱し、膜厚約30μm、幅10mm、長さ60mmの硬化膜を形成する。得られた硬化膜を用いてチャック間長さ20mm、引張り速度5mm/分の条件で引張り試験を行い、引張り弾性率及び引張り伸び率を求めた。
(8)5%重量減少温度
得られたポリイミド樹脂ペーストを90℃で15分乾燥した後、空気雰囲気下、120℃
で120分又は160℃で60分加熱し、膜厚約30μmの硬化膜を形成する。得られた硬化膜を用いて、空気雰囲気中、10℃/分の昇温速度にてTG−DTA法により、5%重量減少温度を測定した。
本発明の熱硬化性樹脂ペーストは、表1及び表2に示したように、フレキシブル配線板用保護膜として必要な低反り性、柔軟性、封止材との密着性、耐溶剤性及び耐薬品性、耐熱性、電気特性、耐湿性に優れたものであることがわかった。
Claims (4)
- 配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板の表面保護膜として用いられる熱硬化性樹脂ペーストであって、硬化温度が120℃以下であり、かつ熱硬化性樹脂ペーストを硬化膜とした物のアンモニウムイオンとナトリウムイオン濃度が20ppm以下であり、かつ(A)熱硬化性樹脂100重量部に対し(B)無機微粒子100〜1000重量部及び(C)無機イオン交換体0.1〜20重量部を含有する熱硬化性樹脂ペースト。
- 引張り弾性率が25℃で1.0GPa以下で、かつ引張り伸び率が25℃で20%以上である請求項1記載の熱硬化性樹脂ペースト。
- 硬化膜とした物の5%熱重量減少温度が、250℃以上である請求項1または2記載の熱硬化性ペースト。
- 請求項1から3いずれかに記載の熱硬化性樹脂ペーストを表面保護膜として用いた配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板。
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