JP4895073B2 - 熱硬化性樹脂ペースト及びこれを用いたフレキシブル配線板 - Google Patents
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また、フレキシブル配線板は、リジッド配線板、ICチップ、電子部品又はLCDパネルと接続される配線パターン部分を除いて、熱硬化性樹脂ペーストをスクリーン印刷し、熱硬化した後、接続される配線パターン部分をAuやSnにてメッキするのが一般的である。このメッキ工程においてメッキ成分が印刷、硬化された保護膜の端部から浸透するため、配線パターンの腐食や断線を招いたり、保護膜端部が剥離する等の問題が生じる。ファインピッチ化により配線厚みが薄膜化すると上記の配線パターンの断線が発生する危険性がより一層高まることから、保護膜端部へのメッキ成分の浸透を完全に無くす熱硬化性樹脂ペースト及びフレキシブル配線板製造方法が求められている。
また、本発明の熱硬化性樹脂ペーストを用いたフレキシブル配線板は、上記の優れた特性を兼ね備えたフレキシブル配線板である。
本発明における(A)成分として用いられる特定の熱硬化性樹脂は、上記のように硬化温度が120℃以下のものであれば、特に制限はない。硬化温度が120℃を超えると、配線へメッキ層が拡散してメッキ層が無くなる傾向がある。また硬化膜としたものの塩素イオン濃度が20ppmを超えると高温高湿条件下で電圧印加されたファインピッチ配線間の絶縁性が低下する傾向がある。さらに硬化膜としたものの引張り弾性率が25℃で1.0GPaを超えると反り性、柔軟性が低下する傾向があり、硬化膜としたものの引張り伸び率が25℃で50%未満であると柔軟性が低下し、耐折性が低下する傾向がある。
ここで、ペーストの粘度は、E型粘度計(東機産業社製、RE80U型)を用いて、試料量0.2ml又は0.5mlで測定した回転数10rpmの粘度として表される。またペーストのチキソトロピ−係数(TI値)はE型粘度計(東機産業社製、RE80U型)を用いて、試料量0.2ml又は0.5mlで測定した回転数1rpmと10rpmのペーストのみかけ粘度、η1とη10の比η1/η10として表される。
熱硬化性樹脂の溶液に無機イオン交換体を分散させる方法としては、ロール練り、ミキサー混合などが適用され、十分な分散が行われる方法であれば良い。
ジイソシアネートは、例えば、一般式(IV)
反応は、無溶媒あるいは有機溶媒の存在下で行うことができる。反応温度は、60〜200℃とすることが好ましく、反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件などにより適宜選択することができる。
なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値である。
(c)成分のポリイソシアネート化合物としては、その総量の50〜100重量%が芳香族ポリイソシアネートであることが好ましく、耐熱性、溶解性、機械特性、コスト面などのバランスを考慮すれば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
本発明のイミド結合を含む樹脂の製造法における反応は、有機溶媒、好ましくは非含窒素系極性溶媒の存在下に、遊離発生してくる炭酸ガスを反応系より除去しながら加熱縮合させることにより行うことができる。
また、合成終了後に樹脂末端のイソシアネート基をアルコール類、ラクタム類、オキシム類等のブロック剤でブロックすることもできる。
これらのエポキシ樹脂のうち、1分子中にエポキシ基を3個以上有するアミン型エポキシ樹脂は、耐溶剤性、耐薬品性、耐湿性の向上の点で特に好ましい。
ない。
攪拌機、油水分離器付き冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた5リットルの四つ口フラスコに、(b)成分としてPLACCEL CD−220(ダイセル化学(株)製1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオールの商品名)1000.0g(0.50モル)及び4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート250.27g(1.00モル)と、γ−ブチロラクトン833.51gを仕込み、140℃まで昇温した。140℃で5時間反応させ、ジイソシアネート[一般式(IV)において、Rがすべてヘキサメチレン基を示し一般式(III)のYがジフェニルメタン基を示し、m=13であるジイソシアネート]を得た。
更に、この反応液に(a’)成分として3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物358.29g(1.00モル)、(c)成分として4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート125.14g(0.50モル)及びγ−ブチロラクトン584.97gを仕込み、160℃まで昇温した後、7時間反応させて、数平均分子量が30,000の樹脂を得た。得られた樹脂をγ−ブチロラクトンで希釈し、粘度65Pa・s、不揮発分40重量%のポリイミド樹脂溶液を得た。なお、(b)成分/(c)成分のモル比は、0.5/0.5である。
得られたポリイミド樹脂溶液1000gにB−30(堺化学工業(株)製商品名、平均粒子径0.3μm、表面処理硫酸バリウム微粒子)600gとIXE−600(東亞合成(株)製商品名、アンチモンビスマス系イオン交換体8gとγ−ブチロラクトン900gを加え、まず粗混練し、次いで高速3本ロールを用いて3回混練を繰り返して本混練を行い、均一に微粒子が分散したポリイミド樹脂ペーストを得た。このペーストは粘度50Pa・s、TI値2.8であった。
実施例1で得られたポリイミド樹脂ペーストの樹脂分100重量部に対してYH−434(東都化成(株)製アミン型エポキシ樹脂の商品名、エポキシ当量約120、エポキシ基4個/分子)10重量部を加え、γ−ブチロラクトンで希釈して、粘度38Pa・s、TI値2.9、不揮発分40重量%のポリイミド樹脂ペーストを得た。
実施例2において、YH−434、10重量部の代わりに、エピコート828(油化シェルエポキシ(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂の商品名、エポキシ当量約189、エポキシ基2個/分子)10重量部を用いた以外は、実施例1と全く同様の操作を行い、粘度36Pa・s、TI値2.9、不揮発分40重量%のポリイミド樹脂ペーストを得た。
フラスコを3Lとした以外は実施例1と同様のフラスコに(a)成分として3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物537.44g(1.50モル)、(c)成分として4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート382.9g(1.53モル)及びγ−ブチロラクトン1380.51gを仕込み、160℃まで昇温した。反応中、ワニスに濁りが生じ均一なポリイミド溶液を得ることはできなかった。
実施例1と同様のフラスコに(b)成分としてシリコーンジオールBX16−001(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製ジメチルポリシロキサン系ジオールの商品名)700g(0.50モル)及び4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート250.27g(1.00モル)と、γ−ブチロラクトン316.76g及びN―メチル―2―ピロリドン316.76gを仕込み、140℃まで昇温した。140℃で3時間反応させ、更に、この反応液に(a’)成分として3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物358.29g(1.00モル)、(c)成分として4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート125.14g(0.50モル)及びγ−ブチロラクトン269.75g及びN―メチル―2―ピロリドン269.75gを仕込み、160℃まで昇温した後、9時間反応させて、数平均分子量が25,000の樹脂を得た。得られた樹脂をγ−ブチロラクトンで希釈し、粘度30Pa・s、不揮発分50重量%のポリイミド樹脂溶液を得た。
得られたポリイミド樹脂溶液1000gにB−30(堺化学工業(株)製商品名、平均粒子径0.3μm、表面処理硫酸バリウム微粒子)400gとγ−ブチロラクトン400gを加え、まず粗混練し、次いで高速3本ロールを用いて3回混練を繰り返して本混練を行い、均一に微粒子が分散したポリイミド樹脂ペーストを得た。このペーストは粘度15Pa・s、TI値1.6であった。
比較例2で得られたポリイミド樹脂ペーストの樹脂分100重量部に対してYH−434を10重量部を加え、γ−ブチロラクトンで希釈して、粘度10Pa・s、不揮発分50重量%のポリイミド樹脂ペーストを得た。
厚さ38μmのポリイミドフィルムと厚さ12μmのCuからなる2層フレキシブル基材をSnメッキし、縦35mm、横20mmの大きさに裁断する。この基材上に、得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱し、得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)について、塗布面を下にして定盤上に置き、反り高さを評価した。
(1)反り性で用いた基材上に得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱し、得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)について、室温でアセトン中に1時間硬化膜を浸漬させ、塗膜外観の変化について下記基準で評価した。
○:外観変化なし
△:一部外観に変化あり
×:全面外観に変化あり
(1)反り性で用いた基材上に得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱し、得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)上に、エポキシ系封止材〔日立化成工業(株)製商品名CEL−C−5020〕を0.06gポッティングし、空気雰囲気下、120℃で120分、さらに150℃で120分加熱する。得られた試験片は、封止材側が外側になるように折り曲げ、剥離のモードを下記の基準で評価した
。
○:基材/塗膜の界面剥離
△:塗膜/封止材の界面剥離
×:全く接着せず
(1)反り性で用いた基材上に未塗布部分が得られるように、得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱し、塗膜厚さ15μmの試験片を得た。この試験片のペースト未塗布部分のSnメッキ厚を測定し、下記の基準で評価した。なお、Snメッキ厚の減少率は、ペースト硬化前後のSnメッキ厚の変化率とする。
○:Snメッキ厚の減少率50%以下
×:Snメッキ厚の減少率50%以上
ポリテトラフルオロエチレン板上に得られたポリイミド樹脂ペースト約10gを塗布し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱する。得られた硬化物を粉砕し、粉砕試料3gとイオン交換水3gを容器に入れて密栓し、121℃、2.0265×105Pa、20時間煮沸抽出後、抽出液中の塩素イオン濃度をイオンクロマト法によって測定した。
厚さ38μmのポリイミドフィルムと厚さ12μmのCu櫛歯電極の配線ピッチが40μmピッチの2層フレキシブル基材をSnメッキする。この基材上に、得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、空気雰囲気下、120℃で120分加熱する。得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)の配線に85℃/85%RH環境下で60Vの電圧を印加し、1000時間後の絶縁抵抗値について下記の基準で評価した。
○:絶縁抵抗108以上
×:絶縁抵抗108未満
得られたポリイミド樹脂ペーストを90℃で15分乾燥した後、空気雰囲気下、120℃で120分又は160℃で60分加熱し、膜厚約30μm、幅10mm、長さ60mmの硬化膜を形成する。得られた硬化膜を用いてチャック間長さ20mm、引張り速度5mm/分の条件で引張り試験を行い、引張り弾性率及び引張り伸び率を求めた。
得られたポリイミド樹脂ペーストを90℃で15分乾燥した後、空気雰囲気下、120
℃で120分又は160℃で60分加熱し、膜厚約30μmの硬化膜を形成する。得られた硬化膜を用いて、空気雰囲気中、10℃/分の昇温速度にてTG−DTA法により、5%重量減少温度を測定した。
Claims (2)
- 配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板の表面保護膜として、硬化温度が120℃以下であり、硬化膜としたものの塩素イオン濃度が20ppm以下である(A)熱硬化性樹脂100重量部、(B)無機微粒子100〜1000重量部及び(C)無機イオン交換体0.1〜20重量部を含有する熱硬化性樹脂ペーストであって、少なくとも(A)熱硬化性樹脂が、酸無水物基を有する4価のポリカルボン酸(a’)と、一般式(IV)で表されるカーボネートジオール類と一般式(V)で表されるジイソシアネート類(b)を反応させて得られるイミド結合を含む樹脂(a1)と、酸無水物基を有する4価のポリカルボン酸(a’)と一般式(V)で表されるジイソシアネート類又は3価以上のポリイソシアネート類(c)を反応させて得られるイミド結合を含む樹脂(a2)を、イソシアネートが当量比で(b)/(c)=0.1/0.9〜0.9/0.1となるよう反応させて得られるイミド結合を含む樹脂を用い、硬化膜としたものの引張り弾性率が25℃で1.0GPa以下、引張り伸び率が25℃で50%以上、5%熱重量減少温度が250℃以上であることを特徴とする熱硬化性樹脂ペースト。
- 請求項1に記載の熱硬化性樹脂ペーストを保護膜として用いた配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板。
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