JP2006342887A - 磁性流体軸受 - Google Patents

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Tsuguto Nakaseki
嗣人 中関
Ken Yamamoto
山本  憲
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Abstract

【課題】 ラジアル方向とアキシャル方向の両荷重を受けることができる磁性流体軸受を提供する。
【解決手段】 この磁性流体軸受1は、環状の軸受隙間gを介して互いに内外に位置する静止側部材2および回転側部材3を有する。静止側部材2および回転側部材3のいずれか一方の部材の軸受隙間gを形成する軸受面2aは、複数の磁極を有する磁極面とする。他方の部材の軸受隙間gを形成する軸受面3aは非磁性面とする。軸受隙間gには磁性流体4を充填する。静止側部材2の軸受面2aおよび回転側部材3の軸受面3aのいずれか片方の軸受面3aは、軸方向に沿う断面が中膨らみとなる形状とし、もう片方の軸受面2aを中凹み形状とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、磁性流体によって軸を支持する磁性流体軸受に関し、例えばハードディスクドライブ装置の支点軸受等として用いられる磁性流体軸受に関する。
従来の一般的な磁性流体軸受は、図8に示すように、軸受外輪33と軸35間の軸受隙間Gに潤滑流体として磁性流体34を充填し、軸受外輪33の両端に設けた磁石32A,32Bで磁性流体34を保持することにより、前記軸受隙間Gから磁性流体34が漏れ出すのを防ぐようにしたジャーナル軸受である。この軸受の場合、軸35の回転中は動圧軸受として潤滑流体膜が負荷を受けるが、軸35の停止中には軸受に加わる負荷を軸受面で直接受け、潤滑流体膜は無い。そのため、例えばHDD装置(ハードディスクドライブ装置)のスイングアームを支持する支点軸受のように、揺動運動を行う軸を支持する軸受には、上記した従来型の磁性流体軸受は適用できない。
HDD装置に用いられる軸受のうち、ディスクを支持するスピンドル軸受は流体動圧軸受に切り替わりが進んでいるが、従来の磁性流体軸受は上記のような課題があるため、支点軸受には今も転がり軸受が用いられている。
ところで、HDD装置の小型化と共に支点軸受の小型化が要求されているが、極小の転がり軸受は製造コストが高いという難点がある。そこで、HDD装置の支点軸受に適用可能な構造の簡単な磁性流体軸受として、図9のような磁性流体軸受が提案されている(例えば特許文献1)。この磁性流体軸受では、円筒状の軸受外輪43内に軸受隙間Gを介して軸45を嵌め込み、軸受隙間Gに充填した磁性流体44を、一方の軸受面である軸受外輪43の内周面に全周にわたり設けた複数の磁極42で保持するようにしている。この場合、軸45は非磁性材料でなければならない。なお、図9では、軸受外輪43の内周面に磁極42を設けているが、軸45の外周面に磁極42を設けても良い。
特開2004−218792号公報
しかし、特許文献1に開示の磁性流体軸受は、軸受面が円筒状であるためラジアル方向の荷重を受けることはできるが、アキシャル方向の荷重は受けることができない。そのため、アキシャル方向の荷重を受けるには、別の軸受が必要となって、部品点数が増えるうえ、軸受使用機器の小型化の妨げとなる。
この発明の目的は、ラジアル方向とアキシャル方向の両荷重を受けることができる磁性流体軸受を提供することである。
この発明の磁性流体軸受は、環状の軸受隙間を介して互いに内外に位置する静止側部材および回転側部材を有し、上記静止側部材および回転側部材のいずれか一方の部材の、上記軸受隙間を形成する軸受面を複数の磁極を有する磁極面とし、他方の部材の上記軸受隙間を形成する軸受面を非磁性面とし、上記軸受隙間に磁性流体を充填した磁性流体軸受であって、上記静止側部材の軸受面および回転側部材の軸受面のいずれか片方の軸受面を、軸方向に沿う断面が中膨らみとなる形状とし、もう片方の軸受面を中凹み形状としたことを特徴とする。
この構成によると、軸受隙間を形成する一方の軸受面が、複数の磁極を有する磁極面であるため、磁性流体が個々の磁極の表面に集まって軸受隙間内に保持される。そのため、外力が作用して軸受隙間が円周の一部で小さくなろうとしても、磁極により保持された磁性流体は移動することがなく、軸受隙間に介在する磁性流体により、軸受隙間が全周にわたって一定の大きさに保持される。これにより、回転側部材は、回転時だけでなく、非回転の状態においても、固定側部材と非接触でかつ軸心位置に支持され、高剛性で低摩擦の軸受となる。
しかも、磁性流体の充填されるいずれか片方の軸受面が、軸方向に沿う断面が中膨らみとなる形状であり、もう片方の軸受面が、この中膨らみの形状に対応した中凹み形状形状であるため、ラジアル方向の荷重だけでなく、アキシャル方向の荷重も受けることができる。
この発明において、上記内方部材が、軸とこの軸の外周に固定された2つのコーン型の軸受リングとでなるものであっても良い。この場合に、これら2つの軸受リングは、外径が小径側となる端部を互い対向させる。
中膨らみ形状の軸受面と中凹み形状の軸受面とを対向させる場合、組み立ての都合上、内方部材および外方部材のいずれか一方を分割形式にすることが必要となる。ここでは、内方部材を軸と2つの軸受リングとで構成して中凹み形状の軸受面を形成するものとしたため、分割形式としながら、内方部材の組み立てが容易である。外方部材は一体部材としても、組立性を阻害することがない。
この発明において、上記磁性流体軸受は、ハードディスクドライブ装置用のスイングアームの支点軸受として用いられるものであっても良い。
ハードディスクドライブ装置用のスイングアームの支点軸受では、正逆の揺動運動を支持することになるが、この磁性流体軸受は、上記のように非回転の状態においても非接触で低摩擦の支持が行える。また、軸受隙間内に常に磁性流体が介在するため、揺動位置決めの停止時に、高い減衰機能を持つことができ、迅速にかつ高精度に位置決めが行える。
この発明の磁性流体軸受は、環状の軸受隙間を介して互いに内外に位置する静止側部材および回転側部材を有し、上記静止側部材および回転側部材のいずれか一方の部材の、上記軸受隙間を形成する軸受面を複数の磁極を有する磁極面とし、他方の部材の上記軸受隙間を形成する軸受面を非磁性面とし、上記軸受隙間に磁性流体を充填した磁性流体軸受であって、上記静止側部材の軸受面および回転側部材の軸受面のいずれか片方の軸受面を、軸方向に沿う断面が中膨らみとなる形状とし、もう片方軸受面を中凹み形状としたため、ラジアル方向とアキシャル方向の両荷重を受けることができる。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。この磁性流体軸受1は、環状の軸受隙間gを介して互いに内外に位置する内方部材2および外方部材3を有し、前記軸受隙間gに磁性流体4を充填したものである。磁性流体4には潤滑性のあるものが用いられる。軸受隙間gを形成する一方の軸受面2aは、内方部材2の外周面からなり、複数の磁極N,S(図2)を有する磁極面とされている。軸受隙間gを形成する他方の軸受面3aは、外方部材3の内周面からなり、非磁性面とされている。この実施形態では、内方部材2が固定側部材とされ、外方部材3が回転側部材とされる。
内方部材2の軸受面2aは、軸方向に沿う断面が中凹み形状とされ、外方部材3の軸受面3aは、軸方向に沿う断面が、上記中凹み形状の軸受面2aに沿う中膨らみとなる形状とされている。これにより、磁性流体4の充填される軸受隙間gは、軸方向に沿う断面が中凹み形状の筒状とされる。
具体的には、内方部材2は、軸5と、この軸5の外周に固定されて軸方向に互いに近接して並ぶ2つのコーン型の軸受リング6A,6Bとでなる。これら2つの軸受リング6A,6Bは永久磁石材料からなり、軸受面2aとなるテーパ面の傾きが互いに逆向きとなるように、すなわち互いに近接する一端部から他端部側に向けて前記テーパ面が上昇傾斜するように並べられている。これにより、内方部材2の軸受面2aの軸方向に沿う断面が中凹み形状とされている。外方部材3は非磁性材料からなる一体の部材であって、その内周面からなる軸受面3aが、内方部材2の軸受面2aに沿ってその軸受面2aとの間に前記軸受隙間gを形成するように、断面中膨らみ形状とされている。
磁極面とされる内方部材2の軸受面2aには、着磁を施すことで磁極N,Sが設けられる。軸受面2aの各磁極N,Sは、図2に縦断面図で、図3に図2のIII −III 矢視断面図で示すように、軸方向および周方向に並んで全面に設けられ、隣接する磁極間で極性が互いに異なるようにされている。隣接する磁極は、互いに接していても、また離れていても良い。
内方部材2の構成部品である軸5は、内径面に雌ねじを形成した中空軸からなる。この軸5は、永久磁石材料であっても非磁性材料であっても良い。
この磁性流体軸受1の組立は、次の手順で行われる。
(1) 軸5の外周に片方の軸受リング6Aを固定する。
(2) (1)の工程で得られた内方部材2の半製品を外方部材3内に挿入し、この状態で、もう片方の軸受リング6Bを軸5の外周に挿入する。
(3) 内方部材2と外方部材3の間に設計した軸受隙間gが残るように、軸受リング6Bの軸方向位置を決めて固定する。軸受隙間gの検出は、外方部材3の軸方向ガタを測定することによって求めることができる。
(4) 軸受隙間gに磁性流体4を注入する。
この構成の磁性流体軸受1によると、磁性流体4が個々の磁極S,Nの表面に集まって軸受隙間g内に保持される。軸5に外力が作用して軸受隙間gが円周の一部で小さくなろうとしても、磁極N,Sにより保持された磁性流体4は移動することがなく、軸受隙間gは潤滑性のある磁性流体4の介在により、全周にわたって一定の大きさに保持される。すなわち、回転側部材である外方部材3は、回転時だけでなく、非回転の状態においても、固定側部材である内方部材2と非接触でかつ軸心位置に支持され、高剛性で低摩擦の軸受となる。
しかも、磁性流体4の充填される軸受隙間gが軸方向に沿う断面中凹み形状とされているので、ラジアル方向の荷重だけでなく、アキシャル方向の荷重も受けることができる。したがって、例えばHDD装置の支点軸受のような揺動運動部に適用した場合に、起動摩擦のない支持が行える。また、軸受隙間g内に常に潤滑性のある磁性流体4が介在するため、揺動位置決めの停止時に、高い減衰機能を持つことができ、迅速にかつ高精度に位置決めが行える。
また、この実施形態では、軸受隙間gを軸方向に沿う断面中凹み形状とし、しかも内方部材2を、軸5と、この軸5の外周に固定された2つのコーン型の軸受リング6A,6Bとで構成しているので、外方部材3を一体部材としても、組立性を阻害することがない。内方部材2の軸5と軸受リング6A,6Bとの組み立ては、圧入等によって容易に行うことができる。
図4は、上記構成の磁性流体軸受1を支点軸受として使用したHDD装置におけるスイングアーム装置を示す断面図である。このスイングアーム装置21は、スイングアーム22を、磁性流体軸受1を介して基台23の上に正逆回動自在に設置してある。スイングアーム22の一端に、磁気ディスク25の情報記録面に対向する磁気ヘッド24を設け、スイングアーム22を正逆に駆動するヘッド位置決め機構26を設けている。
基台23はHDD装置のハウジング等からなる。磁性流体軸受1の軸5は、上記したように内径面に雌ねじを形成した中空軸からなり、基台23の裏面から挿通した止めねじ27により基台23に固定されている。ヘッド位置決め機構26は、スイングアーム22の他端に設けたロータ26aと、このロータ26aに対向して基台23に設置したステータ26bとで構成される揺動型のモータからなる。この例では、ロータ26aにコイルが設けられ、ステータ26bに磁石が用いられている。この逆に、ロータ26aを磁石、ステータ26bをコイルとしても良い。
図5ないし図7は、この発明の他の実施形態を示す。この磁性流体軸受1Aは、図1〜図3に示した第1の実施形態において、磁性流体4の充填される軸受隙間gを、軸方向に沿う断面中膨らみ形状の筒状としている。具体的には、内方部材2の軸受リング6は第1の実施形態の場合のような分割型ではなく一体の部材とされ、その外周面からなる軸受面2aは、軸方向に沿う断面が中膨らみ形状とされている。また、外方部材3の軸受面3aは軸方向に沿う断面が中凹み形状とされている。これにより、磁性流体4の充填される軸受隙間gが軸方向に沿う断面中膨らみ形状とされる。外方部材3は、図では一体のものとして示しているが、例えば軸受面3aの最大径となる軸方向位置で、軸方向に分割されたものとしても良い。
内方部材2の軸受面2aの各磁極N,Sが軸方向および周方向に並んで全面に設けられることは、図6に縦断面図で、図7に図6のVII −VII 矢視断面図で示すように、第1の実施形態の場合と同じである。
この実施形態の場合、磁性流体4の充填される軸受隙間gが軸方向に沿う断面中膨らみ形状とされているので、第1の実施形態の場合と同様に、ラジアル方向の荷重だけでなく、アキシャル方向の荷重も受けることができる。
なお、上記各実施形態では、内方部材2が固定側部材、外方部材3が回転側部材である場合について説明したが、逆に内方部材2が回転側部材、外方部材3が固定側部材の場合にも同様に適用できる。
また、上記各実施形態では、内方部材2の軸受リング6,6a,6bの軸受面2aを磁極面とし、外方部材3の軸受面3aを非磁性面とした場合ついて説明したが、逆に内方部材2の軸受リング6,6a,6bの軸受面2aを非磁性面とし、外方部材3の軸受面3aを磁極面としても良い。
各軸受面2a,3aは、上記各実施形態のような円すい状面に限らず、軸方向に沿う断面が曲線となる面であっても良い。
この第1の実施形態にかかる磁性流体軸受の縦断面図である。 同磁性流体軸受の磁性流体注入前の状態を示す縦断面図である。 図2におけるIII −III 矢視断面図である。 同磁性流体軸受を用いたHDD装置のスイングアーム装置の断面図である。 この発明の他の実施形態にかかる磁性流体軸受の縦断面図である。 同磁性流体軸受の磁性流体注入前の状態を示す縦断面図である。 図6におけるVII −VII 矢視断面図である。 従来例の縦断面図である。 (A)は他の従来例の縦断面図、(B)はその横断面図である。
符号の説明
1,1A…磁性流体軸受
2…内方部材(固定側部材)
3…外方部材(回転側部材)
2a…軸受面(磁極面)
3a…軸受面(非磁性面)
4…磁性流体
6,6A,6B…軸受リング
g…軸受隙間

Claims (3)

  1. 環状の軸受隙間を介して互いに内外に位置する静止側部材および回転側部材を有し、上記静止側部材および回転側部材のいずれか一方の部材の、上記軸受隙間を形成する軸受面を複数の磁極を有する磁極面とし、他方の部材の上記軸受隙間を形成する軸受面を非磁性面とし、上記軸受隙間に磁性流体を充填した磁性流体軸受であって、
    上記静止側部材の軸受面および回転側部材の軸受面のいずれか片方の軸受面を、軸方向に沿う断面が中膨らみとなる形状とし、もう片方の軸受面を中凹み形状としたことを特徴とする磁性流体軸受。
  2. 請求項1において、上記内方部材が、軸とこの軸の外周に固定された2つのコーン型の軸受リングとでなり、これら2つの軸受リングは、外径が小径側となる端部を互い対向させた磁性流体軸受。
  3. 請求項1または請求項2記載の磁性流体軸受であって、ハードディスクドライブ装置用のスイングアームの支点軸受として用いられるものである磁性流体軸受。
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