JP2006342463A - 高強度ポリエチレン繊維からなる防護手袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のゲル紡糸法のような手法では得ることが困難であった高強度であり繊維の内部構造が均一かつ繊維を構成するフィラメント強度のバラツキの少ない新規なポリエチレン繊維を利用した均一性が高く信頼性の高い手袋を提供する。
【解決手段】 モノクリニック由来の結晶サイズが8nm以下であり、オルソロンビック結晶(200)と(020)回折面由来の結晶サイズの比が0.85以上1.15以下、応力ラマンシフトファクターが−4.5cm-1/(cN/dTex)以上、マルチフィラメントを構成するフィラメントの平均強度が20cN/dTex以上、結節強度の保持率が40%以上、単糸強度のばらつきを示すCVが25%以下、破断伸度が2.5%以上6.0%以下、単糸繊度が10dTex以下、繊維の融点が145℃以上である高強度ポリエチレン繊維を用いて手袋を作成。
【選択図】なし
【解決手段】 モノクリニック由来の結晶サイズが8nm以下であり、オルソロンビック結晶(200)と(020)回折面由来の結晶サイズの比が0.85以上1.15以下、応力ラマンシフトファクターが−4.5cm-1/(cN/dTex)以上、マルチフィラメントを構成するフィラメントの平均強度が20cN/dTex以上、結節強度の保持率が40%以上、単糸強度のばらつきを示すCVが25%以下、破断伸度が2.5%以上6.0%以下、単糸繊度が10dTex以下、繊維の融点が145℃以上である高強度ポリエチレン繊維を用いて手袋を作成。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規な高強度ポリエチレン繊維を使用した防護手袋に関する。詳しくは、本発明による均一性が高い高強度ポリエチレン繊維からなるニット状物,又は織物を用いることにより、部分的に強度が弱い部分が極めて小さく、刃物など鋭利な物に対し、性能が安定して高く、信頼性の高い耐切創性を有する手袋に関する発明である。
高強度ポリエチレン繊維に関しては、超高分子量のポリエチレンを原料にし、いわゆる“ゲル紡糸法”により従来にない高強度・高弾性率繊維が得られることが知られており、既に産業上広く利用されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
これらの広範囲な要求を満足するのに有効な手段は、繊維の内部に存在する欠陥を限りなく少なくすることである。加えて繊維を構成するフィラメントが均一で有ることである。従来のゲル紡糸法では、この内部の欠陥構造が十分低いレベルに押さえられていなかった。また、繊維を構成するそれぞれのフィラメント強度のバラツキも大きかった。これらの原因について、本発明者らは次のように考えている。
従来のゲル紡糸という手法を用いた場合、超延伸操作が可能となり高強度・高弾性率化は達成され、結果として出来てきた繊維の構造は小角X線散乱測定に於いて長周期構造が観察されないほど高度に結晶化・秩序化してしまう反面、後で詳しく説明するように、どうしても消去する事が出来ない欠陥構造が生成するため、この凝集が繊維に応力を与えたとき繊維内部に大きな応力分布が誘引される問題があった。繊維のスキンコア構造などは、この欠陥構造の一つであると考えている。
発明者らは、モノクリニック由来の結晶サイズを低く抑えることが結節強度を良好な状態に持っていくために最も重要であることを見出した。理由は定かではないが、出来たポリエチレン繊維のX線回折をとるとオルソロンビック結晶系由来の回折点がメインではあるが、若干のモノクリニック回折由来のピークが確認できる。今回検討の結果、モノクリニック回折由来の結晶サイズをある一定以下に抑えることが重要であることを見出した。この理由については正確には明らかではないが、大略以下のとおりであると理解している。すなわち、溶媒の抜けたキセロゲルの状態から延伸したとき、モノクリニック結晶の成長を阻害する溶媒分子が少ないためか、モノクリニック由来結晶のサイズが比較的大きく成長することを見出した。このような、モノクリニック結晶がある限度以上のサイズまで成長した状態になると、繊維が変形を受けたときモノクリニック由来の結晶とオルソロンビック由来の結晶の間に応力集中が生じ破壊の起点となり得る。結果的に結節強度の観点からも不利となり好ましくない。
次に発明者らは、結節強度と繊維を構成する微細結晶サイズ、配向、繊維各部位でのこれら構造パラメーターのばらつきとの間に相関関係があることを見出したのである。結節強度を向上させるためには、繊維が微視的に見ても巨視的に見ても、しなやかに任意に曲げ得る状態が理想の状態である。この時、曲げたことが原因による繊維微細構造の破壊の可能性をできる限り低く抑える必要がある。このとき、繊維の結晶配向や結晶サイズはできるだけ高く、大きくする必要があると同時に、あまり大きく高くしすぎると残留するアモルファス領域との対比(コントラスト)がつきすぎるため、かえって結節強度が悪くなる。さらには、繊維の各部位での結晶サイズや配向も大体同じ程度に作りこむことが肝要であることを発明者らは見出したのである。なぜならば、もし微細構造の各部位、特に隣接する部位間に結晶サイズや配向などに構造不均一があれば、変形を与えたときにその不均一個所を起点として応力集中が発生し、結果として結節強度の低下を招くのである。
構造中で生じる応力分布は例えばYoungらが示したようにラマン散乱法を用いて測定することが出来る(Journal of Materials Science, 29, 510 (1994))。ラマンバンド即ち基準振動位置は繊維を構成する分子鎖の力の定数と分子の形(内部座標)から構成される方程式を解くことにより決定されるが(E. B. Wilson, J. C. Decius, P.C. Cross著Molecular Vibrations, Dover Publications (1980))、この現象の理論的な説明として例えばWoolらが説明を与えたように繊維が歪むにつれて該分子も歪み結果として基準振動位置が変化するのである(Macromolecules, 16, 1907 (1983))。欠陥凝集などの構造不均一が存在すると、外部歪みを与えたときに繊維中の部位により生じる応力が異なることになる。この変化はバンドプロファイルの変化として検出できるため、逆に繊維に応力を与えたとき、その強度とラマンバンドプロファイルの変化の関係を調べることから繊維内部に誘引された応力分布を定量出来るということになる。即ち、構造不均一が小さい繊維は後述するように、ラマンシフトファクターがある領域の値をとるようになるのである。上記に加えてこれまで開示されている“ゲル紡糸法”による高強度ポリエチレン繊維その高度に配向した構造故に、引っ張り強度は非常に強いものの結節強度のように繊維が折れ曲がった状態となると、比較的低い応力で容易に破断してしまう欠点があった。さらに繊維中に例えばスキンコア構造の様な繊維の断面方向に不均一構造が存在すると、折れ曲がった状態では、さらに容易に繊維が破断する。発明者ら鋭意検討し、構造不均一の小さい繊維は、折れ曲がった状態での引っ張り状態に強いことを発見した。即ち構造不均一が小さい繊維は、引っ張り強度に対する結節強度の割合が高くなる。
そこで、これまで開示されている“ゲル紡糸法”による高強度ポリエチレン繊維の欠点は、通常の溶融紡糸法などによって得られる繊維に比べて、ノズル孔より紡出後の状態によって、単糸繊維間に強度のむらが生じてしまうことである。その為、特にヤーンの平均繊度当たりの強度と比較して著しく強度の低い単糸が存在してしまう問題点があった。繊維中にこのような平均強度より低い強度を持つ単繊維が存在すると、例えば、繊維が摩擦を受けた場合等。特に、釣り糸・ロープ・防弾・防護衣料などに本繊維を用いる場合、太細むらが存在すると細い部分で応力が集中し破断が生じる。また、製造工程に於いても単糸切れなどによる工程トラブルの原因となり生産性に悪い影響を与える。本発明はこれらの問題が改善された単糸間強度のばらつきの少ない均一性に優れる高強度ポリエチレン繊維を提供するものである。
本発明者らは鋭意検討し、従来のゲル紡糸法のような手法では得ることが困難であった高強度であり繊維の内部構造が均一かつ繊維を構成するフィラメント強度のバラツキの少ない繊維、すなわち、ポリエチレン繊維中に含まれるオルソロンビック(直方体)とモノクリニック(斜方)のうちの、モノクリニック由来の結晶サイズが小さいことに特徴がある繊維を得ることに成功し本発明に到達した。
即ち本発明は以下の構成によりなる。
1.モノクリニック由来の結晶サイズが9nm以下であることを特徴とする高強度ポリエチレン繊維を含んでなる防護手袋。
2.前記ポリエチレン繊維において、オルソロンビック結晶(200)と(020)回折面由来の結晶サイズの比が0.8以上1.2以下である防護手袋。
3.前記ポリエチレン繊維の応力ラマンシフトファクターが−5.0cm-1/(cN/dTex)以上であることを特徴とする防護手袋。
4.前記ポリエチレン繊維の平均強度が20cN/dTex以上であることを特徴とする防護手袋。
5.前記高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの結節強度の保持率が40%以上であることを特徴とする防護手袋。
6.前記高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの単糸強度のばらつきを示すCVが25%以下であることを特徴とする防護手袋。
7.前記高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの破断伸度が2.5%以上6.0%以下であることを特徴とする防護手袋。
8.前記高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの単糸繊度が10dTex以下であることを特徴とする防護手袋。
9.前記高強度ポリエチレン繊維の融点が145℃以上であることを特徴とする防護手袋。
10.前記高強度ポリエチレン繊維が、マルチフィラメントであることを特徴とする防護手袋。
1.モノクリニック由来の結晶サイズが9nm以下であることを特徴とする高強度ポリエチレン繊維を含んでなる防護手袋。
2.前記ポリエチレン繊維において、オルソロンビック結晶(200)と(020)回折面由来の結晶サイズの比が0.8以上1.2以下である防護手袋。
3.前記ポリエチレン繊維の応力ラマンシフトファクターが−5.0cm-1/(cN/dTex)以上であることを特徴とする防護手袋。
4.前記ポリエチレン繊維の平均強度が20cN/dTex以上であることを特徴とする防護手袋。
5.前記高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの結節強度の保持率が40%以上であることを特徴とする防護手袋。
6.前記高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの単糸強度のばらつきを示すCVが25%以下であることを特徴とする防護手袋。
7.前記高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの破断伸度が2.5%以上6.0%以下であることを特徴とする防護手袋。
8.前記高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの単糸繊度が10dTex以下であることを特徴とする防護手袋。
9.前記高強度ポリエチレン繊維の融点が145℃以上であることを特徴とする防護手袋。
10.前記高強度ポリエチレン繊維が、マルチフィラメントであることを特徴とする防護手袋。
従来のゲル紡糸法では、十分低いレベルに押さえられていなかった繊維の内部に存在する欠陥を限りなく少なくかつマルチフィラメントを構成するフィラメントの強度のバラツキの小さい均一な高強度ポリエチレン繊維を提供することを可能とした。
本発明の繊維を使用することにより、従来の作業用手袋に比較し耐切創性の良好な手袋を得る事が出来る。
本発明の繊維を使用することにより、従来の作業用手袋に比較し耐切創性の良好な手袋を得る事が出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る繊維を得る手法に関しては、新規な手法が必要であり、例えば以下のような方法が推奨されるが、それに限定されるものでは無い。すなわち本繊維の製造に当たっては、その原料となる高分子量のポリエチレンの極限粘度[η]は5以上であることが必要であり、好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上であることが望ましい。極限粘度が5未満であると、所望とする強度20cN/dtexを超えるような高強度繊維が得られない。一方ポリエチレンの極限粘度[η]は35以下であることが好ましく、より好ましくは30以下、さらに好ましくは25以下である。極限粘度が高すぎると、加工性が低下して繊維化が困難になる。
本発明に係る繊維を得る手法に関しては、新規な手法が必要であり、例えば以下のような方法が推奨されるが、それに限定されるものでは無い。すなわち本繊維の製造に当たっては、その原料となる高分子量のポリエチレンの極限粘度[η]は5以上であることが必要であり、好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上であることが望ましい。極限粘度が5未満であると、所望とする強度20cN/dtexを超えるような高強度繊維が得られない。一方ポリエチレンの極限粘度[η]は35以下であることが好ましく、より好ましくは30以下、さらに好ましくは25以下である。極限粘度が高すぎると、加工性が低下して繊維化が困難になる。
本発明における超高分子量ポリエチレンとは、その繰り返し単位が実質的にエチレンであることを特徴とし、少量の他のモノマー例えばα−オレフィン,アクリル酸及びその誘導体,メタクリル酸及びその誘導体,ビニルシラン及びその誘導体などとの共重合体であっても良いし、これら共重合物どうし、あるいはエチレン単独ポリマーとの共重合体、さらには他のα−オレフィン等のホモポリマーとのブレンド体であってもよい。特にプロピレン,ブテンー1などのαオレフィンと共重合体を用いることで短鎖あるいは長鎖の分岐をある程度含有させることは本繊維を製造する上で、特に紡糸・延伸においての製糸上の安定を与えることとなり、より好ましい。しかしながらエチレン以外の含有量が増えすぎると延伸の阻害要因となるため、高強度・高弾性率繊維を得るという観点からは、上記α−オレフィン等の他のモノマーは、モノマー単位で0.2mol%以下、好ましくは0.1mol%以下であることが望ましい。もちろんエチレン単独のホモポリマーであっても良い。
本発明の推奨する製造方法においては、このような高分子量のポリエチレンをデカリン
・テトラリン等の揮発性の有機溶剤を用いて溶解することが好ましい。常温固体または非揮発性の溶剤では、紡糸での生産性が非常に悪くなる。この理由は、揮発溶媒を用いることで、紡糸の初段階において紡糸口金からの吐出後のゲル糸表面に存在する溶媒が若干蒸発する。この時の溶媒の蒸発に伴う蒸発潜熱による冷却効果により製糸状態が安定するものと考えている。溶解する際の濃度は30wt%以下、好ましくは20wt%以下が好ましい。原料超高分子量ポリエチレンの極限粘度[η]に応じて最適な濃度を選択する必要性がある。さらに紡糸の段階において紡糸口金温度をポリエチレンの融点から30度以上、用いた溶媒の沸点以下にする事が好ましい。ポリエチレンの融点近傍の温度領域では、ポリマーの粘度が高すぎ、素早い速度で引き取ることが出来ない。また、用いる溶媒の沸点以上の温度では、紡糸口金を出た直後に溶媒が沸騰するため、紡糸口金直下で糸切れが頻繁に発生するので好ましくない。
・テトラリン等の揮発性の有機溶剤を用いて溶解することが好ましい。常温固体または非揮発性の溶剤では、紡糸での生産性が非常に悪くなる。この理由は、揮発溶媒を用いることで、紡糸の初段階において紡糸口金からの吐出後のゲル糸表面に存在する溶媒が若干蒸発する。この時の溶媒の蒸発に伴う蒸発潜熱による冷却効果により製糸状態が安定するものと考えている。溶解する際の濃度は30wt%以下、好ましくは20wt%以下が好ましい。原料超高分子量ポリエチレンの極限粘度[η]に応じて最適な濃度を選択する必要性がある。さらに紡糸の段階において紡糸口金温度をポリエチレンの融点から30度以上、用いた溶媒の沸点以下にする事が好ましい。ポリエチレンの融点近傍の温度領域では、ポリマーの粘度が高すぎ、素早い速度で引き取ることが出来ない。また、用いる溶媒の沸点以上の温度では、紡糸口金を出た直後に溶媒が沸騰するため、紡糸口金直下で糸切れが頻繁に発生するので好ましくない。
本発明の均一な繊維を製造する方法において重要な因子について記載する。1つ目は、ノズル下でオリフィスから吐出された吐出溶液に各々に対して独立に、予め整流された高温の不活性ガスを供給することである。この時の供給する不活性ガスの速度は、1m/s以内が好ましい。1m/s以上となると溶媒蒸発速度が速くなり、糸断面方向に不均一な構造ができる。さらには、繊維が破断してしまう可能性がある。またこの時の不活性ガスの温度は、ノズルの温度に対してプラスマイナス10度の範囲が好ましく更に好ましくは、プラスマイナス5度である。各々の吐出糸状に対して独立に不活性ガスを供給する事により各々の糸状の冷却状態が均一となり、均一な構造を持つ未延伸糸が得られる。この均一な構造を持つ未延伸糸を均一に延伸することにより、所望の均一な高強度ポリエチレン繊維を得ることが可能となる推測している。
2つ目は、紡糸口金から吐出した吐出ゲル糸状を急激かつ均一に冷却すること及び冷却媒体とゲル糸状の冷却速度差である。その冷却速度は、1000度/s以上が好ましい、さらに好ましくは3000度/s以上である。また、速度差に関しては、速度差の積分値(口金から吐出後の時間で積分)、即ち累積速度差が30m/min以下であることが好ましい。さらに好ましくは、15m/min以下である。以上より、均一性に優れる未延伸糸を得ることが可能となる。ここで、累積速度差は次のように計算することが出来る。
累積速度差=∫(糸状の速度−糸状引き取り方向の冷却媒体の速度)
累積速度差=∫(糸状の速度−糸状引き取り方向の冷却媒体の速度)
このように急激にかつ均一に冷却することにより繊維断面方向が均一な未延伸糸を製造することが可能となる。吐出糸状の冷却速度が遅くなると繊維の内部構造に不均一な状態が発生する。また、多フィラメントの場合、各フィラメントの冷却状態が異なるとフィラメント間での不均一性が増加する。また、引き取り糸状と冷却媒体の速度差が大きいと、引き取り糸状と冷却媒体の間で摩擦力が働く事により十分な紡糸速度で引き取ることが困難となる。
このような冷却速度を得るためには、冷却媒体として熱伝達係数の大きい液体を用いることが推奨される。なかでも、使用する溶媒と非相溶である液体が好ましい。例えば、簡便さから水が推奨される。
このような冷却速度を得るためには、冷却媒体として熱伝達係数の大きい液体を用いることが推奨される。なかでも、使用する溶媒と非相溶である液体が好ましい。例えば、簡便さから水が推奨される。
また、累積速度差を小さくする為には、以下のような手法が考えられるが、本発明はそれに限定されるものではない。例えば、円筒状バスの中心に漏斗を取り付け、液体とゲル糸を同時に引き取ったり、滝の様に落下している液体にゲル糸を沿わして同時に引き取ったりする方法が推奨される。このような方法を用いることで、静止している液体を用いてゲル糸を冷却した場合と比較し、累積速度差を小さくすることが可能となる。
3つ目は、紡糸口金から吐出した吐出ゲル糸状が冷却媒体と接触するまでに走行する気体媒質空間を部材で覆うことである。該気体媒質空間を外部空間から遮蔽しない場合、外部空間の温度や風速の変動により、該気体媒質空間において、該吐出ゲル糸状の冷却速度や該吐出ゲル糸状からの溶媒蒸発速度がモノフィラメント毎に変動し、モノフィラメント間の構造が不均一になる。さらには、モノフィラメントが破断してしまう可能性がある。部材の材質として断熱構造を有していることが推奨される。該吐出ゲル糸状の様子を視認できる様に、例えば耐熱ガラスが推奨される。該吐出ゲル糸状の様子を視認する必要がない場合は、実質的に真空な部分を介した二重構造を有する金属製の部材を用いてもよい。
冷却媒体として液体を用いる場合、液面変動を1mm以下にする必要がある。液面変動が1mmを越えると、モノフィラメントの長手方向及びモノフィラメント間における該気体媒質空間の通過時間の変動が顕著になり、モノフィラメントの構造不均一が長手方向、及びフィラメント間で顕著になる。特に液面変動が酷い場合、該気体媒質空間においてモノフィラメントが破断する。
冷却媒体として溶媒と非相溶で、且つ、溶媒よりも比重が大きい液体を用いる場合、該気体媒質中を通過する間に該吐出ゲル糸状から揮発した溶媒が液化し、経時的に冷却媒体上層に累積する。該累積溶媒を該ゲル糸状が冷却媒体に突入する部位より連続的に除去する必要がある。該累積溶媒を除去しない場合、該ゲル糸状突入部位に累積する溶媒層の厚みが経時的に増加し、該ゲル糸状同士の融着が生じる。該ゲル糸状同士の融着が酷い場合、糸物性が著しく低下する。
得られた未延伸糸をさらに加熱し、溶媒を除去しながら数倍に延伸、場合によっては多段延伸することにより前述の内部構造の均一性に優れた高強度ポリエチレン繊維を製造することが可能となる。この時、延伸時の繊維の変形速度が重要なパラメータとして上げられる。繊維の変形速度があまりにも速いと十分な延伸倍率到達する前に繊維の破断が生じてしまい好ましくない。また、繊維の変形速度があまりにも遅いと、延伸中に分子鎖緩和
してしまい延伸により繊維は細くなるものの高い物性の繊維が得られず好ましくない。好ましくは、変形速度で0.005s-1以上0.5s-1以下が好ましい。さらに好ましくは、0.01s-1以上0.1s-1以下である。変形速度は、繊維の延伸倍率、延伸速度及びオーブンの加熱区間長さより計算可能である。つまり、変形速度(s-1)=(1―1/延伸倍率)延伸速度/加熱区間の長さである。また、所望の強度の繊維を得るためには、繊維の延伸倍率は10倍以上、好ましくは12倍以上、さらに好ましくは15倍以上が推奨される。
してしまい延伸により繊維は細くなるものの高い物性の繊維が得られず好ましくない。好ましくは、変形速度で0.005s-1以上0.5s-1以下が好ましい。さらに好ましくは、0.01s-1以上0.1s-1以下である。変形速度は、繊維の延伸倍率、延伸速度及びオーブンの加熱区間長さより計算可能である。つまり、変形速度(s-1)=(1―1/延伸倍率)延伸速度/加熱区間の長さである。また、所望の強度の繊維を得るためには、繊維の延伸倍率は10倍以上、好ましくは12倍以上、さらに好ましくは15倍以上が推奨される。
モノクリニック由来の結晶サイズは、9nm以下であることが望ましく、さらに望ましくは8nm以下であり、特に望ましくは7nm以下である。結晶サイズが、9nmより大きい場合、繊維を変形させたとき、モノクリニック由来の微結晶とオルソロンビック由来の微結晶の間で応力集中が生じ、破壊の起点となる可能性があり望ましくない。
オルソロンビック結晶(200)と(020)回折面由来の結晶サイズの比が0.8以上1.2以下であることが望ましく、さらに望ましくは0.85以上1.15以下である、特に望ましくは0.9以上1.1以下である。ここで、オルソロンビック結晶(200)と(020)回折面由来の結晶サイズ比とは、(200)面に垂直方向の長さに相当する結晶サイズと(020)面に垂直方法の長さに相当する結晶サイズの比を意味する。
結晶サイズ比が0.8未満の場合、もしくは1.2より大きい場合、結晶の形を考えたとき、1つの軸方向に選択的に成長した形態となるため、繊維を変形させたときに、周りに存在する微結晶同士で衝突が生じ、応力集中や構造破壊につながることが考えられるため望ましくない。
結晶サイズ比が0.8未満の場合、もしくは1.2より大きい場合、結晶の形を考えたとき、1つの軸方向に選択的に成長した形態となるため、繊維を変形させたときに、周りに存在する微結晶同士で衝突が生じ、応力集中や構造破壊につながることが考えられるため望ましくない。
応力ラマンシフトファクターは−5.0cm-1/(cN/dTex)以上であることが望ましい、さらに望ましくは−4.5cm-1/(cN/dTex)以上であり、特に望ましくは−4.0cm-1/(cN/dTex)以上である。応力ラマンシフトファクターが−5.0cm-1/(cN/dTex)未満の場合、応力集中に起因する応力分布の存在を示唆するものであり望ましくない。
高強度ポリエチレン繊維において平均強度は20cN/dTex以上であることが望ましく、さらに望ましくは22cN/dTex以上であり、特に望ましくは24cN/dTex以上である。平均強度は20cN/dTex未満の場合、応用製品を作成したとき、製品としての強度が不足する可能性があり望ましくない。
高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの結節強度の保持率は40%以上であることが望ましく、さらに望ましくは43%であり、特に望ましくは45%以上である。結節強度の保持率が40%未満の場合、応用製品を作成するときに、工程通過中に糸がダメージを受ける可能性があり望ましくない。
高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの単糸強度のばらつきを示すCVは25%以下であることが望ましく、さらに望ましくは23%以下である、特に望ましくは21%以下である。単糸強度のばらつきを示すCVが25%より大きい場合、 応用製品を作成したときに、製品としての強度のばらつきに反映されるので望ましくない。
高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの破断伸度は2.5%以上6.0%以下であることが望ましい、さらに望ましくは3.0%以上5.5%以下であり、特に望ましくは3.5%以上5.0%以下である。破断伸度が2.5%未満の場合、製造時の工程通過中に繊維の単糸が切れることによる操業性の低下を招くためあり望ましくない。破断伸度が6.0%を超える場合、製品として使用したときに永久変形の影響が無視できなくなるため望ましくない。
高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの単糸繊度は、10dTex以下であることが望ましく、さらに望ましくは8dTex以下であり、特に望ましくは6dTex以下である。単糸繊度が10dTex以上であると、ネット用の繊維製造過程において所望の力学物性まで製品性能を高めることが困難になることがある。単糸繊度は、小さいことが好ましいが、細すぎると毛羽が立ち易くなるため0.1dTex以上が望ましい。
繊維の融点は、145℃以上であることが望ましく、さらに望ましくは148℃以上である。繊維の融点が、145℃以上であると、加温を必要とする工程において、より高い温度に繊維が耐えることが出来るため、処理の省力化の観点から望ましい。
以下に本発明における特性値に関する測定法および測定条件を説明する。
(マルチフィラメントの強度・伸度・弾性率)
本発明における強度,弾性率は、オリエンティック社製「テンシロン」を用い、試料長200mm(チャック間長さ)、伸長速度100%/分の条件で歪−応力曲線を雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で測定し、破断点での応力と伸びから強度(cN/dTex)、伸度(%)、曲線の原点付近の最大勾配を与える接線から弾性率(cN/dTex)を計算して求めた。なお、各値は10回の測定値の平均値を使用した。
本発明における強度,弾性率は、オリエンティック社製「テンシロン」を用い、試料長200mm(チャック間長さ)、伸長速度100%/分の条件で歪−応力曲線を雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で測定し、破断点での応力と伸びから強度(cN/dTex)、伸度(%)、曲線の原点付近の最大勾配を与える接線から弾性率(cN/dTex)を計算して求めた。なお、各値は10回の測定値の平均値を使用した。
(単繊維の強度)
フィラメント(単繊維)の強度、弾性率は、測定対象の1本のマルチフィラメントから無作為に10本の単糸(フィラメント)を抜き取りサンプルとした。フィラメントの構成本数が、10本に満たない場合は、すべての単糸(フィラメント)を測定対象とした。
測定は、単繊維約2mを各々取り出し、該繊維1mを使用し重さを測定し10000mに換算して繊度(dTex)とした。この単糸繊維1mの長さの測定時、単糸繊度の約1/10の荷重を掛けて定長のサンプルを作成した。残りの部分を使用して、繊維の強度と同じ方法で強度を測定した。CVは以下の計算式で計算される。
CV=単糸強度の標準偏差/単糸強度の平均値×100
フィラメント(単繊維)の強度、弾性率は、測定対象の1本のマルチフィラメントから無作為に10本の単糸(フィラメント)を抜き取りサンプルとした。フィラメントの構成本数が、10本に満たない場合は、すべての単糸(フィラメント)を測定対象とした。
測定は、単繊維約2mを各々取り出し、該繊維1mを使用し重さを測定し10000mに換算して繊度(dTex)とした。この単糸繊維1mの長さの測定時、単糸繊度の約1/10の荷重を掛けて定長のサンプルを作成した。残りの部分を使用して、繊維の強度と同じ方法で強度を測定した。CVは以下の計算式で計算される。
CV=単糸強度の標準偏差/単糸強度の平均値×100
(単繊維の結節強度保持率)
フィラメント(単繊維)の強度、弾性率は、測定対象の1本のマルチフィラメントから無作為に10本の単糸(フィラメント)を抜き取りサンプルとした。フィラメントの構成本数が、10本に満たない場合は、すべての単糸(フィラメント)を測定対象とした。
測定は、単繊維約2mを各々取り出し、該繊維1mを使用し重さを測定し10000mに換算して繊度(dTex)とした。この単糸繊維1mの長さの測定時、単糸繊度の約1/10の荷重を掛けて定長のサンプルを作成した。さらに該繊維の残りの部分を使用して、単繊維の真ん中に結び目を作成した後、繊維の強度と同じ方法で引っ張り試験を実施した。この時、結び目の作り方は、JIS L1013に記載されている図3に準じて行った。尚結び目の方向は常に同じとし、図3のbとした。
結節強度保持率=単糸結節強度の平均値/単糸強度の平均値×100
フィラメント(単繊維)の強度、弾性率は、測定対象の1本のマルチフィラメントから無作為に10本の単糸(フィラメント)を抜き取りサンプルとした。フィラメントの構成本数が、10本に満たない場合は、すべての単糸(フィラメント)を測定対象とした。
測定は、単繊維約2mを各々取り出し、該繊維1mを使用し重さを測定し10000mに換算して繊度(dTex)とした。この単糸繊維1mの長さの測定時、単糸繊度の約1/10の荷重を掛けて定長のサンプルを作成した。さらに該繊維の残りの部分を使用して、単繊維の真ん中に結び目を作成した後、繊維の強度と同じ方法で引っ張り試験を実施した。この時、結び目の作り方は、JIS L1013に記載されている図3に準じて行った。尚結び目の方向は常に同じとし、図3のbとした。
結節強度保持率=単糸結節強度の平均値/単糸強度の平均値×100
(極限粘度)
135度のデカリンにてウベローデ型毛細粘度管により、種々の希薄溶液の比粘度を測定し、その粘度の濃度にたいするプロットの最小2乗近似で得られる直線の原点への外挿点より極限粘度を決定した。測定に際し、サンプルを約5mm長の長さにサンプルを分割または切断し、ポリマーに対して1wt%の酸化防止剤(商標名「ヨシノックスBHT」吉富製薬製)を添加し、135度で4時間攪拌溶解して測定溶液を調整した。
135度のデカリンにてウベローデ型毛細粘度管により、種々の希薄溶液の比粘度を測定し、その粘度の濃度にたいするプロットの最小2乗近似で得られる直線の原点への外挿点より極限粘度を決定した。測定に際し、サンプルを約5mm長の長さにサンプルを分割または切断し、ポリマーに対して1wt%の酸化防止剤(商標名「ヨシノックスBHT」吉富製薬製)を添加し、135度で4時間攪拌溶解して測定溶液を調整した。
(示差走査熱量計測定)
示差走査熱量計測定はパーキンエルマー社製「DSC7型」を用いた、予め5mm以下に裁断したサンプルをアルミパンに約5mg充填封入し、同様の空のアルミパンをリファレンスにして10度/分の昇温速度で室温から200度まで上昇させ、その吸熱ピークを
求めた。得られた曲線の最も低温側に現れる融解ピークのピークトップの温度を融点とした。
示差走査熱量計測定はパーキンエルマー社製「DSC7型」を用いた、予め5mm以下に裁断したサンプルをアルミパンに約5mg充填封入し、同様の空のアルミパンをリファレンスにして10度/分の昇温速度で室温から200度まで上昇させ、その吸熱ピークを
求めた。得られた曲線の最も低温側に現れる融解ピークのピークトップの温度を融点とした。
(ラマン散乱測定)
ラマン散乱スペクトルは、下記の方法で測定を行った。ラマン測定装置(分光器)はレニショー社のシステム1000を用いて測定した。光源はヘリウムーネオンレーザー(波長633nm)を用い、偏光方向に繊維軸が平行になるように繊維を設置して測定した。ヤーンから単繊維(モノフィラメント)を分繊し、矩形(縦50mm横10mm)の穴が空いたボール紙の穴の中心線上に、長軸が繊維軸と一致するように貼り、両端をエポキシ系接着剤(アラルダイト)で止めて2日間以上放置した。その後マイクロメーターで長さが調節できる治具に該繊維を取り付け、単繊維を保持するボール紙を注意深く切り取った後所定の荷重を繊維に印加し、該ラマン散乱装置の顕微鏡ステージにのせ、ラマンスペクトルを測定した。このとき、繊維に働く応力と歪を同時に測定した。ラマンの測定はStatic Modeにて測定範囲850cm-1から1350cm-1について1ピクセルあたりの分解能を1cm-1以下にしてデータを収集した。解析に用いたピークはC−C骨格結合の対称伸縮モードに帰属される1128cm-1のバンドを採用した。バンド重心位置と線幅(バンド重心を中心としたプロファイルの標準偏差、2次モーメントの平方根)を正確に求めるために、該プロファイルを2つのガウス関数の合成として近似することで、うまくカーブフィットできることが分かった。歪みをかけると2つのガウス関数のピーク位置が一致せずそれらの距離が遠ざかることが判明した。この様なとき本発明に於いてはバンド位置をピークプロファイルの頂点とは考えず、2つのガウスピークの重心位置でもってバンドピーク位置と定義した。定義を式1(重心位置,<x>)にしめす。バンド重心位置< x >と繊維にかかる応力をプロットしたグラフを作成する。得られたプロットの最小二乗法を用いた原点を通る近似曲線の勾配を応力ラマンシフトファクターと定義した。
ラマン散乱スペクトルは、下記の方法で測定を行った。ラマン測定装置(分光器)はレニショー社のシステム1000を用いて測定した。光源はヘリウムーネオンレーザー(波長633nm)を用い、偏光方向に繊維軸が平行になるように繊維を設置して測定した。ヤーンから単繊維(モノフィラメント)を分繊し、矩形(縦50mm横10mm)の穴が空いたボール紙の穴の中心線上に、長軸が繊維軸と一致するように貼り、両端をエポキシ系接着剤(アラルダイト)で止めて2日間以上放置した。その後マイクロメーターで長さが調節できる治具に該繊維を取り付け、単繊維を保持するボール紙を注意深く切り取った後所定の荷重を繊維に印加し、該ラマン散乱装置の顕微鏡ステージにのせ、ラマンスペクトルを測定した。このとき、繊維に働く応力と歪を同時に測定した。ラマンの測定はStatic Modeにて測定範囲850cm-1から1350cm-1について1ピクセルあたりの分解能を1cm-1以下にしてデータを収集した。解析に用いたピークはC−C骨格結合の対称伸縮モードに帰属される1128cm-1のバンドを採用した。バンド重心位置と線幅(バンド重心を中心としたプロファイルの標準偏差、2次モーメントの平方根)を正確に求めるために、該プロファイルを2つのガウス関数の合成として近似することで、うまくカーブフィットできることが分かった。歪みをかけると2つのガウス関数のピーク位置が一致せずそれらの距離が遠ざかることが判明した。この様なとき本発明に於いてはバンド位置をピークプロファイルの頂点とは考えず、2つのガウスピークの重心位置でもってバンドピーク位置と定義した。定義を式1(重心位置,<x>)にしめす。バンド重心位置< x >と繊維にかかる応力をプロットしたグラフを作成する。得られたプロットの最小二乗法を用いた原点を通る近似曲線の勾配を応力ラマンシフトファクターと定義した。
< x > = ∫x f(x) dx / ∫f(x) dx
f(x) = f1(x−a) + f2(x−b)
ここで fi はガウス関数を表す。
f(x) = f1(x−a) + f2(x−b)
ここで fi はガウス関数を表す。
[結晶サイズ及び配向の評価方法]
結晶サイズおよび配向評価はX線回折法を用いて測定した。X線ソースとしては大型放射光施設SPring8をX線源とし、BL24XUハッチを使用した。使用するX線のエネルギーは10keV(λ=1.2398Å)である。アンジュレーターを通して取り出したX線はモノクロメーター(シリコン結晶の(111)面)を通して単色化したのち、位相ゾーンプレートを用いてサンプル位置で収束するようにセットした。焦点の大きさは、縦横とも径が3μm以下になるように調整する。サンプル繊維はXYZステージに繊維軸が水平になるようにのせる。別に取り付けたトムソン散乱検出器を用いて検出しながらステージを微動せしめトムソン散乱強度を測定し、強度が最大になった点を繊維の中心と判定した。X線強度は非常に強いため、サンプルの露光時間が長すぎるとサンプルにダメージが入る。そこでX線回折測定時の露光時間は2分以内とした。この測定条件にて、繊維のスキン部から中心部にかけて実質的に等間隔な5点以上の部位にビームを当て、それぞれの場所についてのX線回折図形を測定した。X線回折図形はフジ製イメージングプレートを用いて記録した。データの読み出しはフジ製ミクロルミノグラフィーを用いて実施した。記録された画像データはパソコンに転送して、赤道方向および方位角方向のデータを切り出した後線幅を評価した。赤道方向の回折プロファイルの半値幅βから結晶サイズ(ACS)は次式に示すシェラーの式[式1]を用いて算出した。尚、回折ピークの同定はBunnら(Trans Faraday Soc., 35, 482 (1939)) に従った。結晶サイズとしては、5点以上について測定・評価して得た平均値を採用した。CVは下記の式を用いて算出した。
CV=結晶サイズの標準偏差/結晶サイズの平均値×100
結晶サイズおよび配向評価はX線回折法を用いて測定した。X線ソースとしては大型放射光施設SPring8をX線源とし、BL24XUハッチを使用した。使用するX線のエネルギーは10keV(λ=1.2398Å)である。アンジュレーターを通して取り出したX線はモノクロメーター(シリコン結晶の(111)面)を通して単色化したのち、位相ゾーンプレートを用いてサンプル位置で収束するようにセットした。焦点の大きさは、縦横とも径が3μm以下になるように調整する。サンプル繊維はXYZステージに繊維軸が水平になるようにのせる。別に取り付けたトムソン散乱検出器を用いて検出しながらステージを微動せしめトムソン散乱強度を測定し、強度が最大になった点を繊維の中心と判定した。X線強度は非常に強いため、サンプルの露光時間が長すぎるとサンプルにダメージが入る。そこでX線回折測定時の露光時間は2分以内とした。この測定条件にて、繊維のスキン部から中心部にかけて実質的に等間隔な5点以上の部位にビームを当て、それぞれの場所についてのX線回折図形を測定した。X線回折図形はフジ製イメージングプレートを用いて記録した。データの読み出しはフジ製ミクロルミノグラフィーを用いて実施した。記録された画像データはパソコンに転送して、赤道方向および方位角方向のデータを切り出した後線幅を評価した。赤道方向の回折プロファイルの半値幅βから結晶サイズ(ACS)は次式に示すシェラーの式[式1]を用いて算出した。尚、回折ピークの同定はBunnら(Trans Faraday Soc., 35, 482 (1939)) に従った。結晶サイズとしては、5点以上について測定・評価して得た平均値を採用した。CVは下記の式を用いて算出した。
CV=結晶サイズの標準偏差/結晶サイズの平均値×100
[式1] ACS=0.9λ/βcosθ
ここでλは使用したX線の波長、2θは回折角である。
配向角OAは得られた2次元回折図形のそれぞれについて、方位角方向に走査して求めたプロファイルの半値幅をとった。平均値を配向角として採用した。CVは次式を用いて算出した。
CV=配向角の標準偏差/配向角の平均値×100
CV=配向角の標準偏差/配向角の平均値×100
[モノクリニック結晶サイズの評価方法]
結晶サイズはX線回折法を用いて測定した。測定に供した装置はリガク製リント2500である。X線源として銅対陰極を選択した。運転出力は40kV200mAであった。コリメーターは0.5mmとし繊維を繊維試料台に取り付けて赤道方向および子午線方向にカウンターを走査してX線回折強度分布を測定した。この時受光スリットは縦制限横制限とも1/2°を選択した。回折プロファイルの半値幅βから結晶サイズ(ACS)は次式に示すシェラーの式[式2]を用いて算出した。
結晶サイズはX線回折法を用いて測定した。測定に供した装置はリガク製リント2500である。X線源として銅対陰極を選択した。運転出力は40kV200mAであった。コリメーターは0.5mmとし繊維を繊維試料台に取り付けて赤道方向および子午線方向にカウンターを走査してX線回折強度分布を測定した。この時受光スリットは縦制限横制限とも1/2°を選択した。回折プロファイルの半値幅βから結晶サイズ(ACS)は次式に示すシェラーの式[式2]を用いて算出した。
[式2] ACS=0.9λ/β0cosθ
ただし、β0=(β2 −βs)0.5
ここでλは使用したX線の波長、2θは回折角、βsは標準サンプルを用いて測定したX線ビームそのものの半値幅である。
ここでλは使用したX線の波長、2θは回折角、βsは標準サンプルを用いて測定したX線ビームそのものの半値幅である。
モノクリニックの結晶サイズはモノクリニック(010)由来の回折点の線幅からACSをシェラー式を用いて計算することにより求めた。尚、回折ピークの同定はSetoら(Jap. J. Appl. Phys., 7, 31 (1968))に従った。オルソロンビック結晶サイズの比は、(200)回折面由来の結晶サイズを(020)回折面由来の結晶サイズで除して求めた。
[防護手袋用素材の切創試験]
切創試験は・クープテスター(ソドマット(SODMAT)社製:フランス)を用いて行った。この装置は、円形刃を走行方向と逆方剛こ回転させながら試料の上を走行させて試料を切断し、切断し終わると試料の下に置いたアルミ箔が円形刃と接触することにより通電して試験が終了したことを感知するようになっており、円形刃が作動している間、装置に取り付けられているカウンターが円形刃の回転数に連動した数値をカウントするので、その数値を記録する。
この試験では、目付け約200g/m2の平織り綿布をブランクとして用い、このブランクに対する試料の相対的な切創レベルを耐切創性として、以下のように評価した。まず、ブランクから試験を開始し、ブランクと試料とを交互に試験し、試料を5回試験した後、最後にブランクを試験して、1つの試料に対する一連の試験を終了とした。それぞれのカウント値から次式によりIndex値を算出し、5回繰り返し実施した試験の平均値で耐切創性を評価した。
Index=(試料のカウント値+A)/A
A=(試料試験前の綿布のカウント値+試料試験後の綿布のカウント値)/2
なお、試験に用いた円形刃は、OLFA社製のロータリーカッターL型用45mmφ(材質SKS−タングステン鋼;刃厚0.3mm)であり、試験時に試料にかかる荷重は320gとした。
切創試験は・クープテスター(ソドマット(SODMAT)社製:フランス)を用いて行った。この装置は、円形刃を走行方向と逆方剛こ回転させながら試料の上を走行させて試料を切断し、切断し終わると試料の下に置いたアルミ箔が円形刃と接触することにより通電して試験が終了したことを感知するようになっており、円形刃が作動している間、装置に取り付けられているカウンターが円形刃の回転数に連動した数値をカウントするので、その数値を記録する。
この試験では、目付け約200g/m2の平織り綿布をブランクとして用い、このブランクに対する試料の相対的な切創レベルを耐切創性として、以下のように評価した。まず、ブランクから試験を開始し、ブランクと試料とを交互に試験し、試料を5回試験した後、最後にブランクを試験して、1つの試料に対する一連の試験を終了とした。それぞれのカウント値から次式によりIndex値を算出し、5回繰り返し実施した試験の平均値で耐切創性を評価した。
Index=(試料のカウント値+A)/A
A=(試料試験前の綿布のカウント値+試料試験後の綿布のカウント値)/2
なお、試験に用いた円形刃は、OLFA社製のロータリーカッターL型用45mmφ(材質SKS−タングステン鋼;刃厚0.3mm)であり、試験時に試料にかかる荷重は320gとした。
(実施例1〜3)
極限粘度21.0dl/gの超高分子量ポリエチレンとデカヒドロナフタレンを重量比8:92で混合しスラリー状液体を形成させた。該物質を混合及び搬送部を備えた2軸スクリュー押出し機で溶解し、得られた透明な均一物質を円状に配列したホール数30個、直径0.8mmのオリフィスから1.8g/min押出した。該押出し溶解物質を長さ10mmのエアギャップを介して、定常流の水で満たされた円筒状の流管(厚さ5mmの耐熱ガラスで覆い外部空間より遮蔽)、を通過させることにより、液面変動を0.5mm以下に抑え、且つ、液面に累積するデカヒドロナフタレンを該押出し溶解物質が水面に突入する部位より連続的に除去しながら均一に冷却し、該押出し溶解物質中の溶媒を該押出し溶解物質から除去することなしに紡糸速度60m/minでゲル糸状を引き取った。この時、繊維の冷却速度は、9667度/sで累積速度差は5m/minであった。ついで、該ゲル繊維を巻き取る事無く窒素加熱オーブン中、3倍の延伸比で延伸し延伸糸を巻き取った。ついで、該繊維を149度で最大6.5倍の延伸倍率で延伸を行い種々の延伸倍率の延伸糸を得た。得られたポリエチレン繊維の諸物性を表1に示した。
極限粘度21.0dl/gの超高分子量ポリエチレンとデカヒドロナフタレンを重量比8:92で混合しスラリー状液体を形成させた。該物質を混合及び搬送部を備えた2軸スクリュー押出し機で溶解し、得られた透明な均一物質を円状に配列したホール数30個、直径0.8mmのオリフィスから1.8g/min押出した。該押出し溶解物質を長さ10mmのエアギャップを介して、定常流の水で満たされた円筒状の流管(厚さ5mmの耐熱ガラスで覆い外部空間より遮蔽)、を通過させることにより、液面変動を0.5mm以下に抑え、且つ、液面に累積するデカヒドロナフタレンを該押出し溶解物質が水面に突入する部位より連続的に除去しながら均一に冷却し、該押出し溶解物質中の溶媒を該押出し溶解物質から除去することなしに紡糸速度60m/minでゲル糸状を引き取った。この時、繊維の冷却速度は、9667度/sで累積速度差は5m/minであった。ついで、該ゲル繊維を巻き取る事無く窒素加熱オーブン中、3倍の延伸比で延伸し延伸糸を巻き取った。ついで、該繊維を149度で最大6.5倍の延伸倍率で延伸を行い種々の延伸倍率の延伸糸を得た。得られたポリエチレン繊維の諸物性を表1に示した。
(実施例4,5)
極限粘度が19.6の超高分子量ポリエチレンポリマーを10wt%およびデカヒドロナフタレン90wt%のスラリー状の混合物を分散しながら230度の温度に設定したスクリュー型の混練り機で溶解し、177度に設定した直径0.6mmを400ホール有する口金に軽量ポンプにて単孔吐出量1.2g/分供給した。各々のノズル直下に独立に設置したカラー状のクエンチ設備にて、0.1m/sの窒素ガスを整流に気をつけ、できるだけ吐出される糸条に各々に均等に当たるようにして繊維の表面のデカリンを極微量蒸発させ、さらに窒素雰囲気のエアギャップを通したこと意外は実施例1と同様にしてポリエチレン繊維を作製した。尚、2段目の延伸倍率は、4.5及び6.0倍とした。この時、
クエンチに用いた窒素温度は、178度に制御した。また、エアギャップに関しては、温度制御を行わなかった。得られた繊維の物性値を表1に示す。非常に均一性に優れ、高い強度を有していることが判明した。
極限粘度が19.6の超高分子量ポリエチレンポリマーを10wt%およびデカヒドロナフタレン90wt%のスラリー状の混合物を分散しながら230度の温度に設定したスクリュー型の混練り機で溶解し、177度に設定した直径0.6mmを400ホール有する口金に軽量ポンプにて単孔吐出量1.2g/分供給した。各々のノズル直下に独立に設置したカラー状のクエンチ設備にて、0.1m/sの窒素ガスを整流に気をつけ、できるだけ吐出される糸条に各々に均等に当たるようにして繊維の表面のデカリンを極微量蒸発させ、さらに窒素雰囲気のエアギャップを通したこと意外は実施例1と同様にしてポリエチレン繊維を作製した。尚、2段目の延伸倍率は、4.5及び6.0倍とした。この時、
クエンチに用いた窒素温度は、178度に制御した。また、エアギャップに関しては、温度制御を行わなかった。得られた繊維の物性値を表1に示す。非常に均一性に優れ、高い強度を有していることが判明した。
(比較例1)
極限粘度が19.6の超高分子量ポリエチレンを10wt%およびデカヒドロナフタレン90wt%のスラリー状の混合物を分散しながら230度の温度に設定したスクリュー型の混練り機で溶解し、175度に設定した直径0.6mmを400ホール有する口金に軽量ポンプにて単孔吐出量1.6g/分供給した。ノズル直下に設置したスリット状の気体供給オリフィスにて1.2m/sの高速度で100度に調整した窒素ガスを整流に気をつけ、できるだけ糸条に均等に当たるようにして繊維の表面のデカリンを積極的に蒸発させ、さらに115度に設定された窒素流にて繊維に残るデカリンを蒸発させ、ノズル下流に設置されたネルソン状のローラーにて80m/分の速度で引き取らせた。この時、クエンチ区間の長さは1.0mであり、繊維の冷却速度は、100度/s、累積速度差は80m/minであった。引き続き、得られた繊維を125度の加熱オーブン下で4.0倍に延伸した、引き続きこの繊維を149度に設置した加熱オーブン中にて4.1倍で延伸した。途中破断することなく均一な繊維が得る事ができた。得られた繊維の物性値を表1に示した。
極限粘度が19.6の超高分子量ポリエチレンを10wt%およびデカヒドロナフタレン90wt%のスラリー状の混合物を分散しながら230度の温度に設定したスクリュー型の混練り機で溶解し、175度に設定した直径0.6mmを400ホール有する口金に軽量ポンプにて単孔吐出量1.6g/分供給した。ノズル直下に設置したスリット状の気体供給オリフィスにて1.2m/sの高速度で100度に調整した窒素ガスを整流に気をつけ、できるだけ糸条に均等に当たるようにして繊維の表面のデカリンを積極的に蒸発させ、さらに115度に設定された窒素流にて繊維に残るデカリンを蒸発させ、ノズル下流に設置されたネルソン状のローラーにて80m/分の速度で引き取らせた。この時、クエンチ区間の長さは1.0mであり、繊維の冷却速度は、100度/s、累積速度差は80m/minであった。引き続き、得られた繊維を125度の加熱オーブン下で4.0倍に延伸した、引き続きこの繊維を149度に設置した加熱オーブン中にて4.1倍で延伸した。途中破断することなく均一な繊維が得る事ができた。得られた繊維の物性値を表1に示した。
(比較例2)
オリフィス直下から10mmの位置から50度、0.5m/sの窒素風を整流に注意しながら出来るだけ糸状に均一にあててゲル糸を得た以外を実施例と同様にして、延伸糸を得た。この時の繊維の冷却速度は、208度/s、累積速度差は80m/minであった。
オリフィス直下から10mmの位置から50度、0.5m/sの窒素風を整流に注意しながら出来るだけ糸状に均一にあててゲル糸を得た以外を実施例と同様にして、延伸糸を得た。この時の繊維の冷却速度は、208度/s、累積速度差は80m/minであった。
(比較例3)
極限粘度が10.6の超高分子量ポリマーの主成分ポリマー(C)を15wt%およびパラフィンワックス85wt%のスラリー状の混合物を分散しながら230度の温度に設定したスクリュー型の混練り機で溶解し、190度に設定した直径1.0mmを400ホール有する口金に軽量ポンプにて単孔吐出量2.0g/分供給した。エアギャップを30mmとして15度のn−ヘキサンを満たした紡糸浴に浸析した。浸析した繊維をネルソン状のローラーで50m/分の速度で引き取った。この時の繊維の冷却速度は、4861度/s、累積速度差は50m/minであった。引き続き、得られた繊維を125度の加熱オーブン下で3.0倍に延伸した、さらにこの繊維を149度に設置した加熱オーブン中にて3で延伸した後、もう一度1.5倍で延伸した。途中破断することなく均一な繊維が得る事ができた。得られた繊維の物性値を表1に示す。
極限粘度が10.6の超高分子量ポリマーの主成分ポリマー(C)を15wt%およびパラフィンワックス85wt%のスラリー状の混合物を分散しながら230度の温度に設定したスクリュー型の混練り機で溶解し、190度に設定した直径1.0mmを400ホール有する口金に軽量ポンプにて単孔吐出量2.0g/分供給した。エアギャップを30mmとして15度のn−ヘキサンを満たした紡糸浴に浸析した。浸析した繊維をネルソン状のローラーで50m/分の速度で引き取った。この時の繊維の冷却速度は、4861度/s、累積速度差は50m/minであった。引き続き、得られた繊維を125度の加熱オーブン下で3.0倍に延伸した、さらにこの繊維を149度に設置した加熱オーブン中にて3で延伸した後、もう一度1.5倍で延伸した。途中破断することなく均一な繊維が得る事ができた。得られた繊維の物性値を表1に示す。
(比較例4)
比較例1と同じ条件で作成、巻き取った延伸前の繊維を3日間エタノール中に浸漬して糸中に残留したデカリンを取り除いた後、2日間風乾してキセロゲル繊維を作成した。さらに、該キセロゲル繊維を125℃の加熱オーブン中で4.0倍に延伸した。引き続きこの繊維を155℃に設定した加熱オーブン中にて4.3倍で延伸した。途中破断することなく均一な繊維を得ることができた。
比較例1と同じ条件で作成、巻き取った延伸前の繊維を3日間エタノール中に浸漬して糸中に残留したデカリンを取り除いた後、2日間風乾してキセロゲル繊維を作成した。さらに、該キセロゲル繊維を125℃の加熱オーブン中で4.0倍に延伸した。引き続きこの繊維を155℃に設定した加熱オーブン中にて4.3倍で延伸した。途中破断することなく均一な繊維を得ることができた。
(実施例6)
実施例1で得られた得られたポリエチレン繊維の繊度490dtexの繊維を用い、13ゲージの手袋編み機で編み立てた。インデックス値平均11.1を示す(レベル4)。最小値も10.2である(レベル4)。
実施例1で得られた得られたポリエチレン繊維の繊度490dtexの繊維を用い、13ゲージの手袋編み機で編み立てた。インデックス値平均11.1を示す(レベル4)。最小値も10.2である(レベル4)。
(実施例7) 実施例2で得られた得られたポリエチレン繊維の繊度440dtexの繊維を用い、13ゲージの手袋編み機で編み立てた。
インデックス値平均9.4を示す(レベル3)。最小値も7.9である(レベル3)。
インデックス値平均9.4を示す(レベル3)。最小値も7.9である(レベル3)。
(比較例5)
比較例1で得られた得られたポリエチレン繊維の繊度440dtexの繊維を用い、13ゲージの手袋編み機で編み立てた。インデックス値平均6.2を示す(レベル3)が、最小値は4.4である(レベル2)。
比較例1で得られた得られたポリエチレン繊維の繊度440dtexの繊維を用い、13ゲージの手袋編み機で編み立てた。インデックス値平均6.2を示す(レベル3)が、最小値は4.4である(レベル2)。
本発明の繊維は均一性が高いため、局所的に弱い部分が生じにくいため、手袋に適用した場合、部分的に強度が弱い部分を生じる可能性が極めて小さい。この結果、上記繊維を用いた本発明の防護手袋は、従来の高強度ポリエチレン繊維から製造された防護手袋に比べて、刃物など鋭利な物に対し、性能が安定して高く、極めて信頼性の高い耐切創性を有することになり、耐切創性を必要とする作業現場用の手袋として有用である。
Claims (10)
- モノクリニック由来の結晶サイズが9nm以下であることを特徴とする高強度ポリエチレン繊維を含んでなる防護手袋。
- 前記ポリエチレン繊維において、オルソロンビック結晶(200)と(020)回折面由来の結晶サイズの比が0.8以上1.2以下であることを特徴とする、請求項1に記載の防護手袋。
- 前記ポリエチレン繊維の応力ラマンシフトファクターが−5.0cm-1/(cN/dTex)以上であることを特徴とする、請求項1または2記載の防護手袋。
- 前記ポリエチレン繊維の平均強度が20cN/dTex以上であることを特徴とする、請求項1〜3記載の防護手袋。
- 前記高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの結節強度の保持率が40%以上であることを特徴とする、請求項1〜4記載の防護手袋。
- 前記高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの単糸強度のばらつきを示すCVが25%以下であることを特徴とする、請求項1〜5記載の防護手袋。
- 前記高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの破断伸度が2.5%以上6.0%以下であることを特徴とする、請求項1〜6記載の防護手袋。
- 前記高強度ポリエチレン繊維を構成するモノフィラメントの単糸繊度が10dTex以下であることを特徴とする、請求項1〜7記載の防護手袋。
- 前記高強度ポリエチレン繊維の融点が145℃以上であることを特徴とする、請求項1〜8記載の防護手袋。
- 前記高強度ポリエチレン繊維が、マルチフィラメントであることを特徴とする、請求項1〜9記載の防護手袋。
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