JP2006341318A - 表面加工処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の表面加工処理方法においては、まず、第1噴出口11と第1噴出口11を取り囲む第2噴出口12とを有する二層ノズル1を水中に配置する。第1噴出口11から高速水流21を気中へ向かって噴出すると共に、第2噴出口12から高速水流21よりも低速の低速水流22を気中へ向かって噴出する。高速水流21と高速水流21を取り囲む低速水流22とからなる二層水流2は、キャビテーション気泡23を含む。二層水流2を、気中に配置した被加工体3の表面に当てる。
【選択図】図1
Description
そして、気中において高圧水流を金属材料に向かって噴射することにより、金属材料に圧縮応力を付与する技術が開示されている(特許文献1参照)。この技術においては、高速水流とこれを取り囲む低速水流とからなる二層水流を気中において噴射する。これにより、高速水流と低速水流との速度差によって二層水流にキャビテーション気泡を発生させている。
その結果、狭い空間において、金属材料の表面加工処理を行うことが困難となるおそれがある。また、上記二層水流は、ノズルから離れるに従って流れが不安定となり、所望の位置に集中して二層水流を当てることが困難となる。そのため、金属材料における必要な部分に効率的に表面加工処理を行うことが困難となるおそれがある。
上記第1噴出口から高速水流を気中へ向かって噴出すると共に、上記第2噴出口から上記高速水流よりも低速の低速水流を気中へ向かって噴出し、
上記高速水流と該高速水流を取り囲む上記低速水流とからなる二層水流は、キャビテーション気泡を含み、
上記二層水流を、気中に配置した被加工体の表面に当てることを特徴とする表面加工処理方法にある(請求項1)。
上記表面加工処理方法においては、上記二層ノズルを用い、上記第1噴出口から噴出する高速水流と、上記第2噴出口から噴出する低速水流とからなる二層水流を形成する。これにより、上記高速水流と上記低速水流との間の速度差及び圧力差によりキャビテーション気泡が、上記二層水流の中に発生する。そして、このキャビテーション気泡が被加工体の表面付近において崩壊する。このとき、極めて大きな衝撃圧力が局部的に発生し、被加工体の表面に充分な大きさの圧縮応力を付与することができる。また、被加工体の表面にバリが生じていればこのバリを除去することができ、汚れが付着していればこの汚れを洗浄することができる。
また、上記二層ノズルのノズル先端と水面との距離が15mm以下となる位置に、上記二層ノズルを配置することが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記二層水流が被加工体の表面に当たる際の衝撃力を充分に確保することができ、被加工体の表面加工処理をより効率的に行うことができる。
また、二層ノズルと被加工体との間の距離を小さくしても高い加工処理能力を確保できるという本発明の効果を充分発揮するという観点から、ノズル先端と水面との距離は、例えば2mm以上であることが好ましい。
この場合には、被加工体における所望の位置に効率的にピーニング、バリ取り、又は洗浄を行うことができる。
この場合には、金属、樹脂、又はセラミックからなる被加工体における所望の位置に効率的に表面加工処理を施すことができる。
本発明の実施例に係る表面加工処理方法につき、図1、図2を用いて説明する。
図1に示すごとく、第1噴出口11と該第1噴出口11を取り囲む第2噴出口12とを有する二層ノズル1を水中に配置する。
上記第1噴出口11から高速水流21を気中へ向かって噴出すると共に、上記第2噴出口12から上記高速水流21よりも低速の低速水流22を気中へ向かって噴出する。
上記高速水流21と該高速水流21を取り囲む上記低速水流22とからなる二層水流2は、キャビテーション気泡23を含む。
上記二層水流2を、気中に配置した金属からなる被加工体3の表面に当てる。
また、低圧水ノズル132は、上記第1テーパ部134の外側部分において、先端へ向かうほど縮径する第2テーパ部135が形成されている。
上記高圧水ノズル131には高圧水210が供給され、低圧水ノズル132には低圧水220が供給される。高圧水210の供給圧力は例えば10〜50MPaであり、低圧水220の供給圧力は例えば0.05〜0.15MPaである。
具体的には、二層ノズル1のノズル先端14と水面421との距離dが15mm以下となる位置に、二層ノズル1を配置している。
そして、被加工体3における所望の部分に対して適切な時間、二層水流2を当てる。また、表面加工処理を施したい部分が連続して存在する場合には、被加工体3を二層ノズル1に対して相対的に移動させながら二層水流2を当てることができる。
上記表面加工処理方法においては、上記二層ノズル1を用い、上記第1噴出口11から噴出する高速水流21と上記第2噴出口12から噴出する低速水流22とからなる二層水流2を形成する。これにより、上記高速水流21と上記低速水流22との間の速度差及び圧力差によりキャビテーション気泡23が、上記二層水流2の中に発生する。そして、このキャビテーション気泡23が被加工体3の表面付近において崩壊する。このとき、極めて大きな衝撃圧力が局部的に発生し、被加工体3の表面に充分な大きさの圧縮応力を付与することができる。また、被加工体3の表面にバリが生じていればこのバリを除去することができ、汚れが付着していればこの汚れを洗浄することができる。
本例は、図3に示すごとく、本発明の表面加工処理方法の加工処理能力の特性を評価した例である。
本発明の表面加工処理方法としては、実施例1に示した方法を用いた。また、比較例として、実施例1と同様の二層ノズル1を気中に配置した状態で使用して、同様の表面加工処理を行った。
そして、二層ノズル1のノズル先端14と被加工体3との間の距離Lを変化させたときの壊食量を測定した。この壊食量を加工処理能力として評価した。即ち、壊食量が大きいほど、キャビテーション気泡23を含む二層水流2による加工エネルギーが高く、加工処理能力が高いといえる。
図3から分かるように、いずれの方法の場合にも、距離Lが小さすぎても大きすぎても壊食量が低下する。そして、ピークの壊食量としては、本発明と比較例とでは同等であるが、そのときのノズル先端14と被加工体3との距離Lについては、本発明の方法を用いる場合の方が、5mm程度短くなる。
本例は、図4に示すごとく、ノズル先端14と水面421との距離dと、表面加工処理能力との関係を調べた例である。加工処理能力の評価としては、上記実施例2と同様の方法で壊食量を測定することにより行った。
このとき、ノズル先端と被加工体との距離Lは30mmとした。そして、距離dを0〜20mmまで変化させて、壊食量の測定を行った。この測定は、各水準について3回ずつ行い、その平均をとった。
測定結果を図4に示す。
図4から分かるように、距離dが大きくなるほど壊食量が小さくなる、即ち表面加工処理能力が低下する。また、距離dが15mm以下であれば、充分な表面加工処理能力を得ることができることが分かる。
11 第1噴出口
12 第2噴出口
14 ノズル先端
2 二層水流
21 高速水流
22 低速水流
23 キャビテーション気泡
3 被加工体
41 水槽
42 貯留水
Claims (4)
- 第1噴出口と該第1噴出口を取り囲む第2噴出口とを有する二層ノズルを水中に配置し、
上記第1噴出口から高速水流を気中へ向かって噴出すると共に、上記第2噴出口から上記高速水流よりも低速の低速水流を気中へ向かって噴出し、
上記高速水流と該高速水流を取り囲む上記低速水流とからなる二層水流は、キャビテーション気泡を含み、
上記二層水流を、気中に配置した被加工体の表面に当てることを特徴とする表面加工処理方法。 - 請求項1において、上記二層ノズルのノズル先端と水面との距離が15mm以下となる位置に、上記二層ノズルを配置することを特徴とする表面加工処理方法。
- 請求項1又は2において、上記表面加工処理方法は、上記被加工体の表面のピーニング、バリ取り、又は洗浄を行う方法であることを特徴とする表面加工処理方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記被加工体は、金属、樹脂、又はセラミックからなることを特徴とする表面加工処理方法。
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