JP2006341113A - 安全性の改善された用時混合型薬液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】隔壁2により2室3,3’に区分けされた開口部5を有する複室容器1の一方の室に、血液と同等の浸透圧を有し、ナトリウムイオン濃度が134〜146mEq/Lの範囲で、他のイオンとともに液に配合されているA液と、他方の室に、血液と同等の浸透圧を有し、ナトリウムイオン濃度が134〜146mEq/Lの範囲で、他のイオンとブドウ糖ともに液に配合されているB液からなる用時混合型製剤。
【選択図】図1
Description
しかしながら、炭酸水素ナトリウムを配合した補液は、時間の経過と共に補充液中のカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンと重炭酸イオンが反応し、不溶性の炭酸塩の沈殿が生じる。そこで、カルシウムイオン(Ca2+)およびマグネシウムイオン(Mg2+)を含む溶液(本明細書においてB液と呼ぶ。)と重炭酸イオン(HCO3 −)を含む溶液(本明細書においてA液と呼ぶ。)とが別々に収納された、用時混合型の補液(商品名:サブラッド−BD、扶桑薬品工業株式会社)が開発された(例えば、非特許文献1を参照)。他にも、重炭酸塩が配合される薬液としては、人工腎臓透析液、腹膜透析液、重曹(重炭酸)リンゲル液、および高カロリー輸液などがあり、その多くはカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンと重炭酸塩の反応を避けるため、複室容器に分画収容されている(例えば、特許文献1を参照)。
B液(上室)1010mL中、
塩化カルシウム(CaCl2・2H2O) 519.8mg、
塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O) 205.4mg、
無水酢酸ナトリウム(CH3CO2Na) 82.8mg、
ブドウ糖(C6H12O6) 2.02g、および
氷酢酸(CH3CO2H) 360.0mg
を含み(pH:3.9〜4.0、浸透圧比:0.1)、そして
A液(下室)1010mL中に、
塩化ナトリウム(NaCl) 12.34g、
塩化カリウム(KCl) 0.30g、および
炭酸水素ナトリウム(NaHCO3) 5.94g
を含有し(pH:7.8〜8.4、浸透圧比:1.7〜1.9)、
使用前に上下室間の隔壁を開通してA液とB液を混合し、下室側から投与する。
かかる複室容器は、同時に配合すると変質が予想される薬剤を個別に収納する複数の区画室と、該区画室を仕切り、投与直前の薬剤混合時に、手等により区画室に外部から圧力を加えることによって破壊もしくは剥離できる連通可能な隔壁を装置している。
上記のサブラッド(登録商標)−BDの場合、上下室間の隔壁が未剥離の状態では下室液(A液)のみが投与される。該A液の浸透圧比(1.7〜1.9)は血液の浸透圧比(1.0)よりも高いため、該A液の単独投与によって血管痛および/または血管炎などが生じるおそれがある。また、該A液は血液よりもナトリウム濃度が高いため、該A液の単独投与によって高ナトリウム血症および高浸透圧血症(血液中のナトリウム濃度が高くなるため血漿浸透圧が上昇し、細胞中の水分が血液中に移動し、細胞中の水分が不足して起こる、脱水状態を特徴とする。)が起こるおそれがある。
従来から、未混合の用時混合型薬液の誤投与を防止するために、(i)口部のオーバーシールや容器本体に注意喚起するための表示を施した容器、および(ii)容器を3室に分画して投与側に用時混合型薬液を充填しない室を配置し、未剥離の状態では該薬液が排出されないようにした容器(特許文献1参照)などが開発されてきた。これらの容器の改良により、未混合の用時混合型薬液の誤投与が起きる可能性自体は低下した。しかしながら、未混合の用時混合型薬液の誤投与が起きた際の患者の身体への悪影響は依然として大きいままであった。
本発明の好ましい実施態様において、少なくともナトリウムイオン、重炭酸イオン、および水を含むA液と、少なくともナトリウムイオン、クロライドイオンおよび水を含むB液からなり、A液とB液の浸透圧がそれぞれ血液の浸透圧と同等である、用時混合型血液浄化用薬液、好ましくは用時混合型人工腎臓用薬液が提供される。
本発明の別の態様において、上記の薬液のいずれかであって、A液が炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムおよび水からなり、B液が塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウム、ブドウ糖、氷酢酸および水からなる、用時混合型血液浄化用薬液、好ましくは用時混合型人工腎臓用薬液が提供される。
本発明のさらに好ましい態様において、上記の薬液のいずれかであって、A液およびB液の浸透圧がそれぞれ274〜284mOsm/kg H2Oである、用時混合型血液浄化用薬液、好ましくは用時混合型人工腎臓用薬液が提供される。
本発明の好ましい実施態様において、上記の薬液のいずれかであって、A液およびB液の浸透圧がそれぞれ274〜284mOsm/kg H2Oである、用時混合型血液浄化用薬液、好ましくは用時混合型人工腎臓用薬液が提供される。
A液1010mL中に、塩化ナトリウム(NaCl)4.46g、塩化カリウム(KCl)0.30g、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)5.94gおよび水が含まれ、そして
B液1010mL中に、塩化ナトリウム(NaCl)7.88g、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)519.8mg、塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O)205.4mg、酢酸ナトリウム(CH3CO2Na)82.8mg、ブドウ糖(C6H12O6)2.02g、氷酢酸360.0mgおよび水が含まれ、A液とB液の浸透圧がそれぞれ血液の浸透圧と同等であることを特徴とする用時混合型血液浄化用薬液、好ましくは用時混合型人工腎臓用薬液が提供される。
本発明の好ましい実施態様において、A液またはB液のいずれかが単独で哺乳動物(ヒトを含む)に投与された場合、HF、HDF、CHFまたはCHDF開始から200分の間にわたって、該哺乳動物の血漿中ナトリウムイオン濃度の増加が0〜7mEq/Lの範囲内であり、かつ、血漿中ナトリウムイオン濃度の増減がHF、HDF、CHFまたはCHDF開始時と比べて有意に変動しない、用時混合型血液浄化用薬液、好ましくは用時混合型人工腎臓用薬液が提供される。
本発明の別の実施態様において、A液またはB液のいずれかが単独で哺乳動物(ヒトを含む)に投与された場合に、該哺乳動物において血漿中ナトリウムイオン濃度の上昇もしくは低下、および/または溶血、および/または血管炎がほとんどまたは全く観察されない用時混合型血液浄化用薬液、好ましくは用時混合型人工腎臓用薬液が提供される。
本発明の好ましい態様において、腹膜透析液、透析型人工腎臓透析液、濾過型人工腎臓用補液または濾過透析型人工腎臓用補液として使用される、用時混合型薬液が提供される。
本発明のさらに別の態様において、HF、HDF、CHFまたはCHDFの補液として使用するための、B液が少なくとも塩化ナトリウムを含む用時混合型血液浄化用薬液、好ましくは用時混合型人工腎臓用薬液が提供される。
本発明の好ましい実施態様において、上記の薬液充填容器のいずれかであって、さらに、上室と下室の容積が同等となるように隔壁を設けた、薬液充填容器が提供される。
本発明の極めて好ましい実施態様において、上記の薬液充填容器のいずれかであって、さらに、A液が炭酸水素ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化ナトリウムを含む水溶液からなり、B液が塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸およびブドウ糖を含む水溶液からなる、薬液充填容器が提供される。
容器1は、一方の端にゴム製等の密栓を備えた投与用口部5を、他端には薬剤投入用の口部6を備えている。図示の複室容器1は上下の2室に区画されているが、これに限定されるものではなく、3室以上であってもよい。また、複室容器や各薬剤収納室の形状、弱シール部の太さや形状についても何ら制限されるものではない。2室もしくはそれ以上の室の区画は、通常は1本の弱シール部によって仕切られるが、2本またはそれ以上の弱シール部によって仕切ることも可能である。
本明細書において使用される「溶血率」なる用語は、血漿ヘモグロビン濃度を全血ヘモグロビン濃度で除した値を意味する。
本発明において使用される「浸透圧比」なる用語は、生理食塩水に対する浸透圧の比を表す。
・ダイアライザーPS-C07(膜面積0.7m2、Lot No.01Z182082、クラレ)
・持続濾過用血液回路(JCH-26S、Lot No.012942、ウベ循研)
・血液浄化装置(JUN-505、シリアルNo.UA034、ウベ循研)
・送液ポンプ
Masterflex L/S(コール・パーマー)
Watson Marlow 505Di(シリアルNo.B00005470、B00005471、ワトソン・モーロー)
・インフュージョンポンプ(STC-521、シリアルNo.8063084、テルモ)
・ポリグラフシステム(RM-7000、日本光電)
血圧測定用アンプAP-641G
血圧トランスジューサ(ライフキット、DX-312、Lot No.107087)
生体電気用アンプAB-621G
生体電気用入力箱JB-640G
カプラ用アンプAA-601H
呼吸/脈波カプラAR-650H
温度測定ユニットAW-601H
温度カプラAW-650H
・ドライケム3030(富士メディカルシステム)
・ドライケム800(富士メディカルシステム)
・微量高速遠心機(MX-150、トミー精工)
・キンダリーAF-2P号(Lot No.02D11A、扶桑薬品工業)
・アイ・スタット用カートリッジ(EG7+、Lot No.M02164B、扶桑薬品工業)
・ペントバルビタールナトリウム(ネンブタール注射液、Lot No.71758Z721、大日本製薬)
・抗生物質(結晶ペニシリンGカリウム、Lot No.7QC02P、万有製薬)
・ヘパリンナトリウム(ヘパリンナトリウム注射液、Lot No.02G08A、扶桑薬品工業)
雄性ビーグル犬(体重10kg前後、日本農産)21頭を、扶桑薬品工業株式会社内の大動物施設の飼育室(温度23±5℃、湿度50±20%RH、換気15〜20回/hr、照明12時間(7:00〜19:00))においてステンレス飼育ケージに1頭ずつ収容して飼育した。飼料は固形飼料(CREA Dog Diet CD−5M(商標)、日本クレア)を使用し、約300g/日を摂取させた。飲料水は上水道水を使用し、飼育期間中自由に飲水させた。これらの動物の体重を測定し、ペントバルビタールナトリウム(25mg/kg、i.v.)麻酔下で背位に固定した。腹部を切開し、両腎臓を摘出した。術後、感染防止のためにペニシリンGカリウム注射液(50万単位/動物)を1日1回2日間、筋肉内投与することにより腎不全モデル動物を作製した。
(i)上室液(B液)の調製・充填・密封
下記の表1に記載の成分分量を量り、日局注射用水にブドウ糖、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O)および塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)を順次加えて溶解し、氷酢酸を添加した後、粗濾過し、濾液に注射用水を加えて定量とした。得られた液を1010mL/1010mLの無色プラスチック製ダブルバッグの上室に精密フィルターで無菌濾過後充填し、充填口をシール溶着により密封した。本明細書において、表1の処方にて作製された薬液を「実施例1の上室液(B液)」と称する。
(ii)下室液(A液)の調製・充填・密封
下記の表2に記載の成分分量を量り、日局注射用水に塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび炭酸水素ナトリウムを順次加えて溶解した後、粗濾過し、濾液に注射用水を加えて定量とした。得られたA液を、(i)において上室液が充填され、そして密封された1010mL/1010mLの無色プラスチック製ダブルバッグの下室に精密フィルターで無菌濾過後充填し、ポート部にゴム栓体を挿入後、閉塞により密封し、ゴム栓体ヘッド部にオーバーシールを溶着した。本明細書において、表2の処方にて作製された薬液を「実施例1の下室液(A液)」と称する。
(i)上室液(B液)の調製・充填・密封
下記の表3に記載の成分分量を量り、日局注射用水に塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)、塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O)、酢酸ナトリウム、ブドウ糖および氷酢酸を順次加えて溶解し、粗濾過後、濾液に注射用水を適量加えて、全量を1010mLとした。本明細書において、表3の処方にて作製された薬液を「比較例1の上室液(B液)」と称する。「比較例1の上室液」は、「サブラッド(登録商標)−BD」のB液と同一の組成である。
(ii)下室液(A液)の調製・充填・密封
下記の表4に記載の成分分量を量り、日局注射用水に塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび炭酸水素ナトリウムを順次加えて溶解した後、粗濾過し、濾液に注射用水を加えて定量とした。得られたA液を、(i)において上室液が充填され、そして密封された1010mL/1010mLの無色プラスチック製ダブルバッグの下室に精密フィルターで無菌濾過後充填し、ポート部にゴム栓体を挿入後、閉塞により密封し、ゴム栓体ヘッド部にオーバーシールを溶着した。本明細書において、表4の処方にて作製された薬液を「比較例1の下室液(A液)」と称する。「比較例1の下室液」は、サブラッド(登録商標)−BDのA液と同一の組成である。
「実施例1の上室液」、「実施例1の下室液」およびそれらの混合液(本明細書において「実施例1の混合液」と呼ぶ。)の、ナトリウムイオン濃度(mEq/L)、pHおよび浸透圧(mOsm/kg H2O)の測定結果を表5に示す。ここで、「実施例1の混合液」の組成は、「比較例1の上室液(B液)」および「比較例1の下室液(A液)」を混合した液と同一の組成である。表5から、「実施例1の上室液(B液)」および「実施例1の下室液(A液)」の浸透圧は、それぞれ、「実施例1の混合液」の浸透圧とほとんど同じであることが分かる。また、「実施例1の上室液(B液)」および「実施例1の下室液(A液)」のナトリウムイオン濃度も、「実施例1の混合液」のナトリウムイオン濃度とほとんど同じであることも分かる。よって、本発明の薬液が過誤により単独投与された場合であっても生体への負担が軽減され得ること、すなわち本発明の薬液の安全性、が推認される。さらに、「実施例1の上室液(B液)」のpHは3.85〜3.87と酸性であり、該B液が過誤により単独投与された場合にアシドーシスを誘発するおそれがある。よって、本発明において、B液を下室(投与側)ではなく、上室に配置することが好ましい。
補液として「実施例1の上室液(B液)」、「実施例1の下室液(A液)」および「実施例1の混合液」を用いたHDFおよびHF試験
<方法1>
イヌ腎不全モデル(9頭)を無作為に3群に分け、両腎摘出2日後に動物の体重を測定し、その後、ペントバルビタールナトリウム(25mg/kg、i.v.)による麻酔(維持麻酔は5〜10mg/kg/hrとした)を行った。右大腿動脈に血圧トランスジューサに接続したカニューレを、直腸に直腸温プローブを挿入し、各々血圧および体温をモニターした。心電図の測定は第II誘導で行った。左大腿動脈から右大腿静脈に採血用ポートをつけた動静脈シャント(中央部で取り外し可能)を作製した。血液凝固防止のためヘパリンナトリウム注射液(ヘパリン)200U/kgを動静脈シャントの採血部より投与し、その後血液回路内に100U/kg/hrの用量で持続注入した。ヘパリン投与5分後にブラッドアクセスと血液回路(JCH−26S、ウベ循研)およびダイアライザー(PS−C07、クラレ)とを接続した。本試験例において、補液は、第1群には「実施例1の上室液(B液)」、第2群には「実施例1の下室液(A液)」、そして第3群には「実施例1の混合液」を用いた。また、実験終了時まで動物に電気毛布を掛け、保温した。
HDF試験:
方法1に続いて、血液流量40mL/min、透析液(キンダリーAF−2P号)流量100mL/min、濾液・補液流量5mL/min、除水ゼロの条件でHDFを200分間行った。続いて、血液透析濾過終了後の180分間、血液回路のみを作動させた。血液透析濾過開始の0、20、40、60、80、120、160、200、260および380分後に、採血用ポートからヘパリン加血液1.5mLを採取した。アイ・スタット300Fを用いて、採取したヘパリン加血液の血漿中ナトリウムイオン濃度、血漿ヘモグロビン濃度および全血ヘモグロビン濃度を測定した。また、測定した血漿ヘモグロビン濃度および全血ヘモグロビン濃度を用いて溶血率を算出した。結果を図2および図3に示す。
補液として「実施例1の上室液(B液)」および「実施例1の下室液(A液)」を用いたHDF試験による血漿浸透圧の変化
<方法>
動物および血液回路等は、試験例1<方法1>と同様にして調整ならびに設定した。また、HDF試験における透析条件は試験例1<方法2>と同一とした。血液透析濾過開始の0、20、40、60、80、120、160、200、260および380分後に、採血用ポートからヘパリン加血液を採取した。血漿浸透圧は、計算式
HDF試験
イヌ腎不全モデル(6頭)を無作為に2群に分け、補液として、第1群には「比較例1の上室液(B液)」を、そして第2群には「比較例1の下室液(A液)」を用いること以外は、試験例1の方法1および方法2と同様にHDF試験を行い、ナトリウムイオン濃度および溶血率の経時的変化を測定した。ただし、血液透析濾過を200分間行った時点で試験を終了した。結果を図4および図5に示す。
HF試験
イヌ腎不全モデル(6頭)を無作為に2群に分け、補液として、第1群には「比較例1の上室液(B液)」を、そして第2群には「比較例1の下室液(A液)」を用いること以外は、試験例1の方法1を行った。その後、血液流量40mL/min、濾液・補液流量12.5mL/min、除水ゼロの条件でHFを80分間行った。血液濾過開始の0、8、16、24、32、48、64および80分後に、採血用ポートからヘパリン加血液1.5mLを採取した。アイ・スタット300Fを用いて、採取したヘパリン加血液の血漿中ナトリウムイオン濃度を測定した。結果を図6に示す。
HDF試験による血漿浸透圧の比較
比較試験1HDF試験と同様に操作して動物を調整してHDF試験を行い、血漿浸透圧を測定した。結果を図8に示す。
図8から、「比較液1の上室液(B液)」を単独で生体に投与した場合は、ナトリウムイオン濃度の経時的低下(比較試験1)に伴って血漿浸透圧は正常範囲以下に低下し、低ナトリウム血症に起因する低浸透圧血症に陥っていることが分かる。一方、「比較液1の下室液(A液)」を単独で生体に投与した場合は、血漿浸透圧は高値に維持され、高浸透圧血症が改善されていないことが分かる。
2.破壊もしくは剥離可能な連通可能な隔壁、
3.下室(A室:投与側)、
3’.上室(B室)、
4.加熱溶着部、
5.ゴム製等の密栓を備えた投与用口部、
6.薬剤投入用の口部。
Claims (5)
- 隔壁により上室と下室に区分けされ、かつ、当該下室に密閉された開口部を備えた容器であって、当該下室には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、クロライドイオンおよび重炭酸イオンを含有し、かつ、血液の浸透圧と同等の浸透圧を有し、ナトリウムイオン濃度が134〜146mEq/Lの範囲内であるA液を充填し、当該上室には、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、クロライドイオン、酢酸イオンおよびブドウ糖を含有し、かつ、血液の浸透圧と同等の浸透圧を有し、ナトリウムイオン濃度が134〜146mEq/Lの範囲内であるB液を充填してなり、用時、上記隔壁を破壊もしくは剥離してA液とB液を混合するようにした、過誤によりA液とB液とを混合することなくA液のみを患者に投与した場合でも悪影響の少ない、用時混合型血液浄化用薬液充填容器を含む製剤。
- 上室の頂部に容器の係止手段を設けた、請求項1に記載の薬液充填容器を含む製剤。
- 上室と下室の容積が同等となるように隔壁を設けた、請求項1または2に記載の薬液充填容器を含む製剤。
- 容器が軟質の透明プラスチック製である、請求項1〜3のいずれかに記載の薬液充填容器を含む製剤。
- A液が炭酸水素ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化ナトリウムを含む水溶液からなり、B液が塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸およびブドウ糖を含む水溶液からなる、請求項1〜4のいずれかに記載の薬液充填容器を含む製剤。
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