JP2006335345A - 改良されたヘリコプターの駆動装置 - Google Patents

Abstract

【課題】ヘリコプター用の駆動装置（６）を提供する。
【解決手段】該駆動装置（６）は、すくなくとも１つの回転部材（１０、１１）と、この回転部材（１０、１１）を収容し、潤滑用流体と空気とを有する隔室（９）を形成するケーシングと、空気から潤滑用流体を分離するとともに、前記隔室（９）と外部との気圧勾配によって生じた、前記ケーシング（８）の外へ向かう空気流れの存在下において、前記ケーシング（８）の内部に前記潤滑用流体を保持するための分離手段（２３）とを備え、該分離手段（２３）は、前記回転部材（１０，１１）と角度的に一体とされ、前記潤滑用流体を空気から軸（Ａ）に対して径方向に外側に向かって分離している。
【選択図】図２

Description

本発明は、改良されたヘリコプターの駆動装置に関する。

既知のように、通常、ヘリコプターは、一以上のタービンから主翼または尾翼へ、もしくはタービンから多くの付属装置、例えば、動力計器等へ動きを伝える多くの駆動装置を備えている。

駆動装置は、通常は多くの歯車と、これらの歯車を収容すると共に、空気及び潤滑油浴を有する隔室を形成しているケーシングとを備えている。潤滑油浴は、ケーシングに取り付けられた多くのシールによって駆動装置内に保持されており、空気に接触した状態で作動している。

駆動装置の動作中には、ケーシングの中の温度は上昇し、これに伴い空気圧が上昇し、空気圧の上昇によってシールに過負荷が生じる。そして、結果として油漏れと潤滑の機能異常が引き起こされる。

このような状況でケーシングの中の圧力を減少させるために、空気を透過するが油を透過しない濾過部材からなる逃がし装置（ｒｅｌｉｅｆ ｄｅｖｉｃｅｓ）が用いられることは良く知られている。

このような装置はケーシングの周端に沿って配置され、空気をケーシングから逃がしてケーシング内の圧力を実用的には大気圧に復帰させる。

既知の逃がし装置は、ヘリコプターの局地的な高圧と同時に特定の姿勢（ａｔｔｉｔｕｄｅｓ）に対して効率的ではなく、その結果、どうしても駆動装置の油漏れと潤滑の機能異常が引き起こされてしまう。

本発明は、典型的には既知の駆動装置に関する前述の欠点を除去するように設計されたヘリコプターの駆動装置を提供することを目的としている。

本発明によれば、請求項１に記載したヘリコプターの駆動装置が提供される。

好ましく、本発明の技術的範囲を限定するものではない実施形態が添付図面を参照しつつ記述されている。

図１において参照符号１はヘリコプターであり、このヘリコプター１は、２つのタービン２と、主翼４と、尾翼５と、単に概略的に示された主駆動装置３とを備えており、この主駆動装置３は、タービン２から主翼４と尾翼５とに動きを伝えている。

また、ヘリコプター１は多数の二次駆動装置６を備えており、これら二次駆動装置６は、主駆動装置３からそれぞれの計器等を動かすための（図示されない）付属装置に動きを伝えている。

以下の記述においては、簡単のため、そして真に例示のため、１つの駆動装置６のみに言及する。

図２を参照すると、駆動装置６は、軸Ａの周りを回転し、主駆動装置３からそれぞれの付属装置に動きを伝える歯車列７と、ヘリコプター１の固定構造部に取り付けられ、歯車列７を収容する隔室９を形成しているケーシング８とから構成されている。

より具体的には、歯車列７は油浴に部分的に浸漬されているので、隔室９は油部分と空気部分とを有している。

隔室９は、ケーシング８の一方の軸方向端部に配置された軸方向の開口部２０を通して外部に連通している。

開口部２０を経由するケーシング８からの油漏れは、歯車列７とケーシング８との間で軸Ａの径方向に介装され、開口部２０に面するシール１４によって防がれる。

ケーシング８に対して軸方向には固定されるが回転自在に取り付けられている歯車列７は、ケーシング８の中に部分的に収容され、開口部２０の外側でケーシング８から部分的に突出している。

さらに具体的には、歯車列７は駆動装置３によって回転させられる歯車１０と、スプラインを形成され、歯車１０によって回転させられるとともに、それぞれの付属装置に動作可能に接続される歯車１１とから構成されている。

さらに具体的には、歯車１０は、ケーシング８に対して同軸且つ軸方向には固定されるが回転自在に取り付けられている筒状の本体１２と、駆動装置１３に動作可能に接続された外歯部１３と、歯車１１に噛み合う内歯部１５とから構成される。

より具体的には、本体１２は、多数のベアリングによってケーシング８に固定されており、図中ではこれら多数のベアリングのうち１つのみが詳細に示され、参照符合２２が付されている。

歯部１３は、本体１２から径方向に突出した部分に設けられ、ベアリング２２について開口部２０とは反対側に配置されている。

歯車１１は本体１２の中に部分的に格納され、開口部２０の外側で本体１２から部分的に突出している筒状の本体１６と、歯車１０の歯部１５に噛み合う歯部１７と、それぞれの付属装置に適合する径方向のフランジ部２１とから構成されている。

より具体的には、フランジ部２１は本体１６の径方向に大きな部分に設けられ、ケーシング８との関係で外側に延在されており、ベアリング２２について歯部１３とは反対側に配置されている。

本体１６は、隔室９内の空気と外気との間の圧力勾配によって空気流れが生じた場合に、油から空気を分離するための分離器２３を収容しているとともに、ケーシング８の内側で、かつ本体１２の外側である本体１６の部分に形成された多数の放射状の孔部１８を備えており、前述した条件において、空気を外側に逃がして、隔室９の中の圧力を減少させる。

前記空気流れがある場合には、隔室９の内部の空気は分離器２３によって油から分離され、孔部１８を通って、シール１４と開口部２０との間に形成された環状のチャンバー４０へ流出する。それゆえに、空気は、開口部２０を通ってケーシング８から逃がされ、隔室９の内部の空気圧が減圧され、よって、シール１４の損傷とそれに伴う油漏れの危険が低減される。

有利には分離器２３は軸Ａの周りを回転し、軸Ａに関して径方向に油を空気から外側に向かって分離する。

より具体的には、分離器２３は本体１６の内部に強固に嵌合され、フランジ部２１における、本体１６の開口された軸方向端部からの軸方向への空気流れを妨げるように設計されている。

分離器２３は、隔室９から孔部１８への空気が流れる通路を定める、軸Ａ方向に形成されたケース２７と、このケース２７の内部に収容された空気透過性の耐油性濾過部材３２とを備えている。

ケース２７は中空であり、開口部２０から離れた軸方向端部に、空気・油入口２８と、濾過部材３２について入口２８とは軸方向反対側に、孔部１８に向かうように形成された多数の放射状の出口とを備えており、これら孔部１８を通じて油を実質的に含有しない空気がチャンバー４０へと流出する。さらに具体的には、ケース２７は入口２８側の端部を軸方向に開口されており、反対側の端部を軸方向に閉塞されている。

これにより、一方の側の入口２８と他方の側の出口２９との間に軸方向に介装された濾過部材３２は、所定位置でケース２７の内部に嵌着されており、軸Ａに垂直な面でケース２７の断面全体を占めており、よって、油を含有した空気が流れるのを完全に防止している。

ケース２７、濾過部材３２、および本体１６は、このように本体１６の内部に空洞部１９を形成している。

空洞部１９はその軸方向の一方の端部を濾過部材３２で仕切られ、濾過部材３２とは逆の端部で隔室９に流体的に接続されており（図示せず）、よって、この空洞部１９は、隔室９と同様に、実質的に同じ圧力で油と空気とを含有している。

隔室９内の圧力が外部の圧力より高いときは、分離器２３は霧状の油を含む空気の流れを受け入れ、空洞部１９の内部で空気から分離された油を外側に向けて（ｃｅｎｔｒｉｆｕｇａｌｌｙ）保持し、そしてこの空気を孔部１８に向かわせる。

より具体的には、入口２８と濾過部材３２との間に軸方向に介装されたスリーブ３４は、所定位置でケース２７の内部に嵌着されており、濾過部材３２を所定の位置に支持し、入口２８と濾過部材３２との間に空気と油とを案内している。

軸方向断面において、スリーブ３４は、入口２８の近傍に円錐台形状部３０と、所定位置でケース２７に取り付けられた円柱状部３１とを備えており、この円柱状部３１は、円錐台形状部３０と濾過部材３２との間で軸方向に介装されている。円錐台形状部３０及び円柱状部３１は、濾過部材３２によって空気から分離され、軸Ａに面するスリーブ３４の壁部上へ吹き付けられた油を収集している。

より具体的には、円錐台形状部３０は軸Ａに関してケース２７の入口２８に向かって広がり、油を空洞部１９の内部に依然として保持している一方で、分離器２３から油を回収している。円柱状部３１は異なる径方向の寸法を有しており、濾過部３２に向かって流れる流体の油を多く含んだ径方向外側の領域を減速させ、油をあまり含まない径方向内側の領域を加速させる。

ケース２７は本体１６に軸方向の端部で固定され、異常回転を起こさないために精密な角度的接続を必要とする分離した部品の使用を避け、本体１６と一体的に形成されることが好ましい。

また、駆動装置６は、図には部分的にしか示されていない排出管３５を備え、分離器２３を抜ける全ての油滴を添付図には示されていない貯油タンクに排出する。

さらに具体的には、部分的にしか示されていない排出管は、チャンバー４０を起点として放射状に延びている。

最後に、図２に示すように、チャンバー４０は、本体１６と開口部２０の外側端との間で径方向に延在している開口部２０の、径方向に縮径された部分によって軸方向に仕切られている。この縮径の目的は、濾過部材３２から抜けた油滴をチャンバー４０の内部に回収・収集するのを支援するためである。

実際の使用においては、二次駆動装置６は、駆動装置３から歯車列７を介してそれぞれの付属装置に動きを伝えるために作動される。

歯車列７の作動によって熱を生じ、隔室９の内部の空気の圧力を増加させ、また、歯車１０と歯車１１とを軸Ａの周りに回転させ、隔室９に流体学的に接続された空洞部１９の内部の空気と油とを回転させる。

隔室９の内部の空気と駆動装置６の外側の空気との圧力勾配は空気流れを生じさせ、この空気流れによって油は入口２８を通って分離器２３のケース２７の中に案内される。

ケース２７の内部では、空気と油は、前記圧力勾配によって生じた軸Ａに平行な運動成分と、歯車１１と一体の分離器２３の回転によって生じた軸Ａ周りの回転運動の成分とによってらせん状に流れる。

軸Ａに平行な運動成分によって、空気と油とは濾過部材３２と相互に影響し合い、濾過部材３２は、空気を透過させ油を空洞部１９の内部に保持する。

軸Ａ周りの回転運動の成分は、濾過部材３２によって空気から分離された油をスリーブ３４の内壁に収集させる。

圧力勾配によって、空気は、次いで出口２９を通って分離器２３から流出し、孔部１８を通って歯車１１から流出し、チャンバー４０に流入し、そして外部へ流出する。逆に、円柱状部３１の形状によって、スリーブ３４の内壁に収集された油は、空気の流れとは逆の方向に、空洞部１９の内部に向かって分離器２３から離れるように動く。

所定の過渡期間の後に、隔室９から外部への空気流れは、隔室９の内部の空気圧と外部の気圧とをバランスさせ、シール１４の過負荷を予防する。

分離器２３を抜け、圧力勾配によって本体１６から空気とともに取り出された全ての油滴は、チャンバー４０の中に収集され、排出管３５によって貯油タンクに排出される。

外部の気圧が空洞部１９と隔室９との気圧より高い場合には、空気流れは外部から空洞部１８に流れ込むように生じる。

この場合には、空気流れの流路は空洞部１９の内部の気圧が外部より高い、前述の場合とは逆となり、濾過部材３２は空気中の粒子が空洞部１９に侵入し、油を汚染することを防止する。

本発明による駆動装置６の利点は先の記述によって明らかである。

特に、分離器２３は、特に高い気圧が存在し、ヘリコプター１の多様な姿勢をとる場合において、空洞部１９と隔室９とから流入する空気から油を効果的に分離する。

これによってシール１４の破損と不十分な潤滑の危険は大幅に低減される。

説明され、図示された駆動装置６には、添付の特許請求の範囲で定義された保護範囲を逸脱すること無しに種々の変形をなし得ることは明らかである。

特に、ケース２７は、分割され、角度的に接続された２つの部材によって形成することができ、それぞれが空洞部１９内に取り付けられる。

本発明の駆動装置を備えるヘリコプターの透視斜視図である。 図１に示した駆動装置の軸方向の拡大断面図である。

符号の説明

１・・・ヘリコプター
６・・・駆動装置
７・・・歯車列
８・・・ケーシング
９・・・隔室
１０、１１・・・歯車（回転部材）
１４・・・シール
１６・・・本体
１８・・・孔部
１９・・・空洞部
２０・・・開口部
２１・・・フランジ部
２３・・・分離器（分離手段）
２７・・・ケース（案内手段）
２８・・・入口
２９・・・出口
３０・・・円錐台形状部（周面）
３１・・・円柱状部（周面）
３２・・・濾過部材
３４・・・スリーブ
３５・・・排出管
Ａ・・・軸

Claims (5)

1. 少なくとも一の回転部材（１０、１１）と、
   前記回転部材（１０，１１）を収容するとともに、潤滑用流体と空気とを有する隔室（９）を形成しているケーシング（８）と、
   前記隔室（９）と外部との気圧勾配によって生じた，前記ケーシング（８）の外へ向かう空気流れの存在下において、前記空気から前記潤滑用流体を分離するとともに、前記ケーシング（８）の内部に前記潤滑用流体を保持している分離手段（２３）と、を備えており、
   前記分離手段（２３）は、軸（Ａ）を中心に角度的に移動可能とされているとともに、空気から前記潤滑用流体を前記軸（Ａ）に関して径方向に外側に向けて分離するために、前記回転部材（１０，１１）と角度的に一体とされていることを特徴とするヘリコプター（１）の駆動装置（６）。
2. 前記回転部材（１０、１１）と前記分離手段（２３）とは互いに同軸に取り付けられていることを特徴とする、請求項１に記載のヘリコプター（１）の駆動装置（６）。
3. 前記分離手段（２３）は、前記回転部材（１０、１１）の内側に収容されていることを特徴とする請求項２に記載のヘリコプター（１）の駆動装置（６）。
4. 前記分離手段（２３）は、前記空気流れを前記隔室（９）から前記ケーシング（８）の外側へ案内する案内手段（２７）と、前記案内手段（２７）に収容されるとともに、空気流れが前記ケーシング（８）から流出する前に空気から前記潤滑用流体を分離するための濾過部材（３２）と、を備えており、
   前記案内手段（２７）は、戻し経路を形成している周面（３０、３１）を備え、該戻し経路によって、前記空気流れから分離された前記潤滑用流体は前記隔室（９）内部へ戻されている、
   ことを特徴とする請求項２に記載のヘリコプター（１）の駆動装置（６）。
5. 前記周面（３０、３１）は、潤滑用流体の貯油タンクへの排出を容易にするために、前記軸（Ａ）に関して傾斜している少なくとも一の部分（３０）を備えることを特徴とする、請求項４に記載のヘリコプター（１）の駆動装置（６）。

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