JP2006334778A - 砥石 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フェノール−ホルムアルデヒド樹脂をアモルファスカーボン化した結合相13中に超砥粒4を分散配置した砥石である。
【選択図】図2
Description
これによって耐熱硬化性樹脂が炭化されてガラス状炭素となり砥粒同士を結合させるというものである。このガラス状炭素は2500℃以上の温度で安定し耐熱性と耐久性に優れているとしている。
本発明は、このような実情に鑑みて、従来のガラス状炭素よりも強度と砥粒保持力の高いアモルファスカーボンを結合相とする砥石を提供することを目的とする。
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂をアモルファスカーボン化することで、従来のフェノール樹脂等からなるアモルファスカーボンと比較して結合相の強度と砥粒保持力が高く、結合相の硬さはショア硬さにして100〜120となり硬度が大きく耐摩耗性が高い。
また本発明による砥石の製造に際して、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂と砥粒との混合物を比較的低温で焼結して固化体を形成し、その後にこの固化体を高温の不活性雰囲気中で焼成してアモルファスカーボン化させるが、アモルファスカーボン化の際にクラックやガス膨れを発生させることがなく、形成されるアモルファスカーボンが緻密で強度も高いために砥粒保持力が高く結合相の硬度も高く耐摩耗性が高い。
この場合、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂からなる第一のアモルファスカーボンは上述した曲げ強度を向上できるために他の熱硬化性樹脂からなる第二のアモルファスカーボン中に分散配置されて結合相の強さや剛性を向上させて結合相の強化相としての役割を果たし、研削時に被削材に対して平坦度の高い加工を行うことができて砥粒の保持力を強化できて砥石寿命を向上できる。
また本発明による砥石の製造に際して、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂と他の熱硬化性樹脂と砥粒との混合物を比較的低温で焼結して固化体を形成し、その後にこの固化体を高温の不活性雰囲気中で焼成してフェノール−ホルムアルデヒド樹脂と他の熱硬化性樹脂をそれぞれアモルファスカーボン化させるが、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂のアモルファスカーボン化の際にクラックやガス膨れを発生させることがなく、形成されるアモルファスカーボンが緻密で強度も高いために砥粒保持力が高く結合相の硬度も高く耐摩耗性が高い。
またフェノール−ホルムアルデヒド樹脂は低温焼結する際に液状化せず、そのため成形性が悪く緻密な固化体とするためには高圧を必要とするが、他の熱硬化性樹脂を同時に添加すると他の熱硬化性樹脂が液状化した後に固化現象が起こるために成形性が著しく改善される。
またフェノール−ホルムアルデヒド樹脂によるアモルファスカーボンの硬さはショア硬さHs=100〜120に設定されており、ここでショア硬さHsが100未満になるとアモルファスカーボンの強度が低下したり潤滑性が低下して砥石が偏摩耗することを抑制できず、更に潤滑性が低いことから被削材との間の研削抵抗を低減して研削熱の発生を抑制できない。また120を越えると硬度が高すぎて曲げ強さが小さくなり脆くなるので好ましくない。
また焼結に際して、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂と砥粒の混合物、またはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂及び他の熱硬化性樹脂と砥粒の混合物を200℃程度の低温で焼結固化させ、更に非酸化性雰囲気中で500〜950℃程度の温度で焼成することで結合相をアモルファスカーボン化してもよい。
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂からなる第一のアモルファスカーボンは上述した曲げ強度を向上できるために他の熱硬化性樹脂からなる第二のアモルファスカーボン中に分散配置されて結合相の強さや剛性を向上させると共に結合相の強化相としての役割を果たし、研削時に被削材に対して平坦度の高い加工を行うことができて砥粒の保持力を強化できて砥石寿命を向上できる。
本実施の形態による砥石1は、例えば硬脆材料の鏡面研削用の砥石であり、砥粒層2はカップ型砥石等の台金の略リング状先端部に固定されていてもよいし、台金を設けることなく砥粒層2のみによって砥石が構成されていても良い。
図1に示すように砥粒層2は例えばフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を焼成してなるアモルファスカーボン(これを第二のアモルファスカーボンという)からなる結合相3と、この結合相3中に分散配置されたダイヤモンドまたはcBN等の超砥粒4とを備えている。更に結合相3中には結合相を強化するために強化相としてフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を焼成してなるアモルファスカーボン5(これを第一のアモルファスカーボンという)が分散配置され、強化相であると共に結合相の役割を果たしている。第一及び第二のアモルファスカーボン3,5とも固体潤滑性を有するが、第一のアモルファスカーボンの方が潤滑性は高い。
また第二のアモルファスカーボン5の硬さはショア硬さHs=100〜120に設定されており、この範囲において特に優れた潤滑性と強度を示す。
分子量2000以上で粒径30μm未満のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂(例えば商品名「ベルパール」(登録商標)または「ユニベックス」)を例えばダイヤモンドの超砥粒4と共に粉末または液相の熱硬化性フェノール樹脂に混合して分散配置させ、これを先ず200℃程度の低温で焼結し、次に非酸化性雰囲気中で500〜950℃の温度で焼成する。これによってフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を炭素化して略球状の第一のアモルファスカーボン5を焼成でき、同時にフェノール樹脂を炭素化して第二のアモルファスカーボンからなる結合相3を焼成できる。これによって第一のアモルファスカーボン5と超砥粒4とが第二のアモルファスカーボンからなる結合相3に分散配置された砥粒層1を製作できる。
本実施の形態による砥石10においては、図2に示すように砥粒層12は結合相13中にダイヤモンドまたはcBN等からなる超砥粒4が分散配置されており、結合相13はフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を焼成してなるアモルファスカーボンからなっている。
砥粒層12中のアモルファスカーボンと超砥粒4の含有比率は体積(vol%)比で例えば95:5〜50:50の範囲とされる。ここで、超砥粒4の含有量が5vol%未満であると集中度が低下して研削効率が悪く、50vol%を越えるとアモルファスカーボンによる結合相13の砥粒結合強度が低下して耐摩耗性が劣るという欠点が生じる。
またアモルファスカーボンの硬さは第一の実施の形態と同様にショア硬さHs=100〜120に設定されている。
先ずフェノール−ホルムアルデヒド樹脂と超砥粒4の混合物を約200℃前後の温度で焼結すると、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂は溶解することなく砥粒との混合物として固化体をなし、その後この固化体を非酸化性の不活性雰囲気中で500〜950℃程度の高温で焼成することでフェノール−ホルムアルデヒド樹脂がアモルファスカーボン化されてアモルファスカーボンからなる結合相13を構成し、これらアモルファスカーボン中に超砥粒4が分散されて成る。
尚、固化体を高温の不活性雰囲気で焼成してフェノール−ホルムアルデヒド樹脂をアモルファスカーボン化する際に、クラックやガスふくれを発生することがなく、形成されるアモルファスカーボンが緻密であり強度も高い。そのために砥粒保持力が高い。しかもフェノール−ホルムアルデヒド樹脂をアモルファスカーボン化することで結合相13の硬度が大きく耐摩耗性が高い。
特にフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を予め焼成して生成したアモルファスカーボン粒(平均粒径5〜50μm)をフェノール−ホルムアルデヒド樹脂に添加すると焼成時に結合相となるフェノール−ホルムアルデヒド樹脂がアモルファスカーボンに変化する際の収縮が減少し砥石の製造が容易となる効果もある。
また本発明による砥石は鏡面研削に限定されることなく他の種類の研削にももちろん採用できる。
2,12 砥粒層
3,13 結合相
4 超砥粒
5 第一のアモルファスカーボン
Claims (3)
- 結合相中に砥粒が分散配置されてなる砥石において、前記結合相はフェノール−ホルムアルデヒド樹脂をアモルファスカーボン化したものであることを特徴とする砥石。
- 結合相中に砥粒が分散配置されてなる砥石において、前記結合相はフェノール−ホルムアルデヒド樹脂と他の熱硬化性樹脂を焼成してアモルファスカーボン化したものであることを特徴とする砥石。
- 前記フェノール−ホルムアルデヒド樹脂がアモルファスカーボン化されてなるアモルファスカーボンは、ショア硬さが100〜120であることを特徴とする請求項1または2記載の砥石。
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