JP2006332729A - アンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】通信可能な周波数帯域を広くするとともに、温度安定性を向上することが可能なアンテナを提供する。
【解決手段】このアンテナ1は、コイル3と、コイル3が巻かれるフェライト部材2とを備え、フェライト部材2は、所定の複素比透磁率μを有し、所定の複素比透磁率μの実数部分および虚数部分をそれぞれμ′およびμ″として、複素比透磁率μを、μ=μ′−iμ″と表わす場合に、複素比透磁率の虚数部分μ″が極大となる周波数f1以上の周波数f2を使用周波数として用いる。
【選択図】図1

Description

この発明は、アンテナに関し、特に、フェライト部材を備えたアンテナに関する。
従来、アンテナとして、ロッドアンテナ、ループアンテナ、および、フェライト部材の回りにコイルを巻いたフェライトバーアンテナなどが知られている。このロッドアンテナおよびループアンテナは、小型化するのが困難であるという不都合がある。これに対して、フェライト部材の回りにコイルを巻いたフェライトバーアンテナでは、複素比透磁率の大きいフェライトを用いるので、アンテナの受信効率を向上させることが可能である。これにより、受信効率を向上するためにアンテナを大型化する必要がないので、小型化することが可能である。しかしながら、従来のフェライトバーアンテナでは、温度によるフェライト部材の複素比透磁率の変化率が大きいので、アンテナの特性の温度安定性が低下するという不都合があった。
そこで、従来では、上記の不都合を解消するために、温度による複素比透磁率の変化率の小さいフェライト部材を備えたアンテナが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1に開示されたアンテナのフェライト部材では、主成分としてのFe、ZnO、NiOおよびCuOと、副成分としてのBi、Coとをそれぞれ所定の量含有することによって、温度による複素比透磁率の変化率を小さくしている。また、上記特許文献1に開示されたアンテナでは、上記のように、主成分としてのFe、ZnO、NiOおよびCuOと、副成分としてのBi、Coとによって、通信時の感度を向上させるためにQ値を大きくしている。なお、Q値とは、振動系の共振の鋭さを表わす量であり、Q値が大きくなることによって、アンテナの感度が向上するとともに、通信時の消費電力が低減する一方、通信可能な周波数帯域が狭くなる。
特開2001−348226号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されたフェライト部材を用いたアンテナでは、通信時の感度を向上させるためにQ値を大きくしているので、通信可能な周波数帯域が狭くなるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、通信可能な周波数帯域を広くするとともに、温度安定性を向上させることが可能なアンテナを提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるアンテナは、コイルと、コイルが巻かれるフェライト部材とを備え、フェライト部材は、所定の複素比透磁率μを有し、所定の複素比透磁率μの実数部分および虚数部分をそれぞれμ′およびμ″として、複素比透磁率μを、μ=μ′−iμ″と表わす場合に、複素比透磁率の虚数部分μ″が極大となる周波数f1以上の周波数f2を使用周波数として用いる。なお、本発明における複素比透磁率μは、複素透磁率を真空の透磁率μで除した値である。
この発明の一の局面によるアンテナでは、上記のように、複素比透磁率の虚数部分μ″が極大となる周波数f1以上の周波数f2を使用周波数として用いることによって、通信時におけるフェライト部材の複素比透磁率の虚数部分μ″を大きくすることができるので、相対損失係数tanδ/μ′(=μ″/(μ′))および損失係数tanδ(=μ″/μ′)を大きくすることができる。これにより、損失係数tanδの逆数であるQ値(=μ′/μ″)を小さくすることができるので、通信可能な周波数帯域を広くすることができる。また、複素比透磁率の虚数部分μ″が極大となる周波数f1以上の周波数f2を使用周波数として用いることによって、温度による複素比透磁率の実数部分μ′および虚数部分μ″の変化率を小さくすることができるので、アンテナの特性の温度安定性を向上させることができる。これらにより、温度安定性に優れ、かつ、通信可能な周波数帯域の広い車載用などに適したアンテナを実現することができる。
上記一の局面によるアンテナにおいて、好ましくは、フェライト部材は、MnO、NiO、CuO、ZnO、MgOおよびLiOからなるグループより選択される少なくとも1つと、Feとを含有する。このように構成すれば、本発明のアンテナに用いるフェライト部材を容易に得ることができる。
上記一の局面によるアンテナにおいて、好ましくは、使用周波数として用いる周波数f2は、複素比透磁率の実数部分μ′と複素比透磁率の虚数部分μ″とが実質的に同一となる周波数f3の近傍以上の周波数である。このように構成すれば、温度によるフェライト部材の複素比透磁率の変化率をより小さくすることができるので、アンテナの特性の温度安定性をより向上させることができる。
この場合に、好ましくは、使用周波数として用いる周波数f2は、周波数f3の近傍の周波数である。このように構成すれば、温度によるフェライト部材の複素比透磁率の変化率を容易に小さくすることができるので、アンテナの特性の温度安定性を容易に向上させることができる。
上記一の局面によるアンテナにおいて、好ましくは、フェライト部材は、60mol%以下のFeと、20mol%以上のZnOとを含有し、使用周波数として用いる周波数f2は、13.6MHz近傍の周波数である。このように、20mol%以上のZnOを含有することによって、フェライト部材の複素比透磁率の虚数部分μ″が極大となる周波数f1が、13.6MHz近傍よりも大きくなるのを抑制することができるので、容易に、13.6MHz近傍の周波数f2を使用周波数として用いることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるアンテナの構造を概略的に示した斜視図である。図2および図3は、一般的なフェライトの磁気特性を説明するための図である。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態によるアンテナ1の構造について説明する。
本発明の一実施形態によるアンテナ1は、車載用として使用されるとともに、図1に示すように、フェライト部材2と、コイル3と、コイル3に接続されたインピーダンス調製用の回路部4とを備えている。また、フェライト部材2は、約20mm×約10mm×約5mmの直方体の形状を有している。また、本実施形態では、フェライト部材2は、20mol%以上のZnOと、60mol%以下のFeとを含有している。なお、フェライト部材2は、ZnOおよびFe以外に、MnO、NiO、CuO、ZnO、MgOおよびLiOを含有していてもよい。また、フェライト部材2は、所定の複素比透磁率μ(=μ′−iμ″)を有している。なお、μ′は、複素比透磁率μの実数部分を表わしている。また、μ″は、複素比透磁率μの虚数部分を表わしている。なお、本発明における複素比透磁率μは、複素透磁率を真空の透磁率μで除した値である。
ここで、本実施形態によるアンテナ1は、フェライト部材2の複素比透磁率μの虚数部分μ″の値が極大となる周波数f1(図2参照)以上の周波数f2(図2参照)を使用周波数として用いて通信されるように構成されている。また、アンテナ1は、フェライト部材2の複素比透磁率μの実数部分μ′と複素比透磁率μの虚数部分μ″とが実質的に同一となる周波数f3(図2参照)の近傍以上の周波数f2を使用周波数として用いるのがより好ましい。なお、従来のアンテナでは、損失を小さくして消費電力を小さくするために、損失成分としてのフェライト部材の複素比透磁率μの虚数部分μ″が実質的に0である周波数以下の周波数f4(図2参照)を用いて通信されるのが一般的である。
また、本実施形態によるアンテナ1のコイル3は、銅線により形成されているとともに、フェライト部材2に約10周巻きつけられている。
本実施形態では、上記のように、複素比透磁率μの虚数部分μ″が極大となる周波数f1以上の周波数f2を使用周波数として用いることによって、図2に示すように、通信時におけるフェライト部材2の複素比透磁率μの虚数部分μ″を大きくすることができるので、相対損失係数tanδ/μ′(=μ″/(μ′))および損失係数tanδ(=μ″/μ′)を大きくすることができる。これにより、損失係数tanδの逆数であるQ値(=μ′/μ″)を小さくすることができるので、通信可能な周波数帯域を広くすることができる。本実施形態では、このように通信可能な周波数帯域を広くすることができる反面、上記のようにフェライト部材2の損失成分としての虚数部分μ″が大きくなる。しかし、本実施形態によるアンテナ1は、バッテリなどにより電源の確保が容易な車載用などであるので、損失が大きいために消費電力が大きくなった場合にもそれほど問題にはならない。また、複素比透磁率μの虚数部分μ″が極大となる周波数f1以上の周波数f2を使用周波数として用いることによって、この周波数f2では、図3に示すように、温度による複素比透磁率μの実数部分μ′および虚数部分μ″の変化率を小さくすることができるので、アンテナ1の特性の温度安定性を向上させることができる。これらにより、本実施形態では、温度安定性に優れ、かつ、通信可能な周波数帯域の広い車載用などに適したアンテナ1を実現することができる。
また、本実施形態では、複素比透磁率μの実数部分μ′と複素比透磁率μの虚数部分μ″とが実質的に同一となる周波数f3の近傍以上の周波数f2を使用周波数として用いる場合には、アンテナ1の特性の温度安定性をより向上させることができる。すなわち、一般的なフェライト部材では、図3に示すように、たとえば、周波数f1(130℃)における複素比透磁率μの実数部分μ′の温度による変化量(たとえば、25℃に対する130℃の複素比透磁率μの実数部分μ′の変化量L1)に比べて、周波数f3(130℃)の近傍以上における複素比透磁率μの実数部分μ′の温度による変化量(周波数f3(130℃)における25℃に対する130℃の複素比透磁率μの実数部分μ′の変化量L2)が小さくなるとともに、周波数f1(130℃)における複素比透磁率μの虚数部分μ″の温度による変化量(たとえば、25℃に対する130℃の複素比透磁率μの虚数部分μ″の変化量L3)に比べて、周波数f3(130℃)の近傍以上における複素比透磁率μの虚数部分μ″の温度による変化量(周波数f3(130℃)における25℃に対する130℃の複素比透磁率μの虚数部分μ″の変化量L4)が小さくなるので、周波数f3の近傍以上の周波数f2を使用周波数として用いることにより、温度によるフェライト部材2の複素比透磁率μの変化率をより小さくすることができる。これにより、アンテナ1の特性の温度安定性をより向上させることができる。なお、130℃以外の、たとえば、80℃、25℃および−45℃においても、図3に示したように、周波数f1における複素比透磁率μの実数部分μ′および虚数部分μ″の温度による変化率に比べて、周波数f3における複素比透磁率μの実数部分μ′および虚数部分μ″の温度による変化率がそれぞれ小さくなる。
また、本実施形態では、フェライト部材2は、60mol%以下のFeと、20mol%以上のZnOとを含有し、約13.6MHz近傍の周波数f2を使用周波数として用いる。このように、20mol%以上のZnOを含有することによって、フェライト部材2の複素比透磁率μの虚数部分μ″が極大となる周波数f1が、13.6MHz近傍よりも大きくなるのを抑制することができるので、容易に、約13.6MHz近傍の周波数f2を使用周波数として用いることができる。
(実施例)
次に、上記した一実施形態によるアンテナの効果を確認するために行った比較実験について説明する。まず、アンテナに用いるフェライト部材の磁気特性に関する比較実験について説明する。なお、この比較実験では、本実施形態に対応する実施例1〜3による試料A〜Cと、比較例1および2による試料DおよびEとを作製するとともに、それらの作製した試料A〜Eについて磁気特性を評価した。
(実施例1)
この実施例1では、49mol%のFeと、22mol%のNiOと、6mol%のCuOと、23mol%のZnOとを含有するNiZn系スピネルフェライトを用いて試料Aを作製した。また、試料Aは、8mmの外径と2mmの厚みとを有するとともに、中央に4mmの内径の円形の空洞部を有するリング形状に形成した。
(実施例2)
実施例2では、49mol%のFeと、25mol%のNiOと、6mol%のCuOと、20mol%のZnOとを含有するNiZn系スピネルフェライトを用いて試料Bを作製した。これ以外は、上記実施例1による試料Aと同様にして、試料Bを作製した。
(実施例3)
実施例3では、60mol%のFeと、7mol%のLiOと、5mol%のMnOと、28mol%のZnOとを含有するLiZn系スピネルフェライトを用いて試料Cを作製した。これ以外は、上記実施例1による試料Aと同様にして、試料Cを作製した。
(比較例1)
比較例1では、53mol%のFeと、31mol%のNiOと、6mol%のCuOと、10mol%のZnOとを含有するNiZn系スピネルフェライトを用いて試料Dを作製した。これ以外は、上記実施例1による試料Aと同様にして、試料Dを作製した。
(比較例2)
比較例2では、66mol%のFeと、10mol%のLiOと、6mol%のMnOと、18mol%のZnOとを含有するLiZn系スピネルフェライトを用いて試料Eを作製した。これ以外は、上記実施例1による試料Aと同様にして、試料Eを作製した。
上記のように作製した試料A〜Eを、恒温槽中で25℃の温度で保持した。その後、25℃の温度で保持した試料A〜Eについて、1MHz〜100MHzの範囲で周波数を変化させて複素比透磁率μ(=μ′−iμ″)を測定した。この測定結果が図4〜図8に示されている。なお、複素比透磁率μの測定には、アジレントテクノロジー社製のインピーダンスアナライザE4991Aを用いた。
また、−45℃、25℃および130℃で保持した試料A〜Eについて、13.6MHzの周波数で測定した複素比透磁率μの実数部分μ′および虚数部分μ″を用いて、各試料A〜Eの相対損失係数tanδ/μ′(=μ″/(μ′))を算出した。そして、算出した25℃で保持した試料A〜Eの13.6MHzにおける相対損失係数tanδ/μ′に対する、−45℃および130℃で保持した試料A〜Eの13.6MHzの周波数における相対損失係数tanδ/μ′の変化率Δtanδ/μ′(%)を算出した。また、25℃で保持した試料A〜Eの13.6MHzの周波数における複素比透磁率μの実数部分μ′に対する、−45℃および130℃で保持した試料A〜Eの13.6MHzの周波数における複素比透磁率μの実数部分μ′の変化率Δμ′(%)を算出した。
また、25℃で保持した試料A〜Eについて周波数を変化させて測定した複素比透磁率μ(=μ′−iμ″)を用いて、複素比透磁率μの虚数部分μ″が極大となる周波数f1、および、複素比透磁率μの実数部分μ′と虚数部分μ″とが実質的に同一となる周波数f3を算出した。
上記した複素比透磁率μ(=μ′−iμ″)の測定結果と、相対損失係数tanδ/μ′、周波数f1および周波数f3の算出結果とが以下の表1に示されている。また、相対損失係数tanδ/μ′の変化率Δtanδ/μ′(%)、および、複素比透磁率μの実数部分μ′の変化率Δμ′(%)が以下の表2に示されている。
Figure 2006332729
Figure 2006332729
上記表1を参照して、25℃で保持した実施例1〜3、比較例1および2の13.6MHzの周波数における複素比透磁率μの実数部分μ′は、それぞれ、166、161、164、93および168であった。また、25℃で保持した実施例1〜3、比較例1および2の13.6MHzの周波数における複素比透磁率μの虚数部分μ″は、それぞれ、194、103、158、5および36であった。
また、図4〜図8および表1を参照して、本実施形態に対応する実施例1〜3では、13.6MHzの周波数は、複素比透磁率μの虚数部分μ″が極大となる周波数f1以上である一方、比較例1および2では、13.6MHzの周波数は、複素比透磁率μの虚数部分μ″が極大となる周波数f1よりも小さくなることが判明した。具体的には、本実施形態に対応する実施例1〜3、比較例1および2の複素比透磁率μの虚数部分μ″が極大となる周波数f1は、それぞれ、8MHz、13MHz、10MHz、40MHzおよび25MHzであった。これは、実施例1〜3では、フェライトに20mol%以上のZnOを含有することによって、複素比透磁率μの虚数部分μ″が極大となる周波数f1が大きくなるのが抑制されたためであると考えられる。
また、本実施形態に対応する実施例1(試料A)では、図4および表1に示すように、13.6MHzの周波数は、複素比透磁率μの実数部分μ′と虚数部分μ″とが同一になる周波数f3(10MHz)以上の周波数であることが判明した。また、本実施形態に対応する実施例3(試料C)では、図6および表1に示すように、13.6MHzの周波数は、複素比透磁率μの実数部分μ′と虚数部分μ″とが同一になる周波数f3(14MHz)の近傍の周波数であることが判明した。これに対して、本実施形態に対応する実施例2(試料B)では、図5および表1に示すように、13.6MHzの周波数は、複素比透磁率μの実数部分μ′と虚数部分μ″とが同一になる周波数f3(25MHz)以下の周波数であることが判明した。また、比較例1(試料D)では、図7および表1に示すように、13.6MHzの周波数は、複素比透磁率μの実数部分μ′と虚数部分μ″とが同一になる周波数f3(75MHz)以下の周波数であることが判明した。また、比較例2(試料E)では、図8および表1に示すように、13.6MHzの周波数は、複素比透磁率μの実数部分μ′と虚数部分μ″とが同一になる周波数f3(28MHz)以下の周波数であることが判明した。
また、上記表1を参照して、本実施形態に対応する実施例1〜3の相対損失係数tanδ/μ′(=μ″/(μ′))(実施例1:7040×10−6、実施例2:3974×10−6、実施例3:5874×10−6)は、比較例1および2の相対損失係数tanδ/μ′(=μ″/(μ′))(比較例1:578×10−6、比較例2:1276×10−6)に比べて大きくなることが判明した。これにより、実施例1〜3では、Q値を小さくすることが可能となるので、通信可能な周波数帯域を広くすることが可能であることがわかる。
また、上記表2を参照して、25℃における複素比透磁率μの実数部分μ′に対する130℃および−45℃における複素比透磁率μの実数部分μ′の変化率Δμ′は、実施例1では、8.3%および16.9%であり、実施例2では、4.3%および−2.0%であり、実施例3では、−1.3%および13.4%であり、本実施形態に対応する実施例1〜3では、変化率Δμ′は、25%以下になることが判明した。これに対して、比較例1では、41.7%および−27.8%であり、比較例2では、0.4%および−32.9%であり、比較例1および2では、変化率Δμ′は、25%以上になることが判明した。これにより、本実施形態に対応する実施例1〜3の複素比透磁率μの実数部分μ′の変化率Δμ′の絶対値は、比較例1および2の複素比透磁率μの実数部分μ′の変化率Δμ′の絶対値よりも小さくなることが判明した。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、本実施形態に対応する実施例1〜3では、使用周波数としての13.6MHzの周波数(f2)は、複素比透磁率μの虚数部分μ″が極大となる周波数f1以上であるので、複素比透磁率μの温度による変化率を小さくすることができたためであると考えられる。
また、表2から、130℃および−45℃における相対損失係数tanδ/μ′の変化率Δtanδ/μ′は、実施例1では、−4%および−35%であり、実施例2では、51%および−50%であり、実施例3では、15%および−42%であり、本実施形態に対応する実施例1〜3では、変化率Δtanδ/μ′は、100%以下になることが判明した。これに対して、比較例1では、575%および−95%であり、比較例2では、291%および−85%であり、比較例1および2では、変化率Δtanδ/μ′は、100%よりも大きくなることが判明した。これにより、本実施形態に対応する実施例1〜3の相対損失係数tanδ/μ′の変化率Δtanδ/μ′は、比較例1および2の相対損失係数tanδ/μ′の変化率Δtanδ/μ′よりも小さくなることが判明した。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、本実施形態に対応する実施例1〜3では、使用周波数としての13.6MHzの周波数(f2)は、複素比透磁率μの虚数部分μ″が極大となる周波数f1以上であるので、上記した複素比透磁率μの実数部分μ′の変化率の場合と同様、複素比透磁率μの温度による変化率を小さくすることができたためであると考えられる。
次に、アンテナ性能を評価した比較実験について説明する。この比較実験では、上記実施例1〜3にそれぞれ対応する実施例4〜6による試料F〜Hと、上記比較例1および2にそれぞれ対応する比較例3および4による試料IおよびJとを作製してアンテナ性能の評価を行った。
実施例4〜6、比較例3および4に対応する試料F〜Jは、図1に示したアンテナ1と同様に作製した。具体的には、試料F〜Jのアンテナ1に用いるフェライト部材2は、それぞれ、上記実施例1〜3、比較例1および2に対応する試料A〜Eと同様の組成比で作製した。そして、試料F〜Jでは、フェライト部材2にコイル3を10周巻き付けるとともに、インピーダンス調整用の回路部4をコイル3に接続した。その後、25℃において、インピーダンスアナライザにより13.6MHzで受信側であるアンテナ1と受信機とのインピーダンスを同じにするとともに、発信側であるループアンテナと送信機とのインピーダンスを同じにすることにより、インピーダンスマッチングを行った。このようにして、アンテナ性能を評価する試料として、実施例4〜6、比較例3および4に対応する試料F〜Jを作製した。
上記のように作製した試料F〜Jのアンテナについて、恒温槽中で130℃、25℃および−45℃で保持した後、VSWR(電圧定在波比)を測定した。このVSWR(電圧定在波比)の測定は、試料F〜Jを受信側として行った。また、発信側には、発信機が接続された500mmの直径を有するループアンテナを用いるとともに、そのループアンテナを試料F〜Jのアンテナから200mmの距離を隔てて配置した。なお、VSWR(電圧定在波比)とは、インピーダンスの整合の度合を示す指標であり、VSWRが1に近い程、受信側のアンテナ(試料F〜J)の電波の受信効率が良いことを表わす。この測定結果を、以下の表3に示す。なお、一般的に、アンテナのVSWRは、2以下であることが必要である。
Figure 2006332729
上記表3を参照して、130℃、25℃および−45℃におけるVSWRは、実施例4では、1.16、1.02および1.39であり、実施例5では、1.54、1.02および1.60であり、実施例6では、1.69、1.01および1.37であり、本実施形態に対応する実施例4〜6では、VSWRは、2以下になることが判明した。これに対して、比較例3では、15.14、1.03および7.10であり、比較例4では、2.74、1.05および5.74であり、比較例3および4では、VSWRは、2よりも大きくなることが判明した。
また、実施例4〜6、比較例3および4に対応する試料F〜Jのアンテナを受信側として、発信側から発信した電波の周波数が、13.1MHz、13.6MHzおよび14.1MHzの場合における受信電力を測定した。なお、受信電力とは、アンテナ1が電波を受信することにより、コイル3に発生する電力である。そして、13.6MHzにおける受信電力を基準として、13.1MHzおよび14.1MHzにおける受信電力の変化度を算出した。この結果を、表4に示す。
Figure 2006332729
上記表4を参照して、13.6MHzにおける受信電力を基準とする13.1MHzおよび14.1MHzにおける受信電力の変化度は、実施例4では、−15.9dbおよび−16.4dbであり、実施例5では、−16.7dbおよび−18.2dbであり、実施例6では、−15.6dbおよび−16.4dbであり、実施例4〜6では、受信電力の変化度(低下度)の絶対値が19db以下であることが判明した。これに対して、比較例3では、−20.8dbおよび−22.0dbであり、比較例4では、−19.1dbおよび−19.1dbであり、比較例3および4では、受信電力の変化度(低下度)の絶対値は、19dbよりも大きいことが判明した。この結果から、本実施形態に対応する実施例4〜6では、比較例3および4よりも、13.1MHzおよび14.1MHzにおける受信電力の低下が抑制されることが分かる。これにより、実施例4〜6によるアンテナでは、13.1MHz〜14.1MHzにかけての周波数帯域の電波の受信性能を向上させることが可能であることが分かった。また、本実施形態に対応する実施例4〜6によるアンテナでは、13.6MHzを中心とする13.1MHz〜14.1MHzにかけての周波数帯域の電波の受信性能が向上するのに伴って、通信可能な周波数帯域を拡大することが可能であると考えられる。
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等などの意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、使用周波数としての周波数f2を約13.6MHzとした例を示したが、本発明はこれに限らず、使用周波数としての周波数f2を約13.6MHz以外の、たとえば、HF(High Frequency)帯(3MHz〜30MHz)〜UHF(Ultra High Frequency)帯(300MHz〜3GHz)の周波数にしてもよい。この場合には、HF帯やUHF帯において、使用周波数としての周波数f2を、複素比透磁率の虚数部分μ″が極大となる周波数f1以上に設定すればよい。
また、上記実施形態では、フェライト部材に60mol%以下のFeを含有させた例を示したが、本発明はこれに限らず、フェライト部材に60mol%よりも多くのFeを含有させてもよい。
また、上記実施形態では、フェライト部材に20mol%以上のZnOを含有させた例について説明したが、本発明はこれに限らず、フェライト部材に20mol%よりも少ないZnOを含有させてもよい。また、フェライト部材にZnOを含有させなくてもよい。
また、上記実施形態では、本発明によるアンテナを受信側に用いた例について説明したが、本発明はこれに限らず、本発明によるアンテナを発信側に用いてもよい。
本発明の一実施形態によるアンテナの構造を概略的に示した斜視図である。 一般的なフェライトの磁気特性を説明するための図である。 一般的なフェライトの磁気特性を説明するための図である。 実施例1(試料A)の磁気特性を評価した実験結果を示した図である。 実施例2(試料B)の磁気特性を評価した実験結果を示した図である。 実施例3(試料C)の磁気特性を評価した実験結果を示した図である。 比較例1(試料D)の磁気特性を評価した実験結果を示した図である。 比較例2(試料E)の磁気特性を評価した実験結果を示した図である。
符号の説明
1 アンテナ
2 フェライト部材
3 コイル
4 回路部

Claims (5)

  1. コイルと、
    前記コイルが巻かれるフェライト部材とを備え、
    前記フェライト部材は、所定の複素比透磁率μを有し、
    前記所定の複素比透磁率μの実数部分および虚数部分をそれぞれμ′およびμ″として、前記複素比透磁率μを、μ=μ′−iμ″と表わす場合に、前記複素比透磁率の虚数部分μ″が極大となる周波数f1以上の周波数f2を使用周波数として用いる、アンテナ。
  2. 前記フェライト部材は、MnO、NiO、CuO、ZnO、MgOおよびLiOからなるグループより選択される少なくとも1つと、Feとを含有する、請求項1に記載のアンテナ。
  3. 前記使用周波数として用いる周波数f2は、前記複素比透磁率の実数部分μ′と前記複素比透磁率の虚数部分μ″とが実質的に同一となる周波数f3の近傍以上の周波数である、請求項1または2に記載のアンテナ。
  4. 前記使用周波数として用いる周波数f2は、前記周波数f3の近傍の周波数である、請求項3に記載のアンテナ。
  5. 前記フェライト部材は、60mol%以下のFeと、20mol%以上のZnOとを含有し、
    前記使用周波数として用いる周波数f2は、13.6MHz近傍の周波数である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンテナ。
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