JP2006331768A - 高分子電解質型燃料電池 - Google Patents

高分子電解質型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料流体や酸化剤流体に含まれている水蒸気や、発電によって生じる余剰生成水による流路の閉塞を起こさず、積層時でもエネルギー効率が高く安定した動作をする高分子電解質型燃料電池を提供することを課題とする。
【解決手段】セパレータ面内の流体流路と同一の表面性を有する検査溝を作製した後、この検査溝を評価することで流体流路中の表面性を向上させるだけでなく、積層時には検査部の表面性を均一化したセパレータを用いることによって供給流体の配流のばらつきを抑制することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポータブル電源,電気自動車用電源および家庭内コージェネシステムなどに使用することが可能な高分子電解質を用いた燃料電池に関するものである。
燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気など酸素を含有す酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させるものである。その構造は、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜の両面に、白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒反応層が形成されており、この触媒反応層の外面に燃料ガスの通気性と電子伝導性とを併せ持つ、拡散層(例えばカーボンペーパーやカーボンクロスなど)を形成し、この拡散層と触媒反応層とを合わせて電極としたものである。そして一般に、水素が導入される電極をアノード(水素極,燃料極)、酸素が導入される電極をカソード(酸素極、空気極)と称されている。
次に、供給する燃料ガスや酸化剤ガスが外にリークしたり、燃料ガスと酸化剤ガスとが互いに混合したりしないように、電極の周囲には高分子電解質を挟んでガスシール材やガスケットを配置する。このシール材やガスケットは、電極及び高分子電解質膜と一体化して予め組み立てられるもので、これをMEA(膜電極接合体)と呼ぶ場合もある。MEAの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接してMEAを互いに電気的に直列に接続するための導電性のセパレータを配置する。セパレータのMEAと接触する部分には、電極面に反応ガスを供給し、生成ガスや余剰ガスを運び去るためのガス流路を形成する。ガス流路はセパレータと別に設けることもできるが、セパレータの表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的である。
この溝に燃料ガスを供給するためには、燃料ガスを供給する配管を、使用するセパレータの枚数に分岐し、その分岐先を直接セパレータの流体流路の溝につなぎ込む配管治具が必要となる。この治具をマニホールドと呼び、上記のような燃料ガスの供給配管から直接つなぎ込むタイプを外部マニホールドと呼ぶ。このマニホールドには、構造をより簡単にした内部マニホールドと呼ぶ形式のものがある。内部マニホールドとは、ガス流路を形成したセパレータに、貫通した孔を設け、ガス流路の出入り口をこの孔まで通し、この孔から直接燃料ガスを供給するものである。
燃料電池は運転中に発熱するので、電池を良好な温度状態に維持するために、冷却水等で冷却する必要がある。通常、1〜3セル毎に冷却水を流す冷却部をセパレータとセパレータとの間に挿入するが、セパレータの背面に冷却水流路を設けて冷却部とする場合が多い。これらのMEAとセパレータ及び冷却部を交互に重ねていき、10〜400セル積層した後、集電板と絶縁板を介し、端板でこれを挟み、締結ボルトで両端から固定するのが一般的な積層電池の構造である。
このような高分子電解質型燃料電池に用いるセパレータは、導電性が高く、かつ燃料ガスに対して高い気密性を持ち、更に水素/酸素を酸化還元する際の反応に対して高い耐食性、即ち耐酸性を持つ必要がある。このような理由で従来のセパレータは、グラシーカーボン板または樹脂含浸黒鉛板等の表面に切削加工でガス流路を形成したり、ガス流路溝を形成したプレス金型にバインダーと共に膨張黒鉛粉末を入れ、これをプレス加工した後、加熱処理したりすることで作製していた。
また、近年、従来から使用されたカーボン材料に代えて、ステンレスなどの金属板を用いる試みが行われている。金属板を用いたセパレータは、金属板が高温で酸化性の雰囲気に曝されるため、長期間使用すると金属板の腐食や溶解が起きる可能性がある。金属板が腐食すると、腐食部分の電気抵抗が増大し、電池の出力が低下する。また、金属板が溶解すると、溶解した金属イオンが高分子電解質に拡散し、これが高分子電解質のイオン交換サイトにトラップされ、結果的に高分子電解質自身のイオン導電性が低下する。このような劣化を避けるため金属板の表面にある程度の厚さを持つ金メッキを施すことが通例であった。
高分子電解質型燃料電池は、高分子電解質内を電離した水素が移動しやすくするため、燃料ガスとしての水素を含むガスや、酸化剤としての酸素ガスを含むガスに水蒸気を混合して供給することが一般的である。一方、発電時の燃焼反応により水分(水蒸気)が生成するため、セパレータに形成された流路溝には燃料や酸化剤と混合する水蒸気と、発電により生成する水分(水蒸気)とが通過する。セパレータ表面は生成した水が必要以上に結露しないように一定の温度に制御されるのが一般的であるが、発電した電力の消費量や燃料供給の変化により、燃料電池内部の発生熱量が変化し、内部温度が変動したり、生成水の量が変動したりする。
例えば温度が低下した場合などにはセパレータ表面が結露しやすくなることがあり、このような現象を完全に排除することは事実上不可能である。結露が発生すると、水滴が流路を塞ぎ、その塞いだ場所以降の電極や触媒に対し燃料供給不足が発生するため、徐々に電圧が低下し、またその水滴が排出されると、流路閉塞が解除されるため燃料供給が回復し、電圧が上昇すると行った電圧不安定現象(フラッディング)が発生するという問題があった。
また、従来型の燃料電池用セパレータの材質としては、黒鉛ブロックを加工した不浸透化物、耐食性金属及び膨張黒鉛シート積層成形体に液状樹脂を含浸させ硬化させた液状樹脂含有物が用いられるが、この材質からなるセパレータは親水性に劣るものであった。そのため、セパレータの親水性を向上させるまた逆にセパレータの撥水性を十分に高めることで水の排出性を向上させる方法等の各種方法が開発され、その効果が評価されている。
従来例として、セパレータの親水性を向上させる方法としては、
(1)燃料電池用セパレータの表面に形成された条溝において、生成水の排出性を簡便高める表面処理方法として、セパレータ表面に真空紫外光照射装置を用いて真空紫光を照射することにより、表面の濡れ性を高める方法(特許文献1に記載の発明)があり、
セパレータの撥水性を向上させる方法としては、
(2)低コストの金属基板材料を主体とする導電性及び耐食性に優れたセパレータを作製するために、表面に黒鉛又は非晶質炭素材料を含む電気導電材と水に対する臨界表面張力(yc)が30dyn/cm以下の樹脂を含む撥水性導電層を形成する方法(特許文献2に記載の発明)などが知られている。
特開2003−142116号公報 特開2002−216786号公報
しかしながら、前述した従来の技術では、例えば、上記(1)の方法の場合、セパレータの表面の親水性が持続しないという問題を有することになり、また、上記(2)の方法の場合、セパレータは表面の撥水性導電層から電解質膜及び触媒に悪影響を及ぼす物質が溶出することになりその結果、電圧の低下を招く可能性があるという問題を有することになる。更に、上記(1)(2)の方法で得られたセパレータは製造工程が複雑になるために生産コストが高くなり、そのうえ流体流路加工後の水の排出性の評価ができず、大量生産時に品質が安定しないという問題があった。
本発明は上記従来の課題を鑑み、燃料流体や酸化剤流体に含まれている水蒸気や、発電によって生じる余剰生成水による流路の閉塞を起こさず、積層時でもエネルギー効率が高く安定した動作をする高分子電解質型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の高分子電解質型燃料電池は、高分子電解質膜および前記高分子電解質膜を挟む一対の電極からなる接合体、並びに前記接合体を挟み、燃料または酸化剤の流路が形成された一対のセパレータを備え、前記電極は前記高分子電解質膜の表面に触媒層と前記セパレータの表面に燃料または酸化剤の拡散層基材を有し、前記拡散層基材が積層された高分子電解質型燃料電池であって、前記セパレータと同一面に、前記流路との算術平均粗さRaの差が0.3μm以下である検査溝を設けたことで、上記課題を解決することができる。その結果、検査溝を評価するだけで、各セパレータの流体流路加工後の流体流路の表面性を検査することができ、また、従来の高分子電解質型燃料電池用セパレータとその製造方法では得ることができなかった品質が安定したセパレータの大量生産が可能になる。
本発明によって、エネルギー効率の低下を防ぎ、安定性の高い高分子電解質型燃料電池を構成することが可能になる。
高分子電解質型燃料電池において、生成水による流路の閉塞を回避し、安定した動作性を与えることができる。また、単電池を積層化時の供給ガスの圧力損失値のばらつきを抑制することができるので、品質が安定した高分子電解質型燃料電池の製造が可能になる。以上から、高分子電解質型燃料電池において、動作の安定性、効率等の性能と品質の飛躍的な向上を図ることができる。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
触媒層を形成した電極の作成方法を説明する。アセチレンブラック粉末に、平均粒径が約30Åの白金粒子を25重量%担持したものを電極の触媒とした。この触媒粉末をイソプロパノールに分散させた溶液に、パーフルオロカーボンスルホン酸の粉末をエチルアルコールに分散したディスパージョン溶液を混合し、触媒ペースト状にした。
一方、電極の支持体になるカーボンペーパーを撥水処理した。外寸14cm×14cm、厚み36μmのカーボン不織布(東レ製、TGP−H−120)を、フッ素樹脂含有の水性ディスパージョン(ダイキン工業製、ネオフロンND1)に含浸した後、これを乾燥し、400℃で30分間加熱することで、撥水性を与えた。このカーボン不織布の一方の面に、触媒ペーストをスクリーン印刷法を用いて塗布することで触媒層を形成した。
このとき、触媒層の一部は、カーボン不織布の中に埋まり込んでいる。このようにして作成した触媒層とカーボン不織布とを合わせて電極した。形成後の反応電極中に含まれる白金量は0.6mg/cm2、パーフルオロカーボンスルホン酸の量は1.2mg/cm2となるよう調整した。
次に、外寸が15cm×15cmのプロトン伝導性高分子電解質の裏表両面に、一対の電極を触媒層が電解質膜の側に接するようにホットプレスで接合し、これを電極電解質膜接合体(MEA)とした。ここでは、プロトン伝導性高分子膜として、パーフルオロカーボンスルホン酸を30μmの厚みに薄膜化したものを用いた。
次に、図1は本発明に係る導電性セパレータを示す図である。
アノード側セパレータ1に燃料流体マニホールド入口3から流体流路2に燃料となる流体が供給され、カソード側セパレータ11で酸化剤マニホールド入口7から酸化剤となる流体が供給される。13は発電中の燃料電池を適切な温度に保つために冷却水を流すための冷却水マニホールドであり、ここから冷却水が冷却水水路12に供給される。5,6はアノード側の検査溝で流体流路と同じ表面状態、断面形状に加工されている。
次に、この導電性セパレータの作製方法を以下に説明する。
まず、平均粒径が50〜100μmの人造黒鉛粉末を用意し、人造黒鉛粉末80重量%に、熱硬化性フェノール樹脂20重量%を押し出し混練機で混練し混練粉末とする。この混練粉末を燃料流体及び酸化剤流体を供給する流体流路用溝と冷却水流路用溝及びマニホールド、そして本発明の特徴である流体流路と同じ断面に検査溝がなるように形状を施し、180℃に加熱した金型に投入し、ホットプレスで圧縮成形を行う。
この際、この成形の方法は射出成形やトランスファー成形でも良いし、また、成形後に検査溝のみを切削加工で作成しても良い。流体流路と表面状態が同じであれば必ずしも流体流路と同じ断面形状である必要はないが、同じ断面形状の方が望ましい。また、後述するがこの検査溝に濡れ張力試薬を用いて、各セパレータの流体流路の表面状態を評価するのだが、この試薬が流体流路に入ってしまうと長期的な高分子電解質型燃料電池の発電において、電解質膜及び触媒に悪影響を及ぼす可能性がある。
その検証として流体流路に濡れ張力試薬を滴下し、その後電池試験で耐久性への影響の評価を行うと約2000h後に通常の状態と比較して20mV程度の電圧低下が見られた。この結果から、本実施例では図1のアノード側の検査溝5,6を流体流路に濡れ張力試薬が混入しないように供給ガスが配流される燃料流体マニホールド入口3よりも下方に作製した。
また、図1の導電性セパレータにおける5,6の検査溝のように流路と平行にする検査溝を作製するのが望ましい。その理由は、射出成形やトランスファー成形をすると、黒鉛等の配向により、濡れ性に異方性が生じる。そのため、図1のような蛇行流路なら、重力方向に垂直と平行方向のそれぞれの流路にたいして、平行な検査溝を作製することが望ましい。カソード側の検査溝に関しても同様に作製を行った。
次に、図2にこのセパレータの流体流路と検査溝の算術平均粗さRaをレーザー共焦点顕微鏡により計測した結果を示す。流体流路、検査溝ともにRa=1.0μmであり十分に一致していることを確認した。
また、セパレータ表面の濡れ性の測定として、セパレータの流路部と検査溝を縦30mm、横30mmの試料板に切断し、動的濡れ試験機(レスカ製WET−6000)を用いる方法がある。この試験機において、試料板を蒸留水に沈める過程で得られる接触角が前進接触角、引き上げる過程で得られる接触角は後退接触角という。この評価方法を用いて、セパレータ流路部と検査溝の試料板を作成し、前進接触角と後退接触角の測定を行った。その結果、セパレータ流路部と検査溝の前進接触角、後退接触角のそれぞれの差が10度未満であることを確認した。
材料の濡れ性に対しては、前進接触角は材料が乾いた状態での親水性を表し、後退接触角は材料が一度濡れた後の親水性を表す。高分子電解質型燃料電池の電解質膜は膜自身が水分を必要とするため、アノード側、カソード側ともに供給ガスは加湿されているのが一般的である。つまり、発電中のセパレータの流体流路表面は乾いた部分よりも供給ガスの水分の結露によって濡れている部分が多いと考えられる。
従って、後退接触角の小さい材料をセパレータの構成材料として用いれば、一旦濡れると親水性が高いので流体流路を閉塞しにくく電圧不安定現象が起こりにくいと考えられる。また、逆に後退接触角を大きくする、つまり前進接触角と後退接触角の差を小さくすれば、撥水性が高くなり結露した水分が流体流路を閉塞する前に排出することができる。以上のように、動的濡れ試験機による前進接触角、後退接触角の評価はセパレータの表面性に重要な情報をもたらす。
しかし、動的濡れ試験機による前進接触角、後退接触角の評価方法では、セパレータを所定の大きさの試料板に破壊する必要があり、大量生産時の検査評価手法には適さないという問題がある。そこで、本発明では濡れ性の評価方法として、水よりも表面張力の低い濡れ張力試薬を用いる。
図3は、本発明に係る流路と検査溝の表面の評価を行う際の概念図を示し、15は少量の試薬を正確に滴下できるシリンジやマイクロピペットで、16は濡れ張力試薬で、17は流体流路である。
滴下された濡れ張力試薬は流体流路の中を濡れ広がる。この長さを測定して、流体流路の表面性の指標にする。従ってこの方法で予めセパレータ流体流路部と検査溝の表面性の相関が取れていれば、検査溝のみを評価することによってセパレータ流体流路部の表面性を検査することができる。また、検査溝を図1で示すように5,6のように設けておけば、濡れ張力試薬が流体流路に入り発電中の電解質膜及び触媒に悪影響を及ぼすことはない。
次に、セパレータ表面を親水性または撥水性に加工したときの流体流路と検査溝の表面性を濡れ張力試薬で評価した結果と電池特性試験での評価の相関について述べる。
まず、本発明でのセパレータの親水性への加工について述べる。
図4は成形直後のセパレータの断面を模式的に示したものである。同図において、18は黒鉛粒子であり19はバインダー樹脂である。厚みが1〜5μm程度で直径50〜100μmのベーサル面が表面と平行になったカーボン粒子の層20が形成されている。そこで、親水性を高めるためにベーサル面を持つ層を除去し、この層を平均粒子径20μmのアルミナ粉を直径5mmのノズルから150g/sの吐出量で0.01m/sの平面移動速度で吹き付ける。所謂、サンドブラスト加工によって10μmの厚みを除去する。また、この加工はウェットブラスト加工でも可能である。
図5に表面加工後の表面の結晶状態の概念図を示す。
表面に表出していたベーサル面の向きを揃えた黒鉛結晶の層は除去され、表面より突出した突出カーボン粒子22や結晶構造が窪んだ形状になった凹型カーボン粒子23などが多く表出する。凹型カーボン粒子23を拡大したものを図6に示す。
黒鉛粒子27〜29は表面にプリズム面(結晶側面)24〜26を表出している。このプリズム面(結晶側面)24〜26を更に拡大すると図7に示すような黒鉛結晶30の共有結合の一部が未結合の箇所29が多く持つ結晶で構成される。
すなわち、化学的に安定したカーボン表面が破壊され、このような未結合箇所が多く表面に表出しているような化学的に不安定な状態の表面に対して水の分子などが吸着しやすいため表面の親水性が高まる。更に、表層が除去されたときに凹凸形状が形成されているため表面積が増えるので、算術表面粗さRaが大きくなると親水性の効果は更に高くなると考えられる。本実施例では、セパレータの流体流路部と検査溝の算術平均表面粗さRaを2.0、3.0、4.0μmとなるようにサンドブラストの加工時間を変化させて表面処理を行った。また、この加工時の流体流路部と検査溝の算術平均表面粗さの差が0.3μm以下であることを確認した。
そして、図8は37dyn/cmの濡れ張力試薬による各算術平均表面粗さRaの流体流路部と検査溝に濡れ張力試薬を滴下し濡れ広がり距離とその差を確認した図である。親水性に加工したので濡れ広がりにくい試薬でも滴下時に濡れ広がる方が、特性は良好であると言える。
しかし、濡れ広がりにくい試薬を使い過ぎると表面処理の条件による差が出ない問題がある。そこで、本発明の実施例では、各種実験結果より37dyn/cmの濡れ張力試薬の使用が評価に最適であるとした。その結果、算術表面粗さRaに対して濡れ広がり距離は相関があり、また流体流路部と検査溝の差が3mm以下であることを確認した。
次に、本発明でのセパレータの撥水性への加工について述べる。
本実施例は精密研削加工装置により表面を平滑にすることで撥水性の効果を向上させた。研削加工はダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(CBN)、アルミナ等を用い、十分に時間をかけて処理を行った。また、この処理はラッピング等の遊離砥粒による研磨加工によっても可能である。本実施例ではこの加工によって、セパレータの流体流路部と検査溝の算術平均表面粗さRaを0.5,0.3,0.1μmに研削加工時間を変化させて表面処理を行った。また、この加工時の流体流路部と検査溝の算術平均表面粗さの差が0.1μm以下であることを確認した。
そして、図9は30dyn/cmの濡れ張力試薬による各算術平均表面粗さRaの流体流路部と検査溝に濡れ張力試薬を滴下し濡れ広がり距離とその差を確認した図である。撥水性に加工したので濡れ広がりやすい試薬でも、滴下時に濡れ広がらない方が特性は良好であると言える。しかし、濡れ広がりやすい試薬を使い過ぎると表面処理の条件による差がでない問題がある。そこで、各種実験結果より30dyn/cmの濡れ張力試薬を使用した。その結果、算術表面粗さRaに対して濡れ広がり距離は相関があり、また流体流路部と検査溝の差が3mm以下であることを確認した。
図10は本発明の実施形態における高分子電解質型燃料電池スタックを示す概略図である。上述のように親水性または撥水性に加工した各々のアノード側セパレータ1、カソード側セパレータ11の間にMEA(膜電極接合体)10、ガスシール材9を重ね合わせて単電池(単セル)33を形成する。
本実施例では、アノード側、カソード側の検査溝をガスシール材によって被覆し、表面に露出しないようにした。この各種単電池33をそれぞれ2セル積層した後、冷却水路溝を形成したセパレータでこの2セル積層電池を挟み込み、このパターンを繰り返して10セル積層の各種電池スタックとする。この時、各種電池スタックの両端部には、ステンレス製の集電板34、35と電気絶縁材料の絶縁板36、37、更に端板38、39と締結ロッドで固定した。この時の締結圧はセパレータの面積当たり15kgf/cm2とした。
このように作製した本実施例の10セル積層の各種高分子電解質型燃料電池を、80℃に保持し、アノード側に燃料流体として75℃の露点となるよう加湿した水素ガスを、もう一方カソード側に酸化剤流体として65℃の露点となるように加湿した空気を供給した。その結果、電流を外部に出力しない無負荷時には、9.6Vの電池開放電圧を得た。またこのときの積層電池全体の内部抵抗を測定したところ約4.5mΩであった。
この10セル積層の各種高分子電解質型燃料電池を酸素利用率40%、電流密度0.15A/cm2の条件で、燃料利用率50%から5%ずつ燃料利用率を上げていった。そうすると、当初700mV以上あったセル電圧がある燃料利用率で急激に低下する。そして、セル電圧が600mVをきったところで試験を中止する。それぞれの燃料利用率で5時間の運転試験を行い、全てのセル電圧が安定的に運転できる最も高い燃料使用率を限界燃料利用率(限界UF)とした。
次に、この10セル積層の各種高分子電解質型燃料電池を燃料利用率60%、電流密度0.3A/cm2の条件で酸素利用率30%から5%ずつ上げていった。酸素利用率に関しても燃料利用率と同様に、セル電圧が600mVをきったところで試験を中止する。それぞれの酸素利用率で5時間の運転試験を行い、全てのセル電圧が安定的に運転できる最も高い酸素利用率を限界酸素利用率(限界Uo)とした。この限界燃料利用率(限界Uf)と限界酸素利用率(限界Uo)が高い高分子電解質型燃料電池ほど安定性が高く耐フラッディング性が良好であると言える。この値を高分子電解質型燃料電池の電池特性評価の指標とした。
図11に本発明の実施例における親水性に加工したセパレータの各種10セル積層高分子電解質型燃料電池の濡れ広がり距離と電池特性の関係を示す。なお、濡れ広がり距離は37dyn/cmの濡れ張力試薬1μlを検査溝に滴下して測定を行った。なお、電池特性としては限界Ufが70%以上、限界Uoが50%以上の性能を発現すれば優れた耐フラッディング性を持つ高分子電解質型燃料電池であると言える。この結果、検査溝での濡れ広がり距離が20mm以上になれば十分な耐フラッディング性を発現することが分かった。これは、親水性への加工の効果が十分に発現し、流体流路中に発生する生成水による閉塞を防ぐためだと考えられる。
図12に本発明の実施例における撥水性に加工したセパレータの各種10セル積層高分子電解質型燃料電池の濡れ広がり距離と電池特性を示す。なお、濡れ広がり距離は30dyn/cmの濡れ張力試薬1μlを検査溝に滴下して測定を行った。この結果、検査溝での濡れ広がり距離が5mm以下であれば十分な耐フラッディング性を発現することが分かった。これは、撥水性への加工の効果が十分に発現し、流体流路中に発生する生成水の排出性が格段に高まったからであると考えられる。
上記の親水性または撥水性の効果の実験では各種の10セル積層高分子電解質型燃料電池を試作しているが、家庭用または自動車用では数十から数百Vの電圧が必要になる。したがって、場合によっては100セル以上を積層した高分子電解質型燃料電池が必要になる。そこで、親水性の100セル積層高分子電解質型燃料電池を、上記実施例での10セル積層時にRa=2.0um、すなわち、37dyn/cmの濡れ張力試薬を滴下したときの濡れ広がり距離が流体流路と検査溝において20〜22mmになる条件と同じ表面処理を行ったセパレータを用いて作成した。
また、撥水性の100セル積層高分子電解質型燃料電池を、上記実施例での10セル積層時にRa=0.3、すなわち、30dyn/cmの濡れ張力試薬を滴下したときの濡れ広がり距離が流体流路と検査溝において5mmになる条件と同じ表面処理を行ったセパレータを用いて作製した。まずは、検査溝の評価を行わずに親水性の100セル積層と撥水性の各種100セル積層高分子電解質型燃料電池を試作した。そして、上記実施例の10セル積層時と同様の電池特性評価を行ってみると10セル積層高分子電解質型燃料電池の結果と必ずしも相関のある結果が得られなかった。これは、100セル積層では10セル積層の場合よりも各セルに均等に供給流体を配流することが困難になるからである。つまり、各セルの供給流体に対する圧力損失を均等化するためにはより精度の高い各セパレータの表面性の均一化が要求される。従って、同様の処理を行ってセパレータを生産した後に、より厳格な基準を設け、本発明の検査溝の評価行い基準を満たしたもののみを使用しなければ100セル以上の積層高分子電解質型燃料電池では所望の特性を得ることはできなかった。
そこで、親水性のセパレータを作製するときに上記と同じ方法で作製し、基準を満たさないセパレータを除くために検査溝に37dyn/cmの濡れ張力試薬を1μl滴下し20mm以上の濡れ広がり距離を示すものだけを用いることにした。また、撥水性のセパレータを作製する場合も同様に上記と同じ方法で作製し、基準を満たさないセパレータを除くために検査溝に30dyn/cmの濡れ張力試薬を1μl滴下し5mm以下の濡れ広がり距離を示すものだけを用いた。
図13はこの不良品を除いたセパレータを100セル積層した親水性と撥水性の100セル積層高分子電解質型燃料電池の電池特性の結果である。この結果から、100セル積層の高分子電解質型燃料電池でも10セル積層時と同様の電池特性を得ることができた。
以上のように本発明によれば、流体流路加工後のセパレータの表面性が評価でき、検査基準を決定すれば、大量生産時においても不良品を容易に分別することができる。また、単電池を大量に積層した大電力型の高分子電解質型燃料電池においても、セパレータの表面性を均一化できるので、品質の安定した高分子電解質型燃料電池の構成が可能になる。
本発明に係る高分子電解質型燃料電池の概略を示す図 本発明に係る流路と検査溝の表面を撮影した図 本発明に係る流路と検査溝の表面の評価を行う際の概念を示す図 本発明に係る成形直後のセパレータ表面付近の断面を示す図 本発明に係るブラスト処理後のセパレータ表面付近の断面を示す図 本発明に係るブラスト処理後のセパレータ表面付近の拡大模式図 黒鉛結晶の模式図 本発明に係る37dyn/cmの濡れ張力試薬による各算術平均表面粗さRaの流体流路部と検査溝に濡れ張力試薬を滴下し濡れ広がり距離とその差を示す図 本発明に係る30dyn/cmの濡れ張力試薬による各算術平均表面粗さRaの流体流路部と検査溝に濡れ張力試薬を滴下し濡れ広がり距離とその差を示す図 本発明に係る高分子電解質型燃料電池スタックの概略図 本発明に係る親水性に加工したセパレータの各種10セル積層高分子電解質型燃料電池の濡れ広がり距離と電池特性の関係を示す図 本発明に係る撥水性に加工したセパレータの各種10セル積層高分子電解質型燃料電池の濡れ広がり距離と電池特性を示す図 本発明に係る不良品を除いたセパレータを100セル積層した親水性と撥水性の100セル積層高分子電解質型燃料電池の電池特性を示す図
符号の説明
1 アノード側セパレータ
2 燃料流体流路
3 燃料流体マニホールド入口
4 燃料流体マニホールド出口
5 検査溝
6 検査溝
7 酸化剤マニホールド入口
8 酸化剤マニホールド出口
9 ガスシール材
10 MEA(膜電極接合体)
11 カソード側セパレータ
12 冷却水水路
13 冷却水マニホールド入口
14 冷却水マニホールド出口

Claims (9)

  1. 高分子電解質膜および前記高分子電解質膜を挟む一対の電極からなる接合体、並びに前記接合体を挟み、燃料または酸化剤の流路が形成された一対のセパレータを備え、前記電極は前記高分子電解質膜の表面に触媒層と前記セパレータの表面に燃料または酸化剤の拡散層基材を有し、前記拡散層基材が積層された高分子電解質型燃料電池であって、前記セパレータと同一面に、前記流路との算術平均粗さRaの差が0.3μm以下である検査溝を設けたことを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
  2. 検査溝はセパレータ面内の流路と断面が同じ形状であることを特徴とする請求項1記載の高分子電解質型燃料電池。
  3. 検査溝は流路と平行または直角方向であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の高分子電解質型燃料電池。
  4. 検査溝はセパレータ面内の流体供給口より下方に形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の高分子電解質型燃料電池。
  5. 検査溝と流路との水に対する前進接触角の差が10度以下であることを特徴とする請求項1記載の高分子電解質型燃料電池。
  6. 検査溝とセ流路との水に対する後退接触角の差が10度以下であることを特徴とする請求項1記載の高分子電解質型燃料電池。
  7. 検査溝と流路に30〜37dyn/cmの濡れ張力試薬を1μl滴下したときの濡れ広がり長さが夫々20mm以上であることを特徴とする請求項1,5及び6の何れか一項に記載の高分子電解質型燃料電池。
  8. 検査溝と流路に30〜37dyn/cmの濡れ張力試薬を1μl滴下したときの濡れ広がり長さが夫々5mm以下であることを特徴とする請求項1,5及び6記載の高分子電解質型燃料電池。
  9. 検査溝と流路に30〜37dyn/cmの濡れ張力試薬を1μl滴下したときの濡れ広がり長さの差が3mm以下であることを特徴とする請求項1,5,6,7及び8記載の高分子電解質型燃料電池。
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JP2008269898A (ja) * 2007-04-18 2008-11-06 Toyota Motor Corp 燃料電池システム及びその制御方法

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