発明を実施するための形態の説明に先立ち、パス ライト(Pass Write)、クイック パス ライト(Quick Pass Write)、及びモディファイド クイック パス ライト(Modified Quick Pass Write)と呼ばれる書き込み方式について説明する。
多値NAND型フラッシュメモリのように、高精度のしきい値電圧の制御が必要とされるプログラム動作においては、パス ライトと呼ばれる書き込み方式を採用する場合がある。パス ライトとは、1ST Passと呼ばれる1度目のプログラムと、2ND Passと呼ばれる2度目のプログラム(2度書き)とを行うことによって、書き込みしきい値の分布幅を狭くする手法である。
パス ライトの改良例としてクイック パス ライトと呼ばれる書き込み方式がある。これは、1ST Passと、2ND Passとを並列処理して、書き込み時間の短縮を図ったものである。
パス ライトのさらなる改良例としてモディファイド クイック パス ライトと呼ばれる書き込み方式がある。これは、クイック パス ライトと同様に、1ST Passと、2ND Passとを並列処理する。さらに、2ND Passを行うライト動作回数を1回とすることで、しきい値電圧を、さらに高精度に制御する。
本明細書においては、クイック パス ライトを“QPW”、モディファイド クイック パス ライト“MQPW”と略記する。
以下、この発明の実施形態のいくつかを、図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態に係る半導体集積回路装置の一例を示すブロック図である。第1実施形態は、半導体集積回路装置の一例とし、NAND型フラッシュメモリを示すが、この発明はNAND型フラッシュメモリ以外のメモリにも適用することができる。
メモリセルアレイ1には、不揮発性半導体メモリセルがマトリクス状に配置される。不揮発性半導体メモリセルの一例は、フラッシュメモリセルである。
カラム制御回路2は、メモリセルアレイ1のビット線を制御し、メモリセルのデータ消去、メモリセルへのデータ書き込み、及びメモリセルからのデータ読み出しを行う。カラム制御回路2は、メモリセルアレイ1に隣接して設けられる。
ロウ制御回路3は、メモリセルアレイ1のワード線を選択し、消去、書き込み、及び読み出しに必要な電位を印加する。
ソース線制御回路4は、メモリセルアレイ1のソース線を制御する。
Pウェル制御回路5は、メモリセルアレイ1が形成されるP型セルウェルの電位を制御する。
データ入出力バッファ6は、カラム制御回路2にIO線対IO、IOnを介して電気的に接続され、外部のホスト(図示せず)に外部I/O線を介して電気的に接続される。データ入出力バッファ6には、例えば、入出力バッファ回路が配置される。データ入出力バッファ6は、書き込みデータの受け取り、読み出しデータの出力、及びアドレスデータやコマンドデータの受け取りを行う。データ入出力バッファ6は、受け取った書き込みデータをIO線対IO、IOnを介してカラム制御回路2に送り、また、カラム制御回路2から読み出したデータをIO線対IO、IOnを介して受け取る。さらに、メモリセルアレイ1のアドレスを選択するために外部から入力されたアドレスデータを、カラム制御回路2やロウ制御回路3に、ステートマシン8を介して送る。また、外部ホストからのコマンドデータを、コマンドインターフェイス7に送る。
コマンドインターフェイス7は、外部制御信号線を介して外部ホストからの制御信号を受け、データ入出力バッファ6に入力されたデータが書き込みデータなのか、あるいはコマンドデータなのか、あるいはアドレスデータなのかを判断し、コマンドデータであれば、コマンドデータとしてステートマシン8に転送する。
ステートマシン8は、フラッシュメモリ全体の管理を行う。外部ホストからのコマンドデータを受け、読み出し、書き込み、消去、及びデータの入出力管理を行う。
図2は、図1に示すメモリセルアレイ1の一例を示す図である。
図2に示すように、メモリセルアレイ1は複数のブロック、例えば、1024個のブロックBLOCK0〜BLOCK1023に分割される。ブロックは、例えば、消去の最小単位である。各ブロックBLOCKiは複数のNAND型メモリユニット、例えば、8512個のNAND型メモリユニットを含む。この例では、各NAND型メモリユニットは2つの選択トランジスタSTD、STSと、これらの間に、直列に接続された複数のメモリセルM(本例では4つ)を含む。NAND型メモリユニットの一端は選択ゲート線SGDに繋がる選択トランジスタSTDを介してビット線BLに接続され、その他端は選択ゲート線SGSに繋がる選択ゲートSTSを介して共通ソース線C-sourceに接続される。各メモリセルMはワード線WLに繋がる。0から数えて偶数番目のビット線BLeと、奇数番目のビット線BLoとは、互いに独立してデータの書き込みと読み出しとが行われる。1本のワード線WLに繋がる8512個のメモリセルのうち、例えば、ビット線BLeに接続される4256個のメモリセルに対して同時にデータの書き込みと読み出しとが行われる。各メモリセルMが記憶する1ビットのデータが4256個のメモリセル分集まって、ページという単位を構成する。ページは、例えば、読み出しの最小単位である。1つのメモリセルMで2ビットのデータを記憶する場合、4256個のメモリセルは2ページ分のデータを記憶する。同様に、ビット線BLoに接続される4256個のメモリセルで別の2ページが構成され、ページ内のメモリセルに対して同時にデータの書き込みと読み出しとが行われる。
図3は、チップレイアウトの一例を示す平面図である。
図3に示すように、半導体チップ100には、メモリセルアレイ領域102、ロウデコーダ領域104、ページバッファ領域106、周辺回路領域108、チャージポンプ回路領域110、及びパッド領域112が設けられる。
本例では、メモリセルアレイ領域102は二箇所有り、それぞれにメモリセルアレイ1がレイアウトされる。
ロウデコーダ領域104は、メモリセルアレイ領域100の、ロウ方向に沿った両端に配置され、それぞれにロウ制御回路3がレイアウトされる。
ページバッファ領域106、周辺回路領域108、チャージポンプ回路領域110、及びパッド領域112は、メモリセルアレイ領域100の、カラム方向に沿った一端に順次配置される。
ページバッファ領域106には、カラム制御回路、例えば、ページバッファがレイアウトされる。ページバッファはデータ回路の一種であり、メモリセルアレイ1へ書き込む、例えば、1ページ分の書き込みデータを一時的に記憶したり、メモリセルアレイ1から読み出した、例えば、1ページ分の読み出しデータを一時的に記憶したりする。
周辺回路領域108には、カラム系制御回路2、データ入出力バッファ6、コマンドインターフェイス7、及びステートマシン8がレイアウトされる。
チャージポンプ回路110には、チャージポンプ回路がレイアウトされる。チャージポンプ回路は昇圧回路の一種であり、書き込み、消去に必要とされる電源電位、例えば、外部電源電位よりも高い電位や、チップ内部で使用されるチップ内電源電位を発生させる。
本例では、パッド領域112は一箇所有り、チップの一つの辺に沿って配置される。パッド領域112には、パッドがレイアウトされる。パッドは、半導体チップ100と、外部との接続点である。パッドは、例えば、データ入出力バッファ6、及びコマンドインターフェイス7に接続される。
次に、第1実施形態に係る半導体集積回路装置の動作の一例を説明する。
本例においては、ライト動作以外の動作については、従来知られている動作と同じで良い。従って、本明細書においては、ライト動作のみを説明する。
図4は、4値記憶NAND型フラッシュメモリのメモリセルのしきい値電圧Vthの分布を示す図である。
図4に示すように、1つのメモリセルには、2ビットデータ(4値データ)を記憶させる。本例では、2ビットデータを、しきい値電圧Vthが低いほうから順に、“11”、“01”、“10”、“00”とする。2ビットデータのうち、1ビットは論理下位ページデータ(□で示す)として、また、他の1ビットは論理上位ページデータ(○で示す)として、同一のメモリセルに記憶される。
“11”はイレーズ状態である。イレーズ状態のメモリセルは、負のしきい値電圧Vthを有する。
“01”、“10”、“00”はライト状態である。ライト状態のメモリセルは、正のしきい値電圧Vthを有する。
このように、2ビットデータは、論理下位ページデータと論理上位ページデータとからなり、2回のライト動作によってメモリセルに書き込まれる。
クイック パス ライトを用いたメモリセルへのライト動作を以下で説明する。
図5A、及び図5Bは、しきい値電圧Vthの分布の変化を示す図である。
(論理下位ページデータのプログラミング)
まず、論理下位ページデータのプログラミングを行う。
当初、全てのメモリセルのしきい値電圧Vthはイレーズ状態、即ち、“11”状態にあるものとする。この後、論理下位ページデータのプログラミングを行うと、しきい値電圧Vthの分布は、ライトデータ(論理下位ページデータ)の値が“1”か“0”かに応じて、2つに分けられる(図5A)。
(論理下位ページデータ“1”のプログラミング)
論理下位ページデータ(□で示す)が“1”の場合には、メモリセルのしきい値電圧Vthをシフトさせない。このための一例は、ワード線にライト電位を転送する際に、ビット線の電位を“H”(チップ内電源電位Vdd、例:2.5V)とする。これにより、メモリセルのトンネル酸化膜に高電界がかからないようにして、しきい値電圧Vthの上昇を抑制する。この結果、メモリセルのしきい値電圧Vthは、イレーズ状態(“11”状態)を維持する。
(論理下位ページデータ“0”のプログラミング)
論理下位ページデータが“0”の場合には、しきい値電圧Vthをシフトさせる。このための一例は、ワード線にライト電位を転送する際に、1ST Passと2ND Passとの2つのプログラム段階に応じて、ビット線に異なる電位を転送する。
(1ST Pass)
しきい値電圧Vthが図2に示す“Verify L0 Low Level”よりも低いメモリセル、即ち、1ST Passを行うメモリセルに対しては、ビット線の電位を“L”(チップ内接地電位Vdd、例:0V)とする。これにより、トンネル酸化膜に高電界を印加し、フローティングゲート電極に電子を注入して、しきい値電圧Vthを上昇させる。
(2ND Pass)
しきい値電圧Vthが図2に示す“Verify L0 Low Level”と“Verify L0 Level”との間にあるメモリセル、即ち、2ND Passを行うメモリセルに対しては、ビット線の電位を、1ST Pass時よりも高い電位(例:0.5V)として、1ST Pass時よりも少ない電界をトンネル酸化膜に印加する。これにより、1ST Pass時よりも小さい、しきい値電圧Vthの上昇を得る。
つまり、論理下位ページデータ“0”プログラミングが行われるメモリセルにおいては、初期状態であるイレーズ状態(“11”状態)から、“Verify L0 Low Level”までは、ライト動作1回あたりのしきい値電圧Vthのシフト幅が大きく、その後“Verify L0 Level”を超えるまで、ライト動作1回あたりのしきい値電圧Vthのシフト幅が小さくなる。
論理下位ページデータのプログラミング時のビット線への転送電位は、ビット線に接続されるデータ回路(例えば、ページバッファ)によって制御される。
(データ回路)
図6は、データ回路の一例を示す回路図である。
データ回路11は、データ記憶回路13と、電位転送回路15とを含む。本例のデータデータ記憶回路13は、データ記憶部(データキャッシュ)DS1〜DS4を含む。
ライト動作に先立って、書き込むべき論理下位ページデータが、データ記憶部DS4にIO線対IO、IOnを介して記憶される。本明細書では、これを外部データロード(External Data Load)と呼ぶ。外部データロードの後、データキャッシュセットと呼ばれる記憶部DS2〜DS4へのデータ記憶が行われる。これらについては、図7A〜図7D、及び図8A〜図8Cにその様子の一例を示すことで、その説明は省略する。データキャッシュセットの後、ライト動作に入る。
ライト動作において、データ記憶部DS3には、プログラムが完了している場合“1”が記憶され、完了していない場合“0”が記憶される。即ち、論理下位ページデータが“1”の場合には、データ記憶部DS3には“1”が記憶される。また、論理下位ページデータが“0”の場合には、“Verify L0 Level”のベリファイ結果に応じて、パス(Pass)の場合“1”が記憶され、フェイル(Fail)の場合“0”が記憶される。
データ記憶部DS2には、1ST Passが完了している場合“1”が記憶され、完了していない場合“0”が記憶される。即ち、論理下位ページデータが“1”の場合には、プログラム自体が完了しているため、DS2には“1”が記憶される。また、論理下位ページデータが“0”の場合には、“Verify L0 Low Level”のベリファイ結果に応じて、パスの場合“1”が記憶され、フェイルの場合“0”が記憶される。
論理下位ページデータのプログラミング時、データ記憶部DS3からビット線への転送電位は、DS3に記憶されているデータが“1”の場合Vdd、同じくデータが“0”の場合Vssである。
また、QPWでは、制御信号VPREがVddとなる。データ記憶部DS2のデータが“1”の場合には、Nチャネル型MOSトランジスタQn1のゲートの電位は、ブートストラップ現象によって、Vdd程度から5V程度にまで上昇する。このため、VPRE(=Vdd)は、DS2に記憶されているデータが“1”の場合のみ、電位転送回路(Qn2)のゲートに入力されるレギュレート信号REGに制限されつつ、ビット線へと転送される。
よって、ビット線へは、DS3に記憶されているデータが“1”の場合にはVddが転送される。同様に、DS3に記憶されているデータが“0”、かつ、DS2に記憶されているデータが“0”の場合にはVssが転送され、DS3に記憶されているデータが“0”、かつ、DS2に記憶されているデータが“1”の場合にはレギュレート制御信号REGに応じた電位が転送される。
論理下位ページデータのプログラミング時における、しきい値電圧Vthに応じたデータキャッシュ(記憶部DS2〜DS4)の変化の様子を図9に示しておく。
(論理上位ページデータのプログラミング)
次に、論理上位ページデータのプログラミングが行われる。
当初、メモリセルしきい値電圧Vthの分布は、図5Aに示すように、論理下位ページデータのプログラミングにより、“11”状態(イレーズ状態)、または“L0”状態にある。この後、論理上位ページデータのプログラミングを行うと、しきい値電圧Vthの分布は、図5Bに示すように、ライトデータ(論理上位ページデータ)の値(“1”、“0”)に応じて、4つに分けられる。
以下では、例として、“11”状態にあるメモリセルの、ライトデータ“0”による“01”状態へのプログラムを簡単に説明する。
“01”状態へのプログラムの場合、論理下位ページの“0”プログラムと同様、ワード線にライト電位を転送する際に、1ST Passと、2ND Passの2つのプログラム段階に応じて、ビット線に異なる電位を転送する。しきい値電圧が図4で示される““Verify 01 Low Level”よりも低いメモリセル、即ち、1ST Passを行うメモリセルに対しては、ビット線を“L”(接地電位Vss)とし、メモリセルのトンネル酸化膜に高電界を印加し、フローティングゲート電極に電子を注入して、しきい値電圧Vthを上昇させる。また、しきい値電圧Vthが図4に示す“Verify 01 Low Level”と“Verify 01 Level”の間にあるメモリセル、即ち、2ND Passを行うメモリセルに対しては、ビット線の電位を、1ST Passよりも高い電位として、1ST Pass時よりも小さい、しきい値電圧Vthの上昇を得る。これは、論理下位ページデータのプログラミングで説明した通りである。また、本例の2ND Passでは、論理下位ページデータのプログラミング時よりも高い電位を、ビット線に与える。例えば、0.5V以上Vdd未満である。これにより、論理下位ページデータのプログラミング時よりも、さらに、狭いしきい値分布を得る。
論理上位ページデータのプログラミング時、例えば、“01”プログラミング時のビット線への転送電位は、論理下位ページデータのプログラミング時と同様に、データ回路によって制御される。
論理上位ページのプログラムでは、ライト動作に先立って、論理下位ページデータの読み出しと、データ記憶部DS3への記憶が行われる。本明細書では、これを内部データロード(Internal Data Load)と呼ぶ。また、書き込むべき論理上位データを、データ記憶部DS4に記憶させる(外部データロード)。これらの後、データキャッシュセットを行う。これらについては、図10A〜図10D、及び図11A〜図11Dにその様子の一例を示すことで、その説明は省略する。
データ記憶部DS3には、“Verify 01 Level”のベリファイ結果に応じて、パスの場合“1”が、フェイルの場合“0”がそれぞれ記憶される。
データ記憶部DS2には、“Verify L0 Low Level”のベリファイ結果に応じて、パスの場合“1”が、フェイルの場合“0”が記憶される。
論理下位データのプログラミング時と同様、ビット線へは、DS3に記憶されているデータが“1”の場合にはVddが転送される。同様に、DS3に記憶されているデータが“0”、かつ、DS2に記憶されているデータが“0”の場合にはVssが転送され、DS3に記憶されているデータが“0”、かつ、DS2に記憶されているデータが“1”の場合にはレギュレート信号REGに応じた電位が転送される。
論理上位ページデータのプログラミング時における、しきい値電圧Vthに応じたデータ記憶部DS2〜DS4の状態の様子を図12A〜図12Dに示しておく。
従来、パス ライトを用いてプログラムを行う場合、2ND Passを行うセルが接続されたビット線への転送電位は、電位転送回路15を制御する制御信号、例えば、レギュレート信号REGによって決まった値を持つ。
対して、本例では、論理下位ページデータのプログラミング時と、論理上位ページデータのプログラミング時とで、2ND Passを行うセルが接続されたビット線への転送電位を変える。これにより、例えば、論理下位ページデータのプログラミング時には、2ND Pass時のしきい値電圧Vthのシフト幅を大きくし、反対に、論理上位ページデータのプログラミング時には、2ND Pass時のしきい値電圧Vthのシフト幅を小さくすることができる。これにより、論理下位ページデータのプログラミング時においては、高速に書き込みを行え、この後に行われる論理上位ページデータのプログラミング時においては、書き込みしきい値電圧の分布幅を狭くすることができる。
図13に、本実施形態に係る半導体集積回路装置の論理下位ページデータのプログラミング時におけるしきい値変化の様子の例を、図14に、論理上位ページデータのプログラミング時におけるしきい値変化の様子の例を示す。
図13、及び図14は、図5A、及び図5Bに示したしきい値変化の様子を、書き込みパルスの1パルス毎にプロットし直した図に相当する。
図13、図14に示されたしきい値変化の様子を説明する。
まず、図13に示すように、論理下位ページを書き込む。
図13中の白い四角は書き込み易いメモリセルのしきい値、及びこのメモリセルに供給される書き込み制御電圧(ビット線の電圧)を示し、黒い四角は書き込み難いメモリセルのしきい値、及びこのメモリセルに供給される書き込み制御電圧(ビット線の電圧)を示す。これら2つのメモリセルは同じページに属し、それぞれのカラムのデータを記憶する。どちらも初期状態では、データが消去されており、しきい値は負の電圧である。
ワード線に与えられる書き込み電圧Vpgmは複数のパルスに分割されており、1パルス毎に、例えば、1.0Vずつ上昇する。即ち、書き込み電圧Vpgmの1パルス当たりの増加量ΔVpgm1は、1.0Vである。
メモリセルのしきい値が“Verify 10 Low Level”に達するまでは、書き込み制御電圧(ビット線の電圧)は0Vとする(1ST Pass)。
メモリセルのしきい値が“Verify 10 Low Level”に達し、かつ、“Verify 10 Level”に達するまでは、書き込み制御電圧(ビット線の電圧)は0.8Vとされる。
“Verify 10 Low Level”付近における1パルス当たりのしきい値のシフト量は、書き込み制御電圧(ビット線の電圧)が0Vのとき、例えば、約1.0Vである。対して、書き込み制御電圧(ビット線の電圧)が0.8Vのときには、約0.2Vに低くなる。これにより、狭いしきい値分布幅が得られる(2ND Pass)。
メモリセルのしきい値が“Verify 10 Level”に達すると、書き込み制御電圧(ビット線の電圧)はVddとされる。書き込み制御電圧(ビット線の電圧)がVddとなると、書き込みは抑制され、メモリセルのしきい値はシフトしなくなる。
図14に、本実施形態に係る半導体集積回路装置における論理上位ページデータのプログラミング時におけるしきい値電圧の変化の状態の一例を示す。図14は、図5Bに示したしきい値電圧の変化の状態を、書き込みパルスの1パルス毎にプロットし直した図に相当する。
続いて、図14に示すように、論理上位ページを書き込む。
図14中の白い四角は図13と同様に、書き込み易いメモリセルのしきい値、及びこのメモリセルに供給される書き込み制御電圧(ビット線の電圧)を示し、黒い四角は書き込み難いメモリセルのしきい値、及びこのメモリセルに供給される書き込み制御電圧(ビット線の電圧)を示す。これら2つのメモリセルは同じページに属し、それぞれのカラムのデータを記憶する。
ワード線に与えられる書き込み電圧Vpgmの増加量ΔVpgm2は、0.2Vである。
メモリセルのしきい値が“Verify 01 Low Level”、又は“Verify 00 Low Level”に達するまでは、書き込み制御電圧(ビット線の電圧)は0Vとする(1ST Pass)。
メモリセルのしきい値が“Verify 01 Low Level”、又は“Verify 00 Low Level”に達し、かつ、“Verify 01 Level”、又は“Verify 00 Level”に達するまでは、書き込み制御電圧(ビット線の電圧)は、論理下位ページデータのプログラミング時よりも低い0.4Vとされる。
“Verify 10 Low Level”付近における1パルス当たりのしきい値のシフト量は、書き込み制御電圧(ビット線の電圧)が0Vのとき、例えば、約0.2Vである。対して、書き込み制御電圧(ビット線の電圧)が0.4Vのときには、約0.05Vに低くなる。これにより、論理下位ページデータのプログラミング時よりも、さらに狭いしきい値分布幅が得られる(2ND Pass)。
メモリセルのしきい値が“Verify 01 Level”、又は“Verify 00 Level”に達すると、書き込み制御電圧(ビット線の電圧)はVddとされる。書き込み制御電圧(ビット線の電圧)がVddとなると、書き込みは抑制され、メモリセルのしきい値はシフトしなくなる。
本例では、ビット線への転送電位を変更する一つの方法として、レギュレート信号REGの値を、論理下位ページデータのプログラミング時と、論理上位ページデータのプログラミング時とで変えるようにしている。
図15は、この発明の第1実施形態に係る半導体集積回路装置が具備するレギュレート電位発生回路の一例を示す回路図である。
図15に示すように、レギュレート電位発生回路21は、電位転送回路15に与えるレギュレート信号REGを出力する。レギュレート信号REGの電位は、切り換え信号に応じて変更される。切り替え信号は、プログラム順序を示す信号、例えば、論理下位ページデータの書き込みか、論理上位ページデータの書き込みかを示す信号を使用することができる。また、この信号に基づいて生成した信号を使用することも可能である。論理下位ページデータの書き込みか、論理上位ページデータの書き込みかを示す信号の例としては、プログラムデータのプログラムアドレスがある。この種のプログラムアドレスの例としては、例えば、チップ内部で発生される、プログラムデータが論理上位側ページのデータか論理下位側ページのデータかを示すアドレスがある。
このように第1実施形態に係る半導体集積回路装置によれば、論理下位ページデータのプログラミング時と、論理上位ページデータのプログラミング時とで、2ND Passを行うセルが接続されたビット線への転送電位を変える。
よって、上述したように、動作の高速性を保ちつつ、書き込みしきい値電圧の分布幅を狭くすることが可能な、電気的に書き換えが可能な不揮発性半導体記憶装置を有した半導体集積回路装置を得ることができる。
また、第1実施形態によれば、転送電位の変更を、レギュレート信号REGの電位を変更することで行う。これによれば、転送電位を、新たな回路を必要とせずに変更できる。これによれば、回路面積を無用に増加させずに、転送電位を変更できる、という利点を得ることができる。この利点は、後述する実施形態においても同様に得ることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態は、ビット線に転送する転送電位を、偶数ビット線か奇数ビット線かに応じて変更する半導体集積回路装置である。
しきい値電圧に応じてデータを記憶する不揮発性半導体記憶装置においては、後に書き込むデータについては、書き込みしきい値電圧のシフト幅を小さくするのが良い。本明細書の第1実施形態においても、論理下位ページデータのプログラム時よりも、論理上位ページデータのプログラム時において、2ND Pass時のしきい値電圧Vthのシフト幅を小さくしたことも、同じ理由である。
不揮発性半導体記憶装置、例えば、NAND型フラッシュメモリでは、ビット線を、偶数ビット線と、奇数ビット線とに分け、それぞれ互いに独立してデータの書き込みと読み出しとを行う装置がある。例えば、本明細書の図2に示した装置である。
この種の装置では、データを、偶数ビット線に接続されたメモリセルに先に書くか、奇数ビット線に接続されたメモリセルに先に書くかが決められる。要するに、データ書き込み時に、プログラム順序が生ずる。プログラム順序が生ずる以上、後に書き込むデータについては、書き込みしきい値電圧のシフト幅が小さくなるように、ビット線への転送電位を変更する。例えば、データを、偶数ビット線に接続されたメモリセルに先に書き、奇数ビット線に接続されたメモリセルに後に書くとする。この場合には、奇数ビット線に接続されたメモリセルに書く際に、例えば、2ND Pass時のしきい値電圧Vthのシフト幅を小さくする。このために、ビット線への転送電位を変更する。
第2実施形態におけるビット線への転送電位の変更は、第1実施形態と同様に、レギュレート信号の電位を変更することでできる。レギュレート信号の電位の変更には、第1実施形態と同様に、切り替え信号を使用すれば良い。切り替え信号としては、プログラム順序を示す信号、例えば、偶数ビット線への書き込みか、奇数ビット線への書き込みかを示す信号を使用することができる。もちろん、この信号に基づいて生成した信号を使用することも可能である。偶数ビット線への書き込みか、奇数ビット線への書き込みかを示す信号の例としては、プログラムデータのプログラムアドレスがある。この種のプログラムアドレスの例としては、プログラムデータを偶数ビット線へ書き込むのか奇数ビット線へ書き込むのかを示すアドレスがある。
このように第2実施形態に係る半導体集積回路装置によれば、偶数ビット線へのプログラミング時と、奇数ビット線へのプログラミング時とで、例えば、2ND Passを行うセルが接続されたビット線への転送電位を変える。
よって、第1実施形態と同様に、動作の高速性を保ちつつ、書き込みしきい値電圧のシフト幅を狭くすることが可能な、電気的に書き換えが可能な不揮発性半導体記憶装置を有した半導体集積回路装置を得ることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせた半導体集積回路装置の例である。
第2実施形態において説明した、偶数ビット線と奇数ビット線とに、それぞれ互いに独立してデータの書き込みと読み出しとを行う不揮発性半導体記憶装置、例えば、NAND型フラッシュメモリは、二値記憶ばかりでなく、多値記憶にも利用できる。
例えば、データを、偶数ビット線に接続されたメモリセルに先に書き、奇数ビット線に接続されたメモリセルに後に書くとする。そして、多値記憶の例として、4値記憶と仮定する。この場合、プログラム順序は、例えば、下記のようになる。
1.偶数ページ、論理下位ページデータ
2.奇数ページ、論理下位ページデータ
3.偶数ページ、論理上位ページデータ
4.奇数ページ、論理上位ページデータ
このようなプログラム順序の場合には、奇数ページ、論理上位ページデータのプログラミング時において、最も書き込みしきい値電圧のシフト幅を小さくしたい。
従って、例えば、奇数ページ、論理上位ページデータのプログラミング時に、最も書き込みしきい値電圧のシフト幅が小さくなるように、ビット線への転送電位を変更する。
その変更の仕方は、例えば、第1実施形態、及び第2実施形態において説明した変更の仕方を併用すれば良い。
また、第3実施形態においては、下記のような変形も可能である。
(1) 偶数ページ、論理上位ページデータのプログラミング時、及び奇数ページ、論理上位ページデータのプログラミング時に、最も書き込みしきい値電圧のシフト幅が小さくなるように、ビット線への転送電位を変更する。
この場合の変更の仕方の例は、第1実施形態と同様に、例えば、図13に示した切り替え信号として、プログラム順序を示す信号、例えば、論理下位ページデータの書き込みか、論理上位ページデータの書き込みかを示す信号を使用すれば良い。これを使用してレギュレート信号REGの電位を制御する。
(2) 下記の順序で、書き込みしきい値電圧のシフト幅が順次小さくなるように、ビット線への転送電位を変更する。
1.偶数ページ、論理下位ページデータ
2.奇数ページ、論理下位ページデータ
3.偶数ページ、論理上位ページデータ
4.奇数ページ、論理上位ページデータ
この場合の変更の仕方の例は、例えば、偶数ビット線への書き込みか、奇数ビット線への書き込みかを示す信号、及び論理下位ページデータの書き込みか、論理上位ページデータの書き込みかを示す信号の双方を使用すれば良い。これを使用してレギュレート信号REGの電位を制御する。
このような第3実施形態においても、第1、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態は、ビット線に転送する転送電位を、書き込み方式に基づいて変更する半導体集積回路装置である。
不揮発性半導体記憶装置、例えば、NAND型フラッシュメモリでは、図5Aに示した“L0”プログラムの書き込み方式としてMQPWを用い、図5Bに示した“01”プログラムの書き込み方式としてQPWを用いる装置がある。MQPWは、2ND Passを行うライト動作回数を1回とする。このため、例えば、MQPWにおいては、QPWよりも書き込みしきい値電圧のシフト幅が小さくなるように制御したい。そこで、例えば、書き込み方式がMQPWか、QPWかを指定する信号を使用して、ビット線への転送電位を変更するようにする。変更の仕方は、第1、第2、第3実施形態と同様に、レギュレート信号REGの電位を変更すれば良い。
書き込み方式を指定する信号、例えば、MQPWか、QPWかを指定する信号は、例えば、プログラムデータのプログラム順序に応じて発生される。例えば、“L0”プログラムの場合にはMQPWを指定する信号が発生され、例えば、“01”プログラムの場合にはQPWを指定する信号が発生される。これを図15に示すレギュレート電位発生回路21に入力する。レギュレート電位発生回路21は、MQPWを指定する信号、及びQPWを指定する信号に応じて発生させる電位を変更する。
このような第4実施形態に半導体集積回路装置においても、第1、第2、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第5実施形態)
不揮発性半導体記憶装置、例えば、NAND型フラッシュメモリには、ライト動作時に、選択されたワード線に与える電位を、ライトパルス毎にステップアップする方式がある。本明細書では、ステップアップする電位をステップアップ電位ΔVpgmと呼ぶ。
多値記憶、例えば、4値記憶において、論理下位ページのプログラミング時の電位ΔVpgm1Lは、論理上位ページのプログラミング時の電位ΔVpgm1Uと変わらない。これが、一般的な方式である。その一例を図16A、及び図16Bに示す。
この方式の場合、論理上位ページのプログラミング時に、論理下位ページのプログラミング時よりも書き込みしきい値電圧のシフト幅が狭くなるようにするには、例えば、第1実施形態において説明したように、ビット線への転送電位を変える。この場合、ビット線への転送電位は、論理下位ページのプログラミング時の転送電位よりも、論理上位ページのプログラミング時の転送電位を高くする。
また、別な方式として、図17A、及び図17Bに示すように、論理上位ページのプログラミング時の電位ΔVpgm1Uを、論理下位ページのプログラミング時の電位ΔVpgm1Lよりも小さくする方式もある。
この方式の場合には、ビット線への転送電位を、論理下位ページのプログラミング時よりも、論理上位ページのプログラミング時を高くするとは限らない。逆に小さくする場合も有りうる。
つまり、論理上位ページのプログラミング時に、論理下位ページのプログラミング時よりも書き込みしきい値電圧のシフト幅が狭くなるようにするには、ビット線への転送電位を、論理下位ページのプログラミング時よりも、論理上位ページのプログラミング時を高くする場合と、反対に低くする場合との二通りがある。これら二通りのいずれかを、適宜用いれば良い。
(第6実施形態)
第1実施形態においては、ビット線への転送電位を変更する一つの方法として、レギュレート信号REGの値を、論理下位ページデータのプログラミング時と、論理上位ページデータのプログラミング時とで変える例を示した。
さらに、第1実施形態には、レギュレート信号REGを発生するレギュレート電位発生回路の一例として、切り替え信号に応じて、レギュレート信号REGの電位を変更するレギュレート電位発生回路21が示された。
本例は、切り替え信号に応じて、レギュレート信号REGの電位を変更するレギュレート電位発生回路21において、さらに、別の例を示す。
図18は、この発明の第6実施形態に係るレギュレート電位発生回路の一例を示すブロック図である。
図18に示すように、本例のレギュレート電位発生回路は、トリミングデータラッチ200、UPPER/LOWERセレクタ202、エンコーダ204、VCLAMPセレクタ206、及びREGセレクタ208を含む。
トリミングデータラッチ200は、例えば、電源投入時に実行されるブートシーケンスにおいて、トリミングデータをラッチする回路である。トリミングデータとは、半導体集積回路チップの特性に応じて、半導体集積回路チップ個々に設定されるデータのことである。例えば、書き込み電圧Vpgmの値などは、トリミングデータに従ってチップ個々に設定される。本例では、レギュレート信号REGの値が、トリミングデータに従ってチップ個々に設定される。トリミングデータは、半導体集積回路チップ内のROM、あるいは不揮発性メモリセルが集積されたメモリセルアレイの一部の領域を使用して、チップに記憶される。
チップに電源が投入されると、トリミングデータが上記ROM、あるいはメモリセルアレイから読み出される。信号LOAD、及び信号FSETがともにイネーブルを示す状態になると、トリミングデータは、データバスDINrを介してトリミングデータラッチにラッチされる。本例のデータバスDINrのビット長は8ビットである(DINr〔7:0〕)。トリミングデータラッチ200の一例を図19に示す。
図19に示すように、一例に係るトリミングデータラッチ200は、論理下位用トリミングデータラッチ回路400、及び論理上位用トリミングデータラッチ回路402を含む。論理下位用データラッチ回路400は、論理下位プログラミング時に使用する信号REGの値を決めるトリミングデータFREGLOWARをラッチする。同様に、論理上位用データラッチ回路402は、論理上位プログラミング時に使用する信号REGの値を決めるトリミングデータFREGUPPERをラッチする。本例では、トリミングデータFREGLOWARのビット長は4ビットであり(FREGLOWAR〔3:0〕)、同様にトリミングデータFREGUPPERのビット長は4ビットである(FREGUPPER〔3:0〕)。よって、論理下位用トリミングデータラッチ回路400は4セットあり(400-0〜400-3)、同様に論理上位用トリミングデータラッチ回路402は4セットある(402-0〜402-3)。トリミングデータFREGLOWAR〔3:0〕、及びトリミングデータFREGUPPER〔3:0〕はUPPER/LOWERセレクタ202に入力される。
UPPER/LOWERセレクタ202は、切り換え信号に従って、トリミングデータFREGLOWAR〔3:0〕、及びトリミングデータFREGUPPER〔3:0〕のいずれか一方を選ぶ。切り替え信号は、第1実施形態において説明した切り換え信号が使われれば良い。UPPER/LOWERセレクタ202の一例を図20に示す。
図20に示すように、一例に係るUPPER/LOWERセレクタ202は、切り換え信号を、例えば、奇数段のインバータ回路を通すか、偶数段のインバータ回路を通すかで、論理下位プログラミングを指示する信号LOWER、及び論理上位プログラミングを指示する信号UPPERを発生させる。信号LOWERはLOWER用ANDゲート回路408の第1入力に入力され、信号UPPERはUPPER用ANDゲート回路410の第1入力に入力される。LOWER用ANDゲート回路408の第2入力には、トリミングデータFREGLOWARが入力され、UPPER用ANDゲート回路410の第2入力には、トリミングデータFREGUPPERが入力される。LOWER用ANDゲート回路408の出力、及びUPPER用ANDゲート回路410の出力は、ORゲート回路412に入力される。
信号LOWERが“H”レベル、信号UPPERが“L”レベルであると、UPPER用ANDゲート回路410の出力は、トリミングデータFREGUPPERの値に関係なく、“H”レベルとなる。一方、LOWER用ANDゲート回路408の出力は、トリミングデータFREGLOWERの値に従って、“H”レベル、又は“L”レベルとなる(LOWERがイネーブルの状態)。従って、ORゲート回路412の出力FREGの値は、トリミングデータFREGLOWERの値に従った値となる。
反対に、信号LOWERが“L”レベル、信号UPPERが“H”レベルであると、UPPERがイネーブルの状態となり、ORゲート回路412の出力FREGの値は、トリミングデータFREGUPPERの値に従った値となる。本例では、出力FREGのビット長は4ビットである(FREG〔3:0〕)。よって、ANDゲート回路408、410、及びORゲート回路412の組合せ回路は4セットある(408-0〜408-3、410-0〜410-3、412-0〜412-3)。出力FREG〔3:0〕は、エンコーダ204に入力される。
エンコーダ204は、4ビットの出力FREG〔3:0〕をエンコードし、16本のVCLAMP選択信号VCLSEL〔15:0〕を発生する。エンコーダ204の一例を図21に示す。
図21に示すように、一例に係るエンコーダ204は、4ビットの出力FREG〔3:0〕を、16通りの組合せに従って受ける16個のANDゲート回路414-0〜414-15を含む。ANDゲート回路414-0〜414-15は、選択信号VCLSEL〔15:0〕を出力する。選択信号VCLSEL〔15:0〕は、VCLAMPセレクタ206に入力される。
VCLAMPセレクタ206は、電源電位Vddと回路内接地電位Vssとの間に直列に接続されたPチャネル型MOSトランジスタ304、可変抵抗回路300、Nチャネル型MOSトランジスタ308を含む。選択信号VCLSEL〔15:0〕は、可変抵抗回路300に入力される。可変抵抗回路300の一例を図22に示す。
図22に示すように、一例に係る可変抵抗回路300は、抵抗分割型の可変抵抗回路である。本例の抵抗分割型の可変抵抗回路は、出力ノード302から直列に接続された抵抗rの列を含み、この抵抗列の抵抗rの各接続点と接地側ノード306との間に、Nチャネル型MOSトランジスタ416-0〜416-15を並列に接続したものである。トランジスタ416-0〜416-15のゲートには、選択信号VCLSEL〔15:0〕が供給される。トランジスタ416-0〜416-15は、選択信号VCLSEL〔15:0〕に従って、いずれか一つが導通する。いずれか一つのMOSトランジスタが導通することによって、出力ノード302と接地側ノード306とは、16通りの抵抗値のいずれか一つをもって接続される。出力ノード302の電位VCLAMPは、選択信号VCLSEL〔15:0〕に従って、16通りの値のうちの一つとなる。
VCLAMPセレクタ206の出力ノード302と電源電位Vddとの間には、図18に示すように、Pチャネル型MOSトランジスタ304が直列に接続される。同様に、接地側ノード306と回路内接地電位Vssとの間には、Nチャネル型MOSトランジスタ308が直列に接続される。Pチャネル型MOSトランジスタ304のゲートには、信号VCLAMPOUTnが与えられ、Nチャネル型MOSトランジスタ308のゲートには、信号VCLAMPOUTが与えられる。信号VCLAMPOUTn、及びVCLAMPOUTは、VCLAMPセレクタ206から電位VCLAMPを出力するタイミングを決定する信号である。電位VCLAMPは、信号VCLAMPOUTnが“L”レベル、かつ、信号VCLAMPが“H”レベルとなるとVCLAMPセレクタ206から出力される。反対に、信号VCLAMPOUTnが“H”レベル、及び信号VCLAMPが“L”レベルのときには、電位VCLAMPは出力されない。本例では、出力ノード302と回路内接地電位Vssとの間に、Nチャネル型MOSトランジスタ310が直列に接続される。Nチャネル型MOSトランジスタ310のゲートには、信号VCLAMPOUTnが与えられる。Nチャネル型MOSトランジスタ310は、信号VCLAMPOUTnが“H”レベルの間、即ち、電位VCLAMPが出力されない間、導通して出力ノード302を回路内接地電位Vssに固定する。電位VCLAMPは、REGセレクタ208に入力される。
図18に示すように、REGセレクタ208は、電位VCLAMP、電位Vsg、電源電位Vdd、回路内接地電位Vssのいずれか一つを、選択信号VCLAMPSEL、VsgSEL、VddSEL、VssSELに従って選ぶ。選ばれた電位は、レギュレート信号REGとして出力され、例えば、図15に示したNチャネル型MOSトランジスタQn2のゲートに与えられる。選択信号VCLAMPSEL、VsgSEL、VddSEL、VssSELは、それぞれ、REGセレクタ208内に設けられたNチャネル型MOSトランジスタ312、314、316、及び318のゲートに与えられる。トランジスタ312は、本例では電位VCLAMPの供給ノード(本例ではVCLAMPセレクタ206の出力ノード302)と、REGセレクタ208の出力ノード320との間に直列に接続される。同様に、トランジスタ314、316、及び318は、電位Vsgの供給ノードと出力ノード320との間、電位Vddの供給ノードと出力ノード320との間、及び電位Vssの供給ノードと出力ノード320との間に、それぞれ直列に接続される。
第6実施形態によれば、切り換え信号に応じて、論理下位ページのプログラミング時と、論理上位ページのプログラミング時とでレギュレート信号REGの電位を変更できる。
さらに、第6実施形態によれば、トリミングレギュレート信号REGの電位を、トリミングデータラッチ200にラッチされたトリミングデータに従って決定される。即ち、論理下位ページのプログラミング時、及び論理上位ページのプログラミング時に使用されるレギュレート信号REGの値のいずれもが、チップ個々に設定することができる。このため、書き込みしきい値電圧の分布幅のバラツキは、チップ個々が持つ特性に基いて、チップ個々に補正することができる。従って、チップどうしで上記分布幅のバラツキの差が小さく、上記分布幅の均一性が製品間で良好な不揮発性半導体記憶装置、例えば、NAND型フラッシュメモリを有した半導体集積回路装置を得ることができる。
さらに、上記実施形態は以下の態様を含む。
(1) 不揮発性半導体メモリセルと、
前記不揮発性半導体メモリセルの一端に接続されるビット線と、
前記ビット線に接続され、前記不揮発性半導体メモリセルへのプログラムデータを一時的に記憶するデータ回路と、を具備し、
前記データ回路は、データ書き込み時に、前記ビット線に転送する転送電位を、前記プログラムデータのプログラム順序に応じて変更する半導体集積回路装置。
(2) (1)の態様に係る半導体集積回路装置であって、
前記データ回路は、データ記憶回路と電位転送回路とを有し、
前記電位転送回路は、前記転送電位を、前記プログラム順序に応じて変更する半導体集積回路装置。
(3) (1)及び(2)いずれかの態様に係る半導体集積回路装置であって、
前記プログラム順序は、前記プログラムデータのプログラムアドレスを参照して決定される半導体集積回路装置。
(4) (3)の態様に係る半導体集積回路装置であって、
前記プログラムアドレスは、前記プログラムデータが論理上位ページのデータか論理下位ページのデータかを示すアドレスである半導体集積回路装置。
(5) (3)の態様に係る半導体集積回路装置であって、
前記プログラムアドレスは、前記プログラムデータを偶数ビット線に転送するか奇数ビット線に転送するかを示すアドレスである半導体集積回路装置。
(6) (1)乃至(5)いずれか一つの態様に係る半導体集積回路装置であって、
前記不揮発性半導体メモリセルは、NAND型メモリユニットを含む半導体集積回路装置。
(7) 不揮発性半導体メモリセルと、
前記不揮発性半導体メモリセルの一端に接続されるビット線と、
前記ビット線に接続され、前記不揮発性半導体メモリセルへのプログラムデータを一時的に記憶するデータ回路と、を具備し、
前記データ回路は、データ書き込み時に、前記ビット線に転送する転送電位を、前記プログラムデータの書き込み方式に応じて変更する半導体集積回路装置。
(8) (7)の態様に係る半導体集積回路装置であって、
前記データ回路は、データ記憶回路と電位転送回路とを有し、
前記電位転送回路は、前記転送電位を、前記書き込み方式に応じて変更する半導体集積回路装置。
(9) (7)及び(8)いずれかの態様に係る半導体集積回路装置であって、
前記書き込み方式は、前記プログラムデータのプログラム順序に応じて決定される半導体集積回路装置。
(10) (7)乃至(9)いずれか一つの態様に係る半導体集積回路装置であって、
前記書き込み方式は、クイック パス ライトかモディファイド クイック パス ライトかである半導体集積回路装置。
(11) (7)乃至(10)いずれか一つの態様に係る半導体集積回路装置であって、
前記不揮発性半導体メモリセルは、NAND型メモリユニットを含む半導体集積回路装置。
(12) 不揮発性半導体メモリセルと、
前記不揮発性半導体メモリセルの一端に接続されるビット線と、
電流通路を有し、この電流通路を介して前記ビット線に電位を与えるトランジスタを含む電位転送回路と、
前記電位転送回路の前記トランジスタのゲートに与えるレギュレート電位を発生するレギュレート電位発生回路と、を具備し、
前記レギュレート電位発生回路は、
トリミングデータをラッチするトリミングデータラッチと、
切り換え信号に応じて前記トリミングデータをセレクトする第1のセレクタと、
前記セレクトされたトリミングデータをエンコードし、第1の選択信号群を出力するエンコーダと、
前記第1の選択信号群に応じて出力電位を選択する第2のセレクタと、
第2の選択信号群に従って前記出力電位を選択し、前記レギュレート電位として出力する第3のセレクタと、を含む半導体集積回路装置。
(13) (12)の態様に係る半導体集積回路装置であって、
前記不揮発性半導体メモリセルは、NAND型メモリユニットを含む半導体集積回路装置。
上記実施形態によれば、動作の高速性を保ちつつ、書き込みしきい値電圧の分布幅を狭くすることが可能な電気的に書き換えが可能な不揮発性半導体記憶装置を有した半導体集積回路装置を提供できる。
以上、この発明をいくつかの実施形態により説明したが、この発明は各実施形態に限定されるものではなく、その実施にあたっては発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
また、各実施形態は単独で実施することが可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。
また、各実施形態は種々の段階の発明を含んでおり、各実施形態において開示した複数の構成要件の適宜な組み合わせにより、種々の段階の発明を抽出することが可能である。
また、実施形態は、この発明をNAND型フラッシュメモリに適用した例に基づき説明したが、この発明はNAND型フラッシュメモリに限られるものではなく、AND型、NOR型等、NAND型以外のフラッシュメモリにも適用することができる。さらに、これらフラッシュメモリを内蔵した半導体集積回路装置、例えば、プロセッサ、システムLSI等もまた、この発明の範疇である。