JP2006330142A - マイクロレンズ基板の製造方法、電気光学装置の製造方法、及びマイクロレンズ基板、並びに電気光学装置及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 接着層が熱によって変形することによって生じるマイクロレンズ基板の厚みの不均一性を低減する。
【解決手段】 第2基板200の裏面側からエッチング、又は研磨することによって第2基板200を除去する。このとき、凸部30は、凹部内の接着層230に埋め込まれたままマイクロレンズ500の一部を構成している。第2基板200が除去されることによって露出する面は、レンズ形成領域20a及びその周囲の非レンズ形成領域20bに渡って面一である。接着層230は、第2基板200が除去された後は図中上側が開放されているため、接着層230からマイクロレンズ基板20の外部に抜けるガスをマイクロレンズ基板20の上側に一様に逃がすことができ、マイクレンズ基板20の端面側からのみガスを逃がす場合に比べて接着層230の変形を低減できる。
【選択図】 図10
【解決手段】 第2基板200の裏面側からエッチング、又は研磨することによって第2基板200を除去する。このとき、凸部30は、凹部内の接着層230に埋め込まれたままマイクロレンズ500の一部を構成している。第2基板200が除去されることによって露出する面は、レンズ形成領域20a及びその周囲の非レンズ形成領域20bに渡って面一である。接着層230は、第2基板200が除去された後は図中上側が開放されているため、接着層230からマイクロレンズ基板20の外部に抜けるガスをマイクロレンズ基板20の上側に一様に逃がすことができ、マイクレンズ基板20の端面側からのみガスを逃がす場合に比べて接着層230の変形を低減できる。
【選択図】 図10
Description
本発明は、例えば、液晶装置等の電気光学装置に用いられるマイクロレンズ基板を形成するマイクロレンズ基板の製造方法、電気光学装置の製造方法、及びマイクロレンズ基板、並びにそのようなマイクロレンズ基板を備えた液晶装置等の電気光学装置、及び電子機器の技術分野に関する。
液晶装置等の電気光学装置において、例えば対向基板には、各画素に対応するマイクロ
レンズが作り込まれたマイクロレンズアレイ基板が貼り付けられたりする。マイクロレンズは、バックライトの如き光源から出射された光を無駄なく各画素の開口領域に集光することによって、光源から出射された光の利用効率を高めることから、電気光学装置では明るい表示が実現される。
レンズが作り込まれたマイクロレンズアレイ基板が貼り付けられたりする。マイクロレンズは、バックライトの如き光源から出射された光を無駄なく各画素の開口領域に集光することによって、光源から出射された光の利用効率を高めることから、電気光学装置では明るい表示が実現される。
このようなマイクロレンズアレイ基板は、レンズ曲面が形成されたガラス基板とカバーガラスとを接着層を介して接着する工程を経て形成されることが通常行われる。また、このような工程を経て製造されるマイクロレンズ基板と、TFT等の半導体素子が作りこまれたTFTアレイ基板とを貼り合わせることによって、液晶装置等の電気光学装置を製造することが多い。例えば、特許文献1に開示された技術によれば、高い屈折率の樹脂をレンズ曲面が形成されたガラス基板のレンズ曲面側に塗布し、この樹脂を加熱することによってガラス層及びガラス基板を接着してマイクロレンズ基板が形成されている。ガラス層側をTFTアレイ基板に対向させるように配置されたマイクロレンズ基板は、TFTアレイ基板との間に液晶が封入されることによって液晶装置を構成する。
しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、樹脂層を加熱する際に樹脂層の膜厚がガラス基板のレンズ曲面が形成された側で均一とならないことがある。より具体的には、樹脂層を加熱する工程を経た際に生じる樹脂層の収縮、或いはマイクロレンズ基板の端面側から抜けるガスによって樹脂層が変形し、マイクロレンズ基板全体で樹脂層の厚みを均一にすることが困難となる。特に、マイクロレンズ基板の端面付近では、樹脂層の収縮、及び端面側から抜けるガスに起因する樹脂層の変形が他の部分より顕著に現れる傾向にある。このようなマイクロレンズ基板及びTFTアレイ基板で液晶を挟持した場合には、樹脂層の膜厚の不均一性に起因してマイクロレンズ基板及びTFTアレイ基板間のギャップ寸法が不均一となり、電気光学装置の表示性能に重大な不具合を生じさせる問題点がある。加えて、マイクロレンズ基板の所望の光学特性を得るために、ガラス層は薄くされることから、樹脂層の変形によって加わる応力に対してガラス層の機械的強度を十分な大きさで確保することが困難である問題点もある。
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、例えば、樹脂層の変形を低減し、マイクロレンズ基板の厚みを基板全体で均一にできるマイクロレンズ基板の製造方法、及びマイクロレンズ基板、並びに電気光学装置及び電子機器を提供することを課題とする。
本発明に係るマイクロレンズ基板の製造方法は上記課題を解決するために、透明な第1基板の一方の面のレンズ形成領域にレンズ曲面を規定する複数の凹部を形成する第1工程と、前記第1基板に接着される透明な第2基板における前記一方の面に対向する表面に前記複数の凹部の配置に合わせて複数の凸部を形成する第2工程と、前記一方の面に形成された高屈折率接着層における前記複数の凹部に充填された部分に前記複数の凸部が埋め込まれるように前記第2基板を前記一方の面側から前記第1基板に接着する第3工程と、前記複数の凸部の一部を含む平坦な面が露出するように前記第2基板を裏面側から平面的に除去する第4工程とを備える。
本発明に係るマイクロレンズ基板の製造方法では、第1工程において、例えばガラス基板又は石英基板等の透明な第1基板の一方の面のレンズ形成領域にレンズ曲面を有する複数の凹部を形成する。このような凹部は、例えば、次のような手順によって行われる。即ち、第1基板上にマスクを形成し、このマスクにおいて、第1基板の凹部の形成位置に対応する箇所に、例えばフォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより、開口部を形成する。続いて、複数の開口部が形成されたマスクを介して、第1基板に対して等方性エッチングを施すことにより、複数の凹部を形成する。
第2工程では、例えばガラス基板又は石英基板等の透明な第2基板の両面のうち、第1基板の一方の面に対向する面に複数の凸部を形成する。ここで、「対向する面」とは、後の第3工程において第1基板及び第2基板を接着するために第1基板及び第2基板を互いに対向するように配置した際に、第2基板の両面のうち第1基板の一方の面に向かい合う面を意味する。「複数の凸部」は、第1基板の対向する面の一部をエッチング法を用いて除去することによって形成されていてもよいし、第2基板の対向する面に第2基板と別体とされる部材を後付けしたものでもよい。但し、複数の凸部は、前記複数の凹部の配置に合わせて形成されている。「前記複数の凹部の配置に合わせて」とは、後述する第3工程で説明するように複数の凹部に凸部が埋め込まれるように配置が対応しているという意味であり、凸部は、凹部に埋め込まれるように凹部のサイズより小さめに形成される。尚、第2工程では、第2基板は第1基板に接着されておらず、後の第3工程でこれら基板は高屈折率接着層を介して接着される。
第3工程では、前記第2基板を前記一方の面側から前記第1基板に接着する。ここで、「高屈折率接着層」とは、第1基板及び第2基板の屈折率より高い接着層であって、第1基板及び第2基板を接着するように十分な接着力を有する、例えば樹脂を含んでいる。より具体的には、例えば、高屈折率接着層を第1基板の一方の面或いは第2基板の対向する面に塗布した後、高屈折率接着層を介して第1基板及び第2基板を合わせ、その後加熱等によって高屈折率接着層を硬化させることによって第1基板及び第2基板を接着する。このような高屈折率接着層によれば、高屈折率接着層を凹部に充填することによって個々のマイクロレンズを形成できると共に、第1基板及び第2基板を接着できる。また、高屈折率接着層の屈折率は第1基板及び第2基板の屈折率より高いことから、最終的に形成されたマイクロレンズは第1基板側或いは第2基板側から入射する光を他方の側に集光することができる。したがって、マイクロレンズ基板を用いて液晶装置等の電気光学装置を構成した場合には、バックライト等の光源から出射された光を無駄にすることなく、効率良く個々の画素の開口領域に集光できる。
第4工程では、第2基板を裏面側から平面的に除去し、複数の凸部の一部を含む平坦な面が露出させる。これにより、マイクロレンズ基板の厚みを均一にでき、例えばマイクロレンズ基板及びTFTアレイ基板を対向させるように配置した際に、マイクロレンズ基板全体でギャップ寸法を均一にできる。ここで、「裏面側」とは、第2基板の両面のうち第1基板に対向する面の反対の面側という意味である。したがって、裏面側から第2基板を平面的に除去することによって対向する面側に形成された複数の凸部を残すことが可能である。また、「平面的に」とは、例えばウェットエッチング法等のエッチング法、或いは研磨法、またはこれらを組み合わせたCMP(化学的機械的研磨法)等のように第2基板を裏面側から第2基板全体で均一に除去できるようにということを意味する。したがって、最終的に凸部の一部を含むように露出する面は、平坦な面になる。この平坦な面を、例えばTFTアレイ基板に対向させればTFTアレイ基板及びマイクロレンズ基板のギャップ寸法をマイクロレンズ基板全体で均一にでき、液晶装置等の表示性能を低下させることがない。
このように本発明に係るマイクロレンズ基板の製造方法によれば、第2基板は除去されてしまうので、高屈折率接着層の変形或いは高屈折率接着層で発生するガスによって第2基板が変形することを無くすことができる。したがって、本発明に係るマイクロレンズ基板の製造方法によって製造されたマイクロレンズ基板を用いて液晶装置等の電気光学装置を形成した際には、従来の電気光学装置に比べて表示性能を高めることができる格別の効果が得られる。
本発明に係るマイクロレンズ基板の製造方法の一の態様では、前記第4工程において、前記高屈折率接着層のうち前記一方の面の非レンズ形成領域に形成された部分の表面と前記複数の凸部の一部の表面とが同一平面となるように前記第2基板を平面的に除去してもよい。
この態様では、高屈折率接着層が露出する面は、複数の凸部の一部が露出する面と面一であり、マイクロレンズ基板の露出した面はレンズ形成領域及び非レンズ形成領域で面一となる。したがって、この露出した面とTFTアレイ基板等で液晶を挟持して液晶装置を構成する場合には、マイクロレンズ基板及びTFTアレイ基板のギャップ寸法を均一にできる。加えて、複数の凹部に対応して形成されるマイクロレンズのレンズ曲面に対向する側の面も平坦とされることから、各マイクロレンズの光学特性を損なうこともない。また、高屈折率接着層からガスが発生する際には、マイクロレンズ基板の端面側だけでなく高屈折率接着層全体からガスが抜けるため、高屈折率接着層が部分的に変形することも低減できる。
本発明に係るマイクロレンズ基板の製造方法の他の態様では、前記第4工程において、前記凸部の一部の表面及び前記一方の面が同一平面となるように、前記高屈折率接着層のうち前記一方の面の非レンズ形成領域に形成された部分を前記第2基板と共に平面的に除去してもよい。
この態様では、非レンズ形成領域に形成された高屈折率接着層は第2基板と共に除去され、レンズ形成領域にのみ高屈折率接着層が残る。より具体的には、高屈折率接着層のうち複数の凹部内に形成された部分が除去されることなく残る。このような場合でも、複数の凹部上におけるマイクロレンズの一部をなす高屈折率接着層は確保されるため、マイクロレンズ基板のレンズとしての機能が損なわれることがない。加えて、マイクロレンズ基板の露出した面とTFTアレイ基板等で液晶を挟持して液晶装置を構成する場合には、マイクロレンズ基板及びTFTアレイ基板のギャップ寸法を均一にできる。
本発明に係るマイクロレンズ基板の他の態様では、前記第2工程において、前記レンズ曲面の形状に合わせて前記凸部を形成してもよい。
この態様において、「レンズ曲面の形状に合わせて」とは、例えば、凹部のサイズ及びレンズ曲面の曲率半径等のマイクロレンズの光学特性に寄与する要素を損なわないように、或いは高めるようにということを意味する。より具体的には、例えばレンズ曲面の曲率半径と同じ曲率半径を有するように凸部を形成する場合を意味する。このような凸部を含むマイクロレンズ基板によれば、凹部内に高屈折率接着層のみが充填されている場合と同様に光を屈折させることができる。したがって、マイクロレンズ基板を用いて形成された電気光学装置の開口領域に効率良く集光でき、電気光学装置における明るい画像表示が可能になる。
本発明に係る電気光学装置の製造方法は上記課題を解決するために、上述の本発明のマイクロレンズ基板の製造方法の工程を含む。
本発明に係る電気光学装置の製造方法によれば、上述の本発明のマイクロレンズ基板の製造方法を含んでいるので、従来の電気光学装置に比べて表示性能を高い電気光学装置を製造できる。
本発明に係るマイクロレンズ基板は上記課題を解決するために、一方の面のレンズ形成領域にレンズ曲面を規定する複数の凹部が形成された透明な第1基板と、前記複数の凹部の夫々に充填された透明な高屈折率樹脂層及び該高屈折率樹脂層に埋め込まれた複数の透明な凸部を有すると共に、前記レンズ曲面に対向する側の面が前記レンズ形成領域に渡って互いに同一平面上にあるである複数のマイクロレンズとを備えている。
本発明に係るマイクロレンズ基板によれば、上述したマクロレンズ基板の製造方法と同様に、例えばフォトリソグラフィ法を用いたパターニングによって複数の凹部が第1基板の一方の面のレンズ形成領域に形成されている。
複数のマイクロレンズは、複数の凹部内に充填された高屈折率樹脂層及びこの高屈折率樹脂層に埋め込まれた凸部を有している。加えて、マイクロレンズのうちレンズ曲面と対向する面側の面はレンズ形成領域に渡って互いに面一になっているため、複数のマイクロレンズの光学特性は互いに揃っている。したがって、マイクロレンズ基板における各マイクロレンズの光学特性のばらつきが低減されており、高品質のマイクロレンズ基板を提供できる。
また、本発明に係るマイクロレンズ基板は、従来のマイクロレンズ基板が備えていたガラス層等を有していないため、高屈折率樹脂層が変形することによって生じるマイクロレンズ基板の厚みの不均一性が低減されており、液晶装置を形成した際のギャップ寸法の不均一性が生じることない。
このように、本発明に係るマイクロレンズ基板によれば、所望の光学特性を得つつ、液晶装置等の電気光学装置の表示性能を損なわせることもない。
本発明に係るマイクロレンズ基板の一の態様では、前記高屈折率樹脂層は、前記レンズ形成領域及び前記一方の面の非レンズ形成領域に渡って延在するように形成されており、前記対向する側の面は前記レンズ形成領域及び前記非レンズ形成領域に渡って同一平面であってもよい。
この態様によれば、この露出した面とTFTアレイ基板等で液晶を挟持して液晶装置を構成する場合には、マイクロレンズ基板及びTFTアレイ基板のギャップ寸法を均一にできる。加えて、複数の凹部に対応して形成されるマイクロレンズのレンズ曲面に対向する側の面も平坦とされることから、各マイクロレンズの光学特性を損なうこともない。加えて、高屈折率樹脂層からガスが発生する際には、高屈折率樹脂層全体からガスが抜けるため、高屈折率樹脂層が部分的に変形することも低減できる。
本発明に係るマイクロレンズ基板の他の態様では、前記凸部は、前記レンズ曲面に合わせて形成されていてもよい。
この態様によれば、例えばレンズ曲面の曲率半径と同じ曲率半径を有するように凸部を形成しておけば、凹部内に高屈折率樹脂層のみが充填されている場合と同様に光を屈折させることができる。したがって、マイクロレンズ基板を用いて形成された電気光学装置の開口領域に効率良く集光でき、明るい画像表示が可能とされる。
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために上述のマイクロレンズ基板を備えている。
本発明に係る電気光学装置によれば、上述したマイクロレンズ基板を備えているため、歩留まりが高く、且つ高い表示性能を有する電気光学装置を提供できる。
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備えている。
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、DLP(Digital Light Processing)等を実現することも可能である。また、反射型液晶装置の一例であるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式の表示装置を提供することも可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
以下、図面を参照しながら本発明のマイクロレンズ基板の製造方法、及びマイクロレンズ基板、並びにマイクロレンズ基板を備えた液晶装置等の電気光学装置及び電子機器の各実施形態を説明する。
<1:マイクロレンズ基板>
先ず、図1及び図2を参照しながら本実施形態のマイクロレンズ基板の構成を説明する。
先ず、図1及び図2を参照しながら本実施形態のマイクロレンズ基板の構成を説明する。
図1(a)は、マイクロレンズ基板20の概略斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A´断面部分の構成について示す概略斜視図である。図2(a)は、マイクロレンズ基板20のうち4つのマイクロレンズに係る部分を拡大して示す部分拡大平面図であり、図2(b)は、マイクロレンズ基板20の部分拡大断面図である。
図1(a)において、マイクロレンズ基板20は、例えば石英基板やガラス板等の透明部材からなる第1基板210と、本発明の「高屈折率樹脂層」の一例である接着層230を備えている。尚、後述するようにマイクロレンズ基板20は、接着層230における第1基板210に臨む側の面に形成された電極を含んでいてもよい。このような電極は、例えばITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムと酸化錫の混合物)等の透明導電性膜により形成されている。
マイクロレンズ基板20のレンズ形成領域20aには、以下のようにアレイ状に平面配列された多数のマイクロレンズ500が形成されている。図1(b)において、第1基板210にアレイ状に形成された多数の凹状の窪み、即ち凹部が掘られている。マイクロレンズ500は、複数の凹部に形成された接着層230及びこの接着層230に埋め込まれた凸部30を備えている。接着層230は、レンズ形成領域20a及び非レンズ形成領域20bに渡って形成されており、各凹部に例えば感光性樹脂材料からなる接着剤を充填した後、この接着剤を硬化させることによって形成されている。このような接着層230は、第1基板210よりも高屈折率を有する透明な樹脂で形成されている。
凸部30は、接着層230より低い屈折率を有している。凸部30は、例えば第1基板210と同じ透明な材料を用いて形成されており、後述する本実施形態のマイクロレンズ基板の製造方法の一工程を経て形成される。また、凸部30は、マイクロレンズ基板20を用いて構成される液晶装置等の電気光学装置が備える各画素領域の配置に対応するように形成されている。
図2(b)に示すように、マイクロレンズ500のレンズ曲面30bは、相互に屈折率が異なる第1基板210と接着層230とにより概ね規定されている。より具体的には、各凹部は、マイクロレンズ500のレンズ曲面を規定している。マイクロレンズ500は、例えば凹部によって規定されるレンズ曲面30aを有する平凸状のレンズとして構築されている。
尚、図2(a)及び図2(b)に示す凹部は、それが規定する球面又は非球面であるレンズ曲面が、隣接する凹部が規定するレンズ曲面30aと、接するように形成されてもよいし、交わるように形成されてもよい。後者の如くレンズ曲面が交わるように形成すれば、各マイクロレンズ500においてレンズとして有効な領域を広くとることが可能となる。理想的には、各マイクロレンズ500のコーナー部501(図2(a)参照)において、4つのレンズ曲面30aが交わるようにすれば、各マイクロレンズ500の隅々にまで、集光機能を与えることが可能となり、光の利用効率を最大限に高めることが可能となる。また、凸部30は、凹部に埋め込まれる部分の表面がこのようなレンズ曲面の曲率半径と同様の曲率半径を有するように形成されている。したがって、マイクロレンズ500は、凹部内に接着層230のみが充填されている場合と同様に光を屈折させることができる。これにより、マイクロレンズ基板20を用いて形成された電気光学装置の開口領域に効率良く集光でき、明るい画像表示が可能とされる。
マイクロレンズ500のうちレンズ曲面30aと対向する面側の面はレンズ形成領域20aに渡って互いに面一になっているため、複数のマイクロレンズの光学特性は互いに揃っている。したがって、マイクロレンズ基板20における各マイクロレンズ500の光学特性のばらつきが低減されており、高品質のマイクロレンズ基板を提供できる。加えて、マイクロレンズ基板20は、従来のマイクロレンズ基板が備えていたガラス層等を有していないため、液晶装置を形成した際のギャップ寸法の不均一性が生じることない。このように、本実施形態のマイクロレンズ基板20によれば、所望の光学特性を得つつ、液晶装置等の電気光学装置の表示性能を損なわせることもない。
尚、マイクロレンズ基板20は、後述するように、液晶装置等の電気光学装置において対向基板として用いられるため、各画素に対応させて、マイクロレンズ500が配置される。ここで、カバー基板200における接着層230と接する側に形成された不図示の電極は、画素電極と対向させて、対向電極として配置される。また、遮光膜は、接着層230上において、例えば、平面的に見て、格子状或いはストライプ状のパターンとして形成される。
<2:電気光学装置>
次に、本実施形態の電気光学装置について、その全体構成を図3及び図4を参照して説明する。図3は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板として用いられる上述のマイクロレンズ基板側から見た平面図であり、図4は、図3のH−H´断面図である。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例に挙げる。
次に、本実施形態の電気光学装置について、その全体構成を図3及び図4を参照して説明する。図3は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板として用いられる上述のマイクロレンズ基板側から見た平面図であり、図4は、図3のH−H´断面図である。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例に挙げる。
図3及び図4において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板として用いられるマイクロレンズ基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10とマイクロレンズ基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10とマイクロレンズ基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10とマイクロレンズ基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材56が散布されている。即ち、本実施形態の電気光学装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、マイクロレンズ基板20側に設けられている。この額縁遮光膜53は、例えばマイクロレンズ基板20において、第1基板210上に形成される電極より下層側に配置されている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、マイクロレンズ基板20の第1基板210上において、電極より上層側に配置されて形成されてもよいし、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として形成されてもよい。尚、図3及び図4において、マイクロレンズ基板20を構成する、第1基板210や接着層230、マイクロレンズ500等の詳細な構成については図示を省略してある。
画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺のいずれかに沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。尚、走査線駆動回路104を、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102が設けられたTFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿って設けるようにしてもよい。この場合、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿って設けられた複数の配線によって、二つの走査線駆動回路104は互いに接続されるようにする。
マイクロレンズ基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10とマイクロレンズ基板20との間で電気的な導通をとることができる。
図4において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor;以下適宜、“TFT”と称する)や走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜16が形成されている。他方、詳細な構成については後述するが、電気光学装置において、マイクロレンズ基板20に形成された電極が、画素電極9aと対向するように配置されており、この電極上には、配向膜22が形成されている。
尚、TFTアレイ基板10には、石英やプラスチックなどの透明基板を用いてもよいし、単結晶シリコンあるいは単結晶シリコン化合物などからなる半導体基板を用いてもよい。
因みに、TFTアレイ基板10に、単結晶シリコンなどの半導体を用いた場合には、画素スイッチング用の素子としては、TFTではなく、トランジスタを用いることができる。
TFTアレイ基板10又はマイクロレンズ基板20上において、配向膜16又は22は、例えばポリイミド等の有機材料により形成される。本実施形態では、TFTアレイ基板10及びマイクロレンズ基板20のいずれか一方上にのみ配向膜を形成するか、或いはこれらのいずれか一方上に形成される配向膜を無機材料により形成するようにしてもよい。
液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
尚、図3及び図4に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
次に、以上の如く構成された電気光学装置における回路構成及び動作について、図5を参照して説明する。図5には、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路を示してある。
図5において、本実施形態における電気光学装置の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
ゲート電極3aはTFT30のゲートに電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11a及びゲート電極3aにパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、・・・、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、マイクロレンズ基板20に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。蓄積容量70は、走査線11aに並んで設けられ、固定電位側容量電極を含むとともに定電位に固定された容量電極300を含んでいる。
上述した電気光学装置に設けられたマイクロレンズ基板20の詳細な構成と、その機能について図6及び図7を参照して説明する。図6は、マイクロレンズ基板20における、遮光膜23及びマイクロレンズ500が配置される開口領域700の配置関係を模式的に示す平面図であって、図7は、複数の画素について、図4に示す断面の構成をより詳細に示す図であって、各マイクロレンズ500の機能について説明するための断面図である。
図7において、マイクロレンズ基板20では、第1基板210上(図中では、第1基板210の下側)であって、マイクロレンズ500より下層側に、例えば図6に示すように格子状の平面パターンを有する遮光膜23が形成される。マイクロレンズ基板20において、遮光膜23によって非開口領域が規定され、遮光膜23によって区切られた領域が開口領域700となる。尚、遮光膜23をストライプ状に形成し、遮光膜23と、TFTアレイ基板10側に設けられる容量電極300やデータ線6a等の各種構成要素とによって、非開口領域を規定するようにしてもよい。
マイクロレンズ500は各画素に対応するように配置される。より具体的には、図7に示すように、マイクロレンズ基板20において、画素毎に、開口領域700及び開口領域700の周辺に位置する非開口領域を少なくとも部分的に含む領域に、マイクロレンズ500が配置されて形成されている。
マイクロレンズ基板20上(図中ではマイクロレンズ基板20の下側)に、透明な電極21を介して配向膜22が形成されている。加えて、マイクロレンズ基板20において、第1基板210の上層側に又は下層側に、各開口領域700に配置されて、カラーフィルタが形成されてもよい。
図7において、TFTアレイ基板10上の各開口領域700に対応する領域には画素電極9aが形成されている。TFTアレイ基板10上において、画素スイッチング用のTFT30や、画素電極9aを駆動するための走査線11aやデータ線6a等の各種配線並びに蓄積容量70等の電子素子が、非開口領域に形成されている。このように構成すれば、当該電気光学装置における画素開口率を比較的大きく維持することが可能となる。更に、画素電極9a上には配向膜16が設けられている。
マイクロレンズ基板20に入射される投射光等の光は、各マイクロレンズ500によって集光される。尚、図7中、一点鎖線によってマイクロレンズ500によって集光された光のようすを概略的に示してある。そして、各マイクロレンズ500によって集光された光は、液晶層50を透過して画素電極9aに照射され、画素電極9aを通過して表示光としてTFTアレイ基板10より出射される。よって、マイクロレンズ基板20に入射された光のうち非開口領域に向かう光も、マイクロレンズ500の集光作用により開口領域700に入射させることができるため、各画素における実行開口率を高めることができる。
ここで、例えば、第1基板210を石英基板により形成する場合には、第1基板210の屈折率は1.46程度の値であり、接着層230は、屈折率が1.6程度の透明樹脂により形成される。加えて、電極21をITOにより形成する場合には、電極21の屈折率は例えば1.9程度の値である。
したがって、マイクロレンズ基板20によれば、マイクロレンズ500によって集光された、投射光等の光は、開口領域700において、電極21を通過し、更に配向膜22を通過して、液晶層50に入射される。
他方、図2(b)を参照して説明したように、マイクロレンズ基板20において、第1基板210上で、マイクロレンズ500のおけるレンズ曲面30aに対応する側の面は平坦に形成されている。したがって、この面における光の乱反射を低減でき、マイクロレンズ500の集光性が損なわれることがない。加えて、遮光膜23及び電極21を薄膜形成法で形成した場合でもこれら薄膜の膜質を高めることができ、電極21の表面において、良好な平坦性を得ることもできる。平坦な電極の21の表面上に配向膜22を形成することができるため、配向膜22の表面においても良好な平坦性を確保することが可能となる。よって、配向膜22の表面に対するラビング処理において、配向不良箇所が発生するのを防止することができる。その結果、本実施形態の電気光学装置では、高品質な画像表示を行うことが可能となる。
次に、本実施形態のマイクロレンズ基板の他の例の構成を、図8を参照して説明する。図8は、本例のマイクロレンズ基板を有する電気光学装置の構成について、図7と同様に示す断面図である。
本例のマイクロレンズ基板20は、接着層230の表面に遮光膜が形成されていない点で上述のマイクロレンズ基板の構成と異なる。マイクロレンズ500は、画素の開口領域の位置に合わせて形成されているため、光源から投射された投射光等の光を効率良く開口領域に集光できる。尚、図中マイクロレンズ500は互いに隙間なく配置されているが、画素の開口領域への集光性を損なわない程度に若干の隙間を介して配置されていてもよい。
このようなマイクロレンズ基板20を有する電気光学装置においては、図8おいて、一点鎖線によって示すように、マイクロレンズ基板20に入射され、マイクロレンズ500によって集光された、投射光等の光は、更に、開口領域700において、マイクロレンズ基板20及び配向膜22を通過して、液晶層50に入射される。
以上説明した本実施形態では、電気光学装置においてデータ線駆動回路101や走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(Tape Automated bonding)基板上に実装された駆動用LSIを、外部回路接続端子102に異方
導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、マイクロレンズ基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、マイクロレンズ基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
<3:マイクロレンズ基板の製造方法>
次に、図9及び図10を参照しながら本実施形態に係るマイクロレンズ基板の製造方法を説明する。図9から図10は、マイクロレンズ基板20の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
次に、図9及び図10を参照しながら本実施形態に係るマイクロレンズ基板の製造方法を説明する。図9から図10は、マイクロレンズ基板20の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図9(a)に示すように、第1基板210a上に、マスク900として例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)等によりアモルファスシリコン膜を形成する。マスク900は耐フッ酸性を有するCr膜、ポリシリコン膜等でも良い。
続いて、図9(b)に示すように、マスク900において図1又は図2(b)に示す凹部の形成位置に対応する個所に、例えばマスク900に対するフォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより、複数の開口部902を形成する。マスク900において、複数の開口部902は夫々平面的に例えば円形状として形成され、且つ該開口部902に対応して、第1基板210aに形成される凹部より小さいサイズとして形成される。
続いて、図9(c)において、複数の開口部902が形成されたマスク900を介して、第1基板210aに対して等方性エッチングを施すことにより、複数の凹部を形成する。より具体的には、この等方性エッチングは、好ましくは、フッ酸系などのエッチャントを用いたウェットエッチングにより行われる。
その後、図9(d)において、マスク900をエッチング処理によって除去し、レンズ曲面を規定する複数の凹部が形成された第1基板210を形成する。
図10(a)において、接着層230を介して第2基板200を第1基板210の凹部側に配置し、凸部30を第1基板210に形成された凹部内の接着層230に埋め込む。尚、第2基板200における第1基板210に対向する側の面には、図9を参照して説明した各工程と並行して、又は相前後して、第1基板210に形成された凹部に合わせて複数の凸部30が形成されている。凸部30は、第1基板210に凹部を形成した方法と同様にフォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて形成されている。ここで、接着層230は、第2基板200の凸部30が形成された側の面、或いは第1基板210の凹部が形成された側の面に、例えば熱硬化性の透明な接着剤を塗布することによって形成されている。
接着層230は、第1基板210における複数の凹部が形成されたレンズ形成領域20a及びこのレンズ形成領域20aの周辺に位置する非レンズ形成領域20bに渡って形成されている。加えて、接着層230は複数の凹部の夫々に充填されている。
図10(b)において、第1基板210及び第2基板200と共に、或いは接着層230のみを加熱することによって接着層230を硬化させ、第1基板210及び第2基板20を接着する。
次に、図10(c)において、図中上側である第2基板200の裏面側からエッチング、又は研磨することによって第2基板200を除去する。このとき、凸部30は、凹部内の接着層230に埋め込まれたままマイクロレンズ500の一部を構成している。第2基板200が除去されることによって露出する面は、レンズ形成領域20a及びその周囲の非レンズ形成領域20bに渡って面一である。より具体的には、マイクロレンズ500の一部である凸部30におけるレンズ曲面に対向する側の面、即ち図中上側の面は、レンズ形成領域20aに形成された複数のマイクロレンズ500間で互いに面一になっている。したがって、各マイクロレンズ500のレンズ曲面を規定する複数の凹部の形状は互いに均一であるため、これらマイクロレンズ500の光学特性のばらつきが低減されている。
非レンズ形成領域20bには、接着層230の一部が残されている。このような接着層230は、第2基板200が除去された後は図中上側が開放されているため、接着層230からマイクロレンズ基板20の外部に抜けるガスをマイクロレンズ基板20の上側に一様に逃がすことができ、マイクレンズ基板20の端面側からのみガスを逃がす場合に比べて接着層230の変形を低減できる。
また、図10(d)に示すように、第2基板20を除去すると共に、図10(b)に示した工程に続いて接着層230のうち非レンズ形成領域20bに延在する部分を除去してもよい。このようなマイクロレンズ基板20は、複数の凹部にのみ残された接着層230及びこの接着層230に埋め込まれた凸部30を含む複数のマイクロレンズ500を含んでいる。このように図10(c)に示した状態より更に研磨、又はエッチングを進めることによってマイクロレンズを構成しない非レンズ形成領域20bの接着層230を除去することも可能である。このようにして形成されたマイクロレンズ基板20によれば、ガスを発生させる非レンズ形成領域20bの接着層230が除去されているため、接着層230の変形によるマイクロレンズ基板20の品質低下が全く生じない。
本実施形態のマイクロレンズの製造方法によれば、第2基板は除去されてしまうので、接着層の変形或いは接着層で発生するガスによって第2基板200が変形することを無くすことができる。したがって、本発明に係るマイクロレンズ基板の製造方法によって製造されたマイクロレンズ基板を用いて液晶装置等の電気光学装置を形成した際には、従来の電気光学装置に比べてギャップ寸法の不均一性を低減でき、表示性能を高めることができる格別の効果が得られる。これにより、所望の光学特性を得つつ、マイクロレンズ基板の歩留まりを高めることができる。また、本実施形態のマイクロレンズの製造方法によれば、例えば液晶装置等のバックライトの如き光源で発生した光を画素領域に集光し、液晶装置による明るい画像表示が可能である。
<5:電気光学装置の製造方法>
上述したマイクロレンズ基板20の製造工程を含む電気光学装置の製造方法について説明する。
<5:電気光学装置の製造方法>
上述したマイクロレンズ基板20の製造工程を含む電気光学装置の製造方法について説明する。
上述のマイクロレンズ基板は、電気光学装置においてTFTアレイ基板10に対向する対向基板として用いられる。
従って、電気光学装置の製造方法としては、上述のマイクロレンズの製造方法によりマイクロレンズ基板20を形成した後、マイクロレンズ基板20とTFTアレイ基板10とを貼り合わせる工程を含む。
尚、マイクロレンズ基板20とTFTアレイ基板10との間に液晶層50などの電気光学物質を封入する場合に、その封入工程は、マイクロレンズ基板20とTFTアレイ基板10との貼り合わせ前であってもよいし、貼り合わせ後であってもよい。
<6:電子機器>
次に、本発明のマイクロレンズの製造方法を用いて形成されたマイクロレンズ基板を備えた電子機器の実施形態を説明する。
次に、本発明のマイクロレンズの製造方法を用いて形成されたマイクロレンズ基板を備えた電子機器の実施形態を説明する。
図11は、本発明にマイクロレンズ基板が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。図11において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、液晶表示ユニット1206とから構成されている。この液晶表示ユニット1206は、液晶パネル1005の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
更に、上述した液晶パネルを携帯電話に適用した例について説明する。図12は、本実施形態の電子機器の一例である携帯電話の斜視図である。図12において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の液晶装置1005を備えるものである。この反射型の液晶装置1005にあっては、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。
次に、本実施形態の電子機器の他の例である電気光学装置をライトバルブとして用いた投射型カラー表示装置を説明する。以下では、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。図13は、投射型カラー表示装置の図式的断面図である。
図13において、投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置を含む液晶モジュールを3個用意し、それぞれRGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロックミラー1108によって、RGBの三原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bにそれぞれ導かれる。この際特に、B光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分は、ダイクロックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーンにカラー画像として投射される。
本発明に係る電子機器によれば、図11乃至図13を参照して説明した電子機器の他にも、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた装置としてDLP(Digital Light Processing)等を実現することも可能である。また、本発明に係る電子機器を反射型液晶装置の一例であるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式の表示装置を含む装置に適用することも可能である。
尚、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うマイクロレンズ基板の製造方法、及びマイクロレンズ基板、並びに電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
30・・・凸部、210・・・第1基板、200・・・第2基板、500・・・マイクロレンズ、230・・・接着層
Claims (10)
- 透明な第1基板の一方の面のレンズ形成領域にレンズ曲面を規定する複数の凹部を形成する第1工程と、
前記第1基板に接着される透明な第2基板における前記一方の面に対向する表面に前記複数の凹部の配置に合わせて複数の凸部を形成する第2工程と、
前記一方の面に形成された高屈折率接着層における前記複数の凹部に充填された部分に前記複数の凸部が埋め込まれるように前記第2基板を前記一方の面側から前記第1基板に接着する第3工程と、
前記複数の凸部の一部を含む平坦な面が露出するように前記第2基板を裏面側から平面的に除去する第4工程とを備えたこと
を特徴とするマイクロレンズ基板の製造方法。 - 前記第4工程において、前記高屈折率接着層のうち前記一方の面の非レンズ形成領域に形成された部分の表面と前記複数の凸部の一部の表面とが同一平面となるように前記第2基板を平面的に除去すること
を特徴とする請求項1に記載にマイクロレンズ基板の製造方法。 - 前記第4工程において、前記凸部の一部の表面及び前記一方の面が同一平面となるように、前記高屈折率接着層のうち前記一方の面の非レンズ形成領域に形成された部分を前記第2基板と共に平面的に除去すること
を特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズ基板の製造方法。 - 前記第2工程において、前記レンズ曲面の形状に合わせて前記凸部を形成すること
を特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のマイクロレンズ基板の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載にマイクロレンズ基板の製造方法の工程を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
- 一方の面のレンズ形成領域にレンズ曲面を規定する複数の凹部が形成された透明な第1基板と、
前記複数の凹部の夫々に充填された透明な高屈折率樹脂層及び該高屈折率樹脂層に埋め込まれた複数の透明な凸部を有すると共に、前記レンズ曲面に対向する側の面が前記レンズ形成領域に渡って互いに同一平面上にある複数のマイクロレンズとを備えたこと
を特徴とするマイクロレンズ基板。 - 前記高屈折率樹脂層は、前記レンズ形成領域及び前記一方の面の非レンズ形成領域に渡って延在するように形成されており、前記対向する側の面は前記レンズ形成領域及び前記非レンズ形成領域に渡って同一平面であること
を特徴とする請求項6に記載のマイクロレンズ基板。 - 前記凸部は、前記レンズ曲面に合わせて形成されていること
を特徴とする請求項6又は7に記載のマイクロレンズ基板。 - 請求項6から8の何れか一項に記載のマイクロレンズ基板を備えたこと
を特徴とする電気光学装置。 - 請求項9に記載の電気光学装置を具備してなること
を特徴とする電子機器。
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JP2011059230A (ja) * | 2009-09-08 | 2011-03-24 | Seiko Epson Corp | マイクロレンズアレイおよびマイクロレンズアレイの製造方法 |
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2005
- 2005-05-24 JP JP2005150585A patent/JP2006330142A/ja not_active Withdrawn
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