JP2006329303A - サイレントチェーンにおける潤滑構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】チェーン走行方向に沿う前後両端部にピン孔をそれぞれ有する複数枚の歯付きリンクプレートが、相互に重合されつつ前記ピン孔にそれぞれ挿入される連結ピンで無端状に連結されて成るサイレントチェーンにおいて、連結ピンの円滑な回転を確保しつつ、連結ピンおよび歯付きリンクプレートの接触部に充分な量の潤滑油を供給する。
【解決手段】ピン孔28が、連結ピン26よりも大径の仮想円Cに沿うとともに相互に最大限離隔した位置にある連結ピン26を周方向両端部に接触させるようにした円弧部28aと、両ピン孔28の相互に反対側で仮想円Cから半径方向外方に凹むとともに円弧部28aの周方向両端部に接触した連結ピン26との間に潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間34を形成するようにして円弧部28aの周方向両端に連なる凹部28bとから成る。
【選択図】 図6

Description

本発明は、チェーン走行方向に沿う前後両端部にピン孔をそれぞれ有する複数枚の歯付きリンクプレートが、相互に重合されつつ前記ピン孔にそれぞれ挿入される連結ピンで無端状に連結されて成るサイレントチェーンに関し、特に、サイレントチェーンにおける潤滑構造の改良に関する。
歯付きリンクプレートに設けられる一対のピン孔の相互に遠い外側部分が、ピン孔に挿通される連結ピンの半径よりも僅かに大きい半径を有するとともに相互に交差する一対の円弧面から成るように形成し、両円弧面への連結ピンの接触部と、両円弧面の交差部との間に油溜まりを形成するようにして、歯付きリンクプレートおよび連結ピン間の潤滑を行うようにしたものが、特許文献1で既に知られている。
実開平1−91149号公報
ところが、上記特許文献1で開示されたサイレントチェーンでは、両連結ピンに相互に離隔する側の力が作用したときに、相互に交差する2つの円弧面間に連結ピンが挟まれるように押し込まれ、連結ピンの円滑な回転が阻害されてしまう可能性がある。そこで連結ピンの両円弧面への接触部相互間の距離が小さくなるように両円弧面の半径を設定して連結ピンの円滑な回転を保証するようにすると、油溜まりの容積が小さくなり、潤滑に必要な充分な量の潤滑油を油溜まりに溜めることが困難となる。また油溜まりの容積を充分に大きくするために、両円弧面の半径を大きく設定すると、連結ピンおよび円弧面の接触面積が小さくなり、その結果、面圧が大きくなって過大な応力集中が生じる可能性も生じる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、連結ピンの円滑な回転を確保しつつ、連結ピンおよび歯付きリンクプレートの接触部に充分な量の潤滑油を供給し得るようにしたサイレントチェーンにおける潤滑構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、チェーン走行方向に沿う前後両端部にピン孔をそれぞれ有する複数枚の歯付きリンクプレートが、相互に重合されつつ前記ピン孔にそれぞれ挿入される連結ピンで無端状に連結されて成るサイレントチェーンにおいて、前記ピン孔が、前記連結ピンよりも大径の仮想円に沿うとともに相互に最大限離隔した位置にある前記連結ピンを周方向両端部に接触させるようにした円弧部と、前記両ピン孔の相互に反対側で前記仮想円から半径方向外方に凹むとともに前記円弧部の周方向両端部に接触した前記連結ピンとの間に潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間を形成するようにして前記円弧部の周方向両端に連なる凹部とから成ることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記円弧部の両端が連続面を介して前記凹部の両端に連なることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に加えて、前記歯付きリンクプレートの両面の少なくとも一方に、前記円弧部の周方向両端部に接触した前記連結ピンの外周および前記円弧部の内周間に生じる隙間に通じる溝が設けられることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記歯付きリンクプレートの両面の少なくとも一方への前記両ピン孔の開口端の周縁部の少なくとも一部に、それらのピン孔の軸方向外方に向かうにつれて各ピン孔の中心からの距離が大となるように傾斜した傾斜面が形成されることを特徴とする。
さらに請求項5記載の発明は、チェーン走行方向に沿う前後両端部にピン孔をそれぞれ有する複数枚の歯付きリンクプレートが、相互に重合されつつ前記ピン孔にそれぞれ挿入される連結ピンで無端状に連結されて成るサイレントチェーンにおいて、チェーン走行方向に沿う前後両端部にピン孔をそれぞれ有する複数枚の歯付きリンクプレートが、相互に重合されつつ前記ピン孔にそれぞれ挿入される連結ピンで無端状に連結されて成るサイレントチェーンにおいて、前記両ピン孔の相互に反対側の端部に、最大限離隔した位置にある前記連結ピンとの間に潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間がそれぞれ形成され、前記歯付きリンクプレートの両面の少なくとも一方に、最大限離隔した位置にある前記連結ピンに関して前記潤滑油貯留空間とは反対側で当該連結ピンの外周よびピン孔の内周間に生じる隙間に通じる溝が設けられることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、連結ピンは、相互に最大限離隔した位置にあっても該連結ピンよりも大径の仮想円に沿う円弧部の周方向両端部に接触するものであり、その円弧部の両端に連なる凹部が、連結ピンとの間に潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間を形成するようにして円弧部の両端に連なるので、充分な量の潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間を形成することができるとともに、連結ピンを両側から挟むような力の発生を抑制して連結ピンの円滑な回転を確保することが可能となる。しかも面圧分布を狭めることなく充分な量の潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間を形成することが可能であり、過大な応力集中の発生を防止することができる。而して連結ピンおよび歯付きリンクプレートの接触部には、連結ピンの回転によって潤滑油貯留空間から潤滑油が円滑に供給されることになり、連結ピンの円滑な回転を確保しつつ、歯付きリンクプレートおよび連結ピンの接触部に必要量の潤滑油を供給することができる。
また請求項2記載の発明によれば、凹部の両端が不連続部(尖鋭部)を介して円弧部の両端に連設されている場合には、ピン孔内での連結ピンの回転時に潤滑油が前記不連続部(尖鋭部)で掻きとられてしまう可能性があるが、凹部の両端が連続面を介して円弧部の両端に連なるものであるので、潤滑油が掻きとられてしまうことはなく、凹部および円弧部の連設部への応力集中が生じることも回避することができる。
請求項3記載の発明によれば、連結ピンに関して潤滑貯留空間と反対側で連結ピンおよび円弧部の内周間に生じる隙間に潤滑油を効果的に導くことができる。
請求項4記載の発明によれば、相互に重なった歯付きリンクプレート相互間の隙間が殆どない状態でも、ピン孔に潤滑油を効果的に導くことができる。
さらに請求項5記載の発明によれば、連結ピンを両側から挟むような力の発生や、面圧集中の回避を狙った結果、潤滑油貯留空間が小さくなった場合でも、ピン孔内面への連結ピンの接触部に、潤滑油貯留空間と、連結ピンに関して潤滑油貯留空間とは反対側で連結ピンの外周およびピン孔内周間に形成されるとともに溝によって潤滑油が導かれる隙間とから潤滑油供給がなされるので、連結ピンのピン孔内での健全な回転を確保しつつ、ピン孔内面への連結ピンの接触部に必要量の潤滑油を供給することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図8は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は内燃機関の調時伝動機構を示す縦断側面図、図2は図1の2矢示部拡大図、図3は図2の3矢視拡大図、図4は図2の4−4線断面図、図5は歯付きリンクプレートの側面図、図6は図5の要部拡大図、図7は図5の7−7線断面図、図8はサイレントチェーンの時間経過に応じた伸び率の変化を示す図である。
先ず図1において、たとえば車両に搭載されるDOHC型4サイクルエンジンEのエンジン本体11に回転自在に支承されるクランクシャフト12および一対のカムシャフト13,13は、調時伝動機構Tを介して連動、連結される。この調時伝動機構Tは、クランクシャフト12に固定される駆動スプロケット14と、前記両カムシャフト13,13にそれぞれ固定される被動スプロケット15,15とに無端状のサイレントチェーン16が巻回されて成るものであり、クランクシャフト12が矢印で示すように時計方向に回転するときに、両カムシャフト13,13はサイレントチェーン16を介して同方向に1/2の減速比で回転駆動される。
前記サイレントチェーン16の緩み側外周には、一端部が前記エンジン本体11に支軸17を介して回動可能に支承されるテンショナアーム18が摺接されており、このテンショナーアーム18は、エンジン本体11に取付けられるテンショナリフタ19によってサイレントチェーン16に押しつけられ、それによりサイレントチェーン16に所定の張力が付与される。またサイレントチェーン16の張り側外周には、エンジン本体11に取付けられるチェーンガイド20が摺接される。
またクランクシャフト12の近傍でエンジン本体11には、サイレントチェーン16への駆動スプロケット14の噛込み側に向けて潤滑油を噴射するジェット21が取付けられており、該ジェット21から噴射される潤滑油がサイレントチェーン16に強制給油される。
図2〜図4において、サイレントチェーン16は、相互に隣り合って2枚ずつ並列配置される複数枚の歯付きリンクプレート23,23…から成るリンク列RLと、相互に2枚ずつ重なる多数枚の歯付きリンクプレート24,24…ならびにそれらの歯付きリンクプレート24,24…の外側にそれぞれ1枚ずつ並列配置される複数枚のガイドプレート25,25…から成るガイド列RGとが、複数の連結ピン26…で交互に連鎖状に連結されて成るものであり、2枚ずつ重なったガイド列GRの歯付きリンクプレート24,24は、リンク列RLの歯付きリンクプレート23,23間に配置され、リンク列RLの歯付きリンクプレート23,23は、ガイド列RGの歯付きリンクプレート24およびガイドプレート25間に配置される。
前記リンク列RLの歯付きリンクプレート23…および前記ガイド列RGの歯付きリンクプレート24…は側面視では同一形状をなすものである。しかもリンク列RLの歯付きリンクプレート23…の板厚は、ガイド列RGの歯付きリンクプレート24…の板厚およびガイドプレート25…の板厚よりも大きく、2枚重なった状態でのガイド列RGの歯付きリンクプレート24,24の板厚の総和はリンク列RLの歯付きリンクプレート23の板厚にほぼ等しい。
図5において、リンク列RLの歯付きリンクプレート23…およびガイド列RGの歯付きリンクプレート24…は、チェーン走行方向27に沿って長く形成されるものであり、チェーン走行方向27に沿う各歯付きリンクプレート23…,24…の前後両端部に前記連結ピン26を回転自在に挿入せしめる一対のピン孔28,28が対称的にそれぞれ穿設される。
また各歯付きリンクプレート23…,24…の長手方向両端部には、調時伝動機構Tにおける駆動スプロケット14および被動スプロケット15…の歯14T,15T…に噛合する歯部29,29が対称的に設けられる。しかも両歯部29,29の相互に対向する側面の歯先近傍には内方側に凹む曲面29a,29aがそれぞれ形成されており、それらの曲面29a,29aによって、歯部29,29は、駆動スプロケット14および被動スプロケット15…との噛み合い初期にばね性を発揮する爪状をなすことになる。このような歯部29…の形状により、歯付きリンクプレート23…,24…と、駆動スプロケット14および被動スプロケット15…とが噛み合う際の衝撃が和らげられ、騒音および振動の低減を図ることができる。
再び図2において、ガイドプレート25は、駆動スプロケット14および被動スプロケット15…に臨む一辺をフラットにしてチェーン走行方向27に沿って長く延びるように形成されており、ガイドプレート25のチェーン走行方向27に沿う前後両端部には、前記歯付きリンクプレート23,24のピン孔28,28に対応してピン孔30,30が穿設される。而してピン孔30は、前記歯付きリンクプレート23,24のピン孔28よりも小径に形成されており、連結ピン26…の両端部はガイドプレート25のピン孔30…に圧入、固定される。
また駆動スプロケット14および被動スプロケット15…とは反対側でガイドプレート25には内方に凹む凹部31が設けられ、チェーン走行方向27に沿う両端縁から内方に窪む凹部32,32がガイドプレート25に設けられ、さらに両ピン孔30,30間でガイドプレート25には円形の開口部32が設けられる。このような凹部31,32,32および開口部33によりガイドプレート25の軽量化を図ることができる。
このようなサイレントチェーン16では、駆動スプロケット14および被動スプロケット15…との噛合時にはリンク列RLおよびガイド列RG間に引っ張り力が作用し、駆動スプロケット14および被動スプロケット15…との非噛合時においても駆動スプロケット14で引っ張られる側すなわちサイレントチェーン16の張り側ではリンク列RLおよびガイド列RG間に引っ張り力が作用し、さらにサイレントチェーンの緩み側ではテンショナリフタ19で押されるテンショナアーム18によって張力が付与される。すなわちリンク列RLおよびガイド列RG間には常に引っ張り力が作用しており、各歯付きリンクプレート23…,24…においては、その両端のピン孔28,28に挿入されている連結ピン26,26には相互に離隔する側の力が作用し、ピン孔28,28の相互に反対側の端部に連結ピン26,26が押しつけられることになる。
このような状態では、連結ピン26およびピン孔28の接触面に無給油となる部位が生じると、接触摩耗によるサイレントチェーン16の伸びが大きくなってしまう。本発明は、そのような伸びを抑えるべく、連結ピン26およびピン孔28の接触面の潤滑を良好に行うための構造を提供するものであり、以下、その潤滑構造について説明する。
図6において、歯付きリンクプレート23,24に設けられるピン孔28は、連結ピン26よりも大径の仮想円Cに沿うとともに一対のピン孔28,28にそれぞれ挿入されている連結ピン26,26が相互に最大限離隔した位置にある状態で連結ピン26を周方向両端部に接触させるようにした円弧部28aと、両ピン孔28,28の相互に反対側で前記仮想円Cから半径方向外方に凹むとともに円弧部28aの周方向両端部に接触した連結ピン26との間に潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間34を形成するようにして円弧部28aの周方向両端に連なる凹部28bとから成り、円弧部28aの両端は、ピン孔28…の内方側に膨らむ円弧状の連続面28c,28cを介して凹部28bの両端に連なる。
図7を併せて参照して、前記歯付きリンクプレート23,24の両面の少なくとも一方、この実施例では歯付きリンクプレート23,24の一面に、前記円弧部28aの周方向両端部に接触した連結ピン26の外周および前記円弧部28aの内周間に生じる隙間37に通じる溝35が設けられ、この実施例で、前記溝35は、両ピン孔28,28の中心から前記歯部29,29とは反対側にオフセットした部分で両ピン孔28,28間を結んで直線状に延びるように形成される。
次にこの第1実施例の作用について説明すると、チェーン走行方向27に沿う歯付きリンクプレート23…,24…の前後両端部に連結ピン26…を挿入せしめるピン孔28…がそれぞれ設けられるのであるが、ピン孔28は、連結ピン26よりも大径の仮想円Cに沿うとともに相互に最大限離隔した位置にある連結ピン26を周方向両端部に接触させるようにした円弧部28aと、両ピン孔28…の相互に反対側で仮想円Cから半径方向外方に凹むとともに円弧部28aの周方向両端部に接触した連結ピン26との間に潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間34を形成するようにして円弧部28aの周方向両端に連なる凹部28bとから成るものである。
したがって連結ピン26は、サイレントチェーン16に付与された張力によって相互に最大限離隔した位置にあっても該連結ピン26よりも大径の仮想円Cに沿う円弧部28aの周方向両端部に接触することになり、連結ピン26との間に潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間34を形成するようにして円弧部28aの両端に凹部28bの両端が連なるので、充分な量の潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間34を形成することができるとともに、連結ピン26を両側から挟むような力の発生を抑制して連結ピン26の円滑な回転を確保することが可能となる。しかも面圧分布を狭めることなく充分な量の潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間34を形成することが可能であり、過大な応力集中の発生を防止することができる。
而して連結ピン26および歯付きリンクプレート23…,24…の接触部への潤滑給油は、前記潤滑油貯留空間34と、ピン孔28における前記円弧部28aの周方向両端部に接触した連結ピン26の外周および前記円弧部28aの内周間に生じる隙間37との双方からなされるものであり、リンク列RLおよびガイド列GLの相対的な屈曲動作と、その屈曲状態からの復帰動作とに伴って、連結ピン26の表面のうち前記潤滑油貯留空間34および前記隙間37に留まっている潤滑油に晒されていた部位がピン孔28の内面に接触する位置に移動する状態と、連結ピン26の表面のうちピン孔28の内面に接触していた部位が前記潤滑油貯留空間34および前記隙間37に留まっている潤滑油に晒される位置に移動する状態とが繰り返される。すなわちリンク列RLおよびガイド列GLの相対的な屈曲動作および復帰動作によって、連結ピン26および歯付きリンクプレート23…,24…の接触部全体に満遍なく給油が行われることになる。
ところで、潤滑油貯留空間34の大きさ(具体的には、たとえば当該大きさを決める要因となる円弧部28aの中心角の大きさ)や、ピン孔28における前記円弧部28aの周方向両端部に接触した連結ピン26の外周および前記円弧部28aの内周間に生じる隙間37の大きさ(具体的には、たとえば当該大きさを決める要因となる連結ピン26および仮想円Cの直径)は、上記リンク列RLおよびガイド列GLの屈曲動作および復帰動作に伴って連結ピン26および歯付きリンクプレート23…,24…の接触部全体に給油が行われるように設定されればよい。
また円弧部28aの両端が連続面28c…を介して凹部28bの両端に連なるものであるので、潤滑油が掻きとられてしまうことはなく、凹部28bおよび円弧部28aの連設部への応力集中が生じることも回避することができる。すなわち凹部28bの両端が不連続部(尖鋭部)を介して円弧部28aの両端に連設されている場合には、ピン孔28内での連結ピン26の回転時に潤滑油が前記不連続部(尖鋭部)で掻きとられてしまう可能性があるのであるが、円弧部28aの両端が連続面28c…を介して凹部28bの両端に連なることにより、潤滑油の掻きとりが生じることを防止し、応力集中が生じることも回避することができるのである。
さらに歯付きリンクプレート23…,24…の両面の少なくとも一方に、前記円弧部28aの周方向両端部に接触した連結ピン26の外周および前記円弧部28aの内周間に生じる隙間37に通じる溝35が設けられているので、ジェット21から噴射された潤滑油が溝35に流入することで、歯付きリンクプレート23…,24…から流下してしまう潤滑油量を低減することができ、しかも溝35に流入した潤滑油は、走行作動するサイレントチェーン16に作用する遠心力によってピン孔28に導かれることになる。したがって歯付きリンクプレート23…,24…相互の隙間が殆どない状態でも、潤滑油をピン孔28に効果的に導くことができる。
しかもこの第1実施例において、前記溝35は、歯付きリンクプレート23…,24…の一面に、ピン孔28,28間を結ぶようにして設けられているので、溝35への潤滑油保持量を多くすることが可能となり、前記遠心力の作用によってピン孔28により効果的に潤滑油を導くことができ、さらに溝35を設けるべく歯付きリンクプレート23…,24…に施す加工も容易となる。
また前記溝35は、両ピン孔28,28の中心から前記歯部29,29とは反対側にオフセットした部分で両ピン孔28,28間を結んで直線状に延びるように形成されるものであり、歯付きリンクプレート23…,24…において両歯部29,29間の側縁から溝35までの距離を比較的大きく設定することで、歯付きリンクプレート23…,24…における前記両歯部29,29間の部位の強度低下を回避することができる。
ここで第1実施例でのサイレントチェーン16の伸び率を、クランクシャフト12の回転速度を8000rpmとし、張力を1823Nとし、1リットル/minで潤滑油を供給するようにしたテストで確認したところ、図8の実線で示すように駆動時間に応じて伸び率が変化した。これに対して潤滑油貯留空間34および溝35が設けられていない従来のサイレントチェーンを、同一条件下でテストしたときには、図8の破線で示すように伸び率が変化するものであり、実施例のサイレントチェーン16の伸び率は、200時間の駆動時間で従来のもののに比べて2倍以上改善されている。
ところで、従来のサイレントチェーンは、ガソリン系エンジンに使用されることが一般的であり、ディージゼル系エンジンでは、伸び率が大きくなりがちであることから用いられることはなく、ローラーチェーンやブッシュチェーンの採用が一般的であったが、上述のように本発明に従うサイレントチェーン16は、伸び率を小さく抑えることができるので、ディージゼル系エンジンのカムシャフト駆動チェーン、オイルポンプ駆動チェーンおよびバランサシャフト駆動チェーンとして利用することが可能となる。
図9および図10は本発明の第2実施例を示すものであり、図9は歯付きリンクプレートの側面図、図10は図9の10−10線断面図である。
歯付きリンクプレート23,24に設けられるピン孔28は、第1実施例と同様に、円弧部28aと、円弧部28aの周方向両端に連なる凹部28bとから成り、円弧部28aの両端が連続面28c,28cを介して凹部28bの両端に連なるのであるが、歯付きリンクプレート23,24の両面の少なくとも一方、この第2実施例では一面への両ピン孔28…の開口端の周縁部の少なくとも一部に、それらのピン孔28…の軸方向外方に向かうにつれて各ピン孔28…の中心からの距離が大となるように傾斜した傾斜面36…が形成されており、この第2実施例では、前記傾斜面36…は、ピン孔28…の円弧部28a…うち溝35の連設部を除く部分に傾斜面36…が形成される。
この第2実施例によれば、相互に重なった歯付きリンクプレート23,24相互間の隙間が殆どない状態でも、前記傾斜面36…によってピン孔28…に潤滑油をより効果的に導くことができる。
図11は本発明の第3実施例を示すものであり、歯付きリンクプレート23′…,24′…の一面に設けられる溝38が、両ピン孔28,28間を結ぶともに両歯部29,29間で外部に開放するように形成されていてもよい。
このような溝38の形状によれば、ジエット21(第1実施例の図1参照)から噴射された潤滑油をより効果的に溝38に導いて保持し、ピン孔28,28により効果的に潤滑油を給油することができる。
本発明のさらに他の実施例によれば、前記各実施例のピン孔28…とは異なる形状で歯付きリンクプレートに一対ずつ設けられるピン孔の相互に反対側の端部に、最大限離隔した位置にある連結ピン26…との間に潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間がそれぞれ形成され、歯付きリンクプレートの両面の少なくとも一方に、最大限離隔した位置にある連結ピン26に関して潤滑油貯留空間とは反対側で当該連結ピン26の外周およびピン孔の内周間に生じる隙間に通じる溝が設けられるようにしてもよく、このようにすれば、連結ピン26を両側から挟むような力の発生や、面圧集中の回避を狙った結果、潤滑油貯留空間が小さくなった場合でも、ピン孔内面への連結ピン26の接触部に潤滑油貯留空間からの潤滑油供給ならびに溝を介しての潤滑油供給がなされるので、連結ピン26のピン孔内での健全な回転を確保しつつ、ピン孔内面への連結ピン26の接触部に必要量の潤滑油を供給することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
第1実施例の内燃機関の調時伝動機構を示す縦断側面図である。 図1の2矢示部拡大図である。 図2の3矢視拡大図である。 図2の4−4線断面図である。 歯付きリンクプレートの側面図である。 図5の要部拡大図である。 図5の7−7線断面図である。 サイレントチェーンの時間経過に応じた伸び率の変化を示す図である。 第2実施例の歯付きリンクプレートの側面図である。 図9の10−10線断面図である。 第3実施例の歯付きリンクプレートの側面図である。
符号の説明
16・・・サイレントチェーン
23,23′,24,24′・・・歯付きリンクプレート
26・・・連結ピン
27・・・チェーン走行方向
28・・・ピン孔
28a・・・円弧部
28b・・・凹部
28c・・・連続面
34・・・潤滑油貯留空間
35・・・溝
36・・・傾斜面
C・・・仮想円

Claims (5)

  1. チェーン走行方向(27)に沿う前後両端部にピン孔(28)をそれぞれ有する複数枚の歯付きリンクプレート(23,24;23′,24′)が、相互に重合されつつ前記ピン孔(28)にそれぞれ挿入される連結ピン(26)で無端状に連結されて成るサイレントチェーンにおいて、前記ピン孔(28)が、前記連結ピン(26)よりも大径の仮想円(C)に沿うとともに相互に最大限離隔した位置にある前記連結ピン(26)を周方向両端部に接触させるようにした円弧部(28a)と、前記両ピン孔(28)の相互に反対側で前記仮想円(C)から半径方向外方に凹むとともに前記円弧部(28a)の周方向両端部に接触した前記連結ピン(26)との間に潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間(34)を形成するようにして前記円弧部(28a)の周方向両端に連なる凹部(28b)とから成ることを特徴とするサイレントチェーンにおける潤滑構造。
  2. 前記円弧部(28a)の両端が連続面(28c)を介して前記凹部(28b)の両端に連なることを特徴とする請求項1記載のサイレントチェーンにおける潤滑構造。
  3. 前記歯付きリンクプレート(23,24;23′,24′)の両面の少なくとも一方に、前記円弧部(28a)の周方向両端部に接触した前記連結ピン(26)の外周および前記円弧部(26)の内周間に生じる隙間(37)に通じる溝(35,38)が設けられることを特徴とする請求項1または2記載のサイレントチェーンにおける潤滑構造。
  4. 前記歯付きリンクプレート(23,24)の両面の少なくとも一方への前記両ピン孔(28)の開口端の周縁部の少なくとも一部に、それらのピン孔(28)の軸方向外方に向かうにつれて各ピン孔(28)の中心からの距離が大となるように傾斜した傾斜面(36)が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のサイレントチェーンにおける潤滑構造。
  5. チェーン走行方向(27)に沿う前後両端部にピン孔をそれぞれ有する複数枚の歯付きリンクプレートが、相互に重合されつつ前記ピン孔にそれぞれ挿入される連結ピン(26)で無端状に連結されて成るサイレントチェーンにおいて、前記両ピン孔の相互に反対側の端部に、最大限離隔した位置にある前記連結ピン(26)との間に潤滑油を貯留する潤滑油貯留空間がそれぞれ形成され、前記歯付きリンクプレートの両面の少なくとも一方に、最大限離隔した位置にある前記連結ピン(26)に関して前記潤滑油貯留空間とは反対側で当該連結ピン(26)の外周およびピン孔の内周間に生じる隙間に通じる溝が設けられることを特徴とするサイレントチェーンにおける潤滑構造。
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