JP2006328943A - 鉄道車両用引戸装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】引戸12の下レール18が、戸袋内から引戸12の全開状態における戸先端部位置12aまでの間Lにのみ、床面から突出するように設置されている。よって、引戸12の全開状態において、引戸開口部の床面からの突起物を無くすことができる。また、引戸12の下縁に沿って設けられたスリ板20は、引戸12の全閉状態において下レール18に掛る部分20Aのみ、他の部分20Bよりも軟質の材料が用いられている。よって、引戸12が全閉状態において振動しても、スリ板20の軟質の材料が用いられた部分20Aのみ下レール18に当たることとなり、引戸12のガタツキ音を低減することができる。
【選択図】図4
Description
また、車内の快適性向上の観点から、引戸下部に発生するガタツキ音が問題視されるケースが増えている。
この構成によれば、引戸の開閉時には、コ字形断面を有する引戸のスリ板が、矩形断面を有する下レールの両側面に摺動案内される。また、引戸の全閉状態においては、スリ板の、少なくとも下レールの両側面に対向する部分に、他の部分よりも軟質の材料が用いられ、かつ、他の部分よりも前記下レールの側面との隙間が広くなるように形成されていることで、引戸が全閉状態において振動しても、スリ板の軟質の材料が用いられた部分のみが下レールに当たることとなり、引戸のガタツキ音を低減することができる。
さらに、前記スリ板の、他の部分よりも幅広かつ軟質に構成されている部分に、植毛が施されていることとすれば、植毛部分が下レールに当接することで、スリ板と下レールとが当接する際の衝撃を効果的に低減し、引戸のガタツキ音を、より効果的に低減することが可能となる。
そして、引戸の下縁に沿って、下レールを覆うコ字形の断面形状をなし下レールに摺動案内される弾性変形可能なスリ板の、引戸の全閉状態において下レールに掛る部分は、下レールの両側面との対向面が、下レールの両側面と接触するように構成されていることから、スリ板と下レールとは、引戸の全開状態において隙間無く当接し、スリ板と下レールとの衝突に起因する引戸のガタツキ音は発生し得ない。しかも、スリ板の、引戸の全閉状態において下レールに掛る部分は、引戸の表面パネルに対し隙間を空けて支持されていることから、スリ板はコ字形の断面を広げる方向に弾性変形することが可能となり、スリ板の偏磨耗や、引戸の開閉時の引っ掛り等の不具合を回避することができる。
この構成によれば、スリ板と引戸の表面パネルとの隙間に配置された緩衝材によって、スリ板のコ字形の断面を広げる方向への弾性変形を阻害することなく、当該隙間へのゴミ等の侵入を防ぐことが可能となる。なお、緩衝材としては、スポンジ、ゴム等を用いることが可能である。
図1から図4には、本発明の第1の実施の形態に係る引戸装置10を、鉄道車両の側引戸に採用した例を示している。引戸装置10は、引戸12の上・下にレールが設けられ、引戸12の開閉動作の全行程に渡り、上レール14によって引戸12が、確実にガイドされるものである。
上レール14は、図2の例ではG字形の断面形状を有しており、かつ、引戸12の開閉動作の全行程にわたり、引戸12の上縁に固定された戸車16がこの上レール14を走行することができるだけの長さを有している。
また、引戸12の下縁に沿って、下レール18に摺動案内されるスリ板20が設けられている。スリ板20は、下レール18を覆うコ字形の断面形状をなしており、耐磨耗性を考慮して、例えばナイロン樹脂等、硬質の樹脂により構成されており、若干の弾性変形が可能となっている。しかしながら、スリ板20の一部、具体的には、引戸12の全閉状態(図1に実線で示す)において、下レールに掛る部分20A(図3(a)参照)は、他の部分20B(図3(b)参照)よりも軟質の材料、例えばゴム等、高弾性の材料が用いられている。さらに、スリ板20の、引戸の全閉状態において下レールに掛る部分20Aには、植毛22が施されている。植毛22は、不織布等によって形成されている。図3において、符号26で示される部分は、スリ板20と引戸12の表面パネル28との間を塞ぐ押さえ金である。この押さえ金26は、スリ板20を引戸12に固定すると共に、引戸12の下縁を補強するものである。
なお、必要に応じ、下レール18およびスリ板20の断面形状を他の形状(例えば、半円形や台形等。)に変更することも可能である。また、スリ板20の下レールに掛る部分20Aを、下レール18の両側面に対向する、左右別々の帯状の部材とすることも可能である。
また、引戸の全閉状態において下レールに掛る部分20Aと、他の部分20Bとの段差を緩やかにつなぐように、他の部分20Bの、引戸の全閉状態において下レールに掛る部分20Aとの境界近傍に、テーパーを設けることが望ましい。そして、このテーパーにより、引戸12の開閉時におけるスリ板20と下レール18との引っ掛かりを防止することができる。また、植毛22の長さは必要に応じてその長さを調整することとし、場合によっては植毛22を省略することも可能である。
さらに、本発明の実施の形態に係る引戸装置10は、片引戸のみならず両引戸にも採用可能である。また、図示の例では、引戸12の上部に電動式のドアエンジン24が設けられているが、他の形式のドアエンジンが用いられた引戸装置にも、当然に採用可能である。
また、本発明の実施の形態に係る下レール18およびスリ板20は、鉄道車両の新造時に、引戸装置10に装着されるに留まらず、既存の鉄道車両の引戸装置にも、簡単に装着することが可能である。よって、新造車両のみならず既存の鉄道車両についても、ドア開口部の床面から引戸の下レールを無くし、若しくは、必要最小限の範囲にのみ設置することによって、床面のフラット化を促進しつつ、引戸のガタツキ音を低減し、静かで快適な車内環境を実現することが可能となる。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る引戸装置30の、下レール18およびスリ板20の拡大図であり、図3と同様に、(a)は、図1のA−A線に相当する部分における引戸12の断面図であり、(b)は図1のB−B線に相当する部分における引戸12の断面図である。
しかも、スリ板20の、引戸12の全閉状態において下レールに掛る部分20Cは、引戸12の表面パネル28に対し隙間Sを空けて支持されていることから、スリ板20Cはコ字形の断面を広げる方向に弾性変形することが可能となり、スリ板20Cの偏磨耗や、引戸12の開閉時の引っ掛り等の不具合を回避することができる。
その他、本発明の第1の実施の形態と同様の作用効果については、説明を省略する。
すなわち、引戸12の上・下にレール12、14が設けられ、開閉動作の全行程に渡り、上レール14によって引戸12がガイドされる鉄道車両用引戸装置であって、下レール12は矩形の断面形状をなし、戸袋内から引戸12の全開状態における戸先端部位置12aまでの間、若しくは引戸12の全閉状態における戸先端部位置12aから戸袋へと向う所定範囲の、少なくとも一方の場所において、床面FLから突出するように設置され、引戸12の下縁に沿って、下レール18を覆うコ字形の断面形状をなし下レール18に摺動案内される弾性変形可能なスリ板20が設けられ、スリ板20の、引戸12の全閉状態において下レール18に掛る部分20A、20Cに、下レール12との衝突により生ずる引戸12のガタツキ音を低減するガタツキ音防止手段(ゴム等の軟質材料からなるスリ板20A、植毛22、下レール18と接触する肉厚のスリ板20C)が設けられていることを特長とするものである。
Claims (8)
- 引戸の上・下にレールが設けられ、開閉動作の全行程に渡り、上レールによって引戸がガイドされる鉄道車両用引戸装置であって、
下レールは、戸袋内から前記引戸の全開状態における戸先端部位置までの間、若しくは前記引戸の全閉状態における戸先端部位置から戸袋へと向う所定範囲の、少なくとも一方の場所において、床面から突出するように設置され、
前記引戸の下縁に沿って、前記下レールに摺動案内されるスリ板が設けられ、該スリ板の、前記引戸の全閉状態において前記下レールに掛る部分に、他の部分よりも軟質の材料が用いられ、かつ、他の部分よりも前記下レールとの隙間が広くなるように形成されていることを特徴とする鉄道車両用引戸装置。 - 前記下レールは矩形の断面形状をなし、
前記スリ板は前記下レールを覆うコ字形の断面形状をなし、前記引戸の全閉状態において前記下レールに掛る部分の、少なくとも前記下レールの両側面と対向する部分に、他の部分よりも軟質の材料が用いられ、かつ、他の部分よりも前記下レールの側面との隙間が広くなるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両用引戸装置。 - 前記スリ板の、前記引戸の全閉状態において前記下レールに掛る部分は、ゴムにより構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の鉄道車両用引戸装置。
- 前記スリ板の、前記引戸の全閉状態において前記下レールに掛る部分に、植毛が施されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の鉄道車両用引戸装置。
- 引戸の上・下にレールが設けられ、開閉動作の全行程に渡り、上レールによって引戸がガイドされる鉄道車両用引戸装置であって、
下レールは矩形の断面形状をなし、戸袋内から前記引戸の全開状態における戸先端部位置までの間、若しくは前記引戸の全閉状態における戸先端部位置から戸袋へと向う所定範囲の、少なくとも一方の場所において、床面から突出するように設置され、
前記引戸の下縁に沿って、前記下レールを覆うコ字形の断面形状をなし前記下レールに摺動案内される弾性変形可能なスリ板が設けられ、該スリ板の、前記引戸の全閉状態において前記下レールに掛る部分が、引戸の表面パネルに対し隙間を空けて支持され、なおかつ、前記下レールの両側面との対向面が、前記下レールの両側面と接触するように構成されていることを特徴とする鉄道車両用引戸装置。 - 前記スリ板の、前記引戸の全閉状態において前記下レールに掛る部分に空けられた、前記スリ板と前記引戸の表面パネルとの隙間に、緩衝材が配置されていることを特徴とする請求項5記載の鉄道車両用引戸装置。
- 前記引戸の全閉状態において前記下レールに掛る部分を除き、前記スリ板と前記引戸の表面パネルとの間を塞ぐ押さえ金が設けられ、
前記引戸の全閉状態において前記下レールに掛る部分は、前記引戸の表面パネル裏側に、前記押さえ金よりも薄い帯板が固定されていることを特徴とする請求項5又は6記載の鉄道車両用引戸装置。 - 引戸の上・下にレールが設けられ、開閉動作の全行程に渡り、上レールによって引戸がガイドされる鉄道車両用引戸装置であって、
下レールは、戸袋内から前記引戸の全開状態における戸先端部位置までの間、若しくは前記引戸の全閉状態における戸先端部位置から戸袋へと向う所定範囲の、少なくとも一方の場所において、床面から突出するように設置され、
前記引戸の下縁に沿って、前記下レールに摺動案内されるスリ板が設けられ、該スリ板の、前記引戸の全閉状態において前記下レールに掛る部分に、前記下レールとの衝突により生ずる引戸のガタツキ音を低減するガタツキ音防止手段が設けられていることを特長とする鉄道車両用引戸装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012153212A (ja) * | 2011-01-25 | 2012-08-16 | Tokyu Car Corp | 引戸 |
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