JP2006328575A - 衣服 - Google Patents

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卓充 谷口
Hirokuni Ogoshi
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Abstract

【課題】
1番上の掛止具を外した状態で着用しても、前開きの上端部分が大きく開くことがなく、従来の衣服と変わらない見栄えの良い衣服を提供する。
【解決手段】
前開き部分を開閉することにより着脱する衣服において、該前開き部分の上端部に、該前開き部分に配置される芯材とは別に補強材が配置されてなることを特徴とする衣服であり、補強材は、前開き部分の左右の上端部の少なくとも片側に配置されており、補強材としては、プラスチックフィルムが好ましく用いられる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、掛止具を用いて前開き部分を開閉することにより着脱する衣服に関するものである。
衣服として一般的に提供されているものの多くは、そのデザイン、スタイルおよび易着脱性の観点から、前開き部分を開閉することにより着脱するタイプの衣服が多い。通常、前開き部分には、ボタンとボタンホールなどからなる掛止具が付設されており、衣服はこれらを掛け止めて着用するものであるが、着用時の窮屈感を緩和するために一部の掛止具を外して着用することも多い。
例えば、ドレスシャツであれば、前開き部分のボタンをすべて掛け止めネクタイをしている状態が正式な着用方法であるが、首まわりの窮屈感を緩和するためにネクタイを緩めた状態やネクタイを外した状態で前開き部分の一番上のボタンを外して着用することが多い。ところが、この状態では、ボタンを外した部分が大きく開いて、下着が見えやすくなり、左右に開いた衿がだらしない印象を与えるという不具合があった。
このような不具合を改善するため、第1ボタンと第2ボタンとの間に面ファスナーを付設して、第1ボタンを外した状態でも、面ファスナーを掛け止めることにより前開きが大きく開くことを防ぐ衣服が提案されている(特許文献1〜特許文献3参照。)。しかしながら、これらの方法では、面ファスナーを付設するための縫い目などが目立つので、それが付設されていると簡単にわかり見栄えが悪く、また、第2ボタンまでを外したときに面ファスナーが露出するため、更に見栄えが悪くなるという課題があった。
また別に、第1ボタンと第2ボタンとの間隔を短くすることにより、前開き部分が大きく開くことを防ぐ衣服が提案されている(特許文献4参照。)。しかしながら、この衣服では、十分な効果を得るために、第1ボタンと第2ボタンの間隔を通常の1/3程度に短くする必要があり、衿もとに多数のボタンが集中して見えるので、見栄えが悪くなるものであった。
登録実用新案公報第3074735号公報 公開実用新案公報昭55−87302号公報 公開実用新案公報昭55−164305号公報 公開特許公報2002−4101号公報
そこで本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決することにあり、第1ボタンを外した状態で着用しても前開き部分の上端部が大きく開くことがなく、かつ従来の衣服と変わりなく見栄えの良い衣服を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため、以下の構成を採用するものである。すなわち、本発明の衣服は、前開き部分を開閉することにより着脱する衣服において、該前開き部分の上端部に、該前開き部分に配置される芯材とは別に補強材が配置されてなることを特徴とする衣服である。
また、本発明の衣服の好ましい態様によれば、前記の前開き部分の左右の上端部の少なくとも片側に補強材が配置されてなること、前記の前開き部分の左右の上端部の両方に補強材が配置されてなることが特徴である。
また、本発明の衣服の好ましい態様によれば、前記の前開き部分に複数の掛止具が設けられており、補強材は、前開き部分の上部から上から2番目の掛止具を含む部分まで配置されてなるものである。
また、本発明の衣服の好ましい態様によれば、前記の補強材の掛止具を取り付ける部分の周辺がくり抜かれており、また、前記の補強材がプラスチックフィルムからなるものである。
本発明によれば、前開きの上端部の第1ボタンなどの掛止具を外した状態で着用しても、前開きの上端部分が大きく開くことがなく、着用時に従来の衣服と変わらない見栄えの良い衣服が得られる。
以下、本発明の衣服について実施するための最良の形態を、図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に制限されるものではない。図1は、一般的な衣服の一態様を示した図であり、前開き部分1にボタンとボタンホール等の掛止具2が設けられている。図2は、本発明の衣服の前開き上端部分の一態様を示した概略正面図であり、図3は、その概略細部正面図である。
図2において、本発明の衣服は、図1に示すような掛止具2を用いて前開き部分1を開閉することにより着脱する衣服であって、前開き部分1の上端部に、該前開き部分1に配置される芯材(図示せず)とは別に補強材3が配置されてなることを特徴とする衣服である。このようにすることにより、前開き部分1のボタン等の一番上の掛止具4を外した状態で衣服を着用したときでも、前開きの上端部が補強材3によって支えられ、前開きの上端部が大きく開くことを防ぐことができる。
本発明の衣服においては、前開き部分1の左右の上端部の少なくとも片側に補強材3が配置されており、より好ましくは前開き部分1の上端部の左右両方側に補強材3が配置されている。また、本発明の好ましい態様においては、前開き部分1に複数の掛止具2が設けられており、補強材3は、前開き部分1の上端部から上から2番目の掛止具5を含む部分まで配置されてなるものである。
本発明においては、前開き部分1の開きを止めるために一般的に提供されている掛止具を用いることができる。本発明で用いられる掛止具としては、例えば、ボタンとボタンホールの一対からなる掛止具の他、例えば、金属や樹脂でできたスナップボタンやフック類、あるいは面ファスナーやスライドファスナーのような掛止具も適用するとこができる。
ボタンとボタンホールの一対からなる掛止具やスナップボタンやフック類のように、前開き部分1に複数の掛止具2が設けられる場合は、前記のように、補強材3は、前開き部分1の上部から上から2番目の掛止具5を含む部分まで配置されることが好ましい。また、面ファスナーやスライドファスナーのような掛止具の場合も、補強材3は前開き部分1の上部から、ボタンの場合の上から2番目の掛止具を含む部分までに配置することが好ましい。
面ファスナーやスライドファスナーのような掛止具の場合、あるいは掛止具がない前開き部分1の場合、補強材3は前開き部分1の上部から設置した範囲が長ければ長いほど、その効果が得られる範囲が広くなるが、実用上、4から15cmの範囲、より好ましくは6から10cmの範囲に設置することが好ましい。
また、前開き部分1を有する衣服としては、図1に示すドレスシャツなどのように、上から下まで完全に開くタイプの衣服でも良いし、ポロシャツなどのように上から途中まで開くタイプの衣服でも、本発明の効果が得られる。また、本発明では、衣服の素材は制限されない。
また、補強材3は、ボタン等の掛止具の場合、前開き部分1の上部、図2では、1番目の掛止具4付近から、上から2番目の掛止具5を含む部分までの範囲内に設置することが好ましい。詳しくは、前開き部分1の上端付近にある1番上の掛止具のボタンを外したとき、前開き部分1の開きを止める働きは、上から2番目の掛止具5のボタンに移る。
本発明の衣服では、1番上のボタンを外したときの前開き部分1の開きを補強材3の支えによって防ぐものであるが、その補強材3を支えるものは、前開きを止める2番目の掛止具5のボタンとなるため、補強材3は、前開き部分の上端付近から2番目の掛止具5を含む部分までの範囲内に設置することが好ましい。より好ましくは、2番目の掛止具の付設位置を完全に覆う位置にまで補強材3を設置すると良く、さらに好ましくは、2番目と3番目の掛止具の間を覆う位置にまで補強材3を設置すると良い。このようにすることにより、2番目の掛止具が補強材3を支える効果がより強くなり、補強材3が前開きの上端部を支える効果がより強くなる。
本発明では、前開き部分の全体に配置される芯材とは別に補強材を配置することが好ましい。詳しくは、通常、前開き部分には、風合いや保型性の向上のために芯地などの芯材が配置されるが、一般的にこれらの芯材は、本発明の目的とする補強の性能が十分でなく、本発明の効果を十分に得ることが難しい。逆に、本発明の効果を得るために、これらの芯材に補強の性能の大きい芯材を配置すると、前開き部分全体の風合いが硬くなりすぎ、掛止具の着脱も困難になる傾向がある。そのため、前開き部分の全体に配置される芯材とは別に補強材を配置する必要がある。
このような補強材として、織編物、不織布の生地や芯地を配置しても良いし、保型性の大きいシート状の部材を配置しても良い。好ましくは、厚手の織物を基布とした接着芯地を補強材とし、前開き部分の全体に配置する芯地に接着させて補強すると良い。より好ましくは、芯地と異なる素材の補強材として、プラスチックフィルムを用いると、前開きの上端部を支える効果が大きい。プラスチックフィルムは、その厚さが増すことで補強の効果が大きくなるが、厚くしすぎると掛止具の着脱が困難になるため、実用上50〜150マイクロメートルの厚さのものが良く、より好ましくは80〜120マイクロメートルの厚さのプラスチックフィルムが適当である。
プラスチックフィルムとしては、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリアミドなど一般的に提供されている高分子化合物系の素材からなるフィルムが挙げられ、本発明では、耐洗濯性、加工のし易さや入手のし易さなどから、ポリエステルフィルムを使用することが好適である。
また更に、本発明では、補強材は、掛止具を取り付ける部分の周辺がくり抜かれていることが好ましい。詳しくは、補強材を前開きの上部から上から2番目の掛止具の周辺まで配置すると、その部分が他の前開きの部分と比較して硬くなるため、その部分だけ掛止具の着脱が困難になる。そのため、補強材の掛止具を取り付ける部分の周辺をくり抜くことで硬さを緩和し、掛止具の着脱性を改善するものである。例えば、通常のボタンの場合、ボタン付け位置の周辺およびボタンホール位置の周辺をくり抜く。くり抜きの形状としては、掛止具の取り付け位置を通るように切り込みを入れても良いし、掛止具の取り付け位置を中心として完全に穴を空けても良い。好ましくは、図2に示すように、掛止具の取り付け位置を中心とし、タテ方向に長い楕円形状で、ボタン付け位置とボタンホールの縫い目を完全に覆う程度の大きさの穴を形成すると良い。より好ましくは、図3に示すように、ボタンホールの縫い目を避ける程度の幅で補強材の裾まで溝を設けることができる。このようにすることにより、前開き部分とボタンホールを縫製した後で、前開き部分の上端の開口部分から補強材を挿入することができ、簡単に補強材を配置することができる。このとき、補強材の上端部分は、幅を広くするように突起を設けておくと、前開きの上端の開口部分から挿入したとき挿入する量を定め、その後で衿付け縫製する際にも補強材を正しい位置で安定させることができる。
(実施例1)
本発明の実施例として、ドレスシャツを作製した。ドレスシャツの素材には、ポリエステル繊維50%綿50%のブロード生地を使用し、一般的なレギュラーカラーのドレスシャツとした。図4は、そのドレスシャツの前開き部分の上端部分を示した概略正面図である。図4において、前開き(前立て)の幅Dは、38ミリメートルであり、前立てのステッチ幅Eは5ミリメートルであり、前立ての上端位置Bから2番目の掛止具(ボタン)の位置Cまで60ミリメートルであった。前開き(前立て)部分の芯材として、近泉合繊社製の#MB22の接着芯地を使用した。補強材として、厚さ100マイクロメートルのポリエステルフィルム(東レ社製”ルミラー”(登録商標))を使用し、図3に示す形状で、幅27ミリメートル、長さ90ミリメートルの大きさに加工し、更にボタンホールの縫い目を完全に避けるように幅5ミリメートルのくり抜きを補強材の下端まで設け、前立て縫製およびボタンホール縫製の後で、前立て上端の開口部から補強材を挿入して設置した。一方、相対する下前立て側にも前立て側に設置した補強材3と同じ大きさの補強材を配置した。得られたドレスシャツを、第1ボタンを外した状態で着用し、次の3項目で評価した。結果を表1に示す。
(1)タイスペースの間隔
図4に示すように、前開き部分の前開き上端位置Aの左右の間隔を測定した。
(2)下着の見え方
被験者と3m離れた位置で向かい合わせで対峙し、前開き部分の上端から下着が見えるかどうかを評価した。
(3)見栄え
前開き部分の上端部分の開き方など、シャツ全体を見て視覚的な特徴を評価した。
(実施例2)
スナップボタンのポロシャツを作製した。ポロシャツの素材には、ポリエステル繊維50%綿50%の鹿の子生地を使用し、前開き部分の長さが上部から15cmで、スナップボタン2つを使用する一般的なポロシャツとした。図5は、そのポロシャツの前開き部分の上端部分を示した概略正面図である。図5において、前開き(前立て)の幅は、38ミリメートルであり、前立ての上端位置Bから2番目の掛止具(スナップボタン)の位置Cまで80ミリメートルであった。前開き(前立て)部分の芯材として、近泉合繊社製の#MB22の接着芯地を使用した。補強材として、厚さ100マイクロメートルのポリエステルフィルム(東レ社製”ルミラー”(登録商標))を使用し、図5に示す形状で、幅27ミリメートル、長さ90ミリメートルの大きさに加工し、更にスナップボタンを完全に避けるように幅10ミリメートルのくり抜きを補強材の下端まで設け、前立て縫製およびボタンホール縫製の後で、前立て上端の開口部から補強材を挿入して設置した。一方、相対する下前立て側にも前立て側に設置した補強材3と同じ大きさの補強材を配置した。得られたポロシャツを、第1ボタンを外した状態で着用し、実施例1と同じ項目で評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
第1ボタンと第2ボタンの間に面ファスナーを付設したドレスシャツを作製した。使用した素材や仕様は、補強材を用いないこと以外は、実施例1と同じとした。面ファスナーの付設については、特許文献1を参考にして再現した。得られたドレスシャツを実施例1と同じ状態で着用評価した。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
第1ボタンと第2ボタンの間隔を短くしたドレスシャツを作製した。使用した素材や仕様は、補強材を用いないこと以外は実施例1と同じとした。第1ボタンと第2ボタンの間隔については、特許文献4を参考にし、前立て上端から第2ボタンまでの間隔を15ミリメートルとした。得られたドレスシャツを実施例1と同じ状態で着用評価した。得られた結果を表1に示す。
(比較例3)
通常のドレスシャツを作製した。使用した素材や仕様は、補強材を用いないこと以外は実施例1と同じとした。得られたドレスシャツを実施例1と同じ状態で着用評価した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2006328575
表1から明らかなように、本発明の実施例1のドレスシャツは、比較例1〜3のドレスシャツに比べて、第1ボタンを外した状態で着用しても前開き部分の上端の開きが少なく、かつ通常のドレスシャツと変わらず見栄えの良いものであった。
また、スナップボタンを使用した実施例2のポロシャツにおいても、実施例1と同様の効果が得られた。
本発明の衣服は、第1ボタンを外した状態で着用しても、前開きの上端部分が大きく開くことがなく、衣服を通常着衣している様態と変わらない見栄えの良い衣服が得られる。
図1は、一般的な衣服の一態様を示した概略正面図である。 図2は、本発明の衣服の前開き上端部分の一態様を示した概略正面図である。 図3は、本発明の衣服の前開き上端部分の一態様を示した概略細部正面図である。 図4は、本発明の実施例1の前開き上端部分を示した概略正面図である。 図5は、本発明の実施例2の前開き上端部分を示した概略正面図である。
符号の説明
1 :前開き部分
2 :掛止具
3 :補強材
4 :1番上の掛止具(第1ボタン)
5 :2番目の掛止具(第2ボタン)
A :前開きの上端位置
B :前立ての上端位置
C :上から2番目の掛止具の位置
D :前立ての幅
E :前立てのステッチの幅

Claims (7)

  1. 前開き部分を開閉することにより着脱する衣服において、該前開き部分の上端部に、該前開き部分に配置される芯材とは別に補強材が配置されてなることを特徴とする衣服。
  2. 前開き部分の左右の上端部の少なくとも片側に補強材が配置されてなることを特徴とする請求項1記載の衣服。
  3. 前開き部分の左右の上端部の両方に補強材が配置されてなることを特徴とする請求項1記載の衣服。
  4. 前開き部分に複数の掛止具が設けられてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の衣服。
  5. 補強材が、前開き部分の上端部から上から2番目の掛止具を含む部分まで配置されてなることを特徴とする請求項4記載の衣服。
  6. 補強材の掛止具を取り付ける部分の周辺がくり抜かれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣服。
    に記載の衣服。
  7. 補強材がプラスチックフィルムからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の衣服。
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