JP2006327196A - ガスバリヤー性包装用板紙 - Google Patents

Abstract

【課題】ガスバリヤー特性を有する、コスト的に有利で、ピンホールを低減する板紙構造物を提供する。
【解決手段】板紙１２に適用される層１０，１４はポリオレフィンであり、製品に接触する層２２はポリオレフィンである。ポリオレフィンは、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレン、又は、低密度ポリエチレンと直鎖低密度ポリエチレン或いはメタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレンとの混合物であってよい。ポリオレフィン層の一方は１８−２６ｇ／ｍ^２の重量を有し、ポリオレフィン層の他方はその層が製品に接触する層であれば１２−１６ｇ／ｍ^２の重量を有し、板紙に接触する層であれば５−１０ｇ／ｍ^２の重量を有する。
【選択図】図１

Description

本発明の分野は包装用板紙（packaging board：パッケージングボード）である。より詳細には、カートン（carton）やカップ（cup）へと成型し得る包装用板紙であって、ガスバリヤー性を有する包装用板紙である。

板紙による包装においてガスバリヤー性が必要なことが広く知られている。板紙を通過するガスの移動を抑制するための多くの解決策がある。ガスの移動の量及び速度は、バリヤー層または複数のバリヤー層の種類によって決まる。板紙上に、ガスバリヤー層をラミネート、押出或いは共押出したりして、板紙にガスバリヤー性を付与するものである。

バリヤー性材料（障壁材料）を選択するにあたっては他の要因も存在する。コストは１つの要因であり、使用するバリヤー性材料の種類及びコストの点、そしてまた、必要なバリヤー性を得るために必要な量の点においてもそうである。他の重要な要因は、カートンの耐久性、ピンホール、及びプラスチック炭化物（char：焦げ）である。押出機のダイリップにナイロンが直接接触すると、炭化物（熱分解したナイロン）が生じてしまうが、板紙の汚染を防ぐためには、この炭化物を除去しなければならない。炭化物を除去するには、押出機を停止しなければならない。必要となるバリヤー性材料の量は、マシン方向及び横断方向のいずれにおけるバリヤー層の均一性にも依存する。均一性が低いと、厚い部分や薄い部分が生じてしまい、ガスバリヤー性が変化してしまう。また、材料の種類によって、材料を押し出すために必要な力の大きさが決まり、それゆえ、これは包装用板紙トータルでのコストにおける１つの要因となる。

他の要因は、板紙への材料の接着性である。材料の中には、他の材料よりも接着性が優れたものがある。中には、ナイロンのように、板紙への接着性を得るために板紙表面の特別な処理が必要な材料もある。また、これは、コストにも影響する。

また、ピンホールの問題も存在する。ピンホールは、プラスチックフィルム中の小さな穴である。ピンホールにより、容器中に入れられた液体が板紙と接触し、液体が板紙に浸透してしまう。湿った板紙は極めて弱く、耐久性が低下し、保存性も低下する。ピンホールは、シール操作においてプラスチックフィルムが加熱された際に生じる。熱により板紙中に蒸気が生じ、その蒸気によりプラスチック構造中に泡が生じるのである。いくつかの泡が破裂し、ピンホールを形成する。低密度ポリエチレン又は直鎖低密度ポリエチレン又は他のポリオレフィンを泡のある部分に流し込み、ピンホールをシールすることによって、ピンホールの数を大きく減らすことができる。

押出又は共押出は、ラミネーションに比べて高速で低コストなプロセスである。ラミネートフィルムのコストとそれに関連する取扱いは、共押出によっても回避される。

本発明は、コスト的に有利で、ガスバリヤー性を提供し、ピンホールを低減するガスバリヤー構造物に関する。

図１は、本発明の板紙の断面図である。

板紙１２は、第１面と、第１面と反対側の第２面とを有する。この板紙１２は２００−５００ｇ／ｍ^２の重量を有し得る。

ポリオレフィン層１０は、板紙１２の外側表面又は第２の表面に適用される。これは、板紙に特別な処理をしなくても良好な接着性を与える。また、これは良好な印刷特性を与える。層１０は、通常、低密度ポリエチレンである。高いカートンの耐久性が必要な場合には、直鎖低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）、メタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレン（ｍＬＬＤＰＥ）、又は、低密度ポリエチレンと直鎖低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）或いはメタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレン（ｍＬＬＤＰＥ）との混合物を使用しうる。これらの樹脂は、低密度ポリエチレン樹脂よりも強靱である。層１０は、１平方メートルあたり１５−２５グラム（ｇ／ｍ^２）の範囲の量で適用される。

ポリオレフィン層１４は、板紙１２の内側表面又は第１の表面に直接適用される。ポリオレフィン層１０は、第１面と、第２面と、第１面と反対側の第２面とを有する。第１面は、板紙の第１面に直接適用される。このため、特別な処理をしなくても板紙に対する接着性は良好である。また、これは、押出又は共押出プロセスにおいて、ナイロンがダイリップへ曝されることを抑制する。ダイリップへの接触は、炭化物を生じさせたり、不稼働時間につながる。ポリオレフィン層１４は、通常、低密度ポリエチレンである。高いカートンの耐久性が必要な場合には、直鎖低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレン、又は、低密度ポリエチレンと直鎖低密度ポリエチレン或いはメタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレンとの混合物を使用し得る。これらの樹脂は、低密度ポリエチレン樹脂よりも強靱である。これはまた、押出又は共押出プロセスにおいて、ナイロンが酸素へ曝されることを最小限にする。直鎖低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレン、又は、低密度ポリエチレンと直鎖低密度ポリエチレン或いはメタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレンとの混合物は、耐久性を提供する。ポリエチレン層の量は、以下に説明するように、１平方メートルあたり５−２５グラムであってよい。

第１の結合層１６は、ポリオレフィン層１４に直接適用される。第１結合層は、第１面と、第１面と反対側の第２面とを有する。結合層の第１面は、層１４の第２面に直接適用される。第１結合層は、任意の適当な接着性樹脂であってよい。典型的な接着性樹脂は、無水マレイン酸修飾ポリエチレン樹脂である。他の接着性の樹脂も使用することができる。結合用樹脂の通常の量は、１平方メートルあたり３−９グラムであろう。

ポリアミドバリヤー層１８は、第１結合層１６に直接適用される。このポリアミド層１８は、第１面と、第１面と反対側の第２面とを有する。ポリアミド層の第１面は、層１６の第２面に直接適用される。ポリアミドガスバリヤー層１８は、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン６／６６、ナイロン６／９、ナイロン６／１０、ナイロン１１、及びナイロン１２などの脂肪族、ＭＸＤ６などの芳香族ナイロン、脂肪族ナイロンと芳香族ナイロンとの混合物、または脂肪族ナイロンと芳香族ナイロンとのコポリマーであってよい。ポリアミドの量は、１平方メートルあたり５−１５グラムの範囲である。この量によって、ガスバリヤー性能が決まるであろう。

第２の結合層２０は、ポリアミドバリヤー層１８に直接適用される。第２結合層は、第１面と、第１面と反対側の第２面とを有する。第２結合層の第１面は、層１８の第２面に直接適用される。第２結合層は任意の適当な接着性樹脂であってよい。典型的な接着性樹脂は、無水マレイン酸修飾ポリエチレン樹脂である。他の接着性の樹脂も使用することができる。結合樹脂の通常の量は、１平方メートルあたり３−９グラムであろう。

内側のポリオレフィン層２２は、結合層２０に直接適用される。ポリオレフィン層２２は、第１面と、第２面と、第１面と反対側の第２面とを有する。第１面は、結合層２０の第２面に直接適用される。ポリオレフィン層２２は、通常、低密度ポリエチレンである。高い耐久性が要求される場合には、直鎖低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレン、又は、低密度ポリエチレンと直鎖低密度ポリエチレン或いはメタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレンとの混合物を使用しうる。これらの樹脂は、低密度ポリエチレンよりも強靭である。内側のポリオレフィン層は、押出又は共押出プロセスにおいて、ナイロンが酸素へ曝されることを最小限にする。ポリエチレンの量は、１平方メートルあたり１２−２５グラムであってよい。

ポリオレフィン層２２が１８ｇ／ｍ^２以上のポリオレフィンを含み、層１４が５ｇ／ｍ^２以上のポリオレフィンを含む場合、ピンホール特性は顕著に改善される。層２２は、１８−２６ｇ／ｍ^２の範囲であり、層１４は、５−１０ｇ／ｍ^２の範囲であろう。又、層１４が１８ｇ／ｍ^２以上のポリオレフィンを含み、層２２が１２ｇ／ｍ^２以上のポリオレフィンを含む場合、ピンホール特性は、コスト的に有効な方法で顕著に改善される。層１４は、１８−２６ｇ／ｍ^２の範囲であり、層２２は、１２−１６ｇ／ｍ^２の範囲であろう。層２２が１２ｇ／ｍ^２であると、カートンの成形プロセスにおいて適当なシール性が確保される。

例として図１を用いると、改善されたピンホール特性を有するバリヤー性の被覆がされた板紙の１つの例は、板紙１２の外側表面に適用された、１６ｇ／ｍ^２の低密度ポリエチレンの外側層１０を有する板紙である。５ｇ／ｍ^２の低密度ポリエチレン層１４の第１面を板紙１２の第１面に直接適用する。５ｇ／ｍ^２のBynel（登録商標）第１結合層１６の第１面を、層１４の第２面に直接適用する。７ｇ／ｍ^２のナイロン層１８の第１面を、結合層１６の第２面に直接適用する。５ｇ／ｍ^２のBynel（登録商標）第２結合層２０の第１面を層１８の第２面に直接適用する。２４ｇ／ｍ^２の製品に接触する低密度ポリエチレン内側層２２の第１面は、結合層２０の第２面に直接適用される。

例として図１を再び用いると、改善されたピンホール特性を有するバリヤー性の被覆がされた板紙の第２の例は、板紙１２の外側表面に適用された、１６ｇ／ｍ^２の低密度ポリエチレンの外側層１０を有する板紙である。１８ｇ／ｍ^２の低密度ポリエチレン層１４の第１面を板紙１２の第１面に直接適用する。８ｇ／ｍ^２のBynel（登録商標）第１結合層１６の第１面を、層１４の第２面に直接適用する。７ｇ／ｍ^２のナイロン層１８の第１面を、層１６の第２面に直接適用する。５ｇ／ｍ^２のBynel（登録商標）第２結合層２０の第１面を層１８の第２面に直接適用する。１３ｇ／ｍ^２の製品に接触する直鎖低密度ポリエチレン内側層２２の第１面は、層２０の第２面に直接適用される。

本発明の好ましい態様を特定の用語を用いて記載してきたが、これらの記載はもっぱら説明を目的としている。使用した語は、記載ためのものであって、限定するためのものではない。添付の特許請求の範囲に記載した本発明の精神或いは範囲から逸脱することなく、当業者による変更やバリエーションがなされ得ることは言うまでもない。添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる好ましいものに関する記載に限定されるものではない。

図１は、本発明の板紙の断面図である。

Claims (7)

1. ガスバリヤー性を有する板紙であって、
   第１表面と該第１表面と反対側の第２表面とを有する板紙；
   第１表面と該第１表面と反対側の第２表面とを有する第１のポリオレフィン層、ここで、該第１のポリオレフィンの第１表面は、該板紙の該第２表面に直接適用されている；
   第１表面と該第１表面と反対側の第２表面とを有する第１の結合層、ここで、該第１の結合層の第１表面は、該第１のポリオレフィン層の該第２表面に直接適用されている；
   第１表面と該第１表面と反対側の第２表面とを有するナイロン層、ここで、該ナイロン層の第１表面は、該第１の結合層の該第２表面に直接適用されている；
   第１表面と該第１表面と反対側の第２表面とを有する第２の結合層、ここで、該第２の結合層の第１表面は、該ナイロン層の該第２表面に直接適用されている；
   第１表面と該第１表面と反対側の第２表面とを有する第２のポリオレフィン層、ここで、該第１表面は、該結合層の該第１表面に直接適用されている；
   を備え、
   該第１のポリオレフィン層および第２のポリオレフィン層が、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレン、又は、低密度ポリエチレンと直鎖低密度ポリエチレン或いはメタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレンとの混合物のうちの一から選択され、
   該第１のポリオレフィン層または第２のポリオレフィン層が、１８−２５ｇ／ｍ^２の範囲の第１の重量を有し、
   該第１のポリオレフィン層が該第１の重量を有するとき、該第２のポリオレフィン層が１２−１６ｇ／ｍ^２の範囲の重量を有し、
   該第２のポリオレフィン層が該第１の重量を有するとき、該第１のポリオレフィン層が５−１０ｇ／ｍ^２の範囲の重量を有する、上記板紙。
2. 前記第１ポリオレフィン層、前記第１結合層、前記脂肪族ナイロン層、前記第２結合層、及び前記第２ポリオレフィン層が、共押出される、請求項１に記載の板紙。
3. 前記ナイロンが脂肪族である、請求項１に記載の板紙。
4. 前記脂肪族ナイロンが、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン６／６６、ナイロン６／９、ナイロン６／１０、ナイロン１１、及びナイロン１２の少なくとも１つである、請求項４に記載の板紙。
5. 前記ナイロンが、芳香族ナイロンである、請求項１に記載の板紙。
6. 前記ナイロンが、芳香族ナイロンと脂肪族ナイロンとのコポリマーである、請求項１に記載の板紙。
7. 前記ナイロンが、芳香族ナイロンと脂肪族ナイロンとの混合物である、請求項１に記載の板紙。

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