JP2006326488A - ホウ素の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄等の多価金属が併存するホウ素含有排水から効率的に高純度のホウ素を回収する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも多価陽イオンを含むホウ素含有排水1を処理し、ホウ素を吸着したホウ素選択性樹脂2から、該吸着したホウ素を鉱酸溶液により溶離させて得た溶離液4を、遊離塩基形弱塩基性陰イオン交換樹脂層7に通液し、ホウ素溶液8と鉱酸溶液に分画してホウ素溶液を回収する方法において、該溶離液を該陰イオン交換樹脂層に対して上向流で通液することを特徴とするホウ素の回収方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ホウ素含有排水からのホウ素の回収方法に係わる。詳しくは、鉄、マグネシウム等の多価陽イオンを含むホウ素含有排水をホウ素選択性樹脂で処理し、ホウ素を吸着しているホウ素選択性樹脂から鉱酸溶液を用いて該吸着したホウ素を溶離させ、得られた溶離液から効率的にホウ素を高純度で回収する方法に関する。
ホウ素化合物は、メッキ、ガラス、医薬、染料、合成繊維製造工程等に広く利用されており、これらの製造工程からはホウ素含有排水が排出される。従来、これらの製造工程から排出されるホウ素含有排水はホウ素選択性樹脂によりホウ素を吸着処理し、回収していた。例えば、特開2001−104807号公報においては、ホウ素含有排水を、ホウ素選択性吸着樹脂によりホウ素を吸着させ、この吸着ホウ素を鉱酸溶液で溶離した溶離液をOH形弱塩基性陰イオン交換樹脂に通液して、ホウ素溶液と鉱酸溶液に分画し、高純度ホウ素を回収する方法が提案されている。
ところが、ホウ素含有排水中には、ホウ素以外にカルシウム、マグネシウム、鉄などの多価陽イオンも含まれていることが多く、ホウ素含有排水を処理する際これらの多価陽イオンの一部がホウ素選択性樹脂により捕捉されるので、鉱酸溶液によるホウ素溶離液中にこれらの陽イオンが持ち込まれてくる。そのため、ホウ素含有溶離液から、遊離塩基形(通称OH形)の弱塩基性陰イオン交換樹脂により鉱酸を除去する処理過程において、これらの多価陽イオンが水酸化物に変換され、該弱塩基性陰イオン交換樹脂内部および/または樹脂表面において析出し、該陰イオン交換樹脂層で偏流を起こし満足な処理が行えなかった。このため鉱酸除去能力は著しく低く、しかもこれらの水酸化物が処理液中に漏出してホウ素の処理液質を低下させる原因となっていた。これらの多価陽イオンを含むホウ素選択性樹脂からのホウ素溶離液は、ホウ素を高純度で回収することができないため濃縮して産業廃棄物として処理するか、あるいはセメント等により固化して埋立て処理する等の手段をとらざるを得なかった。
この問題を解決するために、特開2002−233773号公報においては、ホウ素以外のNa、Ca,Mg等の陽イオンを含むホウ素溶離液を、H形の強酸性陽イオン交換樹脂塔に通液した後、OH形強塩基性陰イオン交換樹脂または弱塩基性陰イオン交換樹脂に通液する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、塩基性陰イオン交換樹脂層で水酸化物を生じ易い多価イオン、特に鉄イオンを含む溶離液の場合、必ずしも十分な効果が得られなかった。
特開2001−104807号公報 特開2002−233773号公報
本発明者等は、ホウ素含有排水から効率的に高純度のホウ素を回収する方法を提供することを目的とし、ホウ素化合物を使用する製造工程から排出されるホウ素以外の多価陽イオンを共に含むホウ素含有排水から、ホウ素選択性樹脂を用いてホウ素を回収する処理方法について鋭意検討した結果、該ホウ素含有排水を処理したホウ素選択性樹脂から吸着ホウ素を溶離したホウ素含有溶離液を、OH形弱塩基性陰イオン交換樹脂で処理してホウ素含有液を回収するにあたり、特定の方法で処理すれば多価イオン、特に鉄イオンによる障害を回避して高純度のホウ素含有液を効率よく回収し得ることを見出し本発明に達した。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その要旨は、少なくとも多価陽イオンを含むホウ素含有排水を処理しホウ素を吸着したホウ素選択性樹脂から、該吸着したホウ素を鉱酸溶液により溶離させて得た溶離液を、遊離塩基形弱塩基性陰イオン交換樹脂層に通液し、ホウ素溶液と鉱酸溶液に分画してホウ素溶液を回収する方法において、該溶離液を該陰イオン交換樹脂層に対して上向流で通液することを特徴とするホウ素の回収方法に存する。
本発明方法の好適な態様としては、上記ホウ素の回収方法において、該溶離液を通液した後、次いで水を該陰イオン交換樹脂層に対し下向流で通液し、陰イオン交換樹脂層内の残存溶離液の押出を行うこと、及び押出を行った後、更にホウ素を含まない鉱酸溶液を該イオン交換樹脂層に通薬することからなるホウ素の回収方法を挙げることができる。
本発明方法によれば、多価陽イオンが付随するホウ素溶離液を、弱塩基性陰イオン交換樹脂の交換容量に相当する量まで処理が可能であるので極めて効率的であり、また処理液への不純物の漏洩が少なく、高純度のホウ素回収液を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を更に詳細に説明する。
本発明方法は、ホウ素化合物を使用する製造工程から排出されるホウ素以外の少量の鉄、マグネシウム等の多価陽イオンを含有するホウ素含有排水をホウ素選択性樹脂で処理し、吸着したホウ素を鉱酸溶液で溶離させることにより得られる溶離液を、OH形弱塩基性陰イオン交換樹脂で処理してホウ素含有液を回収するものである。
ホウ素の吸着に使用されるホウ素選択性樹脂としては、ホウ素吸着能力を有し、かつホウ素を選択的に吸着するイオン交換樹脂であれば特に限定されるものではないが、交換基としてN−メチルグルカミン基を有するホウ素選択性樹脂が最も好ましい。このN−メチルグルカミン基を有するホウ素選択性樹脂としては、ダイヤイオン(登録商標:三菱化学)CRB01、CRB02,CRB03,CRB05、アンバーライト(登録商標;ロームアンドハース)IRA743、デュオライト(登録商標:ロームアンドハース)ES−371N,ユニセレック(登録商標:ユニチカ)UR−3500等の市販品から適宜選ぶことができる。
ホウ素を含有する原排水を処理し、ホウ素選択性樹脂へのホウ素の吸着性能を最大限に発揮させるためには、原排水のpHは弱アルカリ性とすることが好ましいが、このpH域においては、原排水中に鉄、マグネシウムなどが共存するとそれらは水酸化物として存在する。そのため、原排水の前処理ろ過で除去しきれないコロイダル状のものが、ホウ素選択性樹脂でろ過および/または物理的に吸着され、ホウ素の回収処理の際、ホウ素を溶離する目的で使用する鉱酸によりこれら水酸化物が溶解して溶離液に持ち込まれることになり、その結果ホウ素回収液の品質低下の原因となる。
また、ホウ素選択性樹脂へのホウ素の吸着形態は下記反応式で示すように、交換基であるN−メチルグルカミン基とエステル化することにより捕捉されると考えられている。このエステル化された基は酸解離して、あたかも陽イオン交換基として作用することが考えられ、この部位に陽イオンとしての鉄、マグネシウムなどが陽イオン交換することも考えられる。
Figure 2006326488
本発明方法においては、このようにして多価の陽イオンを伴うホウ素の選択吸着樹脂からの溶離液を、遊離塩基形(OH形)弱塩基性陰イオン交換樹脂で処理する際、この陽イオンがホウ素溶液に取りこまれることを抑制し、該陰イオン交換樹脂の処理能力低下を生ずることなく高純度のホウ素溶液の取得を可能にするのである。
次に本発明によるホウ素の回収方法について図−1および図−2に従って更に詳細に説明する。
図−1は、本発明の実施態様を説明するための工程概略図であり、また図−2は弱塩基性陰イオン交換樹脂が充填された酸吸着塔の説明図である。
図―1中、1は原排水槽、2はホウ素選択性樹脂が充填されたホウ素吸着塔、3は処理排水放流管、4はホウ素溶離液回収槽、5は鉱酸回収槽、6は希薄酸回収槽、7は弱塩基性陰イオン交換樹脂が充填された酸吸着塔、8は弱塩基性陰イオン交換樹脂で鉱酸が除去されたホウ素回収液槽、9は鉱酸供給管である。
ホウ素選択性樹脂で処理されるホウ素含有排水は、各種の製造工程から排出されるもので、水中のホウ素は、通常、ホウ酸またはホウ酸塩として含まれている(なお、本明細書中、ホウ素はホウ酸およびホウ酸塩の総称を意味する)。
これらの製造工程から排出されるホウ素含有排水は、その排水の種類にもよるが、通常10〜200mg−B/L程度のホウ素を含有しており、また、鉄、マグネシウム等の多価陽イオンは、通常0.2〜2mg/L程度含有しており、一旦原排水槽1に貯蔵される。原排水槽に貯蔵されたホウ素含有排水はカセイソーダ等のアルカリ剤によりpH4〜10、好ましくは7〜10に調整される。ここで、pH調整は次工程でのホウ素選択性樹脂によるホウ素吸着を効果的に行うためのものである。原排水槽に貯蔵されたホウ素含有排水は、pH調整した後、ホウ素吸着塔へ移送するが、その際予め凝集沈殿および/または濾過器等により原排水中に含まれる不溶解性不純物、例えばpH調整により生じた多価イオンの水酸化物等の不純物を除去しておくのがよい。
pH調整されたホウ素含有排水は、ホウ素選択性樹脂が充填されたホウ素吸着塔2に通水してホウ素の吸着除去を行う。その際、pH調整されたホウ素含有排水は、ホウ素吸着塔2に、通常、空間速度(SV)5〜15h−1で供給され、ホウ素が樹脂に吸着除去される。ホウ素吸着塔2に充填されるホウ素選択性樹脂としては、前記のような市販品から適宜選択して用いられる。
ホウ素吸着塔2から流出する処理水はホウ素を含まないので、処理排水放流管3より放流する。その際、必要に応じてホウ素吸着塔の流出水と処理排水放流管3との間にpH調整槽を設けてpH調整後放流する。また処理水に重金属が含まれているおそれがある場合には、さらに重金属吸着用キレート樹脂による処理、あるいは苛性ソーダ、消石灰のアルカリ剤により重金属水酸化物を形成させて固液分離する等の後処理工程に付した後放流するのが好ましい。
次にホウ素含有排水の通水によりホウ素を吸着して機能が低下したホウ素吸着塔には、硫酸、塩酸等の鉱酸を溶離剤として通液し、吸着したホウ素を樹脂から溶離するが、硫酸水溶液が好適に使用される。その際の溶離剤は、濃度1〜10wt%の鉱酸水溶液であり、ホウ素吸着塔2には空間速度(SV)1〜5h−1で通液する。その後、濃度1〜10wt%のカセイソーダ水溶液を空間速度(SV)1〜5h−1で通薬して樹脂を再生する。再生された樹脂が充填されているホウ素吸着塔2はホウ素を吸着させるために再びホウ素含有排水の通水に供される。また、鉱酸溶液としては、その前の処理サイクルで得られた回収鉱酸溶液を使用することもできる。
一方、ホウ素吸着塔2からの溶離液はホウ素と鉱酸との混合物であるが、ホウ素吸着塔から流出する溶離液はその液質の経時的な変化に応じ分画する。例えば、溶離の前半段階における流出液の主含有成分がホウ素であって鉱酸を低濃度で含む溶離液をホウ素溶離液としてホウ素溶離液槽4へ回収し、これに続く流出液の鉱酸を主成分とし、ホウ素濃度が低い後半部分の一部を回収酸として鉱酸回収槽5に回収し、さらにこれに続く最終流出液部分を希薄酸回収槽6に回収する。ホウ素吸着塔からの溶離液の分画は、予めホウ素及び鉱酸の溶離曲線(流出容量基準)を作成し、それに従って行うことができる。また、溶離液分画の切替は、ホウ素吸着塔からの流出液の出口管に電気伝導度計を設置し、電気伝導率の変化を測定することにより行うことができる。
本発明方法では、この溶離の前半段階における主含有成分がホウ素であり、鉱酸を低濃度で含む溶離液画分を、ホウ素溶離液としてOH型弱塩基性陰イオン交換樹脂が充填された酸吸着塔7に上向流で通液し、鉱酸を除去することにより高純度のホウ素含有液を得る。
これについて図―2でさらに詳細に説明する。図―2中、7は弱塩基性陰イオン交換樹脂10が充填された酸吸着塔であり、11はホウ素溶離液供給管、12はホウ素精製液流出管、13は押出用水供給管、14は押出液流出管、15は希薄酸供給管、16は希薄酸処理排水流出管、17は逆洗用水供給管、18は逆洗排水流出管、19は再生剤供給管、20は水洗用水供給管、21は再生廃液流出管である。
酸吸着塔7に充填される弱塩基性陰イオン交換樹脂としては、ダイヤイオン(登録商標:三菱化学)WA21J、WA30、アンバーライト(登録商標:ロームアンドハース)IRA−93、ダウエックス(登録商標:ダウケミカル)66、デュオライト(登録商標:ロームアンドハース)A368、レバチット(登録商標:バイエル)MP62等の市販品から適宜選ばれるが、これらの弱塩基性陰イオン交換樹脂のうち、スチレン系架橋共重合体を母体とするポーラス型イオン交換樹脂が好ましい。
本発明方法においては、ホウ素溶離液を、ホウ素溶離液供給管11からOH形の弱塩基性陰イオン交換樹脂10が充填された酸吸着塔7に上向流で供給し、通液することが重要である。その際、ホウ素溶離液の供給速度は、密度の大きい酸吸着形樹脂がほとんど流動せず、密度の低いOH形樹脂が僅かに流動する流速が好ましく、通常、空間速度(SV)1〜5h−1、線速度(LV)0.5〜3m/hで供給される。通液は、酸吸着塔からの流出液の電気伝導率を測定し、酸が漏出し電気伝導率が上昇し始めた時点で停止する。これを過ぎて通液を行うと、鉄イオン等の不純物がホウ素回収液に持ち込まれ好ましくない。
本発明方法では、ホウ素溶離液を上向流で通液することにより、ホウ素溶離液に付随する微量の多価イオン、例えば鉄イオンがOH形弱塩基性陰イオン交換樹脂等との接触により水酸化鉄に変換したとしても、通液方向、即ち下から上方へ順次酸性の溶離液が供給されているので水酸化鉄も液の流れと共に移送され、また樹脂が酸形に転換されるので水酸化鉄は再び鉄イオンになりやすく、析出した水酸化鉄の局在による陰イオン交換樹脂層内での円滑な通液を妨げるような現象が回避されるものと推察される。また、下向流で通液すると樹脂層が密に詰まるために樹脂層中に析出した水酸化鉄が残りやすくなるのに対し、上向流で通液すると樹脂層に隙間ができやすいため、水酸化鉄の蓄積が起こり難い。本発明方法では、これらの相乗作用の結果、陰イオン交換樹脂の交換容量に相当する量の溶離液の処理が可能になるのである。一方、ホウ素溶離液を下向流で通液した場合、生成した水酸化鉄等は溶離液の通液とともに下方に移行するが、その際の加重により水酸化鉄はイオン交換樹脂内部や塔壁等に局在しやすく、それによって溶離液の流れが均一(ピストンフロー)にならず、陰イオン交換樹脂の能力を十分利用できずに能力低下をもたらすため、その交換容量よりも少ない量の溶離液しか処理できないのである。
本発明方法により、酸吸着塔で酸が除去されたホウ素精製液はホウ素精製液流出管12からホウ素回収槽8に回収する。この回収液は更に高純度化する必要がある場合には、強酸性陽イオン交換樹脂が充填された陽イオン交換樹脂塔および弱塩基性陰イオン交換樹脂が充填された陰イオン交換塔或いは両陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を含む混床塔でポリッシングすることも可能である。
本発明方法では、酸吸着塔は酸除去能力が破過した時点で通液を止め、次いで押出用水供給管13より下向流で水を供給して酸吸着塔内に残留する処理途中の溶離液を押し出す。押出用の水を上向流で供給すると、押出された樹脂中の酸が上部に蓄積した水酸化鉄を溶解し、押出された溶離液中に高濃度の鉄が混入することになるので、高純度のホウ素回収が困難となり好ましくない。押出液流出管14からの流出液はホウ素を含有しているのでホウ素溶離液槽4に戻すか、あるいは再生が終わって待機している別の一系列の酸吸着塔に供給してもよい。押出用の水を通液する際の流速は溶離液の通液速度と同じ流速で流すことで達成でき、押出用水の通液は、通常は樹脂量に対し1〜5倍量を通水する。
押出用の水の供給を停止した後、次いで、酸吸着塔内に存する水酸化鉄等の沈殿・析出した鉄を追い出す目的で希薄酸水溶液を供給する。希薄酸水溶液の供給は、上向流でも下向流でもよく、例えば、希薄酸供給管15から上向流で供給することができる。これにより酸吸着塔内に残存しているOH形陰イオン交換樹脂に鉱酸を吸着させ、鉄イオンを含むその排水は希薄酸処理排水流出管16より排出する。この際、希薄酸水溶液は、溶離液供給流速と同程度とすることが望ましい。希薄酸水溶液としては、塩酸、硫酸等の鉱酸の水溶液が挙げられ、その濃度は、通常、0.2〜2wt%程度である。この希薄酸水溶液として、例えば、ホウ素吸着塔から溶出した分画液である希薄酸回収槽6の希薄酸水溶液を用いることもできる。排出された排水は、必要に応じpH調整等を行った後廃棄される。
希薄酸水溶液による処理の後、次いで、酸吸着塔の陰イオン交換樹脂は、常法に従って逆洗用水供給管17から逆洗水を供給して逆洗を行い、沈静後、再生剤供給管19よりアルカリ剤を供給しOH形に再生し、次いで、水洗用水供給管20より水を供給しアルカリ等の再生剤を押出し洗浄する。
再生処理された酸吸着塔は、再びホウ素溶離液からの酸除去に供される。
以下、本発明を参考例及び実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
参考例1
(ホウ素の吸着・分離)
産業廃棄物処理工程から排出されたホウ素含有排水を原水とし、この原水をカセイソーダでpH8に調整した。沈殿した水酸化鉄を砂ろ過した後の表−1に示すろ過原水中には、鉄が1.26mg/L含有されていた。内径12.5cmの塩化ビニル製カラムにカセイソーダ溶液による再生済みのホウ素選択性樹脂ダイヤイオン(登録商標)CRB05 10Lを充填したホウ素吸着塔に、ろ過済みの原水を空間速度(SV)15h−1で4000L通水し、ホウ素を吸着させた。
次いで、ホウ素吸着塔に、前の処理サイクルで回収した2w/w%の回収硫酸10Lを空間速度(SV)1.5h―1で通液し、次いで、濃度5w/w%の硫酸溶液12Lを空間速度(SV)1.5h−1で通液した。次いで、工業用水30Lを同一流速で流して押出しを行い、ホウ素を溶離した。その際の流出液のホウ素および硫酸濃度の流出曲線を図−3に示す。この流出液量の1.4〜2.9L/L−Rをホウ素溶離液画分とし、2.9より以上〜3.9L/L−Rを回収硫酸画分、3.9より以上〜5.1L/L−Rを希薄酸画分としてそれぞれ別に容器に回収した。回収された各画分溶液の組成を表−2に示す。得られたホウ素溶離液の組成はホウ素2.2g/L、硫酸0.8wt%、鉄50mg/Lであった。
Figure 2006326488
Figure 2006326488
実施例1
内径1.5cmのガラス製カラムにOH形弱塩基性陰イオン交換樹脂レバチット(登録商標)MP62 100mLを充填した酸吸着塔に、参考例1で得られたホウ素溶離液の一部を空間速度(SV)2h−1で上向流として通液した。その際、酸吸着塔からの流出液の電気伝導率を測定しながら、硫酸が漏洩し始めるまでホウ素溶離液を通液した。硫酸が漏洩し始めた時点で通液を止め、上水200mLを空間速度(SV)2h―1で下向流として通水して、塔内の処理途中のホウ素溶離液を押出し回収した。次いで、希薄硫酸水溶液(濃度0.2wt%)400mLを空間速度(SV)3h―1で上向流で通液して、酸吸着塔最上部まで酸負荷形に変換した。その後、上水30mLを線速度(LV)5m/hで流して逆洗を行い、沈静後、4w/w%カセイソーダ250mLを空間速度(SV)2.5h―1で流し、次いで純水200mLを同一流速で流してカセイソーダを押出し洗浄した。
ホウ素溶離液の通液、水による押出、希薄酸水溶液の通水、及びイオン交換樹脂の再生の処理工程を1サイクルとし、この処理工程を繰り返し3サイクル行った際に回収精製液の硫酸が破過し電気伝導率が上昇を始めた時点の処理液量を表−3に示す。この結果、通液3サイクルを通じて安定した処理が行えることが確認された。
比較例1
内径1.5cmのガラス製カラムにOH形弱塩基性陰イオン交換樹脂レバチット(登録商標)MP62 100mLを充填した酸吸着塔に、参考例1で得られたホウ素溶離液と同一組成の液から鉄のみを除いた組成の液を試薬で調製した調製液をホウ素溶離液として、空間速度(SV)1h−1で下向流として通液した。その際、酸吸着塔からの流出液の電気伝導率を測定しながら、硫酸が漏洩し始めるまでホウ素溶離液を通液した。硫酸が漏洩し始めた時点で通液を止め、上水200mLを空間速度(SV)1h―1で下向流として通水して、塔内の処理途中のホウ素溶離液を押出し回収した。その後、上水30mLを線速度(LV)5m/hで流して逆洗を行い、沈静後、4w/w%カセイソーダ250mLを空間速度(SV)2.5h―1で流し、次いで純水200mLを同一流速で流してカセイソーダを押出し洗浄した。この処理工程における流出液の電気伝導率が上昇し始めた時点の処理液量を表−3に示す。
この結果、実施例1に示した結果は、鉄を含まないホウ素溶離液を下向流で通液した本比較例1の結果と同等であり、実施例1の処理が満足されるものであることを示した。
比較例2
内径1.5cmのガラス製カラムにOH形弱塩基性陰イオン交換樹脂レバチット(登録商標)MP62 100mLを充填した酸吸着塔に、参考例1で得られたホウ素溶離液の一部を空間速度(SV)1h−1で下向流として通液した。その際、酸吸着塔からの流出液の電気伝導率を測定しながら、硫酸が漏洩し始めるまでホウ素溶離液を通液した。硫酸が漏洩し始めた時点でホウ素溶離液の通液を止め、次いで上水200mLを空間速度(SV)1h―1で下向流として通水し、酸吸着塔内の処理途中のホウ素溶離液を押出し回収した。その後、上水30mLを線速度(LV)5m/hで流して逆洗を行い、沈静後、4w/w%カセイソーダ250mLを空間速度(SV)2.5h―1で流し、次いで、純水200mLを同一流速で流してカセイソーダを押出し洗浄した。
同様な処理工程を繰り返し3サイクル行った際の電気伝導率が上昇し始めた時点の処理液量を表−3に示す。処理途中において、酸吸着塔内の弱塩基性陰イオン交換樹脂充填層内で水酸化鉄の沈殿による閉塞、それによる液の偏流が認められ、処理量は著しく減少した。
Figure 2006326488
図−1は、本発明の実施態様を説明するための工程概略図。 図−2は弱塩基性陰イオン交換樹脂が充填された酸吸着塔の説明図。 図−3は実施例1におけるホウ素を溶離した際の流出液のホウ素および硫酸濃度の流出曲線を示す。
符号の説明
1 :原排水槽
2 :ホウ素選択性樹脂が充填されたホウ素吸着塔
3 :処理排水放流管
4 :ホウ素溶離液回収槽
5 :鉱酸回収槽
6 :希薄酸回収槽
7 :弱塩基性陰イオン交換樹脂が充填された酸吸着塔
8 :弱塩基性陰イオン交換樹脂で鉱酸が除去されたホウ素回収液槽
9 :鉱酸供給管
10:弱塩基性陰イオン交換樹脂
11:ホウ素溶離液供給管
12:ホウ素精製液流出管
13:押出用水供給管
14:押出液流出管
15:希薄酸供給管
16:希薄酸処理排水流出管
17:逆洗用水供給管
18:逆洗排水流出管
19:再生剤供給管
20:水洗用水供給管
21:再生廃液流出管

Claims (3)

  1. 少なくとも多価陽イオンを含むホウ素含有排水を処理してホウ素を吸着したホウ素選択性樹脂から、該吸着したホウ素を鉱酸溶液により溶離させて得た溶離液を、遊離塩基形弱塩基性陰イオン交換樹脂層に通液し、ホウ素溶液と鉱酸溶液に分画してホウ素溶液を回収する方法において、該溶離液を該陰イオン交換樹脂層に対して上向流で通液することを特徴とするホウ素の回収方法。
  2. 該溶離液を通液した後、次いで水を該陰イオン交換樹脂層に対し下向流で通液し、陰イオン交換樹脂層内の残存溶離液の押出を行うことを特徴とする請求項1記載のホウ素の回収方法。
  3. 押出を行った後、更にホウ素を含まない鉱酸溶液を該イオン交換樹脂層に通薬することを特徴とする請求項1又は2記載のホウ素の回収方法。
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