JP2006325334A - 電力変換装置 - Google Patents

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雅史 中村
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Abstract

【課題】 温度センサを複数個用いることなく、誘導電動機の温度センサに断線が発生しても、比較的簡単に誘導電動機の運転を継続させることのできる電力変換装置を提供する。
【解決手段】 温度センサ6付き誘導電動機5を、2次時定数の温度補正を行ってベクトル制御するようにした電力変換装置において、その制御部8は、すべり周波数を、温度センサによって検出された電動機温度信号を平滑化した平滑化温度信号により、誘導電動機5の2次時定数を補正した2次時定数補正値と、トルク電流基準と、磁束基準とから求めるようにすると共に、温度センサ6の断線を検出する温度センサ断線検出手段12を有し、この温度センサ断線検出手段12によって断線が検出されたとき、前記平滑化温度信号または前記2次時定数補正値をホールドし、このホールドされた前記平滑化温度信号または前記2次時定数補正値を用いて誘導電動機5の運転を継続する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、誘導電動機を駆動するために交流電力を供給する電力変換装置に関する。
誘導電動機を駆動するための電力変換装置の1例としてスイッチング素子を使って直流電力を交流電力に変換するインバータ装置がある。インバータ装置は、スイッチング素子のスイッチングパターンを適切に設定することによって、直流電力を任意の周波数、任意の電圧の交流電力に変換することができる。さらに、この交流電力の回転座標を直交変換して、誘導電動機に供給する電流を励磁成分とこれに直交するトルク成分とに分解しし、夫々の電流を個別に制御することによって、より高性能な電動機制御を行うことが可能となっている。
電動機の駆動に必要なトルク量を速度制御により出力すれば、任意の速度で電動機を運転させることができる。このように励磁成分とトルク成分とに分解して電動機を制御する方式をベクトル制御と呼ぶ。
ここで、誘導電動機がトルクを生じるために供給すべき交流電力の周波数は、電動機の回転速度(回転周波数)に対して、すべりと呼ばれる周波数が加算された周波数が必要となる。トルクを生じるために必要なすべり周波数は、誘導電動機により異なるが、一般にトルク電流、励磁電流および電動機の2次時定数の関数として与えられる。
従って、通常の誘導電動機のベクトル制御においては、すべり周波数をトルク電流基準、磁束基準及び2次時定数設定値から演算によって求める。2次時定数設定値は、誘導電動機の設計パラメータとして得られる他、誘導電動機とインバータ装置を組み合わせて動作調整を行うことによっても得ることができる。
この2次時定数は、誘導電動機の2次インダクタンスと2次抵抗の比であるため、これらの変動によって影響を受ける。特に、2次抵抗は誘導電動機の運転によって誘導電動機内部の温度が変化するため、運転時における変動が大きい。
この変動により、制御に用いる2次時定数設定値と実際の2次時定数との間に差が生じると、トルク電流と励磁電流の制御に干渉が生じ、トルク制御の応答性および精度が悪化する。
従って、誘導電動機の温度による2次時定数の変動に対応するため、誘導電動機に取り付けた温度センサにより誘導電動機の温度をフィードバックし、2次時定数設定値を補正する手法が取り入れられている。
このように温度フィードバックで2次時定数の補正を行いながら運転を行う装置において、温度センサの断線を検出したときに警報表示を行う技術(第1の背景技術)、また温度センサを複数個設け、正常な温度センサに切換えて運転を継続する技術(第2の背景技術)が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
特開平8−275598号公報(第2−3頁、図1)
誘導電動機の温度を検出する温度センサにおいて、信号線の断線等が発生した場合、得られるフィードバック量は異常な値となる。温度センサの断線による誘導電動機温度フィードバックの異常は、2次時定数設定の補正に対して大きな外乱となり、場合によっては出力トルクが不足し、運転継続ができなくなる。
従って、特許文献1の第1の背景技術による警報発信だけでは、運転継続が困難となるという問題がある。
一方、特許文献1の第2の背景技術によれば、運転継続は可能となるが、温度センサを複数個設けることは経済性の面で好ましくなく、また切換えのための制御装置も複雑となる。
本発明は上記問題を鑑みて為されたもので、温度センサを複数個用いることなく、誘導電動機の温度センサに断線が発生しても、比較的簡単に誘導電動機の運転を継続させることのできる電力変換装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電力変換装置は、温度センサ付きの誘導電動機を駆動するインバータと、このインバータの出力をベクトル制御または速度センサレスベクトル制御により制御する制御部とを備え、前記制御部は、すべり周波数から得られる位相基準に基づいて前記誘導電動機の電流を励磁電流とこの励磁電流に直交するトルク電流に変換して制御し、前記インバータにスイッチング指令を与える手段と、前記すべり周波数を前記誘導電動機の2次時定数補正値、トルク電流基準及び磁束基準とから演算によって求める手段と、前記温度センサによって検出された電動機温度信号を平滑化した平滑化温度信号により、前記2次時定数補正値を演算によって求める手段と、前記温度センサの断線を検出する温度センサ断線検出手段とを有し、前記温度センサ断線検出手段によって断線が検出されたとき、前記平滑化温度信号または前記2次時定数補正値をホールドし、このホールドされた前記平滑化温度信号または前記2次時定数補正値を用いて前記インバータによる前記誘導電動機の運転を継続するようにしたことを特徴としている。
本発明によれば、温度センサを複数個用いることなく、誘導電動機の温度センサに断線が発生しても、比較的簡単に誘導電動機の運転を継続させることのできる電力変換装置を提供することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
以下に本発明の実施例1に係る電力変換装置について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は本発明の実施例1に係る電力変換装置のブロック構成図である。
電力変換器1は、インバータ2と、電力変換器1の出力電流を検出する出力電流検出器3と、電力変換器1に供給される直流電圧を平滑化するための平滑コンデンサ4とで構成され、誘導電動機5を可変速駆動している。誘導電動機5には、その温度を測定するための温度センサ6と、誘導電動機5の回転速度を測定するための速度センサ7が取り付けられている。電力変換器1のインバータ2は、制御回路8から与えられるスイッチング指令により、その主回路を構成するスイッチング素子がオン・オフ制御されている。
以下、制御回路8の内部構成について説明する。
温度センサ6の検出信号は電動機温度検出回路11によって電動機温度フィードバックに変換され、電動機温度を監視して温度センサの断線を検出する温度センサ断線検出回路12に与えられる。電動機温度フィードバックは、フィルタ14を介して、フィルタ14を通った電動機温度フィードバックをホールドするためのラッチ回路13にも与えられる。そして、温度センサ断線検出回路12が温度センサの断線を検出したとき、ラッチ回路13は、その時点の電動機温度フィードバックをホールドする。温度センサ断線検出回路12の内部は、電動機温度フィードバックを入力とする上限温度検出回路121A及びこの上限温度検出回路121Aと並列に設けられた下限温度検出回路121B、これ等上限温度検出回路121A及び下限温度検出回路121Bの出力を入力とするNOR回路122によって構成されている。
誘導電動機5に取り付けられた速度センサ7の検出信号は速度検出回路21によって速度フィードバックに変換され、速度基準と比較されて速度制御回路22の入力となる。また、この速度フィードバックが与えられると、磁束基準演算回路23が誘導電動機5の磁束基準を演算し、上記の速度制御回路22の出力であるトルク基準をこの磁束基準で除算してトルク電流基準を得る。このトルク電流基準と、磁束基準演算回路23の出力である磁束基準、及び誘導電動機5の2次時定数を前述のラッチ回路13の出力である電動機温度フィードバックに基づいて2次時定数補正回路25で補正した2次時定数補正値をすべり周波数演算回路24に入力することによってすべり周波数を得る。
一方、出力電流検出器3によって検出された電流フィードバックは3φ/2φ変換回路31によってトルク電流フィードバックと、このトルク電流フィードバックに直交する励磁電流フィードバックに変換される。トルク電流フィードバックは、前述のトルク電流基準と比較され、電流制御回路32の入力となる。同様に励磁電流フィードバックは別途設定された励磁電流基準と比較され、電流制御回路32の入力となる。電流制御回路32においては上記のトルク電流と励磁電流を独立に制御し、その出力はトルク電圧基準及び励磁電圧基準となる。このトルク電圧基準及び励磁電圧基準は2φ/3φ変換回路33の入力となり、この2φ/3φ変換回路33の出力として3相の電圧基準が得られる。この3相の電圧基準に基づいてスイッチング指令演算回路34はインバータ2を構成するスイッチング素子に対し、オン・オフ指令を出力する。ここで、3φ/2φ変換回路31及び2φ/3φ変換回路33の変換を行うための位相基準は、速度フィードバックにすべり周波数を加算して得られるインバータ周波数を積分することによって得ている。
次に、温度センサ断線検出回路12とその周辺部分の動作について、図1乃至図3を参照して説明する。
図2は、温度センサとして白金抵抗を使用する場合の動作説明図である。この場合は、電力変換装置内部の直流電源に接続されるプルアップ抵抗を設け、プルアップ抵抗と白金抵抗の分圧電圧によって温度を検出する。
運転中に温度センサに断線が生じると、上記の分圧電圧は急激に直流電源の電圧まで上昇するので、電動機温度フィードバックは急上昇して最高温度に達する。従って、図1に示した温度センサ断線検出回路12は、電動機温度が所定の上限温度以上になったことを上限温度検出回路121Aで検出して1を出力する。これによりNOR回路122の出力は0となって断線と判断し、必要に応じてアラームを発すると共にフィルタ回路14の出力をラッチ回路13でホールドする。
図3は、温度センサとして自己出力型センサを使用する場合の動作説明図である。この場合、運転中に温度センサ6に断線が生ずると、温度センサ6の出力は急激にゼロとなる。従って、図1に示した温度センサ断線検出回路12は、電動機温度が所定の下限温度以上になったことを下限温度検出回路121Bで検出して1を出力する。これによりNOR回路122の出力は0となって断線と判断し、必要に応じてアラームを発すると共にフィルタ回路14の出力をラッチ回路13でホールドする。
ここで、ラッチ回路13にはフィルタ14により平滑化された電動機温度フィードバックを入力する。温度センサ断線検出回路12により温度センサ6が正常と判断された場合、ラッチ回路13はフィルタ14の出力をそのまま出力する。一方、温度センサ断線検出回路12により温度センサ6が断線したと判断された場合は、ラッチ回路13は直前の出力値をホールドする。
フィルタ14のフィルタ時定数は、一般的な電動機の熱伝導時定数が数分のオーダであるので、数十秒の比較的長い値を設定して差し支えない。このことは、温度センサ6の断線により電動機温度フィードバックの値が急変すること、温度センサ断線検出回路12の検出遅延があること等を考慮しても、ラッチ回路13の出力は温度センサ6の断線発生前の電動機温度フィードバックをホールドすることが可能となる。この結果、温度センサ6に断線が発生したとき、直前の電動機温度フィードバックを使用して電動機の2次時定数を補正することができ、すべり周波数演算に外乱を与えず、インバータ2による誘導電動機5の運転を継続させることが可能となる。
なお、フィルタ14の代わりに移動平均回路を使用し、フィルタ14の時定数に見合う期間の平均値を取るようにして出力を平滑化するようにしても良い。
また、速度センサ7を用いない所謂速度センサレスベクトル制御の場合であっても本発明の適用が可能であることは明らかである。
図4は本発明の実施例2に係る電力変換装置のセンサ断線検出回路12Aのブロック構成図である。
電動機温度フィードバックとこの電動機温度フィードバックを入力とする学習回路123の出力とを比較し、その偏差を絶対値回路124で絶対値の変換し、絶対値回路124の出力を温度差検出回路125に与え、所定の設定温度差以上であれば断線と判断して0を出力する。
学習回路123は、過去の所定期間の電動機温度フィードバックの代表値を出力するようにし、温度差検出回路125が正常と判断している限りこの学習を継続するようにする。上記の代表値は平均値を用いるのが一般的である。
以上のように温度センサ断線検出回路12Aを構成すれば、電動機温度フィードバックの大きな急変を検出できるので、温度センサ6の断線検出が可能となる。
図5は本発明の実施例3に係る電力変換装置のセンサ断線検出回路12Bのブロック構成図である。
微分回路126は電動機温度フィードバックの変化率を出力し、この出力を絶対値回路124で絶対値に変換し、この出力を変化率検出回路127に与え、所定の変化率以上であったとき、フリップフロップ回路128に1を入力する。このフリップフロップ回路128の反転出力信号が0のとき断線と判断する。
このように電動機温度フィードバックの時間あたりの変化量が所定値を超えた場合に温度センサ6が断線したと判断することも可能である。
図6は本発明の実施例4に係る電力変換装置のブロック構成図である。この実施例4の各部について、図1の実施例1に係る電力変換装置のブロック構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例4が実施例1と異なる点は、フィルタ14の出力を直接2次時定数補正回路25に与え、この2次時定数補正回路25の出力側に2次時定数補正値ラッチ回路15を設け、この2次時定数補正値ラッチ回路15の出力をすべり周波数演算回路24に与えるようにした点である。
このような構成にすると、温度センサ断線検出回路12で温度センサ6の断線を検出したとき、2次時定数補正値ラッチ回路15で2次時定数補正値をラッチすることになる。2次時定数補正値は2次時定数設定に電動機温度の補正を加えたものであるので、実施例1の場合と同様、断線発生の直前の温度による2次時定数補正値をすべり周波数演算回路24の演算に使用することができ、温度センサ6の断線によるすべり周波数への外乱を避け、インバータ2による誘導電動機5の継続運転を行うことが可能になる。
本発明の実施例1に係る電力変換装置のブロック構成図。 温度センサとして白金抵抗を使用する場合の本発明の動作説明図。 温度センサとして自己出力型センサを使用する場合の本発明の動作説明図。 本発明の実施例2に係る電力変換装置の温度センサ断線検出回路のブロック構成図。 本発明の実施例3に係る電力変換装置の温度センサ断線検出回路のブロック構成図。 本発明の実施例4に係る電力変換装置のブロック構成図。
符号の説明
1 電力変換器
2 インバータ
3 出力電流検出器
4 平滑コンデンサ
5 誘導電動機
6 温度センサ
7 速度センサ
8 制御回路

11 電動機温度検出回路
12、12A、12B 温度センサ断線検出回路
13 ラッチ回路
14 フィルタ
15 2次時定数補正値ラッチ回路

21 速度検出回路
22 速度制御回路
23 磁束基準演算回路
24 すべり周波数演算回路
25 2次時定数補正回路

31 3φ/2φ変換回路
32 電流制御回路
33 2φ/3φ変換回路
34 スイッチング指令演算回路

Claims (6)

  1. 温度センサ付きの誘導電動機を駆動するインバータと、
    このインバータの出力をベクトル制御または速度センサレスベクトル制御により制御する制御部と
    を備え、
    前記制御部は、
    すべり周波数から得られる位相基準に基づいて前記誘導電動機の電流を励磁電流とこの励磁電流に直交するトルク電流に変換して制御し、前記インバータにスイッチング指令を与える手段と、
    前記すべり周波数を前記誘導電動機の2次時定数補正値、トルク電流基準及び磁束基準とから演算によって求める手段と、
    前記温度センサによって検出された電動機温度信号を平滑化した平滑化温度信号により、前記2次時定数補正値を演算によって求める手段と、
    前記温度センサの断線を検出する温度センサ断線検出手段と
    を有し、
    前記温度センサ断線検出手段によって断線が検出されたとき、
    前記平滑化温度信号または前記2次時定数補正値をホールドし、
    このホールドされた前記平滑化温度信号または前記2次時定数補正値を用いて前記インバータによる前記誘導電動機の運転を継続するようにしたことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記温度センサ断線検出手段によって断線が検出されたとき、アラーム出力を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記温度センサ断線検出手段は、
    前記温度センサによって検出された電動機温度信号が所定の上限温度設定値を超えたとき、当該温度センサが断線したと判定するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記温度センサ断線検出手段は、
    前記温度センサによって検出された電動機温度信号が所定の下限温度設定値を下回ったとき、当該温度センサが断線したと判定するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
  5. 前記温度センサ断線検出手段は、
    前記温度センサによって検出された所定期間内の電動機温度信号の代表値を演算する手段を有し、
    前記電動機温度信号と前記代表値との偏差の絶対値が所定値を超えたとき、当該温度センサが断線したと判定するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
  6. 前記温度センサ断線検出手段は、
    前記温度センサによって検出された電動機温度信号の変化率を演算する手段を有し、
    前記電動機温度信号の変化率の絶対値が所定値を超えたとき、当該温度センサが断線したと判定するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。

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