JP2006324193A - 燃料電池用電解質膜の製造方法及び燃料電池用電解質膜 - Google Patents

燃料電池用電解質膜の製造方法及び燃料電池用電解質膜 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池用電解質膜の形成において、多孔質膜への電解質樹脂の充填性を向上させることである。
【解決手段】−SO2F基を有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体を生成し(S10)、これを疎水性物質に馴染むパーフルオロヘキサン溶媒に添加し分散処理して電解質前駆体分散体を生成する(S12)。そして、平均細孔径が3μmの多孔質PTFEにこれを塗布乾燥する(S14)。PTFEは疎水性であるが、前駆体分散体はこれに馴染んで塗布が十分に行われる。その後焼成してPTFE基体と前駆体焼成層との複合膜を生成する(S16)。これを加水分解酸中和処理し親水性の電解質膜を生成する(S18)。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用電解質膜の製造方法及び燃料電池用電解質膜に係り、特に固体高分子型の燃料電池用電解質膜の製造方法及び燃料電池用電解質膜に関する。
固体高分子型燃料電池は、固体型高分子固体電解質として作用する隔膜の両側に、触媒が担持されたガス拡散電極を接合し、一方のガス拡散電極が存在する側の室である燃料室に燃料である水素を、他方のガス拡散電極が存在する側の室である酸化剤室に酸化剤である酸素や空気等の酸素含有ガスをそれぞれ供給し、両ガス拡散電極間に外部負荷回路を接続することにより燃料電池として作用させる。
このような固体高分子型燃料電池において、隔膜には、通常プロトン伝導性を有する電解質膜が使用される。特に電池耐久性向上のために、多孔質膜に、陽イオン交換樹脂、すなわち電解質樹脂を、何らかの方法で含浸させたものが用いられる。
例えば特許文献1には、このような電解質膜として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜にスルホン酸基を有するパーフロロ系イオン交換ポリマーを含浸するものが開示される。ここでは、多孔質PTFEにパーフロロ系イオン交換樹脂液を十分に含浸させる方法等が述べられる。
また、特許文献2には、化学的に安定な多孔質PTFEの改質としてコバルト60によるγ線を照射してスチレンモノマーとグラフト重合反応させ、スルホン酸系イオン交換樹脂をベースとする溶液を含浸させて乾燥させ、孔をスルホン酸系イオン交換樹脂で埋めることが開示されている。そしてその後HCl溶液に浸漬し、水洗浄を繰り返し官能基をH型とし、ついでNaOH溶液に浸漬し、HCl水溶液で中和することが述べられる。
特許文献3には、多孔質膜に陽イオン交換樹脂を積層する方法が述べられる。ここでは多孔質膜と、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン系イオン交換樹脂膜とを加熱加圧ラミネート法で形成する方法が述べられる。
特公平5−75835号公報 特開2004−273298号公報 特開2004−178995号公報
電解質樹脂を多孔質膜に含浸する方法のうち、電解質樹脂を多孔質膜の孔に直接含浸させるには、特許文献1のように電解質樹脂液にPTFE多孔質膜を含浸させ、あるいは、特許文献2のように、その後アルカリ加水分解、酸中和が行われる。この方法は、PTFEが疎水性であるのに対し、電解質樹脂はプロトン伝導性を有するため親水性であり、したがってその溶液は水溶液あるいはアルコール液等が用いられるので、どうしてもPTFEと電解樹脂溶液とが馴染みにくい。そのため、多孔質の細孔に染み込みにくく、PTFEの多孔質体に空孔が残りやすい。また、馴染みを改善するためのグラフト加工は上記のようにγ線照射等の工程が余分に必要となる。
また、特許文献3に述べられる積層法は、電解質膜に要求される薄膜化が困難である。例えば燃料電池等で使用される電解質膜の厚さとしては、約10〜20μm程度の薄さが望まれるが、押出機を用いてフィルムを延伸する押出製膜法では、膜厚調整が困難である。また、チューブ状に樹脂を押し出しその後膨らませてプラスチック薄膜フィルムを成形するインフレーション法は、素材に溶融張力を要し、適用が困難である。
このように、従来技術においては、電解質樹脂を多孔質膜に十分含浸透することが困難である。
本発明の目的は、多孔質膜への電解質樹脂の充填性を向上させる燃料電池用電解質膜の製造方法及びその方法による燃料電池用電解質膜を提供することである。
本発明に係る燃料電池用電解質膜の製造方法は、固体高分子型の燃料電池用電解質膜の製造方法であって、電解質樹脂前駆体を、疎水性物質に馴染む有機溶媒に添加し、分散処理して、疎水性物質に馴染む電解質前駆体分散体を生成する分散体生成工程と、多孔質の疎水性電解質膜基体に電解質前駆体分散体を塗布乾燥しその後焼成して、電解質膜基体と前駆体焼成層との複合膜を生成する複合膜生成工程と、複合膜を加水分解処理し親水性の電解質膜を生成する親水処理工程と、を含むことを特徴とする。
また、分散体生成工程は、ハロゲン元素を含む有機溶媒を用いることが好ましい。また、分散体生成工程は、ハロゲン元素としてF又はClを含む有機溶媒を用いることが好ましい。また、分散体生成工程は、パーフルオロ化合物又はベンゼン誘導体の有機溶媒を用いることが好ましい。
また、分散体生成工程は、CF2CF2と、
とを重合して得られる
の構造式を有する電解質樹脂前駆体を用いることが好ましい。
また、分散体生成工程は、{x/(x+y)}×100の値が5以上50以下である電解質樹脂前駆体を用いることが好ましい。また、分散体生成工程は、{x/(x+y)}×100の値が10以上20以下である電解質樹脂前駆体を用いることがより好ましい。
また、本発明に係る燃料電池用電解質膜の製造方法において、分散体生成工程は、SO2F基を含有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体をパーフルオロヘキサン溶媒に添加し、複合膜生成工程は、多孔質のPTFE電解質膜基体に電解質前駆体分散体を塗布することが好ましい。
また、本発明に係る燃料電池用電解質膜の製造方法は、固体高分子型の燃料電池用電解質膜の製造方法であって、SO2F基を10モル%〜20モル%含有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体をパーフルオロヘキサン溶媒に質量比で20%以下添加し、これを粉砕処理して電解質前駆体分散体を生成する分散体生成工程と、平均細孔径が3μmのPTFE多孔質膜体に、電解質前駆体分散体を塗布乾燥し、これを繰り返し、200〜250℃で焼成して複合膜を生成する複合膜生成工程と、複合膜をアルカリ加水分解の後酸中和し、親水性の電解質膜を生成する親水処理工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る燃料電池用電解質膜は、固体高分子型の燃料電池用電解質膜であって、平均細孔径が3μmのPTFE多孔質膜体と、PTFE多孔質膜体の表面に生成され、親水処理により親水化された電解質前駆体分散体の焼成膜と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る燃料電池用電解質膜において、PTFE多孔質膜体は、1〜20μmの厚みを有し、焼成膜は、5〜30μmの厚みを有することが好ましい。
また、本発明に係る燃料電池用電解質膜において、その膜厚が50μm以下であることが好ましい。
従来技術では、親水性の電解質樹脂を分散させる溶液は水またはアルコールを用い、したがって疎水性の電解質膜体と馴染みにくいが、上記構成では、多孔質の疎水性電解質膜基体に疎水性の電解質前駆体分散体を塗布乾燥しその後焼成して複合膜を生成し、その後、加水分解処理し親水性の電解質膜を生成する。すなわち、親水性の電解質樹脂にするのは後に加水分解酸中和で行うことにし、その電解質樹脂の前駆体を疎水性としこれを疎水性溶媒に分散させるので、これは疎水性電解質膜基体と相性がよい。したがって、最終的に親水性である電解質樹脂の、疎水性の多孔質膜への充填性を向上させることができる。
また、有機溶媒としてハロゲン元素を含むもの、ハロゲン元素としてF又はClを含むもの、より具体的にはパーフルオロ化合物又はベンゼン誘導体の有機溶媒を用いるので、疎水性の多孔質電解膜基体と馴染みがよい。
また、電解質樹脂前駆体は、CF2CF2と、
とを重合して得られる
の構造式を有するものを用いるので、−SO2Fを有し、これは水やアルコール系よりも、ハロゲン系の溶媒に分散させやすく、したがってその分散体は、疎水性の物質に馴染みやすい。
また、−SO2Fを有する電解質樹脂前駆体において、−SO2Fを有する側鎖と、それを有しない主鎖の割合について、{x/(x+y)}×100の値が5以上50以下、より好ましく10以上20以下とするので、有機溶媒中の電解質樹脂前駆体の分散度をある範囲に保ち、多孔質の孔への電解質樹脂前駆体の浸透を安定に維持できる。
また、SO2F基を含有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体をパーフルオロヘキサン溶媒に添加し、これを多孔質のPTFE電解質膜基体に塗布するので、電解質樹脂前駆体を含む溶媒と疎水性のPTFEとの馴染みがよい。
また、SO2F基を10〜20モル%含有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体をパーフルオロヘキサン溶媒に質量比で20%以下添加して粉砕処理した電解質前駆体分散体を、平均細孔径が3μmのPTFE多孔質膜体に塗布乾燥し、これを繰り返し、200〜250℃で焼成し、その後アルカリ加水分解の後酸中和し、親水性の電解質膜を生成する。したがって、塗布乾燥のときは馴染みがよく、十分に電解質前駆体をPTFE多孔質膜体に浸透させることができ、その後加水分解・酸中和により、最終的な親水性の電解質樹脂が十分充填されたPTFE多孔質膜体からなる電解質膜を得ることができる。
上記のように、本発明に係る燃料電池用電解質膜の製造方法及び燃料電池用電解質膜によれば、電解質膜の基体である多孔質膜への電解質樹脂の充填性を向上させることができる。
以下、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。図1は、燃料電池用電解質膜の製造方法の手順を示すフローチャートで、図2は、各手順を説明する図である。図では、多孔質膜体であるPTFEについて、出発素材10、電解質前駆体塗布乾燥後の第1中間体12、電解質前駆体焼成後の第2中間体14、最終製品の電解質膜20が工程に応じて示される。
図1において、前駆体生成(S10)は、最終的に加水分解・酸中和によって親水性となる電解質樹脂の前段階のものである電解質樹脂前駆体を化学反応によって作り出す工程である。具体的には、図3に示すように、CF2CF2の構造式で示されるテトラフルオロエチレンと、
で示される物質とを重合して、
の構造式を有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体を生成する。化学式(1)において、nは1または0である。
パーフルオロ電解質樹脂前駆体は、主鎖と−SO2F基を有する側鎖とからなる構造である。化学式(2)におけるx,yを用いて、−SO2F基(モル%){x/(x+y)}×100である。また、電解質樹脂のイオン交換当量(EW)は、EW=電解質質量(g)/−SO2F基当量(eq)=電解質質量(g)/前駆体の−SO2F基当量(eq)で示される。さらに、複合膜のEWは、EW=(電解質+PTFE多孔質膜体)質量(g)/−SO2F基当量(eq)となる。
ここで、燃料電池用電解質膜の性能から実験的に、重合反応における{x/(x+y)}×100の値を定めることができる。例えば、{x/(x+y)}×100を、15となるように設定することができる。現実的には、重合反応の幅を見て、この値が10以上20以下でもよく、また、場合によっては5以上50以下であってもよい。
前駆体が生成されると、次に、前駆体分散体生成(S12)の工程になる。ここでは、−SO2F基を有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体を、有機溶媒が満たされたビーズミルの中に例えば質量比で20%以下の添加割合で入れ、粉砕処理して、有機溶媒中に細かい粒子状の電解質樹脂前駆体を分散させる。この有機溶媒中に電解質樹脂前駆体を分散させたものが前駆体分散体である。模式的には図2(a)に容器に入った前駆体分散体30が示される。
具体的には、{x/(x+y)}×100の値が15、すなわち−SO2F基を約15モル%含有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体を、C614の構造式で示されるパーフルオロヘキサン溶媒に、質量比で1:9の割合で添加する。例えば前駆体10gを溶媒90gに添加する。この添加は、ビーズミル粉砕機の中に溶媒、前駆体を入れることで行われる。そしてビーズミル粉砕機を駆動させ、前駆体を溶媒中で微粒子化し、溶媒中に微粒子前駆体が浮遊している分散体を生成する。質量比は、分散体が凝集分離をあまり起こさない程度に設定する。上記の質量比の例では、前駆体全質量は10gであるが、容器の底に凝集沈殿するものが半分の5g以下とすることができる。質量比が小さければ沈殿等を少なくできるが、分散体の前駆体濃度が低くなるので、目的に応じ、質量比を1:9以外の値としてもよい。
ここで、パーフルオロヘキサン溶媒を選択する理由は、パーフルオロ電解質樹脂前駆体が分散溶解しやすいことと、このあとこれを塗布する対象である疎水性のPTFEと塗布の馴染みがよいことにある。したがって、この2つの特性を満たす溶媒であれば、パーフルオロヘキサン溶媒以外の有機溶媒であってもよい。この観点からは、パーフルオロ電解質樹脂前駆体は、−SO2F基を含むこと等から、ハロゲン元素、例えばFまたはClを含む有機溶媒が好ましく、パーフルオロ化合物又はベンゼン誘導体の有機溶媒を用いることができる。
前駆体分散体が準備できると、電解質膜基体に、前駆体分散体を塗布し乾燥する(S14)。この工程は、詳細には、電解質膜基体の準備と、前駆体分散体の塗布と、その乾燥の工程に分けることができる。塗布と乾燥は、適当な回数繰り返される。
電解質基体は多孔質膜体で、その厚みは、燃料電池に要求される性能等で決定でき、1μmから20μmのものあるいはそれ以上で、最終製品である電解質膜の膜厚が50μm以下となるようなものを用いることができる。また、その平均細孔径も、入手可能な範囲から選定してもよく、例えば2μmから5μmのものを用いることもできる。具体的には厚さが10μmのPTFE多孔質膜体で、平均細孔径が3μmのものを用いる。形状は、燃料電池の電解質膜の外形に予め切断したものを用いる。もちろん、後に所定形状の複数個の電解質膜に切断されるために準備された大判のPTFE多孔質シートを用いてもよい。準備されたPTFE多孔質膜体は、出発素材10として、図2(b)に示される。
塗布は、前駆体分散体溶液をスプレー塗布によって行うことができる。塗布は、出発素材の両面を含む全面に対し行われる。全面塗布のあとの乾燥は、室温に放置して行われる。塗布と乾燥を1サイクルとして、数分ごとにこれを繰り返す。スプレー塗布に代わって、浸漬、滴下等の方法を用い、あるいはこれらの方法を組み合わせてもよい。
上記のように、前駆体分散体溶液は、PTFEと塗布の馴染みがよいので、塗布乾燥を十分に繰り返すことで、PTFEの全面はもとより、多孔質の細孔の内部にまで十分に前駆体分散体が浸透し、−SO2F基を有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体が十分に供給される。塗布と乾燥の繰り返し回数は、乾燥後の全体の厚みを目安にして決定できる。乾燥後の全体厚みは、出発素材10の厚さを10μmとして、20μm程度とすることができる。もっとも、工程の許容誤差を考慮し、例えば15〜25μm程度としてもよい。塗布乾燥後のPTFEの様子は、図2(c)に第1中間体12として示される。
次に第1中間体12を焼成して、電解質基体と前駆体焼成層とからなる複合膜を生成する(S16)。焼成は、図2(d)に示すように、適当な焼成炉32の中に第1中間体12を置いて行われる。焼成温度は230℃、焼成時間は10分、焼成雰囲気は大気中でよい。焼成炉32の代わりに、加熱トンネルとコンベヤの組み合わせ、ホットプレートを用いてもよい。また、焼成温度、焼成時間、焼成雰囲気等の焼成条件は、第1中間体12の厚み等に応じて変更することができる。
焼成により、有機溶媒成分が消散し、PTFEの両面および側面、ならびに多孔質PTFEの細孔内に、−SO2F基を有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体がしっかりと固着し、外観上、前駆体焼成層で挟まれた電解質膜基体の複合膜が得られる。この複合膜の様子は図2(e)に第2中間体14として示される。第2中間体14の全体厚さは、第1中間体12の厚さよりもこの焼成により減少する。焼成後の膜厚は、出発素材の厚みによるが、上記のように出発素材の厚みを1から20μmとするときは、5から30μm程度となる。
次に、第2中間体14を加水分解し、親水性の電解質膜を生成する(S18)。すなわち、この工程の前までにおける、−SO2F基を有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体は親水性でなく、これを加水分解し酸中和することで、目的とする燃料電池用のプロトン伝導性を有する電解質膜とすることができる。加水分解と酸中和の工程は、第2中間体14を、NaOH溶液に浸漬し、HCl水溶液で中和することで行われる。これらの工程は、パーフルオロ電解質樹脂前駆体に対する親水性化工程として知られる内容を用いることができる。
図4は、−SO2F基を有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体が、加水分解等の親水性処理によって−SO2Fが−SO2Hに置換され、パーフルオロ電解質樹脂となる様子を示す図である。パーフルオロ電解質樹脂の構造式は式(3)で示される。
すなわち、親水性処理をパーフルオロ電解質樹脂前駆体に対し行うことで、その−SO2F基はアルカリ処理により、例えば−SO3Naに変換され、さらに酸中和により親水性の−SO3H基に変換される。なお、アルカリ処理はNaOH以外のもの、例えばKOHを用いてもよく、酸中和はHCl以外のもの、例えばHNO3またはH2SO4を用いてもよい。
このようにして得られた親水性を有する電解質膜は、図2(f)で最終製品の電解質膜20として示される。この電解質膜20は、その後触媒電極、ガス拡散電極等が付与され、いわゆるMEAと呼ばれる膜電極アセンブリとなって、燃料電池の構成要素として用いられる。最終製品の電解質膜20は、厚さが15μmで、10μmの厚さのPTFEの両面に、それぞれ2.5μmの厚さの親水性処理された前駆体焼成層が配置される構成を有する。そして、多孔質PTFEの細孔の中には、親水性処理された前駆体樹脂が、十分に充填されている。なお、最終製品の膜厚は、出発素材の厚みの選定等で変更でき、例えば50μm以下の範囲とすることもできる。
−SO2F基を約15モル%含有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体10gを、C614溶媒90gに添加し、ビーズミルにて粉砕処理し、約5%の固形分を含有する電解質前駆体分散体95gを得た。これを膜厚10μm、平均細孔径3μmのPTFE多孔体に塗布・乾燥し、5回繰り返してさらに230℃で焼成した。得られた複合膜をアルカリ加水分解・酸中和することで、EW約1000、膜厚15μmの補強型電解質膜を得た。
図5は、実施例によって得られた電解質膜におけるPTFEの細孔における電解質樹脂の充填の様子を従来の方法と比較して示すものである。これらの図は、同じ多孔質PTFEの出発素材を用いて異なる方法で形成された電解質膜の断面を高倍率の顕微鏡で観察したもので、図5(a)は従来方法による電解質膜の断面、(b)は、実施例によって得られた電解質膜の断面を示す。ここで従来方法とは、親水性処理を行ってある電解質樹脂を水に分散させたものを、多孔質PTFE出発素材に塗布し乾燥し焼成して電解質膜を形成する方法である。図5(a)の従来方法では、PTFEの細孔が十分に埋まっておらず、充填不十分な空孔が見られるのに対し、実施例による図5(b)においては、ほとんど空孔が見られず、PTFE細孔内にも十分電解質樹脂が充填されていることがわかる。
本発明に係る実施の形態における燃料電池用電解質膜の製造方法の手順を示すフローチャートである。 本発明に係る実施の形態における電解質膜の製造の各手順を説明する図である。 パーフルオロ電解質樹脂前駆体生成を示す図である。 パーフルオロ電解質樹脂前駆体が、加水分解等の親水性処理によってパーフルオロ電解質樹脂となる様子を示す図である。 PTFEの細孔における電解質樹脂の充填の様子を従来の方法と比較して示す顕微鏡写真である。
符号の説明
10 出発素材、12 第1中間体、14 第2中間体、20 電解質膜、30 前駆体分散体、32 焼成炉。

Claims (12)

  1. 固体高分子型の燃料電池用電解質膜の製造方法であって、
    電解質樹脂前駆体を、疎水性物質に馴染む有機溶媒に添加し、分散処理して、疎水性物質に馴染む電解質前駆体分散体を生成する分散体生成工程と、
    多孔質の疎水性電解質膜基体に電解質前駆体分散体を塗布乾燥しその後焼成して、電解質膜基体と前駆体焼成層との複合膜を生成する複合膜生成工程と、
    複合膜を加水分解処理し親水性の電解質膜を生成する親水処理工程と、
    を含むことを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  2. 請求項1に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法において、
    分散体生成工程は、ハロゲン元素を含む有機溶媒を用いることを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  3. 請求項2に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法において、
    分散体生成工程は、ハロゲン元素としてF又はClを含む有機溶媒を用いることを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  4. 請求項3に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法において、
    分散体生成工程は、パーフルオロ化合物又はベンゼン誘導体の有機溶媒を用いることを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  5. 請求項1に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法において、
    分散体生成工程は、
    CF2CF2と、
    とを重合して得られる
    の構造式を有する電解質樹脂前駆体を用いることを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  6. 請求項5に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法において、
    分散体生成工程は、
    {x/(x+y)}×100の値が5以上50以下である電解質樹脂前駆体を用いることを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  7. 請求項6に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法において、
    分散体生成工程は、
    {x/(x+y)}×100の値が10以上20以下である電解質樹脂前駆体を用いることを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  8. 請求項1に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法において、
    分散体生成工程は、SO2F基を含有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体をパーフルオロヘキサン溶媒に添加し、
    複合膜生成工程は、多孔質のPTFE電解質膜基体に電解質前駆体分散体を塗布することを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  9. 固体高分子型の燃料電池用電解質膜の製造方法であって、
    SO2F基を10モル%〜20モル%含有するパーフルオロ電解質樹脂前駆体をパーフルオロヘキサン溶媒に質量比で20%以下添加し、これを粉砕処理して電解質前駆体分散体を生成する分散体生成工程と、
    平均細孔径が3μmのPTFE多孔質膜体に、電解質前駆体分散体を塗布乾燥し、これを繰り返し、200〜250℃で焼成して複合膜を生成する複合膜生成工程と、
    複合膜をアルカリ加水分解の後酸中和し、親水性の電解質膜を生成する親水処理工程と、
    を含むことを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  10. 固体高分子型の燃料電池用電解質膜であって、
    平均細孔径が3μmのPTFE多孔質膜体と、
    PTFE多孔質膜体の表面に生成され、親水処理により親水化された電解質前駆体分散体の焼成膜と、
    を備えることを特徴とする燃料電池用電解質膜。
  11. 請求項10に記載の燃料電池用電解質膜において、
    PTFE多孔質膜体は、1〜20μmの厚みを有し、
    焼成膜は、5〜30μmの厚みを有することを特徴とする燃料電池用電解質膜。
  12. 請求項11に記載の燃料電池用電解質膜において、
    その膜厚が50μm以下であることを特徴とする燃料電池用電解質膜。

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