JP2006321904A - 透明性樹脂組成物及びそれよりなる光学フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 透明性、耐熱性などに優れ、高温加工時の熱安定性に優れる透明性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 式(1)で表わされる繰り返し単位からなる環状オレフィン重合体100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤0.001〜2重量部を配合してなることを特徴とする透明性樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】 式(1)で表わされる繰り返し単位からなる環状オレフィン重合体100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤0.001〜2重量部を配合してなることを特徴とする透明性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、透明性、耐熱性などに優れ、高温加工時の熱安定性に優れる透明性樹脂組成物及びそれよりなる光学フィルムに関するものである。
近年、液晶ディスプレイ、有機EL、PDPなどに代表されるフラットパネルディスプレイは、薄型、軽量である特徴が市場ニーズにマッチし、急速に普及、あるいはその利用範囲を拡大している。これらのフラットパネルディスプレイにおいては、数々の高分子フィルムが用いられており、例えば偏光子保護フィルム、位相差フィルム、視野角補償フィルム、透明電極フィルム、光拡散フィルム、光反射フィルム、電磁波遮蔽フィルム、ディスプレイ表面保護フィルムなどに利用されている。そして、これら高分子フィルムには、ディスプレイの視認性を低下させないよう、非常に高い透明性と優れた表面平滑性および厚み精度が要求されることが一般的である。フラットパネルディスプレイに利用される光学フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、直鎖状ポリオレフィンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、熱硬化型樹脂フィルムなどを代表例として挙げることができる。
これらの光学フィルムに用いることができる樹脂には、使用環境に応じて、耐熱性等の諸特性が優れていることが要求される材料であり、種々の添加剤を用いることにより、材料の特性を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
光学フィルムの外観を悪化させる要因の一つとして、造粒工程、フィルム製造工程、延伸成形、貼り合せ、LCDの組立て等の後加工工程等にて起こり得る樹脂の熱劣化が挙げられる。樹脂の熱劣化は、ヤケやゲルの発生、黄変、透明性の低下、分解ガスの発生等を引き起こし、フィルムの外観を悪化させる恐れがあるため、光学フィルム用途に使用される透明性樹脂には高い熱安定性が求められる。
そこで、本発明は、透明性、耐熱性等に優れ、溶融フィルムを成膜可能な熱安定性に優れる透明性樹脂組成物及びそれよりなる光学フィルムを提供することを目的とする。
上記課題に関し、本発明者は鋭意検討した結果、特定の環状オレフィン重合体にフェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤を特定の割合で配合してなる透明性樹脂組成物が、負の複屈折性を示し、透明性、耐熱性などに優れ、高温成形時の熱安定性にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記の一般式(1)
で表わされる繰り返し単位からなる環状オレフィン重合体100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤0.001〜2重量部を配合してなることを特徴とする透明性樹脂組成物及びそれよりなる光学フィルムに関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる環状オレフィン重合体は一般式(1)で表される重合体であり、一般式(1)中のX及びYは独立にメチレン基、酸素原子、硫黄原子或いはテルル原子を表わし、nは0または正の整数を表わす。
一般式(1)で表される環状オレフィン重合体の製造方法としては、一般式(1)で表される環状オレフィン重合体が得られる限り如何なる方法でも可能であり、その中でも容易に一般式(1)で表される環状オレフィン重合体が得られることから、ビニルエーテル類と脂環式ジエン類のディールスアルダー反応により製造される重合性モノマーを重合し未水素化重合体を得た後、水素化する方法を用いることが好ましい。
重合性モノマーを得るのに用いられるビニルエーテル類としては、例えばトリシクロデカンビニルエーテルが挙げられ、脂環式ジエン類としては、例えばシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。
ビニルエーテル類と脂環式ジエン類のディールスアルダー反応における脂環式ジエン類のビニルエーテル類に対する仕込みモル比は0.6〜15が好ましく、特に好ましくは1.5〜10である。反応は無溶剤あるいは反応に不活性な溶媒中で行うことが可能であり、該溶媒としては、例えばペンタン、オクタン、ノナン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ハロゲン化アルカン類;ハロゲン化芳香族炭化水素類;カルボン酸エステル類;環状エーテル類;ジアルキルエーテル類等が例示される。また、反応温度は50〜300℃が好ましく、特に好ましくは100〜250℃、更に好ましくは180〜240℃である。反応方法は何ら制限はなく、バッチ反応及び連続反応の何れも用いることができ、その中でも経済性の面から連続反応が好ましい。
本発明で用いる環状オレフィン重合体を製造する際のディールスアルダー反応により製造される重合性モノマーを重合する方法としては、特に制限はなく、その中でもメタセシス開環重合が好ましい。その際に、重合を効率よく行うことが可能であることから、メタセシス開環重合触媒を用いることが好ましく、該メタセシス開環重合触媒としては、公知のものを用いることができ、例えばルテニウム、パラジウム、ロジウム、イリジウム、白金、タングステン、モリブデン、レニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(I)及び周期表1族、2族、3族、4族の金属化合物(II)を併用して用いることができる。
具体的なタングステン、モリブデン、レニウム化合物としては、例えばハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、カルボン酸塩、アセチルアセトナート配位物、酸化物のアセチルアセトナート配位物、アセトニトリル配位物、ヒドリド錯体等が例示され、その中でも高い重合活性が付与できることからハロゲン化物、オキシハロゲン化物等が好ましく、特にWCl6、WOCl4、MoCl5、MoOCl3、ReCl3、WCl2(OC6H5)4、MoO2(acac)2、W(OCOR)5が好ましく、さらにWCl6、MoCl5が好ましい。
また、具体的な周期表1族、2族、3族、4族の金属化合物としては、例えばn−ブチルリチウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、トリメチルガリウム、トリメチルスズ、n−ブチルスズ等が例示され、特にジエチルアルミニウムクロライド、テトラメチルスズ、テトラフェニルスズが好ましい。
金属化合物(I)及び金属化合物(II)の比率は金属原子のモル比として1/1〜1/30が好ましく、特に好ましくは1/2〜1/20の範囲である。また、活性向上剤としてアルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類等を添加してもよい。
メタセシス開環重合の際に分子量調節剤を用いることが可能であり、該分子量調節剤としては、例えばエチレン、1−ヘキセン、1−ヘプテン等のα―オレフィン類が好適に用いられ、これらは2種類以上併用することもできる。分子量調節剤の使用量は重合温度、重合触媒種及び重合触媒の量により適宜選択することが可能であり、その中でも仕込みモノマー1モルあたり0.001から0.5モルが好ましく、特に0.002から0.4モルが好ましい。
メタセシス開環重合に用いられる溶剤としては、例えばペンタン、オクタン、ノナン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ハロゲン化アルカン類;ハロゲン化芳香族炭化水素類;カルボン酸エステル類;環状エーテル類;ジアルキルエーテル類等が例示される。
また、メタセシス開環重合の際には、他のモノマーを用い共重合することも可能であり、該他のモノマーとしては、例えば1−ヘキセン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−8−デセン、トリシクロ[6.2.1.01,8]−9−ウンデセン、トリシクロ[6.2.1.01,8]−4−ウンデセン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−11−ペンタデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−ペンタデカ−4,11−ジエン等が例示され、その中でも1−ヘキセン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン等が好ましく、特に1−ヘキセンが好ましい。
本発明で用いる環状オレフィン重合体を得る際の未水素化重合体の水素化としては、特に制限はなく、その中でも反応効率よく一般式(1)で表される環状オレフィン重合体が得られることから、水素化触媒を用いることが好ましく、該水素化触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素化触媒を用いることができ、例えばパラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウム等をカーボン、シリカ、アルミナ、チタニアに坦持させた坦持触媒;ナフテン酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、オクテン酸コバルト、チタノセンジクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ルテニウムハイドライドトリフェニルホスフィン等の均一触媒が例示される。また、水素化を促進するために、触媒とともに助触媒を用いることが好ましく、該助触媒としては、例えばトリエチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム類、n−ブチルリチウム等のアルキルリチウム類を使用することができる。
用いる水素化触媒の形態は特に制限はなく、粉末状でも粒状でも問題なく用いることができる。水素化触媒の使用量は水素化するものに対して重量比で0.5〜2ppmが好適に用いられる。また、水素化率は通常60%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは98%以上である。
水素化の際の反応圧力は、常圧〜300気圧が好ましく、特に好ましくは3〜200気圧である。反応温度としては、0〜200℃が好ましく、特に好ましくは20〜180℃である。
水素化溶剤は特に制限はなく、上記の水素化反応条件において水素化されないものであればどのような溶剤を用いても良く、経済性、作業性の点から好ましくはメタセシス開環重合と共通のものを用いるのが好ましい。
本発明の透明性樹脂組成物は、特定の環状オレフィン重合体に対し、フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤を配合してなる負の複屈折性を示す透明性樹脂組成物であり、これら酸化防止剤は、透明性樹脂組成物の造粒工程、一次成形加工工程、二次成形加工工程等における熱劣化、ヤケやゲルの発生、黄変、透明性の低下、分解ガスの発生などを抑制するものであり、より具体的には特定の環状オレフィン重合体100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤0.001〜2重量部、特に好ましくは0.01〜1重量部、更に好ましくは0.2〜0.4重量部配合したものである。ここで、フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤の配合量が0.001重量部未満である場合は、得られる透明性樹脂組成物は高温加工時における熱安定性が乏しくなる。一方、2重量部を超える場合、配合量の増加に伴う熱安定性の改良効果が小さく、工業的な価値が見出せないばかりか、透明性樹脂組成物の透明性を低下させる場合がある。また、これら酸化防止剤はそれぞれ単独で用いても良く、併用して良く、その中でも特に相乗的に酸化防止効果が得られることから、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤を併用することが好ましく、その際の含有量としては、例えばフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤を100〜500重量部で含有することが好ましい。
本発明に用いられるフェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド)、ジエチル((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスフェート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)、ヘキサメチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス((4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられ、その中でも得られる透明性樹脂組成物が着色し難く極めて透明性に優れたものとなることから、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)であることが特に好ましい。
本発明に用いられるリン系酸化防止剤としては、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイトなどが挙げられ、その中でも得られる透明性樹脂組成物が着色し難く極めて透明性に優れたものとなることから、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸であることが特に好ましい。
また、本発明の透明性樹脂組成物は、特に高温加工時における酸化劣化が抑制され、熱安定性が更に向上した透明性樹脂組成物となることから、特定の環状オレフィン重合体100重量部に対して、更にラクトン系安定剤0.001〜2重量部、より好ましくは0.005〜1重量部、特に好ましくは0.04〜0.1重量部を配合してなることが好ましい。該ラクトン系安定剤としては、例えば3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−3H−ベンゾフラン−2−オンが挙げられる。
更に、本発明の透明性樹脂組成物は、イオウ系酸化防止剤など、その他酸化防止剤を含有しても良く、イオウ系酸化防止剤としては、例えばジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。その他の酸化防止剤としては、例えば6−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ)−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン、3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オールなどが挙げられる。
本発明の透明性樹脂組成物は、前述の特定の環状オレフィン重合体並びにフェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤を一般的な混合、混練を行うことにより製造することができ、その際の混合、混練装置としては、例えば単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、ロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を挙げることができる。また、溶媒中にそれぞれの成分を溶解、あるいは分散させて混合する方法であっても良い。
さらに、本発明の透明性樹脂組成物には可視光線、紫外線、近赤外線などの光の照射による熱着色や光劣化を防止する目的で、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤などを必要に応じて含有しても良い。また、流動性、靱性を付与する目的にて、透明性を損なわない範囲において、可塑剤を必要に応じて含有しても良い。更に、顔料、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、染料、オイルなどを必要に応じて含有しても良く、透明性が損なわれない場合においてのみその他の樹脂を含有しても良い。
本発明の透明性樹脂組成物は、従来公知の成形方法により成形体とすることができ、例えば射出成形、射出圧縮成形、ガスアシスト法射出成形、押出成形、多層押出成形、回転成形、熱プレス成形、ブロー成形、発泡成形などの方法により、射出成形体、チューブ、シート、フィルム、パイプ、ボトルなどに成形することができる。その中でも特に、透明性、耐熱性、外観の優れたフィルムとなることから光学フィルムとすることが好ましい。該光学フィルムとしては、高い透明性が要求されるLCDなどの表示装置に用いることが可能となることから、ヘイズが1%以下且つイエローインデックス(YI)が2以下であることが好ましく、特にヘイズが0.7%以下且つイエローインデックス(YI)が1以下であることが好ましい。
本発明の透明性樹脂組成物は耐熱性、加工性、機械強度に優れることから、光学フィルムの中でも特に位相差フィルムとすることが好ましい。該位相差フィルムの製造方法としては、例えばキャスティング法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法などの公知公用の方法により原反フィルムとした後、該原反フィルムを延伸成形加工することにより得られる。延伸加工工程としては、例えば原反フィルムを成形する工程内で連続して行う工程;原反フィルムを一旦巻き取った後、該フィルムを延伸加工装置に供して延伸加工する工程;等がある。また、フィルムの延伸方法は、一般的にフィルム面内方向に延伸するフラット法延伸とチューブ状に膨らませて延伸するチューブラ法延伸に大分類され、その中でも厚み及び延伸倍率の精度の高いフラット法延伸が特に好ましい。またフラット法延伸は、一軸延伸法と二軸延伸法に分類され、一軸延伸法としては、例えば自由幅一軸延伸法と一定幅一軸延伸法がある。一方、二軸延伸法としては、例えば二段階自由幅二軸延伸法、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法等があり、さらに逐次二軸延伸には全テンター方式とロールテンター方式がある。本発明の透明性樹脂組成物から位相差フィルムを製造するための延伸方法は、上記延伸方法のいずれを用いても良く最も適した方法を選択できる。
更に、延伸成形加工する際には、示差走査熱量計により昇温速度10℃/minで測定した透明性樹脂組成物のガラス転移温度−20℃〜ガラス転移温度+20℃の温度範囲で延伸することが好ましい。
位相差フィルムは、LCD用の光学補償部材として好適に用いることができ、例えばSTN型LCD、TFT−TN型LCD、OCB型LCD、VA型LCD、IPS型LCDなどのLCD用の位相差フィルム;1/2波長板;1/4波長板;逆波長分散特性フィルム;偏光板の視野角補償フィルムなどの光学補償部材を挙げることができる。また、その他の光学フィルムとして、例えば有機EL、PDP、複写機、プリンター、ファクシミリ、タッチパネル、光ファイル等の情報機器に使用される位相差フィルム、反射防止フィルム;LCDなどのフラットパネルディスプレイに使用される偏光膜保護フィルム、リフレクターフィルム、セパレーターフィルム、光拡散フィルム、透明電極フィルム基板、ディスプレイ表面の保護フィルム、アンチグレアフィルム、アンチリフレクションフィルム、電磁波遮蔽フィルム、紫外線吸収フィルム、遠赤外線吸収フィルムなどにも好適に用いることができる。
本発明の透明性樹脂組成物は、光学フィルム以外のフィルムとしても好適に使用することができ、例えば下記の用途を挙げることができる。
記録分野:静電記録基板、OHP、第2原図、スライドフィルム、マイクロフィルム、X線フィルム
光・磁気メモリー分野:サーモ・プラスチック・レコーディング、強誘電体メモリー、磁気テープ、IDカード、バーコード
帯電防止分野分野:メーター類の窓、テレビのブラウン管、クリーンルーム窓、半導体包装材料、フォトマスク用防塵フィルム
電磁波遮蔽分野:計測器、医療機器、放射線検出器、IC部品、CRT
光電変換素子分野:太陽電池の窓、光増幅器、光センサー
熱線反射分野:窓(建築、自動車等)、白熱電球、調理オーブンの窓、炉の覗き窓、選択透過膜
面状発熱体分野:デフロスタ、航空機、自動車、冷凍庫、保育器、ゴーグル、医療機器、液晶表示装置
電子部品・回路材料分野:コンデンサー、抵抗体、薄膜複合回路、リードレスLSIチップキャリアの実装、ドライフィルムレジスト
電極分野:ペーパーバッテリー用電極
光透過フィルター分野:紫外線カットフィルター、紫外線透過フィルター、紫外線透過可視光吸収フィルター、色分解フィルター、色温度変換フィルター、ニュートラルデンシティフィルター、コントラストフィルター、波長校正フィルター、干渉フィルター、赤外線透過フィルター、赤外線カットフィルター、熱線吸収フィルター、熱線反射フィルター
ガス選択透過性膜分野:酸素/窒素分離膜、二酸化炭素分離膜、水素分離膜
電気絶縁分野:絶縁粘着テープ、モーターのスロットライナ、変圧機の相間絶縁、リード線の絶縁、高電圧ケーブルの絶縁被覆
高分子センサー分野:光センサー、赤外線センサー、音波センサー、圧力センサー
表面保護分野:CRT、家具、システムキッチン、自動車内外装、塗装保護フィルム
摺動材分野:ホッパー・シュートの内張り、ベルトコンベアのすべり材、ガイドレールのすべり材、複写機の紙送りローラー、コンピュータ−マウス
多孔質フィルム分野:透湿防水材、精密濾過膜用のフィルター材
その他分野:通電熱転写、プリンターリボン、電線ケーブルシールド、漏水防止フィルム、電池用セパレートフィルム。
記録分野:静電記録基板、OHP、第2原図、スライドフィルム、マイクロフィルム、X線フィルム
光・磁気メモリー分野:サーモ・プラスチック・レコーディング、強誘電体メモリー、磁気テープ、IDカード、バーコード
帯電防止分野分野:メーター類の窓、テレビのブラウン管、クリーンルーム窓、半導体包装材料、フォトマスク用防塵フィルム
電磁波遮蔽分野:計測器、医療機器、放射線検出器、IC部品、CRT
光電変換素子分野:太陽電池の窓、光増幅器、光センサー
熱線反射分野:窓(建築、自動車等)、白熱電球、調理オーブンの窓、炉の覗き窓、選択透過膜
面状発熱体分野:デフロスタ、航空機、自動車、冷凍庫、保育器、ゴーグル、医療機器、液晶表示装置
電子部品・回路材料分野:コンデンサー、抵抗体、薄膜複合回路、リードレスLSIチップキャリアの実装、ドライフィルムレジスト
電極分野:ペーパーバッテリー用電極
光透過フィルター分野:紫外線カットフィルター、紫外線透過フィルター、紫外線透過可視光吸収フィルター、色分解フィルター、色温度変換フィルター、ニュートラルデンシティフィルター、コントラストフィルター、波長校正フィルター、干渉フィルター、赤外線透過フィルター、赤外線カットフィルター、熱線吸収フィルター、熱線反射フィルター
ガス選択透過性膜分野:酸素/窒素分離膜、二酸化炭素分離膜、水素分離膜
電気絶縁分野:絶縁粘着テープ、モーターのスロットライナ、変圧機の相間絶縁、リード線の絶縁、高電圧ケーブルの絶縁被覆
高分子センサー分野:光センサー、赤外線センサー、音波センサー、圧力センサー
表面保護分野:CRT、家具、システムキッチン、自動車内外装、塗装保護フィルム
摺動材分野:ホッパー・シュートの内張り、ベルトコンベアのすべり材、ガイドレールのすべり材、複写機の紙送りローラー、コンピュータ−マウス
多孔質フィルム分野:透湿防水材、精密濾過膜用のフィルター材
その他分野:通電熱転写、プリンターリボン、電線ケーブルシールド、漏水防止フィルム、電池用セパレートフィルム。
また、本発明の透明性樹脂組成物はフィルム以外の用途にも好適に使用することができ、その例として電気・電子機器に使用されるリレー、バーンインソケット、コネクター、センサーハウジング、可変抵抗器、ポリバリコンケース、エアレーション用ボビン、トランジスタ、IC、LSI、LED等の封止材、ICカードのICメモリーの封止材、モーター、コンデンサー、スイッチ、センサー等の封止材;カメラ、VTR、プロジェクター等の映像機器に使用される撮影用レンズ、ファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズ、ボディ材等;CDプレーヤー、DVDプレーヤー、MDプレーヤー、ゲーム機器等の光記録機器に使用されるカード、ディスク、ピックアップレンズ等;光通信分野で使用される光ファイバー、光スイッチ、光コネクター等;LCD、有機EL、PDP、複写機、プリンター、ファクシミリ、タッチパネル、光ファイル等の情報機器に使用される導光板、ライトガイド、フレネルレンズ、プリズムシート、光拡散シート、透明電極シート基板、ディスプレイの表面保護シート、インクタンク、カバー類、ボディ材等;自動車、電車などの車両分野で使用されるメーター類、ランプ類、レンズ類、ソケット、ヒューズケース、計器カバー等;医療機器分野で使用される眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、内視鏡レンズ、注射器、人口透析器、薬液容器、義歯、アンプルカッター容器等;建材分野における採光窓、ドア、監視カメラレンズ、カーポート、テラス、照明部品等;日用品分野で使用される照明部品、玩具、サングラス、文房具、化粧品容器、釣り具、食品用容器、飲料水用容器などが挙げられる。
本発明により得られる透明性樹脂組成物は、透明性、耐熱性などに優れ、高温加工時の熱安定性に優れることから、光学フィルムなどに好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本実施例は何ら本発明を制限するものではない。実施例に用いた原料及び入手は下記の通りであり、他の試薬については断りのない限り市販品を用いた。
ジシクロペンタジエン:和光純薬 試薬一級
トリシクロデカンビニルエーテル:丸善石油化学製TCD−VE
ヒドロキノン:和光純薬 試薬一級
合成例及び実施例に示された諸物性は以下の方法により測定した。
トリシクロデカンビニルエーテル:丸善石油化学製TCD−VE
ヒドロキノン:和光純薬 試薬一級
合成例及び実施例に示された諸物性は以下の方法により測定した。
〜重量平均分子量〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、標準ポリスチレン換算値として求めた。
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、標準ポリスチレン換算値として求めた。
〜1H−NMR測定〜
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GSX270型)を用い、60℃重トルエン中にて1H−NMRを測定することにより、組成、水素化率を算出した。
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GSX270型)を用い、60℃重トルエン中にて1H−NMRを測定することにより、組成、水素化率を算出した。
〜ガラス転移温度〜
示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/分の昇温速度にて測定した。
示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/分の昇温速度にて測定した。
〜全光線透過率〜
日本分光(株)製 紫外可視分光器(V530)を用い、フィルム中心部の全光線透過率を測定した。
日本分光(株)製 紫外可視分光器(V530)を用い、フィルム中心部の全光線透過率を測定した。
〜ヘイズ〜
JIS K7136に準拠して測定した。
JIS K7136に準拠して測定した。
〜イエローインデックス(YI)〜
JIS K7105に準拠して測定した。
JIS K7105に準拠して測定した。
〜表面平滑性〜
(株)キーエンス製 レーザー顕微鏡(VK−8550)を用い、中心線平均粗さ(Ra)を求め、この値が小さい場合に表面平滑性に優れることとした。
(株)キーエンス製 レーザー顕微鏡(VK−8550)を用い、中心線平均粗さ(Ra)を求め、この値が小さい場合に表面平滑性に優れることとした。
参考例1(重合性モノマーの合成)
300mlのガラス製蒸留装置に100mlのジシクロペンタジエンを仕込み、マントルヒータ−で220℃に加熱して、熱分解により生成したシクロペンタジエンの沸点39.5℃の留分をドライアイスメタノール浴で冷却した受器中に液化させる手法で分離した。
300mlのガラス製蒸留装置に100mlのジシクロペンタジエンを仕込み、マントルヒータ−で220℃に加熱して、熱分解により生成したシクロペンタジエンの沸点39.5℃の留分をドライアイスメタノール浴で冷却した受器中に液化させる手法で分離した。
次に、シクロペンタジエン16.26グラム(0.247モル)、トリシクロデカンビニルエーテル76g(0.37モル)、及びヒドロキノン0.1グラム(1ミリモル)を300mlのステンレス製オートクレーブに仕込み、窒素置換した後、220℃に加熱し、加熱状態で5時間反応させた。その後、反応器を冷却し、内容物から原料であるトリシクロデカンビニルエーテルを減圧蒸留により分離し、更にシクロペンタジエンが付加したトリシクロデカンビニルエーテル(トリシクロデカニル−トリシクロデセニルエーテル)(モノマー1)を主成分として含むモノマー1を分離した。収量は8グラムであった。
なお、得られたモノマー1は、一般式(2)で表されるシクロペンタジエン1モルが付加したもの(成分I)に加えて、一般式(3)で表される成分Iに更にシクロペンタジエンが付加したもの(成分II)を含んでおり、これら成分の存在比は成分I:成分II=90:10(重量比)であった。生成物の存在比は1H−NMRによる二重結合部分、メチン、及びメチレン部の水素の強度比から計算したものと一致した。
窒素置換した300mlの反応器に、シクロヘキサン100ml、参考例1で得られたモノマー1 8グラム、触媒として六塩化タングステンの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液2ml及びジエチルアルミニウムクロライドの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液0.2mlを仕込み、窒素気流下、60℃で、攪拌速度100rpmにて攪拌下、5時間反応させた。得られた反応溶液をメタノールに注ぎ単離し、メタノールで数回洗浄を行った後、40℃で一昼夜減圧乾燥を行い、7.9gの未水素化重合体を得た。GPC測定により、得られた未水素化重合体の重量平均分子量は120000であった。
得られた未水素化重合体7グラム、トルエン30グラム、ルテニウムハイドライドトリフェニルホスフィン錯体0.1mgを100ccのステンレスオートクレーブに仕込み攪拌して、均一な溶液を得た。引き続き、水素ガス圧10MPa、温度160℃において、4時間攪拌下、水素化反応を行った。反応溶液を冷却後、過剰な水素を放出、脱圧後、反応溶液を大量の塩酸−メタノール溶液に注ぎ、単離し、50℃で一昼夜減圧乾燥して7gの環状オレフィン重合体を得た。この環状オレフィン重合体の重量平均分子量は150000、ガラス転移温度は171℃であった。また、水素化率は99.5%であった。
合成例2(環状オレフィン重合体の合成)
窒素置換した500mlの反応器に、シクロヘキサン180ml、参考例1で得られたモノマー1 20グラム、触媒として六塩化タングステンの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液4ml及びジエチルアルミニウムクロライドの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液0.4mlを仕込み、窒素気流下、60℃で、攪拌速度100rpmにて攪拌下、5時間反応させた。得られた未水素化重合体にルテニウムハイドライドトリフェニルホスフィン錯体0.2mgを仕込み、更に水素ガスを圧入し10MPaの圧力下、温度160℃において、5時間攪拌下、水素化反応を行った。反応溶液を冷却後、過剰な水素を放出、脱圧後、反応溶液を大量の塩酸−メタノール溶液に注ぎ、単離し、50℃で一昼夜減圧乾燥して14gの環状オレフィン重合体を得た。この環状オレフィン重合体の重量平均分子量は120000、ガラス転移温度は171℃であった。また、水素化率は99.4%であった。
窒素置換した500mlの反応器に、シクロヘキサン180ml、参考例1で得られたモノマー1 20グラム、触媒として六塩化タングステンの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液4ml及びジエチルアルミニウムクロライドの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液0.4mlを仕込み、窒素気流下、60℃で、攪拌速度100rpmにて攪拌下、5時間反応させた。得られた未水素化重合体にルテニウムハイドライドトリフェニルホスフィン錯体0.2mgを仕込み、更に水素ガスを圧入し10MPaの圧力下、温度160℃において、5時間攪拌下、水素化反応を行った。反応溶液を冷却後、過剰な水素を放出、脱圧後、反応溶液を大量の塩酸−メタノール溶液に注ぎ、単離し、50℃で一昼夜減圧乾燥して14gの環状オレフィン重合体を得た。この環状オレフィン重合体の重量平均分子量は120000、ガラス転移温度は171℃であった。また、水素化率は99.4%であった。
合成例3(環状オレフィン重合体の合成)
窒素置換した500mlの反応器に、シクロヘキサン180ml、参考例1で得られたモノマー1 20グラム、1−ヘキセン0.015g、六塩化タングステンの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液4ml及びジエチルアルミニウムクロライドの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液0.4mlを仕込み、窒素気流下、60℃で、攪拌速度100rpmにて攪拌下、5時間反応させた。得られた未水素化重合体にルテニウムハイドライドトリフェニルホスフィン錯体0.2mgを仕込み、更に水素ガスを圧入し10MPaの圧力下、温度160℃において、5時間攪拌下、水素化反応を行った。反応溶液を冷却後、過剰な水素を放出、脱圧後、反応溶液を大量の塩酸−メタノール溶液に注ぎ、単離し、50℃で一昼夜減圧乾燥して14gの環状オレフィン重合体を得た。この環状オレフィン重合体の重量平均分子量は60000、ガラス転移温度は170℃であった。また、水素化率は99.8%であった。
窒素置換した500mlの反応器に、シクロヘキサン180ml、参考例1で得られたモノマー1 20グラム、1−ヘキセン0.015g、六塩化タングステンの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液4ml及びジエチルアルミニウムクロライドの濃度0.1モル/lのクロロベンゼン溶液0.4mlを仕込み、窒素気流下、60℃で、攪拌速度100rpmにて攪拌下、5時間反応させた。得られた未水素化重合体にルテニウムハイドライドトリフェニルホスフィン錯体0.2mgを仕込み、更に水素ガスを圧入し10MPaの圧力下、温度160℃において、5時間攪拌下、水素化反応を行った。反応溶液を冷却後、過剰な水素を放出、脱圧後、反応溶液を大量の塩酸−メタノール溶液に注ぎ、単離し、50℃で一昼夜減圧乾燥して14gの環状オレフィン重合体を得た。この環状オレフィン重合体の重量平均分子量は60000、ガラス転移温度は170℃であった。また、水素化率は99.8%であった。
実施例1
合成例1により得られた環状オレフィン重合体100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.05重量部、リン系酸化防止剤としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.15重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は170℃であった。
合成例1により得られた環状オレフィン重合体100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.05重量部、リン系酸化防止剤としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.15重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は170℃であった。
次いで、得られた樹脂組成物をTダイスを設置した二軸押出機に供し、Tダイスの温度265℃、冷却ロールの温度135℃の条件で押出し、厚み100μmのフィルムを得、該フィルムを一片200mmの正方形に裁断し、フィルムの厚み、全光線透過率、ヘイズ、YI、Raを測定した。その結果を表1に示す。得られたフィルムは、透明性、色調、外観に優れ、光学フィルムに好適であった。
実施例2
合成例2により得られた環状オレフィン重合体100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤としてエチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)0.06重量部、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.2重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は170℃であった。
合成例2により得られた環状オレフィン重合体100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤としてエチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)0.06重量部、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.2重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は170℃であった。
次いで、得られた樹脂組成物をTダイスを設置した二軸押出機に供し、Tダイスの温度270℃、冷却ロールの温度135℃の条件で押出し、厚み100μmのフィルムを得、該フィルムを一片200mmの正方形に裁断し、フィルムの厚み、全光線透過率、ヘイズ、YI、Raを測定した。その結果を表1に示す。得られたフィルムは、透明性、色調、外観に優れ、光学フィルムに好適であった。
実施例3
合成例3により得られた環状オレフィン重合体100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.1重量部、リン系酸化防止剤としてビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸0.25重量部、ラクトン系安定剤として3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−3H−ベンゾフラン−2−オン0.045重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は170℃であった。
合成例3により得られた環状オレフィン重合体100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.1重量部、リン系酸化防止剤としてビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸0.25重量部、ラクトン系安定剤として3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−3H−ベンゾフラン−2−オン0.045重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は170℃であった。
次いで、得られた樹脂組成物をTダイスを設置した二軸押出機に供し、Tダイスの温度275℃、冷却ロールの温度135℃の条件で押出し、厚み100μmのフィルムを得、該フィルムを一片200mmの正方形に裁断し、フィルムの厚み、全光線透過率、ヘイズ、YI、Raを測定した。その結果を表1に示す。得られたフィルムは、透明性、色調、外観に優れ、光学フィルムに好適であった。
実施例4
合成例1により得られた環状オレフィン重合体100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.1重量部、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.2重量部、ラクトン系安定剤として3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−3H−ベンゾフラン−2−オン0.1重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は169℃であった。
合成例1により得られた環状オレフィン重合体100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.1重量部、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.2重量部、ラクトン系安定剤として3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−3H−ベンゾフラン−2−オン0.1重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は169℃であった。
次いで、得られた樹脂組成物をTダイスを設置した二軸押出機に供し、Tダイスの温度275℃、冷却ロールの温度135℃の条件で押出し、厚み100μmのフィルムを得、該フィルムを一片200mmの正方形に裁断し、フィルムの厚み、全光線透過率、ヘイズ、YI、Raを測定した。その結果を表1に示す。得られたフィルムは、透明性、色調、外観に優れ、光学フィルムに好適であった。
比較例1
合成例1により得られた環状オレフィン重合体を、酸化防止剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にフィルムとした。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。得られたフィルムは光学等方性および厚み精度に優れていたが、YIの高いものであった。
合成例1により得られた環状オレフィン重合体を、酸化防止剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にフィルムとした。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。得られたフィルムは光学等方性および厚み精度に優れていたが、YIの高いものであった。
比較例2
合成例2により得られた環状オレフィン重合体を、酸化防止剤を添加しなかった以外は実施例2と同様にフィルムとした。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。得られたフィルムは光学等方性および厚み精度に優れていたが、YIの高いものであった。
合成例2により得られた環状オレフィン重合体を、酸化防止剤を添加しなかった以外は実施例2と同様にフィルムとした。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。得られたフィルムは光学等方性および厚み精度に優れていたが、YIの高いものであった。
比較例3
合成例3により得られた環状オレフィン重合体を、酸化防止剤を添加しなかった以外は実施例3と同様にフィルムとした。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。得られたフィルムは光学等方性および厚み精度に優れていたが、YIの高いものであった。
合成例3により得られた環状オレフィン重合体を、酸化防止剤を添加しなかった以外は実施例3と同様にフィルムとした。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。得られたフィルムは光学等方性および厚み精度に優れていたが、YIの高いものであった。
Claims (6)
- フェノール系酸化防止剤が、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上のフェノール系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1に記載の透明性樹脂組成物。
- リン系酸化防止剤が、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種以上のリン系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1に記載の透明性樹脂組成物。
- 上記一般式(1)で表わされる繰り返し単位からなる環状オレフィン重合体100重量部に対し、さらにラクトン系安定剤0.001〜2重量部を配合してなることを特徴とする請求項1〜3に記載の透明性樹脂組成物。
- 請求項1〜4に記載の透明性樹脂組成物からなることを特徴とする光学フィルム。
- ヘイズ1%以下且つイエローインデックス(YI)が2以下であることを特徴とする請求項5に記載の光学フィルム。
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