JP2006320365A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】中間保持位置で保持している上糸の長さを糸の種類にかかわらずに適切な長さにする。
【解決手段】本発明に係るミシンは、上糸を下板1と先端部材2との間に単に挿通させて当該上糸を屈曲させながら保持する保持手段Aと、保持手段Aの部材間の間隔を変更する駆動手段(図示略)と、保持手段Aの部材間の間隔を設定する第1の設定手段(図示略)と、保持手段Aの部材間の間隔が前記第1の設定手段による設定値に応じた間隔となるように前記駆動手段を作動させる制御手段(図示略)と、を備えている。
【選択図】図13

Description

本発明は、生地に対する縫製に際して縫い始めに上糸の端部を針板の下方で保持可能な上糸保持機能付きミシンに関する。
従来から、生地に対する縫製に際して第1針目の針に挿通された上糸の端部を針板の下方の所定位置で保持する上糸保持装置が知られており、当該装置の作用により、縫い始めの針先に残る上糸の長さを安定させたり、縫い始めの縫い目を確実に形成したりすることができるようになっている(特許文献1参照)。
具体的に特許文献1に開示された上糸保持装置では、始めに、上糸を2つの部材(下板1,先端部材2)間に単に挿通させて、その上糸を屈曲させながら弱い保持力で保持し、その後、それら各部材を互いに当接させて、上糸を強い保持力で保持するようになっており、特許文献1の記載中では、上糸に対して、弱い保持力を作用させる位置を「中間保持位置」と、その後に強い保持力を作用させる位置を「上糸保持位置」としている。
そして、当該上糸保持装置では、中間保持位置で上糸を保持することにより、天秤による上糸の引き上げ時において当該上糸を天秤で引き上げつつもそれに対し適度な抵抗(摩擦力)を付与し、縫い始めの針先に残る上糸の長さを一定に保つことができるようになっている。他方、上糸保持位置で上糸を保持することによっては、第2針目以降の針落ちに伴う縫製時において当該上糸を堅く保持し、縫い始めの縫い目を確実に形成することができるようになっている。
特開2004−167007号公報
しかしながら、特許文献1に記載の上糸保持装置では、上糸を保持する2つの部材(下板1,先端部材2)の移動量がモータに出力するパルス信号のパルス数で予め設定されているため、上記中間保持位置と上糸保持位置とが事前に設定された固定位置となっており(段落番号0077参照)、下記のような不都合を生じる可能性がある。
すなわち、中間保持位置が固定されているから、縫製用の上糸として、通常のものより太い糸や太さが不均一で凹凸のある糸、部材との間で摩擦を生じ易い素材の糸等が使用されたときは、天秤による上糸の引き上げ時に当該上糸と部材との間で大きな摩擦力が生じ、天秤による上糸の引き上げ量が所定量に達しなくなる。つまり、天秤による上糸の引き上げ力と当該上糸の保持力とのバランスがやや崩れ(上糸の保持力が天秤の引き上げ力に極端に優り)、縫い始めの針先に残る上糸の長さが必要以上に長くなってしまう。
この場合においては、更に上糸保持位置も固定されているから、上糸が必要以上に長い長さのまま保持され、その下方で駆動される回転釜と接触してその接触により汚れる。
本発明の目的は、中間保持位置で保持している上糸の長さを糸の種類にかかわらずに適切な長さにすることであり、本発明の他の目的は、上糸保持位置において保持している上糸が回転釜に接触して汚れるのを防止することである。
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明のミシンは、
針板と回転釜との間に配置され、針に挿通された縫い始めの上糸を部材間に挿通させて当該上糸を屈曲させながら保持する保持手段と、
中間保持位置での前記保持手段の部材間の間隔を変更する駆動手段と、
前記保持手段の部材間の間隔を設定する第1の設定手段と、
前記保持手段の部材間の間隔が前記第1の設定手段による設定値に応じた間隔となるように前記駆動手段を作動させる制御手段と、
を備えることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のミシンにおいて、
前記制御手段が、
前記保持手段の部材間の間隔を前記第1の設定手段による設定値に応じた間隔とするように前記駆動手段を作動させたら、その後前記駆動手段の作動を停止させることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、
針板と回転釜との間に配置され、針に挿通された縫い始めの上糸を部材間に挿通させて当該上糸を屈曲させながら保持する保持手段と、
前記保持手段の上糸保持位置を変更する駆動手段と、
前記保持手段の上糸保持位置を設定する第2の設定手段と、
前記保持手段の上糸保持位置が前記第2の設定手段による設定値に応じた位置となるように前記駆動手段を作動させる制御手段と、
を備えることを特徴としている。
請求項1に記載の発明では、制御手段が、保持手段の部材間の間隔を第1の設定手段による設定値に応じた間隔とするように駆動手段を作動させるから、第1の設定手段の操作で保持手段の部材間の間隔を適宜変更可能であり、天秤による上糸の引き上げ時に生じる当該上糸と部材との間の摩擦力を当該上糸の種類に応じて変更することができる。そのため、縫製用の上糸として、通常のものより太い糸や太さが不均一で凹凸のある糸、部材との間で摩擦を生じ易い素材の糸等が使用されても、天秤による上糸の引き上げ力と当該上糸の保持力とのバランスを一定に保つことができ、ひいては中間保持位置で保持している上糸の長さを糸の種類にかかわらずに適切な長さにすることができる。
請求項2に記載の発明では、制御手段が駆動手段を作動させた後にその作動を停止させるから、駆動手段が停止した状態においては、上糸は縫製モードに係る処理の途中であっても保持手段の部材間に単に挿通されたままにその部材から垂れ下がった状態で静止する。そのため、縫製モードに係る処理の途中で、作業者はその垂れ下がった上糸に実際に手で触れることができ、その上糸と部材との間で生じる摩擦力を確かめることができる(その後の縫製に際して天秤による上糸の引き上げと当該上糸の保持とが適切に行われるか否かを確認することができる。)。
請求項3に記載の発明では、制御手段が、保持手段の上糸保持位置を第2の設定手段による設定値に応じた位置とするように駆動手段を作動させるから、第2の設定手段の操作で保持手段の上糸保持位置を適宜変更可能であり、保持手段の上糸保持位置を回転釜から引き離すことができる。そのため、上糸が必要以上に長い長さで保持されていても、その上糸が回転釜と接触するのを防止することができ、回転釜との接触で上糸が汚れるのを防止することができる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。以下の説明にあたっては、図中に示したXYZ軸によりそれぞれの方向を定めるものとする。Z軸方向は針(52)の上下動と平行な方向であり、X軸・Y軸方向はZ軸方向に垂直な面上で互いに直交する2方向である。特に、X軸方向における「+側を左」,「−側を右」と、Y軸方向における「+側を前」,「−側を後」と、Z軸方向における「+側を上」,「−側を下」と表現する。
図1に示すように、ミシン100は、略水平なベッド面31aを有するベッド部31と、ベッド部31の後端部に立設された縦胴部32と、縦胴部32の上部からベッド部31と略平行になるように前方に延出するアーム部33と、による概観概略形状を有している。
ミシン100は、針52が取り付けられた針棒35をアーム部33の前端部の下部において上下動させる針棒駆動機構と、天秤44をアーム部33の前端部の側部において上下動させる天秤駆動機構と、ベッド部31の内部において回転釜90を回動させる回転釜駆動機構と、ベッド部31の内部で針板50の針穴51と回転釜90との間に配置され、上糸の端部を保持する上糸保持装置60と、を備えている。
針棒駆動機構は、主軸モータ36と、主軸モータ36の作動に伴って回転駆動される主軸(図示略)と、主軸の回転運動を上下の往復運動に変換して針棒35に伝動する伝動手段(図示略)等により構成されている。この針棒駆動機構により、主軸モータ36の主軸の1回転に伴い、針棒35(針52)が1往復の上下動をするようになっている(図10参照)。
主軸モータ36の主軸には公知のエンコーダ36a(図5参照)が設けられている。エンコーダ36aは主軸モータ36の主軸の回転角度を検知するもので、例えば、主軸モータ36の主軸が1°回転するごとにパルス信号を制御手段70(図5参照)に出力するようになっている。
針52の下端部には糸通し孔が形成されており、上糸供給源から導き出された上糸は、後述する上糸調節機構39や天秤44を介して針52に至り、その糸通し孔を通っている。針52は、針棒35に連動して上下動するもので、ベッド部31のベッド面31aに設けられた針板50に形成されている針穴51を通ってベッド部31内に挿入され、ベッド部31内の回転釜90側へ上糸を送り込むようになっている。
天秤駆動機構は、主軸モータ36の主軸の回転運動を利用して、当該主軸の回転運動を上下の往復運動に変換して天秤44に伝動するものである。この天秤駆動機構により、主軸モータ36の主軸の1回転に伴い、天秤44が1往復の上下動をするようになっている(図10参照)。
天秤44が上下に往復移動する周期は針棒35が上下に往復移動する周期と同じであるが、天秤44の位相と針棒35の位相とは互いに異なっており、針棒35が上死点に位置するタイミングと天秤44が上死点に位置するタイミングとがややずれている(針棒35が下死点に位置するタイミングと天秤44が下死点に位置するタイミングとがややずれている。図10参照)。
天秤44には糸通し孔が形成されており、上糸供給源から導き出された上糸は、後述する上糸調節機構39を介して天秤44に至り、その糸通し孔を通って針52へ通じている。
天秤44が下死点に位置した場合には、当該天秤44は針棒35に最も近づいた位置に位置し、上糸供給源から生地に到達するまでの経路長が短くなるようになっている。このとき、上糸の張力が低減され、上糸供給源から針52への上糸の供給が妨げられず、回転釜90が上糸ループを広げる際に上糸を弛ませるだけの余裕ができるようになっている。
他方、天秤44が上死点に位置した場合には、天秤44は針棒35から最も離れた位置に位置し、上糸に張力を与えながら上糸供給源から上糸を繰り出すとともに、生地裏で形成される上糸ループを引いたりするようになっている。
上糸調節機構39は、上糸の経路を案内する糸案内部材41,43と、上糸に張力を付与する糸調子装置45と、上糸の張力により上糸の経路を調節する糸取りバネ42等により構成されている。
糸案内部材41は上糸供給源から導き出された上糸を糸調子装置45へ案内するもので、糸案内部材43は糸調子装置45を通過した上糸を天秤44へ案内するものである。
糸調子装置45は、糸案内部材41から導かれた上糸を可動皿と固定皿との間に挟み込む調子皿組46等により構成されており、調子皿組46が挟み込む上糸に所定の押圧力を作用させ、上糸に張力を付与するようになっている。
糸取りバネ42は、調子皿組46を中心に揺動するもので、糸調子装置45と糸案内部材43との間に配置されている。調子皿組46から導かれた上糸は当該糸取りバネ42に掛けられている。
この上糸に張力がほとんど作用していない場合においては、糸取りバネ42は調子皿組46を中心に時計回り側(図1の方向から見た場合)に位置するようになっている。このとき、調子皿組46から糸取りバネ42を経て糸案内部材43に到る上糸の経路は逆V字状に屈曲し、調子皿組46から糸案内部材43までの間の上糸に負荷が付与されるようになっている。
そして、上糸に作用する張力が大きくなるにつれて、糸取りバネ42は調子皿組46を中心に反時計回り側(図1の方向から見た場合)に位置し始め、上糸の張力が所定値に達すると、調子皿組46から糸取りバネ42を経て糸案内部材43に到る上糸の経路は直線状を呈し、調子皿組46から糸案内部材43までの間の上糸の負荷が軽減されるようになっている。以上の構成により、上糸の張力が調整されるようになっている。
回転釜駆動機構は、主軸モータ36の主軸の回転運動を往復回動に変換して釜軸91に伝達するものである。釜軸91は前後方向に支持されており、当該釜軸91の往復回動に基づき、回転釜90が往復回動するようになっている。
回転釜90は針52(針棒35)の直下に配置されており、針板50の針穴51から下降した針52から上糸を捕捉する剣先92と、下糸が巻回されたボビン(図示略)とを具備している。
回転釜駆動機構は、針52が上下に1回往復運動する間に回転釜90が回動運動を行い、剣先92が下降してきた針52から上糸を補足して上糸ループを形成し、引き続き回転釜90が回動することでその上糸ループを広げ、その後ボビンの下糸を当該上糸ループに通すようになっている。このような針52と回転釜90との協働によって上糸に下糸が通され、生地(被縫製物)に縫い目が形成されるようになっている。
上糸保持装置60は、図1〜図4に示すように、上糸の端部を保持する保持手段Aと、保持手段Aを作動させる駆動手段Bと、駆動手段Bの動作位置を検出する検出手段Cと、により構成されている。
保持手段Aは下板1と上板23とを備えており、下板1の上部に上板23が重ねられる構成を有している。
下板1は、図2に示すように、前後方向に延在する細長で略平板状の部材である。下板1の前端部1aには長方形状の貫通孔1bが形成されており、貫通孔1bの4つの内周面のうち、最も前側に位置する内面が上糸を保持するための保持面1fとなっている。下板1の後端部には前後方向に沿って延在するスリット状の孔部1cが形成されている。
更に、下板1には、略中央部で下方に突出する前ピン1dとそのやや左後方部で下方に突出する左ピン1eとがそれぞれ設けられている。
上板23は、図2に示すように、先端部材2とそれを保持する上板本体3とにより構成されている。
先端部材2は、上板本体3と連結される連結部2aと、連結部2aの前端部で下方に延在する挟持部2bと、挟持部2bの下端部から前方に突出する突起部2cとを有しており、連結部2aに連結孔2dが形成されている。挟持部2bの前面は、下板1の保持面1fと対向する面で、当該保持面1fとの間で上糸を挟み込むための挟持面2eとなっている。
上板本体3は、下板1よりもやや短くて細長な略平板状の部材である。上板本体3の前端部3aの下部には連結突起3bが設けられており、連結突起3bが先端部材2の連結孔2dに嵌合され、先端部材2と上板本体3とが互いに連結されているようになっている。上板本体3には、後端部で下方に突出する後ピン3cとそのやや右前方部で下方に突出する右ピン3dとがそれぞれ設けられている。
保持手段Aにおいては、先端部材2の挟持部2bと突起部2cとが下板1の貫通孔1bに挿通されかつ上板23の後ピン3cが下板1の孔部1cに挿通された状態で、上板23と下板1とが重ねられ、上板23と下板1とが前後方向に相対的にスライド移動自在となっている。
下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cは、後述するガイド7の中孔部7bに挿通され、ガイド7の下方においてコイルバネ9を介して接続されている。コイルバネ9は引っ張りバネであり、常に前ピン1dと後ピン3cとを互いに近づける方向に付勢している。
コイルバネ9が最も縮んだ状態(コイルバネ9に外力が加わっていない状態)においては、下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cとが最も接近するとともに、下板1の左ピン1eと上板23の右ピン3dとが最も接近するようになっており、これと同時に、下板1の保持面1fと上板23の挟持面2eとが当接するようになっている。
駆動手段Bは、上糸保持装置60の駆動源であるモータ4と、モータ4の回動軸4aに固定された揺動リンク10と、後端部が揺動リンク10の揺動端部10bに接続されかつ前端部が後述するカム板リンク6を介して保持手段Aに接続される連結部材5と、保持手段Aを支持しながらその移動動作をガイドするガイド7と、保持手段Aを覆うガイド蓋8と、を備えている。
モータ4は、制御手段70の駆動信号に従って所定の角度ずつ回転するステッピングモータである。モータ4の回動軸4aには揺動リンク10の軸部10aが固定されており、揺動リンク10の揺動端部10bには連結部材5が連結されている。
連結部材5は前後方向に沿って延在する長尺な部材で、揺動リンク10と保持手段Aとを連結するものである。連結部材5の後端部には孔部5aが形成されており、当該孔部5aに段ネジ11が挿通されて、連結部材5の後端部と揺動端部10bとが連結されている。段ネジ11は孔部5a内を摺動自在となっており、揺動リンク10が回動する(図2中矢印L参照)と、連結部材5が前後動するようになっている(図2中矢印M参照)。
連結部材5の前端部には孔部5bが形成されている。当該孔部5bにはカム板リンク6のカム板ピン6aが嵌合されており、連結部材5の前端部とカム板リンク6とが連結されている。連結部材5は、上記の通り、揺動リンク10の回動に伴い前後動し、カム板リンク6を介してその揺動リンク10の前後方向の変位を保持手段Aに伝達するようになっている。
カム板リンク6は下板1と上板23とに交差するように配置されており、その長手方向が左右方向に沿っている。カム板リンク6には下方に突出するカム板ピン6aが設けられており、カム板リンク6は当該カム板ピン6aを中心に揺動可能となっている。
カム板リンク6の左端部には左孔部6bが形成されており、カム板リンク6の右端部には右孔部6cが形成されている。左孔部6bには下板1の左ピン1eが挿通されており、右孔部6cには上板23の右ピン3dが挿通されている。また、カム板リンク6の左端部には、後述するコロ12の外周面に対応してやや湾曲したカム形状部6dが形成されている。
ガイド7はミシン100の本体フレーム(図示略)に固定されている。ガイド7の中央部には所定幅を有する溝部7aが前後方向に沿って形成されており、当該溝部7aには前後方向に延在するスリット状の中孔部7bが形成されている。
溝部7aの幅は下板1及び上板23の各幅と同じとなっており、当該溝部7aの左右両側にはスリット状の左孔部7c及び右孔部7dが前後方向に沿ってそれぞれ形成されている。左孔部7c及び右孔部7dは互いに平行に形成されているが、前後方向において互いにややずれた位置関係を有しており、相対的に左孔部7cは前側に、右孔部7dは後側に形成されている。
ガイド7の左孔部7c及び右孔部7dには下板1の左ピン1eと上板23の右ピン3dとがそれぞれ挿通されており、左ピン1eと右ピン3dとがストッパ13によりカム板リンク6と摺動可能に連結されている。
ガイド7の左側縁部の下部にはネジ7eによりコロ12が取り付けられている。コロ12は円柱状を呈しており、カム板リンク6のカム形状部6dと外周面で接触してカム板リンク6の動きを規制するようになっている。
ガイド蓋8は略平板状の部材であり、前側及び後側のそれぞれ2箇所の位置で4つのネジ8aによりガイド7に固定されている。下板1及び上板23は、ガイド7の溝部7aに嵌合した状態でガイド7とガイド蓋8との間に挟まれ、その間の空間部でがたつかないようになっている。
検出手段Cは、図1に示すように、連結部材5に固定されたスリット板20と、スリット板20の有無を検出する2つのセンサ21,22(第1のセンサ21,第2のセンサ22)と、を備えている。
スリット板20は連結部材5とともに前後動する部材で、第1のセンサ21の設置位置近傍を前後動して第1のセンサ21によりその有無が検出される第1被検出部20aと、第2のセンサ22の設置位置近傍を前後動して第2のセンサ22によりその有無が検出される第2被検出部20bと、を備えている。
第1のセンサ21及び第2のセンサ22はそれぞれ、ミシン100の本体フレーム(図示略)に固定されており、連結部材5とともに前後動するようになっている。
第1のセンサ21は発光素子21aと受光素子21bとから構成されており、第2のセンサ22も発光素子22aと受光素子22bとから構成されている。発光素子21a,22aとしてLED(Light Emitting Diode)が適用されており、受光素子21b,22bとしてフォトセンサが適用されている。
下記では、各発光素子21a,22aが発光した光を受光素子21b,22bが受光した場合を「オフ状態」と、各発光素子が発光した光を受光素子21b,22bが受光しなかった場合を「オン状態」という。
すなわち、スリット板20の前後動に伴い、第1被検出部20aが発光素子21aの発光光を遮蔽したとき、第1のセンサ21はオン状態となり、逆に第1被検出部20aが発光素子21aの発光光を遮蔽しなかったときは、第1のセンサ21はオフ状態となる。
同様に、第2被検出部20bが発光素子22aの発光光を遮蔽したとき、第2のセンサ22はオン状態となり、逆に第2被検出部20bが発光素子22aの発光光を遮蔽しなかったときは、第2のセンサ21はオフ状態となる。
ミシン100では、第1,第2の各センサ21,22が常にオン状態かオフ状態かを示す検出信号を制御手段70に出力するようになっている。
次に、図5,図6を参照しながら、ミシン100の回路構成について説明する。
図5に示すように、制御手段70は、汎用のCPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等で構成されている。制御手段70においては、ミシン100による複数種類の縫製プログラム等がROMに格納されており、CPUが、RAMをワークエリアとして使用しながら当該ROMの縫製プログラムに従った処理を実行するようになっている。
制御手段70には主軸モータ36及びエンコーダ36aが接続されており、当該制御手段70は、エンコーダ36aから入力されるパルス信号に基づき、主軸モータ36の主軸の回転角度を認識することができるようになっている。
制御手段70にはモータ4が接続されており、当該制御手段70は、モータ4に対し駆動信号(パルス信号)を出力してその回転角度を制御することができ、その駆動信号から保持手段Aの現位置も算出することができるようになっている。また、制御手段70には第1のセンサ21,第2のセンサ22が接続されており、当該制御手段70は、第1,第2のセンサ21,22から入力される各検出信号に基づき、保持手段Aが適切な位置に位置しているか否かを判断するようになっている。
更に、制御手段70にはタッチパネル71が接続されており、当該制御手段70は、作業者による当該タッチパネル71の操作に従って縫製プログラム上の各処理を実行するようになっている。
詳しくは、図6(a)に示すように、タッチパネル71には各種タッチキーが4段にわたって配されている。その1段目には準備キー72、リセットキー73,モードキー74が配されている。準備キー72は、ミシン100が縫製を行うのに必要な各種設定値や各部材の位置等を初期化する旨の指示を制御手段70に入力するもので、作業者が準備キー72を押下することで、制御手段70は、縫製作業のための準備の処理を実行するようになっている。ミシン100では、その準備の処理が終了すると、本縫製作業を開始することができるようになっている。
リセットキー73は制御手段70に既に入力された各種設定値等をリセットする旨を制御手段70に入力するもので、作業者が当該リセットキー73を押下することで、制御手段70はそれを受けて各種設定値等をリセットする処理を実行するようになっている。
モードキー74は、作業者が選択した縫製モードを確定する旨を制御手段70に入力するものである。詳しくは、制御手段70のROMには縫製プログラムとして8種類の縫製モードが格納されており、作業者がこれら8種類の縫製モードの中から所望の縫製モードを選択して当該モードキー74を押下することで、制御手段70は、それを受けてその縫製モードに従った処理を実行するようになっている。
タッチパネル71の2段目には表示部75,前進キー76,後退キー77,確定キー82が配されている。表示部75は各種設定値等を表示するものである。前進キー76,後退キー77は保持手段Aの一部又は全体を前方又は後方に移動させる旨を制御手段70に入力するもので、作業者が前進キー76,後退キー77を押下することで、制御手段70は、それを受けてモータ4を作動させ、保持手段Aの一部又は全体を前方又は後方に移動させるようになっている。確定キー82は保持手段Aの一部又は全体の前方又は後方の移動量を制御手段70に入力するもので、保持手段Aの前方又は後方移動量が設定された状態で作業者が確定キー82を押下することで、制御手段70は、その設定された移動量を記憶するようになっている。なお、上記準備キー72が確定キー82の機能を兼ねてもよい。
タッチパネル71の3段目にはモード表示部78,選択キー79が配されている。モード表示部78は、図6(a)中No.1〜8の番号で示す8種類の縫製モードのうちいずれかの縫製モードが作業者により選択されているかを示すもので、作業者が選択した縫製モードに対応する番号部分が点灯するようになっている(図6(a)ではNo.2の縫製モードが選択された状態を示している。)。
選択キー79は、作業者が8種類の縫製モードの中から一の縫製モードを選択した旨を制御手段70に入力するもので、作業者が当該選択キー79を押下するごとに、制御手段70は、それを受けて縫製モードが切り替わったことを認識するとともに、切替わり後の縫製モードに対応するモード表示部78の番号部分を点灯させるようになっている。
なお、モード表示部78のNo.1〜8の番号で示す8種類の縫製モードにおいては、図6(b)に示すように、一の縫製モードに対し特定のモードが対応するようになっており、各縫製モードでそれに対応するモードがそれぞれ異なっている。例えば、No.1の番号で示す縫製モードには通常の縫製作業を行う「通常縫製モード」が対応しており、No.2の番号で示す縫製モードには上糸の保持位置を変更・設定する「上糸保持設定モード」が対応している(これら通常縫製モード,上糸保持設定モードが選択・確定された場合の処理についは後述する。)。
タッチパネル71の4段目には5つのファンクションキー80,上糸保持表示部81が配されている。各ファンクションキー80は、作業者が複数の機能のうちいずれかの機能を選択・確定した旨を制御手段70に入力するもので、作業者が当該ファンクションキー80を押下することで、制御手段70は、それを受けて選択・確定された機能を縫製作業中に発揮させる処理を実行するようになっている。
上糸保持表示部81は上糸保持装置60が上糸を保持しているか否かを示すもので、上糸保持装置60が上糸を保持している場合には点灯し、そうでない場合には消灯するようになっている(図6(b)では上糸保持装置60が上糸を保持した状態を示している。)。
また、図5に示すように、制御手段70にはスタートスイッチ85が接続されており、当該制御手段70は、作業者による当該スタートスイッチ85の押下操作を受けて、現在選択されている縫製モードの実体的な処理を実行し始めるようになっている。
次に、ミシン100の機械的な動作・作用と併せて制御手段70(CPU)が行う経時的な処理を順に説明する。
ミシン100に電源が投入された状態において、作業者によるタッチパネル71のモードキー74や選択キー79等の操作で縫製モードが選択・確定されると、制御手段70は、その操作を受けて選択・確定された縫製モードの処理を実行する。
本実施形態では、(1)通常縫製モード(モード表示部78のNo.1の番号で示す縫製モード)が選択・確定された場合と、(2)上糸保持設定モード(モード表示部78のNo.2の番号で示す縫製モード)が選択・確定された場合と、に分けてそれぞれ説明する。
(1)通常縫製モードが選択・確定された場合(図7)
作業者によるタッチパネル71のモードキー74や選択キー79等の操作で通常縫製モードが選択・確定された状態において、作業者によるタッチパネル71の準備キー72が押下されると、制御手段70は、始めに、上糸保持装置60を作動させてモータ4の原点検索処理を実行する(ステップSA1)。具体的には、駆動信号をモータ4に出力し、モータ4を作動させたりその作動を停止させたりして、第1,第2の各センサ21,22のオン状態とオフ状態とが切り替わる位置を検索し、その検索した位置を原点位置として認識する。
なお、制御手段70のROMには、保持手段Aを当該原点位置から後述の初期位置,中間保持位置,上糸保持位置,開放位置等の各所定位置まで移動させるために必要なモータ4のパルス数が記憶されており、制御手段70は、保持手段Aを上記各所定位置に移動させるように所定数のパルス信号をモータ4に出力して当該モータ4を駆動制御するようになっている。
ステップSA1の処理を終えたら、駆動信号をモータ4に出力し、その回転軸4aを所定の角度だけ回動させてその後停止させ、保持手段Aを「初期位置」に移動させる(ステップSA2)。この場合、上糸保持装置60は下記(SA2−1)〜(SA2−6)に示すように作動する。
(SA2−1)制御手段70からの駆動信号に基づき、モータ4の回動軸4aが図8中反時計回りに所定の角度だけ回動する。回動軸4aの回動に伴い、揺動リンク10が軸部10aを支点として揺動し(図8(a)中矢印L0参照)、同時に、連結部材5が前方に移動する(図8(a)中矢印M0参照)。
(SA2−2)連結部材5の前方移動に伴い、当該連結部材5に軸支されているカム板リンク6が全体として前方移動する。
(SA2−3)カム板リンク6の前方移動に伴い、これと連結している上板23の右ピン3dが、ガイド7の右孔部7dに沿いながら前方に移動して右孔部7dの前壁にぶつかり(当接し)、右ピン3dの前方移動が規制された状態となる。この際、右ピン3dと一体の上板23も前方に移動して最前位置に位置する。
(SA2−4)上記と同様に、カム板リンク6の前方移動に伴い、これと連結している下板1の左ピン1eも、ガイド7の左孔部7cに沿いながら前方に移動する。この際、ガイド7の左孔部7cと右孔部7dとでは、相対的に左孔部7cの方が右孔部7dよりやや前側に形成されているので、上板23の右ピン3dが右孔部7dの前壁にぶつかった((SA2−3)の状態)後も、下板1の左ピン1eは、上板23の右ピン3dを支点とするようにガイド7の左孔部7cに沿いながら前方に移動する。
そして、左ピン1eが前方に移動し続けてその後停止し、下板1及び上板23が最前位置で停止するとともに、下板1の貫通孔1bが針穴51直下の最前位置に到達する。
なお、ガイド7の左孔部7cの長さは、左ピン1eが最前位置に到達した場合にも左孔部7cの前壁とぶつからない程度の余裕を持った長さに設計されており、モータ4の脱調を防止することができるようになっている。
(SA2−5)下板1及び上板23が最前位置に位置したとき、下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cは、互いにコイルバネ9の付勢力に抗して前後に離間した状態となっている。この状態においては、コイルバネ9の付勢力により下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cとが互いに近づくように付勢されているが、コイルバネ9の付勢力よりもモータ4の駆動力のほうが大きいので、下板1及び上板23は、コイルバネ9の付勢力に抗して最前位置で停止し続ける。
(SA2−6)また、下板1及び上板23が最前位置に位置したとき、下板1の保持面1fと上板23の挟持面2eとが前後に離間しており、貫通孔1bが開いた状態となる。このとき、貫通孔1bと針板50の針穴51とが上下に重なった状態となり、縫製開始後の第1針目の針52がこれら貫通孔1b及び針穴51を貫通しながら上下動できるようになる。
このように保持手段Aの貫通孔1bが針52の上下動経路上に位置する位置を、本実施形態では「初期位置」という。当該初期位置においては、検出手段Cのスリット板20は連結部材5の前方移動とともに前方移動しており、第1被検出部20aと第2の被検出部20bとがそれぞれ発光素子21a,21bの各光路25を遮蔽してはいない。そのため、第1,第2の各センサ21,22はともにオフ状態となって制御手段70に対しその旨の検出信号を出力する。
なお、図8では、各発光素子21a,22aが出力した発光光が受光素子21b,22bへ向かう光路25を、(a)平面図では点線で示しており、(b)側面図ではドットで示している(図11,図14,図17においても同様)。
ステップSA2の処理を終えたら、制御手段70は、第1,第2のセンサ21,22の各検出信号に基づき、保持手段Aが初期位置に位置しているか否かを判断する(ステップSA3)。
第1,第2のセンサ21,22の各検出信号がともにオフ状態を示すもので保持手段Aが初期位置に位置していると判断した場合は(ステップSA3;YES)ステップSA4の処理を実行し、そうでない場合は(ステップSA3;NO)ステップSA19のエラー処理を実行する。
ステップSA19のエラー処理では、制御手段70は、モータ4の脱調等の異常が発生したものとして、モータ4及び主軸モータ36を停止させる処理を実行する。この場合、エラーの発生を示す表示手段や警笛手段等(図示略)を設けて、モータ4の脱調等の異常が生じたことを作業者に知らせるようにしてもよい。
ステップSA4の処理では、制御手段70は、作業者によりスタートスイッチ85の押下操作が行われ、縫製作業を開始する旨の開始信号が入力されたか否かを判断する。
開始信号が入力されたと判断した場合には(ステップSA4;YES)、主軸モータ36を駆動させ、上糸の端部が挿通されている第1針目の針52を生地に対して上下動させる(ステップSA5)。
この場合、第1針目の針52が、針板50の針穴51及び貫通孔1bを貫通するように上下動するが、上糸の端部は、針52が下降したときに回転釜90によって下方に引き出され、その後、針52が上昇すると、図9に示すように、貫通孔1bに上糸が挿通された状態で垂れ下がった状態となる。また、この場合、主軸モータ36のエンコーダ36aが、第1針目の針52が生地に対して上昇したか否かを示すエンコーダ信号を制御手段70に出力する。
ステップSA5の処理を終えたら、制御手段70は、エンコーダ36aのエンコーダ信号に基づき、第1針目の針52が生地から抜け出したか否かを判断する(ステップSA6)。
図10は、主軸モータ36の主軸の1回転における針52の位置を示す「曲線α」と天秤44の位置を示す「曲線β」とを表すものである(同図中「γ」は生地位置を示すとともに主軸モータ36の主軸の回転角度を示している。)が、本実施形態では、主軸モータ36の主軸の回転角度が245°に達した時点で、針52が生地から抜け出した状態となるようになっている。つまり、ステップSA6の処理では、エンコーダ信号が示す出力値が245°を超えたか否かで、針52が生地から抜け出したか否かを判断する。
第1針目の針52が生地から抜け出していないと判断した場合(ステップSA6;NO)には、エンコーダ36aから第1針目の針52が生地から抜け出した旨のエンコーダ信号が入力されるまでステップSA6の処理を繰り返す。
他方、第1針目の針52が生地から抜け出したと判断した場合(ステップSA6;YES)には、駆動信号をモータ4に出力し、その回転軸4aを所定の角度だけ回動させて停止させ、保持手段Aを初期位置から「中間保持位置」に移動させる(ステップSA7)。この場合、上糸保持装置60は下記(SA7−1)〜(SA7−3)に示すように作動する。
なお、保持手段Aを初期位置から中間保持位置に移動させるタイミングは、天秤44による上糸の引き上げが行われる際に当該上糸が剣先92で補足された後であればよく、第1針目の針52が生地から抜け出した直後に限らずとも、例えば、針52が下板1の貫通孔1bを抜け出た直後であってもよいし、針52が生地から抜け出た後であって主軸モータ36の主軸の回転角度が280°近傍に達したときであってもよい。
(SA7−1)制御手段70からの駆動信号に基づき、モータ4の回動軸4aが図11中時計回りに所定の角度だけ回動する。回動軸4aの回動に伴い、揺動リンク10が軸部10aを支点として揺動し(図11(a)中矢印L1参照)、同時に、連結部材5が後方に移動する(図11(a)中矢印M1参照)。
(SA7−2)連結部材5の後方移動に伴い、当該連結部材5に軸支されているカム板リンク6が全体として後方移動する。
(SA7−3)ここで、コイルバネ9の付勢力で上板23の後ピン3cが下板1の前ピン1dに近づく方向に引っ張られているので、カム板リンク6が後方移動し始めると、上板23の右ピン3dがガイド7の右孔部7dの前壁と当接したままの状態で、下板1のみが後方に移動し始め、所定の量だけ移動して停止する。この場合、下板1の保持面1fが上板23の突起部2cの前端より後方に位置し、貫通孔1bが突起部2cにより閉じられた状態となる。
このように貫通孔1bが突起部2cにより閉じられた状態となる位置を、本実施形態では「中間保持位置」という。当該中間保持位置においては、検出手段Cのスリット板20は、連結部材5の後方移動とともに後方移動しており、第1被検出部20aが発光素子21aの光路25を遮蔽している。他方、第2の被検出部20bは発光素子22aの光路25を遮蔽してはいない。そのため、第1のセンサ21はオン状態となって制御手段70に対しその旨の検出信号を出力し、第2のセンサ22はオフ状態のままで制御手段70に対しその旨の検出信号を出力する。
ここで、当該中間保持位置においては、図12,図13(a)に示すように、上糸は、貫通孔1bを通じて下板1と先端部材2との部材間を屈曲しながら単に挿通しており、この状態で保持手段Aにより保持されている。
その後、制御手段70は、第1,第2のセンサ21,22の各検出信号に基づき、保持手段Aが中間保持位置に位置しているか否かを判断する(ステップSA8)。
第1のセンサ21の検出信号がオン状態を示すものでかつ第2のセンサ22の検出信号がオフ状態を示すものであって、保持手段Aが中間保持位置に位置していると判断した場合は(ステップSA8;YES)ステップSA9の処理を実行し、そうでない場合は(ステップSA8;NO)ステップSA19のエラー処理を実行する。
ステップSA9の処理では、制御手段70は、主軸モータ36のエンコーダ36aからのエンコーダ信号に基づき、天秤44が天秤上死点の15°手前の位置に達したか否かの判断を行う(ステップSA9)。本実施形態では、図10に示す通り、主軸モータ36の主軸の回転角度が70°に達した場合に天秤44が上死点に達するようになっており、制御手段70は、エンコーダ信号が示す出力値が55°を超えたか否かで、天秤44が天秤上死点の手前15°の位置に達したか否かを判断する。
天秤44が天秤上死点の手前15°の位置に達していないと判断した場合(ステップSA9;NO)には、エンコーダ36aから天秤44が天秤上死点の手前15°の位置に達した旨のエンコーダ信号が入力されるまでステップSA9の処理を繰り返す。
他方、天秤44が天秤上死点の手前15°の位置に達したと判断した場合(ステップSA9;YES)には、ステップSA10の処理を実行する。本実施形態では、当該ステップSA9の処理により、天秤44による上糸の引き上げが終了したか否かを判断している。
なお、ステップSA9の処理では、天秤上死点の手前15°の位置を判断位置としたが、天秤上死点の前後15〜20°の位置を判断位置としてもよい。
ステップSA9の処理を終えたら、駆動信号をモータ4に出力し、その回転軸4aを所定の角度だけ回動させて停止させ、保持手段Aを中間保持位置から「上糸挟持位置」を経て「上糸保持位置」に移動させる(ステップSA10)。この場合、上糸保持装置60は下記(SA10−1)〜(SA10−7)に示すように作動する。
(SA10−1)制御手段70からの駆動信号に基づき、モータ4の回動軸4aが図14中時計回りに回動する。回動軸4aの回動に伴い、揺動リンク10が軸部10aを支点として揺動し(図14(a)中矢印L2参照)、同時に、連結部材5が後方に移動する(図14(a)中矢印M2参照)。
(SA10−2)連結部材5の後方移動に伴い、当該連結部材5に軸支されているカム板リンク6が全体として後方移動する。
(SA10−3)このとき、下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cとがコイルバネ9の付勢力を受けながら互いに近づき合い、その後、下板1の保持面1fと上板23の挟持面2eとが当接して、図15に示すように、保持手段Aが保持面1fと挟持面2eとの間で上糸を挟持する。このように保持手段Aが上糸を挟持する位置を、本実施形態では「上糸挟持位置」という。
(SA10−4)保持手段Aが上糸挟持位置に位置した後も、制御手段70からの駆動信号に基づき、モータ4の回動軸4aが図14中時計回りに所定の角度だけ引き続き回動する。回動軸4aの回動に伴い、揺動リンク10が軸部10aを支点として揺動し(図14(a)中矢印L2参照)、同時に、連結部材5が後方に移動し続ける(図14(a)中矢印M2参照)。
(SA10−5)連結部材5の後方移動に伴い、当該連結部材5に軸支されているカム板リンク6が全体として後方移動し続ける。
(SA10−6)カム板リンク6の当該後方移動中は、挟持面2eと保持面1fとが当接したままであり、保持手段Aが上糸を挟持した状態で下板1と上板23とが同じ速度で後方移動する。
(SA10−7)その後、保持手段Aが針52の上下動経路から退避するように上糸を挟持したまま後方に移動し続け、上糸挟持位置よりやや後方の位置で停止する。この停止位置において、保持手段Aは保持面1fと挟持面2eとの間に上糸を保持しており、当該停止位置を、本実施形態では「上糸保持位置」という。
なお、上記の通り、上糸挟持位置は上記中間保持位置と上糸保持位置との間の位置に位置するものであるが、保持手段Aによる上糸の挟持は、天秤44による上糸の上昇が略終了して(例えば、主軸モータ36の主軸の回転角度が55°に達した時点)から針52が生地を貫通するまで(例えば、主軸モータ36の主軸の回転角度が115°に達した時点)までの間(例えば、主軸モータ36の主軸の回転角度が80°に達した時点)に行われるようになっている。
当該上糸保持位置においては、検出手段Cのスリット板20は、連結部材5の後方移動とともに後方移動しており、第1被検出部20aと第2の被検出部20bとがそれぞれ発光素子21a,22aの各経路25を遮蔽している。そのため、第1,第2の各センサ21,22はともにオン状態となって制御手段70に対しその旨の検出信号を出力する。
ここで、当該上糸保持位置においては、図15,図16(a)に示すように、上糸は、互いに当接した下板1と先端部材2との間に挟持されており、この状態で保持手段Aにより保持されている。
その後、制御手段70は、第1,第2のセンサ21,22の各検出信号に基づき、保持手段Aが上糸保持位置に位置しているか否かを判断する(ステップSA11)。
第1,第2のセンサ21,22の各検出信号がともにオン状態を示すもので保持手段Aが上糸保持位置に位置していると判断した場合は(ステップSA11;YES)ステップSA12の処理を実行し、そうでない場合は(ステップSA11;NO)ステップSA19のエラー処理を実行する。
ステップSA11の処理を終えたら、制御手段70は、第2針目以降の縫製を行う処理を実行する(ステップSA12)。
ステップSA12の処理を終えたら、制御手段70は、所定数の針落ち(例えば、2回の針落ち)が行われたか否かを判断する(ステップSA13)。当該ステップSA13の処理では、例えば、主軸モータ36の主軸の回転角度が180°を示すエンコーダ36aのエンコーダ信号の出力回数を計数することにより、所定数の針落ちが行われたか否かを判断する。
所定数の針落ちが行われていないと判断した場合(ステップSA13;NO)には、所定数の針落ちが行われるまでステップSA12の処理を繰り返す。
他方、所定数の針落ちが行われたと判断した場合(ステップSA13;YES)には、駆動信号をモータ4に出力し、その回転軸4aを所定の角度だけ回動させて停止させ、保持手段Aを上糸保持位置から「開放位置」に移動させる(ステップSA14)。この場合、上糸保持装置60は下記(SA14−1)〜(SA14−5)に示すように作動する。
(SA14−1)制御手段70からの駆動信号に基づき、モータ4の回動軸4aが図17中時計回りに所定の角度だけ回動する。回動軸4aの回動に伴い、揺動リンク10が軸部10aを支点として揺動し(図17(a)中矢印L3参照)、同時に、連結部材5が後方に移動する(図17(a)中矢印M3参照)。
(SA14−2)連結部材5の後方移動に伴い、当該連結部材5に軸支されているカム板リンク6が全体として後方移動する。そして、カム板リンク6は、所定量だけ移動したところでカム形状部6dがコロ12の外周面と接触し、その接触部を支点として時計回り方向に揺動する。
(SA14−3)カム板リンク6のカム形状部6dがコロ12の外周面に接触すると、下板1の左ピン1eの後方への移動が規制され、カム板リンク6の右孔部6cに連結されている上板23の右ピン3dが、カム板リンク6の揺動に伴って、ガイド7の右孔部7dに沿いながら後方に移動する。この場合、下板1の後方への移動量よりも上板23の後方への移動量の方が大きくなり、最終的に下板1及び上板23は最も後方の位置に位置する。
(SA14−4)この状態において、下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cは互いにコイルバネ9の付勢力に抗して離間した状態となる。このとき、コイルバネ9の付勢力により下板1の前ピン1dと上板23の後ピン3cとが互いに近づくように付勢されているが、コイルバネ9の付勢力よりもモータ4の駆動力のほうが大きいので、上板23は、コイルバネ9の付勢力に抗して最も後方の位置に位置し続けることができる。
(SA14−5)また、下板1及び上板23が最も後方の位置に移動しているとき、下板1と上板23との後方への各移動量の差により、保持面1fと挟持面2eとが徐々に離間してゆき、その移動量が所定量を越えると、貫通孔1bが開いた状態となる。つまり、上板23が下板1に対して相対的に後方へ移動することにより、保持面1fと挟持面2eとが互いに離間し、図18に示すように、保持手段Aが上糸を開放する。このように保持手段Aが保持した上糸を開放する位置を、本実施形態では「開放位置」という。
当該開放位置においては、検出手段Cのスリット板20は、連結部材5の後方移動とともに後方移動しており、第1被検出部20aが発光素子21aの光路25を遮蔽してはいない。他方、第2被検出部20bが発光素子22aの光路25を遮蔽している。そのため、第1のセンサ21はオフ状態となって制御手段70に対しその旨の検出信号を出力し、第2のセンサ22はオン状態のままで制御手段70に対しその旨の検出信号を出力する。
ステップSA14の処理を終えたら、制御手段70は、第1,第2のセンサ21,22の各検出信号に基づき、保持手段Aが開放位置に位置しているか否かを判断する(ステップSA15)。
第1のセンサ21の検出信号がオフ状態を示すものでかつ第2のセンサ22の検出信号がオン状態を示すものであって、保持手段Aが開放位置に位置していると判断した場合は(ステップSA15;YES)ステップSA16の処理を実行し、そうでない場合は(ステップSA15;NO)ステップSA19のエラー処理を実行する。
ステップSA16の処理では、制御手段70は、針52による縫製が終了したか否かの判断を行う(ステップSA16)。当該ステップSA16の処理では、作業者によるタッチパネル71の操作で選択・確定された通常縫製モードの処理をすべて実行したか否かで、縫製の終了の有無を判断する。
縫製は終了していないと判断した場合(ステップSA16;NO)には、その縫製に係る通常縫製モードの処理がすべて終了するまでステップSA16の処理を繰り返し、縫製は終了したと判断した場合(ステップSA16;YES)には、上記ステップSA2,SA3の各処理と同様の処理を実行し(ステップSA17,ステップSA18)、通常縫製モードに係るすべての処理を終了する。
(2)上糸保持設定モードが選択・確定された場合
作業者によるタッチパネル71のモードキー74や選択キー79等の操作で上糸保持設定モードが選択・確定された状態において、作業者によるタッチパネル71の準備キー72が押下されると、制御手段70は、図20に示すように、ステップSB1〜SB3の各処理を実行する。
ステップSB1〜SB3の各処理は上記ステップSA1〜SA3の各処理と同様のもので、ステップSB1の処理はステップSA1の処理に、ステップSB2の処理はステップSA2の処理に、ステップSB3の処理はステップSA3の処理に、それぞれ対応している。
ステップSB3の処理が終了した状態において、上糸保持装置60の保持手段Aが初期位置に位置すると、当該保持手段Aはその初期位置で静止し続け、作業者は上糸を保持手段Aの貫通孔1bに手動で通すことができる状態となる。
この状態において、制御手段70は、作業者によりスタートスイッチ85が押下されるまで開始信号が入力されたか否かを繰り返し判断し(ステップSB4)、作業者が上糸を保持手段Aの貫通孔1bに通した状態でスタートスイッチ85を押下すると、当該開始信号が入力されたと判断し(ステップSB4;YES)、駆動信号をモータ4に出力して当該モータ4を駆動させ(ステップSB5)、保持手段Aを初期位置から中間保持位置に移動させ(ステップSB7)、保持手段Aが中間保持位置に位置したか否かを判断する(ステップSB8)。
ステップSB5〜SB8の各処理は上記ステップSA5,SA7の各処理と同様のもので、ステップSB5,SB7の処理はステップSA7の処理に、ステップSB8の処理はステップSA8の処理に、それぞれ対応している。
なお、ステップSB2,SB7の処理が実行された場合には、上糸保持装置60は上記(SA2−1)〜(SA2−6),(SA7−1)〜(SA7−3)と同様に作動して保持手段Aが初期位置,中間保持位置の各位置に移動するようになっている。また、ステップSB3,SB8の処理において、保持手段Aが初期位置,中間保持位置に位置していないと判断した場合は、ステップSB25のエラー処理を実行するようになっているが、そのステップSB25のエラー処理は上記ステップSA19のエラー処理と同様のものである。
ステップSB8の処理において、保持手段Aが中間保持位置に位置していると判断した場合(ステップSB8;YES)には、図12,図13(a)に示すように、上糸は、貫通孔1bを通じて下板1と先端部材2との部材間を屈曲しながら単に挿通し、この状態で保持手段Aにより保持される。
この状態において、制御手段70は、作業者によるタッチパネル71の前進キー76,後退キー77,確定キー82の押下を受けてそれらキー76,77,82の指示に従う処理を実行可能な状態となり、始めに、作業者により前進キー76が押下されて保持手段A(下板1)を前方に移動させる旨の前進信号が所定時間内(ステップSB9の処理に移行してから所定時間が経過するまでの間)に入力されたか否かを判断する(ステップSB9)。
前進信号が入力されたと判断した場合には(ステップSB9;YES)、モータ4に駆動信号を出力して下板1を前方に移動させる(ステップSB10)。この場合、下板1が図13(a)に示す状態から図13(c)に示す状態へと前方にやや移動し、下板1と先端部材2との部材間の間隔が広くなる。
下板1の前方移動量は作業者によるタッチパネル71の前進キー76の操作に応じるものであり、その操作に応じて下板1の前方移動量がタッチパネル71の表示部75にデジタル表示され、作業者による前進キー76の操作で中間保持位置における下板1の前方移動量を適宜設定することができるようになっている。
ステップSB9の処理で前進信号は入力されなかったと判断した場合(ステップSB9;NO)又はステップSB10の処理を終えた場合、制御手段70は、作業者により後退キー77が押下されて保持手段A(下板1)を後方に移動させる旨の後退信号が所定時間内(ステップSB11の処理に移行してから所定時間が経過するまでの間)に入力されたか否かを判断する(ステップSB11)。
後退信号が入力されたと判断した場合には(ステップSB11;YES)、モータ4に駆動信号を出力して下板1を後方に移動させる(ステップSB12)。この場合、下板1が図13(a)に示す状態から図13(b)に示す状態へと後方にやや移動し、下板1と先端部材2との部材間の間隔が狭くなる。
下板1の後方移動量も上記前方移動量と同様に作業者によるタッチパネル71の後退キー77の操作に応じるものであり、その操作に応じて下板1の後方移動量がタッチパネル71の表示部75にデジタル表示され、作業者による後退キー77の操作で中間保持位置における下板1の後方移動量を適宜設定することができるようになっている。
ステップSB11の処理で後退信号は入力されなかったと判断した場合又はステップSB12の処理を終えた場合、制御手段70は、作業者により確定キー82が押下されて下板1の移動量を確定した旨の確定信号が所定時間内(ステップSB13の処理に移行してから所定時間が経過するまでの間)に入力されたか否かを判断する(ステップSB13)。
確定信号は入力されなかったと判断した場合には(ステップSB13;NO)上記ステップSB9の処理に戻り、上記ステップSB9〜SB13の各処理を繰り返す。
他方、確定信号が入力されたと判断した場合には(ステップSB13;YES)ステップSB10,SB12の各処理で設定した下板1の前方,後方移動量をROMに記憶し、その移動量を加味した保持手段Aの位置を「中間保持位置」として記憶する(ステップSB14)。
このように、作業者がタッチパネル71の前進キー76又は後退キー77を押下すると、制御手段70がモータ4に駆動信号を出力して下板1を前方又は後方に移動させ、中間保持位置における下板1と先端部材2との部材間の間隔(貫通孔1bの間隔)を変更することができるようになっている。すなわち、ミシン100では、前進キー76又は後退キー77が下板1と先端部材2との部材間の間隔を設定する「第1の設定手段」となっており、下板1と先端部材2との部材間の間隔が当該第1の設定手段による設定値に応じた間隔となるように制御手段70がモータ4を作動させるようになっている。
ステップSB14の処理を終えたら、制御手段70は、図20に示すように、ステップSB15,SB16の各処理を実行する。
ステップSB15,SB16の各処理は上記ステップSA10,SA11の各処理と同様のもので、ステップSB15の処理はステップSA10の処理に、ステップSB16の処理はステップSA11の処理に、それぞれ対応している。
なお、ステップSB15の処理が実行されると、上糸保持装置60は上記(SA14−1)〜(SA14−5)と同様に作動して保持手段Aが上糸保持位置に移動するようになっている。また、ステップSB16の処理において、保持手段Aが上糸保持位置に位置していないと判断した場合は、ステップSB25のエラー処理を実行するようになっている。
ステップSB16の処理において、保持手段Aが上糸保持位置に位置していると判断した場合(ステップSB16;YES)には、図15,図16(a)に示すように、上糸は、互いに当接した下板1と先端部材2との間に挟持され、この状態で保持手段Aにより保持される。
この状態において、制御手段70は、作業者によるタッチパネル71の前進キー76,後退キー77,確定キー82の押下を受けてそれらキー76,77,82の指示に従う処理を再度実行可能な状態となり、始めに、作業者により前進キー76が押下されて保持手段Aの全体(下板1及び上板23)を前方に移動させる旨の第2の前進信号が所定時間内(ステップSB17の処理に移行してから所定時間が経過するまでの間)に入力されたか否かを判断する(ステップSB17)。
第2の前進信号が入力されたと判断した場合には(ステップSB17;YES)、モータ4に駆動信号を出力して保持手段Aを前方に移動させる(ステップSB18)。この場合、保持手段Aの全体が図16(a)に示す状態から図16(b)に示す状態へと前方にやや移動し、保持手段Aの上糸保持位置が前方に移る。
保持手段Aの前方移動量は作業者によるタッチパネル71の前進キー76の操作に応じるものであり、その操作に応じて保持手段Aの前方移動量がタッチパネル71の表示部75にデジタル表示され、作業者による前進キー76の操作で上糸保持位置における保持手段Aの前方移動量を適宜設定することができるようになっている。
ステップSB17の処理で第2の前進信号は入力されなかったと判断した場合(ステップSB17;NO)又はステップSB18の処理を終えた場合、制御手段70は、作業者により後退キー77が押下されて保持手段Aの全体(下板1及び上板23)を後方に移動させる旨の第2の後退信号が所定時間内(ステップSB19の処理に移行してから所定時間が経過するまでの間)に入力されたか否かを判断する(ステップSB19)。
第2の後退信号が入力されたと判断した場合には(ステップSB19;YES)、モータ4に駆動信号を出力して保持手段Aを後方に移動させる(ステップSB20)。この場合、保持手段Aの全体が図16(a)に示す状態から図16(c)に示す状態へと後方にやや移動し、保持手段Aの上糸保持位置が後方に移るようになっている。
保持手段Aの後方移動量も上記前方移動量と同様に作業者によるタッチパネル71の後退キー77の操作に応じるものであり、その操作に応じて保持手段Aの後方移動量がタッチパネル71の表示部75にデジタル表示され、作業者による後退キー77の操作で上糸保持位置における保持手段Aの後方移動量を適宜設定することができるようになっている。
ステップSB19の処理で第2の後退信号は入力されなかったと判断した場合又はステップSB20の処理を終えた場合、制御手段70は、作業者により確定キー82が押下されて保持手段Aの移動量を確定した旨の第2の確定信号が所定時間内(ステップSB21の処理に移行してから所定時間が経過するまでの間)に入力されたか否かを判断する(ステップSB21)。
第2の確定信号は入力されなかったと判断した場合には(ステップSB21;NO)上記ステップSB17の処理に戻り、上記ステップSB17〜SB21の各処理を繰り返す。
他方、第2の確定信号が入力されたと判断した場合には(ステップSB21;YES)ステップSB18,SB20の各処理で設定した保持手段Aの全体の前方,後方移動量をROMに記憶し、その移動量を加味した保持手段Aの位置を「上糸保持位置」として記憶する(ステップSB22)。
このように、作業者がタッチパネル71の前進キー76又は後退キー77を押下すると、制御手段70がモータ4に駆動信号を出力して保持手段Aの全体(下板1と上板23)を前方又は後方に移動させ、保持手段Aの上糸保持位置を変更することができるようになっている。すなわち、ミシン100では、前進キー76又は後退キー77が保持手段Aの上糸保持位置を設定する「第2の設定手段」となっており、保持手段Aの上糸保持位置が当該第2の設定手段による設定値に応じた位置となるように制御手段70がモータ4を作動させるようになっている。
ステップSB22の処理を終えたら、上記ステップSB2,SB3の各処理と同様の処理を実行し(ステップSB23,ステップSB24)、上糸保持設定モードに係るすべての処理を終了する。
そして上記上糸保持設定モードに係る処理がすべて終了すると、当該上糸保持設定モードに係るステップSB14,SB22で記憶した中間保持位置,上糸保持位置がそのまま他の縫製モードに適用されるようになっている。例えば、上記上糸保持設定モードに係る処理をすべて終了した後に通常縫製モードを選択・確定した場合、その通常縫製モード中の処理中においては、上糸保持装置60は上糸保持設定モードで記憶した中間保持位置,上糸保持位置で上糸を保持する。
以上の本実施形態では、上糸保持設定モードを選択・確定した状態において、保持手段Aが中間保持位置に位置したときに、作業者によるタッチパネル71の前進キー76,後退キー77の操作で、図13(b),(c)に示すように、保持手段Aの下板1と先端部材2との部材間の間隔を適宜変更することができるから、天秤44による上糸の引き上げ時に生じる当該上糸と下板1,先端部材2の各部材との間の摩擦力を当該上糸の種類に応じて変更することができる。
そのため、縫製用の上糸として、通常のものより細い糸や部材との間で摩擦を生じ難い素材の糸(例えば、化繊系のフィラメント糸)等が使用された場合には、図13(b)に示すように下板1と先端部材2との部材間の間隔を通常よりも狭めることで、天秤44による上糸の引き上げ力と保持手段Aによる当該上糸の保持力とのバランスを一定に保つことができる。
逆に、縫製用の上糸として、通常のものより太い糸や太さが不均一で凹凸のある糸、部材との間で摩擦を生じ易い素材の糸等が使用された場合でも、図13(c)に示すように下板1と先端部材2との部材間の間隔を通常よりも広げることで、天秤44による上糸の引き上げ力と保持手段Aによる当該上糸の保持力とのバランスを一定に保つことができる。以上から、中間保持位置で保持している上糸の長さを糸の種類にかかわらずに適切な長さにすることができる。
また、当該中間保持位置では、制御手段70がモータ4の作動をいったん停止させるから、モータ4の作動が停止した状態においては、図12に示すように、上糸は上糸保持設定モードに係る処理の途中であっても保持手段Aの下板1と先端部材2との部材間に単に挿通されたままにそれら部材から垂れ下がった状態で静止する。
そのため、上糸保持設定モードに係る処理の途中で、作業者はその垂れ下がった上糸に実際に手で触れることができ、その上糸と下板1,先端部材2との間で生じる摩擦力を確かめることができる(その後の他の縫製モードに係る処理に際して、天秤44による上糸の引き上げと保持手段Aによる当該上糸の保持とが適切に行われるか否かを確認することができる。)。
更に本実施形態では、上糸保持設定モードを選択・確定した状態において、保持手段Aが上糸保持位置に位置したときにも、図16(b),(c)に示すように、作業者によるタッチパネル71の前進キー76,後退キー77の操作で、保持手段Aの上糸保持位置を適宜変更することができるから、保持手段Aの上糸保持位置を回転釜90に近づけたり回転釜90から引き離したりすることができる。
そのため、上糸が短い長さで保持されていた場合には、図16(b)に示すように保持手段Aの上糸保持位置を通常よりも回転釜91に近づけることで、第2針目以降の縫製中においても保持された上糸に余計な張力をかけることはなく、第2針目以降の縫製を安定させることができるとともに、縫製終了後の生地裏の縫い始めも糸残りの少ない綺麗な状態にすることができる。
逆に、上糸が必要以上に長い長さで保持されていた場合でも、図16(c)に示すように保持手段Aの上糸保持位置を通常よりも回転釜91から引き離すことで、第2針目以降の縫製中においてその上糸が回転釜91と接触するのを未然に防止することができ、回転釜91との接触で上糸が汚れるのを防止することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計変更をおこなってもよい。
一の改良・設計変更事項として、先端部材2に代えて、図19に示すような、下方に突出した挟持部80を有する先端部材81を適用し、挟持部80を下板1の貫通孔1bの内部で前後動させるような構成としてもよい。
他の改良・設計変更事項として、保持手段Aの下板1及び上板23を移動させる駆動源として別々のモータを使用し、下板1と上板23とを互いに異なるモータで移動させるようにしてもよい。
ミシン100の概略構成を示す一部透視側面図である。 上糸保持装置60を示す分解斜視図である。 上糸保持装置60を下から見た斜視図である。 上糸保持装置60を上から見た斜視図である。 ミシン100の概略の回路構成を示すブロック図である。 (a)タッチパネル71の概観を示す図面であり、(b)各縫製モードに対し特定のモードが対応する旨を示す図面である。 制御手段70(CPU)が行う通常縫製モードの処理を経時的に示すフローチャートである。 保持手段Aが「初期位置」に位置したときの状態を示す(a)平面図(b)側面図である。 第1針目の針52が生地から上方に抜け出した後の状態を示す斜視図である。 主軸モータ36の主軸の回転角度に対する針棒35と天秤44との動きを示すタイミングチャートである。 保持手段Aが「中間保持位置」に位置したときの状態を示す(a)平面図(b)側面図である。 保持手段Aが中間保持位置で上糸を保持した状態を示す斜視図である。 保持手段Aの下板1と先端部材2との部材間の間隔が変更可能である旨を説明するための図面である。 保持手段Aが「上糸保持位置」に位置したときの状態を示す(a)平面図(b)側面図である。 保持手段Aが上糸保持位置で上糸を保持した状態を示す斜視図である。 保持手段Aの上糸保持位置が変更可能である旨を説明するための図面である。 保持手段Aが「開放位置」に位置したときの状態を示す(a)平面図(b)側面図である。 保持手段Aが開放位置で上糸を開放した状態を示す斜視図である。 先端部材2と代替可能な先端部材80を示す側面図である。 制御手段70(CPU)が行う上糸保持設定モードの処理を経時的に示すフローチャートである。
符号の説明
1 下板
1b 貫通孔
1f 保持面
23 上板
2 先端部材
2b 挟持部
2c 突起部
2e 挟持面
3 上板本体
4 モータ
5 連結部材
6 カム板リンク
7 ガイド
8 ガイド蓋
9 コイルばね
20 スリット板
21 第1のセンサ
22 第2のセンサ
25 光路
35 針棒
36 主軸モータ
44 天秤
51 針穴
52 針
60 上糸保持装置
70 制御手段
71 タッチパネル
77 前進キー(第1,第2の設定手段)
78 後退キー(第1,第2の設定手段)
90 回転釜
100 ミシン
A 保持手段
B 駆動手段
C 検出手段

Claims (3)

  1. 針板と回転釜との間に配置され、針に挿通された縫い始めの上糸を部材間に挿通させて当該上糸を屈曲させながら保持する保持手段と、
    中間保持位置での前記保持手段の部材間の間隔を変更する駆動手段と、
    前記保持手段の部材間の間隔を設定する第1の設定手段と、
    前記保持手段の部材間の間隔が前記第1の設定手段による設定値に応じた間隔となるように前記駆動手段を作動させる制御手段と、
    を備えることを特徴とするミシン。
  2. 請求項1に記載のミシンにおいて、
    前記制御手段が、
    前記保持手段の部材間の間隔を前記第1の設定手段による設定値に応じた間隔とするように前記駆動手段を作動させたら、その後前記駆動手段の作動を停止させることを特徴とするミシン。
  3. 針板と回転釜との間に配置され、針に挿通された縫い始めの上糸を部材間に挿通させて当該上糸を屈曲させながら保持する保持手段と、
    前記保持手段の上糸保持位置を変更する駆動手段と、
    前記保持手段の上糸保持位置を設定する第2の設定手段と、
    前記保持手段の上糸保持位置が前記第2の設定手段による設定値に応じた位置となるように前記駆動手段を作動させる制御手段と、
    を備えることを特徴とするミシン。
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