JP2006319181A - プラズマエッチング装置、及び当該装置のクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】誘導結合型のプラズマエッチング装置において、エッチング処理中に発生するパーティクルを低減することができるプラズマエッチング装置及び当該装置のクリーニング方法を提供する。
【解決手段】本発明のプラズマエッチング装置は、被処理基板7と平行な面内で、チャンバ1の内壁に電子の反跳作用を有する多極磁場を生成する磁場生成手段20を備える。磁場生成手段20は、チャンバクリーニングの際に、多極磁場を生成する。これにより、クリーニング用プラズマとチャンバ1との間に生じる電位差が小さくなり、クリーニングプラズマ中のイオンによるチャンバ内壁のスパッタリングが抑制される。このため、チャンバクリーニング中に、反応生成物が生成されることを抑制でき、パーティクルの発生を抑制することができる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のプラズマエッチング装置は、被処理基板7と平行な面内で、チャンバ1の内壁に電子の反跳作用を有する多極磁場を生成する磁場生成手段20を備える。磁場生成手段20は、チャンバクリーニングの際に、多極磁場を生成する。これにより、クリーニング用プラズマとチャンバ1との間に生じる電位差が小さくなり、クリーニングプラズマ中のイオンによるチャンバ内壁のスパッタリングが抑制される。このため、チャンバクリーニング中に、反応生成物が生成されることを抑制でき、パーティクルの発生を抑制することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体装置の製造工程において、エッチング使用される誘導結合型のプラズマエッチング装置、及び当該装置のクリーニング方法に関するものである。
システムLSI等の半導体装置の製造工程では、各種材料膜のエッチングにプラズマエッチング装置が用いられている。また、近年の素子の微細化に伴って、プラズマエッチング装置には、高アスペクト比のパターンの形成を可能とするために、高密度プラズマを生成することが要求されている。
このような高密度プラズマを生成できるプラズマエッチング装置として、誘導結合型のプラズマエッチング装置が知られている。この種のプラズマエッチング装置は、エッチング処理が行われるチャンバの一部が石英等の誘電体で構成され、当該誘電体の外部にプラズマ生成用の励起コイルが配置されている。そして、この励起コイルに、例えば、13.56MHzのRF(Radio Frequency)電力を印加することで、チャンバ内部に高密度プラズマが励起される。
一方、プラズマエッチング装置において、被処理物のエッチング処理が行われる過程では、プラズマ中のラジカルやイオン等の活性種により反応生成物が生成される。当該反応生成物は、エッチング処理中に、チャンバの内壁やチャンバ内に配置されている部材に付着する。そして、チャンバ内に付着した反応生成物が剥がれ落ちた場合、チャンバ内にパーティクル(微細粒子)が発生する。当該パーティクルがウェハ上に落下すると、半導体装置の製造歩留まりを低下させるため、プラズマエッチング装置では、チャンバ内に付着した反応生成物を除去するためのクリーニング処理(以下、チャンバクリーニングという。)が、1枚または複数枚のウェハがエッチング処理される度に実施される。
特に、誘導結合型のプラズマエッチング装置では、プラズマを励起する際に、容量結合型のプラズマエッチング装置のように、被処理物であるウェハが載置されるステージにバイアスを印加する必要がなく、ステージ上にウェハが載置されていない状態でプラズマを励起してもステージがエッチングされない。このため、誘導結合型のプラズマエッチング装置では、チャンバクリーニングにプラズマが用いられる。
例えば、塩素系ガスをプロセスガスとして、シリコンのエッチング処理を行った際にチャンバ内に付着したシリコンを含有する反応生成物は、SF6ガスをプロセスガスとしたプラズマにより除去することができる(例えば、非特許文献1等参照。)。
また、後掲の特許文献1には、チャンバ側壁の外部に、チャンバ内壁に電子及びイオンの反跳作用を有する多極磁場(カスプ磁場)を形成するための磁場発生手段を備えたプラズマ処理装置が開示されている。このプラズマ処理装置は、プラズマ処理時には多極磁場を生成してイオンをプラズマ処理対象物の近傍に収束させるとともに、チャンバクリーニング時には多極磁場を消失させてイオンをチャンバ側壁に積極的に到達させて付着物の除去を行っている。
特開2002−110565号公報
ソーラブ・ウラル (Saurabh J. Ullal)、他3名, "Maintaining reproducible plasma reactor wall conditions: SF6 plasma cleaning of films deposited on chamber walls during Cl2/O2 plasma etching of Si", ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジ・A(Journal of Vacuum Science and Technology A), 第20巻, 第4号, 2002年7月, p.1195−1201
しかしながら、上述のチャンバクリーニングを適用した場合であっても、被エッチング物とクリーニング用プラズマの種類との組み合わせによっては、チャンバクリーニング後のエッチング処理においてウェハ上に発生するパーティクル数が、チャンバクリーニング前に発生していたパーティクル数に比べて大幅に増加することがあった。
本願発明者らは、上記現象が生じたチャンバ内の状況を解析した結果、チャンバクリーニング中にチャンバの天井部に多くの反応生成物が付着しており、当該反応生成物がチャンバ内壁の成分元素を含んでいるという知見を得た。
一般に、チャンバクリーニングの処理時間は、チャンバ内壁に付着した反応生成物が完全に除去されるように、反応生成物の付着厚等から推定される最低限必要な処理時間よりも長い処理時間が設定される。このため、チャンバクリーニング中に、チャンバ内壁に付着した反応生成物が完全に除去された後は、チャンバ内壁がプラズマに曝されることになる。すなわち、チャンバ天井部の付着物は、チャンバクリーニングの際に、プラズマ中の活性種との反応やスパッタリングによりチャンバ内壁がエッチングされることで生成されているのである。
このような、チャンバ内壁のエッチングを低減するには、チャンバクリーニングに使用されるプロセスガスとして、チャンバ内壁の構成材料と反応性を有しない(または、反応性の低い)ガスを採用するとともに、チャンバ内壁に対するスパッタリングを抑制する必要がある。
上記スパッタリングは、プラズマとチャンバとの間に生じる電位差により加速されたイオンにより行われる。また、当該電位差はプラズマが励起される過程で生じるものであり、チャンバ内壁に入射することにより消失する電子の数とイオン数との間に差があることに起因している。すなわち、低圧力プラズマにおいては、イオンに比べてエネルギーが高く、かつ質量の軽い電子は、イオンに比べて多数がチャンバ内壁に入射するため、正電荷に比べて負電荷の方が多く消失するのである。このため、一般に、プラズマは正の電位を有する。
上述のような、プラズマとチャンバとの間の電位差を低減する手法として、チャンバに外部から電圧を印加する方法がある。しかしながら、誘導結合型のプラズマエッチング装置では、チャンバ外部の励起コイルに印加されたRF電力のみでプラズマが励起されるため、チャンバ内部にプラズマの電位の基準となる電位が存在しない。このため、プラズマの電位は、チャンバの電位に対して相対的に定まる。したがって、外部からチャンバに電位を印加しても、チャンバとプラズマとの間の電位差を低減することができない。
また、プラズマとチャンバとの間の電位差を低減する他の手法として、プラズマの電子温度を低下させる方法が考えられる。プラズマの電子温度は、チャンバ内の圧力を上昇させることにより低下させることが可能である。しかしながら、プラズマを生成するためにチャンバ内に導入されるプロセスガスの種類によって、圧力上昇に対する電子温度の低下量が異なるため制御が煩雑である上、電子温度を0とすることはできないため、原理上、チャンバ内壁のスパッタリングを完全になくすことは不可能である。
本発明は、上記従来の事情を鑑みてなされたものであり、誘導結合型のプラズマエッチング装置において、エッチング処理の際にチャンバ内壁に付着した反応生成物を除去するチャンバクリーニング時に、チャンバ内壁の組成物とクリーニング用プラズマとの反応による反応生成物が、チャンバ内壁に付着することを抑制することができるプラズマエッチング装置及び当該装置のクリーニング方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。まず、本発明は、誘導磁場によりプラズマを励起して、チャンバ内部に収容された被処理基板のエッチング処理を行うプラズマエッチング装置を前提としている。そして、本発明のプラズマエッチング装置は、チャンバが、被処理基板と対向する位置に電磁波を透過する誘電体壁を備えている。また、チャンバ外部の誘電体壁に対応する位置には、プラズマを励起するための誘導磁場を生成する励起コイルが設けられるとともに、被処理基板と平行な面内で、チャンバ内壁に電子の反跳作用を有する多極磁場を生成する磁場生成手段が設けられている。当該磁場生成手段は、チャンバクリーニングの際に、前記多極磁場を生成する。
本構成によれば、チャンバクリーニングの際に生成されるクリーニング用プラズマ中の電子が、チャンバ内壁に入射することを抑制することができる。このため、クリーニング用プラズマとチャンバとの間に生じる電位差は小さくなり、クリーニング用プラズマ中のイオンによるチャンバ内壁のスパッタリングが抑制される。これにより、チャンバクリーニング中に、チャンバ内壁がエッチングされ、当該エッチングにより生成される反応生成物が、チャンバ内壁に付着することが抑制される。したがって、チャンバクリーニング後のエッチング処理において、パーティクルの発生を減少させることができる。
また、上記磁場生成手段は、チャンバクリーニング時にのみ多極磁場を生成してもよい。この場合、被処理基板のエッチング処理を行う際には多極磁場が生成されないため、エッチング用プラズマが多極磁場の影響を受けない。すなわち、エッチング処理中の多極磁場の影響を排除することができ、励起コイルの誘導磁場により生成されたエッチング用プラズマの均一性を保持することができる。
さらに、チャンバクリーニングが、少なくとも2種のプラズマを順次励起して行われる場合、磁場生成手段は、プラズマ種に応じて多極磁場の強度を特定値に変化させることが好ましい。
一方、他の観点では、本発明は、誘導磁場によりプラズマを励起して、チャンバ内部に収容された被処理基板のエッチング処理を行うプラズマエッチング装置のクリーニング方法を提供することができる。すなわち、本発明に係るプラズマエッチング装置のクリーニング方法は、被処理基板と平行な面内で、チャンバ内壁に電子の反跳作用を有する多極磁場を生成するステップと、前記チャンバ内部に、クリーニング用のプラズマを励起するステップとを有する。
以上のように、本発明のプラズマエッチング装置およびクリーニング方法によれば、エッチング処理の際にチャンバ内壁に付着した反応生成物を確実に除去することができるとともに、クリーニングプラズマによるチャンバ内壁のスパッタリングを抑制することができる。これにより、パーティクルの発生を低減することができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る誘導結合型プラズマエッチング装置の概略縦断面図であり、図2は、図1に示すA−A線における概略横断面図である。なお、図1は、図2に示すB−B線における断面図になっている。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る誘導結合型プラズマエッチング装置10(以下、プラズマエッチング装置10という。)は、鉛直方向に軸を有する略円筒状のチャンバ1を備える。チャンバ1の上壁は、例えば、石英等の誘電体からなる板状の誘電体壁2により構成されており、当該誘電体壁2の上面に励起コイル3が設けられている。励起コイル3には、インピーダンス整合器4を介して、例えば、周波数が13.56MHzのRF電力を出力する高周波電源5が接続されている。
また、励起コイル3は、例えば、渦巻き状や、略同心円状に構成された、電気的に一体の平面状コイルであり、高周波電源5によりRF電力が印加された際に、チャンバ1の軸方向に垂直な面内で、チャンバ1の軸を軸心として電子がほぼ円運動をする磁場が形成されるようになっている。なお、チャンバ1の側壁及び下壁は非磁性体の材質のより構成される。本実施の形態では、チャンバ1の側壁及び下壁は、アルミニウムにより構成されるとともに、当該アルミニウムの少なくとも内壁面側には、陽極酸化により耐食性を有する皮膜が形成されている。
一方、チャンバ1内部の上記誘電体壁と対向する位置には、エッチングの対象となる被処理基板7(以下、ウェハ7という)が載置されるステージ6が設けられている。当該ステージ6には、整合器9を介して、例えば、周波数が13.56MHzのRF電力を出力する高周波電源8が接続されている。なお、図示を省略しているが、チャンバ1の例えば上部には、プラズマを生成するためのプロセスガスが導入されるガス導入口が連通されるとともに、チャンバ1の例えば下部には、チャンバ1内を所定圧力に維持する真空ポンプが接続されたガス排出口が連通されている。また、ステージ6に載置されるウェハ7は、チャンバ1の側壁、または下壁に開閉可能に設けられた図示しない搬入出口を介して、チャンバ内に搬入出される。
さて、本発明に係るプラズマエッチング装置10は、ステージ6(ウェハ7)と平行な面内で、チャンバ1の内壁に電子の反跳作用を有する多極磁場(カスプ磁場ともいう。)を形成する磁場生成手段20を備えている。
磁場生成手段20は、磁場の発生、消失、及び磁場強度の変更を自在に行うことが可能な構成であれば任意の構造を採用することができる。本実施の形態では、図2に示すように、磁場生成手段20は、チャンバ1の側壁の外周に沿って所定間隔をおいて配置された複数(図2では8個)の電磁コイル21(21a、21b、21c、・・・、21h)により構成されている。ここで、各電磁コイル21は、直流電源22からそれぞれ供給された電流が、チャンバ1の側壁に沿って鉛直方向に流れることで磁場を生成する。また、隣接する電磁コイル21(例えば、電磁コイル21aと電磁コイル21b)では、電流の方向は、互いに逆方向になっている。
したがって、各電磁コイル21にそれぞれ接続された直流電源22が、各電磁コイル21に電流を印加すると、チャンバ1の側壁の内側には、図3に示すように、各電磁コイル21が形成する磁場の合成磁場として、プラズマからチャンバ1の側壁に入射しようとする電子がチャンバ1の中央方向に反跳される多極磁場が生成される。また、電磁コイル21への電流の印加が停止されると当該多極磁場は消失し、さらに、直流電源22が各電磁コイルに印加する電流量の大きさを制御することにより、多極磁場の強度を変化させることもできる。
さて、上記プラズマエッチング装置10においてエッチング処理を行う場合、まず、チャンバ1内のステージ6にエッチング対象となるウェハ7が設置される。そして、被エッチング材料に応じたプラズマを生成するためのプロセスガスがチャンバ1内に導入されるとともに高周波電源5により励起コイル3にRF電力が印加され、チャンバ1内にエッチング用プラズマが励起される。このとき、ステージ6には、プラズマ中のイオンをステージ6に入射させるためのバイアスとして、高周波電源8からRF電力が印加される。
例えば、ウェハ7上に形成されたポリシリコン膜のエッチングを行う場合、チャンバ1内には塩素及び酸素を含むガスが導入される。ポリシリコン膜のパターニングを行うためのエッチング処理では、ポリシリコン膜上にエッチングマスクが配置される。このエッチングマスクは、通常、公知のリソグラフィ技術によりパターンニングされたレジスト膜が使用される。このため、当該エッチング処理では、シリコンとの反応により生成されたシリコン化合物と、レジスト膜の組成物である有機材料に含まれる炭素との反応により生成された炭素化合物とが、チャンバ1の内壁やチャンバ1内に設けられた部材に付着する。
上記エッチング処理において、磁場生成手段20が、チャンバ1内に多極磁場を形成することも可能である。しかしながら、図1に例示した励起コイル3を備えたエッチング装置は、励起コイル3により生成される励起磁場だけで、均一かつ高密度のプラズマを励起することができる。このため、チャンバ1内に多極磁場が生成されると、当該多極磁場と、励起コイル3が生成した励起磁場とが干渉して、ウェハ7の直上に生成されたエッチング用プラズマ中の電子軌道が変化し、電子温度やプラズマ密度等が不均一になる可能性がある。したがって、エッチング処理時には、磁場生成手段20は、多極磁場を生成しないことが好ましい。
ウェハ7のエッチング処理が完了すると、励起コイル3へのRF電力の供給が停止されプラズマの生成が停止される。そして、エッチング処理が完了したウェハ7が、図示しない搬入出口からチャンバ1の外部に搬出される。
ウェハ7が搬出された後、チャンバクリーニングが実施される。なお、チャンバクリーニングは、1枚のウェハ7、または複数枚のウェハ7がエッチング処理される度に実施される。
プラズマエッチング装置10においてチャンバクリーニングを行う場合、まず、各直流電源22が、各電磁コイル21に電流を印加する。これにより、チャンバ1の側壁の内側に、図3に示した多極磁場が形成される。
続いて、上記エッチング処理中に生成され、チャンバ1の内壁やチャンバ1の内部に設けられた部材に付着した反応生成物を除去可能なプラズマを生成するためのプロセスガスがチャンバ1内に導入される。このとき、高周波電源5により励起コイル3にRF電力が印加され、チャンバ1内にクリーニング用のプラズマが励起される。なお、チャンバクリーニング時には、ステージ6にはRF電力が印加されず、ステージ6はチャンバ1の側壁及び下壁と等電位(例えば、接地電位)にされる。
上記クリーニング用プラズマの励起過程では、高いエネルギーを有する多数の電子が生成される。これらの電子はプラズマ中のイオンや中性粒子との衝突を繰り返し、当該衝突の過程でチャンバ1の側壁に向かう電子が発生する。しかしながら、チャンバ1の側壁に入射しようとする電子の軌道は、上記多極磁場によりチャンバ1の中央部の方向に大きく曲げられるため、チャンバ1の側壁に電子は入射しない。
このため、多極磁場が形成されている状況下では、チャンバ1の側壁への電子の入射数は、多極磁場が形成されていない場合に比べて減少する。したがって、クリーニング用プラズマの励起過程で、プラズマから失われる負電荷の量が少なくなるため、結果として、プラズマの電位の上昇が抑制され、クリーニング用プラズマとチャンバ1との間に生じる電位差を小さくすることができる。
また、電子の軌道が曲げられる大きさは、当該電子の移動速度と、多極磁場の強度により定まる。このため、多極磁場を特定の強度とすることにより、当該磁場強度に対応する所定の速度以上の移動速度でチャンバ側壁に入射しようとする電子のみを反跳させることができる。このため、直流電源22が電磁コイル21に供給する電流量をパラメータとして、多極磁場の強度を特定の強度に設定することで、クリーニング用プラズマとチャンバ1との間に生じる電位差を特定の値に設定することが可能である。
加えて、クリーニング用プラズマ中のイオンがチャンバ内壁の付着物の除去に寄与する場合、上記磁場強度は、電子に比べて質量が大きく、移動速度が小さいイオンを反跳させない磁場強度に設定される。これにより、当該イオンは多極磁場に反跳されることなくチャンバ1の側壁に到達し、チャンバ1内の付着物を除去することができる。
このような磁場強度は、イオンの種類、すなわち、クリーニング用プラズマを励起するためにチャンバ1内に導入されるプロセスガスの種類よって異なるが、例えば、ラングミュアプローブ等によりプラズマの電位を計測するとともにチャンバクリーニングを行うことで予め求めることが可能である。すなわち、当該磁場強度は、チャンバ1内に付着した反応生成物が除去可能で、かつチャンバ1との電位差が最小となるプラズマ電位を実現する磁場強度(直流電源22が電磁コイル21に供給する電流量)として求めることができる。なお、反応生成物の除去が、主として、クリーニング用プラズマ中のラジカル等の中性粒子との反応により進行する場合、当該磁場強度は、プラズマ電位とチャンバ1との電位差が0となる磁場強度となる。
例えば、上述のポリシリコン膜のエッチング処理の際に、チャンバ1内に付着したシリコン化合物、及び炭素化合物を除去するチャンバクリーニングは、以下のようにして行われる。この場合、シリコン化合物と炭素化合物とを同一のクリーニング用プラズマで除去することが困難であるため、シリコン化合物を除去するクリーニング用プラズマと、炭素化合物を除去するクリーニング用プラズマとが順次励起される。ここでは、シリコン化合物を除去するクリーニング用プラズマを生成するためのプロセスガスとして、SF6ガスが使用される。また、炭素化合物を除去するクリーニング用プラズマを生成するためのプロセスガスとして、酸素ガスが使用される。なお、各クリーニング用プラズマの励起順は逆順であってもよい。
シリコン化合物を除去するチャンバクリーニングでは、まず、上述のようにして予め求められたSF6ガスに対応する電流を、直流電源22が各電磁コイル21に供給する。これにより、チャンバ1の側壁の内側には、SF6ガスにより生成されたプラズマが、チャンバ1の内壁に付着したシリコン化合物が除去可能で、かつ当該プラズマとチャンバ1との間の電位差を最小にする多極磁場が形成される。
続いて、チャンバ1内にSF6ガスが導入されるとともに、高周波電源5により励起コイル3にRF電力が印加され、クリーニング用プラズマが励起される。そして、当該状態が、チャンバ1内に付着したシリコン化合物を除去するに十分な処理時間が経過するまで維持される。
このとき、上記多極磁場は、クリーニング用プラズマとチャンバ1との間の電位差が最小となる磁場強度に設定されているので、当該電位差によりチャンバ1の内壁に入射するイオンに付与される運動エネルギーは従来に比べて小さく、クリーニング用プラズマ中のイオンがチャンバ1の側壁内面をスパッタリングすることが抑制される。すなわち、当該チャンバクリーニング中に、チャンバ1内壁の組成物とクリーニング用プラズマとの反応による生成物がチャンバ内に付着することが抑制される。
所定の処理時間が経過した後、励起コイル3へのRF電力の供給が停止され、SF6ガスプラズマの生成が停止される。
次に、炭素化合物を除去するチャンバクリーニングでは、まず、上述のようにして予め求められた酸素ガスに対応する電流を、直流電源22が各電磁コイル21に供給する。これにより、チャンバ1の側壁の内側には、酸素ガスにより生成されたプラズマが、チャンバ1の内壁に付着した炭素化合物が除去可能で、かつ当該プラズマとチャンバ1との間の電位差を最小にする多極磁場が形成される。
続いて、シリコン化合物を除去するチャンバクリーニングと同様に、チャンバ1内に酸素ガスが導入されてクリーニング用プラズマが励起され、当該状態が、チャンバ1の内壁に付着した炭素化合物を除去するに十分な処理時間が経過するまで維持される。この場合も、チャンバ1の内壁に入射するイオンに付与される運動エネルギーは従来に比べて小さく、クリーニング用プラズマ中のイオンがチャンバ1をスパッタリングすることが抑制される。すなわち、チャンバクリーニング中に、チャンバ1内壁の組成物とクリーニング用プラズマとの反応による生成物がチャンバ内に付着することが抑制される。
そして、所定の処理時間が経過した後、励起コイル3へのRF電力の供給が停止され、酸素ガスプラズマの生成が停止される。
以上のように、上記プラズマエッチング装置10では、エッチング処理の際にチャンバ1の内壁に付着した反応生成物を確実に除去することができるとともに、当該反応生成物を除去するチャンバクリーニングの際に、チャンバ内壁の組成物を含有する反応生成物が生成され、当該反応生成物がチャンバ1内に付着することを抑制することができる。このため、チャンバ内壁の組成物を含有する反応生成物が原因となって生じていたパーティクルの発生を低減することができる。
なお、本発明は以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲において、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、上記では、磁場生成手段20が、それぞれ独立した電磁コイル21により構成された例を示したが、磁場生成手段20は、例えば、図4に示すように、複数の矩形環状の電磁コイル23(23a、23b、23c、・・・、23h)で構成することもできる。この場合、隣接する環状電磁コイル23(例えば、環状電磁コイル23aと23b)には、直流電源から、電流が互いに逆方向に各環状電磁コイルに供給される。したがって、隣接する環状電磁コイル23において、チャンバ1の側壁に沿って鉛直方向に同一方向に流れる辺を近接させて配置することにより、図3に示した多極磁場と同様の多極磁場を形成することができる。また、温度制御等により、磁場強度を特定値に設定可能な構成であれば、磁場生成手段20を磁性体で構成してもよい。
また、上記説明では、多極磁場が形成された後に、クリーニング用プラズマを励起する構成を示したが、多極磁場の形成とクリーニング用プラズマの励起とは同時に行われてもよい。加えて、チャンバクリーニングは、開始当初から所定時間の間は、多極磁場を形成することなくクリーニング処理を行い、その後に、上記多極磁場を形成したクリーニング処理を行う構成でもよい。ここで、所定時間とは、クリーニング処理によりチャンバ内壁が露出するまでの時間である。このような所定時間は、例えば、経験則に基づいて設定することができる。さらに、チャンバクリーニングが、エッチング処理後に行われることは必須ではなく、エッチング処理に先立ってチャンバクリーニングを行ってもよい。
さらに、上記では、多極磁場の強度を、クリーニング用プラズマとチャンバとの間の電位差が最小となる磁場強度として説明したが、チャンバクリーニング時にチャンバ内壁がスパッタリングされることのない電位差であれば、最小の電位差であることは必須ではない。
以上説明したように、本発明によれば、チャンバクリーニング時に、クリーニング用プラズマとチャンバとの間に生じる電位差を低下させることができる。このため、クリーニング用プラズマとチャンバとの間に形成された電位差により加速されたイオンが、チャンバの内壁をスパッタリングすることを抑制することができる。したがって、エッチング処理の際にチャンバの内壁に付着した反応生成物を確実に除去することができるとともに、チャンバクリーニング中にチャンバ内壁の組成物を含む反応生成物がチャンバ内に付着することが抑制される。この結果、チャンバクリーニング後のエッチング処理において、パーティクルが発生することを抑制することができる。
本発明は、エッチング処理中に発生するパーティクルを低減する効果を有し、半導体装置の製造工程等において使用されるエッチング装置およびクリーニング方法として有用である。
1 チャンバ
2 誘電体壁
3 励起コイル
4 整合器
5 高周波電源
6 ステージ
7 ウェハ(被処理基板)
10 プラズマエッチング装置
20 磁場生成手段
21 電磁コイル
22 直流電源
2 誘電体壁
3 励起コイル
4 整合器
5 高周波電源
6 ステージ
7 ウェハ(被処理基板)
10 プラズマエッチング装置
20 磁場生成手段
21 電磁コイル
22 直流電源
Claims (4)
- 誘導磁場によりプラズマを励起して、チャンバ内部に収容された被処理基板のエッチング処理を行うプラズマエッチング装置において、
被処理基板と対向する位置に電磁波を透過する誘電体壁を備えた前記チャンバと、
前記誘電体壁に対応してチャンバの外部に配設され、前記誘導磁場を生成する励起コイルと、
前記チャンバの外部に配設され、前記被処理基板と平行な面内で、チャンバ内壁に電子の反跳作用を有する多極磁場を生成する磁場生成手段とを備え、
前記磁場生成手段は、前記チャンバ内部のクリーニング処理時に前記多極磁場を生成することを特徴とするプラズマエッチング装置。 - 前記磁場生成手段は、クリーニング処理時にのみ前記多極磁場を生成する請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
- 前記クリーニング処理が、少なくとも2種のプラズマを順次励起して行われる場合、前記磁場生成手段は、プラズマ種に応じて多極磁場の強度を特定値に変化させる請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
- 誘導磁場によりプラズマを励起して、チャンバ内部に収容された被処理基板のエッチング処理を行うプラズマエッチング装置のクリーニング方法であって、
前記被処理基板と平行な面内で、チャンバ内壁に電子の反跳作用を有する多極磁場を生成するステップと、
前記チャンバ内部に、クリーニング用のプラズマを励起するステップと、
を有することを特徴とするプラズマエッチング装置のクリーニング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005141221A JP2006319181A (ja) | 2005-05-13 | 2005-05-13 | プラズマエッチング装置、及び当該装置のクリーニング方法 |
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JP2005141221A JP2006319181A (ja) | 2005-05-13 | 2005-05-13 | プラズマエッチング装置、及び当該装置のクリーニング方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108695150A (zh) * | 2018-05-22 | 2018-10-23 | 徐亚琴 | 一种半导体晶圆批量刻蚀方法 |
CN111868890A (zh) * | 2019-02-27 | 2020-10-30 | 株式会社日立高新技术 | 等离子体处理方法以及等离子体处理装置 |
-
2005
- 2005-05-13 JP JP2005141221A patent/JP2006319181A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108695150A (zh) * | 2018-05-22 | 2018-10-23 | 徐亚琴 | 一种半导体晶圆批量刻蚀方法 |
CN111868890A (zh) * | 2019-02-27 | 2020-10-30 | 株式会社日立高新技术 | 等离子体处理方法以及等离子体处理装置 |
CN111868890B (zh) * | 2019-02-27 | 2024-03-22 | 株式会社日立高新技术 | 等离子体处理方法以及等离子体处理装置 |
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