JP2006316337A - 電気泳動堆積用の電解槽と、高分子・無機微粒子複合堆積体の製造方法 - Google Patents

電気泳動堆積用の電解槽と、高分子・無機微粒子複合堆積体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】気孔が無く、不純物金属を含まない高分子・無機微粒子複合堆積体を効率良く得る製造方法と、用いる電解槽の提供。
【解決手段】槽2本体の内側に、不溶性金属または炭素のアノード4と、金属または炭素のカソード6とを対向配置し、これらの電極4・6の各対向面の近傍に、カチオンを透過しアニオンを透過しない気泡遮断性の高分子膜で構成されたカチオン交換膜8・9を設け、両カチオン交換膜間の空間をスラリー室3とした電解槽1を用いる。原料スラリーは負に帯電した無機微粒子とアニオン性水溶性高分子とを分散させた水系サスペンションで、これをスラリー室3に投入し、アノード室5は弱酸性の電解液で満たし、カソード室7は弱アルカリ性の電解液で満たして、電極4・6間に電場を印加して電気泳動を行わせ、カチオン交換膜8のスラリー室3側の面に高分子と無機微粒子とを堆積させ、高分子・無機微粒子複合堆積体を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高分子と無機微粒子とを分散させた水系サスペンションを原料スラリーとし、電気泳動堆積法により前記高分子と無機微粒子との複合物である高分子・無機微粒子複合堆積体を製造する際に使用する電解槽と、この電解槽を用いて高分子・無機微粒子複合堆積体を製造する方法に関する。本発明により得られる高分子・無機微粒子複合堆積体は、例えば、シリコンウェハやガラス素材などの表面を研磨する際に使用される固定砥粒研磨工具等に利用可能である。
電気泳動堆積(Electrophoretic Deposition:EPD)法は、一般に、溶媒中にセラミックス微粒子等の無機微粒子を帯電・分散させ、そのサスペンションに電極を浸漬して電場を印加することにより、無機微粒子を電極基板上に直接堆積させる方法である(非特許文献1)。その場合に、溶媒として水を用い、これに無機微粒子と高分子(粒子表面に吸着させる高分子電解質あるいは水溶性高分子)を分散させた水系サスペンションを原料スラリーとして使用することがある。
このような水を溶媒とする従来の電気泳動堆積法では、通常、堆積能率を上げるために電極間に水の理論分解電圧以上の電圧が印加される。そのため、溶媒である水の電気分解によりアノード電極では酸素ガス、カソード電極では水素ガスがそれぞれ発生し、これらのガスが原料スラリーに混入した状態で原料成分が堆積する。その結果、この種の電気泳動堆積法により作製された堆積体(このようにしてできた堆積体が「成型体」あるいは「堆積成型体」と称されることもある)には気孔ができてしまう。
そこで、このような堆積体に混入する気孔を防ぐため、従来、アノード側へ帯電粒子を移動させて堆積させる電気泳動堆積法、つまり堆積体を形成することとなる原料スラリー中の高分子電解質や無機微粒子がアニオンのものでは、アノードの電極材質として、酸素発生電位より低い溶解電圧を有する亜鉛、銅、黄銅などを使用し、電気泳動堆積時のアノード電解電流を、これらの金属が原料スラリー中に溶解して生じたイオンが受け持つ方法を採用している。
また、電極の前に多孔フイルムであるメンブランフィルタなどを設けて気泡をとめる方法も知られている。
一方、カソード側へ帯電粒子を移動させて堆積させるものでは、電極に水素貯蔵合金を使う方法が知られている(特許文献1)。
「マテリアルインテグレーション」、Vol.13 No.11(2000)、第18〜24頁、発行所;株式会社ティー・アイ・シィー、発行国;日本国. 特開2001−105413号公報
しかしながら、電気泳動堆積時における堆積体への気孔ないし気泡の混入を防止するために採用されている上記のような従来の技術においては、以下のような問題があった。
まず、アノードの電極材質に、酸素発生電位より低い溶解電圧を有する亜鉛、銅、黄銅などを使用し、電気泳動堆積時のアノード電解電流を、これらの金属が原料スラリー中に溶解して生じたイオンが受け持つ方法の場合、原料スラリー中に金属イオンが溶解しているので、これらの金属が堆積体に含有されることが避けられない。さらに、カソードで生成される水酸化物イオン(OH- 、以下「水酸イオン」ともいう)がスラリーに拡散して行き、アノ−ドで水素イオン(H+ )がかかわる堆積を阻害する。
次に、堆積体への気泡の混入を防止する手段として、電極の前に多孔フィルムであるメンブランフィルタなどを備えたものにおいては、堆積体に混入しようとする気泡の阻止が困難となる場合がある。すなわち、例えば効率を上げるために電流密度を上げると、それに伴って気泡の発生量も多くなるが、電流密度を上げたときに生じるこのような多量の気泡の移動をメンブランフィルタのみで阻止することは難しい。
さらに、カソード側へ帯電粒子を移動させて堆積させるタイプの特許文献3記載の方法では、電極材料である水素貯蔵合金が高価である上、貯蔵できる水素に限りがあることから、比較的厚みのある堆積体を得るのは難しい。加えて、カソードで発生した水素の気泡が原料スラリーに混ざり堆積体に混入する場合があり、またカソードで生成された水酸イオンにより原料スラリーのpHが上昇し、高分子の水素イオンによる不溶化が生じたり、無機微粒子が電荷を失って凝集するなど、電気泳動堆積そのものの作用が阻害され、堆積能率が低下するといった問題がある。
このように従来の電気泳動堆積法による堆積体の製造においては、(1)電気分解時に生成される酸素ガスがまざって電気泳動堆積され、堆積した成型体に気孔が含まれる、(2)アノードの電極金属が原料スラリー中に溶解し、この溶解した金属(金属イオン)が堆積体に混入する、(3)カソードで生成された水酸イオンで原料スラリーのpHが上昇して堆積能率が低下する(4)カソードで生成された水素ガスが原料スラリー中に拡散して行き、これが電気泳動堆積時に堆積体に混入する結果、形成された堆積体に気孔ができる、といった問題があった。
本発明は、このような問題に対処するもので、電気泳動堆積法により高分子・無機微粒子複合堆積体を製造する際に、気泡や溶解した電極金属成分の堆積体中への混入を電気泳動による堆積能率を低下させることなく防止することにより、気孔が存在せず、しかも不純物である電極金属成分を含まない品質に優れた高分子・無機微粒子複合堆積体が効率良く得られるようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、水中に高分子と無機微粒子とを分散させた水系サスペンションを原料スラリーとし、電気泳動堆積法により前記高分子と無機微粒子との複合物である高分子・無機微粒子複合堆積体を製造する際に用いられる電気泳動堆積用の電解槽において、次のように構成したことを特徴とする。
すなわち、上方が外部に開放または連通した槽本体の内側に、電気泳動堆積時に酸化溶解しない不溶性金属または炭素で構成されたアノード電極と、金属または炭素で構成されたカソード電極とを、互いに所定間隔を開けて対向状に配置する。そして、カソード電極と向かい合う側のアノード電極面の近傍に、カチオン透過性とアニオン不透過性と気泡遮断性とを有する高分子膜で構成された第1のカチオン交換膜を設ける一方、アノード電極と向かい合う側のカソード電極面の近傍にも同じくカチオン透過性とアニオン不透過性と気泡遮断性とを有する高分子膜で構成された第2のカチオン交換膜を設け、この第1のカチオン交換膜と第2のカチオン交換膜との間の空間を、原料スラリーの投入されるスラリー室とする。こうして、第1のカチオン交換膜によりスラリー室をアノード電極の位置するアノード室から隔離し、第2のカチオン交換膜によりスラリー室をカソード電極の位置するカソード室から隔離した構成とする。
なお、本発明で使用するカチオン交換膜とは、膜を形成している高分子の骨格が負の電荷を帯びており、骨格の隙間をカチオン(例えばプロトン)が移動できるようになっていて、膜全体としては電気的に中性になったイオン交換膜を意味する。膜の中のカチオンは、膜全体を中性を保ちつつ膜の外側のカチオンと自由に入れ替わる(交換する)ことができるが、膜の外にあるアニオン(例えば水酸化物イオン)は、負の電荷を帯びた骨格との間で反発力(クーロン力)が作用するために膜を通過することができない。
本発明の電解槽においては、第1のカチオン交換膜のスラリー室側の面に、水および水素イオンを透過させる多孔板(請求項2)あるいは表面に凹凸を有する板状の鋳型部材である凹凸板(請求項3)を設け、この多孔板上あるいは凹凸板上に原料スラリー中の高分子と無機微粒子とを堆積させるようにしてもよい。これらの多孔板あるいは凹凸板は、堆積体の鋳型としての機能を果たし、これらの上に高分子と無機微粒子堆積体とが堆積して高分子・無機微粒子複合堆積体が形成される。したがって、これらの板における被堆積面の形状に対応した表面形状、つまりの被多孔板の孔に対応する凸部や、凹凸板の凹凸に対応する凹凸形状を有する高分子・無機微粒子複合堆積体が得られる。
なお、堆積面積が大きい場合や平坦度を必要とする場合には、堆積時に第1のカチオン交換膜の膜形状が維持されるよう、補強材として、樹脂製の網や多孔フイルム・布など、水を良く透過させる膜を重ねたり、これらの補強材で第1のカチオン交換膜を挟み込み、その上に成型体を堆積させるようにすることも可能である。
アノード側においては、アノード電極と第1のカチオン交換膜として、これらを一体化した構造を有する複合電極を用いることもできる(請求項4)。この場合の一体化は、アノード電極としてポーラスカーボン集電体と炭素繊維とガス拡散電極とを積層し、更にこのガス拡散電極の表面に第1のカチオン交換膜としてプロトン伝導性を有する高分子膜を積層することによって行われる。ここで、ポーラスカーボン集電体とは、三次元構造の骨格組織を持つ炭素多孔体からなる集電体をいう。また炭素繊維の具体例としては、PAN系炭素繊維やピッチ系炭素繊維が挙げられる。さらにガス拡散電極とは、反応により発生したガスを系外に効率よく排出するために、例えば電極内に相互に通じた微細な穴を形成して、液体は通過できず、ガスのみが通過できるようにした電極をいう。
一方、本発明方法は、上記の電解槽を用いて電気泳動堆積法により高分子と無機微粒子との複合物である高分子・無機微粒子複合堆積体を製造するもので、次のように構成したものである。すなわち、水中に負に帯電させた無機微粒子とアニオン性の水溶性高分子とを分散させた水系サスペンションを原料スラリーとして用い、この原料スラリーを前記電解槽におけるスラリー室に投入し、さらにアノード室は弱酸性の電解液で満たす一方、カソード室は弱アルカリ性の電解液で満たす。そして、この状態で、アノード電極およびカソード電極の両電極間に電場を印加して電気泳動を行わせることにより、アノード室とスラリー室とを区画している第1のカチオン交換膜の前記スラリー室側の面に原料スラリー中の高分子と無機微粒子とを堆積させる。
原料成分の無機微粒子としては、例えば、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化珪素およびその複合酸化物粒子などを使用できる。
原料成分の水溶性高分子としては、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムなどのアルギン酸系高分子、ポリビニルアルコールやイソプロピルアルコールなどのアルコール系高分子などを使用できる。
アノード室に注入する電解液としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸などの水で希釈してpHを調整したものを使用できる。
カソード室に注入する電解液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどを用いてpHを調整した水溶液を使用できる。
本発明の電解槽を用いて電気泳動堆積法により高分子・無機微粒子複合堆積体を製造するにあたり、アノード電極とカソード電極との間に電場を印加すると、スラリー室では原料スラリー中の負に帯電した無機微粒子および高分子の両アニオンはアノード電極側に移動して第1のカチオン交換膜上に堆積する(電気泳動堆積)。
このとき、アノード電極側では、水の電気分解(酸化)によって酸素ガスの気泡が生じるが(2H2 O→O2 +4H+ +4e- )、このようにして生じた酸素ガスの気泡は、気泡遮断性を有する第1のカチオン交換膜によってアノード室とスラリー室とが区画・分離されているため、スラリー室に入り込むことなくアノード室に留まったまま槽本体内を上昇して、その上方から外部に抜ける。一方、カソード電極側では、水の電気分解(還元)によって水素ガスの気泡が生じるが(2H2 O+2e- →H2 +2OH- )、このようにして生じた水素ガスの気泡も、アノード側で発生した前記酸素ガスの気泡における場合と同様、カソード室とスラリー室とを区画・分離している気泡遮断性を有する第2のカチオン交換膜の存在によってスラリー室内への移動が防止されるので、スラリー室に入り込むことなくカソード室内に留まったまま上昇して、槽本体の上方から外部に抜ける。このようにして、第1のカチオン交換膜のスラリー室側の面に堆積して形成される高分子・無機微粒子複合堆積体への酸素ガスおよび水素ガスの混入が防止され、その結果、この種のガスによる気泡を含まない、つまり気孔の無い高分子・無機微粒子複合堆積体が得られる。
また、上述のようにカソード電極側では水の電気分解によって水酸イオンが生成されるが、カソード室とスラリー室とを分離している第2のカチオン交換膜の性質上、つまりカチオン交換膜を形成している骨格が負の電荷を帯びているため、アニオンである水酸イオンは、このカチオン交換膜を透過することができない。したがって、カソード電極側で生成された水酸イオンがカソード室からスラリー室へと移動することがないから、この種の水酸イオンがスラリー室に移動することによって生じる原料スラリーのpH上昇が回避される。これにより、原料スラリーのpHが上昇した場合に生じる堆積能率の低下も防止できる。
加えて、本願発明においては、電気泳動堆積時に酸化溶解しない不溶性金属または炭素で構成されたアノード電極を使用しているので、アノード電極材料がイオンとして原料スラリー中に溶け出すことがない。したがって、アノード電極を構成している材料成分を含まない高分子・無機微粒子複合堆積体を得ることができる。
〈第1の実施形態〉
図1に、本発明に係る電解槽の一実施形態を模式的に示す。図1に示す電解槽1は、上方が外部に開放または連通した槽本体2を有する。この槽本体2の内側には、原料スラリーが投入される中央部のスラリー室3を挟んでその両側に、アノード電極4を備えたアノード室5と、カソード電極6を備えたカソード室7とが配置されている。
アノード電極4は、電気泳動堆積時に酸化溶解しないグラファイトまたはチタンに白金をメッキあるいは積層した多孔板(孔径は例えば0.1〜10mm)で構成されており、当該多孔板における多数の孔4aを介してアノード室5内の電解液がアノード電極4を厚み方向に透過して自由に流通できるようになっている。また、カソード電極6も、図示例ではアノード電極4と同様の多孔板で構成されており、当該多孔板における多数の孔6aを介してカソード室7内の電解液がカソード電極6を厚み方向に透過して自由に流通できるようになっている。なお、両電極4・6は、これらを構成している多孔板の板面どうしが互いに対向するようにセットされているとともに、図示例ではこれらの両側端面(図1の紙面と直行する方向の両端面)および底面が槽本体2の内面と接するようにセットされている。
そして、この電解槽1においては、アノード電極4のスラリー室3側に位置する面の近傍に、アノード電極4がスラリー室3内の原料スラリーと直接接触しないようにする隔膜として第1のカチオン交換膜8が設けられており、この第1のカチオン交換膜8によってアノード室5とスラリー室3とが区画されている。同様に、カソード電極7のスラリー室3側に位置する面の近傍にも、カソード電極6がスラリー室3内の原料スラリーと直接接触しないようにする隔膜として第2のカチオン交換膜9が設けられており、この第2のカチオン交換膜9によってカソード室7とスラリー室3とが区画されている。
これらのカチオン交換膜8・9は、カチオン透過性とアニオン不透過性とを有する高分子膜で構成されている。すなわち、水素イオン(プロトン)などのカチオンは透過させるが水酸化物イオンなどのアニオンは透過させない高分子膜(高分子からなるイオン交換膜)で構成されている。これらのカチオン交換膜を形成している高分子の骨格は負の電荷を帯びており、骨格の隙間をカチオンが移動できるようになっていて、膜全体としては電気的に中性になっている。膜の中のカチオンは、膜全体を中性を保ちつつ膜の外側のカチオンと自由に入れ替わる(交換する)ことができるが、膜の外にあるアニオン(例えば水酸化物イオン)は、負の電荷を帯びた骨格との間に電気的な反発力が作用するため膜を通過することができない。さらに、これらのカチオン交換膜8・9は、気泡を通過させない性質、すなわち気泡遮断性を有しており、電気泳動堆積時に両電極4・6の表面で水の電気分解により発生するガス(アノード電極4側では酸素ガス、カソード電極6側では水素ガス)からなる気泡がアノード室5およびカソード室7から第1のカチオン交換膜8および第2のカチオン交換膜6をそれぞれ通ってスラリー室3に入りこむことを防止しうるようになっている。
このような第1および第2のカチオン交換膜8・9としては、例えばデュポン社製のナフィオン(商品名、登録商標)などが好適に用いられる。
次に、本発明方法の実施形態の一例として、上記の電解槽1を用いて高分子と無機微粒子との複合物である高分子・無機微粒子複合堆積体を製造する場合について説明する。
ここでは、原料スラリーとして、水中に負に帯電させた無機微粒子とアニオン性の水溶性高分子とを分散させた水系サスペンションを使用する。まず、この原料スラリーを先の図1に示した電解槽1におけるスラリー室3に投入する一方、アノード室5は弱酸性の電解液、具体的にはpH4〜6の酸(例えば薄めた塩酸)で満たし、カソード室7は弱アルカリ性の電解液、具体的には例えばpH9〜pH13の塩化ナトリウム水溶液で満たす。
次に、このようにセットした状態で、アノード電極4およびカソード電極6の両電極間に電場(直流電圧)を印加する。このようにすると、原料スラリー中の負に帯電した無機微粒子およびアニオン性の水溶性高分子は両電極4・6間の電位差に基づいてアノード室5側に位置する第1のカチオン交換膜8の方に引き寄せられる(電気泳動現象)。このとき、アノード室5内ではアノード電極4の表面で水の電気分解により水素イオンが発生する。発生した水素イオンは電場の作用でスラリー室3に向けて移動し、アノード室5とスラリー室3との間を区画している第1のカチオン交換膜8を透過してスラリー室3内へ進入する。したがって、スラリー室3側では第1のカチオン交換膜8近傍のpHが下がる、つまり水素イオン濃度が高くなる。このため、クーロン力で第1のカチオン交換膜8の近傍に引き寄せられた前記無機微粒子の帯電が減るか無くなり、結果、凝集して第1のカチオン交換膜8の表面(スラリー室3側の面)に堆積する。同様にして、原料スラリー中の水溶性高分子も水素イオンで不溶化され、あるいは帯電が減ったり無くなったりするため、凝集して第1のカチオン交換膜8の表面に堆積する。こうして、第1のカチオン交換膜8のスラリー室3側の面に凝集堆積することによって、高分子と無機微粒子との複合物である高分子・無機微粒子複合堆積体Aが形成される。
ところで、上記のように電場を印加すると、アノード室5内にあるアノード電極4の表面では、水の電気分解(酸化)によって酸素ガスが発生し(2H2 O→O2 +4H+ +4e- )、カソード室7内にあるカソード電極6側では、水の電気分解(還元)によって水素ガスが発生する(2H2 O+2e- →H2 +2OH- )。従来においては、このようにしてできた気泡が、電気泳動堆積により形成される堆積体に混入することが避けられなかったため、得られた堆積体中に気孔ができていたのであるが、上記の電解槽1を用いた方法によると、これらの気泡は、アノード室5とスラリー室3との間、およびスラリー室3とカソード室7との間に、気泡遮断性を有する第1のカチオン交換膜8および第2のカチオン交換膜9がそれぞれ設けられているから、アノード室5およびカソード室7でそれぞれ発生した上記のような気泡はスラリー室3に入り込まない。
すなわち、アノード室5内で発生した酸素ガスの気泡は、アノード室5とスラリー室3との間に気泡遮断性を有する第1のカチオン交換膜8が存在することにより、スラリー室3に入り込むことなくアノード室5に留まったまま槽本体2内を上昇して、その上方から外部に抜ける。同様に、カソード室7内で発生した水素ガスの気泡も、カソード室7とスラリー室3との間に気泡遮断性を有する第2のカチオン交換膜6が存在することにより、スラリー室3に入り込むことなくカソード室7に留まったまま槽本体2内を上昇して、その上方から外部に抜ける。
したがって、第1のカチオン交換膜8のスラリー室3側の面に堆積して形成される高分子・無機微粒子複合堆積体Aに、水の電気分解により生じた酸素ガスおよび水素ガスの気泡が混入しなくなる。これにより、この種の気泡を含まない、つまり気孔の存在しない高分子・無機微粒子複合堆積体Aが得られる。
また、上述のようにカソード電極6側では水の電気分解によって水酸イオン(水酸化物イオン)が生成されるが、カソード室7とスラリー室3との間に設けられた第2のカチオン交換膜6を構成している高分子の骨格が負の電荷を帯びているので、アニオンである水酸イオンは、この第2のカチオン交換膜6を透過することができない。したがって、カソード電極6側で生成された水酸イオンがカソード室7からスラリー室3へと移動することがないから、この種の水酸イオンがスラリー室3に移動することによって生じる原料スラリーのpH上昇が回避される。これにより、原料スラリーのpHが上昇した場合に生じる堆積能率の低下も防止できる。
さらに、上記の電解槽1においては、アノード電極4が電気泳動堆積時に酸化溶解しないグラファイトまたはチタンに白金をメッキあるいは積層した多孔板(孔径は例えば0. 1〜10mm)で構成されているから、アノード電極材料がイオンとしてスラリー室3内の原料スラリー中に溶け出すことがない。したがって、アノード電極4を構成している材料成分を含まない高分子・無機微粒子複合堆積体Aを得ることができる。
〈第2の実施形態〉
図2に、本発明に係る電解槽の第2の実施形態を模式的に示す。図2に示す電解槽1は、上方が外部に開放または連通した槽本体2を有する。この槽本体2の内側には、中央部に原料スラリーが投入されるスラリー室3が配置されており、その両側に、アノード電極4を備えたアノード室5、およびカソード電極6を備えたカソード室7がそれぞれ配置されている。そして、アノード室5とスラリー室3との間に第1のカチオン交換膜8が設けられ、カソード室7とスラリー室3との間に第2のカチオン交換膜9が設けられて、これらのカチオン交換膜8・9によってスラリー室3がアノード室5およびカソード室7に対してそれぞれ隔離されている。これらの点は、先に説明した図1の電解槽1と同様である。異なるのは、以下の点である。
すなわち、図2の電解槽1では、表面に所定の凹凸パターンを有する高分子・無機微粒子複合堆積体が電気泳動堆積により得られるように、第1のカチオン交換膜8の上に、表面に所定の凹凸パターンを有する鋳型部材10が設けられている。この鋳型部材10は、水や水素イオンを透過するポーラス板や繊維体で構成されており、前記凹凸パターンが存在する表面側がスラリー室3内の原料スラリーと接し、他方の裏面側が第1のカチオン交換膜8と接するように、当該第1のカチオン交換膜8上に重ねられている。
なお、先に述べた図1の電解槽1では、槽本体2の内面にアノード電極4およびカソード電極6の周囲を密着させたことから、各電極4・6をそれぞれ構成している多孔板の孔4a・6aを介して各電極4・6の前後(図1では左右)に電解液が流通するように構成したが、図2に示した電解槽1では、槽本体2の内面にアノード電極4およびカソード電極6の周囲を密着させず、その間に所定の隙間C・Cをそれぞれ設けて、これらの隙間C・Cを通って電解液が当該電極の前後に流通する構成となっている。ただし、図2の電解槽1においても、アノード電極4およびカソード電極6を、図1の電解槽1におけるように多孔板で構成しても良いことは勿論である。
上記のような鋳型部材10を有する電解槽1を用いれば、両電極4・6間に電圧を印加して電気泳動を生じさせたときに、原料スラリー中の無機微粒子および高分子が鋳型部材10の表面つまり凹凸面に堆積することにより、鋳型部材10の表面上にこれに対応する凹凸パターンを表面に有する高分子・無機微粒子複合堆積体Aを形成することができる。なお、図2では第1のカチオン交換膜8および鋳型部材10の全体形状は平面状であるが、これらの形状を曲面状とすることで、全体として曲面状の形状を持った堆積体Aを形成することが可能となる。
〈第3の実施形態〉
図3に、本発明に係る電解槽の第3の実施形態を模式的に示す。図3に示す電解槽1は、上方が外部に開放または連通した槽本体2を有する。この槽本体2の内側には、中央部に原料スラリーが投入されるスラリー室3が、その一側方にアノード室5が、他側方にカソード室7が、それぞれ配置されている。カソード室7には、図1の電解槽1における場合と同様、所定の多孔板からなるカソード電極6が設けられ、カソード電極6の近傍に第2のカチオン交換膜9が設けられて、この第2のカチオン交換膜9によってカソード室7とスラリー室3とが区画されている。
一方、アノード室5側には、アノード電極4および第1のカチオン交換膜8として、これらを一体化した複合電極11が備えられている。この複合電極11は、アノード電極4としてポーラスカーボン集電体41と炭素繊維42とガス拡散電極43とを積層し、更にこのガス拡散電極43の表面に第1のカチオン交換膜8としてプロトン伝導性を有する高分子膜(以下、プロトン交換膜ともいう)を積層した構成である。なお、この場合のプロトン交換膜8の構成材料には、図1の電解槽1で用いた第1およひ第2のカチオン交換膜8・9と同様のものが使用されている。
ポーラスカーボン集電体41には、炭素繊維42のほうに開放した溝が図中の下部から上部に向けて上下方向に設けられており(図示せず)、この溝の下部側から複合電極11内に電解液が供給されるようになっている。同時に、この時の水圧で、ガス拡散電極43の中で電気分解に伴って発生した酸素ガスが当該ガス拡散電極43から炭素繊維42を通過し、さらに前記溝を通って槽本体2外に排出されるようになっている。
ガス拡散電極43は、炭素紛、あるいは水の電気分解に触媒性を有する金属(たとえば白金及び白金とパラジウムを混合したものなど)で被覆した炭素紛と、これらを分散状態で結合保持するためのプロトン伝導性を有する高分子電解質ゲルとで構成されている。このようなガス拡散電極43を含む複合電極11は、ガス拡散電極43を構成する高分子電解質ゲルに先の炭素粉を混合・分散して保持させ、これをプロトン交換膜8上に塗布し、その上に上記炭素繊維42に積層して、この炭素繊維42・ガス拡散電極43・プロトン交換膜8の3層をホットプレスなどで集積し、その後にポーラスカーボン集電体41と接合することによって作製できる。
以上の構成に加えて、この電解槽1では、プロトン交換膜8の上に、この膜形状を維持する手段として、水を良く透過する膜からなる形状補強材12が設けられており、電気泳動によってこの形状補強材12の表面にスラリー室3内の帯電した無機微粒子および高分子が堆積するようになっている。プロトン交換膜3上にこのような形状補強材12を設けておくことによって、比較的大きな堆積面積を有する堆積体Aを形成する際にもプロトン交換膜8の全体の形状および表面形状を所定の状態に保つことができるから、全体形状が板状で且つプロトン交換膜8側(つまり形状補強材12と接する側)の表面形状が平坦な堆積体Aを得ることが可能となる。
ところで、電気泳動堆積法で堆積体を製造する際には、アノード室で比較的多量の酸素ガスが発生する場合があり、またそのようにして発生した酸素ガスが電解槽の上部から外部へスムーズに抜ければ良いが、そうでない場合もある。そこで、このような場合に備えて、図3の電解槽1では、アノード室5に液体ポンプ21を介して接続されたバッファ槽22が付加されている。このバッファ槽22は、上部が開放されており、その下部側が図示しないパイプやホース等を介して電解槽5と連通されている。そして、電解槽1におけるアノード室5内の酸素ガスの気泡を含んだ電解液を液体ポンプ21で吸い上げてバッファ槽22に移送・蓄積し、当該バッファ槽22で酸素ガスの気泡を外部に排出するようになっている。なお、図3に示した状態ではバッファ槽22の液面がアノード室5の液面よりも高い位置となっているが、実際には両液面の高さ位置が略同一となるようにセットされており、バッファ槽22内に蓄積された電解液は、その下部側からアノード室5に戻され、こうして電解液がアノード室5とバッファ槽22との間で循環するように構成されている。
このような電解槽1においても、先に図1や図2の電解槽1について述べた場合と同様、カソード電極6の前面側のスラリー室3との境界部分には第2のカチオン交換膜9があり、このカチオン交換膜9によってカソード室7がスラリー室3から隔離されるので、カソード電極6は原料スラリー室9内の原料スラリーに直接接触しなくなる。したがって、カソード電極6の表面で発生する水素ガスの気泡は、スラリー室3内に混入せず、上部の開放端より槽本体2外に排出される。また、カソード室7が第2のカチオン交換膜9で隔離されていることにより、カソード電極6の表面で生成された水酸イオンはスラリー室3内に入り込まないので、スラリー室3内に存在する原料スラリーのpHは上昇しない。ただし、水素イオンは第2のカチオン交換膜9を透過するので、槽本体2内のアノード室5(電解液)−スラリー室3(原料スラリー)−カソード室7(電解液)間に電流は流れる。なお、所定の多孔板で構成されたカソード電極6には多数の孔6aがあるから、これらの孔6aを通ってカソード電極6と第2のカチオン交換膜9との間の電解液はカソード電極6の後面側に出たりそこから入ったりして、これらのカソード電極6の前後間を自由に流通する。
[実施例1]
この実施例1は、ガラス基板や水晶基板などの表面を研削ないし研磨するための固定砥粒研削研磨用工具を、図1に示した電解槽を用いた電気泳動堆積法で製造する場合に関する。
ここでは、電解槽のアノード室およびカソード室に、それぞれ次のような電解液を入れた。すなわち、アノード室には、電解液としてpH3〜6(好ましくはpH4)の塩酸水溶液を注入し、カソード室には、電解液としてpH9〜13(好ましくはpH12)の水酸化カリウムを注入した。
一方、スラリー室には、次のようして調整した原料スラリーを投入した。
まず、所定量の水にアルギン酸ナトリウム(本発明でいう水溶性高分子)を溶解した。このときのアルギン酸ナトリウムの添加量は0.1〜2重量%が適当である。添加量がこの範囲より少ないと、酸化セリウム粒子(本発明でいう無機微粒子)を均一に分散させることが困難になり、酸化セリウム粒子が沈降しやすくなる。一方、添加量がこの範囲より多いと粘度が高くなり、酸化セリウム粒子を分散させるときの分散性が悪くなる。次に、このアルギン酸ナトリウム水溶液に、酸化セリウム粒子を添加し分散させる。添加量は1〜20重量%が適当である。添加量がこの範囲より少ないと固定砥粒研削研磨用工具としたときに高い研磨効率が得られにくくなり、また添加量がこの範囲より多いと酸化セリウム粒子の均一分散が困難になり、均一な分散体が得られにくくなる。
分散方法は特に限定されるものではなく、ボールミル、ペイントコンディショナー、ディスパーなど各種の分散機が使用可能であるが、中でもペイントコンディショナーが好適な分散機として使用できる。分散時間は、使用する分散装置により異なるが、例えばペイントコンディショナーを使用する場合には、1〜10時間が適当である。
次いで、この分散液をホットプレート上に乗せて、分散液を攪拌しながら加熱して、水を蒸発させて分散液を濃縮する。蒸発濃縮後の重量としては、蒸発前の重量に対して7/10〜1/10になるようにすることが好ましい。濃縮の程度がこの範囲より少ないと、後述する電気泳動現象を利用した堆積体の形成時に、酸化セリウム粒子の充填性が低くなったり、分散液中の酸化セリウム粒子が沈降しやすくなったりする。また、この範囲より多いと、電気泳動現象による酸化セリウム粒子の移動が困難になり、堆積体作製効率が低下する。
蒸発濃縮後の分散液中のアルギン酸ナトリウムおよび酸化セリウム粒子の含有量が0.2〜5重量%および2〜60重量%になるようにすると、電気泳動現象を利用した堆積体作製時の効率が最も良くなり、しかもこの堆積体を用いて作製した固定砥粒研削研磨用工具としての研削性、酸化セリウム粒子の保持性などが最もバランスの取れたものとなる。
以上のようにして調製した原料スラリーを、図1に示した電解槽のスラリー室に投入して電気泳動堆積を行った。このときの原料スラリーの投入量は300cc、電極間距離は50mm、印加電圧は10V、通電時間は1時間である。
以上のようして電気泳動堆積を行ったところ、図4に示すように、経過時間(堆積時間)とともに堆積厚みが増加し、当該厚みが飽和することなく90分で約14mmの厚みに堆積した堆積体を形成することができた。得られた堆積体を直径10mmの円盤状に打ち抜いて十分に乾燥させ、その重量を測定したところ、図5に示すように、堆積時間の経過とともに乾燥後の重量も増加し、当該重量が飽和することなく90分で約0.6gに成長した乾燥後の堆積体、すなわち固定砥粒研削研磨用工具が得られた。図6に、このようにして得られた固定砥粒研削研磨用工具(直径10mmの円盤状に打ち抜いて乾燥させた堆積体)の断面を示す。この図6からわかるように、得られた固定砥粒研削研磨用工具には気孔は含まれていない。
[比較例1]
図1に電解槽において、第1および第2の両カチオン交換膜を取り除き、かつアノード電極およびカソード電極を多孔板ではないグラファイト製の電極で構成した電解槽を使用し、次に述べる条件で電気泳動堆積により堆積体を製造した。すなわち、原料スラリーとしては、水にシリカゾル(無機微粒子であるシリカの粒径は約20nm)3重量%、アルギン酸ソーダ3重量%を混合したものを使用し、電極間距離約30mm、印加電圧10Vで90分間通電した。
図7に、得られた堆積体の断面を示す。この図7において、下方がアノード電極に接していた面である。同図を見ると、この条件下で作製した複合堆積体(シリカ・高分子複合堆積体)には多数の気孔が含まれていることがわかる。
[比較例2]
アノード電極をCu製の電極に代えたこと以外は、比較例1と同様にして堆積体を製造した。図8に、このときの堆積体の厚みと通電時間を示す。通電開始から通電終了までの時間は90分であるが、図8を見ると通電開始から約80分経過した時点で堆積体の厚みが約4mmで飽和し、通電時間がそれ以上経過しても厚いものが得られないことがわかる。
なお、本発明の電解槽を用いれば、電気泳動堆積法により、またはこれに必要に応じて堆積体成分たる高分子に対する架橋や乾燥等の他の処理を組み合わせることにより、下記のような成型体を作ることも可能である。
(1)キセロゲルとなった高分子と無機微粒子とを複合した成型体(電気泳動堆積により得られた堆積体を乾燥させることで、当該堆積体に含まれている高分子はキセロゲルとなる)。
(2)水分を含有させたヒドロゲル状の高分子と無機微粒子を複合した成型体。
(3)架橋された後に乾燥処理(これらの処理は、電気泳動堆積により得られた堆積体に対して行われる)されてキセロゲルとなった高分子と無機微粒子との複合した成型体。
(4)架橋され且つ水分を含有させたヒドロゲルとなった高分子と無機微粒子を複合した成型体。
(5)高分子が後工程のための形状維持結合材の役割を果たしている成型体であって、後に焼結させることによりセラミックスの原料となる成型体。
(6)無機微粒子を含まず、高分子のみからなるヒドロゲル成型体(この場合は電気泳動堆積時に使用する原料スラリー中に無機微粒子を添加しない)。
本発明の第1の実施形態(実施例1)に係る電解槽を模式的に示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る電解槽を模式的に示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る電解槽を模式的に示す断面図である。 実施例1において得られる堆積体について、電気泳動堆積時の通電時間(通電経過時間)と乾燥後の堆積体重量との関係を示すグラフである。 実施例1において得られる堆積体の通電時間と堆積厚さとの関係を示すグラフである。 実施例1で得られた固定砥粒研削研磨用工具(直径10mmの円盤状に打ち抜いて乾燥させた高分子・無機微粒子複合堆積体)の断面を示す写真である。 比較例1で得られた堆積体の断面を示す写真である。 比較例2で得られた堆積体の厚みと通電時間との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 電解槽
2 槽本体
3 スラリー室
4 アノード電極
5 アノード室
6 カソード電極
7 カソード室
8 第1のカチオン交換膜
9 第2のカチオン交換膜
10 鋳型部材(凹凸板)
11 複合電極
41 ポーラスカーボン集電体
42 炭素繊維
43 ガス拡散電極
A 高分子・無機微粒子複合堆積体

Claims (5)

  1. 水中に高分子と無機微粒子とを分散させた水系サスペンションを原料スラリーとし、電気泳動堆積法により前記高分子と無機微粒子との複合物である高分子・無機微粒子複合堆積体を製造する際に用いられる電気泳動堆積用の電解槽であって、
    上方が外部に開放または連通した槽本体の内側に、電気泳動堆積時に酸化溶解しない不溶性金属または炭素で構成されたアノード電極と、金属または炭素で構成されたカソード電極とが、互いに所定間隔を開けて対向状に配置されており、
    カソード電極と向かい合う側のアノード電極面の近傍に、カチオン透過性とアニオン不透過性と気泡遮断性とを有する高分子膜で構成された第1のカチオン交換膜が設けられている一方、アノード電極と向かい合う側のカソード電極面の近傍にも同じくカチオン透過性とアニオン不透過性と気泡遮断性とを有する高分子膜で構成された第2のカチオン交換膜が設けられており、
    この第1のカチオン交換膜と第2のカチオン交換膜との間の空間が原料スラリーの投入されるスラリー室とされているとともに、
    第1のカチオン交換膜によってスラリー室がアノード電極の位置するアノード室から隔離され、第2のカチオン交換膜によってスラリー室がカソード電極の位置するカソード室から隔離されていることを特徴とする電気泳動堆積用の電解槽。
  2. 第1のカチオン交換膜のスラリー室側の面には、水および水素イオンを透過させる多孔板が設けられており、この多孔板上に原料スラリー中の高分子と無機微粒子とを堆積させるように構成されている、請求項1記載の電気泳動堆積用の電解槽。
  3. 第1のカチオン交換膜のスラリー室側の面には、水および水素イオンを透過させる凹凸板(表面に凹凸を有する板状の鋳型部材)が設けられており、この凹凸板上に原料スラリー中の高分子と無機微粒子とを堆積させるように構成されている、請求項1記載の電気泳動堆積用の電解槽。
  4. アノード電極および第1のカチオン交換膜として、これらを一体化させた高分子複合電極が使用されており、この高分子複合電極は、アノード電極としてポーラスカーボン集電体と炭素繊維とガス拡散電極とを積層し、更にこのガス拡散電極の表面に第1のカチオン交換膜としてプロトン伝導性を有する高分子膜を積層させた構造を有する、請求項1記載の電気泳動堆積用の電解槽。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載した電解槽を用いて電気泳動堆積法により前記高分子と無機微粒子との複合物である高分子・無機微粒子複合堆積体を製造する方法であって、
    水中に負に帯電させた無機微粒子とアニオン性の水溶性高分子とを分散させた水系サスペンションを原料スラリーとして用い、
    この原料スラリーを前記電解槽におけるスラリー室に投入し、さらにアノード室は弱酸性の電解液で満たす一方、カソード室は弱アルカリ性の電解液で満たした状態で、
    アノード電極およびカソード電極の両電極間に電場を印加して電気泳動を行わせることにより、アノード室とスラリー室とを区画している第1のカチオン交換膜の前記スラリー室側の面に原料スラリー中の高分子と無機微粒子とを堆積させることを特徴とする高分子・無機微粒子複合堆積体の製造方法。
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