JP2006316188A - 木炭窯 - Google Patents

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Abstract

【課題】 処理施設までの運搬に困難を生ずる僻地の貯水域に堆積した木材廃材や流木を効率的に焼却処理、あるいは木炭に再利用できる木炭窯を提供する。
【解決手段】 窯本体1は、外壁10の一方向に沿って間隔をあけた少なくとも2以上の箇所に燃焼部2a,2b,2c(2a、2cは図示せず)をそれぞれ備えており、燃焼空間Sには、各燃焼部2a,2b,2cからの直火を避けることのできる箇所に、間隔をあけて2枚の内壁3,3を起立すると共に、内壁3,3の間には材料置き場4及び材料13の未燃焼空間Wを設けており、また外壁10の高所側には煙突を備え、前記材料置き場4及び未燃焼空間Wは、煙突の側に向けて次第に登り勾配となるように傾斜しており、窯本体1には、各燃焼部2a,2b,2cの燃焼可能範囲毎にそれぞれの空間を隔離できる遮断壁7,14を開閉可能に設けており、それらの空間には、煙突8と通じる排気ダクト5,6をそれぞれ備えている。
【選択図】 図2

Description

本発明はおもに、ダムの貯水域や僻地の農業用貯水池など、交通の便が悪く運搬が困難な場所に堆積する流木や木材廃材を燃焼して木炭等を生成するための木炭窯に関するものである。
山林からダムの貯水域に流れ込んで堆積した流木や、あるいは河川工事によって発生する木材の切れ端などの処理問題は、これらの場所が焼却施設から遠く離れているために、未処理のままその場で廃棄されることが多く、これが従来からの懸念となっており、現在まで抜本的な対策を見出せないままであった。
特開平6−100867号公報
ところが近年では省資源化が叫ばれており、このことから前述の木材廃材を焼却した後に木炭として再利用を図る場合があったが、従来ある木炭窯の処理能力ではとても追いつかないほどの量が排出され、この未処理分の木材廃材が回収されないまま残留し続けることで、貯水域の水質の悪化を招くことが容易に予想される。またダムに滞留廃材の排出・排砂機能を具備するものもあるが、滞留廃材の排出後は、ダム湖の底において長期間堆積し続けた前記木材廃材が腐敗してできたおびただしい量のヘドロが河川に流れ込んでいき、下流域の漁場汚染などの様々な環境被害を引き起こしているのが現状である。
本発明は以上の課題を鑑みてなされたものであり、処理施設までの運搬に困難を生ずる僻地の貯水域に堆積した木材廃材や流木を効率的に焼却処理、あるいは木炭に再利用できる木炭窯を提供することにある。
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明の木炭窯では、窯本体は、外壁の一方向に沿って間隔をあけた少なくとも2以上の箇所に燃焼部をそれぞれ備えており、前記窯本体の内部空間には、各燃焼部からの直火を避けることのできる箇所に、間隔をあけて2枚の内壁を起立すると共に、当該各内壁の間には材料置き場及び該材料置き場に置かれた材料の未燃焼空間を設けており、また外壁の高所側には煙突を備え、前記材料置き場及び未燃焼空間は、煙突の側に向けて次第に登り勾配となるように傾斜しており、前記窯本体には、各燃焼部の燃焼可能範囲毎にその燃焼空間、及び未燃焼空間をそれぞれ隔離できる遮断壁を開閉可能に設けており、前記各遮断壁により隔離した各燃焼空間又は/及び各未燃焼空間には、前記煙突と通じる排気ダクトをそれぞれ備えていることを特徴とする。
ここで窯本体の形態は、該窯本体の内部にある材料置き場を低所から高所にわたり長く形成したかまくら状のものや、あるいはトンネルのように形成すると共に低所側と高所側の両端が塞がるようなものであってもよい。また燃焼部は、例えば薪バーナー等の窯本体内に投入した木材廃材を炭化可能な燃焼温度を確保する手段のすべてを含む概念である。さらに燃焼領域は、燃焼部の火力によって容積が適宜変化するものであり、これは窯本体の燃焼空間の容積によって設定変更がなされるものである。また内壁の配置については、投入した材料を未燃焼であり且つ蒸し焼きにできるものであればよく、さらに各内壁の上端縁は開いていても閉じていてもよいが、望ましくは燃焼時には閉塞し、未使用時には開放するものであり、このことから各内壁の上端縁に跨るように開閉蓋を備えてもよい。
以上のように本発明の木炭窯を形成すると、窯本体内において各遮断壁により区分けされた各燃焼空間毎に、煙突まで通じる排気ダクトをそれぞれ備えることで、各燃焼空間で発生した燃焼ガス、及び各未燃焼空間で発生した未燃焼ガスを個々に効率的に排出できる。
本発明のうち請求項2記載の発明の木炭窯は、前記排気ダクトの排出口には、燃焼ガス又は/及び未燃焼ガスの排気量を適宜調節できる調整弁を備えているので、各排気ダクトのそれぞれの排出口にある調整弁の開放の度合いによって、燃焼ガス・未燃焼ガスの煙突からの排気量を木材廃材の炭化の進捗状況に合わせて調節できる。
ここで調整弁は、排気ダクトの流路を流れる燃焼ガス・未燃焼ガスの流量を増減できる手段であればよく、例えば、排気ダクト内に軸支する回転板や、あるいは排気ダクトの流路内に差し込み可能なスライド板などが挙げられる。また調整弁の開放度合の調整については、例えば調整弁の回転軸を手動で回したり、あるいは回転方向や回転角度を遠隔制御可能なサーボモーターによって行うことが想定できる。
請求項1記載の発明による木炭窯は、燃焼領域毎に燃焼部からの燃焼ガス及び木材廃材からの未燃焼ガスを排出することで、窯本体内での燃焼効率が飛躍的に高まり、処理能力の高い木炭窯を提供できる。窯本体内の燃焼空間と未燃焼空間の双方に通じる排気ダクトを備えているので、大量の木材廃材の焼却処理を行う大型の木炭窯であるにも関わらず、各燃焼部による燃焼可能範囲毎の小さなスペースで燃焼ガス・未燃焼ガスの排気が行えることにより、木材廃材の焼却処理能力が飛躍的に向上する。
請求項2記載の発明による木炭窯は、請求項1記載の発明の効果に加えて、排気ダクトからの燃焼ガス又は/及び未燃焼ガスの排気量を木材廃材の炭化の状況に合わせて適切に制御でき、従って、木材廃材の焼却処理能力の向上と良質な木炭の製造との両立を図ることができる。
本発明の木炭窯の実施形態を以下に説明する。
まず図1(a)(b)に示すものは、本木炭窯の全体図であり、本実施形態では約20°の傾斜地の上に低所側から高所側に延長する窯本体1を設置し、この窯本体1の高所側に煙突8を起立すると共に、窯本体1の外壁10の両側の計6箇所においてそれぞれに間隔をあけて薪バーナー2a,2b,2cを設置したものであり、各薪バーナー2a,2b,2c
の燃焼可能範囲毎に遮断壁7,14により仕切ると共に、隔離した各燃焼空間S及び各未燃焼毎にそれぞれ煙突8に通じる排気ダクト5,6をそれぞれ備えたものである。
尚、薪バーナー2a,2b,2cの設置数は、薪バーナー2a,2b,2cの火力及び薪バーナー2a,2b,2cの燃焼可能範囲などを考慮し、上記の設置数に限ることなく適宜変更するものである。
尚、各薪バーナー2a,2b,2cの燃焼可能範囲は、該薪バーナー2a,2b,2cの火力により算出したものであり、これにより各遮断壁7,14の配置位置は、最低限木材廃材13を炭化できる加熱温度を保つ位置となるように設定してある。また本実施形態の木炭窯では、外壁をコンクリート、内壁を耐火煉瓦により形成している。また符号19は薪であり、符号20は吹込口である。
次に窯本体1の内部構造は図2に示すように、断面半円形状をなす外壁9により囲まれた燃焼空間Sの底位置側に、左右に間隔をあけて起立する2枚の各内壁3,3を、窯本体1の長手方向に沿って平行に設けており、また各内壁3,3は、上側に向かうに従い各々の間隔が徐々に狭まるようなRを付けていると共に、この各内壁3,3の上側の間隔を木材廃材13の炭化時に塞ぐための蓋27を開閉可能に備えている。
次に燃焼空間S用の排気ダクト6及び未燃焼空間W用の排気ダクト5について以下に説明する。
このうち先ず外壁10に通じる排気ダクト6については図2及び図3(a)(b)のように、窯本体1の外壁10の上側に連通する形で備えており、窯本体1内に予め設けてある固定遮断壁14に仕切られた各薪バーナー2a,2b,2cのそれぞれの燃焼空間Sと通じるように前記各排気ダクトが1本ずつ配置してある。そして前記燃焼空間S用の各排気ダクトは、各固定遮断壁14により各々隔てた燃焼空間Sにおいて充満した薪バーナー2a,2b,2cからの燃焼ガス24の煙突8への排気手段として機能する。次に未燃焼空間W用の各排気ダクト5については図2及び図4(a)(b)のように、2枚の内壁3,3のうちの一方の内壁の上側及び外壁の上側をそれぞれ連通する形で備えており、クレーン11により昇降する未燃焼空間W用の各固定遮断壁7が降りた際、これにより隔離される各未燃焼空間Wに充満した木材廃材13からの未燃焼ガス26の排出手段として機能するものである。
前述した各排気ダクト5,6を本発明の木炭窯に備えることで、本木炭窯1は以下のように機能する。
まず図3(a)と図4(a)のように、遮断壁7をすべて引き上げて燃焼空間S及び未燃焼空間Wを低所側から高所側にかけて一続きの状態にした後、各薪バーナー2a,2b,2cを点火する。次に図3(b)と図4(b)のように、他と比較して炭化が遅れている未燃焼空間Wの木材廃材13においては対応する遮断壁7を降ろし、すでに木材廃材13が炭化して木炭16を製造済である燃焼空間Sの薪バーナー2a,2cの火を止め、木材廃材13が炭化の途中にある燃焼空間Sのみで薪バーナー2bを点火し、前記燃焼空間Sの燃焼ガス24と未燃焼空間Wの未燃焼ガス26とを、各排気ダクト5,6を通して煙突8から排気する。
この際、燃焼空間S用の排気ダクト5と未燃焼空間W用の排気ダクト6では図5(a)(b)(c)のような燃焼ガス24及び未燃焼ガス26の排気量の調整がなされている。
まず薪バーナー2a,2b,2cの燃焼途中では、外壁10側の燃焼空間S用排気ダクト6において調整弁25を閉めて燃焼空間Sを密閉する。これにより燃焼空間Sでは前記薪バーナー2a,2b,2cの燃焼熱がこもって急激に温度上昇し、木材廃材13の未燃焼も促進される。次に図5(b)のように調整弁25を徐々に開放していくことで、木材廃材13に含有する水分を未燃焼空間Wから排出口21a,21b,21cに配布できる。最後に木炭が製造された後には図5(c)のように、調整弁25を排気ダクトの流路を開放する回して、未燃焼空間Wに滞留する未燃焼ガス26を排気した後、窯本体1底部のスライド扉18を開けて地下室17に製造した木炭16を落とし、この地下室17からコンテナ15を使って窯本体1の外に前記木炭16を出口22から搬出する。
尚、調整弁25の回動については、該調整弁25と連動するハンドルの操作により行われるが、これが例えば、調整弁25の軸の回転方向・回転角度を遠隔制御できるサーボモータ等を適用してもよい。
次に本発明の木炭窯の構成要件のうち、上記以外のものについて各々説明する。
まず遮断壁7の上げ下げについては、クレーン11により行われており、このクレーン11は、ドラム12によりワイヤー9を巻き取ることで未燃焼空間W用の遮断壁7を持ち上げることができ、勿論前記ドラム12を逆回転してワイヤー9を巻き戻せば、再び遮断壁7を降ろして未燃焼空間Wを各々隔離できる。次に各内壁3,3には、未燃焼空間Wに通じるスリット28を設けることもでき、このスリット28は薪バーナー2a,2b,2cからの炎を未燃焼空間Wの側に通さない程度の幅に形成してあり、薪バーナー2a,2b,2cからの熱風のみを取り入れることで、未燃焼空間Wにおいて低所側から高所側への空気の流れが発生し、これにより燃焼効率を高めて木材廃材13の炭化を一層促進できる。さらに内壁3,3の各上部側は、それぞれ内向きに屈曲しており、薪バーナー2a,2b,2cの未燃焼空間Wにおける確実な熱の保持がなされる(図2参照)。
また本木炭窯の他の実施例としては図6(a)(b)と図7のように、細かく粉砕した木材チップ29を炭化し、木炭チップ40を生成するものである。この木炭窯は、中に未燃焼空間Wとなる空洞を有するドラム体30を回転しながら薪バーナー2a,2b,2cで加熱するものであり、ドラム体30の外周側の全周に亘り配置した歯32と駆動モータ31とを係合し、このドラム体30に対して回転力を付与するものである。またドラム体30の内部には図7に示すように、当該ドラム体30の中心軸に向かって内向きに突出した攪拌刃38が放射状に6枚配置してあり、さらにドラム体30の背面側には、排煙孔36が6箇所にそれぞれ配置してある。
そしてドラム体30の背面側には、排煙閉鎖板37を配置しており、この排煙閉鎖板37は前記遮断壁7と同様、昇降可能に形成してあるが、遮断壁7を昇降しているクレーン11にドラム33を取り付け、このドラム33からワイヤー34に吊り下げて前記排煙閉鎖板37を上げ下げするものである。
尚、本実施ではドラム体30の排煙時、排煙閉鎖板37をドラム体30の位置から下ろすように形成しているが、これは遮断壁7との接触を防ぐためであり、遮断壁7と同様に吊り上げてドラム体30の各排煙孔36を開放することもできる。
本実施による木炭窯の場合、まずドラム体30の蓋35を開けて木材チップ29を放り込み、前記蓋35を閉めた後に駆動モータ31を起動してドラム体30を回転することで、ドラム体30の中の木材チップ29は、攪拌刃38で混ぜられながら各薪バーナー2a,2b,2cからの熱により蒸し焼きされる。そして木材チップ29の炭化後は、図6(b)に示すように、排煙閉鎖板37を格納溝39に降ろし、ドラム体30の各排煙孔36を開放することにより、該ドラム体30の中に充満した未燃焼ガスが、排気ダクト6を通じて煙突8に排気される。また生成された木炭チップ40は、前記蓋35が底位置にくるようにドラム体30を回転し、その回転停止位置において蓋35を開放して取り出すこととなる。
本発明の木炭窯を示す側面図である。 図1(a)のA−A線縦断面図である。 燃焼部用の排気ダストの使用状態を示す説明図である。 材料置き場用の排気ダストの使用状態を示す説明図である。 図2Bを拡大して示す、調節弁の使用状態を示す説明図である。 (a)は本発明の木炭窯の他の実施を示す縦断面図であり、(b)は縦断面図である。 図6(a)のC−C線縦断面図である。
符号の説明
1 窯本体
2a,2b,2c 薪バーナー(燃焼部)
3 内壁
4 材料置き場
5 排気ダクト(未燃焼空間用)
6 排気ダクト(燃焼空間用)
7 遮断壁(未燃焼空間用)
8 煙突
10 外壁
13 木材廃材(材料)
14 遮断壁(燃焼空間用)
16 木炭
21a,21b,21c 排出口
25 調整弁
26 未燃焼ガス
S 燃焼空間
W 未燃焼空間

Claims (2)

  1. 窯本体(1)は、外壁(10)の一方向に沿って間隔をあけた少なくとも2以上の箇所に燃焼部(2a,2b,2c)をそれぞれ備えており、前記窯本体(1)の内部の燃焼空間(S)には、各燃焼部(2a,2b,2c)からの直火を避けることのできる箇所に、間隔をあけて2枚の内壁(3,3)を起立すると共に、当該各内壁(3,3)の間には材料置き場(4)及び該材料置き場(4)に置かれた材料(13)の未燃焼空間(W)を設けており、また外壁(10)の高所側には煙突(8)を備え、前記材料置き場(4)及び未燃焼空間(W)は、煙突(8)の側に向けて次第に登り勾配となるように傾斜しており、
    前記窯本体(1)には、各燃焼部(2a,2b,2c)の燃焼可能範囲毎にその燃焼空間(S)、及び未燃焼空間(W)をそれぞれ隔離できる遮断壁(7,14)を開閉可能に設けており、前記各遮断壁(7,14)により隔離した各燃焼空間(S)又は/及び各未燃焼空間(W)には、前記煙突(8)と通じる排気ダクト(5,6)をそれぞれ備えていることを特徴とする木炭窯。
  2. 前記各排気ダクト(5,6)の排出口(21a,21b,21c)には、燃焼ガス(24)又は/及び未燃焼ガス(26)の排気量を適宜調節できる調整弁(25)を備えていることを特徴とする請求項1記載の木炭窯。
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